komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

「11人いる!」萩尾望都

2016年04月28日 | イラストなどなど

                            


「11人いる!」萩尾望都(1975.7)

 それはまだ、わたくしがいたいけな中学生だったころ(たぶん中1)。
 近所の友人の家でふと手にとった、文庫本サイズの少女マンガ(たぶん友人の姉の所有物)。
 夢中で読み終え、こんなにも面白いマンガのジャンルが世の中にあったなんてとおどろいた。
 人生初のカルチャーショック、「SF」という概念との、それが出会いでありました。


 しかし、大胆なタイトルですよね・・・。
 内容も大胆で、話のほぼすべてが一隻の宇宙船の中だけで展開しています。
 11人目は誰なのか、という密室のミステリーにもなっていて、よくぞこんなストーリーを思いつくものだと・・・。
 密室の中で右往左往する、キャラクターたちの魅力。描き分けの鮮やかさも、文句なし。
 きれいなドレスや小物で飾らなくても、華やかなヒロインは十分描き出せるのだということを、フロルが証明してくれました。


 あ、写真はもちろん、あとから買い直した単行本です。
 最初に読んだのは、大島弓子さんのとこでも出した小さいサイズの本だった気がするけど、当然絵が大きいほうがすてきなので。
 これに同時収録されてる「精霊狩り」という連作も、すごく好き。
 萩尾望都さんは、初期から近年の作品にいたるまで、これぞSF、という大作をいっぱい手がけてますね。
 でもSFとは関係ない、人間ドラマだけのストーリーも大量に産み出していて、これほど広いジャンルで一流の表現ができる作家さんは唯一無二だとあらためて感じます。


 ところでSFって、最近の少女マンガにも存在してるのかな? 
 ファンタジーなら花盛りだけどSFは見当たらないような。 最近のものにはくわしくないので、気がつかないだけかもしれないけど・・・。
 昔は本格的なのが、いろいろありましたよね。
 佐藤史生さんの「ワン・ゼロ」とか、いまだに持ってるし。持ってないけど竹宮恵子さんとかもしっかりSFしていたし。

 ちなみにマンガではありませんが、かつてはハヤカワSF文庫にも手を出していた女子高生の私でした。
 いま考えると、「11人いる!」を読んだからこそ、そういう方面に流れたのかもしれません。
 しかし頭がついていかず、サイバーものなんぞも流行り始めて、あえなく挫折。
 もはや、なんであんなこ難しいジャンルが読めてたのかと、あきれるくらいでございます。
 十代のころは、いまよりずいぶん頭がよかったにちがいない。あれから○十年(げ)、よかったアタマもすっかりアホに・・・(笑)。

 

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「トーマの心臓」萩尾望都

2016年04月23日 | イラストなどなど

             

 

 「トーマの心臓」萩尾望都(1974.11)

 70年代少女マンガの洗礼を受けた人には、王道中の王道ですね。
 全寮制の男子校を舞台に、深い傷を抱えた少年たちが、葛藤をくり返しながら成長していく物語。
 バナナブレッドと並び、私の心の殿堂で不動の位置を占めている名作です。


 この作品には、人生を形作る要素がすべて入っていると、おおげさでなく思っています。
 そう気づいたのは20代のころですが、50も過ぎたいまこの年になって、20代の私が感じた思いはまちがっていなかったのだと実感しています。
 形作る要素のすべて。
 生きること。死ぬこと。
 愛情、友情、恋情。よろこび、悲しみ、苦しみ、そして救済。


 すべてがこの作品の中にある。すべての要素に、登場人物ひとりひとりが・・・つまり作者自身が向き合っている。
 しかも舞台は、多彩で魅力的な美少年たちがつどう、ドイツの寄宿舎。
 華やかな画面構成で美しさにあこがれる年代の読者たちを満足させつつ、テーマは純文学並みに深遠、それに加えて、オスカー様までいらっしゃるときたら(笑)。
 もう殿堂入りは当然ですね。


 先日、萩尾望都さんの対談集を読んでいたら「若いときだから描けた。いまなら愛のために死ぬなんて考えただけで却下」というような発言をみつけました。
 たしかに!
 実は私、作品のファンでありながらなんですが、トーマの自殺についていまひとつ納得できていなくて。
 ユーリがわかってくれたからいいようなものの、わからなかったら無駄死にじゃないの~! もっと別の方法があるでしょ~? なんてね。
 ただ、トーマは生身の人間というより「無償の愛の象徴」なんだろうな、というふうに理解はしているつもり。天使なんですよね、きっと。


 萩尾望都さんの描く少年は、このあとどんどん進化をとげて、生身の人間になっていきます。
 「トーマの心臓」の魅力のひとつは、美少年たちの中性的(女性的ではなく)な描き方にあると思うのですが、近年の作品に出てくる生身の少年たちは、これまた別の意味で魅力的。
 つくづく、すごいマンガ家さんだなあと感嘆します。
 ちょっと前にEテレで密着番組をやってましたが、正座で拝見させていただきました。
 なんていうか・・・まるで子どもを産んで育てるように、自分の才能をいつくしみ育て、作品として産み落としつづけているのを目の当たりにした気がしました。

