先日ミケランジェロ広場に久々に上る機会があった。
いつものように美しくレンガ色に輝くフィレンツェの街。
朝のやわらかい陽射しの中で静かに佇む街を見ていると
時間の流れがそこだけゆったりとしているような気がする。
ミケランジェロ広場は常に観光客が出入りして
ざわめきが絶えないけれど、
その喧騒の下に広がる街は
まるで別次元のもののような錯覚に襲われる。
喧騒のミケランジェロ広場の中でも
より一層特異な雰囲気を醸し出していたもの。
スペイン語圏の観光客グループを
ひとところに集めて写真撮影。
日本の観光地なら、
きっとツアー客用に写真撮影場所が整えられて
何段かのひな壇がこしらえられているはず。
そんな場所はもちろん
イタリアの観光地に用意されてはいないので
みんな団子のようにかたまってカメラに向かっている。
その視線の先を見てみると…。
カメラマンは、おそらく持参したであろうと思われる
脚立の上から大きな声で、色々指示を出している。
賑やかに働くおじさん。
助手もいないので、
下で脚立を支える人がいるわけでもなく
なんとも不安定な格好だけれど
この高さから撮影すれば団子のような塊の集団でも
きれいに全員の顔を写せることは確かだ。
これも工夫のうちにはいるのかな。
きっとおじさんは
「いいこと考えついた!」と思ったに違いないし。
晴れたフィレンツェのよい想い出作りに
このおじさんもまた一役買っているのだ。