杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

赤毛のアン 卒業

2018年11月19日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年11月2日公開 カナダ 90分 

14歳の秋、新学期から長いスカートをはき始めたアン(エラ・バレンタイン)は、少し大人びて見える。でも、ギルバート(ドゥルー・ヘイタオグルー)はアンを無視。筏で溺れかけたアンを救助した一件で、アンの一言に傷つき、もう口をきかない決心をしたのだ。  ステイシー先生は、シャーロットタウンにあるクイーン学院を受験したい生徒たちを集めて課外授業をすることにし、アンにも声をかけた。一生懸命勉強すれば教師になれると言われ、興奮して教師への夢を語るアン。マシュウとマリラは、アンに良い教育を受けさせるつもりでいたので喜んで賛成した。しかし、腹心の友ダイアナ(ジュリア・ラロンド)は両親に進学を反対され、参加できなかった。アンは、ギルバートや意地悪なジョシーを含む数人と2カ月課外授業を受け、クイーン学院を受験。ギルバートと同点の1番の成績で合格した。マシュウ(マーティン・シーン)とマリラ(サラ・ボッツフォード)は寂しさをこらえながらアンをシャーロットタウンへ送り出す。(公式HPより)


ルーシー・モード・モンゴメリーの「赤毛のアン」シリーズを、母国カナダで新たに実写化した3部作の完結編です。

TV局制作なので、長いクレジットも入らずすぐに本編、エンドロールも短めなのも嬉しい

地元のシネコンでは遅れて先週からの上映ですが、昼と夜の二回しかないのが不便。でもなかなかの入りでした。

前作までと違って、髪を結いあげ、ブラウスにロングスカートのアンたちは、もう少女というより小さな淑女に見えます。

クイーン学院に通うため、グリーンゲイブルスを離れて下宿することになったアンは早速ホームシックに でも彼女は独りじゃない!アヴォンリーの仲間たちがいます 底意地の悪いジョシー・パイですらね 奨学金を獲得したら大学進学の道も拓けると知って、アンはまたまた猛勉強。ギルバートと成績を競います。気になるのに素直になれない二人は、卒業試験の前に開かれたダンスパーティーでも喧嘩青春あるあるだよね~~

アンが学校生活を謳歌する中、マシュウとマリラには老いが忍び寄っています。蓄えの全てを預けている銀行の業績悪化の噂を聞いてマリラは心配しますが、マシュウは大丈夫だと言い張ります。

やがて卒業式の日がやってきます。アンはもちろん、マシュウとマリラにも晴れがましい日です 

グリーンゲイブルスに帰ってきたアンですが、二人の老いに心を痛めます。束の間の平穏な日々の中、マシュウの歌声に合わせアンも歌いだす夕暮れのシーンがとても印象的です。

銀行倒産のニュースに倒れたマシュウの葬儀シーンも切なかったなぁ 口下手なマリラの兄への想いを理解しているリンド夫人の声かけも、皆が帰ったあとの椅子の片づけを黙ってするギルバートの優しさも、原作の行間を埋めるような温かな眼差しに溢れていました。

アンはマリラを残して進学する気になれず、教職に就くことを選びます。そしてギルバートがアンのためにアヴォンリーでの教職を辞退したことを知り、やっと二人は和解します。若い二人の未来はこれから 二人が疎遠だった5年という年月も、これからの時間が埋めていくんだよね とはいえ、二人の友情は始まったばかりで、恋に変わるのは大学進学のその先のことですが 「アンの青春」や「アンの愛情」も実写映画化してくれないかしらん


