杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

チェケラッチョ!! in TOKYO

2016年02月29日 | ドラマ
フジテレビ系列で2006年4月に放送されたドラマ全10回

映画『チェケラッチョ!!』のその後を描いたストーリー。沖縄の本部高校で市原隼人演じる透たちを無事、卒業させホッとひと安心の喜屋武先生。しかし、それもつかの間、教育委員会の手違いにより1学期だけ、非常勤として東京の高校で勤めることに。彼を待ち受けていたのは、誰も聞いてくれないダメダメ放送部の顧問。しかも最初の仕事は彼らに“廃部”を言い渡せというものだった…。映画同様、オリジナルラップにも注目!! (「Oricon」データベースより)

(主なキャスト)
青葉拓実(窪田正孝)放送部部長。中学時代プロのDJを目指していた
九条三平(木村了)クールに見えて女性の裸ばかり描いている
綱田慎吾(加治将樹)モテることばかりを考えている寺の息子
大木悟(渡部豪太)クラシック好きで指揮者になるのが夢
喜屋武茂雄:川田広樹(ガレッジセール)

3年の学年主任で東大卒教師の笹本梅子から、顧問として彼らに“廃部”宣言を命じられた喜屋武先生と放送部廃止を取り消してもらうため、ラップを作り校内放送で流そうとする4人のドタバタ劇が面白いです。
部費を稼ごうとお台場・フジテレビで清掃のアルバイトをすることになった4人は喜屋武の勝手な思いつきで“新人ラップオーディション” を受ける事になり、優勝は出来なかったけれど歌う楽しみを知ります。でもその様子が新聞に載ってしまい、PTAや教育委員会もやってくる騒ぎとなり、放送部を守ろうとした喜屋武がクビに。4人は「喜屋武のために何かやんない?」とライブを計画しますが・・・。
ベタな青春学園ドラマですが、何かに夢中になる姿はやっぱです。応援したくなっちゃいます。
4人のラップもなかなか決まってた・・・と思う


1.ラップだYO!
4人のキャラ紹介の導入部分。
正座シーンが可愛い
唯一のリスナーがヤギの信長だけだったなんて

2.ヤギでラップだYO
逃げ出したヤギの信長を捕まえたら廃部取り消しと言った喜屋武に乗せられた4人は、以前信長の声を録ったサンプリングマシンを使いラップに乗せて捕獲作戦に。

3.ラブでラップだYO 
片思いのあやに告白するため気持ちをラップで伝えようとした拓実ですが、あやが好きな相手は生徒会長の鷺乃目でした。
落ち込む拓実でしたが、あやが鷺乃目に告白して振られる現場を目撃し、ラップであやを元気づける4人。あぁ青春だ~!

4.友情ラップだYO!
クラシック好きな悟の肝心なところでパスしてしまう悪い癖を克服するため度胸をつけようとして失敗した拓実たちは、放送部よりオケ部(クラシック)が好きなんだろうと仲違いしてしまいます。悟の持って来たCDに入っていたのはパッフェルベルのカノン(途中からラップ調になるのね)。この曲に乗せて仲間を想う気持ちを伝えた拓実たち。もちろん最後は仲直り  

5.最強のもてラップ
引っ込み思案な園芸部のみさとへ慎吾が想いを伝えようとする回です。学食であんな風にラップで励まして送り出してもらうのって・・・すげ~~恥ずかしいけど気持ちよさそう

6.留学かラップか!?
三平がロンドンの大学医学部の飛び級試験に合格し、退部するという・・。
医者になるための近道を選ぼうとする三平に、好きなことは続けろという拓実。
男の友情話仕立てですね

7.テレビ局でラップ!?
部費を稼ぐためにバイトしたフジTVでラップオーデションを受けることになった4人。実は学食の料理人が実力派ラッパーだったという結局優勝どころかオーデションの申し込み料金分も加わり更に自分たちの首を絞める結果になるのですが、改めて音楽(ラップ)の楽しさに目覚める4人です。

8.東京砂漠の奇跡さ!
学食で皿洗いのバイトをすることになった4人。一方お見合いパーティで梅子とばったりの喜屋武先生でしたが、オーデションのことがPTAにばれてしまい、慌てて学校に戻ることに。更にはずみでPTA会長の息子の鷺乃目を殴ってしまったから大変

9.喜屋武、沖縄に帰る
PTAから放送部廃部とラップ禁止通告を受け、さらに教育委員会を怒らせたことで喜屋武先生はクビになってしまいます。
「後悔するな!前に進め 皆で過ごした時間を否定するな」の言葉を残し去ろうとする姿(だけは)カッコイイのだけど・・・。

10.涙のライブだYO
喜屋武先生へのこれまでの感謝の想いをラップの歌詞に乗せて届けようとライブを計画する4人に他の生徒たちも協力。(しまいに鷺乃目までがってのもいかにも学園青春ものの流れですね
このライブ、けっこうかっこ良かったです
劇中歌は keep it goin' on どんなときも前に進め byROM-4

もちろん、窪田君目当てでレンタルしたドラマですが、高校の制服姿も、ラップも初々しくて満足

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なりたい

2016年02月29日 | 
畠中恵(著) 新潮社(発行)

来世で何になりたいか苦悶中の若だんな! 神様に気に入られる答えは見つかるの~? 許嫁も決まった病弱若だんなは仕事を覚えたくて仕方がない! 渋る兄や達を説き伏せて働いたものの、三日で寝こんじゃった。寝ながらできる仕事を探すことになったけど、悪戦苦闘。しかも消えた死体を探せとか、猫又の長を決めろとか、おまけに神様まで……。長崎屋の離れは今日も事件でてんてこまい! シリーズ第十四弾!


・序
若だんなの病回復を願い五柱の神を長崎屋の離れに招いてもてなしたまでは良いが、神様方から来世何になりたいのかの返答を迫られ・・・
古来日本の神々は優しいだけではなく祟る存在として恐れられてもいます。返答如何ではどんなことになるやら・・・さてさて、若だんなはどう答えるんでしょう

・妖になりたい
自分も役に立ちたいと考えた若だんなは、あかぎれに効く軟膏の処方を思いつくが、基剤の蜜蠟を得るため妖になって空を飛びたいという願いを叶えることになり・・・天狗の黒羽坊と友人の赤山坊も登場し、広徳寺の屋根でもひと騒動が
若だんなの機転で双方丸く収まるのはいつも通り

・人になりたい
江戸甘々会のメンバーである勇蔵が殺され、死体が消えた?
江戸留守居役の武士の思惑が絡んだ真相。実は勇蔵は道祖神が人になった者で、子供たちの喜ぶ顔が見たくて菓子作りになったのです。
会の一人は安野屋の主人(栄吉の修行先)だったことから若だんなが解決に一役買います。

・猫になりたい
戸塚の猫又の長争いと染屋の商いに巻き込まれた若だんな。
最終的に江戸の猫又が悪さをして、その裁きをさせて長を決めることになります。
懐の深さを見せた裁定に双方納得して穏便に解決です

・親になりたい
柿の木屋の主が火事場で拾った子が妖だったことから騒動が持ち上がります。
長崎屋の奉公人のおようとの再婚話の相手だったため、これまた若だんなが引っ張り出され・・・。
おようは子が出来ないため出戻っていたのですが、捨て子を我が子として育てる決意をして柿の木屋との再婚を強く望んでいます。結局その捨て子は付喪神の片割れだったため、姿を消すことになるのですが、再婚した二人の間に子が出来・・・という結末。
「三年子無くば去れ」が常識だった江戸時代、最初の夫は種無しだったというオチですね

