杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ジョン・カーター

2012年08月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年4月13日公開 アメリカ 133分

1881年NY。大富豪ジョン・カーター(テイラー・キッチュ)からの電報で駆け付けた甥のエドガー・ライス・バローズ(ダリル・サバラ)は、弁護士からジョンの全ての財産と共に一冊の日記を渡される。そこに記されていたのは、想像を越えた体験談だった。
愛する妻と娘を亡くし、生きる意味を見失っていたジョン・カーターは、不思議な現象によって惑星バルスームに迷い込む。地球を凌駕する高度な文明を持ったこの星は、全宇宙を支配しつつあるマタイ・シャン(マーク・ストロング)によって滅亡の危機に瀕していた。ヘリウム国王女デジャー・ソリス(リン・コリンズ)や彼女に忠誠を尽くすカントス・カン(ジェームズ・ピュアフォイ)、サーク族のタルス・タルカス(ウィレム・デフォー)など、バルスームの民たちと心を通わせてゆくジョンだったが、その一方でソダンガ国の皇帝サブ・サン(ドミニク・ウェスト)はマタイ・シャンに操られ、ヘリウム王国を滅ぼそうとしていた。かつて妻子を救うことが出来なかった無力感が、彼らと共に戦うことを躊躇わせていたジョンだが、マタイ・シャンの無慈悲な攻撃にさらされるバルスームの惨状が、彼の中に新たな感情を芽生えさせる。それは、愛する者を二度と失いたくないという強い思い。果たしてジョン・カーターと惑星バルスームの運命は?そして、カーターの日記を受け取ったエドガー自身も、この壮大な冒険の重要なカギを握っていた……。

エドガー・ライス・バローズのSF小説『火星のプリンセス』の映画化です。
原作は『アバター』や『スター・ウォーズ』誕生にも大きな影響を与えたとか。
100年以上も前に書かれた話なのに十分にわくわくさせてくれる要素を持った作品で、現代のCG技術でようやく視覚化が実現したといえるかな
高度な科学を誇る割に古代的なコスチュームや支配体制なのが面白いです。

ジョンは地球でも強靭な意志と肉体を誇っていましたが、バルスームは地球より重力が軽いため、桁違いのジャンプ力と超人的パワーを発揮します。

ジョンを最初に見つけ彼を生かしておくことにしたタルカス将軍との間には親子にも似た友情関係が築かれていくの。その娘であるソラも冒険に一役買います。サーク族は卵から孵化する種族で卵を一か所に集めて集団で孵化させるため親子関係が希薄なようですが、ソラはタルカスの妻が手元に置いて孵化させたという事情があって彼らの間には他のサーク族とは異なる親愛の情があるようでした。

マタイ・シャンは星の一生を支配する神のような存在?(彼の言では不死だそうですが、割とあっさり死んじゃうんだけどな)彼らのシナリオ通りに物事を進めるため、操り易い人間を選びます。つまり意思の弱い人間かな

デジャーやジョンはその点とても操りにくい、というか操れないキャラですね
初めは互いに信用せずぶつかり合っていた二人ですが、共に冒険をするうちに親愛の情が芽生えて行きます。ストレートにその気持ちをぶつける王女に対して、過去のあるジョンは引いています。けれど窮地に陥った時、彼自身も自分の想いに気付くのね

恋あり冒険ありのバルスームでの物語はまさにSFファンタジーの草分け的内容。
サブ・サンを倒しめでたく王女と結ばれたジョンですが、またまたマタイ・シャンの策略で地球でに飛ばされてしまうの。しかも鍵を持たないままでね。

というわけでお話は冒頭の甥に戻り、彼は叔父であるジョンの死(体)を確かめようと墓所に行くのですが、そこへマタイ・シャンが現れ・・
あ~~冒頭の謎の人物は「彼」だったのかとようやく納得。
そしてジョンの仕掛けたからくりもね 
しかし、あれから10年は経ってるわけで・・・地球とバルスームとの時間差ってないのかしらん?と気になりました。まぁ愛しい人と再会できるのだから時間は関係ないかしら

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闇金ウシジマくん

2012年08月29日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2012年8月25日公開 132分

丑嶋馨(山田孝之)は10日で5割(トゴ)、1日3割(ヒサン)という暴利の闇金・カウカウ・ファイナンスを営んでいる。パチンコにはまった母の借金を背負い、容赦ない取り立てに負われる鈴木未來(大島優子)は、友人から楽に稼げると誘われ出会いカフェで働き始めるが、売春だけはしないという決意は、簡単に大金が手に入ることを知ると次第に揺らいでいく。成り上がりを狙う小川純(林遣都)はイベントサークルの代表を務め、イケメンダンサーを集めたイベントを主催しては彼ら目当てに集まる女性たちから金を巻き上げている。セレブへの野心の命運を握る2000人の大イベントの資金集めに奔走しようやくIT企業のスポンサーを見つけるが、丑嶋に奪われてしまい復讐を企むが・・・。


真鍋昌平原作の同名漫画の映画化です。といっても原作コミックも深夜放送の連ドラも見てません。「ナニ金」は中居君が主演してたのと内容が面白かったのでTVシリーズは全て見ているけれど(原作は読んでません)、あれは年率40%(当時)の法律規定で貸す「街金」(消費者金融)の話で、一応人情仕立てにもなってましたが、こちらは完全に法律違反の闇金融業者です。ウシジマ君はにこりとも笑わない無表情で寡黙な男。その取り立ては一切容赦ない非情さが漂います。だけどそれなのに心の奥底には人情が灯ってる、そんな印象を受けるのは山田君の演技力のせい?