 

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「草冠の姫」大島弓子

2016年04月13日 | イラストなどなど

 バナナブレッド以外で持っているもの、引っぱり出してみました。
 ○十年ぶりに光を浴びたものもございます・・・持ってるだけで読み返してないんですよね。でも捨てられないという・・・。
 では、大きなサイズでどうぞ。

 

    


 畳の焼け具合がなんとも(笑)。
 「綿の国星」は実は7巻まで持ってますが、印象に残っているのは1巻のみ。そして同時収録の「夏のおわりのト短調」がとても好きだったので、写真は1巻だけで。

 この中でひとつあげるとすれば「草冠の姫」かな。すごく心惹かれるものがありました。
 でもいま気づいたけど、これってバナナブレッドによく似ている。
 優秀なお姉さんと変人の妹、という構図・・・何か作者にトラウマでもあるのかしら。描いてる時期も、1978年5月なのでほとんど同時期。
 ちなみに私は一人っ子なので姉妹の感情の機微とかまったくわかりません。なのにどうしてこの2作が特に好きなのか、謎であります。


 大島弓子さん、ざっと前期、中期、後期で分けると、前期は外国映画風のドラマチックなものがけっこう多いですね。
 中期がバナナブレッドの時期で(私のかってな区分け)、やっぱり個人的にはこのへんが一番好きです。
 内容もだけど、作画が好き。少女期のキラキラ感が濃厚で。

 後期(といっていいのかわからないけど・・・)は絵の装飾がなくなって、お話もより現実的になりますね。
 正直「つるばらつるばら」のあたりなんか、読んだはずだけど、もはやまったく記憶にございません・・・でも、いま読んだらきっと以前よりも感動できるんだろうという予感はします。


 あとね、久々に単行本を見てびっくりしたのが、文字の多さです。
 字が小さい、そして多い! とくに中期。ほんとびっくり! 
 いまのマンガでこんなに文章量が多い作品ってある? いや当時だってなかったとは思うけど(三原順さんくらいか?)。
 文章量と書きましたが、大島作品、マンガでありながら文芸書でもあったのだと実感しました。
 まさに「読書」ですね。

 ところで・・・左上の本にご注目。もう、どんだけ私が年取ってるかがわかろうというものです。
 これ、小学館文庫なんですが、大昔はこのように表紙をふつうのイラストレーターが描いて、中身はマンガという文庫があったんですよ。
 でもそのうちに消えちゃって・・・文庫サイズの復活は白泉社が「日出処の天子」を出したあたりかと思うんですが(ちがうかもしれませんが)・・・。
 それだって、どんだけ昔だろうか(笑)。
 大島作品もいまは文庫で手に入るものが多いけど、あの台詞量の多さが文庫の画面にどうやってはいっているのか疑問です。
 単行本サイズだって、いまやシニアグラスがほしいくらいです~。

 

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「バナナブレッドのプディング」大島弓子

2016年04月10日 | イラストなどなど

                                         

          

「バナナブレッドのプティング」大島弓子(1978.3)

 高校生のときに出会って以来、うん十年。私の心の殿堂入りベスト1が、これです。
 名作だと思います。

 ちょっと変わった(ある種の神経症的な)女子高生が主役で、その子が友人のお兄さんに恋をするお話。
 ただこの話、あらすじを書いても良さがまったく、みじんも、これっぽっちも、伝わらないんですよね~。
 あらすじだけを取り出すと奇妙というかヘンというか、何が面白いの?みたいな・・・。


 ところがこれが、大島弓子さんのペンにかかるとあらふしぎ、極上のデリケートな作品世界に変身してしまう。
 正直、これを読んだ当時も何がそんなに魅力的なのか、心に訴えてくるのかわからず、夢中になりながらもとまどいました。ラストがとても感動的なんですが、その感動すらもどこから出てくるのかわからないような、不可思議な感覚。

 ただね、そのわからない感じ、あいまいな感じこそが魅力の原点かもしれないと思うわけです。
 だって思春期の少女の内面なんて、そもそもあいまいでつかみどころがなくて、とりとめもなくて、自分自身にも理解しがたいようなものじゃないですか。
 で、これを読んだときの私自身が、まさにそのあいまいな年齢の女子高生でした。

 
 この作品の主人公は、変わっているがゆえに生きづらさを感じていて、自分の内的世界と現実の世界をすり合わせるのに苦労している(と、私には思える)。
 私もまあその年代はそれなりに苦労していて・・・そういうお年頃だったんですよね。
 すり合わせが終わったいまじゃ、もはやどういうあつれきや齟齬があったのかさえ思い出せないんですが、きっとそんな私の心に、この作品がすごくはまり込んだんじゃないかと思います。

