杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII

2018年05月28日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年5月25日公開 123分

平田家の長男・幸之助(西村まさ彦)の妻・史枝(夏川結衣)がコツコツ貯めていたへそくりが何者かに盗まれてしまった。史枝が落胆する一方で、「俺の稼いだ金でへそくりをしていたのか!」と心ない言葉を口にする幸之助の姿に史枝の我慢が限界に達し、ついには家を飛び出してしまう。掃除、洗濯、朝昼晩の食事の準備など、これまで平田家の主婦として史枝がこなしてきた家事の数々をやるハメになった平田家の人びとは大混乱となるが……。(映画.comより)


山田洋次監督による喜劇映画シリーズ第3弾のテーマは、主婦への讃歌なんだそうな。橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優らシリーズおなじみのメンバーが顔を揃えています。

三作目ともなれば、前作を超えるパワーを期待するのはちょっとハードル高いかもですが、そこは安定の人情喜劇に仕上がっています。でも欲を言えば、史枝の主婦業の大変さをもう少し掘り下げて欲しかったし、題名となっている「薔薇」のスカーフを選んだ幸之助の心情ももっと描いて欲しかったかな

舅・姑に・夫や子供の世話に明け暮れ、掃除の合間につい眠り込んでしまった隙に空き巣に入られてしまった史枝さん。空き巣役が笹野高史さんで登場した瞬間思わず笑いが 冷蔵庫に隠してあったへそくりを見つけられたところに鉢合わせしてしまうのですが、驚きと恐さで声も上げられないうちに持ち去られてしまうんですね~ 本編では捕まらないまま終わってしまいましたが、かなりの大金です。

海外出張から帰って事件のことを聞いた幸之助は、妻の心配より先にへそくりをしていたことを責めます。いや、そこは例え腹の底ではどうあれ「怪我なくて何より」と言って労わるのが正解。夫の態度に深く傷ついた史枝は家出しちゃうんですね 両親は既に他界しているものの、実家が残っているという設定です。空き家になっていた実家をせっせと掃除する史枝さんは根っからの主婦です。

ここまで(の前振り)が、けっこう長い

突然母がいなくなり子供たち(といってももう中学、高校生くらい?)もかなり動揺してます。離婚しちゃうのかとか、自分たちはどうでもいいのかとか、子供なりに悶々とするんですね~~ そんな彼らを見守る叔父さん叔母さんたち。家族の危機は家族で切り抜けようと奮闘する姿がコメディタッチで描かれます。腰を痛めた富子の代わりに手伝いにきた居酒屋の女将(風吹ジュン)を家政婦だと偽るエピも笑えます。後で富子にばれてまたまた騒動になるのかと期待したけど、そこはスルーでした。慣れない家事労働に疲れた周造が寝てしまって鍋をこがすシーンでは、これまたお馴染みのうなぎ屋の出前持ちがお手柄です。 

弟・庄太の真剣な訴えに心を動かされたのか、幸之助が重い腰を上げて史枝を迎えに行くシーンでは大雨が。実は幸之助自身、迎えに行くきっかけが欲しかったんですね。 出張土産のスカーフは「薔薇柄」。幸之助自らが選んだらしいなんだ!ちゃんとこの夫婦、通じ合ってるじゃないと思わせるシーンです。

一緒のお墓に入りたくないと言い出す富子さんに焦る周造さんや、遠慮のない兄妹喧嘩をする幸之助、成子の姿に「あるある~~」と思い、ラストでは平田家に新しい「家族」誕生の兆しを感じ、これは「寅さん」並みにシリーズ化していくのかしらん?


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アウトレイジ 最終章

2018年05月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年10月7日公開 104分 R15+

関東最大の暴力団組織・山王会と関西の雄・花菱会との抗争後、韓国に渡った大友(ビートたけし)は日本と韓国を牛耳るフィクサー、張会長のもとにいた。花菱会幹部の花田は取引のためやって来た韓国でトラブルを起こして張会長の手下を殺してしまい、張グループと花菱は緊張状態へと突入する。激怒した大友は日本に戻り、過去を清算する好期をうかがっていた。その頃、花菱会ではトップの座をめぐる幹部たちの暴走がはじまっていた。

 

