阿部ブログ

日々思うこと

ロシア軍のシリア展開とイスラエル領空侵犯

2015年12月01日 | 雑感
11月29日、イスラエルのモシェ・ヤーロン国防大臣が、イスラエルの管理下にある空域にロシア機が約1.6km侵入したとし、深刻な懸念を表明している。ロシア機は、警告を受け速やかに退去。ヤーロン大臣は、ロシアパイロットのミスとしている。しかし、今イスラエル軍が展開するゴラン高原はシリア領で不法占拠していいるのはイスラエルだ。
イスラエルは、フランス、ロシア、アメリカによる対IS戦には不介入を貫くだろうが、シリアに展開するロシア軍がイスラエル軍の行動を制限する。今までイスラエル空軍はシリア領空に不法侵入し、ヒズボラなどの対抗勢力の根拠地を空爆してきたが、これが難しくなる。シリア領内のロシア軍の存在が阻害要因となる。既にロシア軍はシリアにおいて2か所目となる空軍基地をHoms郊外のShayratに展開している。またロシア軍の地上部隊の前線基地は4か所に増えているし、ロシアの防空システムがシリア国内で本格的に稼働するとイスラエル空軍は従来のように自由に行動する事には危険が伴う事となる。

プーチン大統領は、速やかに反応した。翌日30日には、イスラエルのネタニヤフ首相とシリアでの両軍の意図せざる衝突が起きる事態を回避する為の措置を取る事に同意している。これによりシリア領内のロシア軍とイスラエル軍の間に直接の通信回線が開設され、情勢の共有化が図れる事となる。

何れにせよシリア駐留のロシア軍とイスラエル軍の軍事的な衝突を回避する事は難しいだろう。これが中東における大戦争に拡大する。既にトルコによるロシア軍機の撃墜は、ワシントンの承認の上実施されたとの情報もある。シリア政府軍は失地を回復しつつあり、ロシアはエジプトも巻き込もうと画策中だ。第四次中東戦争ではないが、シリアとエジプトによるイスラエル包囲&攻撃が予期される。

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