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紅海でのフーシ派のテロは大戦争の火だねか? :240115情報
11月19日、日本郵船が運航する貨物船が紅海でイエメンの親イラン武装組織フーシ派【※1】に拿捕(だほ)されるという事件が起きました。12月の半ばにはフーシ派を支援するイランの政府高官が「船の引き渡しや船員の解放に向け反政府勢力に対し働きかけている」と述べたようですが、未だに実現に至っていません。
【※1】フーシ派:イスラム教シーア派の分派であるザイド派の武装組織で、イエメンで1990年代に結成された。 20年近くにわたりイエメン政府と内戦を繰り広げ、2014年に掌握した首都サヌアを含め、イエメンで広範な領域を実効支配する。
本年1月11日、アメリカ政府は11日、アメリカ軍とイギリス軍がイエメンの反政府勢力フーシ派の拠点に対し攻撃を行ったと発表しました。紅海を航行する船舶への攻撃を繰り返すフーシ派への報復措置だとしています。
今まであまり聞きなれのなかったフーシ派について、国際政治学者は以下のように解説しています。
第3次世界大戦にならないことを望みますが「第3次世界大戦への序曲となりうる可能性がある紅海でフーシ派のテロ」ということでお話をいたします。これを理解するには、イランを知らなければいけません。フーシ派というのは、アラビア半島南のイエメンあたりにいるテログループです。
そもそもイランがフーシ派やヒズボラ、ハマスを支援しているわけですけれども、このハマスはイスラエルを攻撃したことで有名になりました。大元はバイデン外交が生んだ結末の一つが、フーシ派による紅海あたりでの海賊行為です。バイデンも含めた前のオバマ政権もそうだったのですが、イランに対する制裁を解除しました。トランプはイランと取引があるから妥協して経済制裁をやらない、その代わりにイランは核爆弾を作らない、核武装をしないと言うのですが、これは所詮2025年までの時限的なものです。
そのあとも、いつでもイランが核武装してしまう可能性がある、その間に経済力をつけさせておくのはよくないということで、トランプはイラン合意を離脱したのです。これは非常に勇気のある行為だったと思います。
しかし、最終的にトランプはイランと和解して外交関係を再開するという下準備をしつつ「自分が2020年に再選されたらイランと国交を正常化する準備は整っている」と言っていました。しかし、トランプは不正選挙によって大統領再選できなかったので、その案は消えてしまったのです。これは大統領自身として、はっきりと言っていた公的発言でした。
そして、バイデンはイラン制裁を解除してしまい、世の中の馬鹿な日本のマスコミも「これでイランが核武装をやめることを約束するから良かった」と言っていたのですが、巨額のお金が動き始めてしまったのです。
イランもエネルギーを輸出している国ですから、オバマのときにはもっと酷くて金塊やドル札を飛行機に乗せて、首都テヘランまで持っていっていました。イランの制裁が解除されるということは、イランに力をつけさるということです。イランはイスラム教のシーア派の国ですけど、イラン政府内のタカ派が力を持ってしまいました。イラン政府も一枚岩ではなくハト派もいれば、タカ派もいます。
西側の国がトランプのように強い大統領で「経済制裁を断固としてやってやる」ということになっていると、自分たちは下手に出ないといけないので国内においてタカ派が引っ込み、ハト派が前面に出てきます。しかし、アメリカが妥協したことから「強気でいけばいい」と言ったタカ派が強くなってしまいました。タカ派が強くなったことで、お金回りも良くなり、イランからフーシ派やハマス、ヒズボラにもお金が流れます。それで、ハマスはイスラエルを攻撃し、フーシ派としては紅海を中心とするあたりでアラビア半島の先あたりもありますけど、海上テロをやっているのです。
被害者になっている国として日本の船もやられましたけど、元々は「イスラエルをターゲットにしてやる」と言っていたので、イスラエルの船もやられています。その他にもスンニ派の穏健なアラブの国々も、自分たちが石油をタンカーで売ると言っても妨害されてしまって、サウジアラビアも被害者です。この点では被害者同盟でイスラエルもサウジアラビアも、この海上テロによって我々も同様に被害を受けています。おそらく英国の守旧派が裏で糸を引いて、バイデンにもっと緩めろと言って、一方ではイランが自国傘下の団体を先導してお金が流れてくるから、もっとテロをやれと煽って仕掛けていきました。
そして、中東において最終的にアメリカ・イラン戦争になり、イランの背後にロシアがいるということで、アメリカとロシアの第3次世界大戦がこの中東で起きるという仕掛けをしていたのではないでしょうか。それで米露が共倒れになれば、そのあとに残るイギリスやフランスなどの大国などを狙っているのかもしれません。そういった動きがあれば、それだけで相場を動かして石油・穀物の値段、物の値段、株式相場などに関して自分たちが仕掛けて紛争を起こせば、いくらでも金儲けができます。