・りっぱになりたい
古川屋の跡取り息子がなくなり、最後の親孝行をしたいと若だんなを頼ってきます。
彼は来世でなりたいものを親の枕元で告げて安心させたいのだそう。
相談に乗ろうと動く若だんなですが、古川屋の妹の誘拐騒ぎが起こり・・・
実は跡取り息子の死で、縁談が流れるのではと不安になった妹が、相手に相談するため家を抜け出したのを利用した手代の仕業とわかるのですが、この事件がきっかけになって「来世は岡っ引きになる」と親の枕元に立ち安心させて、跡取り息子はあの世へ旅立っていったのでした。

・終
神様の問いへの若だんなの答えは生まれ変わってもまた妖たちと再会したい。彼らと一緒にいられる場所を用意できるような商人になりたいというものでした。神様方は大層満足し、きっと願いを叶えようと約束します。
(これが、外伝「えどさがし」に繋がっていくのですね。)

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X-ミッション

2016年02月22日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年2月20日公開 アメリカ 114分

若きFBI捜査官ジョニー・ユタ(ルーク・ブレイシー)に、超一流アスリートチームに潜入せよとのミッションが下される。エクストリーム・スポーツのカリスマ、ボーディ(エドガー・ラミレス)が率いるこの集団には、重大な疑惑がかけられていた。その天才的なスポーツ・スキルを駆使し、前代未聞の方法で次々と犯罪に手を染めているというのだ。自らも元アスリートであるユタは、ボーディに度胸と才能を認められ、チームに招き入れられることに成功する。しかしながら、命を危険に晒しながら共に行動するうちに、ユタはボーディの究極の信念に心が奪われていく。果たして、ユタはFBI捜査官として決定的な証拠を掴み、彼らを捕えることができるのか?そして明かされる、彼らの本当の目的とは?(チラシより)



パトリック・スウェイジ&キアヌ・リーブス主演の「ハートブルー」のリメイクです。
元になった映画は未見なので比べようもないのですが、FBIの捜査ものだと思って観たら当てが外れます。トップアスリートたちの生身のスタントによる迫力のエクストリームスポーツアクションを楽しむための映画と言った方がいいでしょう

ジョニーが潜入したアスリートチームの目的は、自己利益の追求ではなく、地球のために資源を還元するいう信念に基づいていますが、それって妄信的なテロリストに近い存在ともいえます。彼らのバックにいるのは下手な小国よりも資金のある大金持ちですが、彼の目的はいまいち伝わってきませんでした。自分の儲けのために彼らを利用しているのではなく、単なる暇つぶし、有名になりたい=宣伝目的な感じ。ライバルであるアメリカ企業を邪魔するためって方がハリウッド的だと思うんだけどね~

ジョニーは7年前に親友を亡くしたことに責任を感じています。自分を律する仕事に就こうとして選んだのがFBI。う~~んそれって極端だよね。米国企業が出資しているムンバイやメキシコで事件を起こした犯人が高度なスキルを持ったエクストリームスポーツ集団だと気付いたジョニーは、上層部に進言して自ら潜入捜査を始めます。(ここ、チラシのあらすじから受ける印象と違ってますね)彼らがある信念に駆られて行動していることを探り出すのですが、元は同じアスリートなので、彼ら、特にリーダーのボーディとは深い絆が生まれていくのです。

ミイラ取りがミイラになると心配する連絡役のパパス(レイ・ウィンストン)や教官は保護者的存在感がありました。

サーフィン、ウィングスーツ、ベースジャンプ、モトクロス、スノーボード、フリークライミングと様々なミッション(課題)に挑む様は、まさにアドレナリン全開のパワーを感じさせてくれます。これを部屋のTVで観るのはもったいないと思って選んだのですが大正解!!やっぱりこの迫力はスクリーンじゃなくっちゃ

ボーディは初めからジョニーが警官だと知って彼をチームに入れました。友人の死から立ち直れていないジョニーに手を差し伸べた形です。最初の出会いが大波のサーフィンで、終わりもまたそこに帰結する展開は良かったです。

でも・・・ジョニーがやったことって、捜査官としてはどうなんだろ?
チームのメンバーがスノーボードやフリークライミングで命を落としたのは、最終的には自己責任(ちなみにジョニーの親友の死もそうではありますが)なのですが、彼と関わったことで起きた事故でもあるよね。銃撃戦の際に殺されたメンバーも同様です。(情を交わしたサムサラ(テリーサ・パルマー)をボーディと間違えて撃ち殺してしまった場面は悲痛でした。 これ、メットを脱がない時点で想像はついてたんですけどね。)
ボーディだってあのラストの荒れ狂う海上で逮捕すべき案件の筈。彼を止められなかったのは、ジョニーがアスリートとして、友人として行動した結果であり、捜査官としては失格だと思うんだけど

捜査ものとしての満足度は低いですが、スポーツとしては超一流だと思います。
CGを使わない、世界トップクラスのアスリートの協力の下で作られた「本物」の迫力にただただ息を呑むばかりの二時間でした

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イニシエーション・ラブ ネタバレあり

2016年02月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年5月23日公開 110分  

side-A
奥手な静岡大学数学科の4年生・鈴木夕樹は、人数合わせで参加した初めての合コンで、歯科衛生士の成岡繭子(前田敦子)に一目惚れ。彼女の指にはルビーの指輪があり、自分へのご褒美で買ったと話す。後日、同じメンバーで静波海岸に行き、電話番号を教えてもらう。
古典文学と推理小説、好みの違いはあったが共に読書好きの二人は、本を貸し借りする内次第に親しくなっていき、夕樹→タキ→たっくん、マユちゃんと呼ぶようになる。
マユのアドバイスでメガネをコンタクトに変え、DCブランドの服を買い、自動車学校にも通うようになり、遂に結ばれた二人はデートを重ね、クリスマスイブを静岡ターミナルホテルのディナーを予約し、幸せな恋人同士の時間を過ごしていた。

side-B
繭子との付き合いを続けるため大手企業を蹴って慶徳ギフト静岡に勤めたたっくん(松田翔太)だが、成績優秀なため東京本社への研修を命じられる。東京と静岡を往復する生活を続けるうち、本社の才色兼備な女性社員・石丸美弥子(木村文乃)にアプローチされて徐々に気持ちが傾いていった彼は、繭子から妊娠を告げられると堕胎を選択し、次第に静岡から足が遠のいていく。美弥子とも関係を持った彼は、繭子に一方的に別れを告げ去っていく。


乾くるみの同名小説の映画化で、バブル最盛期を迎えた1980年代後半の静岡が舞台です。
エンディングは原作と異なるそうですが、未読なので比較はできません。

カセットテープのようにA面B面の二部構成で進む物語は、A面で登場するおデブで風采の上がらないたっくんが可愛いマユちゃんに釣り合うよう髪型やファッションを変え、遂には痩せる決意をするというところでB面に切り替わるため、松田翔太に変わっても「あぁ、劇的に痩せたのね」と思わせてしまいます。A面の俳優さんが、お洒落になっていく中で、どことなく翔太君に似てくるのが成功の秘訣ですよね。それでも冷静に考えたらあのおデブちゃんが翔太君になり得ないんですが

たっくんの二股が繭子にばれるのは、彼が繭子を「美弥子」と呼んでしまったから。これは酷い裏切りです。動転した彼はDV男に変身。出会った頃のおどおどした彼とはまるで別人で人が変わったように見えますが・・・そりゃ当たり前って後で気付かされるのです

クリスマスが近づいた頃、ホテルのイブ予約したことを思い出してキャンセルするたっくん。A面ではホテルのキャンセルが出たと喜ぶ二人・・・ここも年度が違うんだろうとミスリードされてしまうんですよね。

エンドロールでは80年代のアイテムや時事ネタの解説があって、今世代の若者たちには新鮮、当時の若者には懐かしいプレゼントです。「最後の5分、全てが覆る。あなたは必ず2回観る」とはうまいキャッチフレーズですね。