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ワンダーストラック

2018年11月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年4月6日公開 アメリカ 117分

1977年、ミネソタ州ガンフリント。12歳のベン(オークス・フェグリー)は、母エレイン(ミシェル・ウィリアムズ)を交通事故で亡くし、伯母の家で暮らしている。父とは一度も会ったことがなく、母は「いつか話すから」と言いながら、なぜか父の名前すら教えてくれなかった。ある嵐の夜、母の家に秘かに戻ったベンは、「ワンダーストラック」というニューヨークの自然史博物館の本を見つける。中にはキンケイド書店のしおりが挟まれていて、「愛を込めて、ダニー」と記されていた。きっと父親だと直感して書店にかけようとした電話に、雷が落ちてしまう。病院で意識を取り戻したベンは耳が聞こえなくなっていたが、父親を探すためにニューヨークへと旅立つ。何とかキンケイド書店を見つけるが、店は閉店していた。途方に暮れたベンは、声をかけてきた少年ジェイミー(ジェイデン・マイケル)のあとをついて行き、自然史博物館に辿り着く。

1927年、ニュージャージー州ホーボーケン。生まれた時から耳の聞こえないローズ(ミリセント・シモンズ)は、大きな屋敷に父と使用人たちと暮らしていた。支配的な父とは心が通わないローズにとって、女優のリリアン・メイヒュー(ジュリアン・ムーア)の映画を観て彼女の記事を集めることだけが心の支えだった。ある日、リリアンがニューヨークの舞台に出演すると知ったローズは、彼女に会いに行こうと決意し、ひとりで船に乗る。兄のウォルター(コーリー・マイケル・スミス)が働く自然史博物館にも行ってみたかった。ローズはリリアンが稽古中のプロムナード劇場を探しあてるのだが──。

1977年、父親が自然史博物館で働くジェイミーに、立ち入り禁止の資料室へと導かれるベン。そこでベンは、母と“ダニー”の出会いにまつわる書類を発見する。果たして、ダニーがベンの父親なのか? 彼は今どこで何をしているのか? その先には、ローズが鍵を握る、さらなる謎が待ち受けていた──。(公式HPより)


ブライアン・セルズニックの小説の実写映画化で、自ら脚本も手掛けています。2つの異なる時代が交互に描かれまが、ローズの時代は白黒のサイレントで、ベンの時代はカラーの音声付で区別されているので、二つの物語がこんがらがることはないのは嬉しいな。 ローズ役の子は自身も聴覚障害を持っているそうです。

ローズが家を抜け出して映画を観たり、新聞を切り抜いて集めたりして憧れる女優は、実は彼女の別れた母親だったんですね 両親の離婚は母が女優ということもあり世間的にはスキャンダルです。父親が娘に禁ずるのもその辺の大人の事情なのでしょう。兄の住むNYの舞台に彼女が出演すると知って、ローズは家を飛び出し会いに行くのですが、母は歓迎してはくれませんでした。控室に閉じ込められて憤慨したローズが外に抜け出した先は兄の働く自然史博物館。

一方、ベンも父親かもしれない人物を探してNYへやってきます。お上りさん状態の彼は早速財布の現金を盗られてしまいますが、ジェイミーと出会い自然史博物館へやってきます。家に居場所がなく友人もいなかったジェイミーにとってベンは初めてできた友達。ベンにキンケイド書店が廃業したのではなく移転していることを伝え損なったのも、ベンと別れたくなかったからなのね

ささいな行き違いからジェイミーと険悪になったベンは一人でキンケイド書店へ向かいます。そこで出会った婦人(ジュリアン・ムーア)と書店主は手話で会話し、彼女はローズと呼ばれ・・・ここで二つの物語がようやく交わるんですね

二つの時代の差から推察できるように二人には血縁関係がありました。ローズの息子が愛したのがベンの母親だったんですね。ローズの夫と息子が同じ病で早死にしたという設定を知り、「ベン、大丈夫か~~?」と思ってしまったけど余計なお世話ですね

ベンを心配して後をつけてきたジェイミーとも再会。それぞれが求めていたものを得たのだろうなと思わせる結末でした


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ハッピーエンド

2018年11月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年3月3日公開 フランス=ドイツ=オーストリア 107分