 ちなみにアマゾンのレビューを見ると、いろんなかたがこの作品の分析をしていて、わーすごいと感心しました(笑)。あいまいじゃなかったのか??
 それと、けっこう読む側の感受性を選ぶ作品のようですね。でも大島弓子さんの作品って、これに限らず全部そんな感じですよね。

 大島弓子さんの単行本、いまでもかなりの数を保管していますので、次回に載せようと思います。
 

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心にのこるマンガたち 序

2016年04月08日 | イラストなどなど

           

 部屋の隅にうもれていたプリントごっこ(!)の箱を処分しようとしたら、中から年賀状のイラストが!
 これは、ひと昔前の申年に作った年賀状。なつかしいので載せちゃいました。
 あ、下部分に住所が書いてあったので、そこはカット済。
 冬坊は1月生まれだから、この年のお正月は臨月だったわけですよね。
 そんな冬坊も、きのうが中学校の入学式。うわ~、月日がたつのってば、ほんとに・・・。


 そういうわけで(前置きが長い)、ブログのほうもあらたな企画にいきたいと思います。
 題して「私を作った少女マンガたち」。
 ・・・にしたかったくらいですが、さすがにタイトルにするのは恥ずかしかったのでやめました・・・。 
 えーと、自分自身の感性に大きな影響を与えたマンガを、写真つきで紹介してしまおうという企画です。


 とりあえず、1970年代~80年代、つまり私が多感な少女であったころ、さらに追い打ちをかけるように(?)多感にしてくれた作品をいくつか選んで、並べてみるつもり。そうすることで、自分の感性の出所が把握できる気がするので。
 イラストを載せたとき、けっこういろいろなことが把握できて楽しかったので、その延長ですね。
 

 といっても、私は短編好みというか「珠玉の小品」みたいな作品がすごく好きだったので、地味なラインナップになるかもしれません。
 10回くらいの予定でやってみますので、おつきあいいただけましたら、よろしくお願いいたします。



           
 
    おまけ。
    左が原稿で右が彩色したあと。プリントごっこ、面白かったよね・・・。
    もちろん今の年賀状は子どもたちの写真です。なんて楽ちん。

 

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koma式 百人一首ドリル  4

2016年04月07日 | koma式 百人一首

 

             おぼえましょう

   な よ つ た あ       や ふ た か し
   が の く ご き       ま く ち ぜ の
   ら       の             を

   う や こ ふ わ       ひ む ま く も
   し ま い じ が       と べ つ だ の
       ぞ   こ       

 

 

        

             上と下をむすびましょう

              問題 1

 

   な よ つ た あ       や ふ た か し
   が の く ご き       ま く ち ぜ の
   ら       の             を
   ・ ・ ・ ・ ・       ・ ・ ・ ・ ・

 



   ・ ・ ・ ・ ・       ・ ・ ・ ・ ・
   こ ふ わ う や       も く む ま ひ
   い じ が し ま       の だ べ つ と
   ぞ   こ

 



              問題 2

   よ た あ つ な       ふ や た し か
   の ご き く が       く ま ち の ぜ
   な の の ば ら       か ざ わ ぶ を
   か う た ね へ       ら と か れ い
   よ ら の の ば       に は れ ど た
                           み
   ・ ・ ・ ・ ・       ・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

   ・ ・ ・ ・ ・       ・ ・ ・ ・ ・
   や こ わ う ふ       も く ひ む ま
   ま ひ が し じ       の だ と べ つ
   の ぞ こ と の       や け め や と
   お   ろ み           て も ま し
   く   も し         

 

 

 

 

 

             問題 3

 

   世 秋 な つ た       ふ 山 し 立 風
   の の が く ご       く 里 の ち を
   中 田 ら ば の       か は ぶ わ い
   よ の へ ね う       ら 冬 れ か た
   道 か ば の ら       に ぞ ど れ み
   こ り ま み に       え   色 い 岩
   そ ほ た ね         や   に な
     の             は     ば  

   ・ ・ ・ ・ ・       ・ ・ ・ ・ ・

 

   ・ ・ ・ ・ ・       ・ ・ ・ ・ ・
   ふ 山 恋 わ う       も ま く む 人
   じ の ぞ が し       の つ だ べ 目
   の お つ こ と       や と け 山 も
   た く も ろ 見       思 し て 風 草
   か に り も し       ふ き も を も
   ね も て で 世       と か の
   に     は ぞ         ば を   



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子どもといっしょに百人一首 40

2016年04月04日 | 百人一首 桃札

 

 

        ながらへば またこのごろや しのばれむ

          憂しと見し世ぞ 今は恋しき
               う

 

 

 詠んだ人・・・藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけ あそん)

 詠んだ人のきもち・・・生き続けていれば(つらい)今のことが
            なつかしく思い出せるのだろうか。
            つらいと思っていた(かつての)世の中が
            今は恋しく思えるのだから。

 

     ながらへば・・・生き永らえていれば

     憂し・・・つらい。苦しい。