杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

エンド・オブ・ザ・ワールド

2014年08月31日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年1月18日公開 アメリカ 101分

小惑星の衝突による人類滅亡まで、あと21日となった地球。中年の保険セールスマンのドッジ(スティーヴ・カレル)は、長年連れ添った妻に突然出て行かれ、滅亡まで残り少ない日々をただ無気力に過ごしていた。そんなある日、両親がいるイギリスへ向かう最終行機に乗り遅れて泣いている隣人の女性ペニー(キーラ・ナイトレイ)と初めて言葉を交わす。翌日、彼女のもとに誤って送られていたドッジ宛ての手紙3年分を渡され、その中に彼が今でも想い続ける高校時代の恋人オリヴィアからの手紙を見つけたドッジは、飛行機を探すペニーと共に、オリヴィアを探す旅に出ようと心に決め・・・。


地球滅亡が目前に迫る世界という設定ですが、あんなに淡々と過ごせるものかしら?と思うほど普通に流れていく日常が逆に不気味を誘います。だから暴徒が投石し火をつけるシーンを観て逆に安心したりして滅亡から救ってくれるはずのヒーローがあっさり失敗しちゃう冒頭のニュースはそれ自体がパロデイのようで可笑しいです。

暴徒から逃れる時、ペニーも一緒に連れて行くことになった(というか、彼女の車で逃げだしたのだけど)ドッジは、初めのうち自分とは正反対の自由奔放な性格のペニーに戸惑います。でも次第に二人は打ち解けていき、互いに心惹かれて行きます。ま、ある意味当然のなりゆきなわけです。

ペニーに自家用機の当てがあると行ったドッジですが、実は彼を捨てて行った父が自家用機を持っていたの長年の確執をペニーのために乗り越えたというか、彼女の存在が父子の雪融けの誘い水になったわけですね
互いが互いのためを思ってすれ違った場面を乗り越え、ラストはあの部屋で二人で最期を迎える。これはもう純粋ラブロマンスな結末でした




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氷の微笑2

2014年08月29日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2006年11月11日公開 アメリカ=イギリス=ドイツ 114分
2014年6月26日 午後のロードショー放送

1台のスポーツカーがテムズ川に突っ込む事件が発生し、車に乗っていた女性作家キャサリン(シャロン・ストーン)は一命を取りとめるが、同乗の人気サッカー選手は死亡してしまう。事件を担当する刑事ウォッシュバーン(デヴィッド・シューリス)は、キャサリンの精神鑑定を精神科医のマイケル(デヴィッド・モリッシー)に依頼するが……。 (シネマトゥデイより)

1992年に公開された『氷の微笑』の続編です。
前作は観ていません。これもたまたまTV録画していたものを思い出しての鑑賞
基本的に悪女は好きじゃない・・・が、これはもう悪女というより魔女的な域ですね

マイケルは初めのうちキャサリンを信用せず、精神科医としての興味で接しているようでしたが、結局は一人の男としてキャサリンの魅力の虜となっていきます。
従順な女より一筋縄でいかない女の方が征服欲が掻き立てられるのでしょうが、キャサリンは彼の手に負える女じゃないということには気付かないのねぇ。結局は彼女に操られてウォッシュバーンまで殺しちゃう

シャロン・ストーンは前作より衰えている(そうだ)けれど、それでも抜群のプロポーションで官能的に迫ってきます。年齢を感じさせないといえば由美かおるさんが浮かびますが、彼女のは健康的なお色気だから比較はできないですね

なんでこんな女に手玉に取られるかな~と思ってしまうし、勧善懲悪の話でもないので後味は悪いです。

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アダムス・ファミリー

2014年08月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1991年制作 アメリカ 100分
日本公開日:1992年04月25日

アダムス家は主人ゴメズ(ラウル・ジュリア)、魔女の妻モーティシア(アンジェリカ・ヒューストン)とその母グラニー(ジュディス・マリナ)、長女ウェンズデー(クリスティーナ・リッチ)と長男パグズリー(ジミー・ワークマン)、無口な執事のラーチ(カレル・ストルイケン)、そして「ハンド」(クリストファー・ハート)と先祖代々の館に暮らしていた。他人の不幸がなによりも嬉しいゴメズだが、実は25年前に失踪した兄フェスター(クリストファー・ロイド)のことが気になっていた。恒例の交霊会が行われた嵐の夜、突如フェスター本人が現れて兄弟は感動の再会を果たす。しかし、それは借金に困った顧問弁護士のタリー(ダン・ヘダヤ)が、高利貸しのクレイブン(エリザベス・ウィルソン)に追い詰められ、フェスターそっくりな彼女の息子のゴードン(クリストファー・ロイド)を替え玉として送り込んだのだった。ゴメズたちは、以前よりも“普通の人"になっているフェスターに疑いを抱くが、ピンダーシュロス博士(クレイブンの変装)に説得されて納得する。次第にフェスターもアダムス一家に慣れて親しみを覚えるようになるが・・・。


リチャード・アダムスの漫画『アダムス・ファミリー』が原作です。

タリーたちは偽フェスターの「兄」の権利を主張して館を裁判所命令で取り上げようとします。
けれど、ニセモノの筈が、妙にアダムス一家に溶け込んでいったゴードンがアダムス一家に味方するの。実はゴードンはクレイブンの本当の息子ではなかったんですねということは彼は・・というオチです。