カレーに住むブルジョワジーのロラン家は、瀟洒な邸宅に3世帯が暮らす。その家⻑は、建築業を営んでいたジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)だが、⾼齢の彼はすでに引退している。娘アンヌ(イザベル・ユペール)が家業を継ぎ、取引先銀⾏の顧問弁護⼠を恋⼈に、ビジネスで辣腕を振るっている。専務職を任されたアンヌの息⼦ピエール(フランツ・ロゴフスキ)はビジネスマンに徹しきれない。使⽤⼈や移⺠労働者の扱いに関しても、祖⽗や⺟の世代への反撥があるものの、⼦供染みた反抗しかできないナイーヴな⻘年だ。またアンヌの弟トマ(マチュー・カソヴィッツ)は家業を継がず、医師として働き、再婚した若い妻アナイス(ローラ・ファーリンデン)との間に幼い息子ポールがいる。その他、幼い娘のいるモロッコ⼈のラシッドと妻ジャミラが住み込みで⼀家に仕えている。一家は、同じテーブルを囲み、⾷事をしても、それぞれの思いには無関⼼。SNSやメールに個々の秘密や鬱憤を打ち込むだけ。ましてや使⽤⼈や移⺠のことなど眼中にない。そんな家族の中、ハネケは祖⽗ジョルジュと疎遠だった孫娘エヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン)の再会に光を当てる。⽼いた祖⽗は、意に添わぬ場⾯ではボケたふりをして周囲を煙に巻きながら、死の影を纏うエヴのことも実はちゃんとお⾒通し。⼀⽅、幼い頃に⽗に捨てられ、愛に飢え、死に取り憑かれたエヴもまた醒めた⽬で世界を⾒つめている。秘密を抱えた⼆⼈の緊張感漲る対峙。ジョルジュの衝撃の告⽩は、エヴの閉ざされた扉をこじ開ける―――(公式HPより)

 

ミヒャエル・ハネケ監督作。難民が多く暮らすフランス北部の町カレーを舞台に、不倫や裏切りなどそれぞれに秘密を抱えた3世代の家族の姿を描いた人間ドラマということですが・・・

冒頭、スマホの録画画面が映されますが、これはエヴの心の闇を表しているんですね。母親が薬の過剰摂取で入院(後に死亡)したことでエヴは父親の家に引き取られることになるのですが、愛に飢えたエヴを父は満足させてはくれません。そもそも母親のことにしたって、エヴが絡んでいるのは確実でしょう エヴは父が誰も本当には愛せない人間であると見抜きます。PCののぞき見や電話の会話に聞き耳を立てる姿はおよそ子供らしさのかけらもありませんが、幼い頃から十分愛されて来なかった者の切迫した感情の発露と見れば何だか切ない気がします。

ロラン家の面々も、それぞれが秘密を抱えていて互いに無関心です。惚けていると思われていた祖父が、実はフリをしていただけで、自由の利かない身を持てあまし、自殺願望を持っているんですね 彼とエヴの間に交わされた会話もかなり衝撃的です。祖父はエヴの暗い闇に気付いていました。彼らの間に同志のような感覚が芽ばえるきっかけの場面でもあります。(公式さんでは「孤独な魂の会合が断絶した絆に血が通う瞬間」と表現されています。)

アンヌの息子のピエールの行動もイマイチよくわからなかった 次期社長の期待に応えられず能力不足を自覚している彼が、その矛先を移民問題にすり替えるかのような行動には、未熟さしか感じられなかったなぁ。 

ラストシーンで海に入っていく祖父をスマホで録画するエヴと、事態に気付いて駆けつける大人たちの対比が見事です。おそらくは失敗したであろう祖父の企みは、二人にとってどのような「明日」を運んでくるのかしら?

