赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

なぜ、日本で国防論議が活発化しないのか コラム(408) 

2022-04-20 12:49:11 | 政治見解



コラム(408):
なぜ、日本で国防論議が活発化しないのか


ウクライナの悲劇を深刻に受け止める

ウクライナ東部のマリウポリでは多数の市民が包囲殲滅の危機にあります。ロシア側は降伏を呼びかけていますが、ウクライナ側は徹底抗戦の構えを崩しません。降伏しても選別されて虐殺されるか、シベリア送りの奴隷となるかしかなく、人びとはマリウポリに残って国際社会の救援に一縷の望みを託しているように思えます。

しかし、国際社会にはマリウポリに残された人びとを救う力も手段もありません。21世紀になっても、中世や古代のような籠城戦の悲劇が繰り返されようとしていることに悲しみを禁じえません。何とかならないものかと思う毎日です。

ウクライナの悲惨な状況は、EU諸国がロシアを恐れてウクライナのNATO加盟を阻んだことに端を発しています。集団的自衛権の枠組みに入れないことでウクライナは個別自衛権で国を守らざるを得ず、その弱点を突いて軍事強国ロシアが侵略してきました。EU諸国はその責任を感じてウクライナを救援すべきだと思います

仮にウクライナがNATOに加盟できていたのなら、ロシアと言えども侵略することはできません。ロシアという国は、ソ連時代から、「攻め込もうとする国の三倍の兵力が必要」という思想を持っているからです。戦後、北海道を取りたかったソ連が攻め込めなかった理由も、世界最強の米軍の存在があったからです。

ちなみに、ウクライナとロシアの軍事費の比較では、ウクライナの2021年の国防費は47億ドル(約5400億円)でロシアの10分の1程度に過ぎません。兵力の比較では、ウクライナの現役兵20万人、予備役は90万人に対し、ロシアの現役兵90万人、予備役200万人となっており、航空戦力に至っては5倍の差があります。


ウクライナの教訓

核兵器保有国第三位であったウクライナが核を放棄して28年後、NATOにも加盟できず個別自衛権しかなかったウクライナは隣国のロシアに攻め込まれました。この悲劇をわがことのように考えているのがソ連崩壊後にNATOに加盟したチェコと、ながらく中立を宣言していたフィンランドとスエーデンです。

チェコは、ソ連軍主導のワルシャワ条約機構軍による軍事介入で「プラハの春」を蹂躙された苦い経験があります。

フィンランドは「フィンランド化」という言葉になったほど、帝政ロシアやソ連から事実上の支配を受け続けていた国です。シベリウスの交響詩「フィンランディア」はロシアへの独立運動を鼓舞したものです。

また、スエーデンは帝政ロシア時代からの宿敵関係にあり、戦後はソ連の軍事的圧力を受け続けていました。

ウクライナの惨劇を見て、フィンランドとスエーデンはNATO加盟を急いでいます。集団的自衛権なしには国を守れないと思っているからです。

翻ってわが日本、世界の国々が国を守るということを真剣に考えざるをえなくなった今でも、わが国における国家防衛の議論が広範に起きないのは実に不思議です。自民党の部会では活発に議論しているようですが、それを国民にまで広げようとはしません。

またメディアも何かに規制されているかのように、フィンランドとスエーデンのNATO加盟の動きは伝えても、肝心の日本の防衛はどうするのかという議論に踏み込むのをさけています。

余談になりますが、NHKに至っては、4月10日のニュースでウクライナから日本へ避難した女性の「私たちの勝利を願います。勝利を。ウクライナに栄光あれ」との話を字幕で「今は大変だけど平和になるように祈っている」と表示しました。意図的に「戦争は悪」との主張に改ざんしたわけです。公共放送のNHKであっても、祖国防衛の戦いも悪であると考えているようです。


日本の国防論を妨げる元凶

国民の殆どが、国を守ることは大切で、現状では心細いと思い始めているのになぜ、政治家はそれを積極的に発言しないのでしょうか。何でも反対、中国寄りの立憲民主党さえも口を閉ざし、日本共産党でさえ侵略されたら自衛隊に戦ってもらうなどの発言もあり――これは日本共産党の綱領に違反する行為ですが――国民のコンセンサスを得るいい機会なのですが、何を寝ぼけているのでしょうか。

おそらく、政府内の最大の障壁は公明党にあると思います。公明党のウクライナ発言は、偽善に満ち溢れ「人道支援」のことばかりです。現地に赴くことなく高見の見物をしているだけで、何の手助けをしようとしていませんし、その上、わが国の防衛に関してもまるで無関心です。歴史的に見て、そのような態度を取り続けることが侵略者にとって一番都合がいいということを理解していないようです。

国民の八割が危機認識を始めたいま、危機認識を薄めようとする公明党の行為は、刑法第81条に規定する外患誘致罪= 外国に働きかけて日本国に武力行使させたり、武力行使されると知ってそれに協力したりする罪、にも等しい行為だと思わざるをえません。

政権内部にこのような工作員を放し飼いにしていれば、世論に国防のコンセンサスを得ることができない以上、政府自民党は公明党と手を切るべきだと思います。選挙の票目当てに、公明党=創価学会と手を組んでいても、超高齢化した組織はまもなく機能しなくなるのは目に見えています。決別する良いタイミングだと思います。

日本国民にとって国防上の最大の敵は、立憲民主党でも、共産党でもなく、公明党であると言うべき時が来たと考えます。



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