めでたしでおわりにしたいのだが、借金が減った訳ではない。
ある時その筋の弁護を手掛ける事で有名な弁護士から連絡が来たのだ。
曰く「あなたのおこなっている行為は日本では認めていられていない囮捜査にあたる
違法な捜査のもとであり、まずはお会いして話を聞きたい」とのことだ。
なぜ、自分の名前を知っているのか?洋平は闇金の時には偽名を使っていたのだ。
となると、あの女が・・まさか。ともかく約束の時間の30分前に指定された
ファミレス近くに車を止めて待ち伏せをしてみた。約束の時間5分過ぎた頃分
厚い手提げかばんを持った初老の男が現れた。さらに5分待った。弁護士は
時計を見ながら携帯を取り出し電話をかけた。すると洋平の携帯が鳴った。
仕方がない話を聞くしかなさそうだ。洋平は弁護士と会った。万事休すである。
翌日まで返答を留保してもらったが、反論できるような事は想い浮かばなない。
そして 運命の日は朝から弁護士の動きをマークしていた。
弁護士が一人になった時に「昨日はどうも。私も腹をくくりました。一緒に
警察で話をしましょう」といって弁護士を車に乗せた。
夕闇の頃である。そして山中に連れ出した。警察車両は後ろに乗せると
ドアがあかない。「どういうことだ」という声を無視して車を止めた。
「話が違うじゃないか。」
「私はここに咲くクチナシが大好きでしてねー」
「何を言っているんだ。早く出頭しなさい」
洋平は その弁護士に拳銃を向けた。
「何を君・・・」
「よく言いますよね死人にくちなしって」パーンと乾いた音がした。
おわり