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Ⅳ.軍事専門家の見る2024年
――アメリカ大統領選挙の行方:240127情報
引き続き、アメリカ大統領選挙の展望を語っていただきました。
アメリカの選挙の最近の世論調査では、「中絶とか気候変動に関しては民主党、経済や移民問題については共和党に味方をする人が多い」と言われていますけれども、バイデン政権の失業率は、トランプ退陣時の6.3%から3.9%と一気に低下したし、インフレ率は2022 年6月の9 %超から、去年10月の時点では3.2%まで下がったので「経済状態も良好」というふうに言っているのですけれども、統計とか数値というのは計算方法でいくらで も変わります。
実際の若者とか有色人種らを含む多くのアメリカ国民の感覚は、私は多分真逆だと思う のです。
実際、食料品とか自動車、住宅、育児、高齢者介護といった必要不可欠な商品とかサービスのコストに、賃金が全く追い付いていないという実態が実はあるのです。
サンフランシスコなどの大都市でも、家と職を失ったホームレスが増えて、薬物がまん延して治安はかなり悪化しています。
経済面では、トランプ氏は具体的な政策論というのを実はあまり言っていないのですけれども、それでもアメリカ国民の多くは今トランプ氏を支持しているわけで、最大の理由 はやはり経済の停滞と不法移民です。
トランプ氏は、「海外の戦争については知らん」という非介入主義的で、「アメリカ第一主義。アメリカファースト」を叫ぶのですが、ウクライナやイスラエルへの米国のさらなる関与を恐れる多くの有権者の共感が得られるという構造が出来上がっているわけです。
アメリカ経済が苦しいのに、これ以上ほかの国に、日本もそうですけれども巨額の金を差し出すなんてあり得ないというわけです。
もう1つは、やはり移民による治安悪化なのです。
これは伝統的に、地方の白人社会に大きな不安を与えていて、実際アメリカの田舎に行きましても、メキシコのマフィアがかなり幅を利かせているという話をよく聞くようにな りました。
今アメリカで起きているのは、「多様性」とか「平等」という美辞麗句で語られる、アメリカ国家の解体を目指したアメリカ版文化大革命だと私は考えていまして、かつて毛沢東が「農村から都市を包囲する」と言ったように、今は移民でアメリカ社会を包囲すると いう形態が出来上がりつつあると思っています。
それでも今のままでまともに選挙をやれば、私はトランプが勝利するだろうと思っています。
「MAGA (マガ)」なんて言いますけれども、アメリカ人の多くが年々目覚め始めていて、 それはもはや止めることはできないのです。ですから、トランプ氏が弾劾されたりとか、スキャンダル情報が出れば出るほど「トランプは政治的魔女狩りの被害者だ」と考える人が増えて支持率が上がるという、面白い構造 になっています。
まるで銃規制をもくろんだ、派手で少々うさんくさい銃乱射事件が起きると、余計にアメリカ人の多くは銃と弾薬を買いに走るみたいな現象と、これは全く同じだなと思っているのです。
一方のトランプ氏は、とはいえ起訴されたりしていますから、やはり裁判とは向き合わなければいけないのですけれども、その戦術にも結構長けていて、裁判を遅らせてその間に 当選するという戦術だと思うのです。これも、何かうまくいきそうな感じかなと思います。
ただ問題は、トランプ氏が選挙までにきちんと生き残れるかどうかという点です。
数々の疑獄事件を仕掛けられるでしょうし、下手をしたら暗殺の可能性もあります。さらには、共和党内での分断工作なんかもあるでしょう。しかしトランプ氏のすごいところは、そういうものにも負けそうにない、あの勢いと人気 なのです。
そして、トランプ氏が共和党候補の資格を勝ち取った場合、相手は今のところ、またあの バイデンさんの可能性もあるわけなのです。本人は「トランプの野郎だけは絶対勝たせない」と意気軒高らしいですが、とはいえアメリカ国内のバイデン政権に対する反発はかなり厳しいものになっているし、今のアメリ力では、バイデンがあまりに高齢であるが故に「彼が認知症を患っている」といったタイプのジョークが結構まん延しています。
このバイデン政権を支持する大手マスコミももちろんそうですが、その1つのMSNBC の司会者のミカ・ブレジンスキーという人は、「バイデン大統領は物おじせず、外交に効 果的な交渉者であって、比類なき経験と知恵を持っている」というふうに絶賛しているの です。
そのバイデンさんは、中国から支払いを受けていた息子のハンター・バイデンの会社から もお給料をもらっていたといいますから、「やはり物おじしない比類なき経験と知恵があるのは確かだな」と私は思います。
とにかく、いくら大手マスコミが「バイデンが歴代大統領で一番人気だ」と報じても、さすがにそれを押し通すのは難しいだろうというレベルの不人気であることは間違いない ということです。
