杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

怪物の木こり

2024年04月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年12月1日公開 118分 PG12

「怪物の木こり」という絵本に出てくる怪物の仮面を被った犯人が斧で相手の頭を割り、脳を奪い去るという連続猟奇殺人事件が発生。犯人は次のターゲットに弁護士の二宮彰(亀梨和也)を定めた。しかし二宮の本性は、犯人をも上回るほどの冷血非情なサイコパスだった。犯人はなぜ脳を奪い、なぜ二宮を標的にしたのか。事件の捜査が進められるなかで、警視庁の天才プロファイラー・戸城(菜々緒)、二宮の婚約者の映美(吉岡里帆)、二宮の協力者で自身もまたサイコパスの外科医・杉谷(染谷将太)、そして過去の殺人事件の容疑者・剣持(中村獅童)ら、さまざまな人物の思惑が複雑に絡み合い、事態は次第に混迷していく。(映画.comより)


2019年第17回『このミステリーがすごい!』大賞受賞の『怪物の木こり』(倉井眉介/宝島社文庫を三池崇史監督のメガホンで実写映画化したサイコスリラーです

二宮は、マンション地下駐車場で 怪物のマスクを被った男に襲われ、頭部を手斧でかち割られそうになりながらも九死に一生を得ます。男を探し出し必ず殺してやると決意する二宮自身がサイコパスなんですね。
一方、殺害し脳を持ち去る「脳泥棒」の猟奇事件が連続して起こり、捜査一課とプロファイラーの戸城嵐子たちが捜査する中で、26年前に起きた「 東間事件」が関係していることが浮かび上がります。戸城と組む乾刑事(渋川清彦)は暴力行為で更迭された粘着妄執型のサイコパスとして描かれています。

26年前に静岡県で起きた児童連続誘拐殺人事件で、脳神経医だった東間 翠が誘拐した子どもたちに脳チップを埋め込む人体実験を行い、屋敷からは手術に耐えられなかった幼児15人の遺体が見つかり、翠は自殺していました。その目的は、サイコパスの子どもを生み出して児童養護施設に送り込み、観察することでした。東間夫妻の息子がサイコパスだったのが動機のようですが、どう繋がるのか理解できませんでした😆 

頭部を怪我した二宮は、手当をした医師から頭に脳チップが埋められていることを指摘されます。この時点で彼はその事実を知りませんでした。
それまでは殺人に罪悪感を持たず他人に共感することも出来なかった彼に変化が生じます。虐待されていた子どもを見て動揺したり、利害関係だけの婚約者に対して温かな感情が芽生え始めたり・・・サイコパス仲間のる脳神経外科医・杉谷九朗は、彼の脳のCT画像を見て脳チップが怪我により損傷したことが原因と指摘します。二宮は
東間の被害者だったのです。チップが機能しなくなったことで彼は共感能力を取り戻しつつありました。

一方、被害者全員が児童養護施設出身で性格や行動に問題があったこと、被害者の一人に脳チップが埋め込まれていた事実を突き止めた警察は、脳泥棒の狙いが脳チップで、被害者たちは「東間事件」で誘拐された子供たちだと考えます。

「脳泥棒」と「東間事件」が繋がっていると気付いた二宮に、拉致された映美の画像が貼付されたメールが送られてきます。
杉谷に助けを求めようとした二宮ですが、あることに気付いて『怪物の木こり』の絵本を取り出します。その中の一節に目を留めた彼は「脳泥棒」の正体に気づくのです。

ここからネタバレ



脳泥棒の正体は、東間事件で最初に誘拐された剣持武士でした。映画の冒頭で警察が踏み込んだ際、翠の前で『怪物の木こり』の絵本を読んでいた少年が彼なのね。剣持は妻を保険金目当てで殺害した元容疑者で、その事件を担当していたのが乾刑事です。乾は剱持の容疑が晴れた後もずっと監視していて、妻の父親に暴力を振るう現場を目撃した乾に殴られた拍子に脳チップが破損していたのです。倫理観が戻った剣持は、自分に尽くしてくれた妻さえも殺したことに罪悪感を抱くようになります。自分の存在を憎んだ彼の復讐の矛先は、同じ境遇にある他の東間事件の被害者に向けられたのでした。

東間の屋敷に呼び出された二宮は剣持と対決します。剣持が罪のない映美を殺さないと確信した二宮は逆に彼女を人質に取るのです。この時、映美は二宮が父親を殺害したことを知りショックを受けます。
格闘の末、剣持を倒した二宮は彼に「人間に戻って良かったと思うのか」と尋ねます。剣持は、 幸せの意味を知ったが同時に絶望を感じたと答えます。
事件当時、武士は同じように攫われていた彰を助けようとしていました。彼の最期の言葉も「あの時助けられなくてごめん」でした。

戸城が現場に駆け付けた時には二宮と映美の姿はなく、剣持は燃え盛る炎に包まれていました。
その翌日、二宮と面会した戸城は必ず罪を暴くと告げます。

脳チップの修復手術を予定していた二宮でしたが、剣持の言葉に気持ちに変化が生じます。例え罪悪感に苛まれたとしても幸せを恐れないと決意した彼は怪物に戻らない=手術はしないと杉谷に告げます。

杉谷は脳チップを埋め込まれていませんが、彼こそ真のサイコパスです。
彼の善悪の基準は楽しいか楽しくないかで、そのための殺人も平気です。二宮とは同じサイコパスの仲間として関心を持っていましたが、普通(の人間)に戻る彼には興味がないようです。二宮との会話(電話)の後、彼はまた猫を捕まえて・・・眼力の強い二宮や人相の悪い剣持より、一見温厚そうに見える杉谷が一番怖いかも😱 

映美を救い出し、人間に戻ろうとしていた二宮でしたが、真実を知った彼女は「絶対許さない」と二宮を刺します。二宮は映美の首を絞めて「正当防衛」の証拠を作ってから彼女に警察に行くよう命じると静かに息を引き取ります。

サイコパスだった二宮が人間性に目覚めた後に起こる悲劇はしかし、彼にとって救いになったのかもしれないな~~と感じました。

三池崇史らしいバイオレンス描写ですが、血が噴き出るシーンはどこか劇画的で現実感がなく怖さもあまり感じずに鑑賞できました。😁

『怪物の木こり』は童話で、木こりの姿をした怪物が人を襲って食べる話です。これって童話と言えるのか??😓 
村人を襲って食べても誰も彼の仕業と気づかないのですが、ある日親友を殺してしまった木こりは誰も話す人がいなくなり途方に暮れます。そこで彼は新しい村に移っては赤ん坊を自分と同じ異形に作り変えて仲間を増やしていきました。これで寂しくない。めでたしめでたし???
挿絵もおどろおどろしくてこれ、現実に売ってたら怖いぞ😵 

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ロスト・フライト

2024年04月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年11月23日公開 アメリカ 107分 PG12

東京を経由しシンガポールからホノルルへ、新年早々悪天候が予想される中、会社の指示で難しいフライトに臨むトランス機長(ジェラルド・バトラー)は、ホノルルの地で離れて暮らす愛娘との久々の再開を待ち焦がれていた。しかし、離陸直前に移送中の身の犯罪者・ガスパール(マイク・コルター)の搭乗が告げられ、悪天候だけでなく予定外のフライトに暗雲が立ち込めていた。
かつては大手航空会社に在籍していた実力派パイロットのトランス。順調なフライトを迎えたかに思えたが、フィリピン沖上空で、突如激しい嵐と落雷に巻き込まれ機体の電気系統が機能を停止。通信も途絶えコントロールを失ったトレイルブレイザー119便に、トランスは意を決し着水の準備に入るも、寸前で目の前に広がった孤島へ奇跡的に不時着した。一命をとりとめたトランス機長を含む乗客17名だったが、そこは凶暴な反政府ゲリラが支配する世界最悪の無法地帯・ホロ島だった。
トランスは、通信機が途絶えた飛行機と乗客を残し、島からの脱出の手がかりを求め、犯罪者のガスパールと共に探索に向かう。危険な雰囲気が立ち込める廃倉庫で見つけた電話を配線し、なんとか娘を介して現在地を知らせることに成功するが、その隙に迫ったゲリラたちによって、乗客と乗務員が人質に取られてしまう最悪の展開に。
一方、消息不明となった119便の事態を重く見たトレイルブレイザー社は、外部から元軍人の危機管理担当者として腕利きのスカースデイル(トニー・ゴールドウィン)を招集。トランスの決死の報せを受けたスカースデイルは、対策室の反対を押し切り乗客の救出へ傭兵チームを派遣する。
刻々と危険が迫る囚われた乗客たちの身を危ぶみ、トランスは救助を待たず、元傭兵の過去を持つ犯罪者であるガスパールと手を組むことを決意。難攻不落のゲリラ拠点へたった二人で乗客の救出に向かう。生死を懸けた究極の脱出サバイバル、トランスとガスパール、そして乗客たちの行方は・・・。(公式HPより)


元MI6の経歴を持つスパイ小説家チャールズ・カミングの脚本をもとに、ジャン=フランソワ・リシェ監督による、ゲリラ組織が支配する島に不時着した飛行機の機長が、犯罪者と手を組みながら窮地を乗り越えていく姿を描いたサバイバルアクション作品です。

ジェリーが乗客を守る機長の責務を全うしようと奮闘するトランス役を演じています。
不安定な天候の中を進路を変えずに行けという無茶ぶりに早くもトラブルを予感させられ、離陸直前には殺人犯の護送という突発事態も発生。こりゃ~フライト中に殺人犯が暴れるのかと思いきや、飛行機が落雷の直撃で電源を消失して墜落寸前に。
機長の的確な判断と腕で何とか陸地に不時着したものの、そこは反政府ゲリラが支配する島だったという、一難去ってまた一難です。😖 

島の偵察を試みた機長は、殺人犯の男ガスパールの手錠を外して同行させます。ちなみに乱気流の中、シートベルトを外していた護送警官と彼を止めようとしたCAが投げ出されて死亡しています。

