杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

くるみ割り人形

2013年08月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
日本劇場未公開 イギリス/ハンガリー 108分


クリスマスの夜にアルベルト伯父さん(ネイサン・レイン)から、ちょっと変わったくるみ割り人形(声:シャーリー・ヘンダーソン)をもらった少女メアリー(エル・ファニング)。実はその人形は、悪いネズミの王(ジョン・タートゥーロ)から魔法をかけられた、おもちゃの国の王子( チャーリー・ロウ )だったのです。NCと名乗る王子とおもちゃの仲間たちといっしょに彼の王国に行くことになったメアリー。昔は平和だった王国は、今は黒い煙で空を覆うためおもちゃが焼かれていました。メアリーは仲間たちとおもちゃの国を取り戻そうとするのですが・・。

チャイコフスキーの「くるみ割り人形」をもとに綴られる、3Dファンタジー作品。(但しレンタルなので2D鑑賞)総製作費・80億円以上をかけた大作なのに批評家から酷評され日本では未公開の憂き目に遭ったようで・・
個人的には昔読んだお話が映像で甦ったような懐かしさを感じたんですけど。

バレエは鑑賞したことが無いし音楽も通して聴いたことはないけれど、映画の設定の違いは乱暴者の少年が少女の兄ではなく弟であることとネズミの王の母が登場することかな?

メアリーは想像力豊かで感受性の強い女の子。夜も忙しく家にいない両親に寂しさを感じています。そんな彼女の寂しさを埋めてくれるのは父の伯父のアルベルトの楽しいお話。でも父は彼の影響を受けて現実離れする娘を心配しています。

くるみ割り人形(NC)の魔法が解けた夜の冒険は朝になってみれば居間のツリーの倒壊に変わっていて、その理由を問いただされて正直に冒険の話をしたメアリーは嘘をついていると思われ傷つきます。伯父に対して娘に悪影響を与えるから近づかないで欲しいと言う父(リチャード・E・グラント )に、伯父は父が少年時代に大切にしていた「宝物」の話をします。それは父にも想像力豊かな子供時代があったことを気付かせます。彼らの会話にフロイトや相対性理論が出てくるのは賛否両論があるかもしれませんが、私はその切り口がちょっと新鮮でした。伯父さんの風貌も「あの人」に似せてたのかな?こんな遊び心は結構好きだったりします。

そんな大人の事情はともかく、メアリーは弟のマックス(アーロン・マイケル・ドロジン)と再びNCの国に出かけることになります。但し、マックスは玩具を壊す乱暴者としてネズミの王に気に入られて連れて行かれるのですがしかしマックスもおもちゃの王国で子供たちがお気に入りのおもちゃを取り上げられ泣き顔なのを見て心が痛みます。「他人のおもちゃを壊すのは悪いこと」と気付くのです。さりげなく教訓を組み込んでいるのが上手いなと思いました。

ネズミの王は威張っているけど母親である女王(フランシス・デ・ラ・トゥーア)に依存してます要はマザコンね。 王子の魔法が解けると再び母に頼み、メアリーにより再び人間に戻ると尻尾を巻いて逃げだそうとします。この辺はお伽噺らしい単純さですね

メアリーの家の豪華さは恵まれた暮らしをしている階級を象徴しているように見えます。ドレス姿のエル・ファニングがとても可愛らしかったな
おもちゃの国の焼却工場の描写も迫力があり、ネズミの王のバイクやヘリは男の子受けするスタイリッシュなものです。もちろんあの有名な曲の数々も劇中に流れ(というかところどころミュージカル仕立て)、VFXや特殊メイクもいかにもお金かかってそうで、物語の世界観を旨く表現していて、どうしてこの映画が酷評されたのか不思議 古典的名作に現代をMIXしたのが受けなかったの?バレエに興味のない私には丁度良い面白さだったのになぁ。

皆で力を合わせて王国を取り戻した後、メアリーは自分が夢の中にいて現実に帰らなければならないことに自ら気付きます。でも彼女が大人の扉を開けたのかといえば、それもちょっと違うかな。
子供時代の豊かな想像力を思い出した父は娘に夢の話を聞かせてと言い、伯父さんは人間の友達を彼女に紹介します。それは王子そっくりの少年で・・・いえ、きっと王子なのでしょう。

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スター・トレック イントゥ・ダークネス

2013年08月28日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年8月23日公開 アメリカ 132分

西暦2259年、カーク(クリス・パイン)率いるUSSエンタープライズは、未知の惑星の探索中に巨大な地殻変動に遭遇し、原住民と副長スポック(ザカリー・クイント)を救うが、地球に戻ると規則違反で船長を解任されてしまう。同じ頃、ロンドンの宇宙艦隊データ基地が破壊され、犯人ジョン・ハリソン中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)の追跡を協議していたサンフランシスコの艦隊本部も襲われ、パイク()が犠牲となる。クロノスに逃げ込んだハリソンを、マーカス提督(ピーター・ウェラー)の命令で再びカークが船長となったエンタープライズが追い、彼を捕えるが・・・。


