#01 ノーモアゲーム
私の仕事はフリーランスのフォトグラファー。20代初めに個人的に撮りためていたものをある有名なコンテストに駄目もとで応募したところ 最高優秀賞を受賞した。新進写真家の登竜門と云われたているハイレベルなコンテストだった。
受賞式が盛大におこなわれ、写真界でも全国に名を知られた著名な写真家達、編集者、業界の関係者等が集まっていて、いうなれば芥川賞とか 直木賞を受賞したような感じといえばわかりやすいかもしれない。
あまりの人の多さに驚いて、受賞のコメントは、我ながら情けない程 舞い上がってしまったものだ。
「私がこの賞を受賞するとは思ってもみなかったので、実は夢かと思いまして 何度もこうやって自分の頬をつねってみました。つねると痛いのでいただいたのは、本当なのだと思いました。というかここでしゃべると緊張します。私は人見知りがあるので、あ、関係ないですね。なにはともあれおめでとうと言いたいです、あ、ありがとうでした。間違えました」
笑いがおきた。もっと気の利いた話をするべきだったと今でも思う。
その後立食式のパーティで、様々な媒体から受賞記念の特集を組むので
といわれて ストックしておいた写真を渡した。
そして 天才作家とか 20代で最高賞を受賞したとか書き立ててくれた。芥川賞や直木賞を受賞した人は受賞後の第一作目が大事でその完成度と早さで作家の将来が決まるという話を聞いたことがある。
そういう意味では 撮りためたものが沢山あり、そつなくこなせた。
その中で、連作記事を組んでくれた写真誌が、また別の賞にも入賞して
結果的に大きな賞は総なめにしてしまった。
沢山の名刺が山のように集まり 自分の写真が掲載された本、雑誌は
沢山あったが、初めて自分の写真と名前が載った頃のものは大事に保存してある。名刺を作らなければ・・今までは名刺をもらっても、素人から突然時の人になったと思っていたので 名刺を作らなかった。
「すみませんが私名刺がなくて」で通してきたが、やはりそうもいかない状態になった。名刺を作る時にふと本名じゃないペンネームを作ろうと思って 2つの名前を使うようになった。 ペンネームに切り替えてもらった。その理由は、偶然の産物という意識がありあえて本名を伏せる事で必然的な確たるもので試したいと思ったからだ。
実験的小説セッション開幕です!
セッションのパートナーのブログへ
⇩⇩⇩
続きは 同じgooの 青空(aozora)さん