そう、side-Aとside-Bのたっくんは全くの別人だったというオチ。
美弥子が自宅にたっくんを招いて両親(片岡鶴太郎、手塚理美:男女七人繋がり)と食事したイブの日、数日前に酔って間違って繭子に電話してしまった時の彼女の様子が気にかかった彼が思わず繭子の元に向かった後で、美弥子が両親に彼の名前は辰也、鈴木辰也だと話したところで観ている方はアッと真相に気付くの

ホテルの前で三人がバッティングするラストでの繭子の笑顔が恐すぎ~~
裏切ったのはお互いさまでW二股だったのね~~

この話の面白いところは、男はいつまでも過去を引きずり、別れた後も自分のことを好きでいるのだと己惚れている生き物であることを隠しようもなく示している点です。反対に女は別れた途端、未来に目を向けるのだということもね。

繭子ってば完全に二股でしょというより・・・美弥子は以前、たっくんと繭子の恋愛は「イニシエーション・ラブ=通過儀礼的な大人になるための恋愛」じゃないのかと指摘するのですが、まさに繭子にとってそうだったということなのでしょう

ネタバレしてしまえば、夕樹をむりくり「たっくん」と呼ぶとか、辰也に日焼け痕を指摘されて友達と行ったというのも合コンメンバーとだったこととか、お腹が痛い→便秘と打ち明けた時は中絶後だったからだとか、ルビーの指輪は失くしたのではなく辰也に送り返したからだとか色々合点がいくわけです。こういうことをおそらくは無邪気にやってのける繭子って・・・ある意味最強の女で恐いぞ
富士通に内定していると合コンで紹介されていたたっくんがB面で地元企業に就職していたのも巧みなミスリードでした。

映画に登場する音楽も懐かしの名曲揃いでございます
sideA
SHOW ME(森川由加里)
揺れるまなざし(小椋佳)
君は1000%(1986オメガトライブ)
Yes-No(オフコース)
Lucky Chanceをもう一度(C-C-B)
愛のメモリー(松崎しげる)

sideB
木綿のハンカチーフ(太田裕美)
DANCE (浜田省吾)
夏をあきらめて (研ナオコ)
心の色 (中村雅俊)
ルビーの指環 (寺尾聰)
SHOW ME(REPRISE)(森川由加里)

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カリフォルニア・ダウン

2016年02月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年9月12日公開 アメリカ 114分

米カリフォルニア州の太平洋岸に1300キロにわたってのびるサン・アンドレアス断層が横ずれし、巨大地震を引き起こした。フーバーダムの決壊に始まり、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスの街が次々巨大地震により破壊されていく。全米屈指の超高層ビル群やゴールデンゲートブリッジ、ビバリーヒルズが崩壊し、地面には深い亀裂が広がり、大津波が襲い掛かる……。ロサンゼルス消防局の腕利きレスキュー隊員のレイ(ドウェイン・ジョンソン)は、妻や娘(アレクサンドラ・ダダリオ)からのSOSを受けて救助に向かう。


巨大地震と津波による未曽有の被害により崩壊するロサンゼルスを描いたディザスターパニック映画です。
冒頭で崖から転落した一般人の救出以外、レイは任務放棄で自分の家族の救出に全力を注いでましたけど・・・これってありですか?
普通、レスキュー隊員なら自分の家族より仕事に対する責任感の方が勝るのではないかと思うのだけど彼はひたすら自分の家族「だけ」を救うという・・その点は違和感が拭えませんでした。

レイと娘のブレイクの仲は良好なのですが、妻のエマ(カーラ・グギノ)とは離婚協議中。エマには大手建設会社を経営するリディック(ヨアン・グリフィズ)という恋人がいます。夫婦にはもう一人の娘がいましたが、水難事故で亡くしていました。その時一緒にいたレイは父親としてもレスキュー隊員としても救えなかったことに深く傷つき自分を責め、妻の慰めも拒絶したことから夫婦仲が冷めたようです。

救助活動のため家族の元を離れたレイに代わり、リディックが娘を同道しますが、サンフランシスコで再び地震に襲われてしまうの。地下駐車場で車に閉じ込められたブレイクを放ってパニックになったリディックは逃げ出してしまいます。親切そうな顔の裏は自己保身の塊というよくあるパターンですね彼女を助けたのは、リディックの会社の面接を受けに来ていたベン(ヒューゴ・ジョンストーン=バート)と弟のオリー(アート・パーキンソン)でした。

一方、リディックの姉スーザン(カイリー・ミノーグ)(人を見下す態度のタカビー女で、エマを置いてこちらも逃げ出そうとして転落して退場)とランチ中だったエマも超高層ビルに閉じ込められますが、ヘリコプターで急行したレイに間一髪救われます。リディックが娘を置き去りにして逃げたと知ったエマは恋人への愛想が尽きた模様。母としては当然の感情ですね。ちなみにリディックも街をさすらった挙句津波によるタンカー転覆の巻き添えで死亡します。(地震が起きなくてもこういう輩とはいずれ破局するんでしょうけどね

ヘリが故障で墜落したり、暴徒の中を車で脱出したり、セスナ機からパラシュートで飛び降りたりと華々しいアクションを繰り広げながら娘の元へ向かう夫婦。ブレイクも父親が救助にやってくることを信じ高い場所に逃れようとベンとオリーと一緒に行動します。レスキュー隊員の娘だけあって、携帯が通じないと無線を利用したり、乗り捨てられた消防車から必要な救急セットを取り出したりとその冷静沈着な行動は男顔負けで、これなら彼女だけでも十分助かりそうな気配です。

リディックの建設中のビルに逃れた三人は巨大津波に襲われ、小型船で救助に向かった両親の目前でビルの窓ガラスが割れて水に呑まれてしまうの。閉じ込められたブレイクがレイの目前で力尽きて溺れてしまいます。再びの悪夢?いやいやそれでは物語が成立しないよなぁと思ったらやっぱり助けちゃうんだな、お父さん&ベン必死の救命措置で奇跡的に息を吹き返したブレイクちゃん。めでたしめでたしな家族の再出発でございます。

地震予知研究者のカリフォルニア工科大学のヘイズ教授とキム博士は、地震発生前のパルス変動から予知に成功しますが、時既に遅しで、最初の犠牲者はキム博士でした。ヘイズ教授は更なる大地震の発生を政府関係者に警告しますが相手にされず、取材に来ていたメディアを使って情報を流します。それにより大勢が救われたと・・・(レイがいてもいなくても大勢に影響はなかったということでもある?)国の重い腰はどこも同じなのね

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靴職人と魔法のミシン

2016年02月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年6月5日公開 アメリカ 98分

ニューヨーク市マンハッタン区にあるロウアー・イーストサイド地区で代々続く小さな靴修理店を営むマックス(アダム・サンドラー)は、年老いた母親と二人、ごく単調な毎日を過ごしていた。ある日電動ミシンが故障してしまい、やむをえず古くから伝わるミシンを物置から引っ張り出して靴を修理したところ、直した靴を履いた途端にマックスは靴の持ち主に変身する。驚いたマックスは、それからというもの、ミシンの力を使って他人に変身し、自分の知らない世界を体験していく。やがて親孝行しようと思い立ったことから、思わぬトラブルを呼んでしまう……。(Movie Walkerより)


冴えない中年男が、魔法の力を借りて人生の喜びを発見する様を描いたヒューマンコメディです。

彼女も貯金もないマックスの暮らしは単調そのもの。人生の喜びもなく過ごしていた彼の生活は、先祖伝来の旧式ミシンの魔法の力に気付いて一変します。靴の持ち主に変身した彼は未知の人生を体験するという刺激的な日々を満喫するのです。
スポーツバッグに沢山の靴を詰めて町に繰り出す姿は新しい玩具に大喜びの子供に似ています。どんな人に変身してもそのBAG故、観ている方はすぐに彼だとわかってしまう効果もあるのね。

