2018年5月25日公開 123分
平田家の長男・幸之助(西村まさ彦)の妻・史枝(夏川結衣)がコツコツ貯めていたへそくりが何者かに盗まれてしまった。史枝が落胆する一方で、「俺の稼いだ金でへそくりをしていたのか!」と心ない言葉を口にする幸之助の姿に史枝の我慢が限界に達し、ついには家を飛び出してしまう。掃除、洗濯、朝昼晩の食事の準備など、これまで平田家の主婦として史枝がこなしてきた家事の数々をやるハメになった平田家の人びとは大混乱となるが……。(映画.comより)
山田洋次監督による喜劇映画シリーズ第3弾のテーマは、主婦への讃歌なんだそうな。橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優らシリーズおなじみのメンバーが顔を揃えています。
三作目ともなれば、前作を超えるパワーを期待するのはちょっとハードル高いかもですが、そこは安定の人情喜劇に仕上がっています。でも欲を言えば、史枝の主婦業の大変さをもう少し掘り下げて欲しかったし、題名となっている「薔薇」のスカーフを選んだ幸之助の心情ももっと描いて欲しかったかな
舅・姑に・夫や子供の世話に明け暮れ、掃除の合間につい眠り込んでしまった隙に空き巣に入られてしまった史枝さん。空き巣役が笹野高史さんで登場した瞬間思わず笑いが
冷蔵庫に隠してあったへそくりを見つけられたところに鉢合わせしてしまうのですが、驚きと恐さで声も上げられないうちに持ち去られてしまうんですね~
本編では捕まらないまま終わってしまいましたが、かなりの大金です。
海外出張から帰って事件のことを聞いた幸之助は、妻の心配より先にへそくりをしていたことを責めます。いや、そこは例え腹の底ではどうあれ「怪我なくて何より」と言って労わるのが正解。夫の態度に深く傷ついた史枝は家出しちゃうんですね 両親は既に他界しているものの、実家が残っているという設定です。空き家になっていた実家をせっせと掃除する史枝さんは根っからの主婦です。
ここまで(の前振り)が、けっこう長い
突然母がいなくなり子供たち(といってももう中学、高校生くらい?)もかなり動揺してます。離婚しちゃうのかとか、自分たちはどうでもいいのかとか、子供なりに悶々とするんですね~~ そんな彼らを見守る叔父さん叔母さんたち。家族の危機は家族で切り抜けようと奮闘する姿がコメディタッチで描かれます。腰を痛めた富子の代わりに手伝いにきた居酒屋の女将(風吹ジュン)を家政婦だと偽るエピも笑えます。後で富子にばれてまたまた騒動になるのかと期待したけど、そこはスルーでした。慣れない家事労働に疲れた周造が寝てしまって鍋をこがすシーンでは、これまたお馴染みのうなぎ屋の出前持ちがお手柄です。
弟・庄太の真剣な訴えに心を動かされたのか、幸之助が重い腰を上げて史枝を迎えに行くシーンでは大雨が。実は幸之助自身、迎えに行くきっかけが欲しかったんですね。 出張土産のスカーフは「薔薇柄」。幸之助自らが選んだらしい
なんだ!ちゃんとこの夫婦、通じ合ってるじゃない
と思わせるシーンです。
一緒のお墓に入りたくないと言い出す富子さんに焦る周造さんや、遠慮のない兄妹喧嘩をする幸之助、成子の姿に「あるある~~」と思い、ラストでは平田家に新しい「家族」誕生の兆しを感じ、これは「寅さん」並みにシリーズ化していくのかしらん?