前作から一年後の設定です。初めてこの物語を知った前作では、スポックの強烈な外見に馴染めなかったけれど、今回は免疫があったせいかすんなり受け入れられました
二時間を超える時間の長さは全く気にならず、最後まで飽きさせないのは娯楽大作として高評価ですね

冒頭いきなり惑星の危機を救う大活躍のカークたちで、つかみはOK
地球に帰ってからスポックにチクられて(真面目で融通が効かないスポックの性格を観客に印象付けてます)降格処分になったものの、パイクに救われ副長として復帰したカークだけど、会議の場をハリソンに襲われてパイクが死亡

復讐に燃えるカークに新兵器渡して犯人を殺せとけしかけるマーカスって・・・思いっきり怪しいんですけどでもスポックに諌められ、殺すの止めて地球に連行することにしたカークは偉いぞ

この新兵器(魚雷)の搭載を巡る言い争いでスコッティ機関主任(サイモン・ペグ)が船を下りちゃうんですが、後でちゃ~~んと見せ場がありました。彼の代わりを務めるのがチェコフ(アントン・イェルチン)ですが、まだまだ青いね出発直前に乗りこんできた女性科学者は実はマーカスの娘のキャロル(アリス・イヴ)だったりと伏線が多数仕掛けられてます。

クロノスでクリンゴン人のパトロール隊に囲まれたカークたちを救ったのは、超人的な強さのハリソン彼は72個の魚雷の話を聞いてあっさり降参します。彼の本名はカーンと言い、遥か昔に遺伝子操作で誕生した優生人類で、72名の部下と冷凍睡眠状態のところをマーカスにより蘇生され、部下を人質に軍事協力させられていたのです。魚雷の中にはその部下たちがいたの冷酷非道なカーンだけど、部下への愛情だけはあるのね

そこへマーカス提督が新型戦闘艦で現れ、カーンの引き渡しを命令するのですが、カークは拒否して地球へワープしようとします。だってマーカスはカーンを使ってクリンゴン人へ戦争を仕掛けようとしていたのですもんね。追いつかれて攻撃され絶体絶命に陥りますが、偶然提督の艦に潜入していたスコッティの協力で逆転します。ところがカーンが彼らの隙をついて提督を殺し部下たちの乗った魚雷の引き渡しを要求してくるの。目まぐるしく変わる状況に目が離せません。

スポックの機転で危機を脱したのも束の間、地球へ墜落していく両機。外れたメインコアの連結を戻すため放射線で汚染された区域に単身向かったカークは、目的を達した後に絶命。怒りに我を忘れたスポックが地球に降り立ったカーンを追い詰めるのですが、彼の強力な再生能力こそがカークを救うと知ったドクター・マッコイ(カール・アーバン)の忠告を受けたウフーラ(ゾーイ・サルダナ)に説得され、生かしたまま逮捕となります。

このカーンの再生能力は物語の初めの方でも示されていたので、カークが力尽きたように見えた場面で「あぁ、きっとあの血で助かるんだわ」と思ってしまったんだけど・・当たりでした

冷静沈着な理論派のスポックですが、本来は情に篤い性格だということも示されています。直情型のカークにも上に立つ者としての自覚が芽生えていきます。二人が人間的な成長をして友情を確かめ合い、新たな探査飛行の旅に出かけるという結末ですが、これはまた続編出来そうだね

カーンが再び冷凍睡眠されたのは、復讐は問題の解決にはならないという繰り返し出てくる今回のテーマ?にのっとっているのかしらん。

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残酷メルヘン 親指トムの冒険

2013年08月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年10月6日公開 フランス 81分

おとぎ話は、ときに残酷―
昔々、5人兄弟の末っ子で“親指トム"と呼ばれた男の子がおりました。
トムたち兄弟は、貧しさに困った両親に森の奥で捨てられてしまいます。
そんな両親の企みを知っていたトムは、パン屑を目印に道すがら落として行きますが 鳥に食べられてしまい家に帰ることが出来なくなってしまいました。
森の中をさ迷ううちに、立派な屋敷に辿り着きますが、そこには人喰い鬼(ドニ・ラヴァン)が可愛い娘とともに住んでいました。
トムと兄弟は暫く娘たちの部屋に泊まるとこを許されますが、 不安を感じたトムは夜寝ている間、娘たちの王冠と自分たちの帽子を入れ替えるのでした。
そして夜中に部屋の中に鬼の気配を感じ…。


