komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

「へ・へ・への方程式」笈川かおる

2016年09月30日 | イラストなどなど

               

 「へ・へ・への方程式」笈川かおる(ぶ~け 1982年1~4月号)


 これを読んだ当時の私は高校3年生。
 すでにご紹介した「勝手にセレモニー」も女子寮、同時期くらいに流行っていた氷室冴子さんの「クララ白書」も女子寮。
 それと並んでこの作品も寮もので、すごく好きな作品でした。
 で、自分も女子大の寮に入ったのは既出のとおり。

 といってもこれの場合、そんなにストーリーにからんでいるわけではなくて、背景的な描き方ではあるんですが。
 ストーリーはライトなSFです。ファンタジーではなく(しつこい)。

 受験生の倫子の頭の中に、突然はいりこんできた、意識だけの宇宙人。
 その宇宙人には半身がいて、そちらはどうやら他校のイケメン秀才の頭の中にいるらしい。
 どうしたら半身同士が巡り合えて、ふたりの中から出て行ってくれるのか・・・もうすぐ受験だってのに~!

 アップテンポの小気味いい展開。骨格のしっかりしたストーリー。
 生き生きしたキャラクターたち。受験生の焦りや友情もちゃんと描写。
 キャラの名前が 陀持倫子(だじりんこ・ダージリン)、宮院真理(くいんまり・クイーンマリー)
 桐馬二郎(きりまじろう・キリマンジェロ)
 ストーリーとは無関係な遊び心も含めて・・・。

 ぜーんぶ好き。
「セレモニー」と同じく、あと連載一回分くらいページ数がほしかったなあ。描いていない裏設定がいっぱいある気がするので。
 やっぱり高橋由佳利さんと共通するんですが、キャラの性格がけっこう後ろ向きなんですよね。
 それなのに、仕上がりが明るい。生き生き、シャキシャキしている。
 同じ話を別の人が描いたら絶対にこうはならないだろうという、節回しを感じます。
 そういう個性のことを「魅力」って呼ぶんだと思います。


              


 連載初回表紙。絵柄にはそんなに個性がないというか、どちらかというと地味な部類かな。
 でも、このかたの描く男性キャラが好きでねー(ミーハー・笑)。
 表情とか、ちょっとした動きみたいなものに、とても惹かれるものがありました。

 かっこよく描いてるというわけではなく、むしろ、わざとかっこよさを外しているような気配を感じますが・・・。
 あ、高橋由佳利さんもそうだ。そういえば清原なつのさんも、そんな感じ。
 でも皆さん外しながらも、ほんとは素敵だってことがちゃんとわかる描き方なんですよね。
 昔の「りぼん」出身者は奥が深い!

 

 笈川さんの作品は「りぼん」時代のはいっぱい知っていて、短編ばかりですが、どれもはずれなし、の印象でした。
 そのあと「ぶ~け」に行き、その後「キャンドル」とか?(よく知らない)。
 残念ながら読んでいないんですが、一度ちらっとお見かけした「羽衣一景」という作品は、かなりシリアスで切ないムードでした。
 
 今回、検索していたら、その作品をとりあげたブログがふたつみつかって。
 ひとつは「このマンガ家はファンが期待するようにはマンガが好きではないんじゃないか。世の中が辛すぎて楽しく描けないんじゃないか」とかいう、すごいご意見。
 もうひとつは「大好き。泣けた。感動した」という正反対のご意見。
 うわー、同じ作品でこうも評価が割れるとは・・・どんな話なのかと興味がわきましたが、切ない系は読めない今日この頃の私だから、読むのはやめたほうがいいかな~。

 

                  つづきます


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「那由他」佐々木淳子

2016年09月03日 | イラストなどなど

               

「那由他」佐々木淳子(週刊少女コミック 1982年6月~1983年1月)

 連載第1回目を読んだときのドキドキと、わくわく。
 ハンパないときめき感が、忘れられません。こんなのが読みたかった!って、心から思いました。

 

 ごくふつうの平凡な少女だった那由他。偶然出会った少年を家にかくまうが、彼が頭にはめている輪には不思議な力があった。
 那由他自身がその輪をはめたことにより、平凡な日常はこわされ、謎の宇宙人との闘いに、いやおうもなく巻き込まれ・・・。

 テレパシー、テレポートなどなど超能力満載。宇宙人、宇宙船、謎だらけの敵がうじゃうじゃ。
 頭にはめる輪っかのアイテムの魅力。超能力戦に加え、銃撃戦のアクションもあり。

 当時、流行していた要素を全部つめこんで、なおかつすごいのは、これが純粋なSFだってことです。
 キャラが描きたいための話ではなく、SFが描きたかったんだとわかる。
 ラストは宇宙規模まで話が進んでしまいます。
 これで単行本3冊ですからね・・・いまならぜったい、倍くらいいきそうですよね。

 

            


 こちら左側は「那由他」のキャラたち。右は別の連作長編で「ブレーメン5」。
 ブレーメンのほうは、残念ながらラストまで追ってなくて・・・どうなったか、気になるんですが。
 佐々木淳子さん、短編もいろいろ描いていますが、どれも本当にSFで、彼女にしか描けない話ばかりでした。

 

 しつこいようですが「ファンタジー」ではありません。いまはファンタジー全盛だけど、
「キャラ(の絵)が描きたいため(だけ)のファンタジー」
「かつて外国を舞台にしていた少女マンガが、異世界にお引っ越ししたファンタジー」
「SF考証、時代考証、取材なしでも、魔法があればすべてOKファンタジー」
 が、あまりに多い気がするのは、私だけでしょうか。

 なーんて言いつつ・・・。
 最初に、佐々木さんの作品を読み始めた理由が何かといいますと・・・。
 ずばり、男性キャラが好みだったから!(笑)

 もともと、荒けずりなタッチの絵が好きなんですよ。
 今回、久々に画面を見たら、当時はなんとも思ってなかった少年時代のキロにまで、ときめいたわ。
 リョータローくんのファンだったけど、河あきらさんの「わたり鳥は北へ」に出てくる次郎くんに感じが似ていると気づき、人のシュミっていくつになっても変わることがないのだと、あらためて知りおそろしかったわ。あわわ。



 ところで「那由他」というのはヒロインの名前ですが、ずいぶんインパクト大ですよね。
 これの意味を、子育て中にはじめて知った私。
 大きい数の単位だったんですね!

 かのEテレ「にほんごであそぼ」、あれでしょっちゅう歌われている
   ♪ なゆた ふかしぎ むりょうたいすう~ ♪

 聞くたびにこのマンガを思い出してしまいます。
 どうしてこんなネーミングを思いついたのか、佐々木淳子さんにうかがいたいくらいです。

 

            つづきます


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