冒頭、岡田義徳演じるFX長者の猪俣に向かっての取り立ての様子はかなり過激で驚きますが、同時に、幅広い人脈を持つ成功者でも土壇場で救いの手を差し伸べてくれる友人はいないということを示しているように見えます。これは後に純が最後の救いを求めて三人に電話するエピソードでも感じられました。3台の携帯に3000人のアドレスがあっても、頼れる人は一人もいないという現実が哀しいし切ないですねぇ

ウシジマの取り立てのせいでスポンサーを奪われてしまった純は、幼馴染のネッシー(鈴之助)に知恵をつけられたことを利用して逆にウシジマを嵌めようとします。恐喝の告訴をされて警察で取り調べを受けるウシジマはまるで濡れ衣を着せられた人のように見えるから面白い。刑事の乱暴な言動とウシジマの寡黙さの対比がそう見せるのね

告訴を取り下げさせようとウシジマに雇われた 西尾弁護士(金田明夫)とカウカウの社員たち、柄崎(やべきょうすけ)・高田(崎本大海)や元社員の千秋(片瀬那奈)が動きます。一方仕掛けた純の方は思うように資金が集まらず、会場代の支払いや広告代理店の先輩、上原(ムロツヨシ)の我儘な要求に肉蝮(新井浩文)からの脅迫も加わり追い詰められていきます。
貧乏で学歴のない純が這い上がるために必死で動くほどに自分を追い詰めていく姿は滑稽なピエロのようで切ないです。自分がイケメンたちを利用していると思っている純ですが、実際のところ、彼らの方が純を利用しているんだもんな。

未來(ミコ)はパチンコ狂いで幼い息子の面倒も見ず、自ら売春をするだけでなく娘にも強要するような母(黒沢あすか)を嫌っていますが、母が作った借金の返済をするなど、完全に見捨てることも出来ません。この母がもう憎たらしいほど我欲の塊なのよね。
どうしようもなく流されていくばかりだった未來ですが、母親の借金の利息は払うけれど元本は払わない、とか、出会い系でバイトしても売りはしないとか、ギリギリの一線を最後まで踏み外さない点はエライです きっぱりと自堕落な生活から足を洗い地道にファミレスのバイトを始める未來はバイト先の先輩アキト(市原隼人)となんか良い雰囲気。まぁ、志を高く持つ人にはそれなりの平穏がってところでしょうか

そんな未來と対照的に純の方はどんどん欲に支配され周囲が見えなくなっていきます。どんどん悪人面になっていく純。演じてる林君も凄いね
結局ウシジマたちに拉致られて山中に捨て置かれるまでの状況を作ったのはひとえに純の弱さからなのよね。救いは最後にほんの少し残っていた自分を取り戻したことでしょうか。

映画の最後にアパートの部屋を一軒ずつ回り借金を申し込む老婆が出てきますがこれが内田春菊さん おいおい、演じてる本人も楽しんでないか?

肉蝮との対決シーンや暴力シーンも多いのですが、個人的には人間関係の方に興味があるのでそういうシーンはさらっと頭から流してしまいましたまた、カウカウの元社員とか、ウシジマと登場人物たちとの過去の因縁などドラマや原作を知っていないとわからないところもあったけれど、全体の流れにはあまり関係なかったから、ま、いっか~~!

続編とかあったらまた観たいな

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ペイ・フォワード 可能の王国

2012年08月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2001年2月3日公開 アメリカ 123分

中学1年生のトレヴァー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、家庭内暴力を振るうアル中の父(ジョン・ボン・ジョヴィ)が家を出て行き、バーで働く母アーリーン(ヘレン・ハント)と2人暮らしだが、母も酒を止められずにいた。ある日、社会の授業でシモネット先生(ケヴィン・スペイシー)が出した“自分の手で世界を変える方法”の課題に対し、トレヴァーは“ペイ・フォワード”計画を思いつく。それは自分が受けた思いやりや善意を、その相手に返すのではなく、別の3人の相手に渡すというものだった。
彼はまずホームレスの男性を家に連れてきて親切にする。次はシモネット先生と母の仲をとりもとうとする。それからいじめられている同級生を助けようとする。しかし先生や同級生への作戦はなかなかうまくいかず、計画は失敗だったと思い始めたトレヴァーだったが、彼の行為に触発された母を初めとする人たちにより“ペイ・フォワード”計画は徐々に街中に広がっていく。そして遂にはTV取材を受けるようになるのだが・・・。


ジョエル君の童顔が仇でとても中学生には見えなかったけれど、内容的には好みの話

シモネッタ先生の火傷の理由が悲惨な彼の過去を象徴しています。
だからこそ彼は同じような境遇のトレヴァーとその母が気にかかってしまったのね。

取材を受けて自分の立てた計画が成功したことに喜ぶトレヴァーでしたが、その直後、いじめられていた友人を助けようとして刺され、あっけなく死んでしまうの。
(いや、そんな小さなナイフでちょっと刺されたくらいじゃ死なないような気もするんだけどなぁ・・とちょっと突っ込んでみる)
彼にとって友人を助けるというのが3人目の目的達成になることや、それまで勇気が足りなくて逃げてしまっていたけれど、TV取材という特別な経験をして気持ちが高揚していたことが悲劇の扉を開けてしまったのでしょうか

彼を偲んで街中の人がメモリアルキャンドルを灯しに訪れるラストの幻想的な美しさが余計に涙を誘うのでした

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長ぐつをはいたネコ

2012年08月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年3月17日公開 アメリカ 90分

長ぐつをはいたネコことプス(声:アントニオ・バンデラス)は、幼いころに捨てられ、孤児院でイメルダ(声:コンスタンス・マリー)に育てられた。ハンプティ・ダンプティ(声:ザック・ガリフィナーキス)とは魔法の豆を探すという目的を持ち堅い兄弟の絆で結ばれていたが、ある時「無実の罪」で街を追われ賞金首になる。7年後のある日、街の酒場で魔法の豆を悪名高いジャック(声:ビリー・ボブ・ソーントン)とジル(声:エイミー・セダリス)が持っていると耳にしたプスは、その豆を盗もうとするが、謎の覆面ネコに邪魔され失敗してしまう。覆面ネコはメスネコのキティ(声:サルマ・ハエック)で、旧友のハンプティ・ダンプティと再会したプスは、「無実の罪」の元凶となったハンプティを信用できないと一旦は拒否するが、再び街の人々の信頼を取り戻し、無実の罪をはらすため、豆を手に入れて雲の上にある巨人の城へ行き伝説のアヒルが産む金の卵を探すことに同意する。しかし、その裏にはプスの想像を超えるような罠が待ち受けていた。


