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常識とは何?何気なく使う言葉の危うさ。噛みつき亀風味でもの申す。脱線ご容赦。あくまでもお馬鹿な私の私論です。最近ボケ気味

2017-21世にも微妙な物語  袋田の滝   短編小説

2018年06月17日 09時36分50秒 | 小説

 袋田の滝は冬場凍結することで有名だ。それ以外の季節に見に行ったことがあるが

これが滝なのというのが正直な感想だった。誰もが同じ感想を持つのではないかと

思うのだ。幼少の頃親とともに訪れた時は水量がとても少なくひどく幻滅した覚えが

ある。それでも 観光名所なのでツアーのバスが駐車場にずらりと並ぶのだ。

バスガールが持つ旗に 先導された人々が老若男女問わず、ぞろぞろとあちらこちらを

行き来しているのは 観光地の風物詩である。風太達を乗せたバスもその中の一台だ。

風太とその仲間はいずれも年金生活者で仲間と言っても3人程度。海外に行きたいが

風太が飛行機嫌いなので、もっぱら国内の旅行をしているのだった。

では自由時間が30分あります。と告げられて、風太達は滝から上流に遡って

いった。緩やかな勾配だがだんだん道が狭くなり、なによりもただの小さな川が

あるだけで、時間の事もあってそろそろ引き返そうと話て決めた。

その時上流からアジア系と思われる若い男性の集団が降りてきた。風太は

「これじゃぁ日本を観光で来る人はがっかりだろうな」と仲間にいった。

「ちょうどいい彼らと一緒に戻ろう」とも。どうせ話したところで外国語なんて

判らないのでと思っていたら、彼らの一人が話しかけてきた。案の定何を言って

いるのかわからなかった。友人が「アイドントノー」と答えた。

その時 何時しか彼らに囲まれていたことに気が付いた。そして別の男が

小型のナイフを取り出して風太に「マネー マネー」と言った。

「マネー無い」といったものの、彼らは風太達の小型リュックとカメラを力任せに

取り上げた。「お金をだそう。命には代えられない」友人が小声で言った。

そして友人が 巾着から財布を取り出して渡した。金目の物は全て彼らに渡した

なので 命は助かったが、風太達は彼らにふくろだたきにされた。

犯行の発覚を少しでも遅らせようとしたのだろう。すべてを巻き上げた彼らは

全力で走り去った。いうまでもなく外国人窃盗団だったのだ。

           お終い

翌日の新聞にはこんな見出しがでていた「袋田のたきでふくろだたき」にあい老人達が

大けが・・・・。



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