老母にも楽しさを分けてあげようと思った彼は、子供の頃に二人を置いて突然姿を消した父にもう一度会いたいという母の願いを、父の靴を履いて叶えてあげます。それで心残りがなくなったのか、翌朝母は亡くなってしまうのです。彼自身は自分たちを捨てた父を恨んでいて、せめて母のために墓を買ってあげようと決意します。

再び仕事に精出すマックスでしたが、横柄な客の暴言に怒り、彼を懲らしめてやろうと後をつけて住まいを見つけて留守を狙って部屋に入ります。おいおい、それって泥棒だよ物色中、銃とスタンガンを見つけたマックスはその男が危険人物だと気付くのですがそこへ男の部下がやってきて面倒なことに巻き込まれ絶体絶命のピンチが・・・。

マックスを救ったのは隣の店のジミーでした。実はジミーこそ消えた父親その人だったのです。
ミシンの秘密を当然父親は知っていたわけですね。そしてマックスと同じように父も他人の人生に首を突っ込んでヤバイことになってしまっていたという。親子だねぇ妻子を守るために姿を隠さなければならなかった父は、親友だったジミーに頼んで彼の姿になり家族を見守っていたのでした。そして地下室にはたくさんの変身用靴のコレクションが・・・。

靴の持ち主に変身できるというのは面白い発想ですが、狭い町の中、本人と出くわす可能性や、なりすましたことがばれる可能性の方が大きい気もしますが・・・そもそも、やってることは軽犯罪から殺人まで、しっかり「罪」ですから
これが笑いとして成立するあたりがいかにもアメリカ的発想なのかもね

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ダメ男に復讐する方法

2016年02月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年製作 アメリカ 110分 日本未公開
原題: The Other Woman

NYで敏腕弁護士として活躍するカーリー(キャメロン・ディアス)は、現在付き合っているお金持ちでイケメンのマーク(ニコライ・コスター=ワルドー)といずれは結婚したいと考えていた。ある夜、カーリーはマークの自宅をサプライズ訪問するが、彼女を出迎えたのは彼の妻であるケイト(レスリー・マン)だった。マークが妻帯者だったことに驚きその場を逃げ出したカーリーだったが、後日ケイトが彼女のオフィスにやってくる。話をするうち意気投合した二人は、他にも愛人がいるのではないかと疑い、追跡を開始。するとアンバー(ケイト・アプトン)という若い美女とも交際していることが発覚する。アンバーにも事実を打ち明けたカーリーとケイトは、三人で憎きマークへ復讐をするべく立ち上がる・・・。


しょうもないコメディかなぁと観始めたのだけど、これがなかなか面白かったです
カーリーはやり手の敏腕弁護士なのにマークの嘘を見抜けなかったというのは引っかかりましたが、妻帯者だと知った途端熱が醒めてしまうあたりはドライで基本真面目な性格が出ていました。
反対に、妻のケイトは世間知らずの専業主婦。少女っぽさが抜けきらず天然なキャラ。場の空気を読めずに自分の感情を暴発させてしまうのですが、何故か憎めないの。自分に無いものを持つ二人だからこそ気が合ったのかも。
若いアンバーはナイスバディの巨乳ちゃんだけど気の良い子。
三人が意気投合したのも基本的には男の趣味が一緒だったってこともあるのかな
(その意味では、マークの女性選択基準は正しかったってことでもあるよね。)

カーリーとケイトは喧嘩しながらも心許せる友情を確立していきます。年の離れたアーバンともね。
キャメロンのコメディエンヌぶりは堂々たるものですが、レスリーが演じたケイトの天然ぶりがまた見事でした二人が醸し出す雰囲気が、シュールな修羅場を笑いに変えてしまいます

マークに対する復讐の第一歩は、歯ブラシへの悪戯や下剤を混ぜたりといったたわいもないものでしたが、彼が妻の名前を使ってバハマの銀行に横領したお金をプールしていることがわかり、それまでは気持ちの揺れていたケイトも決意を固めます。こうなると女は強いのよ
カーリーの事務所に呼び出して三人揃ってマークに詰め寄るシーンは小気味よかったです。

ケイトは仕事の才能を開花させ、カーリーとアンバーにも新恋人が出来てハッピーエンド。
カーリーのお相手はケイトの弟のフィル(テイラー・キニー)でアンバーの方はカーリーの恋多き父親(ドン・ジョンソン)。どちらも出会いのシーンからその後が予想できたのはご愛嬌
浮気男(しかも根底は女性蔑視の最低野郎)のマークは家庭も仕事も失い、ざまーみろの結末でした

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最高の離婚 (初島淳之介限定)

2016年02月13日 | ドラマ
2013年1月10日~3月21日毎木曜22:00~22:54「木曜劇場」放送 フジテレビ

このドラマはリアルタイムで観ていました。
当時は主役の2カップルにしか目が行ってなかったのですが、光生と結夏の歯に衣着せぬ丁々発止のやり取りに吹き出しながらも、時々ドキッとする重いセリフに胸を衝かれた記憶があります。諒と灯里の関係より数倍感情移入できたなぁ
演じている窪田君のことは全く知らなかったのだけれど、結夏に接近してくる初島淳之介は、出番は多くはなかったけれど、印象に残るキャラでした。
今回は窪田君演じる淳之介君限定で感想を

第三話
結夏が出かけた合コンのメンバーとして登場。デザートの注文でも同年代の女子にはフォンダンショコラとか頼んであげるのに年上の結夏には草餅とかわらび餅って・・思いっきり失礼かましてます。(たぶん本人には失礼だという自覚はなくて年上の女性は和菓子が好きくらいにしか思ってない。逆に親切で言ってる節あり)
この時遅れてやってきた釣り合い取れそうな年齢の男性と付き合い出した結夏でしたが、映画の待ち合わせに遅刻して振られたその場所に清掃のバイトをしていた淳之介が居合わせて声をかけるの。その後の展開を匂わせるシーンです。

第四話
屋台で飲みながら出身地が同じ静岡と知って意気投合し急激に距離が縮まる二人。
飲み過ぎた結夏が目を覚ましたのは淳之介の部屋。彼の顔には点線の切り取り線が描かれてます焦る結夏に何もなかった、家族が証人と説明する淳之介君。気まずい朝の食卓・・彼の妹のすくいあげるような目線が痛い結夏。このくだりも笑える~前話では苗字で読んでいた淳之介ですが、この朝から結夏さんと呼んでいるのもツボです
その後も近くに来たからと一緒にランチ?する二人。結夏の頼んだクリームスパの納豆トッピング(不味そう)を気持ち良く引き受ける淳之介がなんかカッコイイぞ。この時結夏はバツイチだと打ち明けるのですが、「結婚も離婚も幸せになるためにするんでしょ?だから結夏さんはこれから幸せになる途中にいるんですね。」と言う淳之介。結夏じゃなくてもぐっとくるセリフです
淳之介の妹の誕生日のお祝いにいそいそとロールキャベツを作りに行くのも納得よね

第五話
居酒屋で光生の悪口を延々と語り続ける結夏を斜め見して拗ねてる淳之介が可愛いです。
「他の男の話なんか聞きたくない」という淳之介に「なんで?」と問い返す結夏さん、天然ですね結夏を見る淳之介の子犬のような目・・・さすがに彼の想いに気付いた結夏・・そりゃ~アルコール欲しくなるってば

第六話
光生の風邪をうつされ寝込んだ結夏の代わりにクリーニング店の手伝いを頼まれた淳之介君は、結夏が食べたがっていたレッドベルベットケーキをお見舞いに持ってきます。(彼女に頼まれていたのか、好みを知っていたのかは不明)以前クリーニング店でバイト経験のある彼はテキパキと仕事をし看板まで直してくれます。結夏に合わせず追い返そうとする光生との玄関でのやりとりが笑えるの
結夏に夕食を誘われ素直に上がり込んだ淳之介にいちいち突っかかる光生が子供っぽく見えます。(ギョーザをさなぎに例えるなんて実に大人げないぞ、光生!!)半分口に入れて固まる淳之介がまた可愛いけどギョーザの皮の包み方なんぞは実家でお手伝いしていたらしい窪田君の手つきは手慣れたもので、役としても結夏に褒められてました 光生と共通の話題を探して音楽はエグザイルやファンモンが好きって言ったのも素のまんまな気がしてです。