強面の大男のゴードンがアダムス家の子供たちと妙に気が合っていくのが微笑ましかったです。
クリスティーナは大人になってからの作品しか知らなかったけれど、そういえばこの映画で一躍有名になったんでしたっけね

普通じゃないアダムス一家ですが、夫婦仲も家族の仲も抜群に良くて、いわゆる「普通」の人間よりよほど情愛に満ちていますねぇ

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鑑定士と顔のない依頼人

2014年08月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年12月13日公開 イタリア 131分

天才的な審美眼を誇る鑑定士バージル・オドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、資産家の両親が残した絵画や家具を査定してほしいという依頼を受け、ある屋敷にやってくる。しかし、依頼人の女性クレア(シルビア・ホークス)は屋敷内のどこかにある隠し部屋にこもったまま姿を現さない。その場所を突き止めたバージルは我慢できずに部屋をのぞき見し、クレアの美しさに心を奪われる。さらにバージルは、美術品の中に歴史的発見ともいえる美術品を見つけるが……。


美術品の鑑定士が主人公だけあって、彼の隠し部屋に蒐集された名画や調度品、行きつけのレストランでの彼専用の食器に手の込んだ料理など、目を楽しませてくれます。

が・・・その結末は物足りないぞ
ロバート(ジム・スタージェス)が何か企んでいそうなことは早い段階で予想ができるのですが、クレアの気持ちがはっきり伝わって来ないのよね。PG12作品で、バージルの回顧の中とはいえ、濃厚なベッドシーンもあるのに、結局彼を裏切る結末ってのはどうよと思うわけです。目的のために手段を選ばないとはいえ、その選択間違ってるでしょ。あまりにも鮮やかに消えてしまったので、クレアの真意をワンカットでもいいから見せて欲しかったなぁ。バージルに言ったあのセリフだけで全てを語らせるにはやや強引な気がしました。

バージルについては、傲慢さが鼻につく前半部と、クレアに恋して破滅の道を歩んでいく後半部の変わり方がさすが名優ジェフリー・ラッシュ、うまく表現されていました。独身を通してきた孤独な老人に初めて訪れた恋愛が、そのまま彼を破滅に追い込んでいく酷さ、哀れさが強調されていました。

全てを失った彼が可哀相とは思うけれど、これまでの生き方(オークションで密かに自分の欲しい作品を競り落とさせる)への嫌悪感と相殺されるのが惜しいなぁ。
それにしても、彼の小部屋の名画たちは有名な画家の見たことのある作品は沢山で、これが本物だったら彼は稀代の詐欺師になるね

そしてここからネタバレですが・・・
物語にはもう一人の登場人物が。バージルのコレクション収集に手を貸してきたビリー(ドナルド・サザーランド)です。彼はバージルが自分の画家としての才能を否定したことをずっと恨んでいました。実は彼こそが今度の事件の首謀者だったのです。彼が安い報酬に甘んじてヴァージルの名画の蒐集に協力してきたのも全てこのためだったのね彼がバージルに贈った自らのサインを入れた一枚の絵で真相がわかるという趣向は凝っていていいですね

バージルを罠にはめるための小道具の一つが機械人形の部品。
いかにも見つけてくれといわんばかりに点々と置かれるその状況に全く疑問を感じていないバージルを見てると、欲の皮の突っ張った人間は真実が見抜けないことをことさらに強調しているかのようでした。
ロバートが親切そうにバージルの悩み相談に乗るのも冷静に見ればかなり胡散臭いのです。

バージルが真相に気付くきっかけは、クレアの屋敷の傍のカフェの女性客が呟く数字の羅輝の意味を知ったことからです。彼女こそ屋敷の本当の所有者であり、一度見たものを全て記憶する能力の持ち主だったの屋敷から一度も出ていない筈のクレアの外出回数とクレアという名前がその女性客のものだったことに衝撃を受け、ビリーの絵のサインに打ちのめされ廃人のようになったバージルがちょっと哀れでした。

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STAND BY ME ドラえもん

2014年08月18日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年8月8日公開 95分

東京の郊外に暮らす、運動オンチで勉強もできない小学生のび太のもとに、22世紀の未来から子孫のセワシがネコ型ロボットのドラえもんを連れてタイムマシンでやってくる。のび太が作った借金が原因で、セワシの代まで迷惑を被っている悲惨な未来を変えるためなのだが、ドラえもんはこの世話係が乗り気ではない。困ったセワシは、のび太を幸せにしなければ22世紀に帰ることができないというプログラムをドラえもんに設定する。仕方なくのび太の面倒をみることになったドラえもんは、のび太がしずかちゃんに好意を抱いていることを知り、二人が結婚できる明るい未来を実現するため、未来の道具を駆使してのび太を助けるが……。


藤子・F・不二雄生誕80周年記念作品です。シリーズ初の3DCGアニメーションということで、原作から「未来の国からはるばると」「雪山のロマンス」「のび太の結婚前夜」、「さようならドラえもん」などのエピソードが再構築された内容となっていて、ドラえもんとのび太の出会いから別れとしずかちゃんとの愛が描かれています。