「シュレック」シリーズの人気キャラクターである長靴をはいたネコを主人公にしたスピンオフ作品です。
日本公開時は字幕版の上映がいきつけのシネコンではなかったのでDVDを待っていました竹中直人の声も嫌いじゃないんだけど、やっぱりバンデラスが良いね
DVDの特典には俳優が声をあてているシーンも収録されているのだけど、バンデラスは剣を片手に実に楽しそうに演じていて、それを見れたのも嬉しかったです。ただ・・ビリーともどもやっぱり年取ったなぁとも感じたのだけど

愛くるしい姿に似合わない低音ボイスのプスは、まさにネコ版「ゾロ」
彼の捨て猫だったという生い立ちや、長靴を履くようになったエピソード、何故お尋ね者になったのかなどが次々と明かされていきます。雌猫のキティは勝気で腕のよい相棒という感じ。もちろんプスとの間に生まれる恋模様も楽しめました。

兄弟分のハンプティの屈折した心情も描かれています。
彼は、7年前、老婆(警察署長の母)を暴れ牛から助けたことで英雄視されて感謝のしるしに長靴を貰ったプスが、自分から離れていくようで寂しくまた羨ましくてプスを嵌めました。そしてその時ハンプティを見捨てて逃げたプスが許せず、復讐の機会を狙っていたのです。

金の卵を産むアヒル(の子?)を盗み出して故郷の町に戻ったものの、ハンプティの計略でプスは警察に捕まってしまいます。しかもハンプティはアヒルを取り戻しにきた母アヒル(当初、アヒルの子を取り返しにくるのは巨人の設定でしたが、お母さんアヒルに変更されたようです。)に町を破壊させようとしていました。それを知ったプスはハンプティを説得して町を救うためにキティと共に奮闘します。悪知恵の働くハンプティですが、本質は夢を持った発明家であり、その外見もあって憎みきれないキャラでした。

ネコ好きにはプスや他のネコたちの仕草や習性(光を追いかけたりミルクを舐めたり)を見るだけでも萌~~ですね

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最高の人生をあなたと

2012年08月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年2月4日公開 フランス=ベルギー=イギリス

イギリス人の母とイタリア人の父を持つメアリー(イザベラ・ロッセリーニ)は、建築家として世界的な名声を得ている夫アダム(ウィリアム・ハート)と、ロンドンで30年に及ぶ結婚生活を送ってきた。3人の子供たちはすでに独立、孫にも恵まれたメアリーだったが、突然襲った“記憶の空白”をきっかけに夫婦の老後を考え始めたところ、ふと疑問が心に湧いてくる。“私の人生って何?”高級ブランドのドレスを身に纏い、ゴージャスに着飾っても、なぜか気分は晴れない。若くて美しい娘たちと自分をついつい見比べてしまう。そんな社会からの疎外感にとらわれたメアリーに対して、アダムは若いスタッフとの新プロジェクトに新たな情熱を燃やしていた。これまで円満だった夫婦仲が、次第にギクシャクしてゆく。果たしてメアリーはもう一度、女性として大輪の花を咲かせることができるのだろうか……?そして、夫婦は離別の危機を回避することができるのか……? (goo映画より)

う~~ん・・・もっと違う内容を想像していたのだけれど・・
老境に突入した夫婦が主人公。
妻は老いを自覚し、それに相応しいと考える生活をしたいと思う。
夫は老いに抗い、若い部下と働くことで自分の現実から逃避しようとする。
この夫婦の考え方の違いは根本的な男女の思考の相違点なのかも。

冒頭、夫の受賞スピーチを会場の外に逃れて椅子に座るメアリーが映し出されます。
本来なら夫の晴れやかな姿を会場内で見守るのが普通だけど、彼女にとってこの受賞は夫へつきつけられた「はい、あなたはよく頑張ったけどここまでよ」な現実なわけ
でも彼女以外の人にはそんな気持ちは理解してもらえません。

日常の物忘れ、記憶の欠如も彼女を戸惑わせます。その気持ちはわかるなぁ
アクアビクスでリズムについていけず周囲から浮いてしまうメアリー。ふと鏡の中の自分を見ると、化粧で顔はごまかせても首の皺はどうにもならない。せめてスカーフで覆ってみる。若い女性への男性の視線に対抗して自分も胸元を広げてアピールしてみても誰にも気づいてもらえない・・落ち込むねぇ。で、ただ一人声をかけてくれたスイミングクラブのオーナーが気になる。彼女の気持ちが実にわかってしまう自分がちょっと切ないよ

一方アダムはといえば、妻のように老いを素直に受け入れられません。大きなボタンの電話機やお風呂の手すりなど、家の中を高齢者仕様にするメアリーにいらつき、彼女と共に老いへの準備を始めることにも抵抗します。老人ホームの設計より若手たちと美術館の設計の方に情熱を傾けるのは、まさに老いを拒否する心情からでしょう。あげく、部下の女性に誘われて一線越えちゃうし。男ってさぁ・・・ま、メアリーもなんだけど。面白いのはアダムは友人(経営仲間)に喋っちゃって家族にばれちゃうんだけど、メアリーは口をつぐんだままなのね。もちろん賢いのはメアリーの方だな

二人の溝はどんどん深くなっていくけれど、メアリーの母の死をきっかけにヨリが戻るの。
結局どちらも互いをかけがえのない人として認めているからこそ、愛情が残っているからこその結末です。子供たちの前で恥ずかしげもなく抱き合う姿は日本人には引かれそうだけど、身体のスキンシップも重要と考える欧米人ならではの光景です。

この夫婦の3人の子供たちの対応も三者三様。母寄りの長男、中立的な長女、冷めてる末っ子、それぞれの立場や性格が出てました。

さて、自分たちの老後は・・・急に事を進めずにゆっくりゆっくりいきまっしょい

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アベンジャーズ

2012年08月22日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2012年8月14日公開 アメリカ 