映画では住み込みの移民一家が登場しますが、彼らとロラン家の関係について根底にあるものは、社会背景を含めて当方理解不足です。

何故これが「ハッピーエンド」なのか・・・単純な思考回路の人間には難解な作品でした。


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しあわせな人生の選択

2018年11月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年7月1日公開 スペイン=アルゼンチン 108分 R15+

カナダに住むトマス(ハビエル・カマラ)は長年の友人でスペインに住むフリアン(リカルド・ダリン)が余命わずかであることを聞き、フリアンのもとを訪れる。治療をあきらめ、身辺整理を始めたフリアンは、愛犬トルーマンの新たな飼い主を探し、アムステルダムの大学に通う息子の誕生日を祝うためにオランダへ旅をする。その中でフリアンとトマスは、昔のように遠慮のない関係に戻っていくが……。(映画.comより)


余命わずかな男と彼を取り巻く人々の最期の4日間を描いたドラマです。監督、脚本のセスク・ゲイは母親の闘病生活の実体験をベースもとに本作を製作し、スペイン版アカデミー賞といわれる第30回ゴヤ賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞の5部門を受賞しています。

フリアンはマドリードで役者をしています。妻とは離婚し一人息子とも疎遠になっています。肺がんの治療を一年してきたけれど、結果は思わしくなく、これ以上の治療を望まずに人生の区切りを付けようと決めた彼を翻意させようと、フリアンの従妹のパウラ(ドロシス・フォンシ)がトマスにメールし、妻の「今会わなかったら後悔する」と後押しされてトマスはやってきたのです。

親友だけどもう何年も会っていない二人。ですが時間は関係を薄めたわけではないんですね。初めは治療を諦めないよう説得しようと思っていたトマスですが、フリアンの決意を知ると彼に寄り添う選択をします。親友だからこそ互いを理解しあえる、そんな二人の関係がちょっと羨ましくもあります。

フリアンにはやらなければならないことが沢山ありました。その全てにトマスが付き合います。まずは医師に抗ガン治療を止めると伝えること。(もし日本なら「はい、そうですか」と受け入れてくれるのかなぁ?)次に葬儀のための見積もりをもらう事。具体的に説明されて動揺するフリアンを見て「後は自分の携帯に送って欲しい」と業者に言うのもトマスでした。

息子の誕生日が近いことを知り会うよう勧めるトマスに素直に応じるフリアン。でも息子はアムステルダムに留学中なんですねちなみにトマスは裕福でフリアンは貧乏なので、あれこれの費用は全てトマス持ちです。(いやいや、いくら親友でも自分だったらそこまでできないぞついでに飛行機で日帰りの旅も末期患者には辛そうですが

実は別れた妻が息子にはフリアンの病状と決意は伝えていたのですが、結局この父子はそのことには触れずに別れます。別れのハグで見せる息子の感極まった表情の理由は、彼が全てを知って敢えて黙って父の選択を受け入れていたからなのね

愛犬トルーマンの新しい「家族」探しは難航します。子犬ならともかく老犬を受け入れてくれる人は少ないんですね。たった一日でも別れがたいフリアンの気持ちもわかる気がしました。話はまとまらず、トマスが去る日を迎えるのですが、空港で・・・。フリアンは初めからそのつもりだったのか、二件目の話が流れた時点で決めたのか、どっちかな

家庭円満なトマスが最後の夜をパウラと過ごしたのは、男女の愛というより、悲しみを抱えた同志の慰め合いのような感情でしょうか。 このシーンがあるからR15+指定なのかな

初めはトマスがフリアンに振り回されているように感じたのですが、親友の決意を受け止めさりげなく助力するトマスを見ているうちに、男同士の友情って、なんか良いなぁと思ってしまいました。(経済力あってこそ、だとも思いますが


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名探偵コナン ゼロの執行人

2018年11月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年4月13日公開 110分

東京で開かれるサミットの会場となる東京湾の巨大施設「エッジ・オブ・オーシャン」で、大規模爆破事件が発生。事件の裏には、全国の公安警察を操る警察庁の秘密組織・通称「ゼロ」に所属する安室透の影があった。サミット当日ではなく事前に起こされた爆破事件と、安室の行動に違和感を抱くコナン。そんな折、爆破事件の現場から毛利小五郎のものと一致する指紋が発見され……。(映画.comより)