北野武監督・主演で裏社会に生きる男たちの抗争を壮絶に描いたバイオレンス映画「アウトレイジ」シリーズの最終作です。(たまたま一作目の試写会に当たって観たので、「ビヨンド」も地上波で視聴しましたから、ここまできたら最後まで・・一応観とかないとね

この手の業界の方々の切った張ったの復讐劇は苦手なんですが、出てる俳優さんたちは相変わらず早々たるメンバーですね。(西田敏行、塩見三省、白竜ら前作からの続投組に加え、大森南朋、ピエール瀧、岸部一徳、大杉漣、原田泰造、池内博之らが新たに参加してます。)大友を慕う舎弟役は大森南朋。花菱会の新しい会長の野村(大杉漣)は先代会長の娘婿で元証券マンという堅気出身のため、叩き上げの幹部は苦々しく思っています。逆に野村も彼らが邪魔!ということで互いに隙あらば相手を蹴落とそうと狙っているところに大友との間にトラブルが起きるわけです。

そこに山王会や警察の思惑も絡み、お礼参りやら敵討ちやらのドンパチが繰り広げられるわけ。

騙し騙されの権力闘争は醜いですね~~ 

最後に大友が自らの落とし前(これが北野流「男の美学」なのかな)をつけたところで、今度こそ本当に「終」なんだよね?


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ベルサイユのばら

2018年05月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年10月14日 デジタルリマスター版日本公開 日本=フランス 124分 

18世紀のパリ。将軍である父の意向で軍人として育てられた貴族令嬢オスカル(カトリオーナ・マッコール)は、王妃マリー・アントワネット(クリスティーネ・ベーム)の近衛隊に配属され、王妃の愛人フェルゼン(ジョナス・ベリシュトルーム)に恋をする。一方、オスカルと兄弟のように育った乳母の孫アンドレ(バリー・ストークス)は、オスカルへの身分違いの恋心に苦悩していた。アンドレはパリ庶民の貧しさについてオスカルに説き、革命運動に参加するよう求める。


これは1979年に公開されているのですね。池田理代子の同名少女漫画の実写映画化で、オールフランスロケを敢行し、本物のベルサイユ宮殿で撮影したそうです。

実写となると、妙に生々しい人間模様となるのが興冷め。あの長い物語を二時間にまとめているため、オスカル目線で進んでいく物語にはジャンヌの首飾り事件は出てきますが、ロザリーとの交流はほぼ割愛されています。アントワネット王妃はただの我儘浪費女だしね どうも上っ面をなぞった印象が否めませんでした。原作漫画の夢のあるキラキラした世界観を求めてはいけないのね 


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さだまさし -45周年記念コンサートツアー2018 Reborn ~生まれたてのさだまさし~ セトリあり

2018年05月25日 | ライブ・コンサート他

2018年5月25日 川口リリア  

17:30開場 18:00開演

Reboren~嘘つき~

長崎小夜曲

線香花火

指定券

檸檬

 メドレー私の履歴書2018夏

精霊流し 無縁坂 秋桜 案山子 北の国から~遥かなる大地より~

桜ひとり

へたっぴ

片恋

夢見る人

1989年渋滞ー故大屋順平に捧ぐー

天然色の化石

おんまつり

田舎暮らしの小さな恋に与える狂詩曲

AC 虹~ヒーロー~

 

第4293回目のコンサートは川口リリアホールから

かなり前列でしたから肉眼でさださんの爪がキラキラ光っているのまでしっかり良く見えました。(ギターをつま弾くためコーティングしているのだとは思うのですが、それにしても凄く光ってたぞ

翌日は仙台でコンサートの後に某国営放送の「生さだ」出演。その翌日(日曜日)はダービーで国歌斉唱と相変わらず忙しい毎日を送られているようです (後日東京競馬場でのそのシーンはしっかり見させていただきました

今回のツアーではまたまたバックの人数が増えていました。

最新時事ネタのジョークも取り入れダジャレも連発していました。

トークで紹介していた浅田飴とのコラボ「あ、さだ飴」は終演後に衝動買いしちゃったぞ。

まだ食べてないけど中身はそのまんま浅田飴だそうです。


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のみとり侍

2018年05月23日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年5月18日公開 110分 R15+