廃墟で電話を見つけて何とか会社に連絡することに成功しますが、悪戯電話と間違えられ切られてしまうのね。なんかありそうな話だな。次に娘と電話が繋がるのですが、そこにゲリラが現れ格闘になります。機長を助けたのは途中で姿を消していたガスパールです。彼は元軍人でめっちゃ腕が立つの😁 (過去に犯した殺人も社会が悪い、みたいな😓

ゲリラが乗客を人質に身代金を要求すると知って急いで飛行機に戻ろうとしますが、ゲリラの方が先に乗客たちを捕まえてしまいます。
残っていたゲリラを倒して乗客たちが連れて行かれた村を聞き出し、操縦席にメッセージを残して村に向かった二人。乗客たちを救出しバスに乗せますが、村にはゲリラがうようよ。機長はゲリラと交渉しようとしますが、殺されそうになったところを傭兵チームが駆けつけて何とか飛行機に戻ることができました。フィリピン政府による救出部隊が到着するのは24時間後で絶体絶命の中、機長は飛行機を飛ばす決断をします。(副操縦士のデレ(ヨソン・アン)が電気系統を直していました。)

追ってきたゲリラとの激しい銃撃戦の中、傭兵たちと乗客乗員は機内に乗り込みます。ガスパールは初めから一緒に行く気はなく、傭兵が持っていたお金(救出のための資金)と武器を頂戴してどさくさに紛れて消えます。
大人しく一緒に帰れば恩赦があるんじゃないかと思うんだけどな~~😥 

被弾しながらも操縦桿を握り、立ち塞がるゲリラのボスを車もろとも吹き飛ばして飛行機は空へ。
エンジンが片方しか使えないとか翼の一部が飛んじゃうとか、扉が開けっぱとかの状況の中、それでも安全な飛行場に奇跡的に着陸するんですね。😀 

机上の理論に拘り自分の責任回避しか考えない航空会社?の人間の指示を無視して救出部隊を派遣し、島からの脱出をサポートするスカースデイルも良かった😊

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あまろっく

2024年04月26日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年4月19日公開 119分 G

巨大な閘門“尼ロック”によって水害から守られている街・兵庫県尼崎市。
この街で生まれた近松優子(江口のりこ)は、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が口グセの能天気な父(笑福亭鶴瓶)と、いつも優しい母(中村ゆり)のもとで育った。町工場を営むもご近所さんと話し込んでばかりで働いている気配すらない父のようにはなりたくない、と優子は幼少期から勉強でも何でも全力で励み、大学卒業後は東京の大手企業で働いていた。しかしある日、理不尽なリストラで失業し、39歳・独身にして優子は再び尼崎に戻ってくる。
することもなくニートのような毎日を過ごし、幼なじみ(駿河太郎)が開いている駅前のおでん屋台でほろ酔いの日々。そんなある日、父が突然、再婚すると言い出し、20歳の早希(中条あやみ)を連れてきた!役所で働く早希は、孤独な幼少期を過ごし、誰よりも“家族だんらん”を夢見ているという。
突然あらわれた自分よりずっと年下の“母”の登場に戸惑う優子は、父と早希との共同生活を受け入れることができず、三人の日々は噛み合わない。
さらに早希はいつまでも独身の優子をみかねて、見合い話まで持ってくる。
自分の人生のペースを乱された優子と、彼女と家族になりたい早希の想いはすれ違い続け、一家は衝突と騒動の連続だった。しかし、ある悲劇が近松家を襲い、優子はこれまでの人生を振り返り、家族の“本当の姿”に気づいていく。(公式HPより)


通称「尼ロック」と呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」によって水害から守られている兵庫県尼崎市を舞台に、年齢も価値観もバラバラな家族が、さまざまな現実に立ち向かうなかで次第にひとつになっていく姿を描いた人生喜劇です。
閘門は英語でLockGate(ロックゲート)なので尼崎にある閘門=尼ロックの愛称で呼ばれているそうですが、この映画を観るまでその存在を知りませんでした。船舶が通航できる巨大な閘門で、尼崎市の「0メートル地帯」に海水が流れ込むのを防いでいるのだそう。映画の中で、優子は自由でロックな生き方をしている父が実は「尼ロック」のように家族を守る存在だったと気付くという物語です。

バージンロードを歩くウェディングドレスを着た2人の花嫁の後ろ姿から物語は始まります。優子と早希だろうと察しをつけて衝突しながらも互いにハッピーエンドを迎えるんだろうと予想していたら意外な展開に驚かされました。

ちゃらんぽらんでお気楽そうな父親(松尾諭)の姿を見て育った優子は、あんな大人になってはいけないと、何事も一生懸命やってきたのですが、彼女の思いとは裏腹に、周囲から優秀だけど輪を乱す存在として煙たがられてきました。挙句、会社からリストラされてしまいます。実家に戻ってきた優子を父(笑福亭鶴瓶)は「人生に起こることはなんでも楽しまな」と歓迎します。

8年後。優子はまだニートです。(京大出で妥協を許さないプライドの高さが再就職できない理由かと😓 )横になって尻を搔きながらお菓子に手を伸ばしてテレビを観る彼女は子供の頃に嫌っていた父の姿にそっくりで笑ってしまいます。

そんなある日、父に突然再婚すると言われ「良いんじゃない」と答えた優子でしたが、連れて来たのは自分よりも年下の20歳の早希で驚きます。初め、連れ子と勘違いしたくらい。早希は家族団欒を夢見ており、3人で食卓を囲むことに拘りました。辛辣な優子に負けていない早希。2人のやり取りは標準語だったらきつく感じそうですが、兵庫弁の柔らかなイントネーションはユーモラスで険 がありませんね😁 

商店街を歩く竜太郎と早希に声をかけたのは近所の南雲のおばちゃんです。彼女から海外赴任から帰国した息子の嫁探しをしていると聞いた早希は、勝手に優子の写真を撮ってお見合い話を持ち掛けますが、優子は見合い写真を見ようともせず自分を追い出すのかと怒ります。おばちゃんの息子の方は優子の写真を見てまんざらでもない様子。(この写真がちょっと笑えるのですが😄

入籍からひと月が過ぎた頃、竜太郎がジョギング中に亡くなります。😭 
(え?師匠ここで退場ですか😶
父の死にショックを受けた優子は、子供の頃に父と行ったうどん屋をみかけて入りますが、思い出に浸るうち七味をかけすぎてしまいます。我に返り途方に暮れる彼女を見て、隣に座った男性が「僕、辛いの大好きなんです」と丼を取り替えてくれました。

見合い相手から会いたいとの連絡があり、渋々写真を見た優子は、相手がうどん屋で会った南雲(中林大樹)だと気付きます。
お茶に誘われ、南雲が実は辛いのが苦手だと話すと、それならと食べ方を教える優子。彼は優子と同じ大学で、ボート部で活躍する彼女の姿を見た直後、隠れて泣いている姿を見ていました。優子は数日前に亡くなっていた母が傍にいてくれた気がしたのだと理由を話しました。南雲との会話は楽しく優子も彼に好意を持つようになり、プロポーズを承諾します。

竜太郎が残した鉄工所を守り、母として優子のためにも働こうとする早希でしたが、その矢先、お腹に赤ちゃんがいることがわかります。
南雲の海外転勤に着いていくことを決めていた優子は、早希とお腹の子が暮らしていくためと考えて、家と鉄工所を売ることにしますが、それを聞いた早希は反対します。

鉄工所で働き始めた早希でしたが、倒れてきた鉄工から彼女を庇った職人の鉄蔵(佐川満男)が怪我をして入院します。腕利きの彼が働けないと仕事をこなすことができず倒産してしまいます。見舞いに行った優子は鉄蔵から阪神大震災の時、竜太郎が寝ずに瓦礫から人を助けに行っていたこと、「せっかく生き残ったんやから人生楽しまないと」と話していたことを聞かされます。父はただぐうたらしていたわけじゃないと初めて知るのね。

台風の夜。身重の早希を気遣い避難を諦めて窓の補強や玄関回りを片付けるなど家の守りをして自室のベッドで2人毛布にくるまっての会話の中で、生い立ちを語った早希に、優子は彼女が家族に拘る理由を知ります。
台風一過の朝、被害のない町の様子に改めて「尼ロック」の果たす役割の偉大さに気付いた優子は父を尼ロックに重ねて、父への感謝の気持ちを新たにするのでした。
(その昔、尼崎台風で町は甚大な被害を出していますが、「尼ロック」のおかげで無事だったのですね。)
早希とお腹にいる子を残して行けないと思うようになった優子は、南雲に一緒に行けないと告げます。

一年後。鉄工所を継いだ優子は営業に出ている早希の子(優子にとっては弟です)を預かって働いています。もちろん力仕事ではなく父のように達者な口で人を動かしているんですね。😁 優秀な彼女は経営者としても優れているようです。 「お~い、新人」と声をかけられて返事をしたのは何と南雲でした😀 あ、別れたんじゃなかったのね😁 

冒頭のウェディング姿の2人はもちろん優子と早希でした。南雲との結婚に際し、きっと優子が式を挙げられなかった早希のために提案したんだろうなぁ💛

優子の愚痴を聴く幼馴染のたいちゃんと結ばれるのかと思っていたけど違いました😅 また、優子が何かあると部屋でひたすら運針をしていたのは、高校の先生(高畑淳子)の無心に針を動かすことで自己をみつめ精神統一をはかるためだったことも明かされていました。これは実際に進学校の豊島岡女子学園中学校・高等学校 で行われているそうです。

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オペレーション・フォーチュン

2024年04月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年10月13日公開 イギリス=アメリカ 114分 G

英国諜報局MI6御用達の敏腕エージェント、オーソン・フォーチュン(ジェイソン・ステイサム)は、100億ドルで闇取引されている「ハンドル」と呼ばれる危険な兵器をを追跡・回収するミッションを遂行することに。MI6のコーディネーターであるネイサン()、毒舌の天才ハッカーのサラ(オーブリー・プラザ)、新米スナイパーのJJ(バグジー・マローン)とチームを組んで行動をスタートさせたフォーチュンは、能天気なハリウッドスターのダニー()を無理矢理任務に巻き込み、億万長者の武器商人グレッグ(ヒュー・グラント)に接近する。しかし、次第に闇取引の裏に隠された巨大な陰謀が明らかになっていく。(映画.comより)


