komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

「帰らざる氷河」美内すずえ

2016年05月30日 | イラストなどなど

              


「帰らざる氷河」美内すずえ(1975年別冊マーガレット1月号)

 小学生のときに読んだ記念すべき名作、第3弾。
 当時の別マは、河あきらさん、和田慎二さん、美内すずえさんの3枚看板だったような覚えがあります。
 あと市川ジュンさんとか、巻頭とったりしてましたね。
 いまの別マからは考えられないスケール感たっぷりのラインナップでした。


 上の作品も、本当にスケールが大きくてドラマチック。
 国王の落とし胤であるヒロインが、暗殺の手をのがれて何とか生きのびる。彼女には、母親ゆずりの歌の才能があった。
 やがて天才歌手として成功した彼女が向かった先は、母を殺した憎むべき故郷。そしてその大劇場で、国王と再会し・・・。

 天才の描きっぷりのすばらしさは、美内マンガの独壇場といっていいですね。
 少ないコマ数なのにすごく説得力があり、この表現の力が、のちに「ガラスの仮面」を描き出すことになるわけです。
 ちなみに、ヒロインの才能を見出す敏腕プロデューサーが登場しますが、これが若きイケメンで(笑)。
 思い出すのは、もちろんマヤちゃんと速水社長。こんなところに片鱗があったとは・・・。


 さて、「わたり鳥~」でテレビドラマ化を、「超少女~」で実写映画化を希望した私。
 この作品では何が希望かといいますと、当然! 舞台化です! 
 以前から、劇団四季あたりがミュージカルにしてくれないかと期待してましたが、今回読み直して、ますますその気持ちを強くしました。
 

 四季じゃなくて宝塚でも、案外いけるかもしれませんね。いや、いけそう、いけるって絶対。
 主人公は女性だけど「エリザベート」ができたんだから大丈夫なんでは?
 イケメンプロデューサーの側にもう少しドラマを作ってですね。たとえば彼自身にも、ヒロインの出自に共感できるような過去があるとか、歌に共鳴できるような生い立ちがあるとか。
 歌の世界に身をおいた理由を語るとか、彼女を妨害しようとした故郷の追手たちを華麗に撃退するとか、無事に大劇場でコンサートが開けるよう個人的な犠牲を払うとか。いったい私は何を妄想しているのか。


 美内すずえさんの読み切りでは「王女アレキサンドラ」というのも、単行本をもってはいないけど印象に残っています。
 目の見えない王女が人々の心をつかんでいく、とっても良い話でした。
 あ、「白い影法師」ってのも印象に残り、印象を消すのに何年もかかりましたよ(涙)。ああいうのめちゃめちゃ苦手なのに、あまりに流行っていたから読んでしまい・・・。
 ホラーマンガの名作、あれを現役女子高生時代に、教室で読んだ恐ろしさ(涙々)。


 私の少女マンガ歴の巻頭を飾る3作品を、続けてご紹介しました。
 カラー表紙の写真じゃないのは、あまりに古くて単行本の劣化がはげしいためと、モノクロのほうが断然好みであるため。
 次回もかなり古いマンガの予定です。巨匠たちとちがってマイナーだから、知ってる人はほとんどいないかもしれないですね。



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「超少女明日香」和田慎二

2016年05月22日 | イラストなどなど

                 

 
 超少女明日香(和田慎二 1975年別冊マーガレット4、5月号)


 小学生のときに読んだ記念すべき名作、第2弾。あまりの面白さに、もう、夢中になりました。
 こんなお話を自分も生み出せないかと思い、真似してマンガ描こうとした記憶が・・・。
 資質のちがいで、残念ながら挫折しましたけどね(資質は清原なつのさん系だったため・笑)。


 ふだんは、単なるちんちくりんの女の子、明日香ちゃん。でもその正体はスーパーお手伝いさん。
 しかもさらなる正体は、人智をはるかに超えた能力の数々を発揮して巨悪に立ち向かう、スーパー美少女。
 どれだけ超えてるかというと、高圧電流OK、3階から飛び降りてもOK、鉄柵もへし折る、きわめつけは分身の術で5人にふえる。
 こんなに破天荒な設定なのに、ちっともそれを感じさせず、自然にヒロインに共感し応援したくなってしまうなんて。
 作者である和田慎二さんの力量です。すばらしい。