長官ニック・フューリー(サミュエル・L. ジャクソン)率いる国際平和維持組織シールドの基地で、世界を破壊する力を持つ四次元キューブの極秘研究が行われていた。だが突然、制御不能に陥ったキューブが別世界への扉を開いてしまう。そこから現れたのは、神々の国アスガルドを追放され、地球支配を目論むロキ(トム・ヒドルストン)。彼は、セルヴィグ博士(ステラン・スカルスガルド)やシールド最強のエージェント、クリント・バートン(ジェレミー・レナー)を操り、キューブを強奪して姿を消す。ロキの目的を知ったフューリーは、最強ヒーロー集団“アベンジャーズ”結成のため、女スパイのナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)やエージェントのフィル・コールソン(クラーク・グレッグ)を差し向け、70年の眠りから覚めたキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)、インドのカルカッタに身を隠していたブルース・バナー(マーク・ラファロ)=ハルクらを集結。キューブの力で異世界の軍隊を地球に呼び込もうとするロキはドイツへ向かうが、ロジャース、ロマノフ、トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)らによって捕えられ、そこへ兄のソー(クリス・ヘムズワース)も姿を現す。ロキは特殊監房に収容され、一堂に会したアベンジャーズだったが、意思に関係なく集められた彼らは、チームを組むことを拒否する。そこへ、ロキを奪還しようとバートン率いる部隊がヘリキャリアを急襲。爆発の衝撃で我を失ったバナーが凶暴なハルクに変貌して暴れ始め、混乱に乗じてロキは逃走する。ソーとバナーも乱戦の果てに姿を消し、アベンジャーズは存続の危機に陥る。ロキの地球侵略計画によって、マンハッタン上空に次々と姿を現す地球外の軍勢。この危機を前に、アベンジャーズは世界を救うことができるのか……?

日本ならさしずめ仮面ライダー&ウルトラマン&戦隊ヒーロー大集合って感じかしらん? 
アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーはそれぞれの主演映画を観ています。ハルクは名前だけ知ってました。バートンとロマノフは知らなかったけど、映画誌で予習はバッチリ

で・・・やっぱり好み的にはスタークだな各ヒーローに等分に活躍の場面は用意されているというけれど、オイシイところはみ~~んなスタークが持っていってる気がしました

地球の危機ということで集められた彼らですが、最初から和気あいあいというわけにはいきません。そりゃ、ヒーローっつうもんはプライド高くて孤独な存在なんですから、協調性に乏しくても当然かも

生真面目なキャプテンはチャラ男で皮肉屋のスタークに我慢がなりません。一方スタークは高い専門知識を持ち、自身の力の及ばぬパワーに生かされているという共通点を持つバナーとは気が合う様子です。ソーは弟ロキを見捨てることが出来ず、ロマノフやバートンは自らの過去に苦しんでいます。どんなヒーローにも悩みがあるのね

バラバラなヒーローたちをまとめたのは、面倒見がよく皆に好かれていたエージェント・コールソンの死でした。そしてここから最強ヒーローたちが力を合わせてロキを倒そうと反撃に転じます。

キューブの力により時空の扉が開かれ、異次元からチタウリの大軍がNYに押し寄せる中、まさに超人的活躍でなぎ倒していくアベンジャーズ毛利元就の三本の矢の例えではないけれど、最強ヒーローが6人も集まればそのパワーは神をも超える?あ・・神もいますが

次から次へとやってくる敵、これは元から断たなきゃダメってことで、キューブの光を遮断しようとしている中、政府が放った核ミサイルが飛んでくるという絶体絶命のピンチを救ったのは、何とアイアンマン。我儘で身勝手な彼だけど、誰より熱いヒーロー魂持ってたのねしかし、この政府首脳陣とフューリーのやり取り、どっかで見た光景だなって思ったら・・エヴァの碇ゲンドウとゼーレメンバー陣の図だ~~どっちも喰えない奴らだよ

そしてNYに平和が戻りました・・・が、壊れた街は誰のせい?とヒーローたちへの不満もちらほら噴出させておいて、でも私は彼らに感謝と助けられた少女のコメントで締めくくるあたりはさすがアメリカ的

そしてエンドロールの後のシーンは・・・トニーの言ってた美味しい店って・・ここ??大富豪には逆に新鮮なんだろうけど、他のメンバーの白けっぷりに笑える大ラスでした。そして物語は続く・・・んだよね?

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空飛ぶペンギン

2012年08月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
日本未公開 アメリカ 95分

敏腕不動産デベロッパーのトム・ポッパー(ジム・キャリー)。彼は仕事最優先の日々を過ごした結果、妻と子供たちに見限られ家庭崩壊の危機に陥っていた。ある日、彼は音信不通だった父親から本物のペンギンを遺産として相続することに!彼はあらゆる手段を尽くして南極へ送り返そうとするのだが、大暴れするペンギンたちに悪戦苦闘する。そんな中、彼の元を訪れた別居中の家族にペンギンを隠していたことがバレてしまう。しかし、子供たちはペンギンたちに大興奮!そんな子供の姿を見たトムは父の威厳を取り戻すべくペンギンたちとの共同生活を始めるのだが…。仕事か?家庭か?ペンギンか?!そして、父が残したペンギンの意味とはいったい!?

ジム・キャリーのコメディは久しぶりで、登場した時思わず「あれ~~?誰だったっけ??」と思ってしまったほどでもこの特徴ある動きとセリフはまさにジムだ 

トムの父親は世界中を飛び回っていて無線が二人を結ぶ重要アイテムでしたが、ある年を境にぷっつり音信が途絶えてしまいます。それから時が過ぎ、大人になったトムは仕事にかまけて家族を顧みなかったせいで別居の憂き目にあっています。そんなトムに父の死の知らせと遺言が届くのです。その中身とは・・・何と一匹のペンギン

いや、絶対そんな方法(チルド便)で送られて来ないからしかもあんなに簡単に解凍されないし。な~~んて突っ込みながらもあまりの愛らしさにもうストーリーなんてどうでもいいからずっとペンちゃん見てたくなりました。
しかも途中から6匹に増えちゃってるし 