長岡藩のエリート藩士・小林寛之進(阿部寛)は、運悪く藩主(松重豊)の機嫌を損ねてしまい、猫の「のみとり」の仕事に就くよう命じられる。それは文字通り猫ののみを取って日銭を稼ぐものだが、実際は床で女性に愛をお届けする裏稼業であった。長屋で暮らすのみとりの親分・甚兵衛(風間杜夫)・お鈴(大竹しのぶ)のもとで働きはじめた寛之進は、初めてののみとり相手であるおみね(寺島しのぶ)から下手くそと罵られたものの、伊達男・清兵衛(豊川悦司)の指南によって腕を磨いていく。そんな中、老中・田沼意次の失脚を受けてのみとり禁止令が敷かれ、寛之進らは突如として犯罪者扱いされてしまう。


小松重男の短編小説集「蚤とり侍」のエピソードをもとに、「後妻業の女」の鶴橋康夫監督が脚本も書いた時代劇コメディです。

いや・・その稼業の正体については予告編で知ってはいましたが、映画の中でも前半はそちらの描写がけっこうしっかりあります。R指定だもんね でも、挿入される音楽がやたら明るく楽し気なので淫猥さはほぼありません。江戸時代の春画を愛でる町人の気分を味わえる・・かも

最初のうちは、バカ殿の言葉を真に受けた寛之進に呆れるやら可哀想やらでしたが、変に世間知らずな彼が、生来の生真面目さと勉強熱心さを発揮して、町人の中で次第に生き生きとしてくるのが面白いです。おみねの一言「この下手クソ!」で凹む寛之進。これまで培ってきた武芸もまるで無意味なものとなった彼の生きる道はただ一つしかありません。

彼の指南役を演じるのはトヨエツこの人の色気はまさに役にうってつけ感がありました。その女房・おちえ役が前田敦子。表向きは淑やかですが、夜はドS女に変身!悋気なおちえを可愛らしく演じています。 浮気な亭主を持ったら大人しくなんてしてられないですもんね~~江戸の女は強かった! 一物にうどん粉のエピソードは笑えます。

貧乏長屋の住人で、無償で子供たちに勉強を教える浪人・佐伯友之介役は斎藤工さん。う~~ん・・この役って何だか中途半端なんですが もう少し寛之進たちと絡んで欲しかったかな~~ (一緒にのみとり侍する方がキャラに合ってる)彼が猫に引っ掛かれた傷が元で倒れた時に診てくれた町医者(伊武雅刀)が金の亡者じゃなくて立派な人柄だったのも良かったです。刀のエピソードは、人情の中に権力者への風刺も込められていてです。この時、彼を助けるため長屋を飛び出した清兵衛さんはバカ殿の乗った馬に蹴られ・・・ん?どうなるんだ

田沼意次(桂文枝)は歴史上では賄賂政治を行った悪者扱いですが、映画ではおみね(田沼の囲われ者)と同衾しているところを田沼が突然訪れる場面で、その会話の中に田沼が開明的政治家であることが示唆されていました。ここで寛之進は、自分の失脚が彼を疎ましく思う者たちにより画策されたものだと知ることになります。しかし直後、田沼は失脚しちゃうんですね~。そして、松平定信の質素倹約令を受け、のみとり稼業は違法となります。一種の見せしめですね

鋸引きの刑を受ける「のみとり」たち。でも二日を乗り切れば無罪放免となるらしい。意外と大らかな江戸時代彼らを愛する町人たち(親分や馴染みの町衆、長屋の皆)が守ります 

ところが、最終日、突如寛之進は殿の前に引き出されることに。その場には行方不明になった清兵衛もいて・・。実は馬に蹴られた彼は記憶喪失になっていたらしい。(あれ?本当にバカ殿ならさっさと始末してそうだけど??)殿に真実をぶちまけ潔く沙汰を受けようとする寛之進に藩主がかけた言葉は意外にも名君主の如き重さがありました。なんだ~バカ殿じゃなくてちゃんとした人だったんじゃないの 松重さんが演じてるんだもんね~~そうだよね~~と妙に納得

まさに愛と笑いの痛快人情喜劇。大人の娯楽映画でした


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パターソン

2018年05月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年8月26日公開 アメリカ 118分

ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)。朝起きると妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マーヴィンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない時間だ。そんな彼が過ごす7日間が描かれる。(映画.comより)