今のままならバイデンでいくと思います。なぜならアメリカ民主党にはもう人材がいないのです。しかし、ここでいわゆる「おねむのジョー Sleepy Joe」を勝利させるポイントが2つあって、1つは移民による選挙権の行使です。
実際、合法的な移民が選挙権を持つケースというのが最近は結構増えていて、「アメリカ市民となった2,300万人以上の合法的な移民が、2024年の大統領選挙に投票する資格がある」と言われていますし、2020年の段階でもピュー・リサーチ・センターが「全米有 権者の約10%をこの移民が占める」というふうに報告しています。
移民の有権者数というのは、過去20年間で着実に増加していて、2000年以来93%増加 しています。
それに比べてアメリカ生まれの有権者数は、2000年の1億8,100万人から2020年の2 億1,500万人と、同期間の増加はより緩やかで18%減であるということです。
ですから、移民の方が、はるかに選挙権が増えているわけなのです。そして彼らが民主党の票田となれば、トランプ側にとっては脅威だと私は思います。さらにこの3年、バイデン政権が大量に受け入れた中南米からの不法移民も選挙に参加 できる可能性があるということです。
不法移民について、連邦議会は1996年に「連邦選挙での投票を禁じる」という法律を可 決しているのですけれども、州や地方の選挙では、管轄の法律によって投票することがで きる所があるらしいのです。
Ballotpedia (バロットペディア)というサイトがあるのですけれども、そこによると2023 年6月現在、不法入国者の投票が禁止されている州というのは7つしかなくて、アラバ マ・アリゾナ・コロラド・フロリダ・ルイジアナ・ ノースダコタ・オハイオしかないので す。
ここの移民票がどうなるのかというのは、これ以外の地域の移民票がどうなるのかもやはり影響を与えるだろうということです。
ちなみに私は、2020年の大統領選挙では大いなる不正があっただろうと考えている立場ですので、今回の選挙も民主党側、さらには共和党側に巣食うエスタブリッシュメント層 による不正は行われるだろうというふうに見ています。これが2つ目のバイデン勝利の方程式なのです。
しかも、前回よりもはるかに巧みな方法で行うことは当然計画しているだろうし、実際最近も調査会社のラスムッセンという所とハートランドという所が共同調査を行った結果、 2020年の大統領選挙で郵便投票をやりましたけれども、郵便投票した者の20%が自らの 不正を認めているという結果が出ているのです。
しかし、これを大手マスコミは一切報じないわけです。
そんな中で、これだけの不人気で半分ぼけた「Sleepyjoeおねむのジョー」と呼ばれているバイデン氏が、今回もまた「あの飛ぶ鳥を落とす勢いのトランプ氏よりも多い得票数を取った」とか、「史上最も人気のある大統領になった」ということをマスコミが喧伝(けんでん)して、さらにまた新しい選挙不正の動きがばれて、さらにはマスコミがそれを封印したら、アメリカ国民は多分もう黙っていないという可能性が強いと思います。
そうなったら、いくつかの州が連邦政府の管轄から離脱して「うちの州は独立する」と言い出すとか、あるいは激しい抗議運動が全米に広がって、警察とか軍それから州兵なんかが鎮圧する、しないで大もめして、そこから本格的かつ物理的な内戦になっていく可能性というのがあるのではないかと危惧をしています。
そして、「そうやってアメリカが混乱したときに、わが日本政府はどう立ち振る舞うのだ ろうか」ということですけれども、今のままでは、おそらくべったりとグローバリスト側 に付くのだろうと思います。
そしてアメリカのバックにいる連中というのは、アメリカを徐々に覇権国から外して、中 国とかBRICsを背後からより強力に支配するような方向に向かっていると、私は思って いるのです。
中国共産党をつくったのも、よく考えれば同じ極左グローバリスト系のご先祖さまだったことを考えると、中国がグローバリストと仲がいいというのは、ある意味で当たり前なのですけれども、その一方で習近平氏がそれについてどう考えているのかは分からないところがあります。
もし、根本的な発想がトランプさんに近い、つまり反グローバリズム的でナショナリストであるのだとしたら、私はその可能性も捨て切れないでいるのですけれども、それなら中 国における政変が、今年またアメリカ大統領選挙と連動する形で起きる可能性もあると 思っています。
いずれにせよ、日本政府は今のままでは勝ち馬に乗ることはないのではないかと、むしろ 泥船に乗って一緒に沈んでいくか、ハッと気が付いたら信じていたご主人さまからはしごを外されているという状態になるのではないかと思うのです。
だからこそ、われわれは選挙でも何でもそうですけれども、本当の意味で声をしっかりと上げていかなければならないというふうに思います。
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