komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

「勝手にセレモニー」高橋由佳利

2016年06月28日 | イラストなどなど

            

 

 「勝手にセレモニー」高橋由佳利(りぼん 1981年4~8月号)

 「りぼん」からもうひとつ、大好きだった連載を。
 映画監督の父親とうまくいかず、自分自身にも行き詰っている女子高生の二詩子(ふじこ)さん。
 謎の後援者のもと名門女学院に転入してみると、お嬢様のはずの生徒たちは、教師にかくれてバイトしながら自主映画作りに燃えていた・・・。


 とにかく生き生きしている。
 お嬢様たちのまぶしいこと。映画作りの楽しそうなこと。
 彼女たちに感化されて変わっていく二詩子さんの気持ちに、同感です。

 これだけのキャラたちなんだから、できればあと一回分くらい多く連載してもらいたかったなあ。
 作者本人だって、とくにラストのほう、もっとページ数や大ゴマをいっぱい使って描きたかっただろうと推測。もちろん筋立ての面白さをそこなうものではありませんが。


 女子校もの、女子寮ものに弱い私です。自分自身も中学からどっぷり女子校育ちの筋金いり。
 ちょうどこのころ、氷室冴子さんの「クララ白書」「アグネス白書」も流行っていて、寮生活にすごくあこがれました。
 そして大学では、なんと女子寮に入っちゃいました。

 いえ、たまたま付属の大学が自宅から遠かったため、大学敷地内にある寮に必然的に入るしかなかったんですが・・・。
 でも臆病な私が迷うことなく寮に行けたのは、マンガや小説のパワーのおかげだと思います。
 ちなみにリアル寮生活は、大学生ともなるとみなさん自立しているため、高校生みたいに濃厚な関係は皆無でありました。
 ちょっと残念(笑)。でもそれなりに楽しかったですけどね。
 

            


 こちらは「倫敦階段をおりて」という読み切り。
 雑誌から切り取ったものなので、年月があらわれてますね~。いったい何十年前なのか(苦笑)。
 でもこれほど時がたってから読み返してみても、変わらず魅力的なお話でした。

 何が魅力って、カラッとしたユーモア感覚、ドライな読み心地、これがとても気持ちいい。
 主役の性格がカラッとしているわけではなく、むしろネガティブで切ない事情やコンプレックスもいろいろあるんです。
 それなのに、仕上がりはカラッと陽性。湿気がない。
 だから主役に共感しつつも、楽しく前向きに読めちゃう。


 これは高橋さんのどの作品にも共通の、得難い個性ですね。
 ウェットな悩みをウェットに描くのは、きっとかんたんなんですよ。それをドライに表現できるのは、心が強いからじゃないでしょうか。
 以前の記事で「昔のマンガは切なくて読み返せない」なんて書いた私が、平気で読み返せるのもそのおかげ。
 つまり切なくない。もちろん、ほめ言葉ですよ。


 高橋さんはその後、なんとトルコのかたとご結婚、ご出産。
 その体験談をエッセイにして大人気になりました。いまは日本にいらっしゃるようで、ブログによるとご主人はトルコ料理店を営んでいるみたいです。
 なるほど・・・あの湿気のなさが、もしかして大陸的な恋愛を引きつけたのかなあ、なんて、勝手に思ったりしています。

 

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「りぼんオリジナル表紙」(田淵由美子)

2016年06月16日 | イラストなどなど

         

        

 

 すてきですよねー。カラーセンス抜群。すばらしい!

「りぼんオリジナル」というのは、1981年から2006年まで(ウィキによれば)発刊されていた雑誌です。
「りぼん」よりちょっとお姉さんっぽいテイストで創刊されて、田淵由美子さんが毎号表紙を飾っていました。
 いま持っているイラストは5枚だけ。切り取らなかったのか、別の人の表紙に変わったのか忘れちゃったんですが・・・。

 清原なつのさんの「真珠とり」とかも、たしかこの雑誌にのっていたと思います。
 一条ゆかりさんの「それすらも日々の果て」とかね。「りぼん」本誌がもはや幼すぎてつまらなくなっていたので、この雑誌の創刊は魅力的でした。
 
  

         

