杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

トゥー・フォー・ザ・マネー

2010年06月30日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2006年3月18日公開 アメリカ 122分

フットボールの花形選手になる夢に挫折したブランドン・ラング(マシュー・マコノヒー)は、ラスベガスでスポーツ試合の勝敗を予想する情報屋として暮らしていた。ある日ブランドンは大手のスポーツ情報会社の経営者ウォルター(アル・パチーノ)に才能を認められ、ニューヨークに渡ることを決意する。“ジョン・アンソニー”と名乗りますます才能を開花させるブランドンだったが、スランプに陥ってしまう。(シネマトゥデイより)

ウォルターの会社は、電話をかけてきた顧客に賭け情報をアドバイスし、客が賭けに勝ったら手数料を貰うシステム。ただし負けたら儲けはゼロです。彼が見出したブランドンは元選手という実体験に基づく抜群の推察力と天性の勘で、フットボールの勝敗を高い確率で当てていきます。

膝の故障というアクシデントで選手生活から遠ざかっているけれど、昔の夢を捨て切れなかったブランドンを、ウォルターは強引なまでの押しの強さでセールスの出来る予想屋に変えていきます。互いに親子のような固い絆を作り上げるのですが、実はウォルターには封印していたギャンブル癖があり・・というお話。

ギャンブル依存症であるウォルターは勝つことそのものより、負けて全てを失う瞬間の興奮をこそ何よりも求めています。彼の妻にも麻薬中毒の過去がありますが、彼女は娘と夫との普通の暮らしを守りたいと努力しています。夫が自分を賭けの対象にしていると知った時の悲しみの深さはいかばかりだったか・・・ 全てを失うと知りながら無謀な賭けを止められないウォルターの内心の苦しみも滲み出るアル・パチーノの演技は流石です。

ブランドンはジョン・アンソニーとして華やかなNYでの生活と的中率の高さに慢心していきますが、やがて予想を外す方が多くなり、スランプに陥ります。顧客の絶望や報復も受けます。弁の立つ優秀なジョンと本来の自分との間の溝が深まり悩むのです。ウォルターの企みに気付いたブランドンがとった選択は双方にとって良い結果をもたらしましたが、もし逆になっていても、やはり彼らの道は分かれていったのでしょうね。

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新釈 走れメロス

2010年06月29日 | 
森見登美彦 著  祥伝社 発行

あの名作が京都の街によみがえる!?
「山月記」中島敦
「藪の中」芥川龍の介
「走れメロス」太宰治
「桜の森の満開の下」「百物語」森鴎外
の5篇が生まれ変わった!

名作家の作品を現代の京都を舞台にどうしようもない大学生たちの青春物語に仕立て上げる力量に素直に驚きました。登場人物たちが各物語にリンクして出てくることで、繋がりを持たせてあるので、作家の違う5つの物語が一つの物語の章になってしまうのが愉快です。
「走れメロス」以外ちゃんと読んだことがないのがちょっと悔しい。
いずれ原作も読もうという気になりました

山月記
まずはアパートにこもり、ひたすら小説を書き続ける大学生斎藤周太郎が登場。彼はどの物語の中にも名前が出てくるキーパーソンになっています。
己の才能の限界を知り行方不明となった男の話。

藪の中
文化祭の映画制作にまつわる監督(鵜山)、主演俳優(渡邊)・女優(長谷川)、後輩がそれぞれの立場から振り返る形式です。

走れメロス
「真の友情」を示すため、古都を全力で逃走する芽野史郎と彼が戻ってこないことを信じる親友の芹名。彼らの屈折した友情をユーモアたっぷりに描いています。

桜の森の満開の下
恋人を得て、彼女のことを書くことで人気小説家となった男が、それに比例して小説への情熱と彼女への愛情を失っていく話。「哲学の道」の桜並木が象徴的役割を果たしています。

百物語
5編の中の登場人物がほとんど出てきます。主人公は作者(森見登美彦)自身という設定も原典と同じ構成です。


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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々〈5〉 最後の神

2010年06月28日 | 
リック・リオーダン (著), 金原瑞人 (翻訳), 小林みき (翻訳) ほるぷ出版

世界が破滅するかどうかが決まる日―パーシー・ジャクソンの十六歳の誕生日が、一週間後にせまっていた。マンハッタンのオリンポス山を破壊するため、総攻撃をかけるクロノスは、タイタン族最強の怪物テュポンをも目覚めさせ、ついに、オリンポスの神々すべてを巻き込んだ、壮絶な戦いが始まる。大予言は実現してしまうのか―?そして、パーシーの運命は―?(扉書きより)