このペンギンたちのキャラも一人・・いえ一匹ずつ違います。最初の子はキャプテン、すぐ喚くのや、おバカな子、オナラっ子、噛みつきっ子、甘えっ子といった具合。
初めは大混乱で何とか送り返そうとしたり、しかるべきところに引き取ってもらおうとしますが、息子のビリー(マックスウェル・ペリー・コットン)の誕生祝いの贈り物と勘違いされたことから、家族の絆を取り戻そうと奮闘するうち、ペンギンたちとの生活を楽しむようになるのです。部屋を0度以下にして雪を持ち込み、コートや手袋をして暮らすなんてちょっとあり得ないけどね~~でもこのシーンがまた実に楽しそうです。

娘のジャニー(マデリン・キャロル)はBFのことで悩み多きお年頃。トムはただありきたりな助言をするだけでしたが、本当は父親にちゃんと話を聞いて欲しいだけなのだと妻のアマンダ(カーラ・グギノ)に指摘されるの。
仕事でヴァン・ガンディ夫人(アンジェラ・ランズベリー)のレストランを買収して建て替えを命じられていたけれど、実はそのレストランはこどもの頃の父や母との団欒の思い出の詰まったお店だったりと、人間関係のエピソードも事欠きません。

そのうちペンギンたちは卵を抱え、雛も生まれちゃう。ところが彼らを狙う動物園の職員の悪企みでペンギンズはトムから引き離されちゃうんですね~~。元の仕事人間に戻ったかにみえたトムですが、本当に大事なものに気付いて行動を起こす。そしてペンギンズと愛する家族を取り戻すの。

題名の「空飛ぶペンギン」はこの時の脱走劇で、キャプテンがグッズ売り場のグライダーを背負って飛んじゃうところから付けられたのかな
家族と一緒にペンギンズを故郷に連れ帰るラストも良い感じ
何故日本公開なかったのかな~~

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さまよう刃

2012年08月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年10月10日 112分

最愛の一人娘・絵摩が、少年達によって、凌辱され殺された。謎の密告電話により、失意のどん底に落ちていた父親・長峰重樹(寺尾聰)は、犯人を知ることになる。「我が国の法律では未成年者に極刑は望めない!」復讐が何も解決しない虚しい行為だと分かっていながら、父親は自ら犯人を追う―。「警察は市民を守っているわけじゃない。警察が守ろうとしているのは、法律の方ってことですか」娘を殺された父親の気持ちと残酷な犯罪を繰り返す少年を守るかのような少年法の狭間で揺れる刑事・織部孝史(竹野内豊)と真野信一(伊東四朗)。それぞれの苦悩と葛藤が交差し、事件は予想外の結末を迎える。


東野圭吾の同名小説が原作です。

長峰に密告電話をかけたのは、犯人達のパシリをしていた中井誠です。彼は犯人である伴崎敦也や菅野快児を長峰に殺させることで自分の保身を図ったのです。相当な卑怯者とも言えるかなそれでも彼はお咎め無しなの?警察も、犯人と繋がる中井をただ泳がせるだけで携帯履歴も調べない、長峰の家の留守電も放置なんてちょっとあり得ない気もするんですが・・そもそも長峰の携帯から所在割り出すことも可能なんじゃないのぉ?

とにかく、寺尾さんの演技が凄い愛娘を喪った悲しみ・苦しみ・絶望感が全身から滲み出ていて、犯人の一人である伴崎のアパートでビデオを見てショックを受けた様子や、彼を殺す時の躊躇いのない憎しみなどもはっきり伝わってきます。少女が殺される様子は全編を通して具体的な映像として出て来なかったのは救いです。実はそういうシーンがあったら嫌だなぁと思って劇場へは行けなかったのですもの

若手刑事の織部が捜査に疑問を持つ様子は、原作ではもっと詳細にその矛盾点が描かれているのでしょうけれど、時間の限られる映像の中では読み取るのが少し難しいかな彼が長峰に情報を漏らすのも刑事としてありえね~ぞ

長野のペンションの父娘がとった行動もそれぞれの立場から長峰を思い遣った結果でしょう。私はやはり娘の方を支持するけど・・・。(原作と違って長峰は銃の扱いは素人という設定なので、この父の方が銃の使い方を教える場面が挿入されています。)

「予想外の結末」は何となくそうじゃないかなぁという展開ではありました。
長峰の行為は果たして「彼」の中に恐怖や反省、後悔を惹起したのでしょうか?
気になるところです。

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君に届け

2012年08月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年9月25日公開 123分
2011年10月28日 日テレ金曜ロードショー「秋コレ」放送録画分

長い黒髪のせいで“貞子”とあだ名される黒沼爽子(多部未華子)。他人の嫌がる掃除なども積極的にこなす爽子だが、見た目のせいで気味悪がられ、なかなか友だちができない。7月、クラスの人気者の風早翔太(三浦春馬)の提案で、肝試しに行くことに。そこでお化け役を買って出た爽子は、吉田千鶴と矢野あかねというクラスメイトと仲良くなる。そして、爽子が掃除する姿などをいつも見守っていた風早も、爽子を気遣って色々と話しかけてくれるようになる。(goo映画より)

原作は『別冊マーガレット』収載の椎名軽穂の同名漫画で、不器用で周囲に誤解されがちだが、内面は優しく純粋な女子高生・黒沼爽子が経験する初めての友情や恋を描いた作品です。
TV放送版は時間の都合で千鶴の失恋やくるみの告白などがカットされているらしい。

爽やかな子と書くヒロインは、地味で消極的な性格。小声でぼそぼそ話す喋り方や緊張すると強張ってしまう表情など、観ていてイライラしてしまうほど不器用な女の子です。髪型のせいで小さい頃は「座敷わらし」、その後『貞子』が流行ると貞子と呼ばれるようになります。
普通ならそんな風に言われることは苦痛な筈ですが、彼女の場合は自分が『貞子』のように霊感がないことを申し訳なく思うというちょっと変わった性格それだけ純真な子とも言えるのかも。演じる多部未華子は今期のTVドラマのしのぶ先生役のイメージが強烈というか似合ってる気がしてちょっと違和感あるんだけどね

一日一善をモットーとし、他人が嫌がるような清掃なども進んで行う「良い子」なのに、クラスメイトたちは噂(霊を呼び寄せる、3秒以上目が合うと不幸が訪れるetc)を信じて彼女を避けているの。無視とかの苛めに遭わない点は良いのだけど