青山剛昌原作「名探偵コナン」の劇場版22作目です。劇場版20作目「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」に登場した安室透が今回はメインキャラクターとなっています。彼は安室という名前で喫茶店でアルバイトをしているけれど、公安警察の降谷零であると同時に黒の組織の一員バーボンでもあるという謎の多い存在・・らしい(原作未読です)そうか!だからタイトルに零→ゼロが付くのか

爆破事件の容疑者として逮捕された毛利のおっちゃんの無実を証明するため奔走するコナン君。正確には蘭のためですが

ハイテク音痴な小五郎が犯人ではないことは明らかなのですが、何故彼が容疑者に仕立てられたかという疑問が出てきます。ところが、その理由が何とも・・・(本当は高校生だけど)小学生探偵のコナンにそこまで期待を寄せる時点で安室=降谷ってどうよ!・・と言ってしまってはそもそもこのお話が成立しないわけで

劇場版は回を追うごとに規模が大きくなりありえね~~!!展開が繰り広げられますが、今回遂に衛星探査機をドローンに積んだ爆薬をぶつけて警視庁への落下を防いだり、サッカーボールでカプセルの落下軌道を変えたりする荒業が登場します。安室も渋滞中の高速を片輪走行したりモノレールの線路を走ったり、挙句カジノタワーへ空中ダイブしてコナンを助けるんですね アニメならではのスリリングな展開です。

公安警察の協力者というのが事件のキーパーソンですが、橘鏡子のキャラは少しエキセントリックな印象を受けました。互いに自らが使う民間人の協力者のことは秘密にしているとか、警察内部のパワーバランスとか、現実にありそうなところが妙に生々しいぞ 真犯人はちょっと意外でしたが、凝り固まった正義感は時に暴走するってことですかね。

阿笠博士の作ったドローンが大活躍、操縦するのはもちろん探偵団の三人というわけで、ちゃんと物語に絡んで重要な役割を果たしながら本人たちは全く気付いていない設定です

映画のエンドロールでは実写の夜景が流れ、萌えポイントにもなっていました。


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体操しようよ

2018年11月09日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年11月9日公開 109分

妻に先立たれて18年、娘と二人三脚で家庭を営んできたつもりの佐野道太郎(草刈正雄)だったが、定年退職後、娘(木村文乃)から突然、家事全般を任されてしまう。加えて、娘に結婚を考えている恋人がいることを知り、ショックを受ける道太郎。自由な時間を持て余すため、ひょんなことから地元のラジオ体操に通うことになった彼は、体操会の会長や子どもたち、ご近所さんなど、さまざまな世代の人々と関わりを通じ、それまで知らなかった世界を知っていく。(映画.comより)

 

定年退職を迎えたシングルファーザーが、ラジオ体操を通じた仲間作りや家庭での主夫業に奮闘する姿を描くハートフルコメディです。公開初日初回を鑑賞しましたが、観客総数5名…大丈夫か??5分違いで上映していた「ボヘミアン・ラブソディ」に取られたかしらん?(実はこっちも気になってます。

いつもダンディな草刈さんが冴えないおっさんを演じるということでも話題となっていましたが、大丈夫!ちゃんとその辺にいる定年退職で暇を持て余したおっさんに見えました。(褒めてます)

文乃ちゃんは気の強い娘役ですが、ヘアバンドしたショートヘアがとってもキュートで可愛かったです

道太郎の妹役で余貴美子さん、近所の住民みどり役で片桐はいりさんも出演。特にはいりさんのセリフは「おはようございます」くらいしかないという。ちょっともったいないような配役でした