シリーズ最終巻はいよいよタイタン族とオリンポスの神々の総決戦です。
が・・・肝心のオリンポス宮殿は炉の女神ヘスティアを残し空っぽの状態で、パーシーたちが最後の砦となっています。ポセイドンは海の宮殿を守るので精一杯、他の神々はテュポンの侵攻を引き伸ばすので精一杯・・って・・おぃ!!いや、だからこそパーシーたちの活躍を楽しめるのだけどね

今回は名のある神々だけでなく、ハーフも人間の子も無名の神々やサテュロスやキュクロプスやケンタウロスにペガサス、ニンフまでが一丸となって戦いに加わり、タイタン族に勝利するのです。あぁ、友情って、仲間って素晴らしい 王道ですな

天上の神から疎まれている冥界の王ハデスが息子のニコの勇気ある説得により戦いに加わったことで、宮殿で讃えられる姿はちょっと可愛くもありました。
ポセイドンがパーシーの求めに応じ、自らの宮殿を犠牲にしてまで他の神々と共に戦いに加わることで最大の敵テュポンを倒すことが出来たことは、自己犠牲と協調の尊さを説いているのかな?

さて、予言の「運命の子」が誰かも明らかになり、その子は雄々しく自分の運命を受け入れます。このどんでん返しは途中から予想はつくけれど、それでも「良い話」でした。

パーシーが神々に要求した「ハーフの子を無名の神々の子も含めて等しく認知して欲しい。」という願いも叶えられます。しかし認知ってさ~~妙に現世の生々しい響きを伴う言葉だわ

レイチェルの選んだ生き方も、そうくるか~!でした。

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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 <3><4>

2010年06月27日 | 
リック・リオーダン作   金原 瑞人、 小林 みき訳

<3>タイタンの呪い
前作で松に変えられていたゼウスの娘タレイアが復活し、その年の冬のこと。
パーシーはグローバーを助けに行って、ハーフの姉弟ビアンカとニコと出会う。この時姿を消したアナベスと後に行方不明になった女神アルテミスを探す旅に出たパーシーは、無事二人を救出するが、その過程でアルテミスの副官ゾーイとビアンカを喪う。
16歳を目前にしたタレイアはゾーイに代わってハンター隊に入ることを選び、ビッグスリーの予言から解放される。一方姉の死をパーシーのせいだとして怒りを爆発させたニコは、その力によりハデスの息子と判明する。


早々にアナベスが消え、女神アルテミスも行方不明となるなか、彼女たちを探すための冒険が始まります。今回の冒険メンバーはタレイア、グローバー、ゾーイとビアンカです。またフーバーダムでミストに眼くらましされない人間の少女レイチェルとの出会いもあります。

天を支えるアトラスのエピソードが軸となっていて、ルークの策略にはまったアナベス、彼女を助けようと罠にはまるアルテミス、そしてアルテミスに力を貸すパーシーから再びアトラスへと、知略の戦いも面白かったな。


<4>迷宮の戦い
ハーフ訓練所での三度目の夏。
ルークの軍勢から訓練所を守るため、迷宮ラビュリントスのダイダロスに会いに出かけたパーシーたちは、ミストに惑わされないレイチェルの導きにより、遂にダイダロスを見つけ出し、タイタン族による襲撃を防ぐことに成功する。しかし、その間にクロノスがルークの体を乗っ取り遂に復活してしまう・・。


今回の舞台は地下の迷宮です。
天才発明家で建築家のダイダロスの正体は実は意外な人物だったり、神話でお馴染みのイカロスの話も出てきます。
夢の世界を通じて他者の行動を覗くというパーシーの能力を、物語の補足説明にうまく使っています。何人もの意識に入っていけるパーシーの方が、ヴォルデモートとだけ繋がっていたハリーよりレベルアップしてる?