パターソン市に住むバス運転手パターソンの何気ない日常を切り取った人間ドラマです。ラストでパターソンと出会う日本人詩人を永瀬正敏が演じています・・・え?そうだったの?? 日本人だなぁとは思って観てたけど・・わかりませんでした

ジム・ジャームッシュ監督なんですね~~。独特の間の取り方とか淡々と流れる日常描写とか、物語自体が詩的です。

でも作品に物語を期待する私向きではないかな。

月曜から日曜までの一週間を淡々と追う画面。毎朝目覚ましで起きて妻にキス。毎晩二人は睦まじく体を寄せ合って眠るんですね~~。それだけでも十分幸せな毎日だよね。

マーヴィンの散歩の途中に寄るバーでは常連客の揉め事に巻き込まれたりします。パターソンの穏やかな生活の中のちょっとしたスパイスになっています。バスの乗客の少女との会話はまさに小さな詩人との邂逅です。 そんな積み重ねが彼の詩のインスピレーションになってくるんですね。

妻のローラは芸術家。その感性は時々パターソンの理解を超えてしまうけれど、妻にぞっこんの彼はその全てを受け入れてしまいます。分不相応の買い物も、不味い料理もね。見てるこちらが少々歯がゆいというか苛立つほどの寛容さです。

その寛容さも土曜の夜、ローラとデートして帰宅した時、マーヴィンの悪戯で詩のノートが無残に引き裂かれた時には少しだけ揺らいでしまいます。(そういえば、ローラは彼にノートをコピーして欲しいと懇願していましたが、結局彼はしてないんですね~~)ノートを置き忘れてしまった自分にも非があるわけで、どこにもぶつけられない憤りと喪失感を抱えてベンチに座り込んだ彼に、日本人旅行者が声を掛けてきます。彼もまた詩人であり、パターソン市が生んだ有名な詩人を偲んでこの町を訪れたらしい。会話は弾み、別れ際にパターソンは一冊のノートを贈られます。彼の詩人としての新しい章が開かれたのですね。

そしてまた月曜の朝がやってきて・・・

だから??って思う人には合わない作品ですね。

詩の翻訳は難しいと劇中でも言っていますが、字幕に翻訳された彼の詩もよくわからなかったけれど、なんとなく響き?余韻?は感じることができました。(でも少なくとも私は詩人ではないなぁ)


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ジュリーと恋と靴工場

2018年05月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年9月23日公開 フランス 84分

田舎町に住む25歳のジュリー(ポーリーヌ・エチエンヌ)は、やっとのことでフランスのロマン市にある高級靴メーカーの工場で試験採用となる。ところがその工場は、近代化の煽りを受けて閉鎖の危機に直面していた。居場所を失うことを恐れた靴職人の女性たちが抗議のためパリの本社へと乗り込み騒動を起こし、ジュリーもこの騒動に巻き込まれ、あやうくクビになりかけてしまう。その一方で、運転手のサミー(オリビエ・シャントロー)と仄かな恋の予感も……。ジュリー、そして職人の意地とプライドをかけた女性靴職人たちは「闘う女」と名づけられた赤い靴を武器にこの危機を乗り超えようとする。

 

郊外の靴工場で働く女性が自立していく姿をミュージカル仕立てで描いたフランス映画です。え?ミュージカル作品だったなんて知らなかったよ~~。突然歌い踊りだすのはミュージカル映画だから当然ですが、どうもB級感は否めませんでした。

男に棄てられ、仕事も首になり、お金もないジュリーは、何とか職を得ようと片っ端から面接を受け、やっと靴工場で試採用になりますが、そもそもそんなに面接受けてダメって、彼女自身に欠けているものがあるってことなんじゃ?と思う時点でもう彼女の置かれている世間的状況を理解してないってことですかね (フランスも失業率高そうだし、若者の就職難も深刻なんでしょう。)でも働いてる場面でもかなり不器用そうでしたが

とりあえず正社員になることが目的のジュリーは、靴職人たちの騒動に巻き込まれることを避けようとします。でも経営者の弁に騙されそうな仲間を見て放っておけなくなるのね。「私はただ仕事がしたいだけなの」と言うジュリーはこれまでの無気力で冷めた彼女とは違ってみえました。ジュリーを直接面倒みていた女性より社長秘書の方がよほど彼女に親身だったかな。