無遅刻無欠勤だけが取り柄のサラリーマンという設定で、退職慰労会の席でも存在感がほぼないのがちょっと切ない導入部。

先に定年となった元上司(平泉成)に誘われラジオ体操に参加したのも義理立てだったのが、気になる喫茶店店主・のぞみ(和久井映見)目当てに入会しちゃうあたり、まだまだ枯れてないじゃん彼女に働かないかと聞かれ二つ返事で引き受けたら、会長がやってる便利屋のお仕事だったというオチも待っていました 

会長(きたろう)の「今日もそこそこ楽しくやりましょう」というのがこのラジオ体操会のポリシーなのに、会長の怪我で代理に指名されたのぞみのためにと張り切って逆に会員の反感を買ってしまう道太郎 真面目実直が取り柄の彼の性格が災いします。ラジオ体操の手順を事細かに指図されたら誰だって息が詰まるし運動能力も人それぞれですからねえ ここぞとばかりに会長の座を狙う輩も現れ、会は分断。さらにのぞみの過去に土足で踏み込んでしまい泥沼化 とどめは娘・弓子の恋人が定職に就かず、好きな天文に明け暮れる便利屋の同僚の薫(渡辺大地)と知り、激怒して娘にもそっぽを向かれてしまう始末。単なる同僚として接していた時は自分の好きな道を行けとか理解ある態度だったのに、こと娘の恋人となると「ふらふら定職もない男にやれるか!」と言っちゃうあたりはまさに「父親」なんですが

四面楚歌な状況はしかし、会長の助言により打開されます。自分の失火で嫁ぎ先を追われた過去をもつのぞみに、置いてきた息子に会うべきと連れ出すんですが、このとき薫が車を出します。 弓子も一緒。現実は息子に拒絶されてしまう(この場面もちょっと切ない)のですが、このことで、逆にのぞみは息子と向き合う決心ができるんですね

離れていった会員を戻そうと、一人ひとりに手紙(カード)を渡す道太郎。実は彼の特技は絵だったという伏線あり。雨降って地固まるという展開で、最後は皆が戻ってきてのハッピーエンドです。弓子が薫の公開プロポーズを受け入れた時も、道太郎は素直に祝福します。

結婚して弓子が家を出た翌朝も、道太郎には体操会の仲間が待っています。やっぱり定年後は地域の仲間の存在って大きいのねぇ~とか思ってしまったぞ


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ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

