杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

火花

2016年05月29日 | 
又吉直樹(著) 文芸春秋(発行)

お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。 (「BOOK」データベースより)


芸人さんが書いた芥川賞受賞作品ということで話題になり、図書館で予約して半年以上も待たされてしまった本です。表題の「火花」は小説の巻頭と末尾に登場する熱海の花火大会のエピソードから付けられた?それとも彼らの心の中にあるお笑いへの熱い情熱を現しているのかな?

既に宣伝内容も忘れていて、まず手に取った瞬間、「薄っ!」というのが感想中編小説ということですから妥当なんですけどね
そして芥川賞が純文学の新人に与えられる章だということもうっかり失念していたので、読み始めてすぐ「なんじゃ、この小難しい表現は」と思ってしまったのでした。

まぁせっかく借りたのだから最後まで読み通そうと、半ば宿題感覚でページをめくっているうち、「あれ?重いけどけっこう深いな、真理を突いてるな」と感じるようになりそこからは一気に読み通したのですが・・・う~~ん、この終わり方はどうよ??この先の神谷さんはどうなったの?と消化不良な思いが残ってしまいました。

どんな世界(職業)でもそうですが、何も考えていない(考えることのできない)人が成功することはまずないでしょう。
お笑いの世界でも同じだと思いますが、だからと言って小難しく考え過ぎても受け入れられるとは限りません。
神谷や徳永の「お笑い」に対する真摯な思いは感じ取れても、彼らの考えるそれが私には面白いとは思えなかったし、芸を離れた神谷の人間的な優しさは感じられても、彼の芸そのものは理解できなかったのです。

徳永は神谷を理解し尊敬もしていながら、彼の狂気や脆さを危ぶんでもいます。
行方不明になっていた神谷との再会において、徳永の危惧は現実のものとなります。
それでも神谷は神谷然としており、徳永は神谷を偉大なる芸人の先輩として崇めることを止めないのですね。それは徳永がやろうと思ってもできない領域に神谷がいることの証明でもあるかのようです。

そういえば、クイズやバラエティ番組の雛壇に座っているのは見かけても「ピース」の芸って見たことないかも

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スノーホワイト 氷の王国

2016年05月27日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年5月27日公開 アメリカ 114分

スノーホワイトとエリックにより滅ぼされたラヴェンナ女王(シャーリーズ・セロン)には、フレイヤ(エミリー・ブラント)という愛情深い妹がいたが、ある事件をきっかけに、フレイヤは大きな悲しみに襲われ、悲しみと引き換えに強大な魔力を手に入れた。姉のもとを離れたフレイヤは、北の大地で自分だけの氷の王国を築いていたが、そんな彼女のもとに、姉のラヴェンナがハンターのエリック(クリス・ヘムズワース)の剣によって滅ぼされたとの報せが届く。姉の死を知ったフレイヤは、配下の軍団に「魔法の鏡」を奪ってくるよう命じる。これを知ったエリックは、陰謀を阻止するためかつて自分の故郷でもあった氷の王国に戻り、鏡を破壊しようと試みる。しかしそこに現れたのは、死んだはずの最愛の女性・サラ(ジェシカ・チャステイン)だった……。


グリム童話の「白雪姫」を大胆にアレンジして描いたダークファンタジー「スノーホワイト」の続編です。
とはいえ、白雪姫の登場は後ろ姿だけ。しかも主役は女王姉妹じゃなくて、エリックとサラだったのね

フレイヤはかつては優しく愛情深い女性でしたが、愛する男の裏切りにより娘を失い感情が凍り付いてしまいます。ネタバレしちゃうと、ラヴェンナが妹の能力覚醒のために仕組んだ罠だったのですが、本当は妹の娘が自分より美しく成長することが許せなかったという実に身勝手な動機なのでした。

姉の策略に見事にかかったフレイヤは自らの氷の王国を作り上げ、周辺の国を傘下に収めていきます。捉えてきた子供たちを自分の兵士として育て、彼らに愛を信じるなと教え込むの。実はエリックやサラもその子供たちのうちの一人だったということが明かされます。しかしエリックとサラは愛し合うようになり、氷の王国から逃げようとした二人は、フレイヤからエリックにはサラが殺された幻影を、サラにはエリックが逃げ出した幻影をみせられて引き裂かれてしまったのですが、この時二人を殺さなかったことに、フレイヤにほんの少し残っていた「愛」を感じることができます。

エリックとサラのシーンが二度も登場するあたりは、お子様向けのファンタジーじゃないのは確か
「アナと雪の女王」を連想して小さなお子様連れで鑑賞しては慌てることになります。(吹替版は知らないけど)
彼らの珍道中に加わるのは前作でも登場したドワーフたちと新たに女性ドワーフが二人。もういかにもカップル成立でしょ!という筋書きですが、面白かったから
裏切られたと誤解していたサラがエリックの言葉を受け入れた後は、彼女の行動に裏があることも読めちゃいます。前振りで何度か出てくる「私、失敗しないので」…あ、違った「私、(矢を)外しませんから」のセリフはエリックの胸に突き刺さった矢が本当は何を射たか・・バレバレですね

宣伝では妹が姉を復活させて共に勢力を広げようとしたように書かれていますが、本編を見た限りでは、体は滅ぼされたものの、鏡の中に潜んでいたラヴェンナが妹の力を利用して復活したという印象です。妹に高圧的に接し、その軍隊を自分の復讐のために勝手に使おうとするので、さすがにフレイヤの中に躊躇が生まれます。そんな妹に思わず「その力を引き出したのは私」と口走ってしまい、かつての悪事が暴かれることに普段大人しい人ほど怒ると恐いんだぞ~~
フレイヤにとっては、エリックやサラも含めて兵士たちは亡くした娘同様の可愛い子供たちだったのでしょう。間違った愛情だったとしてもね。

さすがにシャーリーズ・セロン演じるラヴェンナは迫力が違います。まさに悪の権化、悪の華。登場は後半の山場からなのに、インパクト絶大でした。
ただね・・諸悪の根源はあの魔法の鏡なんじゃないかしらん?

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ゲーム・オブ。スローンズ 第五章 竜との舞踏 第5話~第8話

2016年05月25日 | ドラマ
第5話「“壁”の決断」
デナーリスはグレイ・ワームとバリスタン・セルミーの死傷の責任を負わせるべく、ヒズダール・ゾ・ロラクら親方たちを、2頭のドラゴンが幽閉されている地下牢に連行する。“壁”では、ジョンがホワイトウォーカーを迎え撃つため、野人のトアマンドに援軍を要請する。一方、ウィンターフェルでは、サンサがボルトン家の犬舎につながれたシオンに遭遇。船でミーリーンに向かっていたティリオンは、石化人に襲われる。

今回は女性登場人物にスポットを当てているのかな~と思わせる構成でした。
デナーリスがヒズダールとの結婚を決めるまでにある葛藤がさっくり削られているため、唐突な印象を受けました。
ミッサンディとグレイ・ワームの関係は進展したね
ジョンはメイスターの助言を得て野人を壁の内側に迎える決意を固めます。スタニスは北部への進軍を開始し、ようやく動きがスタニスが娘への愛情を語るシーンが一番ほっこりしました
ラムジーの愛人・ミランダの嫌がらせに毅然とした態度で応えるサンサですが、弟たちを殺した(と思い込んでいる)シオンとの再会や、母と兄を殺されたボルトンの息子との結婚など、茨の道過ぎる~~
石化人に襲われたティリオンたち。時の経過がわかりにくいのですが、そんなに早く発病するものなの?(スタニスの娘が玩具に触れて感染するくらいだから、かなりの感染力ってことなのかな