「親指トム」は元々はイギリスの民話で、グリム兄弟や、シャルル・ペローの童話でも有名です。
本作はペロー版だそうです。
本来童話というのは悲惨な史実が含まれた教訓的要素が秘められているとも言われていますが、この作品も17世紀当時のフランスの大飢饉を背景にしているとのこと。

若く貧しい夫婦が子沢山、よくあるケース
本来は優しい性格の人でも、餓えが続けば自分第一になってしまうのもある意味当然の結果。
子供たちを森に棄て、妻と二人っきりになった途端「そっち」萌えの夫。まんざらでもない妻。
あ~~あ、でもこれが現実なんだろね。
そもそも、夫の考えを断固拒絶する気は彼女にもない。それだけ深刻な飢餓状態ってことです。

凡庸な子供たちの中で、末っ子だけは聡かった
だけどしょせん子供の浅知恵。パンなんて撒いたら鳥さん食べちゃうよね~お腹空かせてるのは人間だけじゃないもんな。
確か、童話だと親が気づいて家の外に出られなくなったので仕方なく、だったような気がするけど・・。あれ?それは「ヘンゼルとグレーテル」だったっけ?

鬼の家に迷い込んだ子供たちを最初は追い返そうとする鬼の妻。彼女の立場も微妙~~。
夫のことも彼に似た娘たちのことも恐れ嫌っているようでもあるけど、一方でやはり愛してもいるんだな最終的に捕まった子供たちを逃がす気はないけど、時間稼ぎはしてくれるところに彼女の迷いが感じられます。そしてトムの機転により夫が間違えて娘たちを殺してしまったことを知り嘆きのあまり自らも死んでしまった彼女が一番可哀想だったかも

追いかけてきた鬼が退治される場面は、それまでのリアル路線からいきなりチープなお子様番組的雰囲気となったのが残念でしたが、鬼の家から宝物をどっさり頂いてきた(これって結果的に押し込み泥棒じゃん)トムが、王様然と家族に肉を投げ与える皮肉的なラストはまさに「残酷」と冠するに値するシュールさでした。
そりゃ~自分を捨てようとした両親にも、何の役にも立たなかった兄たちにも笑顔で宝物差し出すわきゃないわなぁ

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PARKER パーカー

2013年08月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年2月9日公開 アメリカ 118分

天才的な頭脳と強靭な肉体を併せ持つプロフェッショナルな強盗のパーカー(ジェイソン・ステイサム)は、冷酷非情な一匹狼で、自らに課した3つのルールに従って行動する。メランダー(マイケル・チクリス)率いる犯罪グループと組み、大金が集まるオハイオ・ステートフェアを襲撃して150万ドルの強奪に成功したのも彼の完璧な計画のお陰。だが、仲間の不用意な行動から一般人を巻き込んだことが許せず、次のヤマの話を拒否したパーカーは、一味から銃弾を浴びせられ消されそうになる。瀕死の状態から一命を取り留めたパーカーは、復讐を決意。一味がセレブの集まるパームビーチに身を置いていることを嗅ぎ付けて、テキサスの大富豪ダニエル・パーミットという偽名で島の不動産業者レスリー(ジェニファー・ロペス)に近づく。彼女の助けを得て、一味が5千万ドル相当の宝石を盗もうとしていることを知ったパーカーは、一味に宝石を奪わせて、それを横取りする計画を立てる。一方パーカーが生きていることを知った一味は、最凶の刺客を送り込むが・・・。


ジェイソンが演じる役って「トランスポーター」もですが、自らに厳格なルールを課している男という設定が多い気がします
今回も自分のルールから逸脱した仲間を許せず次の仕事を断ったことから消されそうになり、逆に復讐をする男の話。やられたらやり返すのは共感できます

仕事の仲介役であるハリー(ニック・ノルティ)とは昔からの付き合いのようで、彼の娘のクレア(エマ・ブース)のことを本当に愛していて、復讐のためにレスリーと組むけれど、彼女の好意に気付き自分もまんざらではなくても一線は越えないところも紳士的で素敵

レスリーは母親(パティ・ルボーン)に煩く構われるのに辟易していて、今の暮らしから抜け出したいと思っています。パーカーは彼女にとって成功への足がかり。知的でスマートマッチョなパーカーにする気持ちはよくわかるなぁ

パーカーを狙う殺し屋はナイフの使い手。この作品、とにかくパーカーが痛めつけられる場面が多くて観てるだけでも痛そうなの
おろおろキャアキャア喚くだけのレスリーと対照的にクレアは淡々と彼の手当てをして後は信頼して送り出すだけ。愛の深さとこれまでの経験に裏打ちされた確かな絆を感じさせます。これじゃレスリーはかなわないよね