「闘う女」は個人的にはそれほど素敵な靴には見えなかったのですが、あの赤はとても印象的 靴の作られる過程を描いたシーンも洒落ていて素敵でした。ジュリーは職人ではないので仕方ないのですが、この技術の方をもっと見せて欲しかったなぁ。フランスの女性も団結したら強い!! 世間の思わぬ評価に掌返しの経営者も嫌いですが、あっさり正社員のチャンスを捨ててサミーを取るジュリーには最後まで共感できなかったかな。結局仕事より男かい!! まぁ、正社員になっても技術のないジュリーは相変わらず梱包しかさせてもらえなさそうですから、案外その選択間違ってないのかもね。


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ピーターラビット

2018年05月21日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年5月18日公開 オーストラリア・アメリカ・イギリス合作 95分

ピーター(声:ジェームズ・コーデン)は世界で一番幸せなウサギ。たくさんの仲間に囲まれ、画家のビア(ローズ・バーン)という心優しい大親友もいる。亡き両親のことを想うと寂しいけれど、ビアの存在がすべてを吹き飛ばしてくれる。ところがある日、大都会ロンドンから潔癖症で動物嫌いのマグレガー(ドーナル・グリーソン)が隣に引っ越してきたことで、ピーターの生活は一変!今までの幸せを守りたいピーターと、あの手この手で動物たちを追い払おうとするマグレガーとの争いはエスカレート。さらにビアへの“恋心”も絡まって思わぬ大事件に発展!ピーターはあるミッションを秘めて、初めてのロンドンへ向かうのだが——。(公式HPより)


ビアトリクス・ポターの絵本「ピーターラビット」をハリウッドで初めて実写映画化しました。

以前作者のことを描いた「MissPOTTER」を観て気に入りDVDも購入したので、こちらも大いに期待して観たのですが、その期待は裏切られませんでした 

何しろCGのピーターのやんちゃぶりが堪りません 実は物語自体は良く知らなかった私。(お父さんがマクレガーさんに捕まってパイにされたことだけは知ってたけどね

映画の冒頭ではマクレガーおじさん(サム・ニール)相手に華々しく戦いを挑むピーター。そりゃお父さんの仇だもの、当然よね妹たち:フロプシー(マーゴット・ロビー)、モプシー(エリザベス・デビッキ)、カトンテール(デイジー・リドリー)や従弟のベンジャミンも協力します。遂に勝利(マクレガーさんが急死)して、彼の屋敷を我が物顔で占領するピーターたち。ここではあひるのジマイマやかえるのフィッシャーどんや豚や鹿やきつねまでもが一緒になって大宴会です

ところが、遠縁のトーマスが屋敷を相続してやってきて、彼らは追われてしまいます。更にトーマスはピーターの大好きなビアに急接近。恋敵の登場に俄然闘志を燃やすピーターはあの手この手でトーマスを撃退しようとし、トーマスの方もピーターたちを近づけまいと大人げない喧嘩が繰り広げられるのです。

彼らのバトルはどんどん過激さを増し、遂にピーターやビアのサンルームの破壊に至ります。直接的にはピーターがスイッチを押しちゃったんですが、誤解したビアはトーマスと別れ引っ越しすることに。反省したピーターは彼らの仲を取り持つためにロンドンに向かうの。

潔癖症が仇となり勤め先であるハロッズのおもちゃ売り場を首になったトーマスですが、実は玩具とお客を愛する根は良い奴なんですね。トーマスも屋敷を売りに出し、再びハロッズで働き始めていたのですが、ピーターの説得が功を奏し、ビアの誤解も解けます。屋敷を買った相手の夫婦はピーターたちが例の手で追い出してめでたしのラストです。

ピーターとトーマスのバトルはかなりシュールに描かれていて、これがウサギ相手じゃなかったらスパイかマフィアの抗争の様相です。鶏のお父さんのエピも爆笑もの。

何よりの収穫は、ピーターの妹たちの性格や、いとことの友情など、仲間たちとの関係がやっと呑み込めてきたことかな

やっぱり、この作品もDVDが出たら買っちゃいそうです


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あしたは最高のはじまり

2018年05月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年9月9日公開 フランス=イギリス 117分