第6話「父の仇」
流れ着いた島で奴隷商人に殺されそうになったティリオンは、ジョラーを百戦練磨の戦士だと誇張し、一緒にミーリーンの闘技場に連れて行くよう奴隷商人を説得。ウォーター・ガーデンズに辿り着いたジェイミーとブロンは、父オベリンの仇討ちを誓うサンド・スネークに襲われる。一方、ウィンターフェルではラムジーとサンサの婚礼がとり行われていた…。

第5話では登場シーンがなかったアリアが冒頭から登場。白と黒の家での修行内容については、アリア同様???なことばかり
「誰でもない者」になりたいというアリアだけれど、心中には復讐しかないのに矛盾しているんですが・・・彼女が必要としているのは人を殺せる技術だけなのでは?
相変わらず口八丁のティリオンは絶体絶命の窮地にあってもその鮮やかな弁舌と機転で切り抜けます。
王都ではハイ・セプターの権力がますます増大。マージェリー&タイレル家憎しのあまり先が読めないサーセイは自らの首を絞めていることに気付きもせず、今は勝利の美酒に酔っているところ
敵地へ送り込まれたミアセラを奪回しようとパパ・ジェイミーは必死ですが、彼女にとっては大きなお世話そこにラニスター憎しのサンド・スネークが襲いかかり乱闘になりますが、彼女たちの思惑はプリンス・ドーランに初めから見通されていて、ついでにジェイミーたちもとっ捕まってしまいました。この先どうなる?
サンサの婚姻も成され、早速彼女にとって辛い夜が訪れます。ラムジーよりティリオンの方がよほど紳士なのにねぇ


第7話「贈り物」
奴隷として買われ闘技会に出ることになったジョラーは、闘技場にデナーリスが来ていることに気づき、他の闘士たちを圧倒。謀反者との再会に気分を害したデナーリスの前に、“贈り物”としてティリオンが差し出される。リトルフィンガーは、ともにジョフリーを殺害した盟友オレナへの“贈り物”として、かつてサーセイと関係を持ったランセルをハイ・スパローの元へ送り、秘密を暴露する用意があることを告げる。

トリスタンと婚約し幸せなミアセラはジェイミーの申し出を拒絶、牢に放り込まれたブロンはサンド・スネークのからかいの対象になりますが一命はとりとめます。(まったく男ってヤツはどんな状況でも若い美人に弱いよね)
ティリオンは奴隷市でもその舌を最大限に活かしてジョラーにくっついていることに成功。デナーリスの前でさてさて何を語るか
サンサは傷つけられ、シオンに助けを求めますが・・・強くなったようでもやはり元はか弱い女性。そもそもラムジーの本性を見抜けなかったあたりまだまだ甘い
リトルフィンガーの密告によりサーセイ大ピンチ。人を呪わば穴二つ!その前に気付けよ!って話しですが。


第8話「堅牢な家(ハードホーム)」
ジョラーとティリオンは、ミーリーンの大ピラミッドでデナーリスに謁見する。サンサがウィンターフェルから逃げたがっていることをラムジーに密告したシオンは、サンサに責められるなかでブランとリコンを殺していないと告白する。一方、“堅牢な家”に到着したジョンとトアマンドは野人たちを集め、ホワイト・ウォーカーが襲ってくる前に“壁”の南に避難するよう伝えるが…。

ティリオンはデナーリスの相談役となり、ジョラーの命も追放という形で救ったけれど、ジョラーは再び女王の前に出るために闘技会に出る様子。命の終わりを自覚したことを踏まえても、ここまでくると純愛を通り越した感があるけれど
サーセイは投獄され罪の告白を迫られますが、プライド高い彼女は頑として応じません。自らの地位がまだ確固たるものと信じるからこその虚栄ですが、いつまでもつことやら・・・。タカビー女のみじめな姿はなかなかに哀れです。
サンサは弟たちがシオンに殺されてはいないと知り、希望を感じます。シオンの中にも兄弟同然に育ったサンサへの家族愛のようなものが残っているようです。
アリアは自分のなすべきことの一端にようやく辿り着きます。それが私利私欲を捨てた行為と知るのはまだ先のことになるのかな。
ジョンたちは一部だけでも野人たちを説得できましたが、船で出発の準備中にホワイト・ウォーカーたちに襲われます。彼らも烏合の衆ではなく、馬に乗った騎手(貴族階級?)に統率されていたのね倒しても倒しても尽きぬ上、殺された仲間もホワイト・ウォーカーになるのだからたまらないその前にドラゴングラスを使って戦えよ!なんですが・・・気付くの遅すぎ!

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海よりもまだ深く

2016年05月23日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年5月21日公開 117分

母・淑子(樹木希林)は苦労させられた夫を突然の病で亡くしてからは、団地で気楽な独り暮らしをしている。15年前に文学賞を一度獲った売れない作家の長男・良多(阿部寛)は、“小説のための取材”だと周囲にも自分にも言い訳しながら、今は探偵事務所に勤めている。元嫁・響子(真木よう子)はそんな良多に愛想を尽かして離婚。良多は11歳の息子・真悟(吉澤太陽)の養育費も満足に払えないくせに未練たらたらで、響子を張り込み、彼女に新しい恋人ができたことを知ってショックを受ける。ある日、母の家に顔を合わせた良多と響子と真悟は台風で帰れなくなりひと晩を共に過ごすことになるが・・。


「海街diary」「そして父になる」の是枝裕和監督が、阿部寛と「歩いても 歩いても」「奇跡」に続いて3度目のタッグを組んでいます。

良多の父親は稼ぎを趣味(ギャンブル?)注ぎ込んで家族に迷惑をかけるような人だったようですが、そんな父親みたいにはならないと反発しながらも、気付けば同じ生き方をしています。探偵して得た情報を悪用した金を競輪につぎ込んだり、元嫁を勝手に張り込んだり、作家として大成しないのは時代が悪いのだと逃げている彼は、大人になりきれない男を絵に描いたような人間です。

でも、そんな頼りない息子でも、やっぱり可愛いのよね~~母は
夫に散々苦労させられ(でも離婚もせずに最期まで看取っています)、ようやく独りになって、まだまだ人生これから!と思っているのに、頼りになる筈の長男は嫁に三下り半を突きつけられ、孫の養育費さえ満足に支払ってない様子。嫁に非はないと頭ではわかっていても、ついつい、「女が外で働くと・・・」みたいな嫁批判の目線で見てしまう。息子は被害者なのよ~的な台風の夜に強引に泊まっていったらと勧め、元嫁と良多を同じ部屋に布団を敷いたのも、復縁に望みを託した親心なんですね。