ガイ・リッチー監督とジェイソン・ステイサムが5度目のタッグを組んだスパイアクションです。




とある研究施設が襲撃され、ハンドルと呼ばれる謎の兵器が強奪されます。MI6の長官のナイトンは、コーディネーターのネイサンにハンドル回収の極秘指令を出します。ハンドルはブラックマーケットで100億ドルの値が付けられ、世界中の犯罪組織が狙っています。ネイサンは危険なこの任務を盟友で潜入捜査のプロのオーソン・フォーチュンに依頼します。任務と称しプライベートジェットや超高級ワインを要求するフォーチュンは英国政府に嫌われていますがこの任務を遂行できるのは彼しかいません。

モロッコで休暇中のフォーチュンを強引に引き入れ、毒舌ハッカーのサラとフォーチュンを崇拝する新人スナイパーのJJを加えたチームは、マドリードに飛んで空港でハードディスクを手に入れますが、そこにライバルのマイク率いる別動隊に横取りされてしまいます。でもサラがディスクのコピーを取っていて、悪名高い武器商人のグレッグがハンドルの仲介をしていることが判明します。

グレッグがカンヌで船上パーティを開催することを知ったフォーチュンは、まずLAに飛んでグレッグが熱烈なファンであるハリウッドスターのダニー・フランチェスコ(ジョシュ・ハートネット)を脅して仲間に引き入れます。

ダニーのマネージャーと恋人を名乗ってパーティに乗り込んだフォーチュンとサラは、グレッグの気を引くことに成功します。
グレッグの仲介相手がウクライナのマフィアだと突き止めたフォーチュンは、二手に分かれての作戦を実行します。

トルコのグレッグの別荘に招待されたダニーとサラは、ダニーがグレッグとドライブに出かけている間にサラがグレッグのPCから情報を引き出します。一方フォーチュンはグレッグの弁護士ベン・ハリスになりすまして取引現場にへ向かいます。

しかし、サラの行動がバレ、フォーチュンも正体を知られてしまいます。JJの援護で窮地を脱したものの、マイクが現れ取引相手を皆殺しにしてハンドルを奪っていきます。車で逃げるサラとダニーを追うグレッグの手下との銃撃戦も見せ場です。😀 

ハンドルが世界中のどんなセキュリティも突破する高度AIだとわかります。
仲介金を手にすることができなくなったグレッグにフォーチュンが協力をもちかけます。グレッグはハンドルを売る相手が大富豪のトレントとアーノルドだと告白します。2人はハンドルで金融崩壊を起こすことを企んでいました。

トレントとアーノルドのタワーでは、マイクが奪ったハンドルを2人に引き渡そうとしていました。そこへダニーを伴ったグレッグが現れ、爆発で彼の力を見せつけて「手数料が払われなければお前らの愛する人々を排除する」と脅してその場を離れます。フォーチュンとJJが次々敵を倒していく中、手数料を巡って仲間割れが起き、トレントとアーノルドは殺され、到着したフォーチュンによりマイクも倒され、ハンドルはフォーチュンにより回収されます。

任務が終了し、ドーハにいたフォーチュンたちに、ネイサンは新たな任務をオファーしますがあっさり断られます。
フォーチュンはウクライナ人から奪った現金や宝石を、ダニー出演の映画に投資していました。
ダニーの役はグレッグがモデルのような風変りな億万長者です。グレッグ自らもプロデューサーとして名を連ねています。グレッグがトレントたちのタワーで見せたあの爆破シーンを彷彿とさせるダニーの演技を満足気に見つめるフォーチュンなのでした。😁 

専用ジェットの機内やホテルやレストランでバカ高いワインを楽しむフォーチュン役を楽し気に演じるステイサム😍 コメディタッチですが派手な銃撃戦や肉弾戦もありアクションも楽しめました。😀 

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エリザベート 1878

2024年04月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年8月25日公開 オーストリア・ルクセンブルク・ドイツ・フランス  114分 PG12

ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃エリザベート(ビッキー・クリープス)。1877年のクリスマス・イヴに40歳の誕生日を迎えた彼女は、コルセットをきつく締め、世間のイメージを維持するために奮闘するも、厳格で形式的な公務にますます窮屈さを覚えていく。人生に対する情熱や知識への渇望、若き日々のような刺激を求めて、イングランドやバイエルンを旅し、かつての恋人や古い友人を訪ねる中、誇張された自身のイメージに反抗し、プライドを取り戻すために思いついたある計画とは——。(公式HPより)


ヨーロッパ宮廷一の美貌と称されたエリザベートの40歳の1年間にスポットを当て、若さや美しさという基準のみで存在価値を測られてきた彼女の知られざる素顔を大胆な解釈で描き出す。(映画.comより)

エリザベートはバイエルン王国ミュンヘンで、バイエルン公マクシミリアンと王女ルドヴィカの次女として生まれ、16歳でオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフに見初められ結婚しましたが、自由奔放な性格でウィーン宮廷の伝統と格式を重んじる生活と合わず息苦しさを感じていたようです。

映画はウエストを締め上げるシーンから始まりますが、体重の増減が新聞記事になるほど常に国民の関心を集めていたことがその理由だったわけね。

40歳を迎えたエリザベートは美貌の衰えを気にして苛立っています。夫のヨーゼフ(フロリアン・タイヒトマイスター )は、彼女に〝象徴〟としての美しさだけを求めています。政治に口を挟まず黙って従っていればよいという夫に彼女は不満を抱いています。それでも無意識に象徴としての美の衰えを気にするあたりは矛盾していますが、女性として共感もあります。

記念式典の大臣たちの挨拶にうんざりしたエリザベートは気絶した振りをして退出します。宮殿に戻った彼女が滞在中のいとこルードヴィヒ2世(マヌエル・ルバイ )にその様子を可笑し気に話している親密な雰囲気に夫のフランツはやきもきします。

誕生日直前に旅行に行きたいと言い出したエリザベートは侍女イーダ(ジャンヌ・ヴェルナー)にたしなめられます。部屋に入ってきた娘のヴァレリーにハンガリー語で話すよう命じ、体型維持に余念がない様子。
40歳の誕生祝賀晩餐会では、周囲に促され嫌々ケーキのろうそくを吹き消します。ここまでのエピソードはどれをとっても我儘にしか見えませんね😝 

彼女が唯一自ら続けているのは精神病院の慰問ですスミレの砂糖漬け菓子を患者たちに配り、院長に温浴療法を取り入れるよう勧めます。あれ?ただの我儘皇妃じゃなさそう😜 

と思ったら・・・寝付けない彼女は、娘を無理やり起こして服を着せ嫌がる娘を乗馬に連れ出します。案の定高熱を出してしまった娘を見て、フランツは身体の弱い子に気まぐれで無理をさせたと叱責します。彼らは当時2歳の長女ゾフィーを亡くしていました。父親としてはもっともな怒りだと思うなぁ。😔 
夕食は別にとり早く寝てしまった夫に怒ったエリザベートは息子ルドルフ(アーロン・フリース )と早めに旅行に出かけてしまいます。娘は置いていくよう言われた。これもまぁ仕方ない気がするけど😔 

エリザベート一行はイングランド・ノースハンプシャーのスペンサー家のマナーハウスに滞在し、妹で両シチリア王妃マリー(リリー・マリー・チェルトナー)からフランスの発明家のルイ・ル・プランス(フィネガン・オールドフィールド )を紹介され、動画撮影に応じて大いにはしゃぎます。
馬術家のベイ・ミドルトン(コリン・モーガン )と親し気に振る舞うエリザベートに、ルドルフが苦言を呈します。ベイが自分に夢中だと確認はしても受け容れることはしないのは自分の立場を一応は自覚しているということかしらん😧 
ひとりで遠乗りに出かけて落馬したエリザベートは愛馬の死(脚が折れた馬は苦しまないよう殺されます)に悲しみ憤り早々にオーストリアに戻ります。

落馬事故について気遣う夫と愛し合おうとしますが体を重ねるまでには至らず終わります。慰めを受けたくても感情がかみ合わない二人なのね。

シェーンブルン宮殿でイーダを無理矢理乗せて乗馬を楽しんでいる時、フランツが若い女性とふたりで歩いているのを目撃したエリザベートは、侍女フィニの服を借りてお忍びで市場へ出かけ、夫と歩いていた女性アンナと会話をします。

肖像画のポーズを取っていたエリザベーは、喫煙をフランツに見とがめられてしまいます。動画に興味のない画家と話しが合わず、若い頃の肖像画を模写するよう命じます。

公務のためウィーンを離れることになったルドルフは、父との考え方の違いに悩んでいて、自分は母親似だとエリザベートに打ち明けます。エリザベートも離れるのが寂しいと訴えます。
息子が母似なら娘は父似・・というか父を慕っている娘は母を批判的な目で見るようになっていきます。この構図、ある意味不変ですね😁 

フェンシングでフランツに手加減されて怒ったエリザベートは、ハンガリーについて意見をしてフランツを怒らせます。彼は彼女が政治に口を出さずにただ美しい皇后としていることにのみ価値を認めているのです。
感情の昂ぶったエリザベートは窓から身を投げますが、幸い足の怪我だけで済みました。しかしフランツは医者は呼びましたが見舞いにはきませんでした。喧嘩したとはいえどっちもどっちな対応だな。夫婦関係冷え切ってる?