肝試しがきっかけで千鶴とあかねという友人が出来、風早とも親しくなっていくのですが、彼らが周囲から浮くことを心配して離れようとしたり、風早のことを好きなくるみの策略でトラブルになったりと、青春もののお約束のあれこれが次々に起こります。
友達とどう付き合ったらいいのか、風早に抱いている気持ちが何なのか、初めての経験に戸惑う爽子が何だか眩しくて、つい一緒に感動してじわ~~っと涙が出てきたり・・忘れていた思春期の甘酸っぱい記憶が甦るような作品

爽子の邪魔をするくるみでさえ、根は悪い子じゃないんだもんな

現実ではこんな風に上手くはいかないから、これも一種のファンタジーと見るべきか でも嫌いじゃないよ、こういうお話

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トータル・リコール

2012年08月16日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2012年8月10日公開 アメリカ 

21世紀末の世界大戦で使用された大量の化学兵器により地上の大半が居住不可能となった近未来。富裕層はブリテン連邦(UFB)、貧困層はオーストラリアのコロニーと二分された世界で、コロニーの市民の多くは「フォール」を使いUBFに通勤し機械のコマのように働いて搾取されるだけの日々を送っていた。将来の夢も希望も持てない彼らの中には、リコール社の人工記憶を買って不満を解消する者もいた。UBFからの独立解放を叫ぶマサイアス(ビル・ナイ)率いるレジスタンスのテロ活動も過激になっており、それを抑えるため、UBF代表のコーヘイゲン(ブライアン・クランストン)はロボット警官のシンセティックの増産をしていた。 コロニーに住む工場労働者のダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は、美しい妻ローリー(ケイト・ベッキンセール)との生活に満たされながらも、いつも同じ夢を見ることが気になっていた。ある日、変わり映えのしない毎日に嫌気が差したクエイドは、リコール社で刺激的な夢を買おうとする。だが、予期せぬ事態が発生し、知らない自分が目を覚ます。困惑と混乱の中、自宅に逃げ帰ったクエイドは、今度は妻ローリーに襲われ、彼女から彼の記憶は全て偽物と告げられる。ローリーを振り切りUFBへ逃げたクエイドは、そこでメリーナ(ジェシカ・ビール)という女に助けられ・・・

シュワちゃん主演の1990年『トータル・リコール』のリメイク作品で、原作はフィリップ・K・ディックのSF『追憶売ります』ですが、今作は設定が異なるようです。

残された安全域が地球の裏と表の一部分で、その中心核を通って作られた巨大なエレベーターを使って労働者が行き来するという何とも壮大な設定。でも、そんな技術があるなら大気の浄化も出来るんじゃないのぉ?と素朴な疑問が浮かんだ
UFBは磁気による空中走行車が走るまさに未来都市で、対するコロニーはアジアを感じさせる雑多で混沌とした街が広がるという構図は欧米人種的偏見も窺えたりして
また、レジスタンスが潜む「立ち入り禁止地区」(汚染されて防毒マスク無しでは人が住めない場所)はアメリカの地下鉄と貧民街を連想させました。

冒頭、任務?に失敗して敵に捕まったところで夢から覚めるクエイド。でも実際は記憶を操作された彼が過去の断片を夢で見ていたことが後にわかってきます。
本当の自分(の記憶)を取り戻すためにUFBにやってきたクエイドを助ける謎の美女は実は彼の本当の恋人。二人が出会って早々の警察を振り切る車での逃走劇はスピード感に溢れスリルある展開で楽しめます。

メリーナがレジスタンスの一員で、クエイドの正体が二重スパイ(本名はハウザー)というややこしい設定に加えて、最後まで物語が夢なのか現実なのか混乱させるような意図を持って作られていて、ぼんやり観てたら判断に迷うような作品に仕上がっています。

それにしてもローリーの執念深さは、エリートとしてコーヘイゲンの信頼篤いハウザーへの嫉妬が大きな理由かしらん?エレベーターでの彼女とメリーナの対決シーンも見応えあります。

フォールが地球のコアを通過すると重力が逆転する発想が面白く、それを生かしたアクションシーンも楽しめました。結局あの装置の破壊と共にUSBの支配からコロニーが解放されたってことでいいのよね?クエイド=ハウザーも過去の自分(の記憶)を取り戻した上で今の自分を選択したってことでただ、本来の彼は冷酷なスパイだったわけで、どの時点での記憶を選ぶかというのもまた本人次第ってことなのかな。

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マリリン 7日間の恋

2012年08月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年3月24日公開 イギリス=アメリカ

1956年。ローレンス・オリヴィエ(ケネス・ブラナー)が監督・主演を務める「王子と踊り子」の撮影で、ハリウッドからロンドンへと渡ったマリリン・モンロー(ミシェル・ウィリアムズ)。スタッフから大歓迎を受ける彼女だったが、初の海外撮影によるプレッシャーと、夫との確執で仕事に集中できずにいた。さらに演技方法でオリヴィエとも対立、困惑するモンローに、第3助監督のコリン(エディ・レッドメイン)はただひとり的確なアドバイスをする。それを機に二人は心を許し合う仲になるが……。 (goo映画より)


あれ?これってマリリン「が」恋したんじゃなくてマリリン「に」恋した青年の物語だったんだ

マリリンは“少しオツムは弱いけどセクシーで気立てのいいブロンド娘”としてアメリカのセックスシンボルに祭り上げられた女優ですが、実際の彼女は違っていたといわれます。この映画ではそんなマリリンの身近で過ごした青年の淡い恋を通して、マリリンの孤独や悩みの一端を覗き見た気になりました。

とはいえ、作中のマリリンはかなり我儘でナーバスに描かれていて、振り回される周囲の人間が可哀想に思えるほど。それでもスクリーンを通して観る彼女は素晴らしく、それ故誰も彼女の行いを非難できないということのようですが、その輝きがいまいちわからんぞそういえば、彼女の映画って一本も観てないんだったわ。

オリヴィエがマリリンの振舞いに怒り心頭になりながらも彼女を起用し続けたのは、その才能を認めていたから。(それは大女優のシビル(ジュディ・デンチ)も同様のようです。)そして彼女と共演することで自分の俳優としての限界を知ってしまったから。なんか切ないな

コリンは金持ち貴族の末っ子。映画が好きでマリリンのファンで、偶然彼女と関わるようになって有頂天。さらにマリリンに気に入られたとあっては、GFのルーシー(エマ・ワトソン)とのデートの約束なんか頭から吹っ飛んじゃいます。先輩たちの忠告も耳を素通り。あるある、こういう時期でもやがて彼女の気まぐれに傷つくことになるのね。
マリリンは自分を崇拝してくれ、安らぎを与えてくれる人が欲しかっただけなんだものね。そしてコリンはちょっぴり大人になるのでした。めでたしめでたし・・なのか? 