母と息子のやりとりがまた、どこにでもいる普通の親子の日常を鮮やかに切り取って見せていて秀逸です。
カルピスを凍らせて作った「アイス」にはラップもしていないから冷蔵庫臭がするし、分量けちって薄めだから滅茶苦茶硬いし 冷凍してあったカレーが半年前のものと知り文句を言う良多に、元妻と母が「だから男は・・」と冷ややかな目線を向ける場面など「あ~~あるある!」というエピ満載なのも

姉(小林聡美)とのやりとりも、凄くリアリティがありました。
どちらも年老いた母を心配はしているし、親孝行もしたいと思ってはいるのだけど、現実には年金を当てにしているところとか・・
良多が母のへそくりの場所の話をした伏線から、天袋で見つけた「ソレ」を開けると「残念でした!」と書かれた姉のメッセージにガックリするシーンも笑えます。

良多の後輩の町田(池松壮亮)は、彼に恩義があるようで、汚れ仕事やギャンブルでの借金も快く引き受けてくれますが、若い町田がそこまで良多をフォローする理由が見えて来ないので、このエピは削っても良かったような・・・(それでは池松君の出番がないから困るか)町田自身が幼い時に別れた父親との思い出があるからこそ、良多の執着に理解を示しているんでしょうね

探偵事務所の所長(リリー・フランキー)が良多の恐喝行為を知り、穏やかに(でも決然と)叱責する場面が印象的です。
元妻と息子に執着する良多の心情を理解した上での愛ある説諭なんです。

台風の夜、息子と元妻と三人で、自分が子供の頃父親と一緒にした「冒険」を擬えた時、良多はもう元には戻れないのだと、そして「大人になる時」が来たことを悟ったのね。

物語の舞台は西武池袋線沿線の清瀬や、本川越あたり。
緩やかに時代に取り残されている団地の佇まいが、物語の空気感にマッチしています。

樹木希林さんと阿部さんの演技がとても自然で、本当にこういう親子いるよね~!と思わせてくれます。
思い描いていた未来とは違う現在。それは誰もが生きている人生そのものです。人は皆、どこかで折り合いをつけながら、それでも精一杯楽しく過ごそうと頑張っているんだよね

若い人にはピンと来ないところもあるかと思いますが、40代以上の方々には間違いなく心に響く作品だと思うな

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ゲーム・オブ。スローンズ 第五章 竜との舞踏 第1~4話

2016年05月21日 | ドラマ
第1話「新たな戦いの幕開け」
父タイウィン殺害後、密かにキングズ・ランディングを脱出したティリオンは、ペントスに着く。ミーリーンでは、デナーリスがドラゴンを幽閉している牢を訪れ、手に負えないほど大きく成長した子どもたちを前に恐れおののく。一方、黒の城ではジョン・スノウが、自らが七王国の王だと主張するスタニスと、彼に囚われた“壁の向こうの王”マンス・レイダーの狭間で揺れるが…。

ティリオンってば随分むさい姿になってます
デナーリスの統治に綻びが生じ始め、ドラゴンはあまりにも大きくなり過ぎ、こちらも前途多難な予感
ジョンはスタニスからウィンターフェル城主の地位を示唆されます。落とし子の彼にとってスノウではなくスタークを名乗ることは長年の夢でしたが、壁の誓い&仲間の前に彼の迷いは消えます。


第2話「黒と白の館」
かつて助けられたジャクェン・フ=ガーにもらった硬貨だけを頼りに“狭い海”を渡ったアリアは、ブレーヴォスに辿り着く。サーセイの元にはマーテル家からオベリンの死に対する復讐を示唆する物が届き、ドーンにいる娘ミアセラの身を案じたジェイミーはある行動に出る。 ブライエニーとポドリックは、旅の途中に立ち寄った酒場である人物に遭遇する。一方、黒の城では新たな総帥を決める投票が行われ…。

サーセイはティリオンを逃がしたジェイミーを非難し、ミアセラの身を案じたジェイミーは自らドーンへ向かいます。
ブライエニーはサンサに剣を捧げようとしますが拒否されます。ジョフリーの前で怯えていた以前のサンサの面影はなく、陰謀術策の中を生き抜こうとする強さを感じさせます。
壁では新たな総帥にジョンが選ばれました。この先の苦難の幕開けでもありますね。
ブレーヴォスの白と黒の館に着いたアリアは、フ=ガーに最初の試練を与えられます。彼女の行く道にもまた苦難が待ち受けているのよね


第3話「雀聖下(ハイ・スパロー)」
王都ではトメンとマージェリーの婚姻の儀が執り行われる。一方、ルース・ボルトンは北部の同盟を強固なものにするため、息子ラムジーとある娘の婚姻を画策する。サーセイは、娼館にいたハイ・セプトンをランセルら“雀”に拘束させ、投獄。その後、貧民街に出向いたサーセイは“雀”の指導者ハイ・スパローに会い、ハイ・セプトンの後任に迎えたいとほのめかす…。

トメンってば、マージェリーに簡単に篭絡されて言いなり状態。この点についてだけはサーセイに同情を覚えますが、しかしサーセイ、自らの知恵に溺れて痛恨のミス采配しちゃいましたね宗教に権力のみならず武力まで与えちゃったら自らの首を絞めるようなもんだって、ジェイミーがいたら止めたでしょうに・・。


第4話「ハーピーの息子たち」
サーセイはマージェリーの父メイスをブレーヴォスにある“鉄の銀行”に行かせる。さらに彼女は“雀”たちで構成した自警団を操ってロラスを投獄し、王都からタイレル家を失脚させようと画策。それを知ったマージェリーはトメンに怒りをぶつける。一方、ミーリーンでは“ハーピーの息子”たちが暴動を起こし、居合わせたグレイ・ワームとバリスタン・セルミーが反撃するが…。

ティリオンは駄々っ子のように「外に出たい」「酒飲みたい」まぁ、王都で何不自由なく暮らしていた貴族様ですから我儘なのも仕方ないけど、初期シリーズの悲哀がだんだん薄れて行くなぁ 
バリスタン・セルミ―の最期は悲しいです。
アリアもジョンも逞しく生きてますが、あんまり魅力感じないのよねサンサもますます醒めてきたし・・。
利き腕を喪ったジェイミーもドーンで苦戦中。敵の一人を倒すのもやっとなのにこの先大丈夫かいな?

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殿、利息でござる!