怪我の療養でルードヴィヒ2世(バイエルン王)の別荘に滞在したエリザベートは、シュタルンベルク湖で船に乗ったり、夜はふたりでダンスや湖でシンクロのように踊って楽しい時間を過ごします。でも同性愛者の彼はエリザベートを受け容れることができませんでした。翌朝、彼は「湖で死ぬなよ、俺の湖だから」と声をかけます。気の合ういとこへの彼なりの気遣いの言葉ですね。😊 

バイエルンから戻る馬車の中で、侍女のマリー(カタリーナ・ローレンツ )が結婚を申し込まれていると話すとエリザベートは許可しないと答えます。長年仕え自分を理解してくれる者を手放すことができないわけですね。年増のマリーにとっては結婚の最後のチャンスだったのに😫 

ヴァレリーを連れて戦闘で負傷した兵士が入院する病院へ慰問にやってきたエリザベートはタバコが欲しいと訴えた兵士に自分のタバコを与え、自らも彼の隣に寝て喫いました。母の行動にヴァレリーは不快感を顕わにします。
病院を慰問したエリザベートを労うフランツでしたが、彼女の政治的発言に激昂し、テーブルを叩きます。彼女もテーブルを叩き返しました。

精神病院を訪れた彼女は、自分が提案した温浴療法が取り入れられているのを見学します。医師から医療行為としてヘロインを勧められ、(もう40歳だから)健康に気を遣うよう進言された彼女は舌を出します。この時代、ヘロインは「良薬」なわけですね。

ヘロイン注射とタバコの本数が増えていくエリザベートは、マリーを影武者に仕立てて行事に参加させます。食事を抜きコルセットで締め上げられベールで顔を覆って代わりを務めたマリーは戻るなり嘔吐し、エリザベートは急いでコルセットを緩めさせるのでした。エリザベートがそれほどに過激なダイエットと矯正をしていたという証拠でもあるのですね。

ある日、自慢の長い髪を自ら切ってしまったエリザベートに髪の手入れを専属でしていたフィニは号泣しますが、マリーは冷静に髪を拾い集め鬘を作るよう手配をします。エリザベートの姿に驚いたヴァレリーをバスタブで抱きしめ、寝室にやってきたフランツと愛し合うエリザベートでしたが、後日
アンナを呼び出した彼女は、皇帝の愛人になって自分の代わりに優しくしてほしいと穏やかに語ります。

マリーの影武者役は続き、エリザベートが左肩に錨のタトゥーを入れるとマリーにも同じものを入れさせます。

エリザベートは侍女のマリー、イーダ、フィニと大きな船で海に出ます。黒いドレスに小さなブーケを持ち甲板で海を見つめる4人はまるで葬儀のよう。ひとり舳先に向かって歩いていったエリザベートはそのまま海に身を投じるのでした。

オーストリア=ハンガリー二重帝国などの歴史&政治背景はよくわからないまま観てしまいましたが、自由な心を持ち先進的な考えのエリザベートにとって厳格な宮廷での暮らしはさぞかし窮屈だったろうとは想像できます。現代のように男女対等ではなく、皇帝&国民のお飾りとしての価値しか認められていないのですから尚更です。
でも映画で描かれる母としての姿はあまり褒められたものではないな😓 

映画のラストは史実とは大きく異なるようです。(暗殺されたらしい)
エリザベートがバスタブに浸かったり、湖で泳いだりといった水のシーンが度々登場するのは、彼女が水の中にいる時だけ本来の自分でいられたということのようです。海に還ることで彼女は自由になったのでしょうか。



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陰陽師0

2024年04月19日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年4月19日公開 113分 G

呪いや祟りから都を守る陰陽師の学び舎であり行政機関でもある「陰陽寮」が政治の中心となっていた平安時代。青年・安倍晴明(山崎賢人)は天才と呼ばれるほどの呪術の才能をもっていたが、陰陽師になる意欲も興味もない人嫌いの変わり者だった。ある日、彼は貴族の源博雅(染谷将太)から、皇族の徽子女王(奈緒)を襲う怪奇現象の解明を頼まれる。衝突しながらもともに真相を追う晴明と博雅は、ある若者が変死したことをきっかけに、平安京をも巻き込む凶悪な陰謀に巻き込まれていく。(映画.comより)


平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明の活躍を描いた小説「陰陽師」シリーズを原作に、晴明が陰陽師になる前の物語を、原作者・夢枕獏の全面協力のもと完全オリジナルストーリーで映画化。「アンフェア」シリーズの佐藤嗣麻子が監督・脚本を手がけ、作家・加門七海が呪術監修を担当。(映画.comより)

安倍晴明は2001年と2003年の映画で野村萬斎、2001年のTVドラマ(NHK版陰陽師)で稲垣吾郎、2020年のドラマでは佐々木蔵之介が演じています。もっとあるけど見ているのはこのくらいかな😀  源博雅はそれぞれ伊藤英明、杉本哲太 、市原隼人 でした。
個人的なイメージとしては野村萬斎が一番しっくりきます。なので今回の映画で演じる山崎賢人はどうかな?と不安を感じながらの鑑賞でしたが、まだ帝の陰陽師となる前の若き日の清明ということなので「あり」だな😁 染谷将太演じる博雅もどこかとぼけた味わいがあって伊藤版や杉本版とは違った魅力がありました。

今作では晴明と博雅の友情の始まりと、晴明が学生から陰陽師になるまでが描かれています。

陰陽師育成学校があるとは😲 
清明は幼い頃に両親を何者かに殺され、賀茂忠行に引き取られて弟子として陰陽寮に入っていますが、陰陽師に興味がなく授業もさぼってばかりで周囲からは狐の子、呪術が使えると噂される変人です。彼は両親を殺した者を探し続けていました。

そんな清明に頼み事を持ち掛けたのが醍醐天皇の孫の源博雅。従姉妹の徽子女王を慕っているけれど身分違いとその想いを口に出せずにいるのね。😓 
彼は寺で清明がガマガエルを破裂させる様を目撃して清明の呪術の力を信じて訪ねてきます。初対面の博雅、しかも貴族である彼に、清明は頼み事の内容も聞かず開口一番「断る」と言います。カエルは実際には破裂しておらず、幻覚作用のある香と催眠術に水しぶきを血しぶきに見せたトリックだったと明かした上で、陰陽師の本質は催眠術や暗示だと言い放つのです。しかし博雅から徽子女王に起きている怪異を聞いた清明は、興味を惹かれて引き受けることにします。

琴の弦が切れ、金の龍が見えたという徽子女王に、床下に潜んでいた「それ」を瓶に封じてみせた清明は、博雅と徽子女王、さらに帝からの信頼をも得ることになります。
 
特業生の橘泰家(村上虹郎)が呪殺されるという事件が起こり、陰陽頭の藤原義輔(小林薫)が犯人を見つけた者を次の特業生にすると告げたことから学生たちは血眼になります。
出世に興味のない晴明でしたが、課題と言われて謎解きをすることに。😓 
博雅(の身分)を利用して泰家の家に行った清明は、残されていた足跡と死体の検分から彼が毒を盛られ水を欲して井戸に行ったところを突き落とされたと見破ります。これは呪詛ではなく殺人だと推理するのね。😨 

しかし、百姓出身の45歳で後がない平群貞文(安藤政信)から、呪詛の筆跡が清明のものだと告発され捕らえられてしまいます。ふと奇妙な違和感を覚えた清明は、次の瞬間、「徽子女王が金の龍に攫われた」と博雅が駆け込んできたことで、彼と共に寮から逃げ出して徽子女王を探しに行きます。

徽子女王は、10歳で伊勢斎宮にされ母親の死に目にも会えなかったのですが、歳の離れた従兄弟の源博雅を想うことで寂しさを堪えていました。ところが帝からの恋文を博雅からと思って読んだことで、帝の申し出を断れなくなった彼女は、自分の人生には自由が無いと絶望して金の龍と共に消えてしまったのです。

晴明を捕らえようと追いかけた平群貞文ら3人は手柄を巡って殺し合いを始めます。その体は燃え上がり巨大な嫉妬の火龍となります。
一方晴明も両親の仇と出会い憎しみの炎に包まれますが、博雅の声と彼の吹く龍笛で正気を取り戻します。この世界が現実ではなく深層心理だと考えた清明は、博雅と徽子女王も繋がっていると推理します。
龍笛を吹いて徽子女王の深層心理に入った博雅は、彼女と対話し互いの心情を吐露し合います。たとえ結ばれなくても心では繋がっていると話す博雅に口づける徽子女王。初めは寒々しい景色が春の華やぎに満ちていく様が何とも幻想的で素敵😍 抱きしめる博雅の腕の中で徽子女王は花弁となって消えます。

晴明のもとに戻った博雅でしたが、二人の前に嫉妬の火竜が現れ襲い掛かります。この世界が深層心理なら催眠術や暗示で対抗できるのではと問う博雅に、晴明は咄嗟に空を切って陰陽寮へ逃げ込み結界を張ります。
火龍に焼かれた手を見た博雅は絶望しパニックに陥りますが、清明の「俺を信じろ」という言葉を受け入れます。

火を制するのは水と考えた晴明は、地下の巨大湖から水龍を呼び起こして火龍にぶつけます。火龍を打ち消した水龍は現実世界で呪をかけていた天文博士の惟宗是邦(北村一輝)をも滅ぼしました。呪にかかって殺し合いをしていた学生たちは現実にも死亡していました。心の死は肉体の死にもなっていたのです。

清明はこの事件の黒幕の藤原義輔と対峙します。義輔は帝の陰陽師になるために自分を脅かしそうな優秀な学生を潰し、帝が興味を示した清明に罪を着せようとしたのです。 (そういえば、陰陽寮の講義の中に、毒虫を共食いさせて生まれる猛毒の話が出てきたっけ。)
晴明の両親を殺したのも彼でした。清明の父の安部保名が優秀な陰陽師だったからです。清明を殺そうとした義輔は、逆に晴明の呪にかけられてしまいます。清明は菅原道真(この時代最大の怨霊)の霊を呼び出して雷で止めを刺しました。
晴明は本当に呪が使え、精神世界のものを物質化することができたのです。

天文博士と陰陽頭を喪う事態を受け、空席となっていた帝直属の陰陽師を立てることとなり、候補に挙がった賀茂忠行は晴明を推します。

酒を酌み交わしながら晴明は博雅に龍の正体を説明します。火龍は嫉妬の化身ですが、金龍は徽子女王の想いが生み出したものでした。


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名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)

2024年04月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2019年4月12日公開 110分 G
2024年4月12日放送 金曜ロードショー