事が片付いてからのレスリーや瀕死の自分を助けてくれた一家に対するお礼もスマートです。
まさに男の美学

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北のカナリアたち

2013年08月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年11月3日公開 130分

夫・川島行夫(柴田恭兵)と共に北海道の離島にやってきた小学校教師、はる(吉永小百合)が受け持つことになったのは6人の生徒たち、鈴木信人(小笠原弘晃)、戸田真奈美(渡辺真帆)、生島直樹(相良飛鷹)、安藤結花(飯田汐音)、藤本七重(佐藤純美音)、松田勇(菊池銀河)だった。彼らの歌の才能に気付いたはるは、合唱を通してその心を明るく照らしていく。「先生が来るまで学校がつまらなかった」とこぼしていた子供たちの顔にも笑顔が溢れるようになり、大自然に響き渡るその歌声は島の人々の心も優しく包み込んでいった。そんな時、担当した事件が原因で心に傷を抱えた警察官・阿部(仲村トオル)が島へやってくる。人知れず悩みを持っていたはるは、陰のある阿部と自分を重ねるかのように心動かされていく。ある夏の日、生徒たちと行ったバーベキューで、悲しい事故が一同を襲う。子供たちは心に深い傷を負い、はるは心配する父(里見浩太朗)を一人置いて、追われるように島を出ることになる。だが、島を離れた後も心に残るのは6人の生徒たちのことだった……。20年後、東京で図書館司書として暮らすはるに生徒の一人が起こした事件の知らせが届く。その真相を知るため、はるは6人の生徒たち(森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平)との再会を心に決め、北へ向かう。久しぶりに再会した彼らの口から語られるのは、20年間言えずにいた想いだった。それぞれが抱えていた後悔が大きな傷となり、今も心に残っていることを知ったはる。そして自身もまた、心に閉じ込めていた想いを6人に明かすのだった……。(Movie Walkerより)


う~~ん・・・吉永小百合ありきの作品、ですね

余命半年と宣告を受けた夫と最後の日々を過ごすため父親の住む島に戻ってきたはる。仲睦まじく見えた夫婦ですが、他人に言えない苦労もあったということで・・そりゃ、命が尽きると言われて平静を保ち続けるなんて芸当は普通の人間には出来なくて当然で、夫が妻に当たることも多くなるわけです
でもねぇ・・・だからといって死期の迫った夫から他の男性に心を移すってのは個人的には理解できないんですよねそれを知ってて黙認する夫もなんだかなぁ切ないというよりやるせないです。

そんなはるを子供たちがどう見ていたかが、今回のノブの起した殺人事件で明かされる筋書きですが、それぞれ自分がはるや友達を傷つけたのではないかと気にしながら生きてきたという
事情が明かされても、すっきりするというより後味の悪さが残った気がします。
奇麗な歌声で誤魔化されんぞ~

あぶデカの二人が夫と愛人役やってることに時の流れを感じてしまったわ

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プーシキン美術館展

2013年08月16日 | 日々の出来事
2013年8月16日、横浜美術館にて鑑賞

当日券は窓口に行列と聞いて友人が前売り券を購入しておいてくれたので待たずに入れました。
美術展は殆ど行ったことがないけれど、印象派の絵は好みです。

今回の展示は、17世紀古典主義のプッサン~モネら印象派~20世紀のマチスまでフランス絵画史300年をたどる構成です。ロシア・モスクワのプーシキン美術館は、フランス絵画のコレクションが有名なんだそう。ロマノフ王朝の歴代皇帝やイワン・モロゾフら大実業家が収集した作品の中から厳選された66点が展示されていました。

目玉はルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」(1877年)。当時の人気女優がモデルで、背景がピンクというのも当時では異色だったそうな。
穏やかで柔らかい色遣いと笑顔がとても印象的でした。

でも一番気に行ったのはモネの「陽だまりのライラック」なんだな
判じ絵のような、木陰で寛ぐ貴婦人と召使いのぼやけた陰影が何だかとても心にストライク出口近くに設けられたショップで絵ハガキを求めようとしたら「売り切れ」と言われ、「ジャンヌ~」を買ってきました

展示作品を色々な角度から比べて楽しむという企画は夏休みの子供たち向けに解説パネル付きで紹介されています。もちろん大人も楽しめました

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シュガー・ラッシュ

2013年08月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年3月23日公開 アメリカ 101分

アクション・ゲーム「フィックス・イット・フェリックス」の敵キャラを30年間も演じているラルフ(声:山寺宏一)は、嫌われ者の状況にうんざりしていた。悪役グループセラピーにも参加してみるが気持ちは晴れず、パーティの会場へ乗り込んでみたものの歓迎されず、遂にはヒーローメダルを手に入れてヒーローになると宣言。シューティングゲームの「ヒーローズ・デューティ」の世界に潜り込んだ彼は何とかメダルを獲得するが、敵キャラのサイ・バグと共に脱出ポッドでお菓子だらけのレースの世界「シュガー・ラッシュ」に飛ばされてしまう。そこで彼は、仲間外れにされてレースに出ることを禁止されている少女ヴァネロペ(諸星すみれ)と出会う。苦労して手に入れたメダルをヴァネロペに勝手にレースの参加登録料として使われ憤慨するラルフだったが、お互いに孤独を抱えていた彼らは次第に意気投合し、友情を育んでいく。一方ラルフ不在により混乱が生じたゲームの世界を救うため、フェリックスはサイ・バグを追うカルホーン軍曹と共にシュガー・ラッシュへやってきて・・・。