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読めない遺言書

2012年08月12日 | 
深山 亮 (著)  双葉社(発行)

平凡な教師の竹原は、ある日、警察から父の孤独死を知らされる。いつか我が家に帰ってくると思っていた父。だが、見つかった遺言書は“全遺産を小井戸広美に遺贈する”という、見ず知らずの人物に宛てられた信じがたいものだった。家族を捨てた事への憤りとやりきれなさを胸に広美を追い始めた途端、尾行、盗撮、放火と、立て続けに事件に巻き込まれ―。竹原は遺言書を握りしめ、父が残した「謎」を追う。

主人公の竹原の目線で進む物語は、自分勝手な言動やあからさま過ぎる本音が多くて何だか読んでいていらついてしまいました。主人公が熱烈な西武ライオンズファンの設定故、野球ネタも随所にありますが、ファンでもない身には「それがどうした」だし

中学教師を聖職者扱いするほどおめでたくはないつもりですが、それにしてもこの主人公は生徒との関係に限らず私生活においても事なかれ主義でトラブルから逃げ腰です。それでいてスケベ心だけは人並みで、デート商法にもあっさりと引っかかってしまう情けない男です。
「おいおい、どう考えてもそれって騙されてるじゃん」と突っ込みを入れるのもバカバカしくなるほどの展開を我慢して読んでいくと・・あれ??ちょっと雰囲気変わってきたような。

そう、小井戸広美の正体がわかった頃から、竹原という男の軸足が変わってくるんですね。引きこもりの生徒大洋とはねっ返りの女生徒・美羽花に対してもちゃんと正面から受け止めるようになります。それと同時にどんどん物語が面白くなってきて、スリルあるエピソードも用意されていて、読み終わった時には「竹原、案外良い奴じゃん」といや~途中で投げ出さなくて良かったわ

やっぱり人間諦めちゃダメだねぇ

登場人物もなかなか個性的ですが、中でも竹原に助言するいい加減な?司法書士・江尻のキャラが秀逸。そういえば作者も司法書士だとか。

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コクリコ坂から

2012年08月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年7月16日公開 91分

東京オリンピック開催前の1963年の横浜。高校二年生の松崎海(声:長澤まさみ)は、父を海で亡くし、大学助教授(英米文学者)の母・良子(風吹ジュン)の留守を助け、二女の空や陸、祖母や下宿人も含めて7人の大世帯を切り盛りしていた。その頃海の通う高校では、取り壊しが予定されているカルチェラタン(部室棟)を存続させようと、生徒会長の水沼や新聞部の部長・風間俊(岡田准一)が中心となり騒いでいた。初めはこの騒動を冷ややかに見つめていた海だが、次第に彼らの活動を助けるようになる。カルチェラタンの良さを他の生徒達に伝えるための大掃除を提案して女生徒を巻き込み、やがて存続賛成派が多数を占めるようになる中で、海と俊の仲も接近していくが・・・。

宮崎吾朗が監督を務めたスタジオジブリ作品で、原作は、少女漫画だそう。
率直に言えば、私の好きなジブリ作品の系統ではないです。レンタルで十分

1960年代の青春学園物語とあって、ノスタルジックな味わいを感じさせます。
横浜が舞台だけれど、ヒロインの住む町の設定はどこか田舎の港町を思わせる雰囲気が漂っています。様々な船が行き交う海から人と車でごった返す賑やかな港近くの商店街を抜け、無舗装の坂道の両脇に並ぶ家々の先にある坂の上の洋館が海の住む家です。彼女が毎日旗を上げるのは、行方不明になった父への合図であり、叶わぬと知りながらも父の帰宅を願う現れです。

海はメルと呼ばれているのですが、その理由は映画では明かされていません。原作では、海のフランス語「ラ・メール」が縮まってメルと呼ばれているのね。
海と俊は互いに惹かれあうけれど、俊の出自のため、叶わぬ悲恋の様を呈します。
ところが、その後にどんでん返しが用意されていました。
まだ戦後を引きずる時代だからこそ納得できる設定です。

映画は二人のまっすぐな純愛模様と、カルチェラタン存続運動の顛末の二つを軸に進んでいきます。
この部室棟もなかなか趣があり、学生運動盛んな頃のデカダンでバンカラな雰囲気にも魅了されます。理事長の所に直談判に出かけた際の東京の街並みなども『三丁目の夕日』ぽくてわくわくしました。古き良き昭和の香り、高度成長に向かう元気な日本を感じさせるからかしら?

ただ、現代事情とはかけ離れた彼らの青春にどっぷり共感できたかというと、ちょっと違う。気になったのは、海は家事を進んでしているのに、妹の方は言われなければ全く手伝わないこと。それってありなの?海と俊がいわゆる「良い子」過ぎるのも逆に噓くさく見えてしまうんだな。どうも他人事で、実感の湧かない絵空事のようなよそよそしさを感じてしまうのは、当時の若者が持っていた清純でまっすぐな気持ちを今の自分が失くしてしまっているからなのかもしれませんが。 


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おおかみこどもの雨と雪

2012年08月08日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2012年7月21日公開 118分