 明日香ちゃんの能力は、いわゆる超能力ではなく、「自然が力を貸してくれる」のだと作中に説明があります。
 自然をねじ曲げるのではなく、自然が味方になってくれるんだと。
 それで強く思うんですが、このお話、いまこそ映画化するべきじゃないでしょうか!? 
 地震とか異常気象とか、それこそ人智を超えた自然の脅威をまのあたりにしながら、自然破壊をやめない現代社会。
 いまだからこそ、明日香ちゃんみたいなヒロインに出てきてほしい。
 アニメではなく、実写で。昔は無理だったかもしれないけど、いまのCG技術ならできる!


 私の記憶では、このあと柴田昌弘さんの「狼少女ラン」が出て、サイキックアクションというものを少女マンガ界に認知させた気がするんですが、さきがけは明日香ちゃんです。
 

                  


 こちらは「銀色の髪の亜里沙」。明日香より前の作品ですが、ちゃんと美少女、そしてセーラー服!
 和田慎二さんは、のちに「花とゆめ」にうつり、かの有名な「スケバン刑事」の連載をはじめます。
 あれももちろんセーラー服だったなあ。
 しかし、連載初回からリアルタイムで読んだ私っていったい・・・まあ深く考えないことにしよう・・・。

 

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「わたり鳥は北へ」河あきら

2016年05月14日 | イラストなどなど

                                                   

 「わたり鳥は北へ」河あきら(別冊マーガレット1974年11月号)


 人生ではじめて感動したマンガが何だったのか、覚えてる。そのときの衝撃が、いまも記憶に残ってる。
 まちがいなく、これ。私はたぶん小学校の高学年でした。


 つまんない毎日を送っていたつまんない女子高生のあさみちゃんが、ヤクザの世界に足をつっこみかけたお調子もんの次郎くんと、ふとしたことから逃避行。
 意気投合して、でも真っ当な道に戻ろうとして、次郎くんの故郷をめざすんだけど・・・。
 もう・・・切ない。
 前回の記事に書いたように、いまになって読み返すと・・・なんてかわいそうな話なの!? 
 こんなに良い子たちが、なんで幸せになれないの!? ほとんど義憤すら覚えますよ、もう!
 この子たちの親だってどんなに悲しむことか。もうもう!
 いえ、実はちゃんと読み返したわけじゃなく、パラパラめくっただけなんですけどね。それでも、次郎くんの最後の台詞が私の切なさのツボを直撃し、悶絶ものでした(涙)。
 でも、その台詞があるから名作なんですよね・・・作者の河あきらさん、すごいです。
 

 今回、河さんのウィキを調べて知りましたが、これを含めた5作品はBAD・AGEシリーズって呼ばれているそうです。
  「赤き血のしるし」
  「ゆがんだ太陽」
  「太陽への道」
  「さびたナイフ」
「赤き~」だけ未読ですが、それ以外はほぼリアルタイムで読みました。
 私の記憶では「わすれな草」というのもこの系列だと思うんだけど、ちがうのかな。
 どれも無軌道な若者、無理解な大人、葛藤、反抗、犯罪・・・とまあ、いまの少女マンガじゃまずお目にかかれない、濃厚かつ反社会的な要素が満載。
 そして全体的にシリアスで大人のムード。別世界をのぞき見るような、危なくかっこいい感じ。


 そんな中で「わたり鳥」は、主役カップルが身近で、とても感情移入しやすかった。
 次郎くんのキャラが軽くてコメディタッチな描写もあり、彼といっしょにいることを選ぶアザミ(と彼に呼ばれていた)に、とても共感できました。
 ずいぶん昔の作品ではありますが、たぶん、いまの若者たちにだって共感できる部分があるんじゃないかな。
 だからこの話、時代設定を変えればテレビの2時間ドラマにすごく向いていると思うんですよね。
 上手な役者じゃなくていいから、売り出し中の初々しいアイドルたちでやるの。そのほうが、かえって痛々しい感じが出る気がする。夏のスペシャルドラマ、みたいな企画でどう?
 どこかのテレビ局で考えてくれないかなあ。