南仏コートダジュールの海辺の町で、観光客を乗せるヨットの仕事をしながら、毎日がバカンスのような気楽な暮らしを送るサミュエル(オマール・シー)。そんなある日、かつて関係を持ったことすらよく覚えていない、クリスティン(クレマンス・ポエジー)と名乗る女性が現れ、生後3か月の赤ん坊を「あなたの娘、グロリアよ」とサミュエルに託していく。慌てたサミュエルはクリスティンを追ってロンドンへと向かうが、とある事情から心に傷を負い、子育てにも自信を失くした彼女は、どこかへ消えてしまう。言葉も通じない異国で立ち往生、財布を落として全財産を失くしたサミュエルを救ったのは、彼にひと目惚れしたゲイのベルニー(アントワーヌ・ベルトラン)だった。TVのプロデューサーのベルニーは、サミュエルにスタントマンの仕事を斡旋し、一人では広すぎる家にグロリア共々居候させてくれる。
それから8年、グロリア(グロリア・コルストン)は明るくたくましく聡明な少女に成長し、スタントマンとして大成功を収めているサミュエルの優秀なマネージャーとして、しょっちゅう学校を休んでは、撮影現場に同行していた。もはや娘というよりも、サミュエルの立派な相棒だ。二人を支えてきたベルニーは、未だ恋人募集中ではあるが、グロリアのおじのような存在として絶大な信頼を得ている。3人はあらゆる意味で“普通じゃない”家族になっていたが、誰よりも幸せいっぱいの家族でもあった。だが、ひとつだけ問題があった。あれ以来、一度も連絡の取れない母親のクリスティンのことだ。サミュエルはグロリアに、“ママは世界を股にかける敏腕エージェント”だから会えないと嘘の説明をしていた。それだけではなく、母親の名をかたって、昨日はロシア、今日は中国からと、嘘のメールをグロリアへ送り続けていた。幼い頃は、無邪気に興奮していたグロリアも、最近では「仕事のジャマはしないから、ママに会いたい」と懇願していた。ベルニーはバレる前に本当のことを打ち明けろと忠告するが、サミュエルはグロリアを傷つけることだけは、どうしてもできなかった。そんな時、本物のクリスティンから突然、グロリアにメールが届く──。(公式HPより)
 

メキシコ映画「Instructions Not Included」のリメイク作品で、「最強のふたり」のオマール・シーが主演を務め、自由気ままなプレイボーイがゲイの友人とともに子育てに奮闘する姿を描いたフランス製ヒューマンコメディです。

プレイボーイのサミュエルが、突然赤ん坊を押し付けられて素直に育てることにする点が少々??でしたが、娘だと言われれば情も湧くというものでしょう ロンドンで出会ったベルニーも彼らを助けてくれます。それにしてもスタントマンの収入っていいのね~~危険が伴うのだから当然かな。

グロリアに本当のこと(母親に棄てられた)が言えず、嘘をつき続けていたサミュエルですが、その母親が突然現れて、娘を引き取りたいと言い出します。なんて勝手な!!でも裁判になり、更にグロリアとサミュエルの親子関係を否定する事実も出てきて彼らは引き裂かれてしまうんですね

実はサミュエルにはもう一つ隠していることがあり、物語のラストでそのどんでん返しが明かされます。

いやいや、おかしいなと思う場面は多々あったのだけど、わかってみればなるほどな~と

コメディなのに最後でじ~~んとしてしまいました。


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ラプラスの魔女

2018年05月07日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年5月4日公開 116分

妻と温泉地を訪れた初老男性が硫化水素中毒で死亡する事件が発生した。捜査を担当する刑事・中岡(玉木宏)は妻による遺産目当ての計画殺人を疑うが、事件現場の調査を行った地球化学専門家・青江修介(櫻井翔)は、気象条件の安定しない屋外で計画を実行するのは不可能として事件性を否定。しかし数日後、被害者男性の知人が別の地方都市で硫化水素中毒により死亡する事故が起きる。新たな事故現場の調査に当たる青江だったが、やはり事件性は見受けられない。もし2つの事故を連続殺人事件と仮定するのであれば、犯人はその場所で起こる自然現象を正確に予測していたことになる。行き詰まる青江の前に謎の女・羽原円華(広瀬すず)が現われ、これから起こる自然現象を見事に言い当てる。彼女は事件の秘密を知る青年・甘粕謙人(福士蒼汰)を探しており、青江に協力を頼むが……。(映画.comより)