 こちらは「百日目のひゃくにちそう」という作品の冒頭です。
 このページの後に見開き表紙がきますが、表紙よりもこっちのページに感心したのでのせてみました。
 配色のバランスがよくて、うまいなあ・・・。少ない色数で(立原あゆみさんといい、どうも私はそういうのが好みらしい)すごく上品ですね。


 これは本誌のほうだったかもしれないけど、田淵さんの作品の中では主人公がちょっと大人っぽくて、お気に入りでした。
 で、作品まるごと雑誌から切り取り・・・いえ、当時はせっせとそういうことしてまして(笑)。いつ単行本が出るかわかんなかったし・・・。
 それがなんと、いまだに部屋の奥に残っているのを、先日発掘。カラーページは画質がおちないですね。白黒のほうはほとんどわら半紙なので、ひどいですが。

 田淵さんのイラスト集、出ないかなあ。
 なつかしくて買う人たくさんいると思うし、いまの若い子にだって受けると思うんだけど、集英社さん、いかがでしょうか。

 

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         ところで、Gooブログが強制的に(?)メンテされたら
         活字サイズが大きくなってしまい、太字で書いてた
         過去記事がうっとうしいことに・・・。
         何なの、いったい。とりあえず今回は細い字で書いてみました。
 

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「フランス窓便り」田淵由美子

2016年06月13日 | イラストなどなど

                     


「フランス窓便り」田淵由美子(りぼん 1976年6~8月号)

 すみません、写真がちょい小さすぎ。
 右のイラストは「りぼんオリジナル」という雑誌の表紙でした。イラスト部分だけ切り取ったものを、あと何枚か持っているので、次回大きく出しますね。

 で、田淵由美子さんです! 言わずと知れた「りぼん」の看板作家さん。なつかしい~!
 とにかく絵柄が好きでした。かわいくて、あたたかみがあって、ハイセンス。
 ちょっとアンティークな感じのファッションも、おしゃれですてきだった。
 定規を使わずにペン入れするフリーハンドの手法で背景を描いてますが、それが効果的で、手作り感いっぱいでしたね。
 

 お話のほうは、ほとんどが「自分に自信のない女の子」と「超イケメン男子」のラブストーリー。
 性格のゆがんだ人間は皆無、まちがいなくみんな善人、まちがいなくハッピーエンド。
 でもそこがよかった、というか、それがよかった。
 安心して好きな絵柄にひたっていられました。
「このストーリーが好き!」というより、「田淵由美子ワールドが好き!」っていうのかな。
 でもこれって、案外大変なことですよ。よほど画面に力がないとできないことですから。


             


「フランス窓便り」は、ひとつの家でくらしている3人の少女たちの連作短編でした。
 安心の由美子ワールドでしたが、同時収録の「ローズ・ラベンダー・ポプリ」がさらに好きだったので、記念に写真を。
 タイトルからして、あこがれでしたねー。ラベンダーとかポプリとかいう単語を知らない、女学生時代に読んだものだから(笑)。


 あと、特筆すべきだと思うのは、キャラたちの年齢と舞台ですね。
 ほとんどが大学生(たぶん早大生)で、大学のキャンパスとかもしょっちゅう出てくる。これが大変よかった。
 高校じゃだめなんですよ。大学というのがポイント。
 自分たち(女学生)が住んでいる場所とは少し離れた、少しおとなの世界。
 かわいい絵柄にもかかわらず、そういうムードが、とくに男性キャラのほうにはっきり出ていてとても魅力的でした。


 あたりまえですが、幼い絵柄のまま設定だけを大学生にしたって、魅力的でもなんでもありません。
 おとなのムードを演出するに足る力が、作家にあったということです。
 田淵さん自身は、「りぼん」時代のあとのほうでは、ハッピーエンドじゃない切ないストーリーに移行しようとした気配があります。
 本当の意味でおとなっぽい、別のタイプの話も描きたくなったのかな、と思いながら読んでいましたが・・・。
 出版社のニーズもあるし、それこそオトナの事情も大きい世界なんでしょうね。

 

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「夜のお茶会」坂田靖子

2016年06月12日 | イラストなどなど

             

「夜のお茶会」坂田靖子(1977年 LaLa7月号)