懐かしの8ビットゲームの悪役キャラが大活躍するディズニーのCGアニメです。
悪役が主人公というのが現代風よね
一口に悪役と言っても、本人は好きでやってるわけじゃないのだから悩むんです。
自分も他の人から好かれたい、ヒーローになりたいと思うのはごく自然なことよね。

そんなラルフが別のゲームの世界に迷い込み知り合ったのはバグのある少女ヴァネロペ。
最初は反発しあっていた二人ですが、共に仲間はずれの孤独な身と知り次第に友情が芽生えていきます。協力し合って車を作ったり、運転の練習をしたりする様子が

ラルフの住むゲームのキャラたちは直線的でぎこちない動きですが、唯一ラルフはなめらかで自然に動いています。背景も単純でレトロ感に溢れているの
そんな彼が迷い込んだのは最新型シューティングゲームの鋭角で危機的なダークな世界。そして荒くれ者のラルフとは正反対の可愛いポップなお菓子の世界です。
ゲーム間の移動方法は配線をレールに見立てターミナル駅から各ゲームに運ばれるというもの。発想がなかなか個性的です

ところで、ゲームの世界では、自分のゲームから抜け出して他のゲームに行くことを「ターボ」と呼んでいるのですが、その云われが物語の伏線となっていました。

シュガー・ラッシュの国の王様=キャンディ大王は親切めかしてラルフにヴァネロペのレース出場を止めるように言いますが、その狙いは別にあったのです。
それを知ったラルフは彼の野望を阻止しヴァネロペを救うため命懸けで戦います。

もちろんディズニー作品ですから、「正義は勝つ」わけで、最後は大団円のハッピーエンドフェリックスとカルホーンとのも盛り込まれてるのは余計な気もするけど

カラフルでスイートなお菓子の世界に浸るのも良し、レトロなアーケードゲームに子供心を刺激されるも良し、悪役キャラが抱える悩みに共感するのも良し大人も子供も楽しめる良質なファミリー向け作品です




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少年H

2013年08月14日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年8月10日公開 122分

昭和初期・神戸。洋服の仕立屋を営み、柔軟な考えを持ち、家族を温かく見守る父親・盛夫(水谷 豊)。大きな愛で家族を包む母親・敏子(伊藤 蘭 )。そんな二人のもと、好奇心旺盛に育つHこと肇(吉岡竜輝)。そして妹の好子(花田優里音)。幸せに暮らしていた4人だったが、H一家の周りでも、近所のうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)が、政治犯として警察に逮捕されたり、召集令状がきたオトコ姉ちゃん(早乙女太一)が入隊せずに脱走して、憲兵に追われるなど、徐々に不穏な空気が漂うようになっていく。やがて戦争がはじまり、軍事統制も厳しさを増し、おかしいことを「おかしい」と、自由な発言をしづらい時代となっていく中、盛夫は、周囲に翻弄されることなく、「おかしい」「なんで?」と聞くHに、しっかりと現実を見ることを教え育てる。
中学校に入ったHを待っていたのは、軍事教練ばかりが続く毎日だった。盛夫は消防署に勤めるようになり、敏子は隣組の班長に、そして好子は田舎に疎開することになるなど、戦況が不利になるにつれ、それぞれの日常が激変してゆく。ついに神戸も大空襲に襲われ、終戦を迎えたとき、街は見渡す限り焼け野原になっていた。その中で、神戸も日本も新しく生まれ変わろうとする。そして、Hの一家も、小さいが確かな一歩を踏み出していく。(東宝WEB SITEより)


妹尾河童氏の自伝的小説の映画化です。(TVドラマ化もされていたのね
今まで作品の存在は知っていても食指が動かなかったのですが、今回はキャストに惹かれて鑑賞しました

それにしてもお盆中のシネコンの何と言う混雑
いつもはガラガラな初回の時間ですら長蛇の列。開映10分前に並んだのに、本編上映時間にギリギリ間に合ったから良かったものの、前から三列目という首の痛くなる座席しかありませんでした。
映画が終わって出てみたら、朝よりもっと長い列が出来てたのにも驚きました。
他にも観たい作品はあるけれど、新学期が始まってからにしようっと