TV放送は見ていたし漫画も読んでいたけれど、何故か劇場ではこのシリーズを観ていません。
なのに今回劇場鑑賞を思い立ったのは、普通のアニメではなく、3DCGだったから。
予告やTVのCMで見る画像がとても綺麗で、内容も映画シリーズの友情編と違っていたのも大きいかも。起承転結の「起」と「結」のつまみ食いができるというオイシサも魅力でした。それから今回のキャッチ「すべての、子ども経験者のみなさんへ。」のフレーズもオトナを惹きつける十分なインパクトがあります。それに「STAND BY ME」といえばリヴァー・フェニックスのあの映画を連想させるじゃないですかもちろん内容は全く異なりますが。


平日の初回を選んだけれど、やはり夏休み、小さなお子さん連れが多かった~。でも皆お行儀よく鑑賞してました

それぞれのエピソードはすでに観たり読んだりしていますが、どれもが心のツボをくすぐる傑作揃いとあっては、涙を流すまではいかなかったけれど、そこそこじんときてしまいました。何よりキャラが三次元で動いていることに感動です。のび太の部屋の畳の質感や雑貨のリアル感は一見の価値ありです。タケコプターで空中を飛ぶシーンも実際に自分が飛んでいるような気持ちになれます。通常版での鑑賞でしたが、3Dだったら、より感覚的な刺激があるのかも

青年のび太の声はトヨタのCMで実写化されたのび太を演じている妻夫木君があてていて、これもファンにはたまらないですね
結婚前夜のしずかちゃんとお父さんの会話、特にお父さんのセリフは何度聞いてもです。

これはDVD購入しても良いかな~~

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アメリカン・ハッスル

2014年08月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年1月31日公開 アメリカ 138分

詐欺師のアーヴィン(クリスチャン・ベイル)は愛人のシドニー(エイミー・アダムス)を相棒に絵画詐欺を計画していたが、FBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕される。彼はアーヴィンに司法取引を持ち掛け、二人は無罪放免を条件に協力させられる。それは、カジノに絡む政治家たちの汚職を暴くためのおとり捜査で、架空のアラブ人富豪をダシに、カジノ利権に群がる政治家やマフィアを一網打尽にするというものだった。アーヴィンとシドニーは、標的のカーマイン市長(ジェレミー・レナー)に近づくが、二人の仲を嫉妬(しっと)するアーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)がおとり捜査の邪魔をして・・。



アメリカで起こった収賄スキャンダル(詐欺師がFBIに協力し、おとり捜査によって真相を暴いた)「アブスキャム事件」を基にした映画だそうです。

ニュージャージー州アトランティックシティのカーマイン市長はイタリア系の家族や市民思いの男として描かれています。彼は貧困層も職を得られるよう、カジノ誘致に必死ですが、賄賂を受けて私腹を肥やそうとは考えていません。ところが、功を焦るリッチーがおとり捜査でカジノ利権の贈賄事件を仕掛けて大物政治家を逮捕しようと画策し、その手先に詐欺師のアーヴィンが使われるという筋書きでした。

アーヴィンは保身のために渋々リッチーに従って、カーマインに近づきますが、彼の人柄を知るにつけ罠にはめることに罪悪感を持つようになります。このアーヴィンという人物、外見は冴えない中年男で腹も出てるし頭髪も薄くてとても魅力的とは言い難い。妻も愛人も大事で、どちらも失いたくないという男の狡さもあります。まぁ、妻に対しての気持ちというより彼女の連れ子を溺愛してるという感じでしたが

妻のロザリンはおバカなのか利口なのかイマイチ掴みきれないのですが、自らの欲望にとっても忠実な女性でしたシドニーは賢くて、アーヴィンのことを本当に愛していて、だから最終的にアーヴィンがシドニーを選ぶのも納得です

カーマインが罠にかかり、大物マフィアのテレジオ(ロバート・デ・ニーロ)までが登場するとさすがにアーヴィンも身の危険を感じてきます。事がばれたら、マフィアの復讐の矛先はFBIではなく自分と家族、シドニーに向かうからです

そこで彼は一計を案じ、カーマインに真実を話し、テレジオとも密約を取り付けるの。
市長と、彼が取り持った悪徳政治家たちは泥縄的に逮捕されるのですが、リッチーのあくどい計略と相殺されて市長の刑期は短縮されます。またテレジオもお金を受け取っていないので罪にはならず、ということはアーヴィンたちの危険も取り除かれたのでした

自分の出世のために、むりくり大物を罠にはめようとしたリッチーが、アーヴィンに出し抜かれて出世から脱落するのはいい気味詐欺師やマフィアという悪の側の方がまともに見えるのが可笑しかったです。

ファッションや音楽、そして市長のリーゼントが70年代を彷彿させる楽しい映画でした。

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ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀

