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原発の真実——コスト高で競争力のない原子力発電 :240105情報
原発は、発電コストが高い発電技術です。現在、政府は、原発が他の発電技術に比べて高いことがわかってしまうためか、最新のデータに基づいた発電コストを公表していません。一方、米国などでは、政府が原発の発電コストが高いことを認めています。また、実際に起きた事故などの過去の実態を考慮すれば、原発の経済性や安定性が低いのは明らかです。この事実を国際経済学者は次のように解説します。
原発がどれだけコスト高になっているかというお話をしておきます。これはThe World Nuclear Industry Statusという2023年の世界の原発産業の現状報告があって、フランスの原発コンサルタントのマイケル・シュナイダーの記事が12月6日に公表されました。
これに面白いことが書いてあったので、ご紹介させていただくと「アメリカの投資銀行であるラザードが収集した2022年のデータによると、太陽光や風力などの自然エネルギー発電の平均発電コストは、1MW毎時あたり45ドルから130ドルだが、原発のそれは180ドルである」と記されています。
2023年11月にユタ州でニュースケール社が小型原発を建設していたのですが、中止しました。その理由は簡単で、最新型の加圧水型原子炉を建設すると、発電コストが従来の予想コストの2倍になるというので、完成しても電力の買い手が見つからないということです。初期に予想したものより2倍もかかってしまうため、ここまで高額になる電力を買ってくれないので中止にしました。
ここには日本の企業も投資していた、あるいは新たに投資しようとしていた企業もあります。過去10年間で発電所規模の太陽光の平均発電コストは83%も低下していると言われているのです。発電所規模ということは、家の屋根に設置しておくレベルではなく、大きな発電所として作るソーラーパワー発電の平均コストが83%も低下したが、原発の発電コストは過去10年で47%も上昇しています。このようなことがあったら競争できません。
そこには、おそらく放射性廃棄物を何万年も保存しておかないといけないというもののコストは含まれてないわけです。順調にいっていたとしても万が一、福島原発のような事故が起きてしまったときのコストも、おそらく含まれてないと思います。水力発電でも火力発電でも、最悪の事故があった場合の限度は想定できるでしょう。
それは今までの事例から言うと、そこまで大きなことはありません。原発の事故は一度やってしまうと、福島を見ても燃え残った「デブリ」というものが原子炉の底に残っていますけど、あれをどうやって処理していいか未だにわからないのです。うまくいっても100年くらいかかるのではないでしょうか。
あそこからデブリを運び出せたとしても、どこへ持っていけばいいのか、その処理方法はどのようにするのか答えが出せません。今のところ、チェルノブイリでソ連がやったように大きな石の棺桶のようなもので覆い被せる可能性もあるでしょう。しかし、チェルノブイリも劣化してきたので新しいドームを作らなければいけないという話が出ています。
あの場所に永遠に置いておけないと言われていて、あそこからメルトダウンしたウラン燃料を運び出して処理すると言っていますが、その処理法さえも定まっていません。どうしたらいいのか明確になっていないし、原発事故が起きたら物凄いコストがかかるのです。それだけではなく周りの人が、その近辺に住めなくなるということで、それを解決する手立てがなくなる原子力発電は非常に扱いにくいものでもあります。
一時期は非常に輝いて見えたのです。それこそ50年前の田中内閣の頃ですけど、73年から74年にかけて第1次オイルショックというのがありました。石油の値段が4倍まで膨らんで、OPECの国が石油を売らないと先進国に言ったという大変なことが起きたのです。そのときに日本は石油の火力発電も沢山やっていましたから、この際は原子力に期待をかけようというのは国民的コンセンサスだったと思います。
当時のことを思い出しますと、左翼の人たちも賛成していました。そのときに左翼の人たちが「核兵器はよくないけど、核の平和利用には賛成である。そのためには情報公開をして核兵器開発に結びつかないような形でやってほしい」と言っていたことを思い起こすと、当時は彼らも原発賛成だったのです。
それくらい日本国としては切羽詰まっていました。当時も放射性廃棄物の処理法の手立てがないということはわかっていたのです。しかし、30年〜40年も科学的に研究を続けて技術も磨いていけば、技術開発の革新で処理法も見つかるだろうというところで見切り発車していたのでしょう。
だけど、残念ながらその処理法は未だにわかっていません。要するに原発というのは非常に使いづらい発電方法であると考えてください。
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