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―四方のたより―
<日暦詩句>-11
ひげが生える
ひげが生える男のあごに男の唇のまわりにひげが生え
る夜明けと共にひげが生える見知らぬ植物の芽のよう
にひげが生える女の柔い頬のためにひげが生えるサル
バドルダリと共にひげが生えるいつしようけんめいひ
げが生える耐用に向つてひげが生える男たち
―谷川俊太郎「今日のアドリブ」より-昭和37年―
―山頭火の一句― 行乞記再び -143
5月31日、曇が雨となり風となつた、小倉まで3里、下関から風雨の4里を吉見まで歩いた、関門通有のシケで、全身びしよぬれになつて、やつと宿についた、石風呂があるので石風呂屋といふ、子供が多いので騒がしいけれど、おかみさんもおばあさんもしんせつなので居心地がよい。
昨夜の宿は予想したほどよくなかった-水だけは、筧から流れてくる水だけはよかつた-、しかし、期待したやうに山ほととぎすを聴くことが出来たのはうれしかつた。
石風呂は防長特有のものではあるまいか、その野人趣味を興ふかく思ふ。
ノミ、シラミ、アメ、カゼに責められて、なかなか寝つかれなかつた、落ちついて澄んでゆく自分を見詰めつづけた。
長かつた夜が白みかかつてきた、あかつきの声が心の中から響く、生活一新の風が吹きだした。
とにもかくにも、昨日までの自分を捨ててしまへ、ただ放下着!
※表題句の外、改作・再録併せて15句を記す
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Photo/下関市吉見の海岸に浮かぶ岩島-加茂島-
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Photo/龍王山の麓に建つ龍王神社の楼門
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