19世紀末に海賊船とともにシンガポールの海底に沈んだとされるブルーサファイア「紺青の拳」を、現地の富豪が回収しようとした矢先、マリーナベイ・サンズで殺人事件が発生。その現場には、怪盗キッドの血塗られた予告状が残されていた。同じころ、シンガポールで開催される空手トーナメントを観戦するため、毛利蘭と鈴木園子が現地を訪れていた。パスポートをもっていないコナンは日本で留守番のはずだったが、彼を利用しようとするキッドの手により強制的にシンガポールに連れてこられてしまう。キッドは、ある邸宅の地下倉庫にブルーサファイアが眠っているという情報をつかむが……。 (映画.comより)


「名探偵コナン」の劇場版23作目は、シンガポールを舞台に、伝説の宝石をめぐる謎と事件が巻き起こり、コナンのライバルの怪盗キッドと、空手家・京極真が物語のキーパーソンとなっています。今作でも派手なアクションと都市破壊が登場しますが、最早驚くことでもないですね😁 

シンガポールのマリーナベイ・サンズで、弁護士のシェリリン・タンが刺殺され彼女の車も爆破される事件が発生し、爆破の影響でホテルが停電しパニックに陥る中、彼女と直前まで会っていた実業家で犯罪行動心理学者のレオン・ローが冷静に現場保存に努めます。シンガポール警察のマーク・アイダン警部補や予備警察官のリシ・ラマナサンが殺害現場で「血まみれになった怪盗キッドのカード」を発見し、直後マーライオンの口から赤い水が吐き出されます。

一方、空手トーナメントに出場する京極真を応援しようと、蘭・鈴木園子・毛利小五郎が工藤新一とシンガポール入りします。実はこの新一はキッドの変装で、灰原哀からAPTX4869の解毒剤を貰って一緒に行こうとするも断られたコナンを拉致してスーツケースに隠し、彼のパスポートで不法入国していました。パスポートのないコナンはキッドに協力するしかなくなり、「アーサー・ヒライ」の偽名で蘭たちと行動することになります。

リシから事件解決の協力を頼まれた小五郎と一緒にレオン邸へ招かれた一行は、キッドが狙う大富豪ジョンハン・チェン所有のブルーサファイア「紺青の拳」がレオン邸の地下金庫に保管されていることを知らされ、レオンの案内で地下金庫の「紺青の拳」を見せてもらいます。猫にカツ節状態だね😉 その夜、キッドはレオン邸の地下金庫に潜入しますが、罠に嵌り窮地に陥ります。間一髪で脱出したものの、レオン邸でトレーニングをしていた京極が現れ再び窮地に追い込まれますが、コナンに助けられます。キッドはコナンをシンガポールに連れて来た理由を、殺人犯の汚名返上のためだと明かします。

大会初日。秘書のレイチェルに変装したキッドが「紺青の拳」がはめられたチャンピオンベルトが保管された金庫に侵入すると、ベルトが置かれた台座の中から本物のレイチェルの死体が出てきてレイチェル殺害の容疑者にされ逃走の際に負傷してしまいます。台座には血で「She」というダイイングメッセージが遺されていました。

チンピラに襲われた際に、警察を呼びに行こうとした園子が車に轢かれ、園子を守り切れなかったと悔やむ京極に、レオンがミサンガを渡して「君には拳を振るうための『心技体』が備わっていない」とミサンガが切れるまでは拳を振るわないよう誘導します。

決勝当日、園子を守り切れなかった自分は修行が足りないと棄権した京極に理由を聞いても放そうとしない彼に「偽りだらけの男に守られたくない」と園子は激怒しますが、全ては「紺青の拳」を手に入れるためにレオンが仕組んだことでした。
コナンとキッドは一連の出来事がレオンの仕業だと推測。灰原の調査で、レオンがユージーン・リムら海賊と手を組んでいることがわかります。

海賊に乗っ取られたタンカーがシンガポールの街を破壊し大混乱に陥る様子をマリーナベイサンズの屋上から見つめるレオンの前にリシが現れます。
レオンに銃を向けたリシをコナンとキッドが阻止し真相を語り始めます。

レオンは過去にシンガポールの再開発を提言して拒否されたことでシンガポールの破壊を計画し、海賊達の協力を取り付けるため「紺青の拳」を入手しようとしますが、ある海洋学者に取られそうになり、彼を殺害していました。リシはその海洋学者の娘で、真実を知った彼女が復讐のためにレオンの計画を妨害することを決意したのです。シェリリンやレイチェルと通じて情報を得、一度は入手を阻止したものの、「紺青の拳」が大会の優勝賞品になったことで、キッドを巻き込み計画の阻止を目論んだのです。

マリーナベイサンズに現れた海賊たちは、園子を攫えば鈴木財閥から身代金がもらえるとリシに入れ知恵されてレオンを裏切っていました。小五郎と蘭も海賊達に拘束されてしまいます。

園子を救出して脱出を図る京極は海賊達を前にミサンガのせいで力を出せませんでしたが、コナンとキッドの連携プレーでミサンガが切れたことで本来の力を取り戻します。彼との対戦を望んでいたジャマルッディンとの勝負にも勝ちます。

マリーナベイサンズ屋上のスカイパークが落下する場面が今回の最大の見どころかな?
キッドは「私が探している宝石では無かった」とレオンに「紺青の拳」を渡して去ります。園子と京極の仲も深まりました。

レオン、リシ、中富、ジャマルッディン、ユージーンら海賊たちは全員逮捕され、日本へ帰ってきた一行。
新一が小五郎を「おっちゃん」と呼んだことから、キッドの変装と気付いていた蘭は空港に中森達を呼び寄せキッド確保を狙いますが逃げられてしまいます。その騒動に乗じてスーツケースから脱出したコナンは、阿笠や灰原と合流して蘭達の迎えを装います。コナンに「寂しくなかった?」と聞く蘭にコナンは「バーロ、ずっと一緒にいたっつーの…」と心の中でつぶやくのでした。

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オペレーション・ゴールド

2024年04月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
 2023年10月27日公開 アメリカ 92分

バックリー(ジョン・トラボルタ)は史上最大規模とも言われる犯罪帝国を築いたアメリカの麻薬王。イアン・スワン(ブルース・ウィリス)は数百万ドル級の獲物ばかりを狙う賞金稼ぎ。イアンはバックリーを10年追い続け、ついにハワイの人気のないビーチで追い詰める。しかし、バックリーの子分たちが現れて銃撃戦に。イアンは撃たれて海に沈んだ。その日から、イアンの息子で賞金稼ぎのライアン・スワン(ブレイク・ジェンナー)、イアンの元相棒ロビー(スティーブン・ドーフ)は手を組みバックリーを探すことに。一方、昏睡から目覚めたイアンは、危険を承知で最後の大仕事に打って出る。それは、イアンとバックリーにとっては避けては通れない真っ向う対決の時だった…。(公式HPより)


ジョン・トラボルタとブルース・ウィリスの29年ぶりの共演となったアクション作品です。

冒頭でいきなりイアン=ブルース・ウィリス退場ですか?😮 いやいや、そんなわけあるか!と思ったら案の定・・・😁 

父を探しにハワイにやってきた息子のライアン(彼も賞金稼ぎ)は、父の元相棒のロビーと接触します。
2人は、イアンが追っていた相手は最高額の賞金がかけられている麻薬の売人テランス・ビルフォードと当たりをつけます。警官と家族の殺害及び麻薬取引で捕まったものの、保釈金1000万ドルを現金で払って釈放された後に逃亡した彼の目撃情報は途絶えていました。

懸賞金の山分けを条件に手を組んだライアンとロビーは、手掛かりを求めてイアンの車に残されていた名刺に書かれていたホテルに向かいます。
ホテルでは、ハワイの次期上院議員トーマス・カネの政治資金パーティーの最中。支援者のバックリーも息子のアーンを連れて出席していました。

2人はイアンが泊まっていた客室でベッドに隠していたテランスの写真を発見します。直後に何者かに襲われ、ロビーは拉致され、ライアンは犯人としてマウイ警察に捕まりますがバックリーが正当防衛としてライアンを釈放させ、帰国を促します。

ライアンに声をかけてきたのは刑事のサバンナ(プライヤー・スワンドクマイ )です。事件の捜査から外され捜査自体が止まったことに怒った彼女は彼らに協力することにします。

サバンナは2人を「リップタイド・クラブ」に連れて行き、友人ニッキーとその仲間たちからバックリーの悪行を聞きます。彼はハワイの聖なる山の採掘計画のために先住民を買収し、邪魔者は失踪扱いにして始末していました。

ライアンはサバンナに父が撃たれた場所に連れて行ってもらいます。水中から発見されたイアンの携帯電話のデータ復旧に成功し、父の最期が映った動画を見て、やはり父は助からなかったと感じますが、サバンナはこのビーチに鮫はいないと異を唱えます。(遺体は鮫に食われていました)

その頃、バックリーの豪邸に軟禁されていたロビーは、彼に選挙に出馬しない理由を尋ねます。バックリーは長年ここで暮らしていても所詮先住民からすれば自分は旅行者で植民者だからと答えます。つまり地元民のカネのバックにいることで利益のおこぼれを目論んでいるわけね。
バックリーの資金元はテランスの麻薬カルテルではないかと探りを入れたロビーに、バックリーはネタ元を吐かせようと部下に拷問を指示します。

サバンナは故郷の先住民が暮らすパリウリ村「パラダイス・シティ」にライアンを連れて行きます。(この村の先住民たちだけが、バックリーからのお金を拒んで抵抗していました。)そこには死んだはずの父イアンがいました。瀕死のイアンを救ったのは彼らで、ライアンが見た遺体は偽装だったのです。

イアンは、復旧した自分の携帯電話に入れていたテランスがバックリーの顔に整形した写真を見せ、あの日の出来事を話します。バックリーを捕らえ証拠も押さえたイアンでしたが、隙をつかれてテランスに撃たれたのです。これで冒頭のシーンと繋がったぞ😀 