翌朝、バイクを取りに来た淳之介が、そのまま夜のコンビニのバイトに出かけて寝てないことを知り強引に家に連れてきて休ませる結夏。光生のパジャマを着せるのはどうかと・・・(サイズが)ピッタリと言ってますが微妙に大きいぞ熱があったので入浴できなかった結夏は淳之介に覗くなと釘をさして風呂場に消えます。結夏の臭いを嗅いで頭をはたかれる淳之介も可愛いし、その後の恨めしそうな目つきも
ところが亜以子さんが見舞いのお重を持って来たから大変ベッドに寝ている淳之介(寝顔がまた可愛い)を見て慌てて帰ろうとするところに「年下の男の子」の鼻歌を歌いながら結夏の登場。「何かおりましたか?」「はい、年下の男の子」このやりとりもナイスです大あくびをしてボリボリ体を掻きながら出てくる淳之介の肩がパジャマから出てるのが何とも悩ましいのも萌えツボです。

第七話
淳之介ったらいきなり結夏に婚姻届けを突き出します。既に自分の署名入りだし。若さ丸出しの直情行動ですね。目黒川沿いの道路を歩きながら会話する二人。自分をがさつな人間だと言う結夏に大らかなんだと返す淳之介。二人とも桜の木を見上げながら桜が好きと言う場面は、光生と灯里が桜の木の根元を見ながら桜は嫌いと会話する場面と対になっています。
淳之介のプロポーズを「あんたじゃない」と断り、婚姻届けを突き返す結夏に、紙を丸めて投げつけ「くそばばあ!」と叫ぶのですが、その後にかっと笑うのね。それで結夏も「くそがきっ!」と返すことができます。ちょっと泣き笑いのような表情になって去っていく淳之介が可愛いです。こういう瞬間の刹那的な表情の変化がとっても上手い窪田君です。

第九話
プロポーズは断られたけど、淳之介ってば金魚カフェにはやってくるのね
結夏の酒癖の悪さ(酔うと記憶を失くし、キス魔になること)を指摘する時も無邪気なほどにあっけらかんとしています。第四話で淳之介の家に泊まった時の彼女も実はキスを迫っていたんですね

第十一話(最終話)
大団円となった後にも2カット登場あり。
クリーニング店の店先で結夏に宅配便を渡すシーン(今度は宅配のバイトですか)と台車に載せた荷物に光生がぶつかってこけるシーン。
どちらも屈託のない笑顔が印象的です。

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キャロル

2016年02月12日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年2月11日公開 イギリス・アメリカ 118分

1952年ニューヨーク、クリスマスを間近に控えて街は活気づき、誰もがクリスマスに心ときめかせている。マンハッタンにある高級百貨店フランケンバーグのおもちゃ売り場でアルバイトとして働く若きテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)。フォトグラファーに憧れてカメラを持ち歩き、恋人のリチャード(ジェイク・レイシー)から結婚を迫られてはいるが、それでも充実感を得られず何となく毎日を過ごしていた。
そんなある日、おもちゃ売り場にキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)が6歳の娘リンディへのクリスマスプレゼントを探しに訪れた。テレーズはエレガントで美しく魅力的なキャロルから目を離すことができなかった。キャロルもその視線に気づいた。そのままキャロルの応対をするテレーズはプレゼントを一緒に選び、イブまでに届くように手配をした。その際キャロルが手袋を忘れていってしまう。テレーズはすぐに手袋を自宅へと郵送した。するとキャロルから百貨店に電話がかかってくる。
御礼にとランチに誘われたテレーズは、翌日、キャロルに指定されたレストランで初めて話をして向きあう。愛のない打算的な結婚生活を送っていたキャロルは離婚することが決まっているという。その週末、郊外のニュージャージーにあるキャロルの屋敷に招待され楽しい時間を過ごしていると、突然別居中の夫ハージ(カイル・チャンドラー)が帰宅する。クリスマスイブにリンディを迎えに来るはずたったのが日程を早めて来たのだ。そこで争いになる二人。無理矢理キャロルも連れていこうとするハージだが、頑なに拒絶をするキャロル。離婚の意思は変わらない。ついテレーズに八つ当たりをしてしまったキャロル。険悪な雰囲気のなか、泣きながら家に戻るテレーズ。すると、ちょうどキャロルからの電話が鳴った。謝るキャロルはテレーズのアパートを訪れる約束をして電話を切った。
翌日、弁護士に呼び出されたキャロル。離婚したくないハージは、リンディの共同親権から単独親権へと変更し申し立てをしてきた。
キャロルと親友のアビー(サラ・ポールソン)との親友以上の親密さやテレーズとの関係を理由にして、母親としての適性に欠けるという口実で、ハージの元に戻らなければ二度とリンディには会わせないと脅してきているのだ。審問まで当分の間は娘とは会うことを禁止されてしまうキャロル。その夜、クリスマスプレゼントの高価なカメラを手にテレーズのアパートを訪れた。そして魅かれあうふたりは、心に正直に生きようとして、思いつくまま西へと向かう旅に出るのだが──。(公式HPより)


パトリシア・ハイスミスの小説「ザ・プライス・オブ・ソルト」の映画化です。
テレーズ役のマーラが第68回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞しています。

同性愛の物語ですが、まだ社会的に認められる前の時代なのでそこには秘密のベールがあります。上品なキャロルと若く美しいテレーズのカップルは眺めているだけでも眼福でした。彼女たちの年齢差はどのくらいだったのかなぁ?初めて二人が結ばれるシーンではやっぱりキャロルが導き役なのね

キャロルの性癖は愛のない結婚後に生じたのか、それとも生来だったのかはっきり描かれていないのですが、当時の道徳モラルに外れていたことは確かです。ハージは仕事優先で妻は自分の付属物のお飾りと思って生きてきたような人物です。妻が異性と浮気していたら烈火のごとく怒って復讐するタイプかな?
アビーとの仲も(現在は終わっているのに)ずっと疑っていて、それは同時に嫉妬でもあるのね。

夫の執着とは反対に、キャロルはとっくに醒めています。離婚というのは何も持たない主婦にとっては生活の基盤が無くなることでもあるけれど、彼女は生家も裕福で個人の財産もあるのでしょう。娘を引き取って暮らしていける十分な背景があるからこその決断です。

恋人の積極的なアプローチに戸惑いを覚えていたテレーズがキャロルと出会ったことで、彼女の中に今までなかった感情が沸きあがります。洗練されたキャロルへの憧れ以上の気持ちです。キャロルの不幸な状況を知ったことでその想いは更に強くなります。恋人から誘われていた欧州旅行はのらりくらりとかわしていたのに、キャロルからの誘いは即答でYES。この違いが端的にテレーズの気持ちを表しています。

旅行中に知り合った男性は妙に親し気に話しかけてきますが案の定・・・という展開。
夫がキャロルの不道徳な不貞の証拠を掴むために送り込んだ探偵だったのね
それを知ったキャロルはかけがえのない娘のために夫の元に帰るという選択をしますが、若いテレーズにはキャロルの真意がわかりません。このあたりは二人の年齢差が出てしまいますね。

キャロルとアビーの仲もテレーズには理解しきれないようです。
不幸な結婚生活に同情して芽生えた愛情はやがて友情へと昇華したといったところかしら?
気持ちは変わるものだと諭すアビーに反発を覚えるテレーズはまだ十分に若いのよね。

自分の道を模索するテレーズは、ニューヨーク・タイムズに勤め始めます。
一方、キャロルは自分に正直に生きるため、また娘自身の幸せを考えて、娘の親権を手放す決意をします。その代り面会権は譲れないと主張するの。これは客観的にみても正しい判断だと思いました。