2016年05月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年5月14日公開 129分

江戸中期、財政難のため民衆に重税を課す仙台藩では、破産や夜逃げが相次いでいた。寂れ果てた宿場町の吉岡宿でも年貢の取り立てや労役で人々が困窮し、造り酒屋の主・穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は、町の行く末を案じていた。そんなある日、十三郎は、町一番の知恵者である茶師・菅原屋篤平治(瑛太)から、藩に大金を貸し付けて得た利息で労役を賄うという宿場復興の秘策を聞く。目標額は、千両。計画が明るみに出れば打ち首は免れないが、それでも十三郎と仲間たちは、町を守るために私財を投げ打ち、計画を進める。


「武士の家計簿」の歴史家・磯田道史による評伝「無私の日本人」に収録されている一編「穀田屋十三郎」の映画化です。仙台藩第7代藩主・伊達重村役で仙台出身の羽生結弦選手が出演していることでも話題になりましたが、ちょっと顔を見せるだけかと思いきや、意外に長台詞をそつなくこなしていてびっくり

篤平治は知恵者ではありますが、どこかお調子者というか、軽さがあるキャラとして描かれています。
何気なく頭に浮かんだ計画を酒の勢いで十三郎に語ったところ、まさかの実行の運びとなって慌てるところや、村役人である肝煎(寺脇康文)や大肝煎(千葉雄大)に相談すればきっと止められて話しが終わると思っていたのに逆に仲間になってしまうところなど、思惑が外れまくった挙句、自らも私財を投げ打ち、家宝の書付まで手放すはめにでも、基本は義に厚い男。十三郎が父親や弟へのコンプレックスが元で計画から降りた後も仲間をまとめていきます。

十三郎は、父である先代浅野屋(山崎努)が、長男である自分を養子に出したのは、弟の方が賢く跡継ぎに相応しいと考えたからだと思い込んでいました。今回の計画も町のためであるのはもちろんですが、父や弟・甚内(妻夫木聡)への対抗心が彼を燃えさせたのね。

先代も甚内も、宿場の人々からはケチでしみったれな金貸しと思われていましたが、実は先代こそ、50年も前から今回のようにお上に上納して苦役を免除してもらおうという考えを持っていたのです。(山崎翁が演じているんだもの、ただの守銭奴じゃないと思ってたよ)そのために自らの生活は質素を極めてお金を貯め、しかもそのことを家の者以外には知られないように口止めしていました。弟もまた父の意志を継いでいたというわけです。冒頭で夜逃げする一家を先代が引き留める場面がありますが、借金を取り立てたのではなくお金を与えて励ましの言葉を掛けたことも後に判明します。

私財を投げ打ち、家業を潰してまでお金を工面する弟。もうね~~浅野屋さん一家ってば、母(草笛光子)や弟の妻子、使用人に至るまでが爪の垢を貰って飲みたいほどの善人で泣けます。
先代が十三郎を養子に出したのは、目の悪い弟を思ってのことだったことも判明し、十三郎の長年のわだかまりも雲散霧消でございます。妻夫木君がまた良い演技してるんだなぁ~

十三郎たちの計画に賛同した仲間たちも、功名心や対抗心に駆られた側面はありますが、見返りのない商売気抜きの話によくぞ乗ったものです。皆、このままでは宿場町の未来がないと必死な思いがあったからこそなのでしょうね。西村雅彦演じる寿内のええかっこしいな性格が実に人間臭くてけっこうツボです

代官の橋本権右衛門がまた百姓のことを考えてくれる出来た役人で、藩の財政担当TOPである出入司の萱場(松田龍平)に取り次いでくれたのですが、プライドの高い萱場は一瞥して却下しちゃうの。
最初は熱い正義感に燃えていた大肝煎も、自分の保身のためにあっさり諦めようとするのですが、浅野屋先代の思いを聞かされ再び発奮、それを聞いた代官もまたまた発奮というわけで、遂には萱場も受け入れ・・・でもこれでめでたしとはいかなかったのです

通常、百姓が一両金貨を持つことはなく、一千両も銭(硬貨)で支払うつもりだった十三郎たちですが、萱場が指定したのは金貨で千両。これにはからくりがあって、銭と金貨は等価交換じゃなかったのですね百姓たちからもっと搾り取れると踏んだ萱場の嫌がらせだったというわけ

でも長年の夢の実現までもう一歩で手が届くのですから、十三郎たちがこのまま引き下がるわけもなく・・・身代潰してまで浅野屋が用立てたお金と、煮売り屋のとき(竹内結子)が宿場の人々に長年貸していたつけの回収金なども合わせとうとう千両を用立てることができたのです

契約成立となり、萱場の前に出た十三郎が、「人は人を苦しめてはならない」という父の教え(中国の儒教思想ですね)のことを話す場面では、萱場が怒りだすかとハラハラしましたが、後に藩主直々に宿場を訪ねてきたのは、彼が藩主に事の次第を話したからではないかと推測できます。ま、元々藩の財政が苦しくなったのは藩主の見栄が原因(位を買おうとして賄賂が必要だった)なんだから、この件で藩主に反省を促したかったのかもしれないなぁと深読みもできますがいけずな萱場も案外良い奴だったのかも

これが実話というのがまた凄いね

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さだまさしコンサートツアー 月の歌

2016年05月17日 | ライブ・コンサート他
2016年5月17日 17:30開場 18:00開演 終演20:40
川口リリア メインホール

5分押しで始まったコンサートは終了が20:40とやや短め
今回のツアーの舞台セットは和のイメージがあり、綺麗で気に入りました

・交響曲
・殺風景
・童話作家

今夜は通好みのラインアップと言うだけあって、なかなか懐かしい嬉しい曲から始まりました
デビュー時の話も。

・案山子
・天までとどけ

今年は近しい人が立て続けに逝かれたとのことで、高校時代の恩師(5月に脳梗塞に倒れ肺炎で亡くなったそうです。)にまつわる話が続きます。
学校とは勉強する方法を学ぶ場所であるという教えや大雪の日の登校話など。

・片恋
・小夜曲

・誰も知らない二番目の歌(フジテレビ「みんなのニュース」内の「ニュースのうた」コーナーで流れているそうです)
・シラミ騒動

組曲シラミ騒動第二楽章まで披露久々に聴きましたがやっぱり凄い才能ですよ、これ!!

熊本地震について。風に立つライオン募金の使途説明もありました。
お母様が4/7に亡くなった際には妹の玲子さんだけが間に合ったことに触れ、親の愛の平等さを感じたとも。(お父様の時は妹だけが間に合わなかったそうです。)
自分が国語を好きになったのは中学の先生・宮地伸一氏の影響だそうで、この方はアララギ派の歌人として何冊かの歌集も出されていて、その中にさだ母子のことを詠まれた歌が5首あるのだそう。
そしてお母様お好きだった曲が続きます。

・桜の樹の下で
・おそらくあなたに聴こえない小夜曲
・舞姫

2月にはバックメンバーだったギタリストの松原正樹さんが亡くなっています。

・あと1マイル
・戦友会
・Bye Bye Guitar(ドゥカティにボルサリーノ)

アンコール曲は 遥かなるクリスマス でした。

人生も後半戦になっていくこの頃、懐かしい歌を聴きながら一日一日を大切に生きようと改めて思った夜です。

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マクベス

2016年05月13日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年5月13日公開 イギリス 113分