            


 こちらは同時収録されていたコメディで、いま読んでも好きな話です。
 河あきらさんのコメディで有名なのは「いらかの波」だと思いますが、シリアスとコメディ、両方を描き分けられるのがまた魅力的でした。
 これらの作品、再販されていない気がしますが、もったいないですよね。
 たしかに「典型的な昭和」な部分が多い作品ではありますが、ほら、映画界では石原裕次郎やら小林旭やらの作品っていまも見られるでしょ?
 マンガの世界だって、それと同じようにしてもらいたいものです。

 

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心にのこるマンガたち 雑談その1

2016年05月05日 | イラストなどなど

 今回は雑談です。テーマは「切なくて読み返せない」。    

 

            こちらは、おまけ。
                              お花は手描きじゃなくて布ですよ~。

 
 こういうカテゴリーをやっているからには、とりあげた作品をきちんと再読してからのぞむのがスジだとは思うのですが・・・。
 実はあんまり、していないんですよね。してないというか、できないというか。


 理由、ひとつめ。読み始めたら没頭するから、1年くらい軽くふっとぶ(比喩ではない)。
 ふたつめ。いまとなっては、切なくて読めない内容のものが多々ある。

 なんかねー。ここ数年、切なかったり虚しかったり死んじゃったり別れちゃったり、っていうエピソードのものが、すごく苦手になってきてまして。
 若い頃はなんでもなく読めてたものが、胸に刺さるといいましょうか。
 リアルでいろんなものを(体験でなくニュースとかでも)見てしまうと、たとえ二次元であれ、見過ごせなくなってしまったらしく・・・。
 しかもリアル少年たちが、ベタベタくっついている現状ではね。
 40後半あたりから、小説でもドラマでも後味が悪いものは徹底的に避ける姿勢になってきています。
 たぶん、その年代年代に必要な物語というのがあるんですね。


 で、少女マンガですが。思春期に必要だった物語って、かわいそうな題材が案外多いんですよ。大島さんにしろ萩尾さんにしろ。
 まあ少女に限らず、少年マンガも考えてみるとひどいですけどね。「愛と誠」とか大流行りしてたけど、ひどいわ~、何あの悲劇的な話。


 そういえば最近、萩尾望都さんの「バルバラ異界」を借りたんだけど、出てくる少年(キリヤくん)に感情移入してしまい、かわいそうすぎて読むのが苦痛なくらいでした。
 おかげさまで、壮大な謎解きの醍醐味も全然理解できない始末。
 短編で「春の小川」というのも読んだけど、あれも少年が気の毒で気の毒で・・・。


 って、どうも「子ども」「少年」に異常に肩入れしてしまう傾向が。ははは・・・昔はまったく平気だったのに。
 自分の子どもが大きくなったら、また平気になるのかも。
 かの有名な「はみだしっ子」シリーズ、2冊ほどまだ持っていますが、いまはまず読めないにちがいない。子ども相手につらすぎますよ、あんなの(涙)。
 あ、ちなみにサーニンが好きでした、美少年たちではなく(笑)。もちろん名作であるという評価に異存はありません。
 
 
 でね。それじゃあ、そこまで深刻ではない清原さんみたいな作品が読めるかというと、これまた別の問題がありまして。
 なんていうのかな・・・読んだ当時のういういしい自分、やわらかくてこわれやすい感情、みたいなものを思い出してしまって。
 これはこれで、なーんか、すごく切ない気分になっちゃうんですよね・・・。
 おばちゃんの心は若者たちより、ずっとセンチメンタルなのでありました。


 昔、大好きだったマンガたちが単純に楽しめなくなってきているのかと思うと、ちょっとフクザツな気分かも。
 ただ、昔のマンガってドラマチックさを強調してたから、いまどきのマンガに比べてびっくりするほど悲劇だったりしますよね。
 フランス映画ですか~?みたいな。
 それと、当然のことながら力量のない作品は、どんなに悲劇だろうと別に切なくありません。
 いまのマンガにも言えることだけど、「感情が動く」というのは作家さんの力量の証明でもありますね。


