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―四方のたより―
<日暦詩句>-10
ベルが鳴るいつでもベルが
星のない熱い肉のひだに
柔らかな瞬きから生まれた一人の男が
遠くから咽喉がつらぬきにきた一挺のかんざしに
つらぬかれたまま続けている会話の間中
ベルが鳴るいつでもベルが
―天澤退二郎「星生れの男」より-昭和41年―
―山頭火の一句― 行乞記再び -142
5月30日、晴、行程5里、高津尾といふ山村、祝出屋
早く起きて別れる、そして川棚へ急ぐ、疲れて途中で泊る、この宿はほんたうにしづかだ、山の宿の空気を満喫する。
例の後援会の成績はあまり良くないけれど、それでも草庵だけは結べさうなので、いよいよ川棚温泉に落ちつくことになつた、緑平老の諒解を得たから、一日も早く土地を借りてバラツクを建てなければならない、フレイ、フレイ、サントウカ、バンザアイ!
近来とかく身心不調、酒も苦くなつた、―覚醒せずにはゐられない今が来たのである。
しつかり生きなければならない、嘘の多い、悔の断えない生き方にはもう堪へられなくなつた。
酒をつつしまなければならない、酒を飲むことから酒を味ふ方へ向はなければならない、ほんたうにうまい酒ありがたい酒をいただかなければならないのである。
伊東君に手紙を出して、私の衷情を吐露しつつ、お互に真実をつかまうと誓約した。
少し飲んでよく寝た。
※表題句の外、再録1句を記す
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Photo/高津尾は、現在の小倉南IC付近一帯
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Photo/その里に古くからある西大野八幡神社の参道
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