リベラルな両親に育てられた少年Hは、一言多い少年でもあります。彼にとっては正しいことを堂々と言えないこの時代は、相当に窮屈で居心地が悪かったことでしょう。
逆にあの時代に思ったことを口にする危なっかしさにハラハラもさせられます。
この性格、母親譲りかも(母親はどんな状況でも信仰を捨てず、正しいと思ったことをする強い女性として描かれています。)

やがて戦争が始まると、主に外国人相手に仕立屋をしていた父は得意先を失くし、仕事も減って転職を余儀なくされます。キリスト教徒である一家への世間の目も冷たく、スパイ容疑をかけられて警察に引っ張られたりもします。その原因になったのはHがもらった一枚の絵ハガキの話を友人がしたからで、そのことで憤慨するHを父親が諭すエピソードがあるのですが、この時の会話が実に良いのその後の友人との会話も

Hが中学に上がる頃には、戦争も激しさを増し、軍事教練や農作業の毎日です。おかしいと思ったことははっきりと口にするHは田森教官(原田泰造)に目を付けられてしごかれますが、久角教官(佐々木蔵之介)や友人たちなど庇ってくれる人もいました。

終戦後、町内の吉村さん(國村隼)や柴田さん(岸部一徳)、それから学校の教官たちなど周囲の大人たちの変わり身の早さに呆れるHの視線は厳しさを増しています。少年の目に、今まで散々「お国のため」と言っていた大人たちが、掌を返したように民主主義に同調する姿はどう映ったのか想像に難くありません。

父親が当時の日本の状況を冷静に分析しながらも、敢えて異を唱えず周囲から浮かないように配慮していたのは、家族を守るためでもあったのでしょう。けれど、息子には「戦争が終わった後で自らに恥ずかしい人間にはなるな」と諭してもいます。
そんな父親が、終戦後は気の抜けたようになってしまいます。それまで立派過ぎるほど出来た人だったので、逆に少しホッとしたというのはこちらの勝手な思いですね憤慨し怒りをぶつけるHの姿は、彼の健全な発達の証とも言えるでしょう。

家を出て独立したいというHに立ち直った父親がエールを贈るシーンではつい「まだ15歳なのに」と思ってしまったのですが、当時はもう十分大人な年齢なんですよね
好きな絵の仕事で身を立てようとするHが手伝っていたのは「不死鳥」の絵。
まさに希望の未来へのメッセージというわけです。
ただ・・・今の日本は少年Hの目にどう映っているのかが気になりますが

登場人物たちは皆、どこにでもいる市井の人々です。そういった人々が国のためと信じ込まされ戦争への道を歩まされ、兵に取られ、子供を疎開させ、爆撃に怯え、食べ物にも困る生活を強いられました。そして戦争が終わると、今までとは180度違う考えに染まり民主主義の熱に浮かされたのです。一人ひとりは実に弱い、けれど案外に強かなのかもしれません。

映画にはアカ狩りや憲兵の拷問のエピソードや焼夷弾の降り注ぐ空襲シーンが出てきます。
その酷さに目を背けたくなりますが、このような非道さを直視することが、同じ過ちを繰り返さないためにも必要なことなのかも

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マリーゴールド・ホテルで会いましょう

2013年08月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年2月1日公開 イギリス=アメリカ=アラブ首長国連邦 124分

40年間連れ添った夫を亡くしたイヴリン(ジュディ・デンチ)は、多額の負債を返済するために家を売却。そして、同居を勧める息子の誘いを断り、インドの高級リゾート“マリーゴールド・ホテル”での一人暮らしを決意する。彼女の他、このホテルに申し込んでいたのは6 人の男女。イギリスに家を買うはずだったが、退職金を貸した娘が事業に失敗してインドにやってきたダグラス(ビル・ナイ)とジーン(ペネロープ・ウィルトン)の夫婦。股関節の手術を受けようとしたミュリエル(マギー・スミス)は、イギリスの病院では半年待ちと言われ、渋々インドへ。独身者ノーマン(ロナルド・ピックアップ)の悲願は、異国の地での最後のロマンス。結婚と離婚を繰り返すマッジ(セリア・イムリー)の目的は、“お金持ちの夫探し”。以前この地に住んでいた元判事のグレアム(トム・ウィルキンソン)は、数10年ぶりに知人に会いに来たのだが、ある事情があり、迷っていた。彼らが想像していた優雅な生活は、実際のホテルを目にして砕け散る。改装中というそのホテルを亡き父から譲り受けた若い支配人ソニー(デヴ・パテル)は、やる気だけは人一倍ながら経験不足。電話は使えず、ドアのない部屋もある。だが、既に前金を支払った7 人に選択の余地はなかった。ジャイプールの街に溢れる音と色彩、喧騒と人の数、そして暑さに圧倒されながらも、それぞれの生活を踏み出す。様々な悩みを抱えながらも、この地で過ごす時間が長くなり、互いの交流が深まるにつれて、少しずつ前に進んでゆく7人。その一方で、ホテルを復活させるために、ソニーは地元の投資家に援助を依頼。しかし、ホテルを一緒に相続した2人の兄と母親は売却するつもりでいた。こうして、インドに来て45 日が過ぎた頃、母親の説得に負けたソニーがホテルを閉鎖すると言い出す。再び人生の岐路に立ったイヴリンが巡り逢った、意外な運命とは……?(Movie Walkerより)