中世スコットランド。仁徳が高く慈悲深いダンカン王(デヴィッド・シューリス)に仕える将軍マクベス(マイケル・ファスベンダー)は、反乱軍との激しい戦闘の末、勝利を収める。その帰路、謎めいた魔女が現れ“マクベスは領主になり、そして王になるだろう”という不可解な予言を囁き、ともに行動していた将軍バンクォー(パディ・コンシダイン)には“子孫が未来の王になる”と言い残して忽然と霧の中に消えていった。そこへ王の使者が現れ、コーダーの領主が死亡しマクベスが領主となるよう勅命が下る。そんな中、マクベス夫人(マリオン・コティヤール)は、愛する夫を王位に就かせるために一計を案じる。マクベスの領地にやってくるダンカン王を暗殺しようというのだ。その恐ろしい計画を聞かされたマクベスは妻の邪悪な囁きに激しく動揺する。まもなく王が到着し、盛大な祝宴が催された。勝利の美酒に酔いしれた王は、諸侯が居並ぶその場で長男のマルコム王子(ジャック・レイナー)に王位を継がせると宣言。善良で人望の厚いダンカン王を殺害することの罪悪感に苛まれる一方、妻から執拗に暗殺計画の実行をけしかけられたマクベスは真夜中、戦場で死亡した少年兵の亡霊に導かれるように王が眠るテントへと忍び込み、敬愛する王の胸に何度も短剣を突き刺すのだった。翌朝、ファイフの領主マクダフ(ショーン・ハリス)がダンカン王の血まみれ死体を発見。何食わぬ顔で現場に足を踏み入れたマクベスは、王殺害の濡れ衣を着せるために酔いつぶれていた王の従者ふたりを抹殺する。こうしてマクベスはイングランドへ逃亡したマルコム王子と従者たちに罪をなすりつけ、新たなスコットランド王に指名された。さらにマクベスは、バンクォーの子孫が王になるという魔女の予言を阻止するため、刺客を放つ。だが刺客はバンクォーの命は奪ったものの息子フリーアンスを取り逃がし、その夜の晩餐会の席上でバンクォーの不気味な幻影を目の当たりにしたマクベスは錯乱状態に陥ってしまう。耐えがたい不安に駆られたマクベスは城を抜け出し、魔女に新たな予言を請う。“マクダフに用心せよ”という言葉に従い、マクベスはマクダフの妻子を捕らえて火あぶりにする。その常軌を逸した振る舞いは、マクベス夫人の目にも狂気の沙汰に映った。やがて絶望した夫人はみるみるうちに衰弱して息絶え、マクベスは妻の冷たい亡骸を抱きすくめる。そのとき城の外には復讐の鬼と化したマクダフとイングランドの軍勢1万人が押し寄せ、荒野は地獄の如く真っ赤に燃え上がっていた……。(Movie Walkerより)


「ハムレット」「オセロー」「リア王」と並ぶ、シェイクスピアの4大悲劇のひとつ「マクベス」の映画化です。
実は原作の方は子供向けのを読んだことがある程度なので、映画と原作の違いについてはわからないのですが、舞台を観ているかのような、戯曲を忠実になぞらえて映像化して魅せてくれていると感じる作品でした。
映画の中では戯曲の有名なセリフも忠実に再現されているようです。
その独特な言い回しに大仰さを感じないかと言えばウソになるけれど、たまにはこんな古典作品を味わってみるのもいいかも

それにしても罪深いのは、元は善なる心を持っていたマクベスに毒の欲望を吹き込んだ3人(途中から4人)の魔女たち。彼女たちの予言に耳を傾けなければ、破滅もなかったのにねぇ身の程を知っていた筈の小心者の夫を焚きつけて主君殺しの大罪を犯させた妻ももちろん悪い。悪いんだけど、彼女の場合は夫を愛すればこそという側面もあり、壊れていく夫を前に苦しみやつれていく姿を見ると哀れみすら覚えてしまうのよね

ダンカン王を演じている俳優さん、どうも見覚えがあると思ったら・・ルーピン先生(「ハリー・ポッター」)だった あの人の善さそうな笑顔を見ると癒されるわぁ

古典ではあるけれど、人間の弱さや欲深さを描いている点では普遍な物語です。
魔女の予言や妻の言葉に惑わされたのは確かですが、それを実行したのはマクベス自身の欲であり、取り返しのつかない罪に怯え、精神を病んでいくのもまた彼の弱さゆえ。でも目の前に思わぬ幸運(と呼べるならですが)をぶら下げられて気持ちが動かないとしたらそれはよほど鈍感な者か高潔な人間かでしょ?

地位や権力を手にすると、それを手放すまいとし、またそれ以上を望んでしまうのも人の欲。自分への予言が当たったのならバンクォーへのそれも当たる筈と、彼の息子を亡き者にしようとするあたりから、行動は更に常軌を逸していきます。マクダフの妻子を焼き殺す(まさに悪魔に魅入られたかのような所業)に至って、マクベス夫人も夫の心がもう元には戻らないと悟り、自分が夫に吹き込んだ毒に彼女自身が冒されていきます。
(誰よりも夫のことをよく理解している筈の夫人なのに、夫の弱さ(善良さ)に気付かずに企みに引きずり込んだこと自体が過ちなんですがね。

「裸の王様」然としたマクベスですが、さすが将軍だっただけあって、最後の戦いぶりは鬼気迫るものがあります。ですが、魔女の予言の「女の腹から生まれた男」ではない(腹を裂いて生まれてきた)マクダフにより遂に倒されるのです。「バーナムの森が攻めて来ない限り」の予言の方も、森に火を放つという手法で見事に現していましたね。魔女たちがマクベスはもういいわとばかり背を向けて去っていく描写も、人ならぬ者に踊らされたマクベスの末路を象徴するかのようでした。

うん、身の丈にあった人生を送ろう

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やさしい本泥棒

2016年05月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年製作 アメリカ=ドイツ 日本未公開 130分

第二次世界大戦前夜の1938年、リーゼル(ソフィー・ネリッセ)は弟に先立たれ、ミュンヘン近郊で暮らす夫婦ハンス(ジェフリー・ラッシュ)とローザ(エミリー・ワトソン)のもとへ里子に出されて母と別々に暮らすことになる。里親のハンスはリーゼルが「墓掘り人の手引き」という奇妙な本を肌身離さず持っていることから、彼女が字を読めないことに気が付き、本を読み聞かせるようになる。そして、リーゼルは読み書きを学び、たくさんの本を通じて知識だけでなく、勇気と希望を与えられるのだった。
しかし、折りしもドイツはナチスによって自由を奪われ、本を読むことすら禁じられる。ある日リーゼルは、反ユダヤ主義の暴動が激化する広場で焼かれた大量の本の中から、焼け残った1冊の本をこっそりと持ち帰るのだが・・・。(公式HPより)


マークース・ズーサックの「本泥棒」が原作です。
戦争により家族を亡くし里子に出された一人の少女が、一冊の本をきっかけに里親たちに心を開き、本を通じて人々に希望を与えるという内容。
物語の語り手は何と死神(ロジャー・アラム)が務めるという一風変わった趣向です。彼がリーゼルに関心を寄せたのはその知的好奇心と表現力の豊かさを愛したから?

