クチナシをご存じだろうか。昔ヒットした曲の歌詞に「くちなしの花の甘い香りは~
」とある。そのものずばりで開花時期には甘い独特の匂いが漂う。基本的には白が
多いが八重だったり 淡いピンク色だったりする。洋平は警察官だ。もう50を過ぎ
ているが警部補、つまり警察内でいえば係長、完全に出世コースを外れていた。
その理由は、女だ。いわゆるキャバ嬢に入れ込んでいたのである。こうした女性は
単純に金で対応が違うし、客商売なので指名してくれる客ならとりあえず表向きは
歓迎される。しかし歓迎される客が多い事も知っている。理屈では判っているし、
職業柄好ましい事ではない事もわかっているし、到底自分の給料では足りない。
それでもそのお店ではランク外だったので、始めは一元客扱いの洋平の接客にきた。
こういう商売には不向きな感じがしたが、なんとなくその不慣れな感じと傍に来た
感じた甘い香りがクチナシに似ていた。それからもう半年が経つが洋平が顔を
出さないと決めるとラインやメール時には営業の電話をかけてくる。その為に
この自分に子供がいれば同じ世代だろうという女につぎ込んだ金はもうすぐ
千万になる。勿論殆どが借金である。しかも、とうとう暴利をむさぼる街金にまで
手を出した。ところが、これが彼の人生を変えたのだ。脅してくる業者には、
直接待ち合わせをして、利息制限法違反で現行犯逮捕に打って出たのだ。闇金と
いわれる業者はなかなか尻尾をださないので,彼は到頭警視総監賞をもらう事に
なった。めでたしめでたし
おわり じゃないのです
後編に続くのです
短編じゃないかも知れないけど・・・