ニコの誤解が融けた一方、ルークとは決定的な亀裂が生じるのね
グローバーが牧神パンを遂に見つけるのですが、この出来事が彼を大きく成長させます。人間もハーフもキュクロプスもサテュロスも、皆が力を合わせることの大切さをさり気なく説いています。


う~ん・・読むほどにハリポタの神話編に思えてきた

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告白 (小説)

2010年06月26日 | 
湊かなえ(著) 双葉社(刊)

我が子を職場である学校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで退職の挨拶と一緒にある告白をする。娘は事故死ではなくこのクラスの生徒に殺されたのだと。そして彼女は復讐を宣言した・・。

第29回小説推理新人賞受賞作なんだとか。映画化されて高評価を受けているけれど、同時に重さが気になって劇場で観ることに躊躇いのあった私は、先に原作を読んでみることにしました。読了後映画のネタバレを検索したところ、概ね原作通りのようですね。やはりDVD待ちかな(^^;

少女の死という一つの「事件」をモノローグのリレー形式で語っていくという手法です。第一章『聖職者』は女性教師・森口の衝撃的な告白。第二章『殉教者』では犯人の級友である学級委員の美月の目線で森口が去った後のクラスの変化が語られます。この題名にはある暗示が隠されていました。それに気付いて改めて見ると、それぞれに象徴的な題名がつけられていたのだということがわかります。

第三章『慈愛者』は直接の殺人者である直樹の家族による独白です。姉が母の遺された日記を読むという形をとっています。第四章『求道者』は直樹自身の心の動きが、第五章『信奉者』はもう一人の犯人・修哉のそれが書かれます。そして終章である第六章『伝道者』で再び森口に収束していくのです。

各章での登場人物たちの独白は、一見いかにも正論のようでいて、少しずつ狂気にスライドしています。そもそも、尋常ならざる復讐劇のシナリオを書いた森口に共感することが出来ないのです。かといって犯人たちにはもちろん、独善的熱血感の新任教師・寺田や、純然たる被害者に見える美月にさえも・・・。

それでいて、それぞれの抱える心の闇の部分はもしかしたら自分にもあるのでは?と思えることも否定できません。我が子を溺愛する直樹の母の中に子供への愛情を隠れ蓑にした自己満足と失望を見る時、母から自立出来ずにもがいている直樹や修哉の歪んだ愛を求める姿を知る時、初恋の相手を追い詰めた寺田への復讐をする美月の中にある狂気の側面をみる時、その感情を共有してしまう自分がいるからです。
根底にあるのはただ愛したい・愛されたいだけなのにどうして破滅の道を人は歩いてしまうのだろうと思うと、ただ悲しく無念な思いがこみあげてきました。

森口の復讐は言葉によるものだけで本当に行動してはいないのだと思わせておいて、最終章で見事に裏切る結末は、物語としては面白いけれど、実際にあったとしたら救いがない気がします。娘の父親が身をもって妻に示した生き方すら否定しているように思えるから。でも心の隅で、完遂された復讐劇に小さく喝采している自分もいるのです。

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ひなのころ

2010年06月25日 | 
粕谷 知世(著)  中央公論新社(刊)

大きな樫の木、瓦屋根、レンゲ草に、おひめさま…そして、春の日に出会う不思議。季節のおとないとともに成長する少女の物語。懐かしい風景の中、四季を通して風美が経験するちょっと不思議な出来事とは…少女の成長と家族を描いた物語。(内容紹介より)

「しゃばけ」シリーズの畠中恵氏がエッセイの中で紹介していて読んでみたくなりました。
物語は一人の少女の成長を追って、4つの章に分かれています。

『雛の夜』風美四歳の春
『祭りの夜』十一歳の夏
『月の夜』十五歳の秋
『年越しの夜』十七歳の冬

主人公である風美には病弱な弟と彼の面倒で忙しい母、仕事で家族とすれ違いの多い父、昔気質の働き者だけど気の強い祖母がいます。
幼いころは、弟が具合が悪くなる度に両親は彼にかかりっきりで、風美の面倒は祖母が見ていたのですが、幼い風美にとってはがみがみと怒る祖母は恐い存在であり、愛されている実感に乏しい相手でした。

古い大きな日本家屋の中で、日中一人きりで留守番をしていた彼女の友達は、パズルのお姫様や、トイレのタイルのパンダくんや、こけしやお雛様です。また仏間の写真の「お姉さん」も見守ってくれました。『雛の夜』ではそんな風美とお雛様の夜中のやりとりが書かれます。

やがて小学生になった風美は、空想の世界から学校の友達に目が向いていきます。「写真のおねえさん」が夭折した父の姉の稲子さんだったこともわかります。けれど、ある不幸な事件が起こり大切な友達が亡くなってしまいます。・・『祭りの夜』

『月の夜』では受験と反抗期を迎えた風美が、自分と言う存在について悩み考える章です。祖母の稲子さんに対する本当の思いを風美が知るにはもう少し時を待たねばならないけれど、両親の喧嘩に対して冷静に対処できるほどには大人になった彼女を見ることができます。