島の資源を掘り尽くし、マウイを国際的麻薬売買の拠点にしようとしているとイアンは話します。そこにニッキーからロビーが捕まっている場所の情報がもたらされ、3人は救出に向かいますが、村を出た直後にテランスの部下たちにより村が襲撃され焼き払われてしまいます。

ニッキーたちと協力してカネの支援者たちとの祝賀会場であるテランスの屋敷に侵入したライアンは、コア・カハリの協力を得てイアンと共に地下に囚われていたロビーを救出します。実はイアンの妻がかつてロビーと不倫したことで2人は仲違いしていたため不穏なムードに😫 

屋敷の敷地内で繰り広げられる派手な銃撃戦が見所かも。息子と部下を伴って屋敷から逃走したテランスをライアン&コアが追いかけますがコアが撃たれてしまいます。そこにイアンが追い付くと、アーンにテランスが母を殺したことを暴露します。ショックを受けたアーンは逃げて駆けつけたサバンナとロビーに保護されます。

テランスの銃弾を受けたイアンに駆け寄るライアン。一人で船で逃げようとしたテランスをイアンは撃つことができず代わりにエンジンを狙って船を爆破します。父から護身術として銃の扱い方を教わっていたライアンですが実は銃が苦手なのね。
船から飛び降りていたテランスでしたが、岸で警察に捕まります。

後日。パラダイス・シティで村を守ってくれた呪術師のチャーリーとコア、イアンの葬儀が執り行われます。ライアンが寄付した懸賞金のおかげで村を再建できると感謝されます。(1割は自分の資金として取り置いてますけどね。)
サバンナにこれからも友達だよな?と言うライアンにそんなの退屈と答えてキスするサバンナでした。💛

あれ?結局イアンは死んじゃうのね😓
警察が権力者に牛耳られていて当てにならない中、賞金稼ぎが悪人をやっつける展開はちょっと新鮮。バックリーの正体もわかってみればなるほどです。でも悪人の彼も息子のことは愛してる点は唯一人間臭かったかも。

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春に散る

2024年04月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年8月25日公開 133分 G

40年ぶりに故郷の地を踏んだ、元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)。引退を決めたアメリカで事業を興し成功を収めたが、不完全燃焼の心を抱えて突然帰国したのだ。かつて所属したジムを訪れ、かつて広岡に恋心を抱き、今は亡き父から会長の座を継いだ令子(山口智子)に挨拶した広岡は、今はすっかり落ちぶれたという二人の仲間に会いに行く。そんな広岡の前に不公平な判定負けに怒り、一度はボクシングをやめた黒木翔吾(横浜流星)が現れ、広岡の指導を受けたいと懇願する。そこへ広岡の姪の佳菜子(橋本環奈)も加わり不思議な共同生活が始まった。やがて翔吾をチャンピオンにするという広岡の情熱は、翔吾はもちろん一度は夢を諦めた周りの人々を巻き込んでいく。果たして、それぞれが命をかけて始めた新たな人生の行方は——?(公式HPより)


沢木耕太郎の同名小説の映画化で、ボクシングに命をかける男たちの生き様を描いた人間ドラマです。監督は「ラーゲリより愛を込めて」「護られなかった者たちへ」の瀬々敬久です。
窪田君が出演しているので劇場で観ようかと思っていましたが、どうも格闘技は苦手でDVD待ちしました。😓 

広岡が帰国したのは病を得て望郷の念にかられたということでしょうか。
居酒屋で酔って騒いでいる若者たちに絡まれた広岡が鮮やかなパンチで倒す姿を目撃した翔吾は、彼と拳を交わして人生初のダウンを奪われたことで、ボクシングを教わりたいと懇願しますが断られます。

広岡はかつて所属したボクシングジムの会長を継いでいる令子に挨拶に行き、旧友の佐瀬(片岡鶴太郎)と藤原(哀川翔)の消息を尋ねて会いにいきます。懐かしさのあまり一緒に住まないかと提案しますが断られます。😓 

諦めきれずに家まで押し掛けてきた翔吾に佐瀬が課題を出して助け舟を出します。見事それをクリアした翔吾は、指導を受けることになり、一緒に暮らし始めます。実は母親思いの彼は、母を守るためにボクシングを始めています。この母親は男運が悪いようで、暴力を受けたりしているのですが、それを知った翔吾が相手をぶちのめして警察沙汰になって危うく試合できなくなりかけたりもしています。😞 

医師から手術を勧められるも、先延ばしにして様子見を選んだ広岡。死亡の危険もある難手術に怖気づいたのは、翔吾を育てるための時間が欲しいと思ったからでもあるのかな。

令子のジムに翔吾を入れてもらおうとしますが、スパーリング相手の大塚(坂東龍汰)を倒してしまったことで断られ、伝手を頼って無名の山の手ジムに入れます。(そこは子供たちに教えるようないわゆる町のジムなんですね。)佐瀬もこのジムで教えるようになります。

広岡は翔吾に激しいトレーニングを課しテボクシングを一から叩き込みます。兄の死を姪の佳菜子(橋本環奈)に知らせてもらった事で、彼女も広岡の家で暮らすようになります。

ある日、大塚と戦って勝った方がチャンピオンの中西利男(窪田正孝)と戦う権利を得るという提案を受けた広岡は、当て馬だと反対しますが、翔吾の熱意に負けてOKします。
藤原が指導する大塚との試合は、接戦の末に翔吾が勝利するのですが、目に異常が出ます。このままでは失明する危険があると反対する広岡ですが、翔吾は戦いたいと納得しません。藤原は成功者である広岡に反発していますが、中西との試合では翔吾を応援していました。😁 

年越しの夜、広岡が倒れ病院に運ばれたことで、皆は初めて彼に手術が必要なことを知ります。広岡を父のように思っている翔吾は生きていて欲しいと泣きます。その思いを理解した広岡は試合を認めることにします。

翔吾と中西の試合は激戦となり、最終ラウンドまでもつれ込みます。翔吾の右目は腫れあがり見えていません。タオルを投げるよう勧める佐瀬に首を振り広岡は試合を見守ります。結果判定となり翔吾が勝利します。

それまでの中西はふてぶてしい所作が目に付き、翔吾をライバルと見なしていませんでしたが試合を通して彼を認めていくのが伝わってきます。試合後は互いに健闘を称え合う二人の姿が良かった💛

息子が右目の視力を喪ったことを知った母・和美(坂井真紀)に責められ広岡はただ頭を下げることしか出来ません。翔吾は和美に、仁一は悪くないと言いました。病院を出た広岡は待っていた令子に「桜を見に行ってきます」と声をかけその場を離れました。翌朝、満開の桜の木の下で(心臓発作に襲われ)亡くなっているのが発見されます。

半年後。佳菜子と暮らす翔吾は新しいスーツを着て新しい仕事を始めようとしています。仕事へ向かう途中の土手で足を止めた翔吾、広岡とトレーニングで走った場所で彼は改めて生きていくことを誓うのでした。

ボクシングシーンはやっぱりかなり迫力があって観ていて切なくなりました。これを大スクリーンではやっぱり辛い😵 


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夫妻集

2024年04月12日 | 
小野寺 史宜 (著) 

娘が婚約者を連れてきた。他人の分の寿司も遠慮なく口にする、だらしのない男。娘が選んだ人ならば。自分は、心が広く先進的な父親。そう思っていたはずなのに。神保町にある出版社、景談社で働く佐原滝郎は、娘の結婚に心が揺らぐ。「娘が結婚すべきではない」と感じた婚約者は、意外にも滝郎の妻には好印象。妻もあの婚約者のことは気に入らないと思っていたのに、一体なぜ?
積み重ねてきた夫婦生活の中で初めて見えた、自分と妻の間にあるひずみ。もしかして、妻と自分はーー。
社内の三組の夫婦の姿を見ていくうちに、滝郎はある決意を固める。(アマゾン内容紹介より)


4組の夫婦が登場します。

佐原夫妻
娘の彼氏と対面した時の佐原氏の反応は父親としてはごく普通だと思います。
彼が会社で人事部長をしていることを抜きにしても、遅刻して悪びれることもなく、芸人と役者両方の道を目指しているユーチューバーとあっては経済的な不安も感じさせられます。自分が彼の立場だったらやはり受け入れ難く思うだろうな。😔 
でも妻の和香は彼が気に入った様子。どうして??滝郎は混乱し妻との間に初めて溝を感じます。

足立夫妻。
結婚2週間で妻の結麻が転勤となり、東京と名古屋の別居生活になります。思わず結麻に退職を提案した道哉には、無意識にではありますが自分の方が稼ぎも会社の知名度も上という気持ちがありました。それを察した妻との間に微妙な空気が流れます。彼の勤め先の景談社(講談社だよな~😁 )は確かに大手出版社だもんな。互いに熟考し、こどもを作るかどうかも含めての将来に対する明確なビジョンを持つことで二人はこの別居生活を受け入れるんですね。前向きな若夫婦という印象です。

船戸夫妻
編集部で働く美奈は、8歳年下の幹人と再婚します。バツイチ・年上を気にすることなく連れ子の太志を本当の自分の子のように可愛がってくれる姿に惹かれたのですが、結婚してみると気になることも出てきます。
偶然会った元カノに誘われもんじゃ焼きを食べに行ったことを屈託なく話したり、体調の悪い太志をひとり残してバンドの練習に出かけてしまったり・・美奈の気持ちや息子の体調急変の可能性を考えない浅はかさ・・・根は優しくていい人だけど、まだ大人になりきれていない夫。それでも二人でならカバーしながらやっていけると思う美奈でした。8歳の年の差は大きいな~😓 

江沢夫妻
夫の厚久から植木職人になるため会社を辞めて沖縄で造園業を営む学生時代の先輩の下へ行く。だから離婚したいと突然言われた梓乃。驚き非難し翻意を促しますが、彼の決意は変わりません。そもそもどうして離婚?と思ったら、修業中は無給で夫としての責任を果たすことができないかららしい。😩 
梓乃は仕事(出版社勤務)にやりがいを感じていて、収入も安定しているので一緒に沖縄に行くという考えはありません。東京で生まれ育った自分が沖縄で暮らすという選択肢もありません。話し合いの末離婚が決まりますが、子供たち(中3の亮吾と小6の理子)に話すと二人とも(3年間だけ)沖縄に行くと言い出します。両親の離婚を冷静に受け止め、新しい環境を自ら選択する子供たちに寂しさと誇らしさを感じる梓乃・・・って、住む家は先輩の持つ空家をタダで借りられるとしても生活費その他もろもろ大丈夫なのか?
ぽっかり空いた自分時間を前向きにとらえた梓乃は、幹人のバンドで高校時代にやっていたベースを始めるのです。

