komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

子どもといっしょに百人一首 30

2015年11月11日 | 百人一首 桃札

 

 

         たれ             たかさご
        誰をかも しる人にせむ 高砂の
             松も昔の 友ならなくに



 

 詠んだ人・・・藤原興風(ふじわらのおきかぜ)

 詠んだ人のきもち・・・(年老いてしまった私は)いったい、だれを友人にしようか。
          
(年老いた)高砂の松でさえも、昔からの友人ではないんだなあ。

 

         しる人・・・自分をわかってくれる人

         高砂の松・・・兵庫県高砂市の松(松の名所)
               


     


子どもといっしょに百人一首 29

2015年11月10日 | 百人一首 桃札

 

      

                  そで
       うらみわび ほさぬ袖だに あるものを

              恋にくちなむ 名こそをしけれ

         

 

 詠んだ人・・・相模(さがみ 女性)

 詠んだ人のきもち・・・(恋人の冷たさを)うらみ悲しんで
            (涙にぬれた)袖が、かわくまもなく朽ちてしまいそうなのに
             そんな恋のうわさのために
             わたしの評判までが落ちてしまうなんて、残念なことですよ。

 

     ほさぬ袖だに・・・うらみ悲しんで泣いてばかりいるので、涙をふく袖が
              かわくひまもなく、ぼろぼろになってしまう、という意味。

     くちなむ・・・すたれる。おとろえる。

     名・・・評判。名誉。
         ここでは、むなしい恋なのに、そのことをいろいろうわさにされて
         落ちてしまう自分の評判、という意味。

     をしけれ・・・惜しいなあ。残念だなあ。

 

   (涙にぬれた袖さえ、朽ちていないのに、私の評判が落ちてしまうのがおしい。
    とする説もあります)

 


             
            

 


子どもといっしょに百人一首 28

2015年11月08日 | 百人一首 桃札

 

 

                 い  ささはら
           ありま山 ゐなの笹原 風吹けば

               いでそよ人を 忘れやはする

 

 

 詠んだ人・・・大弐三位(だいにのさんみ 女性)

 詠んだ人のきもち・・・ありま山から猪名(いな)の笹原に
            (そよそよと)風が吹く。

            そうよ、(そよそよと心がゆらぐのはあなた)
            私があなたを忘れることがありましょうか。
            (いいえ、ありはしません)


 
       ありま山・・・有馬山(兵庫県)

      ゐなの笹原・・・猪名川の川辺、笹のはえた野原
               (兵庫県から大阪府あたり)

      いで・・・まったく。いやはや。

      そよ・・・それですよ。

      人・・・ここでは、あまり会いに来てくれない恋人のこと。

 

 

       


    


子どもといっしょに百人一首 27

2015年11月06日 | 百人一首 桃札

 

                        
                              ぐさ
         かくとだに えやはいぶきの さしも草

              さしもしらじな もゆる思ひを

 

 

 詠んだ人・・・藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん)

 詠んだ人のきもち・・・このようにあなたを恋しく思っている、とさえ
            言えません。
            さしも草がもえるように、
            もえている私の思いがこんなに激しいのだと、
            あなたは知らないのでしょうね。

 

     かく・・・このように。
          ここでは、
          このようにあなたを恋しく思っている、という意味。

     だに・・・~さえ。~すら

     えやは・・・できない。
           ここでは、言うことができない、という意味。
           (「いぶき」と「いふ(言う)」を掛けている)

     いぶきのさしも草・・・伊吹山の、もぐさ

     さしも・・・これほどとは。

     しらじな・・・知らないでしょうね。

 


子どもといっしょに百人一首 26

2015年11月03日 | 百人一首 桃札

 



                         くろかみ
            長からむ 心もしらず 黒髪の

               乱れてけさは 物をこそ思へ

 

 

 詠んだ人・・・待賢門院堀川(たいけんもんいんのほりかわ 女性

 詠んだ人のきもち・・・あなたがいつまでも
            私を愛してくれるかどうか、わからなくて
            けさは、黒髪が乱れるように、思い乱れています。

 

    長からむ心・・・いつまでも長く続く愛情

    けさ・・・朝。ここでは、夜の間に恋人と会っていて、
                  恋人が帰っていったあとの朝。

    物をこそ思え・・・ここでは、恋に悩むこと


            
            