そして『年越しの夜』ではすっかり於いて記憶も混濁し始めた祖母の行方不明事件を挟み、自らの長年の寂しさに気付き、吐き出す風美がいました。逆に両親や祖母がどういう気持ちで自分に接していたのかも理解します。また弟の小さな秘密と彼の成長にも気付かされます。

祖母の稲子さんへの本当の思いが明かされるエピソードでは、『祭りの夜』の藤崎さんのお母さんにも重なる祖母の号泣する姿に「母」としての後悔や辛さ・悲しさを感じ、またそれが浄化されていく喜びをも感じることができた気がしました。

うん。人はやっぱり愛されて育っていくものなんだよ

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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々〈2〉魔海の冒険

2010年06月24日 | 
リック・リオーダン作  金原瑞人・小林みき訳
ほるぷ出版

オリンポスの神ポセイドンと人間の母親との間に生まれたパーシーは、ある日学校で怪物に襲われる。ハーフ訓練所に戻ってみると、タレイアの松が何者かに毒をもられて枯れかかり、訓練所は危機に陥っていた。タレイアの松を復活させる魔法の道具を求めて、「魔の海」へと向かったパーシーの前に、クロノスの手下となったかつての友人ルークがあらわれる!新たに判明した家族の秘密を受け入れられないまま、ふたたび冒険へと向かうパーシーの行く先に待つものは―。(扉書きより)

映画が面白かったので、原作に興味を持ち、続編となる(2)から読み始めましたが・・主人公の年齢設定や細かいエピソードが映画とは異なるようで、これは(1)も改めて読んだほうが良さそうです。

シリーズになっているので、パーシーの成長と共に仲間が増えてやがて「決断の時」を迎えるというお話なのかな?その点では「ハリー・ポッター」の状況設定と似ているような。ただ、こちらはギリシア神話を現代のアメリカに移して、魔法使いならぬ神と人間のハーフという特殊能力を持つ少年少女を主人公群に設定しているのが興味をそそります。

ADHD(注意欠陥多動性障害)と難読症という人間界ではハンデとされる障害を持つパーシーは、いわゆる普通の学校では問題児扱いですが、ハーフ訓練所の仲間といるときには全く問題となりません。

今回は、アナベスやキュクロプスのタイソン(後に義兄弟と判明)と共に毒を盛られたタレイアの松と囚われの友人グローバーを救うべく「金の羊毛」を探す旅に出たパーシーたちの冒険行が書かれています。

前作で登場の裏切り者ルーク(ハリポタのドラコみたいな関係?)との対決はまたもや次巻に持ち越しですが、犬猿の仲のクラリサとの間には仲間という絆が生まれそう。 自分以外の「兄弟」の存在に戸惑いながらも友としてかけがえのない信頼で結ばれていくパーシーとタイソンの姿も好ましかったです。

現代の道具に形を変えた数々の神の使うアイテムもユニーク。今回はルークの父であるヘルメスがパーシーに与えた風を送る水筒や活力剤の小瓶、必要なものを入れたダッフルバッグなどが活躍します。

ヘルメスの助力の裏には父親としてルークを心配している気持ちがあり、パーシーの父であるポセイドンも表立っては何も声をかけなくても窮地の際にはさりげなく救いの手を差し伸べています。この物語は、親である神に対する思春期の子供たちの葛藤が裏テーマとも言えるかな

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夏時間の庭

2010年06月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年5月16日公開 フランス 102分

パリ郊外の邸宅に家族が久々に集まり誕生日を祝った夏の日、母エレーヌ(エディット・スコブ)は自分が死んだら家も画家であった大叔父ポールの美術品コレクションもすべて処分するよう長男フレデリック(シャルル・ベルリング)に遺言する。一年後、母が急逝すると、愛着ある家や遺品を手放すことをためらうフレデリックだったが、それぞれアメリカと中国に生活の拠点を移している長女アドリエンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と次男ジェレミー(ジェレミー・レニエ)の事情や、莫大な相続税という現実問題に直面し・・・。

かつてアトリエとして使われていた家の所蔵品としてオルセー美術館の全面協力のもと本物の美術品が使われているのも見所です。コローの風景画、ルドンのパステル画、アール・ヌーヴォーの家具デザイナーのルイ・マジョレルの作品やフェリックス・ブラックモンの花器などが日常使いされているという設定の贅沢さに美術品愛好家にはため息ものでしょう。