2014年08月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年2月16日公開 ドイツ 110分

1937年、ドイツ・フランクフルト。ツェッペリン飛行船会社の設計技師マーテン・クルーガー(マクシミリアン・ジモニシェック)は、操縦していたグライダーが湖に墜落、偶然居合わせた女性ジェニファー(ローレン・リー・スミス)に救助される。マーテンはひと目で恋に落ち、その夜、アメリカ領事館のパーティで二人は再会するが、ジェニファーはアメリカの石油会社社長エドワード・ヴァンザント(ステイシー・キーチ)の娘で、ドイツ貴族の息子フリッツ・リッテンベルクという婚約者がいた。ジェニファーの母ヘレン(グレタ・スカッキ)は、夫がアメリカでヘリウムの輸出解禁に向け奔走中だとスピーチ。アメリカの輸出規制のため飛行船の浮揚ガスとして爆発の危険が高い水素を使用している現状は、ツェッペリン社の会長エッケナー(ハイナー・ラウターバッハ)にとってゆゆしき問題だった。パーティの最中、エドワードが倒れたとの報せが届き、ジェニファーは母と翌日のヒンデンブルグ号で帰国することとなる。マーテンは、父を案じるジェニファーを慰めるが、実は輸出禁止のせいで父の会社が倒産寸前だと打ち明けられる。一方、妻子の予定外のヒンデンブルグ号乗船を知り、エドワードは驚愕、直ちにエッケナーに連絡し二人を下船させるよう依頼する。ジェニファーたちを下船させろとエッケナーから命令されたマーテンはフリッツにその事をうっかり言った途端に襲われ、格闘の末、フリッツは致命傷を負い、「飛行船に爆弾が」と言い残して死んでしまう。そんな中、ヒンデンブルグ号には様々な乗客達が乗り込んでいた。秘密を抱えてドイツから離れようとするケルナー一家、ヴァンザント母娘のお目付役のツェッペリン社社長レーマン、そしてマーテンとフリッツのやりとりの一部始終を見ていた芸人ブローカ……。フリッツ殺害容疑で指名手配されたマーテンは、離陸寸前のヒンデンブルグ号に飛び乗り、身を隠しながら爆弾を探す。だが船内に潜伏していることを地上から通報され、更なる陰謀の渦中に巻き込まれていくのだった……。(Movie Walkerより)


1937年5月6日に起こった巨大飛行船ヒンデンブルグ号爆発事故は、97人の乗員乗客のうち35人が死亡する大惨事となり、その原因は着陸寸前に発生した火災とされています。映画はこの事故の裏にナチの陰謀があったとして、ドイツ人の飛行船設計技師とアメリカ人実業家の娘の恋物語とともに描いています。

飛行船の乗客たちの中に、アルゼンチンへ移住しようとする裕福なケルナー一家がいますが、実は彼らはユダヤ人で、ナチの迫害から逃れるために資産を持って国外へ逃げようとしていることが、ブローカ(ハンネス・イェーニッケ)により明かされます。彼はブロードウェイの芸人で、トイレでのマーテンとフリッツの会話も居合わせて聞いています。彼はおそらくアメリカ人ですが、何故あの場面で一家の素性をばらすのか、物語の中でどういう役回りなのかがいまいちわからなかったな。娘は自分がユダヤ人であることを両親から聞かされておらずショックを受け、またドイツ将校から脅される両親の姿を見て反発もします。彼女は事故の際、ブローカに助けられるのですが、このエピソードで監督が伝えたかったのは何?オリジナルのTV版は180分だそうですから、カットされた部分が気になるところです。

そもそも、飛行船の事故で水素ガスは燃料としてやはり拙いからヘリウムの輸出を解禁させようという作戦自体が無謀な気がするんですが・・その辺の説得力がイマイチ弱いかも。さらにナチの機密文書を飛行船の乗組員の電信技士が盗んでいて、それをマーテンに隠し持っていてくれと渡すという筋書きも乱暴。彼の職業柄、知り得た機密ということか?その機密が爆発の陰謀と結びつき、ナチが戦争を仕掛けようとしているとまで発展させるあたりは物語としては面白いけどね。

それに比べて、マーテンとジェニファーの関係はとてもわかりやすいです。互いに一目惚れの二人は、例え婚約者を殺した相手でも、陰謀を企む側の身内だったとしてもなんのその、手を取り合い乗り越えていきます
何度殺されかけても窮地を脱し、酷い拷問を受けた後でも愛し合う体力があり、凄まじい爆発の炎の中、飛行船から投げ出されても簡単な手当で復活し・・・マーテンは不死身か?そんな疑問もナンセンスよね。

金属の枠組みでがっしりした構造の割に布の壁があっさりと破れてしまうあたりは??な気もしますが、巨大な飛行船の内部描写や、爆発シーンは迫力がありました

マーテンの活躍で爆破は免れるのですが、嵐の中を通過して帯電したことで火災が発生し炎上爆発してしまいます。陰謀は失敗ですが、口封じのためにジェニファーがドイツ側に拘束され、父である石油会社社長は真相を発表できず、輸出解禁の働きかけを余儀なくされます。
あれ?二人が無事生還で一件落着じゃないのね

そこで例の機密文書を利用してマーテンが一計を案じるのですが、最後はジェニファーの父がきっちりと落とし前をつけるあたり、アメリカ人の方がヒーローっぽいぞ
製作はドイツなのに言語は英語だし、その辺に理由があるのかな?