美奈が担当する作家の小倉琴恵 が各章に登場し、出版社で働く男女との関わりが次第にわかってきます。

滝郎は、同じ部で働いたことのある美奈や梓乃、彼が面接をした道哉との会話や、昔彼が面接で落とした小倉琴恵と彼女の作品の参考のための面談を通して、自分たち夫婦の関係や娘の婚約者に対する見方を考え直します。3組それぞれの夫婦の前向きな考え方に感化されてもいるのかな。

断章では、『夫妻集』を執筆する小倉琴恵自身のことが書かれます。
かつて不倫相手の妻とサシで飲んで意気投合したことのある彼女は再び連絡してきた男をきっぱり退けます。五音でという表現がなんかイイ!✌
彼女の視点を通して出版社の内部事情が示され、人事部長である佐原の就活生への評価の基準など、なかなか興味深い話を知ることができました。物語はフィクションだけど、ほぼリアルなんじゃなかろうか😁 



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小さき麦の花

2024年04月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年2月10日公開 中国 133分 G

2011年、中国西北地方の農村。
貧しい農民ヨウティエ(有鉄)は、マー(馬)家の四男。
両親とふたりの兄は他界し、今は三男・ヨウトン(有銅)の家に暮らしているが、息子の結婚を心配するヨウトン夫婦にとって、ヨウティエは家族の厄介者。一方、内気で体に障がいがあるクイイン(貴英)もまた厄介者だった。互いに家族から厄介払いされるかのように、ふたりは見合い結婚、夫婦になった。 
ぎこちなく、それでも互いを思いやり、作物を育て、日々を重ねていくふたり。ヨウティエのことをいつも気にかけるクイイン。そんな彼女の気持ちに愛おしさを覚えるヨウティエ。ある日、家を建てるためにヨウティエが作ったたくさんの日干しレンガが突然の大雨に襲われる。そんな不運さえもふたりには大切な日々となる。 クイインは初めて会ったその日からヨウティエの優しさに気付いていたと話す。
ロバと、ヨウティエと、クイインと。力を合わせ、毎日懸命に働き、ついに自分の家をもった。だが、その幸福は長くは続かなかった——。(公式HPより)


家族に厄介払いされるように見合い結婚した二人でしたが、互いを慈しんで力を合わせて慎ましく日々を生きる姿が描かれます。

冒頭の場面では、互いの家族に言われるがままの二人には意志や感情が見受けられず、その背景もよくわかりません。
しかし結婚後の二人は徐々に自分の言葉で自分のことを話し始めます。
ヨウティエは内気で優しい性格のために、クイインは体の障害のために、これまで家族から虐げられ人格を否定され続けてきたことがわかってきます。そもそもクイインは医者にも診てもらっていないようです。初め彼女は知恵遅れなのかと思ったのですが、そうではなく逆にしっかりした考えを持つ女性だとわかります。二人ともおそらくはろくな教育も受けることがなく育っていて、その日を生きる事で精一杯だったのでしょう。

離村する者も多い貧しい村には空き家も多く、その一つをあてがわれて新婚生活を始めた二人ですが、農村改革で空き家を解体した者にお金が入ることになって、出稼ぎに出ていた村人の空き家に住んでいた二人は追い出されてしまいます。 別の空家に移ってもその繰り返しで、二人は自分たちで土をこねてレンガを作り自分たちの家を作り始めます。

病気になり輸血が必要な豪農の当主がRH-の血液を持つ ヨウティエに輸血を頼むのですが、相応の報酬を払うわけではなく輸血が終わった後で食事をご馳走するくらいで無償なんですね。この豪農が村人の収穫を政府に売る取りまとめ役をしているので、クイインがもう止めてと頼んでも村人の為に何度も輸血をするヨウティエ。
クイインのためにコートを買おうとしてお金が足りず諦めたヨウティエを見て、値切って買ったそれをさも親切そうにあげるという彼に、ヨウティエは代金は収穫で払います。値切ったことを知らないので言われた値段でね。😖 素朴で優しくて正直者なのです。クイインが初めて彼と会った時にロバに優しく接していた姿を見て「この人となら」と思ったのも頷けます。

クイインを荷馬車に乗せて自分は歩くヨウティエを冷やかす村人たちに、彼は「荷物とクイインの他に自分も乗ったらロバが可哀相だ」と答えます。

働き者の二人は、麦畑だけでなくじゃがいやトウモロコシなどを栽培し、卵から雛を孵して育てます。そんなある日、荷馬車に麦を積む作業に難儀するクイインに思わず酷い言葉で罵ったヨウティエ。すぐに後悔しますが、彼にとってクイインは憐み保護してやる対象ではなく対等な働き手になっていたんですね。

嵐の夜に日干しレンガを守るために必死にビニールを掛ける二人。ずぶぬれの妻を心配する夫に生い立ちの中で過酷な状況には身体が慣れていると笑う妻。
風邪を引いたクイインに鶏が産んだ初めての卵を料理して食べさせるヨウティエに彼女が「幸せになったのに身体が弱くなった」とすまなそうに言う場面で感じた一抹の不安はやがて現実となります。

兄に頼まれた仕事で遅くなったヨウティエ。夫の帰りを心配して外に出たクイインが川に流されて還らぬ人となってしまいます。この時「卵」を持って夫の帰りを待っていた彼女の気持ちが何とも切ない。

妻の亡骸に寄り添い、その手に麦を押し付けて作った小さな「花」。指輪も買ってやれない彼が妻に贈った愛の証です。タイトルはここからですね。😀 
ヨウティエは収穫した作物を全て売り払い、借金や卵(以前雛を孵すために借りていた)を返し、ロバを解き放ちます。

二人で建てた家が解体される様子を静かに眺めた後、ヨウティエは村を去っていきます。村人たちは彼が町(貧窮者に与えられた共同住宅)に行くのだと話します。自由になった筈のロバは戻ってきていて彼とともに行ったのだと思われます。

以前交わした二人の会話の中で「植物と違って人間はどこへでも行ける」と言ったクイインに、「農民は土地に縛り付けられどこへも行けない。」と彼は答えました。そのヨウティエが村を去る=農民を捨てる。クイインを喪った哀しみの深さが胸を抉ると同時に彼はこれまでのしがらみから自由になったのだとも感じました。

想像もできないほどの貧しい暮らしの中で、それでも二人の互いを思いやり慈しむ気持ちが痛いほど伝わってきます。土地とともに生きる農民の逞しさ、応えてくれる自然の素晴らしさ、何気ない毎日の中にある喜びを共に味わっている気になりました。これがたった十数年前の中国の農村の姿だということにも衝撃を受けました。

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ロスト・キング 500年越しの運命

2024年04月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年9月22日公開 イギリス 108分 G

フィリッパ・ラングレー(サリー・ホーキンス)は職場で上司から理不尽な評価を受けるが、別居中の夫(スティーブ・クーガン)から生活費のため仕事を続けるように言われてしまう。そんなある日、息子の付き添いでシェイクスピア劇「リチャード三世」を鑑賞した彼女は、悪名高きリチャード3世も実際は自分と同じように不当に扱われてきたのではないかと疑問を抱き、歴史研究にのめり込むように。1485年に死亡したリチャード3世の遺骨は近くの川に投げ込まれたと長らく考えられてきたが、フィリッパは彼の汚名をそそぐべく遺骨探しを開始する。(映画.comより)


500年にわたり行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨発見の立役者となった女性の実話をもとにしたヒューマンドラマです。

フィリッパは勤め先で上司から正当な評価を与えられていないと感じます。それは彼女の持病も理由になっているようです。そんな時、シェイクスピア劇の「リチャード3世」を観た彼女は、リチャード王もまた不当な評価をされている人物と感じ彼にシンパシーを抱きます。直後から彼女は王の幻影を見るようになります。

リチャード3世について調べ始めたフィリッパは、シェイクスピア作品によりテューダー朝の敵役(甥殺しのせむし男)として描かれ後世に伝わっていることを知ります。
リチャード3世協会に入会した彼女は、王の墓を探すことに情熱を燃やします。
川に投げ捨てられたという説もある中、伝手を辿って教会に遺体が埋葬されていると確信したフィリッパは、王の幻影に導かれるようにして訪れたレスターの社会福祉事務所の駐車場北端で『リチャードの墓の上に立っているんだ』と感じるのです。彼女の動機や原動力はまさに「感情」に突き動かされたというのが理由です。

発掘の協力を求めて色々な団体に声をかけますがことごとく断られます。彼女は諦めず、知り合いの名を借りて市長に面会し、考古学者に会い、レスター大学の協力を得ることができますが、探知機での調査で反応が無く、資金も底を尽き大学も手を引いてしまいます。

それでも諦めず、クラウドファウンディングで資金を集めて駐車場を掘り始めると、早速足の骨が見つかります。フィリッパはその骨こそが王のものだと直感しますが、考古学者は別の人物のものだろうと他の場所を掘ろうとします。

釈然としないながらも強く主張できずにいたフィリッパでしたが、元夫のアドバイスに吹っ切れて、足の骨を掘り進めるよう迫ります。それはまさしく王の骨だったのです。せむしと言われきた王は側弯症だった(その違いがいまいちわからない😓 )ことも判明します。

リチャード3世の遺骨発見に世間は沸きますが、その功績はレスター大学に横取りされ、記者会見の場にフィリッパの席はありませんでした。抗議するフィリッパをいなす大学の広報?の男が非常に利己的な人物として描かれ悪役になっていました。