三世代にわたる家族の物語を、煌く夏の陽光と草木の柔らかな緑が爽やかな広大な庭とその奥に佇む瀟洒な一軒家が時の流れの中で静かに見つめているようでした。

かつては画家だった大叔父のアトリエと彼が遺した貴重な美術品コレクションを守ってきた母の小さな秘密とは、彼女と大叔父との関係でした。「思い出や秘密は私と共に消えてゆく」と考え、子供たちの将来を見越しそれぞれの負担にならないように生前に自分の死後の準備を進めていた母の気持ちも、思い出の残る家や美術品を出来れば手放したくない長男の気持ちも、外国に拠点を移して新しい生活を選択した弟妹の気持ちも、それぞれが胸に迫ってきます。遺産を巡って兄妹で争うのではなく、互いの気持ちを労わりあう姿にも心が温かくなりました。

時の流れや世代交代の中で変わって行く家族の姿と、永遠に変らない大切な思い出や家族の絆。それらが母から子へ、子から孫へと継承されていく象徴的なラストシーンにしみじみとした余韻が残りました。

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ザ・ウォーカー

2010年06月23日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年6月19日公開 アメリカ 

核戦争により文明が崩壊した未来。世界で一冊だけ残る本を運び、30年間旅をしている男イーライ(デンゼル・ワシントン)。しかし、彼はその目的地を知らない。前に立ちはだかる者はためらわずに殺し、ひたすら西へ向かう。ある日、とある町に立ち寄ったイーライは、まさに彼の持つ本を探し続ける独裁者カーネギー(ゲイリー・オールドマン)と出会う・・・。

これ、信仰心が殆どない大方の日本人には受けないなぁ、きっと。
経典を求めて西へ向かう三蔵法師なら、お供が個性的だから娯楽作になるんだけど、最終戦争で何もかも崩壊したモノクロの世界にむさい男じゃ、見てるだけで埃っぽいぞ

ゲーリーおぢさまは素敵でした。相変わらずのキレた演技がゾクゾクします。
でも・・・最終戦争からたった30年しか経ってないのに、そこまで識字率低下するのか?とか、戦争の原因を「本」のせいにするなんて、中世の魔女狩りじゃあるまいし、手前勝手な設定だなぁと思ってしまって、醒めた気分になってしまうのね(^^;

肝心の「本」の中身については、予告の時点で想像ついてたので、意外性はなかったけれど、白紙に見えたページに書かれていたのがその「言語」だったことは面白かったです。だからこそ焼却を免れてイーライの手に渡ったんだろうなぁと納得できる理由になるし、イーライが助けるソラーラ(ミラ・クニス)の盲目の母(ジェニファー・ビールズ)にも観客の注意が向くものね

荒廃したのは地上の景色だけではなく、人間の心も文明以前の時代に退化し、そんな世界でものを言うのは暴力による力の支配だけ。でも、カーネギーは言葉の持つ力で独裁者になろうとイーライの持つ「本」を狙っている。彼らは共に最終戦争前から生きている世代。「本」の持つパワーを信じている世代です。

ソラーラたち戦争後の若い世代にとっては禁書となった「本」も信仰も知りません。だから乾いた土が水を吸うようにその「本」がもたらす影響を受けるだろうことはカーネギーには容易に想像できるのですね。

対するイーライはただひたすら「本」を西へ運ぶ「ウォーカー」として選ばれし者、と観客に思わせていますが、実は大事なのは本自体ではなく中身だってことを考えれば、彼の真の役割も推して知るべしということになるかな

イーライの30年間の受難や、ソラーラが「西」から新たな出発をすることなどは、宗教的な意味合いが強いので好きにはなれなかったけれど、西部劇のような銃撃戦や、見事な剣捌きを楽しむことに限れば、男性が好みそうなジャンルです。特に、旅の途中で立ち寄った追い剥ぎの老夫婦とのシーンはどこか昔の映画を思わせるユーモアと派手なガンファイトが面白かったな

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床下の小人たち

2010年06月21日 | 
メアリー・ノートン 作  林 容吉 訳  岩波少年文庫

イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。生活に必要なものはすべて、こっそり人間から借りて暮らしていましたが、ある日、小人の少女がその家の男の子に見られてしまいます―。カーネギー賞を受賞した「小人シリーズ」の第1作。(裏書きより)

ジブリの新作「借りぐらしのアリエッティ」はこの児童書が原作とのことで、いつもは映画が先なのだけれど、今回は図書館で早くに借りられたので読んでみることにしました。

借り暮らしとは、「小さな人」が「大きな人=人間」から何でも借りて(持ってきて)生活していることを指しています。でも借りたまま返すことはないので、人間からみれば盗られた!ということになるんですが彼らにとっては人間は借り暮らしをするためにだけ存在しているという・・・同じ人間同士なら到底納得できない屁理屈なんだけど、小人だから許される設定だなぁ~~