デボラ・モガーの小説『These Foolish Things』が原作。

初めに登場人物たちの日常の姿が映し出されます。そしてインド行きを決め空港ロビーの椅子に横一列に並ぶ彼らの姿がアップになると、その先に待ち構えているだろう出来事に期待が高まるのは、演じているのが錚々たる顔ぶれの俳優・女優陣だということも大いに関係しています。本当は劇場で観賞したかった~

7人の中ではイブリンが中心的な存在として描かれています。
信頼しきっていた夫が多額の借金を作っていたことを知り、これまでの生き方に疑問を持った彼女は、インドで新しい自分を見出そうとします。おんぼろホテルの暮らしを楽しみ、街の喧騒の中に進んで足を踏み入れ、仕事も見つけてくるのです。この前向きな姿勢は好感が持てます

ミュリエルは白人至上主義の偏見を持った女性。手術を受けるため渋々やってきたインドですが、主治医となったのは白人ではありません。でも差別丸出しの彼女に対してもインドの人々は温かい眼差しで接します。親身に世話をしてくれるインド人の女性の家に招かれ、家族の温かい歓迎を受けたことをきっかけにミュリエルの中の偏見も徐々に消えて行きます。実は彼女は長年家政婦として働いてきたのですが、若い同僚を一人前に育てたところでお払い箱になりました。手術後、ホテルで無為に過ごしているように見えた彼女はでも、他の誰より冷静に状況を観察しています。そしてホテルの存続危機の際にはその手腕を発揮しますさすが年の功

マッジとノーマンの目的は異性との出会い。いい年をして・・と思ったけれど、人生を謳歌したいという思いは年齢に関係ないものね

唯一、いけ好かないのがダグラスの妻のジーン。何事にも不満たらたらで後ろ向きな批判ばかり。ホテルに閉じこもって新しい生活に背を向け、挙句はグレアムに秋波を送る始末。同性としてもこんな女性は願い下げずっとこのまま終わるのかと思ったら、最後に一つだけ正しい選択をしました。夫への彼女なりの誠意だったのかも。

そしてグレアムは・・ゲイでした。インド人の使用人の息子との関係が家族にばれて引き離された過去を悔み、その時何もできなかったことを謝りたくて戻ってきたのです。そんな彼を励まし背中を押すのがイブリンとダグラスです。彼らのお陰で再会を果たしたグレアムは幸福な最期を迎えます。

一方、ソニーは、父親の遺したホテルを再建し、おそらくは身分違いの恋を成就せんと頑張っています。成功している兄たちへの対抗心もあるようです。かの国では家長制度が健在なようで、マザコン気味のソニーは母に逆らえません。母親は末っ子の彼のやり方を心配し口を出し、ホテルを閉鎖するよう迫り、恋人のことも認めません。けれど最後にこの母親の気持ちを変えたのは、ホテルで親子に長く仕えてきた使用人の老人の言葉と、ミュリエルの具体的な改善策でした。

人生の最後のひとときを過ごすためにインドに来た7人を、時にユーモラスに時にシニカルに描きながら、勇気を出して一歩を踏み出した彼らに寄りそう視線が温かいのもでした。

ジャイプールの雑多な喧騒や人々の熱気、寺院や市場の賑わい、ホテルのおんぼろだけど歴史を感じさせる佇まいなどロケーションも

う~~ん・・やっぱり劇場で観たかったなぁ

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珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を

2013年08月12日 | 
岡崎琢磨(著) 宝島社文庫(発行)

京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり―。軽妙な会話とキャラが炸裂する鮮烈なデビュー作。 (「BOOK」データベースより)

新聞の書評を見て面白そうだなと思って読んでみました。表紙絵も「ビブリア古書堂の~」に雰囲気が似ていたので、あの面白さを期待したのですがちょっと外れちゃいました

確かに後半は意外な展開で引き込まれるところもありますが・・・逆に筋運びが強引過ぎて引いちゃったかもだって、そもそも主人公が隠し事を胸に秘めているんだもんね。それを最後にバラしちゃうのですが、驚きはあるけど何だか騙された感が残って後味はあまり良くなかったな。