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ザ・エージェント

2014年08月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1997年5月17日公開 アメリカ 138分
2014年7月8日(火) 01:59~03:58 日本テレビ放送分

スポーツ・エージェントのジェリー(トム・クルーズ)は、選手の年俸をつり上げるだけのやり方に疑問を持ち、会社に提言書を提出するがあっさりクビになってしまう。彼に好意を抱き、提言書の内容に共感してくれた会計係のドロシー(レニー・ゼルウィガー)と共に独立し会社を立ち上げるが、クライアントは落ち目になったアメリカン・フットボールの選手ロッド(キューバ・グッディング・ジュニア)ただ一人だけ。ジェリーは大学フットボールのスター選手フランク(ジェリー・オコンネル)の獲得に走るが、それも元同僚に奪われてしまう。自信を無くしかけた彼を励ましたのは、ロッドの“俺はお前についていく。俺たちはひとつだ”という言葉だった……。


なぜ録画しようと思ったのか忘れてしまったけれど、録れていたので鑑賞。
この枠って吹き替えじゃなくて字幕なのねラッキー
まさに一昔前のイケイケで若いトムとレニーの姿が眩しいね

大手の会社でやり手のエージェントとして自信たっぷりなジェリーが、ある晩、自分の中に溜まっていた本音を提言書にして一気に書き上げ、それをコピーして会社中の人間に配っちゃったから大変。(なぜ急にハイな気分になっちゃったのかはよくわからんが。)日本もアメリカも本音と建て前を使い分けるのが社会、いえ会社のルールみたいなもんですから、言っちゃいけない本音を暴露した彼は当然クビってことになりますよね

シングルマザーのドロシーは以前からジェリーに好意を抱いていたところに、提言書を読んでジェリーの考え方にめちゃ共感しちゃってます。クビになったジェリーが可哀相という同情心と一緒についていくことで何かが変わるんじゃないかという期待に思わず手を挙げちゃうんですねぇ

彼女は夫を亡くし、息子のレイ(ジョナサン・リプニッキ )と共に姉ローレル(ボニー・ハント)の家に身を寄せています。姉は妹の危なっかしさを心配し窘めます。姉は家で離婚経験者の集まりを開いていて、男性や結婚に対して懐疑的なのですが、最後には妹を応援する良いお姉さんでした。

息子のレイがもうめっちゃ可愛いぽっちゃりした外見も、ジェリーの恋人だったアヴェリー(ケリー・プレストン )の冷たい計算高さ(その外見に惚れていたジェリーが愛想を尽かしたのもわかるわ)と真逆な純真さも、とにかく見てるだけで癒される感じ。

ジェリーは自分より相手のことを考える優しさと誠実さがありますが、そのためアヴェリーの強引さに引きずられてしまったり、口約束だけで信用してクライアントをライバルに奪われたりもします。ドロシーに対しても初めはアヴェリーに去られた寂しさから手を出した感があり、その後もどこか遊びの気持ちもあったようですが、自分を支えてくれる彼女を手放したくなくてプロポーズするのはちょっと拙速な気がしました。案の定、結婚後に気持ちがすれ違ってドロシーに別れを切り出されちゃうんですねぇ。

もう一人、彼を変えたのは、俺様で我儘だけどジェリーを信頼しマネジメントを任せてくれたロッドの存在です。妻や家族に対するストレート(すぎる)な愛情表現は羨ましいくらいそんなロッドにジェリーも本音で忠告をし、ロッドは試合で見事結果を出します。喜び合う二人の姿に他の選手(獲得し損ねたフランクだったかな)がそういう信頼関係(友情)を築けるエージェントを選ぶべきだったというようなセリフがあったのが印象に残りました。目先のお金より自分のことを本当に考えてくれる人の方が良いのは当たり前だよね

ジェリーの仕事も軌道に乗り始め、ドロシーとも本当の意味で夫婦になれたというハッピーエンドもいかにもトムの映画らしい終わり方でした

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危険なメソッド

2014年08月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年10月27日公開 イギリス・ドイツ・カナダ・スイス  99分

1904年。29歳のユング(マイケル・ファスベンダー)は、チューリッヒのブルクヘルツリ病院で精神科医として働いていた。精神分析学の大家フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)が提唱する“談話療法”に刺激を受けた彼は、新たな患者ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)にその斬新な治療法を実践。間もなくユングは、ザビーナの幼少期の記憶を辿り、彼女が抱える性的トラウマの原因を突き止めることに成功する。しかし、医師と患者の一線を越えてしまった2人は、秘密の情事を重ねるようになり、ザビーナを巡るユングの葛藤はフロイトとの友情にも亀裂を生じさせてゆく。貞淑な妻よりも遥かに魅惑的なザビーナとの“危険なメソッド”に囚われ、欲望と罪悪感の狭間で激しく揺れ動くユング。やがて彼は、自分自身も想像しなかった痛切な運命を辿ることになるのだった……。


AKB48の歌詞にも登場するユングやフロイトという精神分析の大家の二人の物語であること、キーラやヴィゴが演じていることが鑑賞の動機です。

作中で語られる精神分析論は置いておいてどんな偉いお医者さんや学者でも心の内側にある欲望や葛藤は一般人と変わらないんだなぁというのが率直な感想かな

ザビーナは厳しい父の躾が原因となって性への衝動と抑圧の狭間で精神を病んでしまっています。感情を爆発させ暴れる姿は鬼気迫るものがあり、キーラの熱演が光ります
ユングは彼女との対話の中でその原因を探り出し、自覚させることで病状をコントロールすることに成功しますが、その過程で一線を越えて男女の仲になってしまうの