メイおばさんが、ケイトという少女に語って聞かせるという形から始まる物語はすぐに小人のアリエッティの視点に移ります。彼女はお父さんのポッドとお母さんのホミリーと三人暮らしなのですが、ある日人間の男の子(メイおばさんの亡くなった弟)に見られてしまったことで、暮らしに大きな変化が訪れるのです。

若い頃は大胆さや冒険心もあったでしょうが、今は平和で落ち着いた生活を愛する良き夫で父親のポッド、愛情深く、気が小さくて心配性だけどちょっと見栄っ張りなホミリー、自分の知らない世界への好奇心に溢れるアリエッティといった小人一家の人物像はそのまま人間にもあてはまります。
一方で、意地の悪い家政婦、ポッドと会話までしていながらそれが酔った時の幻想と思っている大伯母、気位が高いオーヴァマントルやハープシコードの小人たちなど、性格描写も素直な善人はほぼ出て来ないのも、いっそ現実的で面白いかも。

さて、病気で一人大伯母の家に療養に来させられた10歳(実際は9歳)の男の子にとっては、友達もいない閉塞感のある暮らしから抜け出したいと思っているアリエッティと出会ったことは同じ孤独を抱える仲間に会えたように嬉しかったことでしょう。

けれど、小人たちを喜ばせようと色々プレゼントしたことで、逆に彼らの存在を他の大人に知られ、結局小人たちはこの家を出て行くことになるのです。

マッチ箱で作ったタンスや、糸巻きの椅子、切手を肖像画にしたり吸い取り紙で絨毯を作ったりと、人間から借りたもので器用に家具を作っていた一家(特にホミリー)が、男の子の持ってきてくれる豪華な人形の家の家具を手放しで喜び、更には応接間に飾られていた細々とした貴重品まで後先考えずに受け取る姿は、大きくても小さくても人の欲の深さを現しているような気がしました。

ところで、引越さなければならないという緊急事態に、アリエッティが泣いた理由が「外に出られる・自由になれる」嬉しさからというのが目を引きます。変化を望む小人の少女と対照的に、男の子は家に帰されていき、やがて「名誉の戦死」を遂げる運命が彼を待っているのでした。

メイおばさんが弟から聞いた話である筈の物語は、実はおばさん自身も会ったことはないけれど、その存在を信じるに値する出来事に遭遇していたのだということが明らかにされ、小人一家が新しい住処を求めて旅立ったことも示唆されます。

実際小人シリーズとして全5冊が刊行されているようです。

さて、ジブリがこの物語をどういった視点から大胆に作り変えたのか、楽しみなような心配なような・・ ゲドの二の舞はやめてね~~ 

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2010 さだまさしコンサートツアー

2010年06月19日 | ライブ・コンサート他
サンシティ越谷市民ホール
開演17:07 終演20:01

昨年に続いて越谷でのツアー初日となりました。
雨には降られなかったものの、サッカー対オランダ戦と重なってしまった・・けどちゃんと試合開始前に終了~

白スーツ姿で登場し、まずはサッカー、相撲(野球賭博)の話題に軽く触れて、今夜の裏テーマは「爆睡」と笑わせた上で新アルバム『予感』より2曲。

・静夜思
・予感

近況報告(TV・ラジオ出演話。紅白出場空白の10年の真相激白・・知らなかったな~~ってどこまで真実かは

・案山子
・桃花源

カステラの旬は実は梅雨時という話。

・異邦人
・桐の花

池袋東武デパートでのさだ博に触れ、ミニライブ当選くじの話。わ~るどで口止めされてた大吉・大凶のネタばらしです。

・つくだ煮の小魚
・雨やどり

作家・安岡章太郎→井伏鱒二つながりでの「つくだ煮の小魚」作曲エピソード。オチはヒロタさんですが
興が乗って、客席参加で

・北の国から  と一連のテーマをバックメンバーと

そのままメンバー紹介に。今回は倉田さんと宅間さん以外刷新されています。
旭 孝さん(フルート)、平石カツミさん(ベース)、徳澤青弦さん(チェロ)が加わり、よりアコースティック色の強い舞台になっています。
紹介時、それぞれさださんにいじられてる中で、徳澤さんのマイペースぶりが面白かったというか、この人けっこう芸人タイプ?次の曲の前フリとして全員サングラス着用する中で、ただ一人、「ボク・・・サングラスだと譜面が見えないので・・」とやおら取り出す小粋な帽子に、すかさず突っ込んだ倉田さんもでした。
宅間さんの小道具「煙の出る禁煙パイポ」にも