 雑文が長文になってしまいました。
 そういうわけで次回は、ページをパラパラめくっただけなのに切なくて悶絶した、大昔の作品をご紹介します。
 さて、なんでしょうか。古すぎて知らないかたも多いかな~(笑)。

 

             

        左が原画。プリントごっこって色が思うようにいかないから、モノクロの
        ほうが気にいってましたが、布の上においたらカラーも案外いけた。
        右側は住所がはいってたので、ちょん切ってます。
        ハッピーミレニアムって読めるので、2000年の年賀状だったらしいですね。


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「花岡ちゃんの夏休み」清原なつの

2016年05月03日 | イラストなどなど

 大島弓子さんに引き続き、いきますよー。     

 

     

 

 「花岡ちゃんの夏休み」。単行本の表紙は地味ですが。
 でもこれが、清原なつのさんを世に(というか「りぼん」の読者に)知らしめた出世作ではないかと、勝手に思っています。
 

 主役の花岡ちゃんは、おかっぱにメガネの女子大生。
 女の子らしさのかけらもなく、興味もなく、もちろん恋愛のれの字もなく、頭にあるのは常に哲学的な命題だけ。
 当時のりぼんにあるまじき(?)型破りなキャラにもかかわらず、絵柄がとっても親しみやすくて、みごとに読者のハートをつかみました。
 って、私のハートですけどね(笑)。

 「りぼん」を愛読しているわりに、恋愛には実はまったく興味がなかったヘンな女子中学生の私。
 花岡ちゃんにはシンパシーを覚えたなあ。
 相手役の天才大学生が、また妙なキャラでね~。ラブコメだから当然恋愛するわけだけど、それだけではない何かを感じました。


  実際、それだけでなかったのは、その後の作品を見れば一目瞭然。
 SFあり時代物ありですが、いちばん多いのはやっぱり、思春期の少女の微妙な心理をすくいとった短編群。
 「群青の日々」を読んだとき、この作家さんはひとつの到達点に達したんじゃないかと、これまた勝手に感動しました。


 なつのさん、最近「千利休」のマンガを描いて、新聞の広告欄でしょっちゅう目にとまります。
 題材が題材だけに切ない話にちがいないから、残念ながら読む予定はないんですけど、いまも描き続けてるのはうれしいですね!

 

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「飛鳥昔語り」清原なつの

2016年05月01日 | イラストなどなど

             

 

「飛鳥昔語り」清原なつの(1978.5)

 好きなマンガ家は誰ですか?と聞かれたときに、迷わず答えていたのが、清原なつのさん。
「りぼん」の常連さんでしたが、大ファンでした。


 萩尾望都さんとか大島弓子さんのことは、手の届かない巨匠って感じでとらえていましたが、なつのさんはも少し身近な雰囲気で。
 デビュー当時から知ってるし、作品も読み切り短編ばかりで、読み切り好きの私にはぴったり。
 短編なので、舞台とかキャラとかがその都度変わり、楽しみも倍増でした。


「飛鳥昔語り」は歴史上に実在した有馬皇子を主人公にしたお話で、飛鳥時代の髪形や衣装をこれではじめて知りました。
 目新しくてかわいくて、当時、真似して描いてたなあ。
 実際は悲劇的な皇子さまですが、こちらはSF風味でハッピーエンド。そういう趣向も「りぼん」らしくてよかったです。

 
 もう一冊、「真珠とり」のほうは、はっきりとSFです。主役がちがう3連作。
 けっこう甘くない世界で切ないラストなんだけど、なつのさん流のおとぼけタッチというか、あっさりさっぱりな描き方で、深刻でなく読ませちゃう。
 難しい説明もないから、アタマのついていかない読者でも大丈夫(笑)。
 でも実はすごく深いことを言っているので、時間がたっても妙に記憶に残るんですよね。
 SF界でも認知されている証拠に、早川書房から文庫本が出ています。
「りぼん」や「ぶ~け」に描いてたマンガ家さんだと思うと、すごーい! 読む人はちゃんと読んでくれてたんだわー、なんてうれしくなってしまったりして。

 なつのさんの単行本はたくさん持っているので、次回にどーんと出しますね。

 

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