謎解き自体もあまりに日常の些末なことばかりで、「んなもん、どうでもいいだろよ」と悪態の一つもつきたくなるようなまぁ、この軽さが若者に受ける要素かもしれないけど。
美星バリスタの決め台詞「全然違うと思います」もイマイチ決まってない感じ
「僕」とバリスタの二人が本音で話してないような、居心地の悪い敬語の会話も気になっていましたが、最後に「僕」の素性が明かされることで、伏線としての表現だったのかと一応納得

シリーズ化されるのかな?第二弾も発売されているので図書館で予約かけてますが、二人の関係も進展がみられるなら、会話ももう少し自然になるのかしらん
電車やカフェで時間潰しに読むには手頃な作品といったところでしょうか。

ちなみにタレーランという店名は「良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い。」と言ったフランスのシャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール伯爵から来ているとのこと。
珈琲通の主人公ゆえ、やたら珈琲の蘊蓄が出てくるのも勉強になるかも?

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ローン・レンジャー

2013年08月04日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年8月2日公開 アメリカ 149分

少年時代のある忌まわしい事件のせいで復讐に燃える戦士となった悪霊ハンター、トント(ジョニー・デップ)は、その悲願のために、不思議な白馬シルバーの導きと自らの聖なる力によって、瀕死の状態にあった検事のジョン・リード(アーミー・ハマー)を甦らせる。レンジャー部隊の英雄である兄ダンを何者かに殺された過去があるジョンは、兄の敵を探すためにトントと手を組む。しかし、法に基づく正義の執行を求めるジョンと、復讐のためなら手段を選ばないトントはまったく噛み合わない。しかし、愛する者に再び魔の手が迫り、マスクをつけた謎のヒーロー“ローン・レンジャー”として生きる覚悟を決めたジョンは、白馬シルバーを従え、無敵の相棒トントと共に巨悪に立ち向かう……。(Movie Walkeより)


ジョニーファンの友人たちと観るため、この日までお預けで楽しみにしてました
二時間半と長いのですが、クライマックスの列車の上でのアクションからはスピード感溢れる展開で目が離せず、終わってみればあっという間。娯楽大作というに相応しい作品です

アメリカでドラマ、映画として人気を得ていた作品をリメイクしたものです。日本でもドラマ版がTV放映されたそうですが、観た覚えはないなぁ。でも「ハイヨー、シルバー!」や「インディアン嘘つかない」というフレーズは聞き覚えがあります。今回は「嘘つかない」のセリフはありませんでしたが、「ハイヨー、シルバー!」と「キモサベ」が取り入れられていました。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』のゴア・ヴァービンスキーが監督でジョニーがトント役というわけで、映画の端々に「POTC」のニオイがあることをと見るかと思うかは個人差があると思いますが、軽妙でコミカルな味付けは文句なく楽しいです。

二人の白人に安物の懐中時計で釣られて銀の山の場所を教えてしまったことから部族を皆殺しにされた過去を持つトントは、復讐を誓ってはぐれインディアンとして生きてきました。
ようやく敵の一人であるブッチ(ウィリアム・フィクトナー)を前に目的を遂げようとしたところを、正義感溢れる熱血検事ジョンに邪魔され、ブッチを彼の仲間に奪われてしまいます。

ところが、ブッチ捜索に加わっていたジョンが味方のレンジャーの裏切りで兄のダンを含めて皆殺しにされた時、白馬がトントが望むダンではなくジョンを選び、渋々彼を生き返らせるの

復讐だけが目的のトントと公正な裁判を望むジョンでは、考えも水と油です。
それでもブッチを捕まえるという共通の目的のため、二人は手を組むことにします。

二人で旅するうちに、ジョンはトントの過去を知ることになります。
そしてブッチの後ろにもう一人の黒幕コール(トム・ウィルキンソン)がいることを知った二人は、決着をつけるため、暴走する列車の中で、屋根の上での追跡劇を繰り広げるのです

足を失い同じくブッチに恨みを持つレッド(ヘレナ・ボナム・カーター)やジョンの兄嫁といった女性陣もそれなりに活躍し楽しませてくれます。

物語を見世物小屋の展示人形である老トント(ジョニーの老け顔メイク)が少年に語るという構成自体は必要性に乏しい気もしますが、この少年役の子の瞳の大きさったら可愛いから気にしないっと

もちろんジョニーが演じているわけですから、トントというキャラにもただの白人の従者ではない自由で孤高な性格が反映されています。銀山での騎兵隊とアパッチの戦いは爽快とはほど遠い哀しいやりきれないムードが漂います。少数民族への迫害という観点で考えさせられるところです。

一転、クライマックスの列車シーンはとにかくスピード感があり、一気に魅せます。
観終わってすっきりさっぱり席を立てる夏向きの作品ですね

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