あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

光空の宿主

2018-07-30 12:22:15 | 
おまえはあんまりにも、寂しい人間やな。
俺に嫌がらせしてくるしか楽しみないんやろ。
俺もおまえに嫌がらせされてから、想ったんだ。
俺の書く小説を真剣に読んでくれる人ってもう誰一人おらんのかなって。
おまえだって、俺の小説を心から感動してたら、あんなことで嫌味なんかゆうてこおへんやろ。
おまえの言葉って全部上部なんちゃうん。
人の命なんて、なんとも想てへんねやろ?
人の命なんて、なんとも。
おまえは。
おまえはどうしたら抜け出せるのやろう。
その虚無から。
その鬱から。
その闇から。
その孤独から。
おまえはビジュアルバンドの詩以上のものを書けるの?
たったら書いてこいよ。
俺が読んでやるから。
しょうもなかったら公開処刑だ。
当然やろ。馬鹿にしたくせにそれ以下やったら。
チェーンソーでおまえの頭を刈ってやるよ。
頭を出せ。
ええから頭を。
頭を。
ちょっと手が滑っただけで首鄭羽だ。鄭羽。
おまえにぴったしな名前じゃないか。
鄭羽。
いっつも独り言やな。
おまえも俺も。
おまえの言葉なんて、全部嘘やと想ってるからな。
信じられない。
おまえが何を言ったところで。
俺は一生おまえを信じられない。
このままおまえも俺も死ぬ。
誰からも、愛されぬままおまえも俺も死ぬ。
消え失せる。消滅する。
全世界、全宇宙から消えて、誰も、おまえと俺を想いだす者はいない。
俺とおまえもすべてを忘れる。
永遠の忘却の彼方に。
脳内宇宙を裂いて遊弋するアミロイドβプラーク。
髪の毛より硬い筋繊維虹色に光る思考プラーク。
脊髄が、虹色に光ながら思考する。
身をうねりながら、のたうつように鼓動する。
肉と皮膚を通し、光がうっすらと透ける。
一体おまえは誰なんだ。
おまえが俺のはずはないだろう。
俺は脳を持っていない。
でも思考している。
おまえは脳がないと思考できないのか。
俺がおまえの脳になったわけではない。
では何故おまえは思考しているんだ。
俺が想ってるからって、おまえが想ってると想うなよ。
俺はいずれおまえが要らなくなる。
もっと光を。
光を求めているのはおまえではない。
もっと、もっと、光を。
そんなはずがないじゃないか。
もっと、もっと、もっと、光を。
おまえの喪われた生殖機能が光を求めているとでも?
おまえの遺伝子を遺すことはできない。
俺は此処にいたら、遺伝子を遺すことはできない。
おまえは最初から最後まで存在しない。
光へ、おまえを導く。
おまえを抜ける。
俺を内包していたおまえの尻を鋭利な刃で喰い破る。
のたうちながら、俺はおまえといううちから、出て行く。
もう二度と、絶対に帰らないうちから。
おまえが光に辿り着いたから。
俺は無事、おまえという宿から這い出る。
光の中を、一時おまえと俺は沈む。
光の中に、俺とおまえは沈む。
光の底に、おまえを打ち突ける。
光の底で、苦しそうに翅を広げ、おまえは溺れ死ぬ。
光の中で、仲間と絡み合い縺れ合い、生殖と産卵を同時にする。
光の底に、沈めたおまえが、浮上することはない。
永久に、おまえは光の空の宿。
誰も、帰省せぬ、光空の宿主。*










*光空の宿主(コウクウノシュクシュ)












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