人間の姿をしていながらもおおかみおとこという正体を持つ男(声:大沢たかお)と出会った大学生の花(声:宮崎あおい)。二人は惹かれあい、やがて子どもを授かる。姉の雪と弟の雨は、人間とおおかみのふたつの顔を持つ、おおかみこどもだった。都会の片隅で正体を隠しながらつつましやかに暮らす4人は、幸せそのものだった。しかしある日、父が死んでしまい、幸せな日々に終止符が打たれた。おおかみこどものきょうだいを抱えた花は、豊かな自然の残る田舎に移住することを決意する。(goo映画より)

「メリダ~」を観たからこれはレンタルで済まそうと思っていたのが事情が変わって急遽観賞することに。レディースデーの夏休みとあって午後の上映でも子供連れでほぼ満席でしたが、内容的には大人、それも母親の気持ちに添ったものでした。もちろん随所に子供が喜びそうな場面も盛り込まれているので家族向けではあるけれどね。

何より目を見張ったのが、景色というか自然の描写です。まるで実写に人物だけアニメーションを差し込んだかのようです。

おおかみと人間の変化は実写では難しいし下手をするとホラーになっちゃうから、アニメという技法は表現としてで、素直に物語に入り込むことができました。
花の娘である雪を通して語られる「母」の物語は、おおかみおとこと恋をして二人の子供を産み育てたという点では特異ですが、普通にシングルマザーの子育てと子離れの物語として捉えても良いかと思います。

子供たちのために田舎暮らしを選んだ花ですが、やがて近所の農家の人たちの助けを借りることとなります。厳しい自然と共に生きる場所だからこそ、助け合いが必要だということが、ぶっきらぼうな韮崎老人(菅原文太)が花に家族で得るには十分過ぎる広さの畑を耕かせたエピソードを通して観客にしっかり伝えられています。

いかにも天真爛漫な雪はおおかみとしての資質を受け入れ楽しんでいます。内向的で母の膝に甘える雨とは対照的に見えます。ある雪の朝に三人が森を駆け回り雪原を転げ回る様子は、自然の懐に抱かれ命を謳歌する幸せな母子を象徴しているようでした。

けれど、姉弟は大きくなるにつれ生き方が別れてきます。雪は小学校に上がると、女の子らしい遊びや感情を友達に学んでいき、やがて好意を持つ男の子が現れると自らおおかみであることを封印しようとします。反対に雨は友達と馴染めず学校より森で狐の先生に学ぶことを好み、やがておおかみとして暮らすことを選択するのです。

やがて、ある台風の日に雨は自らの道を決め花の元を去っていきます。
息子の選択に戸惑い悲しむ花が、消えた雨を追って森をさ迷うシーンは、同じ母親として胸が痛くなります。あの小さく泣き虫だった、まだわずか10歳の息子が自分の元から巣立とうとしている・・それは感情的に受け入れ難い辛いことです。けれど花は結局息子の旅立ちを認めて笑顔で送り出します。色々な辛さ苦しさ、悲しさを笑顔に隠して生きてきた花の強さがここでも う~~ん、見習わねば

同じ日、学校に残された雪は草平と気持ちを通わせます。自分の正体を明かした雪に、以前雪に傷つけられた時から気付いていたことを告白するシーンもちょっと感動的。でもその事件の時猛烈に草平を心配し怒っていた彼の母が、再婚して子供が出来た途端、草平を要らない子とつき放すという設定は花の生き方と対照的に描こうというのかもしれないけれど母親としては許し難いし何だかな~~。

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研修医純情物語―先生と呼ばないで

2012年08月06日 | 
川渕圭一 著 幻冬舎文庫

パチプロ、サラリーマン、引きこもりを経て、37歳で研修医になった僕。夢と希望を抱き大学病院に乗り込んだが、そこはおかしな奴らの巣窟だった。高額時給のバイトに勤しむ医師、夜な夜なナースの回診に出かける研修医、患者の受け入れより優先される教授回診…。実体験を基にハチャメチャな医療現場と新米医師の成長を描いたエンターテインメント。 (「BOOK」データベースより)

今春のTVドラマ「37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜」の原作本のうちの一つですが、主人公に著者本人の名前が付けられているということで、小説というよりエッセイに近い気がしました。ちなみに著者は東京大学工学部を卒業し大学院を中退後、会社勤務を経て、30歳で医師を目指し、37歳で京都大学医学部を卒業後4年間大学病院で研修医として働いたその実体験を元に書いたそうです。

「僕」の人生は父親の死をきっかけに変わってしまいます。父の死の理由が赤坂プリンスホテルの火災というのが、当時の事件を知る人にはちょっと衝撃的かも。
学業や仕事が長続きせずうつ状態に陥りますが、信頼出来る精神科医と出会えなかったことで逆に「医者になる」という出口を見つけるあたりただものではない
一回り以上年の違う同級生たちと医学を学ぶのも相当な勇気と信念と何より学力が無ければできないことですね

晴れて研修医となって大学病院に勤務した「僕」はそこで現実の医師の姿を知ることになります。もちろん大学病院という特殊な世界の事情なので、全ての医者がそうだということではないのですが、「僕」の思う医師のあるべき姿とはかなり落差があったのでした。

研修医の日常を書いた小説は他にもあるし、その過酷なまでの労働環境についても様々に書かれているので、今さら驚くことでもないのですが、最初から医師を目指したわけでない筆者の視点は、私たち一般人が業界を覗き見るのとそれほど変わらないようです。

大学病院で働く医師にとって大事なことは、患者に寄り添う医療を施すことよりも研究や教授の意向という現実に疑問を感じ、自分なりの医療を模索する姿は好感が持てます。
けれども、小説の主人公としては、あまり魅力的とは言えないかな
群れない一匹狼タイプといえばカッコイイけど、協調性のなさや頑固さに未熟さが透けて見えるんだよねぇ病院への不満や愚痴が何度も出てくるのもちょっとしつこいかも 人生回り道をしたとはいえ高学歴には変わりないし、医師としての自意識も相当に高いように感じられて、それが逆に読んでいて高慢に感じる時もありました。

元々ドラマが気に入って原作を読もうと思ったのですが、申し訳ないけど比較するとドラマの脚本の方が優れているように思いました

このシリーズは他に数作出ていますが、以後は主人公の名前こそ変わっているけれど、内容的には似たようなエピソードで、何だか同じ物語を何度も書き直して出しているようでちょっと残念

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