ハンスは「赤毛のアン」に出てくるマシューのような人物。普段は妻に頭が上がらないけれど、胸のうちには熱い正義を秘めている人物です。
リーゼルの母は共産党員で軍部から追われる中、子供たちを養子に出すことで守ろうとします。でもその途中弟は病死し、リーゼル一人がハンス夫妻の家に引き取られたのです。里親になると貰える給付金目当てのローザはがっかりして(一人分しか貰えないから)初めはリーゼルにすげなく当たります。
いかにも厳格なドイツ夫人のように見えるローザですが、決して悪い人ではなく、リーゼルが打ち解けていくにしたがって優しい母親の面をのぞかせていきます。昔ハンスが恩を受けたユダヤ人の友人の息子のマックスを匿った時も、不満は胸に秘めて献身的に面倒を看るの

焚書された本をこっそり持ち帰るリーゼルの姿を町長夫人が見ていました。
後日、お使いで町長宅を訪れたリーゼルを夫人は書斎に招き入れ自由に本を読ませてくれます。
夫人にとって、本は戦死した息子を偲ぶ縁であり、本好きのリーゼルにシンパシーを感じたのでしょう。
しかし、町長はそんな夫人を危険なことはするなと叱ります。

地下に隠れて自由のないマックスのためにクリスマスを祝おうとしたことで、逆に彼を肺炎にしてしまったリーゼル火の気のない寒い地下室で雪合戦ってそりゃあねぇ・・・・
病床のマックスのために、リーゼルは町長宅に忍び込んで本を借りては読み聞かせます。(これが題名の由来のエピソードなのね

やがて、親友のルディの父親やハンスまでが徴兵に。ルディの父は戦死し、ハンスは負傷して戻ってきます。一番の山場はナレーション役の死神がその真価を発揮した空襲の夜。瓦礫の中、独り生き残ったリーゼルを町長夫人が見つけ・・・そして戦争が終わってマックスとの再会が描かれてエンドロールです
死神が愛した少女は天寿を全うしたのね

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ヒーローマニア生活

2016年05月09日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年5月7日公開 109分

会社をクビになりコンビニでアルバイトをしている冴えないフリーター、中津(東出昌大)は、驚異の身体能力を持つニートの土志田(窪田正孝)や情報収集力に優れた女子高生のカオリ(小松菜奈)、夜な夜な「若者殴り魔」に豹変する定年間近のサラリーマン・日下(片岡鶴太郎)らと出会い、小さな社会悪を退治する自警団を結成する。社会が裁ききれない小さな悪事をはたらくものを高いところから吊り下げ晒す彼らの行為は市民からも支持されるようになる。彼らは日下がスカウトしたホームレスの宇野(船越英一郎)を社長として低料金で警備をする『ともしび総合警備保障』を設立するが、やがてその力を私欲のために使おうとする者が現れ、組織の秩序が崩れ始める……。


漫画家・福満しげゆきの「生活【完全版】」の実写映画化作品です。
コメディは好きなジャンルだし、窪田君が出演しているから観ました
GW明けですが、サービスデーなので意外にシネコンは混雑していたのですが、この作品に関しては観客10名足らず・・・あれは「ロクヨン」の客だったのか? 内容的に万人受けは難しいので仕方ないかなとは思いますが、ファンとしてはやはりヒットを願いたいですそして感想も土志田メインで

冒頭からアクションシーンで「あれ?これって予告や番宣で登場する場面よね」でしたが、現在→過去→現在のループ手法で二度観られるのはちょっとオイシかったです
コンビニで長時間(エロ)雑誌の立ち読みをしていた土志田を注意した中津に「何故僕だけ(注意するの)?」と控えめに抗議する口調が可愛いです
カップ麺のお湯が切れたことに難癖をつけてきた客が投げつけた麺をかぶってしまった土志田は何も言わずに店を出て行きますが、その客が店の外に出た瞬間、引っ掴んでボコるのそれを目撃した中津はヒーローの理想を土志田に見出し後を追うのですが、土志田は何と下着泥棒の真最中

彼がその部屋を狙ったのはカオリの家と知っていたのか、偶然だったのかの説明はないのですが、わざわざ上階のベランダの下着を盗むのだから当然持ち主を知っていたと考えるべきね。後日それがカオリの母親のものと知り畳を叩いて悔しがる姿も笑えますが、中津に「共に戦おう、ヒーローになろう」と誘われた土手で、そのパンツの匂いを嗅いだり几帳面に畳んだりするのが(窪田君のアドリブだそうですが)いかにも土志田らしくて
他にも隙あらば女の子の下着を覗こうとしたりと変態の役作りも完璧

人と交わるのが不得手な土志田にとって、自分を認めてくれた中津はある意味尊敬する人であり、好意を寄せていたカオリやオジサンも加わって仲間ができたことを一番嬉しく思っている人なんだろうなと思わせてくれました。
普段はどもり気味に話し、隅で小さく蹲っているのだけど、仲間のピンチにはその驚異的な身体能力を使ったアクションでまさに「ヒーロー」的活躍をする土志田役は窪田君にとても似合ってました。

自分たちの鬱憤晴らしの意味合いが大きかった「吊るし魔」から会社組織となったことで水を得た魚のように生き生きとしてきた土志田。引っ込み思案が影を潜め、自信が警備員の訓練シーンでの堂々とした振る舞い、声の大きさなどに現れていました。上からの命令を正しいことと信じて疑うことなく実行してしまう土志田に比べ、中津は良い意味で普通の感覚の持ち主です。エスカレートする会社の方向性に疑問を持ち、宇野にそれをぶつけて逆に過去を晒されクビになってしまい、思わず土志田にも暴言を吐いてしまいます。

中津は尊敬できる仲間だったのに、「道具」と言われて傷ついた土志田ですが、日下が殺され、会社の裏側を知って再び中津と共に戦います。

宇野は後半では敵役となり、中津たちを苦しめますが、実は日下を殺したレインコートの殺人鬼は意外なアノヒトだったというどんでん返しが
そのシーンで「ST」の黒崎さんの屋根からの登場シーンが頭に浮かんじゃいましたが、もちろんあんなカッコイイ感じじゃなくって・・・重そう~~
それにしても、助けてくれた日下を何故殺したの?意味なんかないから逆に怖いってこと?

その殺人鬼にとどめを刺すのがカオリのヨーヨー。これは土志田が護身用に彼女に渡したものという設定。その時「工業高校だったからその時に作った」というセリフがあって、これもアドリブなのかな?窪田君自身が工業高校出身だし
(番宣のメイキング映像で菜奈ちゃんに使い方を教える窪田君がチラっと映ってましたが、DVD特典に入るなら見てみたいぞ

もっと軽いおバカな笑い満載かと思っていたのですが、意外と硬派な内容で、日下さん死んじゃうし、会社は潰れるし、けっこう重くもあります。
でも、中津は少しだけ勇気を手に入れたし、土志田との相棒関係も前より強くなったし、一応ハッピーエンドなのかな。

日下の娘が父の跡を継いだかのようなラストのアクションは・・・土志田より派手かも~

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めぐり逢わせのお弁当

2016年05月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年8月9日公開 インド・フランス・ドイツ 105分 

インド・ムンバイでは、お昼どきともなると、ダッバーワーラー(弁当配達人)がオフィス街で慌ただしくお弁当を配って歩く。その中のひとつ、主婦イラ(ニムラト・カウル)が夫の愛情を取り戻すために腕を振るった4段重ねのお弁当が、なぜか、早期退職を控えた男やもめのサージャン(イルファーン・カーン)の元に届けられた。神様の悪戯か、天の啓示か。偶然の誤配送がめぐり逢わせた女と男。イラは空っぽのお弁当箱に歓び、サージャンは手料理の味に驚きを覚える。だが夫の反応はいつもと同じ。不審に思ったイラは、翌日のお弁当に手紙を忍ばせる・・・。(公式HPより)


