沙織は海外の研究機関で研究室をもち、教授として教鞭もとるスパーウーマンだ。
スーパーマンじゃなくてスーパーウーマンだがスーパーマンの奥さんではない。
という冗談はさておき、沙織が研究していたのは、殺人はなぜ起きるのか?と
いう雲を掴むような話だ。ちなみに、宇宙の研究とか深海の研究とか未知の結論の
でそうもない分野を研究できると、生涯学者として生活できるという事らしい。
筆者の知人も宗教学とか天文学とか深海魚、地震の研究などをしている輩が多い。
いつの日か何らかの成果が上がるかもしれないが、当面は結論がでないので、
彼らは生涯好きな研究をしていられる。地震の研究をしている奴は自身の研究が
なんて思うが、本題に戻らないと話が進まない。ただ、それなりにプレッシャーを
感じる人もいて日本を騒がせたほぼ方女史のようなへんちくりんな事を発表して
しまうがそれでも首にはならない。
沙織は 死刑囚の血液サンプルを取り寄せて何か共通項がないかを調べていた。
生活歴や犯行の形態などは、共同のチームの仲間に任せて於いて純粋に、
血液を分析してデーターをとっていた。途方もない時間と労力が必要だった。
そして10年の歳月が流れた頃に、連続多数殺人犯達に共通項を見出した。
それを 数百人のデーターベースと照合するとほぼ87%という確率で、同じ
物を検出できた。それはある種のタンパクでありごく普通の生涯を終える人を
モニタリングしたがそれらの人にはないことも判明した。
その研究結果を沙織は「殺人タンパク」という題で権威のあるネイチャン誌に
発表した。ネーミングもそうだが、タンパクという意表をついた結論は世界を
震撼させた。すぐさま、世界中の研究機関が論文の追試を行った。
結果的には 国や地域で確率にばらつきがあったが、結論は78%の確率で沙織の
論文どおりの結論に至ったのだ。よって殺人タンパクをもつ人は、生涯のいずれかの
時期に殺人を行うという事が立証されたのだ。ただ、殺人タンパクをもつ人は、
生活歴や性格などに左右されない事も立証されたのだ。沙織は時の人と謂われ
ニュー浴タイムズ等の表紙を飾ったのだが、沙織は結果的な研究成果として発表
したのだが、事態はあらぬ方向に動いていった。まずは、生涯のどの時期にと
いう事がわからない事や、殺人タンパクという呼称が誤解を招くという事、
これについては「Xタンパク」と呼ぶことになったものの、血液検査で判明
する事が判った為しかも 確率論が8:2という事からXタンパクがあったとしても
2割は犯罪に及ばないのに差別を受けたらどうするのか!という意見や、戦争
などで止む無く戦う人は人殺しと同じで彼らはタンパクを皆持っているのか
など喧々囂々たる論争が沸き起こった。ひとつの論文が世界を震撼させたのである
前編 お終い 中編に続く
前回投稿分がきえたので書き直しました 2/21