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常識とは何?何気なく使う言葉の危うさ。噛みつき亀風味でもの申す。脱線ご容赦。あくまでもお馬鹿な私の私論です。最近ボケ気味

接近遭遇   グリコ・森永事件   異聞 第一話

2017年09月25日 20時58分22秒 | 小説

 

第一章  事件発生 

 刑事小堺晴信 警部補の目

身代金の受け渡しこれが誘拐事件の犯人逮捕の最大のチャンスだ。

誘拐事件は幾度となく繰り返されているが、吉展ちゃん事件の際に犯人は新聞報道を読んで

逃げきれないと悟って殺害に及んだ。日本の誘拐事件のこれが最初の一件目となる。

グリコ事件はとても手荒な方法江崎グリコの社長宅に犯人が銃器をもって侵入し社長の居場所を 

言うように脅して、手足の動きを奪い、入浴中の社長を裸のまま拉致したのだ。

身代金10億と金塊を要求する電話があり 営利目的の誘拐事件として捜査本部が立てられた。

本部長は沢田警部で 小堺はその一翼に組み込まれたうちのひとりだ。

誘拐された江崎グリコ社長の身の安全確保の観点から、報道各社に対して報道協定(あえて

報道しない事をそう云う)の申し入れをおこなった。捜査陣がいちように考えたことは、犯人からの

破格な金額の身代金であった。もしかしたら、既に社長が殺害されているのではないか、そして、

身代金を受け取るつもりはないのではないかということ、つまり、それが意味するのは、犯人からの

 接触がなくなり、社長の行方もわからず迷宮入りすることだった。

 事件発生         新人新聞記者  渋谷俊太郎の目

大阪府警記者クラブ(〜記者クラブとは警視庁や県警等の一角にあるマスコミ用の区画で、

大きな事件などの時は設置されているスピーカーから概要が流れる)にいた渋谷俊太郎は、

報道2017/07/1620:16スピーカーから無機質に流れ始めた事件の一報だが、事件の

概略を伝える為というよりも、身代金目的の誘拐事件であり人質の所在が不明であるため

報道各社が合議の末報道協定案件としたことを強調していた。

渋谷は 上司のベテラン 記者朝目新太郎に確認の電話を入れた。というのは彼にとっては

初めてのことであり報道しないということは言論の自由を放棄するのではないかという思いがあった

からだ。朝目に対して渋谷は言った。

「人質の生命が第い1なのはわかりますが、報道機関の一員として一切報じない事が抜け駆け

(他社を出しぬいて報道すること)されない保証があるんですか」朝目は彼に

「過去にも報道協定を結んだ事件があったんだが、新聞雑誌協会の会員に属さない週刊誌が

君の言う抜け駆けをおこなって人質が殺害された事がある。これは訴訟になり報道した雑誌社が

敗訴している。いや、勝ち負けではなくて、命にまさるものはないということだ。君がするべきことは

予定稿(予め救出か死亡かをかき分けること)位だ。報道協定事件に指定された場合内密だが

警察は記者が動くことで犯人が勘違いして人質を殺害する場合を想定して通常より多くのリーク

(情報を漏らすこと)する。夜うち朝がけも(政治家や警察幹部等に帰宅時や早朝取材すること)

するなということだ。聞いての通り拉致されたのは江崎グリコの社長で10億円は既に準備は

出来ているそうだ。命に値段は付けられないが、かけがえのない人を無事救出したい思いは

人間誰でもある。

報道の自由というものがあるが、制限ない自由ではないということだ。報道協定というのは、各社の

代表幹事社が合議して決めるものであり、警察の要求を鵜呑みにすることではない」

第二章     

人質生還

大手出版社写真部 白川鉄平の目

グリコ社長が事件発生後3日目に生還した。その報道はあらゆる媒体で静寂を破り関をきった

ように大々的に報じられた。週刊誌の写真部のエース級カメラマンである白川はあることを狙って

いた。それは生還と報道されたもののメディアが使っていたのはいわゆる切り版で生還後の

写真の撮影に成功していないということだ。どの警察署にいるのか或いは自宅に戻っているのか

或いはホテル等に様々な憶測はできるが、特定の警察の出入りする警察車両のうち

ワゴンタイプ等で背後が確認できないものをバイクで追跡させた。その結果かくまわれていると

いう場所の絞り込みができた。そこはとあるホテルで下見に行った結果制服警察官が

立番をしているフロアの区画がありそこから先は侵入不可能だと思われた。

写真部で緊急打ち合わせをした。というのは、制限されている一画は窓側に面しているという

事でそれを見渡せる場所を見つけた。勿論カーテンが閉められていてなおかつ10部屋あった。

 600〜800mmの望遠レンズはかくまわれている頻度の多い部屋に、1200mmは頻度の

高い部屋の横に配置した。同じ場所にいるなら長くても一週間と白川はふんでいた。

果たして対象が窓から外を見るかは不明だが、撮影できれば100万部は軽く突破するスクープ

映像となる事は必須だ。10人のスタッフで交代制で張番していた。

白川鉄平は 警官が立番をしている奥への侵入方法を考えていた。捜査陣の動き方出入りする

人達をみていた。チャンスはグリコの社長の関係者が来た時、人の動き方が変わった時とみていた

そして立番の制服警官はいちいち出入りする警察関係者をチェックしていないこと、広域捜査陣

なので刑事達も顔見知りではないようなので、捜査陣に紛れて、つまり後について行き

社長の部屋を割り出すために聞き耳を立てていた。捜査員を装い一眼レフカメラを下げて

これで撮影できればベストだが(ミノックスという超小型カメラ専用のフィルムがあり俗にスパイ用

カメラと言われているもの)をズボンに忍ばせておいた。

 

          続く 

 

               2017年 

           

 

 

 



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