映画の冒頭のシーンは、身辺を整理したキャロルがテレーズを呼び出した夜です。そこから二人の出会いに遡って進んでいく物語が再びその夜に戻るのです。愛していると伝えたキャロルを一度は拒絶したテレーズでしたが、別れたあとに自分の気持ちと向き合いキャロルの元へ向かうの。現れたテレーズを見たキャロルの表情が何よりも雄弁に語る結末でした。

映画の冒頭にキャストの名前が流れた分、エンドロールはじっくり余韻に浸るには短めでした。

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ブラック・スキャンダル

2016年02月11日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年1月30日公開 アメリカ 123分 R15+指定

アメリカのサウスボストンで育ったジェームズ・バルジャーとその弟ビリー、二人の幼なじみジョン・コノリーは、やがてギャング、政治家、FBI捜査官とそれぞれの道に進んでいった。コノリー(ジョエル・エドガートン)はイタリア系マフィアの撲滅させるために彼らと抗争中のジェームズ(ジョニー・デップ)に敵の情報を流すよう持ちかける。FBIとの密約を利用し敵の組織を壊滅に追い込み、犯罪帝国を築くジェームズ。そしてビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)もまたジェームズの力を借り権力を握る。利害を一致させ手を組む彼らの関係は、アメリカ史上最悪の汚職事件に発展していく。(Movie Walkerより)


ジョニー・デップが、あらゆる犯罪に手を染めアメリカ史上最も冷酷残忍な凶悪犯で、FBI最重要指名手配犯として史上最高200万ドル(約2億4000万円)の懸賞金をかけられたジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーを演じたクライムドラマです。本国公開時、ジョニーを初めとする俳優陣の演技に対する評価が高かったそうですが、確かに見事に悪人を演じきったジョニーに脱帽です。でも後味は決して楽しいものではないなぁ。ジョニーファンだけど一度観たら十分かなビジュアルも薄毛オールバックに革ジャンの冷酷なギャングだし。

1970年代から語られるのですが、当時のジミーは既に中年の域です。恋人のダコタ(リンゼイ・シール)と遅くできた子供を愛し、近所のお年寄りにも親切な姿は良き家庭人のように映るけれど、息子が学校で喧嘩した話をすると、彼は「殴るなら人が見ていないところでしろ」と教えます。おぃおぃ!それは父親としてダメでしょ基本的にこの人は善人ではないのだと示唆されるエピソードでした。

やがて息子が風邪を引いてアスピリンを投与されたことによるライ症候群(副作用ですね)で脳死状態になり死亡すると、彼は人が変わったようになっていきます。元々の凶暴性が息子の死で歯止めが効かなくなったかのようにも見えます。脳死状態の息子に耐えられず延命装置を外したいというダコタに冷たい怒りをぶつけるジミーの姿も怖かった~~

FBIに入り頭角を現しつつあったジョンは、イタリアンマフィア壊滅のために幼馴染のジミーに近づきますが、友達のビリーの兄である彼に憧れてもいたんですね。ミイラ取りがミイラになったというか、ジミーの方が一枚上手だったというか、大した情報も得られずどんどん深みにはまっていっているのにそれすら気付かない構図はとっても不気味です。

肉親に対する愛情の深さとは逆に、裏切り者に対する仕打ちの苛烈さは半端なく、赦した振りをしたその一瞬後に容赦なく手を下す手口の冷酷さには寒気を覚えます。ジミーを嫌うジョンの妻マリアンヌ(ジュリアン・ニコルソン)に相対した時の表情や仕草には底に透けてみえる酷薄さに、背筋を冷たいものが流れました。ハイテンションな殺人鬼より物静かな狂気の方が遥かに厄介ですね

遂にジミーの罪やジョンとの関係が暴かれる時がきて、彼は逃亡生活に入ります。
弟のビリーは終始二人とは距離を置いた関係に見えました。それでもプライベートでは家族仲が良い様子が描かれています。事件が明るみに出た後も彼の人望は揺るがなかったようです。

昔の仲間がジミーを裏切って告発するなか、コノリーが最後まで彼を庇い口を割らなかったのも印象的でした。その忠誠心を別の方向に生かせば良かったのにねぇ少なくともコノリーにとって妻はジミーより守る価値が低かったわけで・・・。その辺はちょっとやりきれなかったです。

最後は密告により逮捕されるシーンなのですが、既に白髪になり年老いた姿がチラッと映し出されてエンドロールとなります。十数年も逃亡生活を続けられたこと自体も驚異です。

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オデッセイ

2016年02月10日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年2月5日公開 アメリカ 142分

人類3度目の有人火星探査ミッション“アレス3”は、18日目に突然吹き荒れた猛烈な嵐によって、任務中止に追い込まれる。ところが、全6名のクルーのうち、マーク・ワトニー(マット・デイモン)は、突風でバラバラになった通信アンテナの直撃を受けてどこかへ吹き飛ばされ、行方不明になってしまう。タイムリミットが迫る中、必死の捜索を続ける指揮官のメリッサ・ルイス船長(ジェシカ・チャステイン)だったが、ワトニーは発見できず、やむなく離陸を決断。ルイス船長以下5人は宇宙船ヘルメス号で地球への帰途につく。ワトニーは死亡したと判断され、NASAのサンダース長官(ジェフ・ダニエルズ)が記者会見を実施した。しかし、ワトニーは生きていた。辛うじて砂漠から人口住居施設“ハブ”に帰還した彼は、この上なく絶望的な現実を思い知らされる。ハブに残された食料はほんのわずか。ところが、次の探査ミッション“アレス4”のクルーが火星にやってくるのは4年後だ。それまで生き抜くためには、酸素や水を作り出すところから始めなければならない。植物学者でメカニカル・エンジニアのワトニーは、ありったけの科学知識と持ち前のポジティブ思考によって、これらの途方もないハードルを1つずつ乗り越えてゆく。しばらくして、NASAもワトニーの生存に気付く。火星の衛星画像を調べていた職員が、ワトニー生存の証拠を発見したのだ。ただちに食料を送るための補給機の準備を開始。再び記者会見を開いたサンダース長官がワトニーの生存を発表したことで、火星で孤独なサバイバルを続けるワトニーは一躍、全世界の“時の人”となった。ところが、時間との厳しい戦いを強いられた救出プランはトラブルに見舞われ、ワトニーは再び絶体絶命の危機に陥ってしまう。やがてワトニーの命運は、宇宙を航行中のヘルメス号のクルーを巻き込み、誰も想定していなかった最終手段に託されることとなる……。(Movie Walkerより)


アンディ・ウィアーの「火星の人」の映画化です。パニックやサバイバル系は苦手な方なので初めは鑑賞予定になかったのですが、オスカーレース有力作に浮上しているので興味が湧きました
冒頭の景色は火星・・・の筈なんですが、空には雲が映ってる・・・それダメじゃんと思っちゃった私。
地球外で撮影できるわけないんだからそんなところに突っ込んじゃいけませんよね

仲間に死んだと思われ火星に取り残されてしまったマーク宇宙服の破れは、折れたアンテナと出血が塞いでくれてて九死に一生を得たとか、メットに入ったひびや爆発で吹っ飛んだハブの入口を応急テープで補修できちゃったり、あげくはMAV(Mars Ascent Vehicle)の天井さえもビニールシートで代用なんて、「ありえへん」な感覚満載なんですが、これって科学的に「あり得る」のかしらん?