東野圭吾の同名小説を三池崇史監督が実写映画化したサスペンスミステリーです。竜巻などの自然現象の描写はスクリーンで見応えありました。

といっても普通の人間を遥かに超えた能力を有する者の犯した殺人ですから、どちらかというとSFに近い内容。それゆえ謎解きの部分は重視されていない感じ 原作は未読なので比較できないですが、8年前の甘粕家の事件の際の犯人のトリックとか、今回の共犯者と、どのように接触したのかとか本筋とは違うけれど気になりました

謙人の父の甘粕才生(豊川悦司)は鬼才の映画監督ですが、己の欲望のためにはどのような犠牲も厭わない、そのあまりにも身勝手な考え方に怖気がします。(三池監督も鬼才と言われる人のようですが、良い意味で何か通じるところがあったりして)同じように人類の未来のためという名目で謙人や円華に手術を施した羽原(リリー・フランキー)の方がまだしも人間性が残っている気がしました。

謙人は二つの殺人に直接は手を下していませんが、彼らを死に導いたのは紛れもない事実です。父親への復讐は円華や青江に阻まれますが、後にこの父親は自殺したとされます。彼の自殺の理由は自らの犯罪を悔いたのでは決してなく、望んでいた世間の評価が得られないことへの絶望だったのだと推察します。

謙人が父親と対峙する場面は、舞台劇のようでした。自分で手を下さず自然現象を利用するため受け身の謙人に対して、銃は突き付けるわ、出来損ないの家族と言い放つはで、まさに悪魔の様相の父親。謙人の顔を覆うのは絶望か静かな怒りの炎か哀しみなのか・・・この時の福士君、「HIGH&LOW」シリーズの窪田君演じるスモーキーに雰囲気がとても似てます

それにしても青江君は事件の解決にさほど役立っていたようには見えなかった円華が過去のトラウマ(母親が竜巻で命を落としたのは自分の我儘が原因と自分を責めている)を克服するのには一役買ってはいたけどね 

中岡刑事に至っては結局事件の真相に辿り着いても逮捕も立件もできず終いで中心人物の周囲をウロウロしただけの感がありました。円華の監視役の武尾(高嶋政伸)も然りです。

謙人たちの存在は公にできないので、事件そのものも国の圧力で闇に葬られてしまいます。ありそうで恐いぞ

未来をも見通せる彼らが、絶望ではなく希望を持って生きていける世の中であって欲しいと思ってしまいます。


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泥棒役者

2018年05月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年11月18日公開 114分

かつて金庫破りとして泥棒稼業に足を踏み込んでいた大貫はじめ(丸山隆平)。今では足を洗い小さな町工場で真面目に働き、恋人の美沙(高畑充希)と幸せな同棲生活を送っていた。しかし、刑務所から出所したばかりのかつての泥棒仲間だった畠山則男(宮川大輔)に「美沙に泥棒だった過去をバラす」と脅されたはじめは、則男とともに泣く泣くある豪邸に泥棒に入る。忍び込んだ豪邸で「豪邸の主人」「絵本作家」「編集者」と次々と別人に間違えられるはじめは、泥棒であることがバレたくない一心で間違えられた役柄を必死に演じることとなるが……。

 

舞台劇のようだなと思ったら本当に舞台作品の映画化だったんですね

泥棒に入った家で、訪ねてきた編集者の奥(石橋杏奈)に、その家の主人で絵本作家の前園(市村正親)に間違われたはじめ。更にセールスマンの轟(ユースケ・サンタマリア)や隣家のクレーマー(片桐仁)までやってきて次々別人を演じなければならなくなる様が可笑しいです。

ところが前園に正体がばれてしまい、代わりに作品を書けと脅されたり、遂には皆で物語を考えたりすることに。初めはバラバラだった登場人物たちが次第に心を通わせていくんですね。