 

      


子どもといっしょに百人一首 25

2015年11月01日 | 百人一首 桃札

 

 

        たかさご  おのえ
         高砂の をのへの桜 咲きにけり

             外山のかすみ たたずもあらなむ
                  
とやま

 

 

 詠んだ人・・・前中納言匡房(さきのちゅうなごんまさふさ)

 詠んだ人のきもち・・・はるかな高い山に、桜が咲いたなあ。
            人里に近い山のかすみよ、立ちこめないでほしい。
            (花が見えなくなってしまうから)



        高砂・・・高い山

       をのへ・・・山の上

       外山・・・人里近い山

 


子どもといっしょに百人一首 24

2015年10月29日 | 百人一首 桃札

 

 

          音にきく たかしの浜の あだ波は

              かけじや袖の ぬれもこそすれ

 

 
 詠んだ人・・・祐子内親王家紀伊
(ゆうしないしんのうけのき 女性)

  詠んだ人のきもち・・・うわさに高い、高師の浜のむなしい波は、
             そでがぬれると困るので、かけませんよ。
            同じく浮気者とうわさに高い、あなたのことは、
             涙でそでがぬれてしまうと困るので、
             気にかけませんよ。

 

     音にきく・・・うわさ、評判に高い

     たかしの浜・・・大阪府堺市あたりの浜

     あだ波・・・むなしくうちよせる波
           ここでは、心がわりしやすい浮気な男のおさそい、の
                               意味もかねる

     


           


子どもといっしょに百人一首 23

2015年10月25日 | 百人一首 桃札

 

 

        もろともに あはれと思へ 山桜

             花よりほかに しる人もなし

 

 

 詠んだ人・・・前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん お坊さん)

 詠んだ人のきもち・・・あなたをなつかしんでいる私といっしょに
            あなたも私をなつかしんでください、山桜よ。
            あなた以外に、わたしをわかってくれる人はいないのです。

 

    あはれ・・・しみじみと心にしみて、なつかしい

    山桜・・・ここでは、大峰山(おおみねさん 奈良県)に咲いている桜の花のこと。
         行尊は、大峰山にこもって修行をしていた。
         
         

           

     


子どもといっしょに百人一首 22

2015年10月18日 | 百人一首 桃札

 

 

           こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに

             焼くやもしほの 身もこがれつつ

 

 

 詠んだ人・・・権中納言定家(ごんちゅうなごんていか 百人一首をえらんだ人
                       藤原定家 ふじわらのていか )

 詠んだ人のきもち・・・いつまでも来てくれない恋人のことを
            わたしは身もこがれるほどに思っています
            松帆の浦で焼いている藻塩のように

 

     まつほの浦・・・淡路島の北にある海岸
     
     夕なぎ・・・ゆうがたに、海が無風になる時間

     もしほ・・・藻塩。塩のついた海草を焼いて、煮つめてとった塩


 

撰者の歌なので、ちょっとおしゃべり。
この歌、私は昔から響きがすごく好きだったんですが、今回調べてみて
これが百人一首を選んだ人の歌だったと初めて知った情けなさ・・・。
しかも女性の心情を歌ったものだったなんて。
本歌は万葉集にある、海女さんの少女の恋の歌らしいです。

来ない男。待つ女。
松帆の浦の藻塩を焼く風景。煙。潮の匂い。夕暮。
恋に身を焼く。胸をこがす。

主人公が女性だと考えて読むと・・・色っぽい!
他人の歌を99首も選んだ定家。
自分の歌をいっぱい入れたいとは思わなかったのかな。
唯一選んだ自分自身の歌がこれだと思うと
なんだか感慨深いものがありますね・・・。



 


子どもといっしょに百人一首 21

2015年10月11日 | 百人一首 桃札

 

 

           なげけとて 月やは物を 思はする

                かこち顔なる わが涙かな

 

 

  詠んだ人・・・西行法師(さいぎょうほうし お坊さん)

  詠んだ人のきもち・・・悲しめといって、月は私に恋の物思いをさせるのか。
             いや、そうではない。
             なのに月のせいにして、涙がこぼれてしまうよ。

       
       かこち顔・・・かこつける(何かのせいにする)という意味。
              ここでは、月のせいにする。