家庭の台所から"できたての"お弁当を集荷してオフィスに届けるというインドで広く利用されている実在の弁当配達システムを題材に、誤配送の弁当がもたらした男女の偶然の出会いと心の触れ合いを描いたドラマです。ちなみに誤配送の確率はわずか600万分の1なんだとか。お弁当が取り持つ縁に加え、二人のやりとりは電子メールじゃなくて手紙というのが、今は逆に新鮮に映ります。

イラと夫の間には隙間風が吹いている様子。その溝をお弁当で埋めようと愛情込めた力作が顔も知らない相手サージャンに届いてしまいます。業者に弁当を注文した彼は、イラの作った弁当を業者のだと思い込んで食べてその美味しさに感動し綺麗に平らげます。返ってきたお弁当箱が空っぽなのに喜んだイラですが、当の夫は相変わらず彼女に無関心。(そりゃ、愛情たっぷり弁当を食べていないんだから仕方ない)感想を聞いても入れていないブロッコリーの話が出てきてどうもこれは誤配されているのではと疑ったイラはお弁当に手紙を忍ばせます。
えっと・・・普通ならまず業者にクレームよね代わりに綺麗に食べてくれた相手へ手紙を書くというところに、夫への不満の発露を感じます。
(夫はそこそこ余裕のある暮らしを妻子にさせているようで、仕事を言い訳に家庭から逃げているようにも見えます。イラの父親は長患いをしていて、実家はお金にゆとりがないようです。実家の両親のためにも夫の経済力は捨てがたく、小さな不満はこれまでは押し込めてきたのかしらん?)

さて、サージャンは早期退職を決めた壮年のやもめ男です。彼の代わりに雇われた新人のシャイク(ナワーズッディーン・シッディーキー)が仕事の引き継ぎをと頼んできても、適当にあしらっていましたが、シャイクは持前の人懐こさと積極性でぐいぐい押してきますこれがけっこういい加減なのに何故か憎めないキャラなんです
イラのお弁当がこの二人の関係にも不思議な親和性を発揮してきます

交わされる手紙の内容は次第に打ち解けてきて、イラはサージャンに夫への不満を愚痴ります。サージャンの方も妻との幸せだった家庭生活に想いを馳せる一方で味気ない日常に彩りを覚えます。シャイクの結婚式にも招待され、家族のような付き合いになっていきます。

ところがある日、夫の脱いだシャツの匂いを嗅いで浮気の痕跡を見つけた彼女は、サージャンに「明日会いたい」と書いた手紙を入れます。サージャンもその気になるのですが、自分の老いを自覚する出来事があり、若いイラに気後れして、店には行くけれど彼女の前に姿を見せることができませんでした。

この件をきっかけに、サージャンは予定通り早期退職をしてしまい、イラも誤配を業者に告げ、二人の関係は終わったかに見えましたが、イラの方が行動を起こしちゃうのね

"人はたとえ間違った電車に乗ったとしても、正しい場所へと導かれる"———、そして昨日とは確かに違う自分を信じて、明日への一歩を踏み出せるはずだ。
これは公式サイトの解説の言葉ですが、ラストに関しては観客の判断に委ねる内容になっています。これは白黒はっきりさせることの多いインド映画には珍しい結末です。

イラがサージャンの元へ向かったように私には見えたのですが、個人的にはその結末は受け入れ難いなぁ
イラの夫は浮気しているかもしれないけれど、彼女は夫に問い質したわけではないし、何よりまだ小さい子供がいるのです。一度も会ったことのない男の元に走るのは冒険過ぎる気がします。インド女性も欧米の女性並に自尊心と自立に富んできたと言うなら別ですが・・・
例え会いにきてもサージャンの方が諭して家に帰すんじゃないかしらん

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SUMMER NUDE  (桐畑光について)

2016年05月05日 | ドラマ
2013年7月期放送のフジ・月9の夏ドラマ

忘れられない恋人を胸に秘めた若者たちの夏の恋を描いたTVドラマだそうです。
たしか、本放送時、初回かその次あたりで視聴を止めちゃった記憶が・・・たぶん、うじうじと消えた恋人の影を引きずる主人公に共感できずにギブしちゃったんだろうな

窪田君が演じたのは桐畑 光役で、カフェ&バー「港区」海の家「青山」の常連客で魚屋の息子。普段はレンタルビデオ店でアルバイトしている。感情を表に出さない文学青年。(ウィキより)
あの独特のヘアスタイルで敬遠していたのですが、思い切って見てみたら・・朝市の原点がここに とはいえ、こちらではちゃんと想いが成就していて良かったね

以下、光登場シーンについての感想です。本編ストーリーは思いっきり割愛してます

第1話 走り出す恋! 夏の大三角関係ラブストーリー始まる
一昔前の文学青年風の容貌で登場。正直ビジュアル的にはいけてない
看板の前で波奈江を見つめる目の切なさ、「もう諦めれば」の一言に彼女が好き感がめっちゃ伝わってきます

第2話 海の日15分拡大SP・片想いの連鎖…どしゃ降り雨とうれし涙
魚屋の息子でレンタルビデオ屋でバイトしてる設定登場
朝日が延滞料金払って3年間借りっぱなしの「48時間2」は、消えた恋人と一緒に見ると約束していたからって・・・いつの時代の純愛だ?
そんな朝日を想い続ける波奈江を想い続ける光が、「もういい加減返却するか買い取るかはっきりしてよ」と言いたくなる気持ちわかるよ
看板前での波奈江との会話シーンは毎回出てくるのかな?「俺が代わりに~」勇気出して言ったのにあっさりかわされ・・・ガンバレ~は君だよ、光。

第3話 明かされた秘密! それでも君を愛してる
出ました!看板前での会話。
「俺の中ではずっとお前が勝っている」そでも気付かない波奈江ちゃん切ないねぇ

第4話 好きになってるじゃん、私
朝日に写真を撮ってもらっている波奈江を切なげに見つめる光君は「いつまでもじっとしていると思ったら大間違いですよ」と、告白の決意を固めたようです。
「ビーチメガネ探し」の思い出話は光と仲間たちの立ち位置をさり気なく表現。昔からいじられっ子だったのね
写真館にやってきた客の手術を控えた男の子のために海岸で夏の思い出作りをする仲間たち。水鉄砲ではしゃぐ光君ってば上半身裸。メガネ外したらあおいちゃんじゃなくても「きゃ~」な美形顔
バイトを止めた理由を波奈江が来なくなったから、とやっと好きと告白できたのに「ごめんなさい」されて凹む光ですが、だからといって手近にいるあおいを抱き寄せるってのは急展開過ぎじゃないですか~

第5話 友情と恋…あなたはどちらを選びますか?
履歴書用写真を朝日に撮ってもらう光。「波奈江のことちゃんとしてくれるんですか!」と念押し。
ちょっとだけ笑顔になったその顔がまたです。
「今年の花火の日はやけ酒に付きあえない」と波奈江をさり気なく応援。あんた本当に良い奴だねぇ。
花火大会当日、浴衣姿の光君も