その発端はフロイトが患者としてユングに送り込んだグロス(ヴァンサン・カッセル)の欲望に忠実で自由な思想に感化されてしまったことです。グロスも精神科医なのねそして聡明で情熱的なザビーネと接するうちに自分の中にも欲望があることに気付くのです。ミイラ取りがミイラになったと言いますが、堅物だった筈のユングも一旦熱情の虜になれば、貞淑な妻より愛人に夢中になり、自分の感情をコントロールできなくなってしまう・・・その姿こそが人間らしいとも言えるけど、やっぱり共感は出来かねるかな。

フロイトとユングは親子ほどの年齢差があります。フロイトの考えに感銘を受けて訪ねてきたユングをフロイトは家族のようにもてなし、初対面で13時間も対話を続けるほど意気投合しました。彼こそ自分の後継者だと期待していたフロイトでしたが、ユングとザビーナの関係や、性理論が全てとするフロイトの考えにユングが疑問を抱いたことなどからやがて二人は決別することになるのです。二人の関係に亀裂が入った直接の原因として旅先で互いの夢を分析する場面が登場します。
ユングの見た夢が自分たちの関係が相容れないものに変容したことを指摘し、自らの夢の内容を話すことを拒んだフロイト。二人の師弟関係の蜜月もこの時終わりを告げたのだとわかります。

二人の偉大な心理学者の間にあって彼らに強い影響を与えたのがザビーナという女性。
彼女はユングの治療を受け、やがて不倫の関係に陥りますが、大学を出て自らも心理学者となるの。元々実家はかなり裕福なようです。彼女が精神を病んだ原因は幼少期のトラウマにあり、それを自覚することこそが病を克服することになったようです。ユングとの関係さえも彼女にとっては治療薬になったのかも。やがて彼女はフロイトの理論に賛同しユングの元を離れます。それはユングとの関係の終局でもありました。ザビーネとフロイトは共にユダヤ系の出身で、ユングは純粋なアーリア人であることも彼らの関係に影響を及ぼしているようです。やがて起こるナチ侵攻の悲劇は物語ではエピローグとして数行出てくるだけですが、フロイトは彼女に同胞の親愛は持っていたようです。

三人の関係は愛情と友情が入り混じった複雑さがありますが、それぞれの人生に欠くことのできないものでもあったのだと読み取れました。映画の中でザビーナが身につける衣装が全て白であることが印象に残りました。

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黒執事

2014年08月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年1月18日公開 119分

2020年。世界は西側と東側に別れ、西側を治める女王は東側諸国に「番犬」を送り込み、公にできないさまざまな事件を「処理」させていた。名門貴族ファントムハイヴ家もその一つ。巨大企業ファントムの若き総帥・幻蜂汐璃はその末裔で、ある理由から清玄と名乗り男装して生きていた。彼女はその任務と財産をある復讐に利用するため“悪魔の執事”セバスチャンと契約している。犯罪組織による若い女性の連続誘拐事件を調べていた二人は大使館員が次々にミイラ化した遺体で発見されるという怪事件との繋がりに気付き、製薬会社社長・九条新兵(伊武雅刀)が絡んでいることを突き止めるが、彼は何者かに殺されてしまう。ミイラ化して死に至る毒物「ネクローシス」を使ったテロを阻止すべく、犯人と目される武器商人・篠崎洋造(宮川一朗太)を追った清玄だが、篠崎も殺害され、清玄自身も刺客に襲われ・・・・。


枢やなのコミックを原作とした実写映画です。
原作ではセバスチャンが仕える主人は少年ですが、映画版は男装の令嬢に変更され、オリジナルストーリーとなっているそうです。

幼い頃、両親を目の前で殺された汐璃は、復讐のため悪魔であるセバスチャンと自分の魂を引き換えに契約を交わしているという設定です。メイクの効果もあるのでしょうが、水嶋ヒロの演じる悪魔の表情がはまっていてゾクリとします。

メイドのリン(山本美月)は普段はとてもトロいのですが、実は腕利きのスナイパーなのね

実はこの事件の黒幕は汐璃の叔母の華恵(優香)で、ネクローシスは九条に作らせた不老不死の薬の副産物だったのです。彼女は、父の前妻で、子供が産めなくなったために離縁され、代わりに汐璃の母と結婚したことを恨んで反西側の犯罪組織による両親殺害を手引きしたのでした。華恵の絶望感や元夫への憎悪はわかるけれど、実の姉や姪をも葬って構わないという冷酷さや、不老不死=美への渇望は悪女の典型だね

情けをかけた清玄の気持ちを踏みにじる行為をした華恵の末路は哀れだけれど当然
自らの死を厭わず人々のために爆破装置を解除し力尽きて倒れた清玄を冷やかに見つめていたセバスチャンですが、結局彼女を救うの
悪魔は天使のなれの果てという引用がここで使われているのが面白いかな