2018年11月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月23日公開 アメリカ 120分

「1日5回だけ祈りを捧げる。そして親が見つけた相手と見合い結婚を──」今日もシカゴのコメディクラブで、生まれ故郷のパキスタンネタで、笑いを取る駆け出しのコメディアンのクメイル(クメイル・ナンジアニ)。両親からは弁護士になれと迫られているが、ウーバーの運転手もしながら何とか暮らしている。ある夜、舞台に向けて歓声を上げた若い女性に、声をかけるクメイル。彼女の名はエミリー(ゾーイ・カザン)、セラピストを目指して心理学を学んでいる大学院生だ。ジョークの波長が合った二人はすぐに意気投合し、エミリーはクメイルのアパートを訪れる。二人は会うたびに惹かれ合っていくが、クメイルにはエミリーには言えない“家族のオキテ”があった。厳格なイスラム教徒の両親は、パキスタン人との見合い結婚しか認めない。クメイルが実家に帰ると、母がミエミエの偶然を装って、同郷の女性たちを招くのだ。アメリカで育ったクメイルは、親が決める結婚に疑問を抱いていたが、白人と結婚して親戚中から縁を切られたいとこのようにはなりたくなかった。ある日、エミリーから真剣な想いを告白されるクメイル。さらに、彼女の両親とのランチに誘われたクメイルは、とっさにジョークのはずの「連続2日以上女性と会ってはいけない」という“2日ルール”を持ち出して断ってしまう。そんな中、別れは突然にやって来た。エミリーがクメイルの部屋にある大量の“お見合い写真”を見てしまったのだ。5カ月間も騙されていたと激怒するエミリーに、「私と一緒の未来を想像できる?」と聞かれたクメイルは、「分からない」と正直に答えてしまう。数日後、エミリーの同級生から電話がかかって来る。重病で入院したエミリーに、付き添ってくれと言うのだ。家族の代わりにクメイルがサインをすると、エミリーは治療のための処置として昏睡状態にされる。翌朝、エミリーの父親テリー(レイ・ロマノ)と母親のベス(ホリー・ハンター)が駆けつけるが、別れるまでの経緯をすべて娘から聞いていた両親は、クメイルに冷たく当たる。そんな彼らをエミリーの部屋まで送り届けたクメイルは、気まずい空気に耐えかねて、「コメディ・フェスのオーディションがある」と嘘をついて帰ろうとするが、テリーから気分転換に観に行きたいと頼まれる。仕方なくクメイルは、本当は飛び入りの出演を果たすが、観客から「ISISへ帰れ!」と野次られる。するとベスが立ち上がり、猛然と抗議するのだった。ベスの勇敢な行動をきっかけに、心を開き始める3人。やがて同じ人の無事を願う3人に、温かな絆が生まれていく。だが、エミリーの病状は日に日に悪化し、遂には命に危険が及ぶ。未だ売れるチャンスは掴めないが、笑うことが大好きで、コメディアンとして成功する夢を応援してくれたエミリーのためにも、ステージに立ち続けるクメイル。果たしてエミリーは目覚めることが出来るのか? もし、二人の関係が元に戻れたとしても、クメイルの両親を説得できるのか? トラブルの山はまだまだ続く──。(公式HPより)


パキスタン出身の男性コメディアンとアメリカ人女性のカップルが、結婚に向けて文化の違いによる数々の障壁を乗り越えていくさまを、実話をもとに描いたコメディドラマ。俳優クメイル・ナンジアニと、妻で脚本家のエミリー・V・ゴードンが、自分たちの体験をもとに脚本を共同執筆したそうです。

人種や宗教の違いはやはり結婚ともなると立派な障害となって立ちはだかりますね。クメイルにとって、見合いは親孝行でもあるし、家族ともめて孤立したくないから断れない。(でも、見合い相手の写真をコレクションみたいにとっておくってどうよ)だけどエミリーの感覚では受け入れられないのもわかります。彼女がアメリカ人ということを別にしても、交際相手がいるのにお見合いする神経は女性として受け入れられませんぞ

別れた後、エミリーが感染症で倒れて事態が変わっていきます。娘を傷つけられたことでクメイルに腹を立てていた彼女の両親は、最初彼に素っ気なく当たります。でも舞台でクメイルが侮辱されたことに憤ったベスが彼を擁護したことから関係が好転していくんですね 愛する者を想う気持ちが三人を結びつけていきます。そして、クメイルも改めてエミリーが自分にとっていかに大切な存在であるかに気付いていくんですね。

感染症の原因が特定され、昏睡状態から覚めたエミリーですが、両親と仲良くなってる姿に戸惑いを覚えつつも、彼女にとってはクメイルは別れた時の彼ですから、到底彼を許して受け入れる気になれません。そりゃそうだ! 両親にエミリーのことや、自分の価値観の違いを告白して勘当されているクメイルは、家族と恋人の両方を失ってしまったことになります。失意の彼はコメディアン仲間に誘われ、シカゴを離れNYで新生活を始めることにします。

このまま二人の関係は終わってしまうのか、と思いきや、ラストはNYの舞台にエミリーが顔を出すという・・・彼女にとってもクメイルはかけがえのない存在だったというわけね