第6話 さよなら大好きな人…運命の再会と十年愛の結末
突然現れた香澄が皆の運命を掻き乱します。
独りでいる波奈江を見かけ心配そうに見る光とそんな彼を見つめるあおい。彼女は元々自分は代用品と気付いてるんだよね
夏希の送別会の日。面接で上京した光は神宮球場の画像を野球好きな波奈江に送ります。自分は朝日と結ばれる運命じゃなかったと気付いた波奈江は光と表参道で就職祝いと称してやけ酒に付き合わせます。(表参道から海辺の町までけっこう遠い設定の筈なんだけど、電車あったのかしらんとは余計なお世話ね)
採用されたとあおいに報告する光(メガネを取る仕草が)ですが、彼女が東京に来るのは迷惑そう。

第7話 離れている方が心の距離は近くなる?
皆が新しい一歩を踏み出す回で、特に光に焦点が当てられているので出番も多めです。
朝日を振った波奈江に心が揺れる光。
送別会をすげなく断ったのは町を離れるのが辛く、覚悟が要るからだったのね。そんな光にマスターのアドバイスが浸みます。
朝日の家での激辛鍋の後、海岸でのスイカ割り。目隠ししてる光を誘導して座らせたのは皆の贈り物のディレクターチェア。夢に向かってガンバレと励ます仲間に思わず感涙する姿がめっちゃ可愛いです
部屋が狭いから持って行かないと憎まれ口を言いながら、バス停にはチェアを抱えた光の姿がありました波奈江の「あいつかっこよくなったね」の言葉がこそばゆい
でも・・・あおいにっきり別れを告げ、波奈江に「ありがとう、行ってきます」の電話。う~~ん、二人に対する温度差は光の人柄を考えると違和感ありまくりなんですが・・・。

第8話 好きになってるじゃん、俺
東京でADとして働き始めた光ですが、失敗して怒鳴られてばかりです。
でも、面接に落ち続けて落ち込んでいる波奈江に励ましのメールを送ったり、波奈江も光を真似た姿の写メ(光と同じようなメガネやシャツでいつもの席に座って勉強している・・・雰囲気が激似で)でエールを送るなど、二人の間に流れる空気がこれまでと同じようでいて少し違ってきた感が
朝日と夏希のメールや電話のやりとりも、しっかり恋人同士のソレだよね

第9話 10分でも会いたい
メールの返信が波奈江には返ってくるけどあおいには10回に一回って・・・そりゃ、別れたんだから仕方ないけど、ちょっと露骨過ぎやしませんか~光君
ADとしての仕事ぶりがキスの前後でまるで違うのがちょっと笑えます。気持ち入れ過ぎだよ~~
そして、やはり目玉の最終電車のキスシーン
10秒だけくれる?って・・・
タイトルにもなってる通り、光と波奈江がこの回の主役だぁね

第10話 抱きしめられて
上京した孝至君ってば皆の職場を「兄です」と訪問して様子を確認。ほんと良い子だ~。
光の仕事先にも現れ、「波奈江に謝っておいてください」とメッセンジャー役をさせられちゃう
介護資格に合格した波奈江は光に報告に行き・・・ここから夏希の店で朝日と同席し「波奈江は僕が幸せにします!」宣言のあと「それでいいですよね」。確認求めちゃうとこがまた光らしくて
雨が降りだす中のキスシーンは波奈江主導で二人の関係は両想いになっても昔と変わらないのねぇ

最終話 裸になれた夏…ずっとそばにいるから
あれから一年経ちました・・・ドラマは便利
光の仕事ぶりも随分成長が見られる・・・かとおもいきや、まだまだ努力が必要なようで
結婚式の前日も翌日も仕事って・・・職場の人を誰も呼ばないって・・突込みどころは多々あれど、海辺の結婚式は素敵だし、ケーキ入刀もビデオで感謝を伝えるのも光たちらしかったし
密かなツボは仕事のため帰って行く時の光君の笑顔あの場にいた誰かが「可愛い~」って呟いてたけど、素の感想(アドリブ)っぽくて

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宿命の宝冠  グイン・サーガ外伝25 

2016年05月02日 | 
宵野ゆめ(著)天狼プロダクション(監修)

沿海州の花とも白鳥とも謳われる女王国レンティア。かの国をめざす船上には、とある密命を帯びたパロ王立学問所のタム・エンゾ、しかし彼は港に着くなり犯罪に巻き込まれてしまう。一方、かつてレンティアを出奔したが、世捨人ルカの魔道によって女王ヨオ・イロナの死を知った王女アウロラがひそかに帰還していた。そして幾多の人間の思惑を秘めて動き出した相続をめぐる陰謀は、悲惨な運命に導かれ骨肉相食む争いへと。


正伝の134巻【売国妃シルヴィア】に登場するアウロラの過去のお話です。
彼女の本当の父は既に正伝で明らかになっていますが、本作では最後に明かされます。アウロラの実父アウルス・アンテーヌ候はケイロニア使節団としてレンティアを訪れた際に女王と一夜を共にしたというわけです。アウロラと父親との対面は次の外伝を待たなければならないようです。

ナイジェルの内弟子の少女マナは話の途中で姿を消しているのでこれも次に続く、の扱いかしら。
ナイジェルのキャラ、けっこう好きだったのにあんな最期は可哀相というか中途半端というか・・。

母である女王の死期を世捨て人ルカに教えられ、自分の運命から逃げないと決意したアウロラがレンティアに戻ってくるところから始まる物語は、船で出会ったパロからの留学生タム・エンゾが夜盗に路銀と崇拝するナリスからの手紙(正確にはナリスがタムの留学を認めさせるために彼の母親に送った手紙)を奪われたことが縁でアウロラと関わりを持ち、王家の陰謀に巻き込まれていきます。

アウロラの出奔の理由については王家の禁忌を破り画家のナイジェルを騙して刺青を入れたことにあるようですが、何故そうしなければならなかったかの根本的な理由にはなっていない気がするなぁ。
女王には最初の夫であるパロの王族の血を引くクリティアスとの間に生まれた第一王子イーゴ・ネアン王太子(絵に描いたようなぼんくら。生死については不明なので次回以降の登場ありそう)、次の夫で摂政との間に生まれたイロン・バウム第二王子とアウロラ(ということになっている)、クムの血を引く愛人との間に生まれた白子の末姫ティアラという4人の子共がいます。

お話は女王亡き後の王位簒奪を巡る陰謀と、それに立ち向かうアウロラという構図。
時代的にはリンダとナリスが婚約中で、グインがまだ将軍職に就いています。
正伝でアウロラと行動を共にしているユト(小姓だったのね)とタニス医師も登場します。

父親の身分が低いことにコンプレックスを持っていた第二王子を利用して、取り替え子(タニス医師の母のフレイール医師と女官セシリアが産褥の女王の命を救うために謀った)である自分を守るために仕組んだティアラ(実は男)の陰謀は失敗に終わりますが、アウロラの腕の怪我の理由はそうきたか!な展開でした。

体が弱く身を潜めて生きざるを得なかった実は男性のティアラがアウロラに抱いたのは、光の中を歩く者への羨望であり、支配欲だったということかしらん?王家のしきたりが書かれた本を読み解く力を持ちながら、自分を過信したティアラが辿った末路は哀れでもあり、当然とも言えるかな。

アウロラについてはまだ数冊分のネタがありそうですね

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