 とびっきりの短編ばっかり、9本。
 愛すべき小品って言葉は、こういう作品たちのためにあるんだと思う。

 外国が舞台のものが多いですが、なかには日本の時代物もはいってたりして、バラエティゆたかです。
 内容も、子どもたちが生き生きと動くハッピーな話から、実の母親に恋をする美少年の切ない話まで、これまたいろいろ。

 シンプルな仕上がりなのに、実は深遠。
 コミカルでおとぼけ風味なのに、実はすごく知的。
 魅力のあるマンガ家さんって、そういう相反する要素を自然にあわせもっていますよね。
 片方だけをうまく描ける人ならいっぱいいる。でもプロの作品だなあと思うのは、別々に見える要素がひとつの作品の中でとけあっていることを感じたときです。

 

             


 このお話は、とくに気に入っていたので記念にのせちゃいました。
 雑誌未発表のものらしいんだけど、なんで未発表? まさかこんな良い話がボツにされたわけじゃないよね・・・あ、同人誌にでも出したのかな。


 坂田靖子さんの作品では「バジル氏の優雅な生活」というのが、かなり長期間続いて有名だと思いますが、あいにく私は読んでいなくて。
 ていうか、この単行本以外の作品をほとんど読んでいないことに、たったいま気づいた。
 あれ~?? 変だわ、名前はいつも意識していたはずなのに・・・。ウィキによると、かなり大量の作品があるみたいなのに、なんで追っかけてなかったのかなあ。
 と思いながら、アマゾンを探してみたら、おいしそうな本がこりゃまたいっぱい。あらら、知らなかった。


 そういうわけで、あまり語れなくて残念です。
 ただ、上にあげた単行本は、坂田さんデビュー後2冊目という初期の初期で、それをいまでも保管している自分がちょっとうれしかったので、ここに取り上げさせていただきました。

 

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「林檎物語」立原あゆみ

2016年06月10日 | イラストなどなど

              


「林檎物語」立原あゆみ(週刊ヤングレディ 1978年)

 これはさすがに小学生ではなかった・・・内容的にもね。中学生のときに買った単行本だと思います。
「すーぱーアスパラガス」といっしょに並べてみましたが、カラーのセンスの良さがきわだっていて、ほれぼれ。
 繊細な水彩画。ブルーグレーとセピアの濃淡だけで、こんなに描けるなんて・・・。

 モノクロもハイセンスです。
 こういう作品、残念ながらもはや書店で見る機会もないでしょうから、3枚続けて出しちゃいますね。



        

  
      

 

 上の2枚は、両方とも短編の表紙。長いタイトルが、またおしゃれ。
 下のは、表題作の中のひとこまで、海岸で教師(おじさん)が昔の教え子(カラー表紙の少女)を追いかけている場面ですが・・・。

 いきなり見開きの大胆な構図、リアルな廃船、スクリーントーンをひっかいた空。
 これだけ画力のあるマンガ家さんが、いまの少女マンガ界にいるでしょうか。
 青年誌にならいるかもしれないけど・・・。
 

 ストーリーのほうは、どれも「詩情」「抒情」「余情」などの形容がぴったりの小品です。
 それでいながら、実はけっこう濃厚に、性についてを取り扱っていまして。
 林檎の少女は、風俗店で働いている設定でした。いわゆる「トルコ嬢」。
 えーとですね、風俗のことを「トルコ」という名称で呼んでいた時代があったんですよ・・・とんでもない名称ですよねー。いま考えると、ほんとひどいわ。


「すーぱーアスパラガス」のほうは、林檎より数年あとの短編連作。少年がなぞのアスパラを食べたら、女性に性転換しちゃって、オンナノコのカラダやココロにとまどう、なんつー・・・。
 これは連載しているうちにエンタメ要素が強くなりすぎて、私の趣味からはずれてしまい、ラストを読んでないんですが。
 立原さんは、かわいらしい絵柄できわどいネタを描いている不思議なマンガ家さんでしたが、あるとき突然(でもないのかもしれないけど)男性向け雑誌に場所を変えました。
 そして「本気(マジ)!」などというヤクザものをヒットさせ、その後はその路線をばく進。
 ど、どーしたの?? 少女マンガの反動か?

 あ、立原あゆみさんは男性です。女性じゃないですからねー、念のため・・・。

 

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