今日、イギリス出身のSue Coe(スー・コー)というアーティスト/活動家を知りました。
The Spent Hen (2012)
Sheep Shearing
彼女は版画や絵画や芸術家の書籍や漫画によるイラストレーションなどで様々なこの世界の深刻な問題を描いています。
経済的抑圧、性的搾取、政治的腐敗、アパルトヘイト(種差別)、エイズ、刑務所(投獄)、戦争、工場農業、飢餓など彼女の取り上げる問題はすべて社会的不公平についての問題で、中でも一番力を入れているのが”動物に対する人類の残虐行為”という深刻な問題です。
Sue Coe (born 21 February 1951)
Sue Coeは1951年にイングランドのスタッフォードシャー州タムワースで生まれました。
彼女は幼少期を豚の養殖場と"と殺(屠畜)"場の側で過ごし、毎日のように家畜たちの悲鳴を聞いて、また家畜への残虐行為を何度と目撃しました。(毎朝、豚の叫び声で目を覚ましたそうです)
幼い頃から学校の実験室やと殺(屠畜)場から動物を助けたりしてきた彼女は後年の1986年から1992年にかけて、米国、カナダ、イギリスの屠畜場の内部に足を踏み入れ、と殺(屠畜)場内の様子をスケッチブックにドローイング(図案の線描)し、カメラでビデオを録画しました。
「ドローイングは分かち合われた時間の親密さを明らかにする(Drawing reveals intimacy of shared time)」
と言った彼女はどのような想いで殺される未来が待ち受けている動物たちと、残虐な方法で殺されゆく動物たちの姿を描いていたのでしょう。
きっと自分や自分の大切な家族が殺されてゆく感覚だったと想います。
彼女は他にもストックヤード(肥育場、牛を食肉用として出荷する為に飼料を必要以上に与えて太らせる為の施設)、ミートパッキング工場(食肉を解体、処理、包装する工場)、牛の放牧場、酪農場(搾乳場)、鶏卵工場にも足を踏み入れます。
彼女は、米国のシンシナティにある食肉処理センターのための「Porkopolis」と呼ばれる一連の作品を生み出しました。
Standing Pig (1993)
(1989)
The Selection, 1991.
Queenie Poster by Sue Coe VIEW LARGER Queenie Escapes the Slaughterhouse (2011)
Triumph of Fundamentalism (2005)
Second Millenium, 1998
You Consume Their Terror, 2011
彼女は、「幸せな動物(happy animals)」の絵をたくさん隠し持っているそうです。
残虐な絵ばかりを描いているのは、彼女が残虐な絵が好きだからではないことがすごく彼女の絵を観ていると伝わってくるのです。
わたしも残酷なことを表現する小説や詩を多く書くようになってきました。
それはこの現実世界が本当に残酷でならないことが毎日普通に行なわれ続けている世界だからです。
彼女もわたしも、現実に起きていることを表現することによって、平和を願う心を自分も作品を鑑賞する人にも強く抱かせ続け、この世界を平和に向わせたい気持ちがすごく強いのだと想います。
この世で行なわれ続けている残酷なことが本当に苦しくてならないからこそ、残酷な表現をし続けていかねばならないのです。
「動物達は今自分を殺そうとしたり虐待しようとする人間の目をじっと見つめる事があります。
その目にはなぜ自分がこんな目に遭わされているのかという困惑と恐怖に満ちています。
そして何も悪い事をしていないのに、もっといい子になるから許してください、という懇願の思いがひしひしと感じられる。
私は挫けそうになった時、動物達のその目を思い出し、悲しんだり希望を失っている時間はないのだと自分を奮い立たせます。」
Sue Coeのこの言葉を、わたしは忘れたくないと想いました。
苦しんでいる人こそ、わたしは動物たちの苦しみを知って欲しいと想っています。
動物たちを救いたいと願う気持ちは、自分自身(人間)を救うことに他ならないと感じているからです。
自分だけの苦しみに囚われることのほうが人間は苦しいと想うからです。
他者の苦痛を知り、心から救いたいと想えることにこそ、”光”が見える筈です。
だからどうか、目を背けないでください。
参考サイト