そういうことがあって守旧派が動いたのではないかなと思います。オバマも彼らの言う通りにしていました。バイデンの間抜けな外交が危険なグループに力をつけさせて、イラン国内でも出てきていたハト派を引っ込めてしまって、タカ派に力を与えてしまったということです。一面にするとイランのシーア派とサウジなどのスンニ派の戦いとも見えますけど、実際にあるのはこういう力学だと言えます。そこで問題になるのは、イランが西側を苦しめようと考えて一番いい方法はホルムズ海峡の封鎖です。
そこはペルシャ湾からの出口のところですが、封鎖されるとクウェートもサウジアラビアも、自分たちが資源を売るタンカーが動けなくなってしまい、ものすごく困ります。あそこからタンカーで運ばれてくる石油に頼っている日本にも大影響があるのです。それならホルムズ海域閉鎖すればいいと考えるのですが、イランにはそれだけの度胸はありません。これをやればアメリカと正面衝突することが分かっていますから、まずは小さなところの紅海でフーシ派に海上テロをやらせているということです。
イラン側にはこれだけの冒険政策を取る度胸はないでしょう。しかし、背後の力が実行を命じて国内でパワーバランスが崩れたら、ホルムズ海峡封鎖ということもあり得ます。全くゼロではありません。そうすると、石油は1バレル100ドル〜120ドルという値段にたちまち上がっていくでしょう。世界的にまたインフレも再燃し、下手をすれば第3次世界大戦ということになってしまいます。
これは非常に危険な道です。これだけでも、今、物価が非常に上がってきています。紅海でフーシ派によって11月19日、日本郵船を運航する船が拿捕されてしまいました。実行したフーシ派は勘違いして「イスラエル船を拿捕して、イエメン沿岸に連行した」と言っているのですが、実際は日本郵政が運航する船です。これは自動車運搬船でギャラクシーリーダーという名前の船ですけど、日本郵政によると「同社がチャーターする自動車輸送船ギャラクシーリーダーの乗組員はフィリピン人ら25人で、日本人は乗っていなかった」ということになっています。
さらに23日、リベリア船籍の日本のタンカーがイランから無人機(ドローン)による攻撃を受けたということを、アメリカの国防総省が発表しました。タンカーは日本の会社が所有していて、オランダ企業が運航していた船で、19日にサウジアラビアを出発してインドに向かっていたのです。この船でサウジが輸出している石油を運んでいました。
イラン外務省は、イランからの無人機による攻撃を受けたことを否定しています。日本の会社が所有するタンカーの攻撃にイランが関与したと米国はそのように言っているけど、そうではないと否定していました。これはイランから直接飛んでいったもので、一方はフーシ派が直接、自動車運搬船を拿捕したということです。それで、どういうことが起きているかというと、世界的に物流が滞っています。この紅海を使えないだけではなく、紅海北端にあるスエズ運河が通れないことになると、アジアの方からインド洋を経てヨーロッパ、あるいはアメリカに行く海運が大きく滞ってしまうのです。これによって物価も上がってくるのではないでしょうか。しかも、ペシミスティックに見ると世界の海上輸送能力は2割減少するという見込みもあるそうです。日本の場合、アメリカに物を輸出するときは太平洋経由で行きます。
しかし、そうではなく東南アジアの国々よりも西のことを考えたとき、例えば、インドがアメリカに物を売るときにもインド洋を経由して紅海を通ってスエズ運河からヨーロッパに行く、あるいはアメリカに行くというのが近道です。
喜望峰はアフリカの先端を通っていくと、時間が長くかかるし、運賃も多くかかってしまいます。アジアからアフリカ南端の喜望峰経由で通っていくと、スエズ運河経由に比べてヨーロッパ行きで3週間から4週間、東海岸だと5日ほど長くかかるというのです。
今もコンテナ船の4割の遅れが生じています。海上輸送能力が世界の20%減退する恐れがあるというふうに専門家は予測しているようです。また、輸送コストはスエズ運河を使わないと15%ほど上昇し、当然保険料も高くなります。そうすると、欧米とアジアを結ぶ船便全体で、日本経済新聞は12月22日の電子版で掲載されているところによると「玩具の47%、家電製品や衣料品の40%が運賃の上昇や到着の遅れなどの影響を受ける。作業用の原材料だと化学品の24%、自動車用の平鋼板の22%なども関係する」とされているのです。
経済成長が頭打ちになり、それが抑制に繋がり、インフレを促進するという悪い効果を世界経済にもたらしてしまいます。かなり世界経済にとってもブレーキ役になっていて、これも先進国に対するイランからの脅しです。こういうことになると困るだろうから、早くイスラエルを止めろという経済的な脅しがかかってきているということだと思います。
日本も思わぬところで巻き添えを食っているのですが、中東にエネルギーを依存しているから仕方がありません。これがホルムズ海峡封鎖で行くかどうかということをやると、アメリカも封鎖させないということでアメリカ海軍も出てくるでしょう。それで本格的なアメリカ・イラン戦争になり、さらにはアメリカ・ロシア戦争にエスカレートする危険性が十分とあるいうことで、むしろエスカレートさせている側はそれを狙ってやっていると思います。
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