原作未見なのですが、警察局長が黒幕組織の紋章を使っている場面で終わる物語は続編狙いでしょうか

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るろうに剣心 京都大火編

2014年08月04日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年8月1日公開 139分

かつては「人斬り抜刀斎」と恐れられた緋村剣心(佐藤健)は、新時代の訪れとともに穏やかな生活を送っていた。ある日、内務卿大久保利通()から呼び出され、剣心の後継者として「影の人斬り役」を引き継いだ志々雄真実(藤原竜也)が、京都で暗躍していると聞かされる。剣の腕も頭の回転も互角だが、剣を置いた剣心に対し、野心を捨てることのなかった志々雄を恐れた政府は、彼を密かに処分しようとした。しかし全身に大火傷を負いながらも一命を取り留めた志々雄は、全身包帯の姿で戻り、明治政府へ復讐を仕掛けてきたのだった。平和を妬み嫌う戦好きや武器商人らを集めて一大兵力を形成し、政府の討伐隊をことごとく壊滅していく志々雄を止められるのは剣心しかいない。剣心は、逃れられない運命を背負い、逆羽刀を手に、仲間と別れ単身志々雄のいる京都へ向かう。


和月伸宏のコミックが原作で、実写映画「るろうに剣心」(2012)の続編です。
今回は物語のクライマックスで原作でも人気の高い「京都編」が描かれていますが・・二部作だったのぉぉ

アニメや原作は少しかじってましたが、実写版(2012年)はDVD鑑賞でした。で、思いのほかキャストがはまっていたので、今回は劇場鑑賞にしました

前作メンバーの薫さんや弥彦に左之助、高荷や斎藤一(江口洋介)に加えて、敵キャラも原作イメージにほぼ近い俳優陣が揃いました
志々雄真実役の藤原竜也は全身包帯姿でそれだけでも大変そう
喜怒哀楽の楽以外が欠如している設定の瀬田宗次郎役の神木隆之介君も激しい立ち廻りを頑張ってました。
四乃森蒼紫(伊勢谷友介)も漫画から抜け出してきたみたい。この人と江口さんのすらっとした立ち姿が何とも美しいのですよ

原作に忠実なストーリー運びにも好感が持てます。
そしてやはりあの殺陣はスクリーンで観る方が断然迫力と臨場感があるわねぇ
とにかくスピード感がありました。

京都大火を切り抜けたと思ったら・・・「続く」なラストに早くも次回(後編)が待ち遠しいです。
そして最後の最後に登場する謎の男。福山さんだったのね~~いや、顔は出ません。でも後編予告で出ちゃってますが

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ウルフ・オブ・ウォールストリート

2014年08月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年1月31日公開 アメリカ 179分

22歳でウォール街の投資銀行へ飛び込んだジョーダン(レオナルド・ディカプリオ)は、学歴もコネも経験もなかったが、誰も思いつかない斬新な発想と巧みな話術で瞬く間になりあがっていく。26歳で証券会社を設立し、年収4900万ドルを稼ぐようになったジョーダンは、常識外れな金遣いの粗さで世間を驚かせる。全てを手に入れ「ウォール街のウルフ」と呼ばれるようになったジョーダンだったが、その行く末には想像を絶する破滅が待ち受けていた。


レオとスコセッシの作品は正直好みに合わないので殆どがDVD鑑賞となってしまう。今回もそうそれでも観てしまうのはレオがみせる邪気のない笑顔が好きだから

しかし、3時間かける必要あったのかしら?実話ベース(ジョーダン自身による回顧録「ウォール街狂乱日記 『狼』と呼ばれた私のヤバすぎる人生」の映画化)だとしても、観終わって愉快な気持ちにはなれません。騙された側の悲惨さが微塵も描かれていないのは騙した側の視点で描かれているから当然ですが、これではあまりに身勝手過ぎる気がしました。投資の知識も何もない私としては、株には手を出さないのが賢明って改めて認識したことくらいかな、収穫は
ま、作り物としてこんな時代もあったのね~程度に観た方がストレスにはならないかな。

ジョーダンの株屋としての才能は先を読む目もありますが、何よりそのセールストークの巧みさによるのではないでしょうか。「このペンを俺に売ってみろ」というセリフは二度登場しますが、これこそが彼の話術の基本で、他人をその気にさせる点ではまさに神がかっていたのかも。

初めは真面目で野心家だけど株は素人だったジョーダンが、投資銀行で上司のマーク(マシュー・マコノヒー)らに鍛えられてその才能を開花させます。しかし正式にブローカーの資格(そんなもんがあるのね)を取得した途端、勤め先が破綻しあっけなく失業倉庫番の仕事でもと挫折しかけた彼を妻のテレサ(クリスティン・ミリオティ)が「あなたの仕事はそんなことじゃないでしょ」と諌めるシーンまでは普通にヒューマンドラマだったのに・・・。

クズ株を商う小さな会社でこれまでのノウハウを生かして瞬く間に成功したジョーダンは仲間を募り自分の会社を設立するの。この時相棒となったドニー(ジョナ・ヒル)がドラッグを彼に教えちゃうのね