映画の中で二人の仲睦まじさを象徴していたのがソファでじゃれ合う姿でした。 


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あなたの旅立ち、綴ります

2018年11月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月24日公開 アメリカ 108分

ビジネスの成功で財を成した老婦人のハリエット(シャーリー・マクレーン)は何不自由なく暮らしていたが、80代に入ってからは孤独と死への不安を感じていた。そんなある日、新聞の訃報記事を目にしたハリエットは、自身の訃報記事を生前に執筆することを思いつき、地元の若い新聞記者であるアン(アマンダ・セイフライド)へ依頼することに。アンは仕方なく周囲への取材を始めるが、疎遠になっていた家族だけでなく、かつての仕事仲間から地元の牧師まで、ハリエットのことを良く言う者は誰一人としていなかった。その後、理想とかけ離れた原稿を読んだハリエットは、“最高の訃報記事”に欠かせない4つの条件を満たすため、自分を変えることを決意。その要素とは、家族や友人に愛されること、同僚から尊敬されること、誰かの人生に影響を与えるような人物であること、そして記事の見出しになるような人々の記憶に残る特別な何かをやり遂げることだった。そこで、まず地域のコミュニティセンターを訪ねたハリエットとアンは、9歳のやんちゃな少女ブレンダ(アンジュエル・リー)と出会い、親交を深めることとなる。そして、ハリエットが次に向かった先は、なんと地元のラジオ局。子供の頃からラジオと音楽を愛していたハリエットは、長年コレクションしていたレコードを持参し、自分をDJとして採用するように直談判する。そこで81歳にしてラジオDJデビューを成し遂げ、独自の経験でしか手に入れられない、人々の記憶に残る条件をクリアするのだった。4つの条件のうち、難題と思われていたのは何十年も連絡を取っていない娘との和解。そこで、ハリエットとアンとブレンダの3人は娘の暮らす町まで一緒に旅に出ることに。久しぶりの再会に気まずい空気が流れるものの、娘が幸せに暮らしていることを知ったハリエットは「自分はいい母親だった」と満足し、目的を果たす。楽しい旅の余韻に浸りたいハリエットだったが、医師から余命わずかであることを告げられ、訃報記事を書き直して欲しいとアンにお願いする。何事にも強気なハリエットと一歩を踏み出す勇気のないアン。正反対の2人はぶつかってばかりいたが、いつしか世代を超えた友情が芽生え始めていた。そして、人知れず悩みを抱えていたアンの気持ちにも少しずつ変化が起きることに。ついにハリエットは、4つの条件をやり遂げ、アンとブレンダとともにダンスを楽しみながら、自宅で至福の時間を過ごしていた。しかし、別れのときはすぐそこまで来ていたのだった……。(公式HPより)



人生の終わりを見据えた嫌われ者の老婦人と、始まったばかりのキャリアに悩む若い女性記者が、世代を超えて育む友情を描いたハートフルストーリーです。

ハリエットは超絶自分勝手なのですが、いつの間にか周囲を巻き込んでいくパワーを持っています。初めはその行動に眉を顰めて見ていましたが、アン同様、次第に彼女の持つ魅力に惹かれていく自分がいました。彼女は自分が変わることで周囲をも変えていきます。ブレンダとの出会いも大きな変化でした。自己主張の強さではブレンダもハリエットと好い勝負。だからこそ二人は気が合ったのかも。

80を超えてのラジオDJというのも凄い!昔から自分の意志を貫いてきた彼女だからこその魅力を感じさせます。(もっとも音楽のことはよくわからないけれど、流れる曲はどれも心地よく耳に響いてきました。)

娘に会うシーンでは、娘の性格がハリエットそっくりで(それに気づいていないらしいところも含めて)笑えます。娘が幸せだと聞いて「なら私の子育ては間違っていなかった」と笑うハリエットに何だか目からうろこな気持ちになりました。

何より一番影響を受けたのが、アンでしょう。自信のなさを抱えていたアンにとって、ハリエットは人生の先輩であり、型破りではあるけれど、辛辣な助言者であり、そして最高の友人だったのですから。

ハリエットくらい、人生を自分の思い通りに生きられたら、それはやっぱり幸せだったと言えるよね


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