王の遺骨が厳かに葬られる場面の裏で、講演を頼まれたフィリッパが学生たちの前で「正当な評価をされない人を正当に評価されるためにした」と語るシーンで映画は幕を閉じます。

前半、精神を病んでいるかのように突き動かされるフィリッパに引いてしまいます。
二人の息子の世話も夕食の支度もせずに自分の想いだけに囚われる姿は異常に感じました。仕事を休んで探求に没頭する彼女に元夫も心配と懐疑の目を向けます。しかし映画が進んでいくと、息子たちも夫もフィリッパを応援するようになっていくんですね。クラウドファウンディングに匿名で寄付したのも息子たちの発案で元夫が新車を買う資金を出したものだったという。😊 

骨が王の遺骨とわかったとたん掌を返す大学側の対応に憤慨する頃にはフィリッパの側に心情が傾いていました。😁 

王の幻影は彼女が遺骨を見つけたことで消えていきます。王にとっては名誉の回復がなされることより遺骨が安らかに埋葬されることの方が嬉しかったのかなぁと感じてしまいました。

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花水木: 東京湾臨海署安積班

2024年04月08日 | 
今野敏(著) ハルキ文庫

五月も終わりかけた東京湾臨海署に喧嘩の被害届が出された。ささいな喧嘩でなぜ、被害届が?疑問を抱く安積班の須田は、事件に不審な臭いを感じ取る。だが、その頃、臨海署管内に殺人事件が発生。殺された被害者からは複数に暴行を受けたらしい痕跡が…。殺人事件の捜査に乗り出す安積たちだったが、須田は、傷害事件を追い続けることに―。それぞれの事件の意外な真相とは!?(「花水木」より)五編を収録した新ベイエリア分署・安積班シリーズ、待望の文庫化。(内容説明より)


この文庫本が出版されたのは2009年(単行本は2007年)ということで、まだお台場が開発途上の頃の話なんですね。TVドラマで佐々木蔵之介が安積を演じた「ハンチョウ」を何作か観た記憶があるのですが、原作を読んだのは初めてかも。

お台場に新設された東京湾臨海署(通称ベイエリア分署)を舞台に安積警部補と部下たちが活躍する警察小説になっています。

安積警部補は刑事課強行犯係係長で、別れた妻との間に娘が一人います。
彼の部下は4人登場します。

須田部長刑事は小太りで動作も緩慢でおよそ刑事らしくない容貌ですが、頭の回転は速く、独特の視点を持つそのひらめきが事件解決に一役買っていて、安積のひそかなお気に入り。

村雨部長刑事は真面目で規律正しい最も刑事らしい刑事なのですが、須田と正反対に黙々と仕事をこなす優等生タイプのため、安積は性格的にソリが合わないと思っています。

黒木巡査は須田の相棒で、精悍な体つきをしていて寡黙な性格です。二人の相性は良くて互いに信頼しています。

一番若い桜井巡査は村雨と組んでいて、その関係はまさに上司と部下に見えますが、案外本人たちは気が合っているようです。

安積の親友?悪友?の速水警部補は、本庁直属の交通機動隊小隊長で部下たちからヘッドと呼ばれ慕われています。

安積は率先して陣頭指揮するタイプではなく、部下に任せながら要所では自分が判断する感じかな。2組の部下たちそれぞれを信頼しているからこそで良いチーム(班)になっています。😀 事件の度に速水がタイミングよく登場し安積に絡んでくるのも楽しい。

本作は5つの小編から成っていますが、特に推理力は必要なく軽く読める感じでした😁  

・花水木
一見関連の無さそうな喧嘩事件と殺人事件でしたが、須田が「ハナミズキの匂い」という被害者の言葉に感じた違和感がきっかけとなり結びつきます。殺人を隠すためにもう一つの「事件」でアリバイ作りをしようとしたのね。

・入梅
コンビニ強盗事件が発生して捜査にあたる中、須田と村雨がそれぞれ感じた引っかかりを元に犯人確保に乗り出す安積班。
上司から村雨に昇進試験の打診を依頼された安積が何とかタイミングを掴んで切り出すのですが、あっさり断られます。それは今の安積班を気に入っているということなんですよね。

・薔薇の色
馴染みのバーに揃った安積・村雨・須田と速水。一同が揃うなんてめったにない。そこで速水が店内に飾られている一輪挿しの薔薇の色の意味を知っているかと3人に問います。須田と村雨が推理を披露しますがそれぞれの個性が出ていて面白い。〆はもちろん安積で見事に解いたご褒美はもちろん貴重なウィスキー😋 

・月齢
蒸し暑いフルムーンのお台場で次々起こる事件に駆り出される安積班。刑事事件にはならず地域課に後始末を頼んだまでは良かったが、今度は「狼男」出現の情報に署全体が振り回されることに。須田の冷静な推理を信じた安積の判断で騒動は沈静します。まさに満月は人の感性を狂わす魔力がある?

・聖夜
日曜のクリスマスイブに傷害事件が発生。加害者は逃走し緊配がかかりますが、被害者までも病院からいなくなり双方を探すはめに。病院着の上にシーツを被った被害者は長髪で髭の容貌もあってキリスト降臨のような効果を安積班にもたらします。
事件解決の後、安積は元妻と娘と久しぶりに食事をすることになるようで・・。


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スラムドッグス

2024年04月02日 | ドラマ
2023年11月17日公開 アメリカ 94分 PG12

犬のレジー(声:ウィル・フェレル)はある日、飼い主のダグ(ウィル・フォーテ)に家から遠い場所に捨てられてしまう。ピュアなレジーは、これも遊びだと信じて疑わず、家を目指してさまよっていたが、そこで野良犬界のカリスマ、ボストンテリアのバグ(ジェイミー・フォックス)と出会い、自分が捨てられたということを知らされる。野良犬になってしまい、飼い主ダグが最低なヤツだということに気づいたレジーは復讐を決意。それに賛同したほかの犬たちも加わり、一同は珍道中を繰り広げる。(映画.comより)


捨てられた犬が飼い主に復讐を企てる姿を描いたコメディとされていますが、かなりきわどい下ネタ満載のブラックコメディでした。
これ、絶対子供と一緒に観れない作品だな😨 あ、PG12指定だったわ

ダグは最低の飼い主でした。彼女に振られたのは浮気相手の下着を咥えて現れたレジーのせいとブチ切れたダグはレジーを捨てに行くのですが、レジーの方は遊びだと信じ切って何度でも戻ってきてしまいます。そこでダグは車で3時間かけた遠い場所にレジーを置き去りにします。

迷子になってしまったレジーは野良犬のバグと出会い、セクシーな雌のオーストラリアンシェパードのマギー(アイラ・フィッシャー)とデカちん自慢のグレートデーンのハンター(ランドール・パーク)を紹介され意気投合します。
ダグのことを話したところ、皆からお前は捨てられたんだと諭されたレジーは、ダグのおちんちんを嚙みちぎってやると復讐を決意。バグたちも一緒にダグの家を目指すことになります。

レジーが覚えていた3つの目印。
まずは観覧車のあるお祭り広場です。屋台からソーセージを盗んできたまでは良かったのですが、花火に驚いてパニックになり逃げだします。逃げ遅れたレジーをバグたちが助けたことで4匹の友情は更に深まります。友情の証がお互いにおしっこを掛け合うことってのがまた・・・。😓 (交尾とかマーキングとか、犬なら当たり前の行動なのだけど、セリフとして聞くとどうも尻のすわりが悪くなるなぁ。)

鷲?(鷹?)に襲われたバグを助けようとレジーがバグの足に飛びつき2匹とも空中を連れ去られますが、何とか森の木に落ちて助かります。この事件で2匹の友情はより強くなるのね。

空腹を抱えた4匹が森で幻覚作用のあるキノコを食べて錯乱状態になり、ウサギのぬいぐるみを見つけて引き裂くのですが、正気に戻った彼らが見たのは本物のウサギのバラバラ死体でした。(この場面がかなりシュール)ダグはウサギの死体を埋めて証拠を隠滅します。
そこに、行方不明の少女を探しにやってきた警察犬がやってきて焦った4匹でしたが、ハンターの警察犬時代の仲間でした。ところが通報されて動物管理局の人間に捕まってしまいます。

バグは自分の過去(飼い主の少女に足を踏まれて驚いたバグが噛んでしまった事で捨てられ処分されそうになった)を告白し、このままだと殺されると訴えます。
レジーは檻の中にいる全員でウンチをしまくり、掃除のために扉を開けた隙に逃げ出すことを思いつきます。作戦は成功し、係員はウンチまみれに。😁 

ダグの家が近づくとレジーの気持ちがダグ恋しさに変っていきます。そんなレジーにバグが怒って喧嘩別れとなります。

一匹で森に入っていったバグは行方不明になっていた少女と出会います。前の飼い主を思い出して不安そうな少女を安心させようと寄り添うバグ。そこにマギーやハンター、警察犬もやってきて少女は救助されました。

ダグの家に辿り着いたレジーでしたが、以前と変わらないダグの態度を見てこれまでの仕打ちを思い出します。ダグと縁を切ろうと決意したレジーですが、その言葉はダグには煩く吠えているだけでしかありません。切れたダグはレジーをバットで殴殺しようとしますが、そこにバグ、マギー、ハンターが現れます。

ダグを引き倒した4匹。ハンターがダグの顔にウンチをし、バグとマギーが両足を押さえ、レジーがチンコに噛みちぎります。見事復讐は果たされたわけね。騒動の余波で家も車も焼けてしまいましたが、ダグに同情する気には全くなれませんね。

その後。
マギーとハンターは恋仲に。ハンターはセラピー犬としてマギーもその鋭敏な嗅覚を買われて警察の仕事をします。
バグは助けた少女に飼われますが、レジーは野良犬として生きる選択をします。でもバグのところに遊びに行くと少女はレジーのことも可愛がってくれ、おそらくは居場所を見つけることになりそうですね。

本当はレジーもダグが最低な飼い主だと気付いていたけれど、自分は愛されていると信じたかったんだよな~~。
コメディではあるけれど、現実の厳しさや切なさも込められていて深身も感じます。でもやっぱりお下劣下ネタはついていけない。


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