植物学者であるマークが専門外のことにも精通しているのも気にはなりますが、まぁ宇宙飛行士に選ばれるくらいだから、一通りの知識は身につけていたってことなんでしょうね。何より彼の生きようとする意志の強さがサバイバルの原動力となったのは間違いなさそうです。

水・空気・電気を確保して、お次は食料。食材のじゃがいもをタネに、排泄物を肥料とした有機栽培を考えるあたりはさすが植物学者です。さらに通信手段を見つけ出し、NASAとの交信に成功します。(使ったのは16進法による信号文のようなものでした。)
これにより地球でも彼の救出に向けて全世界的に取り組むことになります。(実は彼の生存そのものはもっと早くに確認できていたけれど・・・という、上層部と現場の駆け引きというか政治的配慮もあったりします。)

ヘルメスが救出に向かえば良いのにと思ってしまうけれど、宇宙船は勝手に進路変更出来ないのよねぇ燃料だって往復分積んでないし、乗組員の健康状態にも影響してきそうだし。でもでも・・絶対無理ってわけじゃなかった!!クルー全員の意志と地球からのアシストで、彼らはマークを救助しに戻っていきます。

火星の軌道に乗ると地球に戻る燃料がなくなるため、マーク自身がMAVで宇宙に飛び出すという荒業を使い、届かない距離を宇宙船の爆破(もちろん安全性は確保して)とマークが自らの宇宙服の空気を推進力に使用して埋めるという展開はなかなかスリルがありました
遭難したてのマークはややぽっちゃりした体型だったのに、救助の頃には痩せています。食料を節約して生きながらえている感が良く出ていました。

火星でのマークのサバイバルが中心ではありますが、彼の救出を試みるNASAの人々や関係者の姿もなかなかうまく描かれています。
保身に走りがちな上司と対立する現場の構図はありがちですが、これって人間社会の普遍的な一面よね。
面白いのは、補給機打ち上げに失敗した後、手を差し伸べたのが中国だってところ。太陽神計画なる彼らの宇宙計画を中止してまでたった一人のアメリカ人の救出のために力を貸すという壮大な人類愛が泣ける

マークの不屈の精神力や前向きな姿勢に感動を覚えながらも、地球上では毎日のように殺人や戦争が起こっている現実があります。映画ではたった一人の人間を救うために大国が手を組んで世界中が彼の帰還を望み応援している。これは感動するべきなのか、笑うべきなのか・・・ちょっと複雑な気持ちにさせられました。

追記:マークの孤独なサバイバル生活の中でかけている音楽は懐かしのディスコ曲。これはルイス船長の私物なのですが、なんか受けた~~!!

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夫婦フーフー日記

2016年02月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年5月30日公開 95分

ダンナことコウタ(佐々木蔵之介)とヨメことユーコ(永作博美)は、長年の友人づきあいを経て出会いから17年目に結婚。入籍してすぐに妊娠が分かり大喜びする二人だが、ヨメの直腸に悪性腫瘍があることがわかる。ダンナはブログに夫婦の日々を記していった。やがて二人の子ペ~が生まれ希望に包まれるが、ヨメの容体が悪化。ヨメは最期に望んだ大好きなハンバーガーを食べ、その数日後に息を引き取った。そんな中、ダンナのもとにブログを書籍化する話が舞い込んでくる。現実から逃げるように原稿に向かうダンナの前に死んだはずのヨメが姿を現わし、二人は一緒に過ごした日々を振り返るうちに、互いに伝えられなかった思いに目を向けていく。(Movie Walkerより)


実話ブログから生まれた同名原作の映画化です。
友人として付き合って17年。実家に帰りお見合いしようかというところでようやくコウタが自分の気持ちに気が付いてプロポーズしに高速バスに乗る場面からいきなり時間が経過してるという展開は、のちに「これはコウタが見ている夢」と死んだはずのユーコに言わせる前振りだったのねでも実際死んだのはヨメの方ですが。

妊娠の喜びに浸ったのも束の間、癌が発見されて妊娠9か月で帝王切開で出産した後そのまま闘病生活に入ったヨメは、抗がん剤の副作用に苦しみながら、最後は実家のある福島に戻って息を引き取ります。

作家志望のダンナは夫婦の一大事をブログに綴ってきましたが、ヨメが亡くなってからその闘病記を本にしませんかという話が持ち上がるの。原稿に向き合うことで現実逃避をしているダンナの前に現れたヨメは、なんだかんだとちゃちゃを入れてきてダンナは振り回されるのだけど、夫婦として過ごしてきた日を振り返るうちに、伝えられなかったそれぞれの思いが浮かび上がっていくのです。

本好きな元書店員のヨメのために、この闘病記を本棚に並べてやりたいという気持ちに嘘はなくても、作家になるチャンスだと意気込む気持ちもまた彼の中にはあった筈で、ヨメは鋭く指摘してきます。

ハンバーガーをほおばりながらの登場と、ダンナ以外には見えないヨメとのやりとりを周囲が気の毒そうに見守る図などは思わず笑ってしまいます。切なさも苦しさも笑いに昇華させて見せる展開はまさにファンタジーでした。


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ピースオブケイク

2016年02月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年9月5日公開 121分

DV体質の彼氏・正樹(柄本佑)にバイト仲間との浮気がバレて振られてしまった梅宮志乃(多部未華子)は、バイトを辞め心機一転引っ越した先のベランダで隣人と出会い、爽やかな風を感じ自分の中で何かが大きく動き出すのを感じる。
親友でオカマの天ちゃん(松坂桃李)が働くレンタルビデオ店でバイトを紹介してもらった志乃は店長が隣人の菅原京志郎(綾野剛)と知り驚くが、彼には一緒に暮らす女・あかり(光宗薫)がいた。今度こそ恋愛で間違いたくないと願う志乃だったが、歓迎会で飲み過ぎ京志郎の部屋で目を覚ました時から店長が好きだと確信する。これまで買っては植物を枯らしてきた志乃だったが、懲りずに花屋で見かけたクワズイモを買い、新しい恋に重ねて「今度は絶対、枯らしたくない」と思う。
告白した志乃に「あかりと別れる気はない」と言う京志郎だったが、突如あかりが姿を消したことで二人は付き合い始める。幸せを感じながらもいつかあかりが帰ってくるのではと不安を抱える志乃。
天ちゃんが所属する「劇団めばち娘」で衣裳の仕事を手伝うようになった志乃は、めまぐるしい日々を送り、一方京志郎は友達の見舞いと言い、時々出かけるようになっていた。作家デビューしたあかりの書いた本を読んだ志乃は、友達があかりではないかと疑うようになり、温泉旅行に出かけた時にたまらず京志郎の携帯を見て事実を知り彼を責めて別れを告げる。1年が経ち「劇団めばち娘」は人気劇団として頭角を表し、志乃も憧れだった服飾の仕事で生活できるようになっていたある日、ライブハウスで行われたトークショーに現れた京志郎を見て逃げる志乃。追いかける京志郎。疾走する2人の恋の結末は?


ジョージ朝倉の同名コミックの映画化です。
仕事も恋愛も流されるままに生きてきたヒロインは等身大の現代女性でその恋愛下手ぶりが共感を誘います。演じている多部ちゃんの醸し出す雰囲気は嫌みがなく、自分の気持ちに正直で真っ直ぐなヒロインを引き立てています。撮影は高円寺や阿佐ヶ谷などの中央線沿線や下北沢エリアで行われ、正樹との別れの際に登場する小道具は生々しいエロスもありました
志乃の親友の世話焼きオカマの天ちゃんを演じている松坂君は新境地開拓だね

京志郎に愛されながらも彼を完全に信じきれない志乃の不安はわかるような気がします。自分の気持ちより相手の気持ちの方がわかってしまうことってあるよね携帯を見てしまった彼女がブチ切れて男湯に乗り込んでの修羅場がコミカルな分、その後の部屋での話し合いや押し黙ったままの帰途の重苦しさが際立ちました。
好きと告白した時も別れを告げた時も、志乃はとてもストレートに自分の気持ちを伝えています。それって全然恋愛下手じゃないよ~