前園と亡くなった妻とのエピソードにしんみりしたり、思わぬところではじめの「特技」が役だったりします。

美沙がはじめの過去を知っていたというのもでした。

悪人の畠山も、はじめの影響で最後には真面目に働いているのもちょっとツボでした


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奇跡の絆

2018年05月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年製作 アメリカ 119分

美術商として成功を収めた男性ロン(グレッグ・キニア)は他の女性との不倫を妻デビー(レニー・ゼルウィガー)に知られ、罰としてホームレスに給仕するボランティアに同行することに。そこで出会った黒人のホームレス、デンバー(ジャイモン・フンスー)が自分の夢によく現れる男だと気付いたデビーは、神からのお告げだと考え、ロンにデンバーと親しくなって欲しいと言う。デンバーとの交流を通し、生まれながらにしての不平等や運命の非情さを知ったロンは、今まで自分が家族としっかり向き合ってこなかったことを反省する。そんな中、デビーがガンに侵されていることがわかり……。(映画.comより)

 

資産家とホームレスの友情を描いたノンフィクション小説「Same Kind of Different as Me」の映画化です。

神のお告げというのはうさん臭く思えますが、とにかく実話だからな~~

ボランティアか離婚かと迫られ渋々同行するロン 相手は得体のしれぬホームレスたち。中でも恐そうなデンバーと仲良くなれと妻は言う・・・いやいや、冗談じゃない!と思う方が自然・・だけど、妻と別れたくないロンはこれまた素直に従うんですね~~。この辺の夫婦の機微は正直理解できなかったけど、実話だから・・・

本音で向かってくる相手には心を開くのが人間。ロンとデンバーの間には次第に友情が芽生えていきます。デンバーの辛い過去がわかると彼の印象も好転しますね。

ロンの父(ジョン・ボイト)は差別主義者。息子がデンバーと友人であることが理解できません。当時一般的は白人社会としては父親の感覚の方が多勢だったのかな。ロンはデンバーを擁護します。この親子関係については後半で互いの認識の修正が生じてきます

デビーが病に倒れ帰らぬ人となるのは辛い事実です。彼女がその人生の最期に夫との関係、そして夫の人生そのものを変えるきっかけを与えたことこそが、彼らの信じる「神」による奇跡なのかもね。

しかしどうも宗教が絡むと素直に感動できないひねくれ者の私


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怪物はささやく

2018年05月02日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年6月9日公開 アメリカ=スペイン 109分

裏窓から教会の墓地が見える家で難病の母(フェリシティ・ジョーンズ)と暮らしている少年コナー(ルイス・マクドゥーガル)。ある晩、彼の前に怪物(声:リーアム・ニーソン)が現われ、これから3つの「真実の物語」を語ること、そして4つ目の物語をコナー自身が語るよう告げる。しかもその内容は、コナーが隠している「真実」でなければならないという。嫌がるコナーをよそに、怪物は夜ごと現われては物語を語りはじめる。


イギリスの作家パトリック・ネスの本を「永遠のこどもたち」のJ・A・バヨナ監督が実写映画化しています。孤独な少年と怪物による魂の駆け引きを幻想的な映像で描いたダークファンタジーです。

怪物の話す“切り絵”のような美しいアニメーションで表現される物語は、どれも理不尽で意外な結末であり、全然ハッピーエンドではありません。コナーは都度「どうして?」と抗議の声を挙げますが、怪物は正論を語るのみで消えてしまいます。それはまさに理不尽に溢れる現実そのものを教えているかのようです。

コナーの両親は離婚していて、父親(ドビー・ケベル)はアメリカで再婚しています。死期を悟った母はコナーを祖母(シガニー・ウィーバー)に、そして父に託そうとします。でもそれは大人の理由。コナー自身の心の葛藤はまた別なのです。

やがて4つ目の物語を語る番がやってきます。

コナーの母に対する本音。それは母の回復を願う気持ちの裏に潜む、諦めと結末を望む矛盾した感情です。そんな気持ちを抱く自分の非情さを恐れる心が怪物を呼び寄せたのでしょうか。

しかし怪物はコナーに、人間は矛盾する生き物なのだからそれで良いのだと言います。大事なのはその感情に目を背けるのではなく受け入れて前に進むことなのだと。それはなかなかに覚悟のいることです。そのことを教え、寄り添うために怪物は現れたのですね。怪物はイチイの木であり、イチイは癒しの木です。これは癒しの物語なんですね。

コナーの目線の他、息子を心配する母の心情や、祖母の娘や孫への慈しみの心情も描かれていて、大人目線で見ても良作です。


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