・私は犬に叱られた

・献灯会
・秋桜

加山雄三さんの「君といつまでも」のセリフはアドリブだったというエピソードからそのセリフの解析話。何度聞いてもやっぱり笑ってしまう

・セロ弾きのゴーシュ
・~ONLY~薔薇園

初日のせいか、歌詞間違えも複数個所あったけれど、特に「セロ~」はあまりにも明らかにミスってて、これは後で反省会ですねぇ
東大寺でのコンサートが10月16日にあることの告知と「お水取り」儀式の話など・・。

・修二会
・主人公

修二会で初披露の宅間さんの楽器は・・・う~~ん・・・いつもの方が良かったかも音が響かないんですよね~~。これは音響の問題なのか楽器なのか・・改良の必要性ありかな。(客席の前方・後方・二階席とも同じ感想でした)

ここで幕・・そして早着替え(黄ポロシャツ・グリーンと白チェックジャケット・Gパン)アンコール曲は
・片恋

おそらく、次回は構成にも変更を加えてくるかも~~まだ音が固まってない感ありでした。
次回参加は9月の国際フォーラムですが、どんな風に仕上げてくるかまた楽しみです。

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PUSH 光と闇の能力者

2010年06月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年11月7日公開 アメリカ 111分

念動力<ムーバー>の能力を持つニック(クリス・エヴァンス)は政府機関“ディビジョン”から逃れ、香港で生活を送っていた。そんな彼の元に予知能力者<ウォッチャー>の少女・キャシーが訪れる。キャシー(ダコタ・ファニング)は600万ドルのケースを持ってディビジョンから逃げている女キラ(カミーラ・ベル)を探さないと大変なことになると告げる。しかし2人は香港の街中でディビジョンのリーダーであるカーバー(ジャイモン・フンスー)たちに襲われ……。

役者はそこそこ良いんだけどね~~完璧B級作品でした。

第二次世界大戦中、国家によって育成されてきた特殊能力者と組織があるという設定。そこに中国の犯罪組織が加わっての三つ巴の戦いなわけですが、声(超音波)が武器の親子のキャラなんて笑って良いのか感心して良いのか迷うぞ

キャシーの母やニックの父は組織に捕まってたり、殺されたりしているけれど、その辺の事情は曖昧なまま。ニックの能力も普段はパッとしないし、危機に際してもヒーローめいた活躍があるわけでもない。 
そもそも、どんな能力者がどんな役割なのか頭に入るまでに時間がかかる時点でつまらなくなってしまう。

嘘の「真実」を頭に押し込むプッシャーであるキラやカーバーにしても、自分はけっこう簡単に相手の能力を受け入れちゃうし、結末もあっけなさすぎな気がします

えっと・・・結局何を伝えたかったんだろう、この作品は

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つくも神さん、お茶ください

2010年06月17日 | 
畠中恵/著  新潮社/刊

戯作者の日々、是好日なり!人生初のエッセイ、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞“受賞の言葉”。愛する本や映画、音楽のこと。お江戸散歩に中国爆食珍道中。修業時代の苦労話、亡き師匠の思い出、創作秘話。あっと驚く意外な趣味。さらに、ここでしか読めないスペシャル書き下ろし随筆を5編収録。 (「BOOK」データベースより)

うっかりしてました。これはエッセイ集なんですね。
普通に「しゃばけ」キャラのつくも神さんが活躍するのかと思って借りてしまいました。

本屋を町に、本を家々に見立てたエッセイは風変わりだけど、この作者らしいセンスだなぁと思いました。またお江戸調な話し言葉だったり、人柄を偲ばせる控えめな文章は好感が持てる反面、何か物足りなさも・・なんでだろ?エッセイは初めてと書いてるだけあってこなれてなさが伝わってきちゃったかな

参考になったのが、筆者が面白いと思った本や映画の紹介の章です。
元々この作者の物語が好きということは、作者が好きなお話も好きになる可能性大ってことで、何作か「あ、これ良さそう!」と思うものが出てきました。これは早速図書館に予約せねば

