
2022年11月25日公開 中国 127分 G
看護師として働くアン・ラン(チャン・ツィフォン)は、医者になるために北京の大学院進学を目指していた。ある日、疎遠だった両親を交通事故で失い、見知らぬ6歳の弟・ズーハン(ダレン・キム )が突然現れる。望まれなかった娘として、早くから親元を離れて自立してきたアン・ラン。一方で待望の長男として愛情を受けて育ってきたズーハン。姉であることを理由に親戚から養育を押し付けられるが、アン・ランは弟を養子に出すと宣言する。養子先が見つかるまで仕方なく面倒をみることになり、両親の死すら理解できずワガママばかりの弟に振り回される毎日。しかし、幼い弟を思いやる気持ちが少しずつ芽生え、アン・ランの固い決意が揺らぎ始める…。葛藤しながらも踏み出した未来への一歩とは――。(公式HPより)
見知らぬ弟を突然預けられ人生の選択を迫られた女性の葛藤を描いたヒューマンドラマです。背景にあるのは1979年から2015年まで続いた中国の一人っ子政策です。
急激な人口増加を抑えようと、原則1組の夫婦に子どもは1人までと制限していました。
冒頭で葬式に麻雀を行っているシーンは四川省の一部地域で見られる風習だそうで、麻雀牌を混ぜ派手な音を立てることが、縁起かつぎや魔除けになるらしい。😓
成都の病院で看護師として働くアン・ランは、医師との立場の差に鬱憤を募らせ、医師になるため北京の医療大学院入学を目指していました。ところがある日、離れて暮らす両親の交通事故死を知らされて葬儀に参列します。男の子が欲しかった両親に疎まれ、叔母のアン・ロンロン(ジュー・ユエンユエン)に預けられて育ったアン・ランは、6歳の弟アン・ズーハンの存在を初めて知ります。一人っ子政策の特例を利用して、両親はアン・ランを障碍者と偽りズーハンをもうけたのです。
親戚たちに、ズーハンは姉のアン・ランが育てるべきと言われますが、今まで一度も会ったことのない年の離れた弟に愛情を持てないアン・ランは、ズーハンを養子に出すと決め、養子縁組が成立するまでは仕方なく面倒を見ることにします。
両親の家を相続したアン・ランは、ズーハンと暮らし始めます。仕事復帰にあたり幼いズーハンを一人で留守番させるわけにもいかず、幼稚園のお迎えを叔父のウー・ドンフォン(シャオ・ヤン )に頼みます。彼は賭けごと(麻雀)好きで(おそらくそれが原因で離婚している)いまいち信用できないのですが他に頼れる人もいなかったのね。
両親に疎まれたアン・ランと違い、愛情をたっぷり受けて育ったズーハンは我儘放題でアン・ランを手こずらせます。まだ両親の死を理解できず母親に会いたいと泣くズーハンをアン・ランはお墓に連れて行きもう会えないことを説きます。
両親の事故の原因は父の心筋梗塞が原因と判明しますが、加害者の男性が飲酒していたかもしれないと知り抗議するアン・ラン。彼はズーハンと同じ幼稚園に通う娘の父親です。しかし彼は飲酒を否定します。
恋人の同じ病院に勤める医師と一緒に北京に行く約束をしていたアン・ランですが、両親にそのことを言えない彼氏の態度に不満を抱くようになります。
養子縁組が決まりそうになりますが、この話を知った親戚たちに邪魔され破談になります。鬱憤が募っていくアン・ランですが、怪我をしたズーランを背負った際に彼の悲しみや不安を感じて心境に変化が生じます。
ロンロンから彼女の過去(弟であるアン・ランとズーハンの父のために進学を諦めたことや、モスクワで商談をしようとした際にもアン・ランが生まれたことで連れ戻されたこと)を聞かされ、弟のズーハンのために犠牲になることを強いられたアン・ランは、彼女の息子から暴力を受けていたことや彼女の夫に着替えを覗き見されたことを話します。ロンロンは自分のしてきたことに疑問を持ち始めます。女性ばかりが犠牲を強いられることに対しての疑問や怒りでもあるようです。そしてアン・ランに自分の生きたいように生きろと助言するようになります。
子どもながらに自分が姉の足手まといになると考えたズーハンは、自ら養子を欲している夫婦(両親の事故の加害者から紹介されていた)に連絡をします。驚くアン・ランでしたがズーハンの意志は固く、仕方なくアン・ランは養子に出すことに同意します。
病院を辞め、家を売却し、両親に逆らえない彼氏とも別れたアン・ランは、北京に向かう前に、養子先を訪れます。
ズーハンのオモチャと家を売ったお金を養育費として持参したアン・ランですが、夫婦はそれを断り、今後一切ズーハンと会わないという誓約書へのサインを求めます。庭で遊ぶズーランの寂しげな様子を見たアン・ランは悩んだ末にサインを断り夫婦に頭を下げるとズーハンを連れて家を飛び出したのでした。
映画はここで終わりますが、現実問題としてズーハンを連れて北京で勉強するのは難しい気がするんですが・・・。😓
美談で終わらせずその先も知りたい気がしました。