ドラッグと酒と女に溺れる乱痴気騒ぎと非常識な日常は観ていて楽しいものではありませんでした。
これがアメリカンドリームというなら願い下げです。「ラム・ダイアリー」や「ラスベガスをやっつけろ」と時代的には重なるのかな。日本ならさしずめバブル時代というところでしょうか。
モデル美女ナオミ(マーゴット・ロビー)に夢中になる夫に「あなたは変わってしまった」と嘆くテレサが痛々しかったなぁ全く男ってやつは・・・結局彼はテレサと離婚しナオミを迎えることになります。

儲けのために違法なこともしてきたジョーダンのことをFBIや各機関がマークします。特にFBI捜査官のデナム(カイル・チャンドラー)はずっとその行動を監視してきました。
ジョーダンが税金逃れでスイスの銀行に隠し金を預けるシーンでは銀行家のソーレル(ジャン・デュジャルダン)が抜け道を指南します。ナオミの叔母で英国人のエマ(ジョアンナ・ラムレイ)や仲間の親族の名義を借りてせっせとお金をスイスに運ぶシーンはコメディタッチで笑えますが、現実としては何とも腹立たしいことです。

悪事が露見しかけたジョーダンは弁護士の助言を受け入れて司法取引に応じ引退を決意するのですが、その引退演説の最中に意を翻し社長で居続けることを選択。この時も自らの演説に陶酔した挙句の熱情に流された感がありました。結局最後には取引に応じて仲間を売って実刑の短縮を手に入れますが、ナオミは離婚を切り出し娘と出て行ってしまいました。

豪華クルーザーで嵐の海を突っ切ろうとして転覆したり、ドラッグでラリッたまま車を運転したり、よくぞ生きのびて来られたものだと思います。

ラストは出所してセミナー講師に招かれてる場面。転んでもただじゃ起きないんだね
ちなみにこのシーンで司会者をしているのがジョーダン・ベルフォードその人なんだそう

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ブロークンシティ

2014年08月02日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年10月19日公開 アメリカ 109分

8日後に市長選を控えたニューヨーク。7年前に警察官を辞め、私立探偵として生計を立てるビリー(マーク・ウォールバーグ)は、現市長ホステラー(ラッセル・クロウ)から妻キャサリン(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)の浮気調査を依頼される。浮気相手が市長再選を狙うホステラーの対立候補ヴァリアント(バリー・ペッパー )の右腕であるアンドリュース(カイル・チャンドラー)と突き止め市長に報告するが、後日アンドリュースが殺害され……。


冒頭で黒人を射殺するビリーの姿が映し出されます。ビリーが無抵抗の容疑者を射殺し、しかも無実だったのではないかとの疑いが浮上し裁判にかけられるのですが、無罪の判決が出ます。しかし市長に呼ばれた彼は辞職するよう勧告され・・・判決と矛盾するこの顛末が後の伏線となっているのね

そして7年後。浮気専門の探偵になっているビリー。恋人はあの事件(婦女暴行)の被害者の姉で女優志望のナタリー(ナタリー・マルティネス)です。彼女やその家族にとっては妹の敵をとってくれた恩人というわけね。しかし、二人の間には次第に溝ができていったようでもあります。いくら女優とはいえ、あんな作品に出て、それを恋人であるビリーに見せるなんてちょっと考えられないんだけどなぁ

ある日、市長選を控えたホステラーから妻キャサリンの浮気調査の依頼が入ります。調べると対立候補のブレーンが相手のようです。キャサリンからはこの件から手を引けと忠告されるのですが、単純な浮気調査と思っていたビリーは市長に写真を渡してしまいます。(渡すというより半ば奪われる感じですが)ところが調査対象だったアンドリューが何者かに射殺されます。
アンドリューとヴァリアントはゲイカップルだったとわかり、キャサリンの浮気相手であるはずがないことに気付いたビリーは、自分が利用されたと知り、真相を探ろうとするのです。

この市長選にはNYの再開発の利権が絡んでいました。ホステラーは町を良くするための開発だと強調しますが、実際は高層マンションを建てて利益を得ようとしていたのです。しかし予定地は低所得層の多く住む場所であり、追い出されたら彼らは行き場を失います。対立候補のヴァリアントは再開発に反対していますが、二人の直接討論の場面では、ホステラーの巧みな話術と政治家らしいふてぶてしいほどの押しの強さが目を引きます。状況は圧倒的に現市長に有利です。

証拠となる資料を見つけたビリーが、激しいカーチェイスの挙句奪われてしまうところは変にヒーローぽくない分リアルな気がします。市長を快く思わない警察署長のコリン(ジェフリー・ライト)もホステラーの失脚を狙いビリーに協力しますが、このおっさんもなかなかの曲者ですだってキャサリンの浮気相手は彼だったんですから

ホステラーが建築会社と組んでいる決定的な証拠を手に入れたビリーは彼と直談判して再開発から手を引くよう迫るのですが、ここで7年前の真実(ビリーが無抵抗の黒人を射殺する様子を映した証拠ビデオを市長は持っていました)を盾に、逆に市長から脅されるのです。

ナタリーともうまくいかなくなっていたビリーにとって、自分が取るべき道というのは自ずと決まっていたのね。守るものがない人の方がすっぱり決断できるってこともあるのかも

というわけでビリーは脅しに屈せずホステラーを破滅させたのでした。めでたしめでたし・・??

きっとこんなの氷山の一角なのよね。

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