もう一人の親友ナナコ(木村文乃)も二人が別れた後も気遣い、あかりの最新刊を志乃に渡して「これは三人の話で、ヒゲ店は志乃をちゃんと大事に思ってたんだよ」と背中を押します。
それでも今更枯れてしまった植物は元通りにならないと諦めようとする志乃ですが、再会した京志郎は逃げる志乃を捕まえて自宅の庭に生い茂るクワズイモを見せます。枯れた筈のそれは彼が持ち帰って育てていたのね彼の志乃に対する愛の深さ真剣さを表現していたわけです。
ま、運命の二人ってことね

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映画鈴木先生

2016年02月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年1月12日公開 124分

緋桜山中学の国語教師・鈴木先生(長谷川博己)は、一見問題がない普通の生徒ほど内面が鬱屈していると考えており、独自の教育理論・鈴木メソッドを用いて理想的なクラスを築き上げようと日々奮闘している。常識を打ち破る局面もあるため、他の教師と対立することもある。また、理想の教室を築く上で欠かせないと考える女子生徒・小川蘇美(土屋太鳳)を重要視しているうちに、よからぬ妄想を抱いてしまうこともしばしばある。そんな鈴木先生を妻の麻美(臼田あさ美)はよき相談相手となりそっと支える。麻美には相手の考えていることを見抜き生霊を飛ばす特殊能力があり、鈴木先生は身重の麻美に気苦労させまいとより一層自らを律している。生徒会選挙や文化祭など行事の多い2学期を迎え、慌ただしいながらも充実した日々を送る中、OBの勝野ユウジ(風間俊介)が小川を人質にとり学校に立て篭もる事件が起こる……。


武富健治の同名コミックを基にしたドラマの劇場版です。
この作品も窪田君出演追っかけの一つ。
ドラマは見たことなかったし、ストーリーにも期待してなかったのですが・・・あれ?意外といいじゃん。妄想部分は除外するとして、鈴木先生ってけっこう良い教師なんですねこれは案外拾いものの作品でした

窪田君が演じた白井は中学時代は不良の落ちこぼれ生徒。中卒で働いている(土木・建設関係?)ようですが、ある日恩師の岡田先生に会いにやってきます。鈴木先生は自分に会いに来たと勘違いしていましたが、白井にとっての恩師は鈴木先生じゃないのね岡田先生にひとしきり愚痴を聞いてもらってスッキリした白井は帰りがけ、鈴木先生に「あんたは真面目な生徒しか相手にして来なかったけど、卒業して会いにきたヤツはいるのか?」と問いかけ「先生の価値なんて後からわかる」と言い放ちます。鈴木先生は独自の理論(不良は目立つ分フォローもしやすいが、普通の生徒の抱える悩みにこそ目を向けてやるべき)から白井のような不良生徒は他の教師に任せていたみたいなのですが、白井には伝わらなかったようで白井の言ったことにも一理あるだけにちょっと凹んでしまいます。
思ったことは腹に貯めておけない性質の白井は直球を放るんですねそして鈴木先生ではなく「鈴木さん」と呼んでいます。彼にとって尊敬すべき教師は他にいるということを端的に現している呼び方です。出番は短かったけれど、けっこうインパクトのある役でした

さて、鈴木先生と教育方針を巡って対立し心が壊れてしまっていたらしい足子先生(富田靖子)が復職してきましたが、彼女の脳内では鈴木先生は抹殺されているので彼の発言も存在も彼女には見えない聞こえないという展開です。鈴木先生だけでなく、彼女にとって都合の悪い存在はすべからく消去されてるのが面白いと言うか、現実にもこういう人いそうで怖いというか幸い鈴木先生には味方してくれる常識ある同僚も多いようです。喫煙室のシーンなどはコミカルな哀愁感があって

生徒会選挙において棄権票ゼロにしようと意気込む足子先生の様子に一抹の危惧を覚えながらも流されてしまう鈴木先生や他の教師たちでしたが、生徒の中から反発する者が出て演説会は大荒れになります。投票を真剣に考えるならば、棄権という行為にも意志が働いていることを尊重し逃げ道を残すべきだと主張する出水に論破されてしまう足子先生。でも次の瞬間彼女の中で出水の存在が消去されちゃう・・こりゃダメだ~

文化祭の演劇の稽古で公園を使用する生徒たちですが、そこには引き籠りになった卒業生の勝野と田辺も来ています。彼らにとってはこの公園こそが逃げ道だったのに、不審者扱いされて排除されてしまうの。逃げ場を失い家庭内暴力事件を起こして捕まった田辺にショックを受けた勝野は、小川を人質に立て籠もります。その言い分は甚だ身勝手で、何故小川を傷つけることが救いになるのか理解することは出来なかったけれど、彼の絶望感や閉塞感は伝わってきます。やっぱり風間君、演技上手いなぁそして冷静沈着な中学生小川さんも凄い、凄すぎる!中2であんなに落ち着いていられるんかい?そしてあんな生徒を育てた鈴木先生もまた名教師なのかも
(小川救出劇はやり過ぎですが

選挙も立て籠もりも無事に解決したのは良いけれど・・・考えてみたら両方とも足子先生が元凶な気がしますが・・・。

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猫なんかよんでもこない

2016年02月01日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年1月30日公開 103分

ボクシングに人生を捧げる三十路寸前の男・ミツオ(風間俊介)のもとに、漫画家であるミツオの兄(つるの剛士)が拾ってきた2匹の子猫の兄弟“チン”と“クロ”がやってくる。超やんちゃと超気ままな2匹は、用意したエサは気に入らないと完全無視したり、命より大事なボクシンググローブは必殺技“猫キック”の練習道具に使われたりと、猫嫌いのミツオは振り回される。しかし、アパートの大家さんや猫好きの女性・ウメさん(松岡茉優)の応援もあり、光男と猫たちはちょっとずつ距離を縮めながら、極貧生活を支え合う運命共同体になっていく。そんななか、ミツオは試合でのケガがもとで、プロボクサーとしての道が閉ざされてしまう。生きがいを失ったミツオは、新たな一歩を踏み出せずにもがく。一方、チンとクロは新しい世界へ飛び出そうと爪を研いでいた……。


同名の実話コミックスの実写化映画です。
猫観て癒されたいというのが選択の動機風間君の演技にも期待感ありました。どちらも満足監督はもちろん、共演者も猫好きが多数とか

とにかく二匹の猫ちゃんが可愛かった
チンは女の子で勝気で好奇心旺盛、外にも積極的に出て行き近所の猫たちとも仲良しになるのですが、発情の兆しが出てきて避妊手術をした結果、外に出るより家を好むようになります。大人しかったクロはその頃から逆に外に出るようになり、近所の♂猫に果敢に勝負を挑むようになります。ボクサー生命を絶たれたミツオはそんなクロに自分を重ねて、ボス猫になれるよう敢えて避妊手術をしませんでした。避妊手術をしたチンが他の♂猫に相手にされなくなって仲間はずれ状態になったのを不憫に思ったこともあるのでしょうね。
やがてクロはボスに君臨するのですが、喧嘩で負った傷から猫エイズに感染してしまいます。弱っていくクロ(排便とかリアルさが切ない)を看病しながらミツオは自分の夢をクロに押し付けていたことを詫びます。

猫にとって本能のままに生きることが幸せなのだろうとは思うけれど、現実には外の世界は危険がいっぱい。飼う以上はその命を守る責任があると考えると、やはり避妊は避けて通れないことなんだなぁと思いました。

田舎に帰った漫画家の兄の言葉に奮起して漫画を描き始めていたミツオは、クロのいない喪失感を描くことで埋めて行きます。他の題材ではかすりもしなかった投稿も猫を描いた作品が認められ・・という結末でした。

諸般の事情で猫を飼えない身には、チンとクロの仕草や振る舞いを見ているだけでも楽しい映画でした。
(しかし、いつも思うのだけど、ジャニーズ所属タレントとはいえ、俳優として出ている以上、チラシ画像での肖像権くらい許容してもいいんじゃないねぇ

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