既読のものでは、特に漫画の項で坂田靖子氏の「バジル氏の優雅な生活」が出てきたのが懐かしくて嬉しかったです

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アイアンマン2

2010年06月16日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年6月11日公開 アメリカ 

前作で自らが“アイアンマン”であることを明かしたトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)に、次なる試練が待ち構えていた。身勝手なヒーロー行為が問題視され、国からパワード・スーツの受け渡しを要求されるがトニーはこれを拒否。そんなトニーの前に現れたのは、アイアンマンと同様の破壊力“エレクトリック・デス・ウィップ”という武器を身につけたウィップラッシュ(ミッキー・ローク)だった。一方、謎の美女“ブラック・ウィドー”(スカーレット・ヨハンソン)やフューリー(サミュエル・L・ジャクソン)も出現して・・・。

前作でトニー・スタークというキャラがとても面白かったので、続編の公開も楽しみにしていました。そしてその期待は裏切られませんでした
軍需企業スターク社・社長で天才的頭脳の持ち主。ナルシストで楽天家で自己中、パーティ好き・女好きなプレーボーイだけど、反面ナイーブで情に厚くもあるというキャラは何か憎めない魅力を醸しだしています。これは演じるロバートの魅力でもあるのかな

前作から引き続き登場のペッパー・ポッツ(グィネス・パルトロー)との仲もちょっと前進。美女ナタリー(スカヨハ)のアクションはシャーリーズ・セロンの『イーオン・フラックス』を彷彿とさせますね。

親友のローディ中佐(ドン・チードル)もパワードスーツを着て共に戦うことになりますが、何といっても今回の悪役イワンがカッコイイのです。ロシア人犯罪者の設定は冷戦時代の名残りなのかはおいとくとして無口でニヒルな中に冷たい怒りを滾らせているようで、アイアンマンとも対照的なキャラでした。

心臓附近に突き刺さった金属を磁石的装置を埋め込むことで死を回避しているというストイックな運命は、今回新たな元素を作り出したことでかなり改善されたようですが、基本的にあんな無茶をしてたら金属刺さってなくても危なくないかい?って突っ込みしちゃダメ?

パワードスーツも携帯(スーツケース)状の最新型で、トランスフォーマー並みに美しいフォーメーションを見せてくれます。戦いシーンも男の子ならワクワクの連続じゃないでしょうか。個人的にはあんなに町中壊さんでもって思いますが

エンドロールの後には更に続編への布石シーンが用意されていて、今回の黒幕であるトニーのライバル会社のハマー(サム・ロックウェル)もまたぞろ登場しそうな感じだね

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セブンティーン・アゲイン

2010年06月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年5月16日公開 アメリカ 102分

1989年、17歳のマイク・オドネル(マシュー・ペリー)は高校バスケ部のスター選手。有名大学からのスカウトも確実だったが、恋人のスカーレットが妊娠したことを知り全てを投げ出してしまう…。2009年、37歳のマイクは妻のスカーレット(レスリー・マン)から離婚を切り出され、親友ネッド(トーマス・レノン)の家に居候中。会社でも出世を逃し過去の栄光とはほど遠い生活を送っていた。ところが、ある日突然17歳の姿(ザック・エフロン)に戻ってしまう。これを機に人生をやり直そうと高校に転入するが…。

負け組み人生を悔やみ、愚痴をこぼしながら生きてきた男が、セカンドチャンスを与えられて人生をやり直そうと奮闘する姿を描いたコメディードラマです。
『ハイスクール・ミュージカル』では魅力を感じなかったザック・エフロンですが、この作品では光ってるね惚れちゃいそうです

彼女の妊娠で将来を捨て家庭を持ったマイク。それからの20年をずっと愚痴と後悔で過ごしてきた様子。これじゃ妻に三行半を突きつけられても当然
しかし、守護霊?の悪戯で17歳に若返っちゃうのです。時は遡らず現代のままってのがミソ。

疎遠だった子供たち・マギー(ミシェル・トラクテンバーグ)やアレックス(スターリング・ナイト)の高校での本当の姿を知り、彼らと友人になって何かと助けたり相談に乗ったりします。そうするうちに、自分がないものねだりで人生無駄に過ごしてきたことと、そのために妻を悲しませていたことに気付くのです。身体は17歳に戻っても思考はオヤジのままなので、クラスメイトの間では微妙に浮いた存在なのがちょっと笑えるけれど、見た目がイケテルから成立してるってのもあるかな。ライバルキャラが典型的な不良系なのに意外に大人しいのも目を瞑りましょう

ハッピーエンドで幕を閉じるので後味もすっきり楽しい作品でした。サブストーリーの登場人物、オタクなネッドが仕掛ける校長(メロラ・ハーディン)への猛烈なアタック行動が、マニアックで面白かったな。エルフ語の通信教育、本当にあったらやってみたいな

特に過去の栄光に囚われて前に踏み出せない男性諸氏は観るべきかも

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