杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

始まりの木

2024年12月29日 | 
夏川草介(著) 小学館(発行)

藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ出かける、偏屈で優秀な民俗学者だ。古屋は北から南へ練り歩くフィールドワークを通して、“現代日本人の失ったもの”を藤崎に問いかけてゆく。学問と旅をめぐる、不思議な冒険が、始まる。
“藤崎、旅の準備をしたまえ” (あらすじ紹介より)

第一話 寄り道【主な舞台 青森県弘前市、嶽温泉、岩木山】
第二話 七色【主な舞台 京都府京都市(岩倉、鞍馬)、叡山電車】
第三話 始まりの木【主な舞台 長野県松本市、伊那谷】
第四話 同行二人【主な舞台 高知県宿毛市】
第五話 灯火【主な舞台 東京都文京区】

古屋助教授は40代半ばかと思われますが、その行動や言動は十数歳上の印象を与えます。彼の毒舌を意に介さず、ただその人柄と学識に惹かれて慕う千佳が何だか微笑ましい。彼女の大雑把で明るい性格は、古屋の亡き妻と似たところがあるように思えます。

本屋で目にした「遠野物語」の特集記事から衝動的に柳田国男のそれを手に取った千佳は、進学した東東大の文学部で「遠野物語」の講座に興味を惹かれて民俗学の門を叩きます。
丁度今年、柳田国男の「遠野物語」を読みましたが、単なる物語ではなく歴とした民俗学術書と気付いて文体と解説に怖気を振るって飛ばし読みで終わった身には、千佳のようにその奥深さに惹かれることもありませんでした。この本で柳田国男という民俗学者の崇高な理念や生き方を知ったのは何だか不思議な巡り会わせです。

古屋の語る、日本と他国の宗教観の違いはなるほどと思わせます。
日本人は山や森や川、岩や木といった「そこにある自然」を敬い寄り添いながら生きてきた民族であり、八百万の神の御神体は自然に存在しています。
しかし、現代では科学や統計学、医学の発展に伴い、それら目に見えないもの、説明できないものの存在は無と見做され軽視され忘れ去られようとしています。

古屋はそんな日本人の行く末を危惧し、無闇と前に進むことに警鐘を鳴らし、ここに至った道を丹念に調べ、どこへ道を繋げていくのかを考えるのが民俗学の仕事でもあると言います。千佳の質問には「就職の役には立たないが、人生の岐路に立ったとき判断の材料を提供してくれるのが民俗学という学問だ。」 と答えます。「これからは民俗学の出番だ。」 といった彼の言葉を千佳は受け継ぐのです。

千佳は曇りのない目で物事を見て感じることのできる女性です。古屋とのフィールドワークの先々で不思議な出来事に遭遇するのも、彼女の感受性の豊かさの現れなのかも。

古屋の飛行機とエスカレーター嫌いは、妻との旅先で遭遇した事故が理由でした。荷物持ちで同行する千佳は第一話でそれを知ることになります。

第二話では岩倉で出会った青年との不思議な邂逅が登場します。叡山電車の車内から見た紅葉のトンネルの描写は鮮やかな色彩が目に浮かぶようでまさに幽玄の境地になります。

第三話では、古屋と彼の亡き妻との思い出の木が登場。その威風堂々とした大木を前に彼の民俗学への想いが語られます。

第四話では院生の仁先輩のフィールドワークの地で起こった出来事が描かれます。
修行僧の声と姿に導かれた千佳が、倒れていたお遍路の男性を助けることになるのですが、同行していた古屋には僧の声も姿も聞こえず見えずだったのです。(ちなみにお遍路笠に書かれている「同行二人」とは、お遍路はたとえ一人旅でも、お大師様が寄り添ってくれる二人旅という意味なんだそう。)
古屋の毒舌を始終浴びている千佳ですが、彼女には自然の中に存在する神を感じ取る才能があるようです。

第五話で大学近くの寺の住職と古屋の関係が登場します。住職の「大切なのは理屈じゃない。大事なことをしっかり感じ取る心 で、その心の在り方を、仏教じゃ観音様って言うのだよ。 」との言葉が胸に響きます。寺の樹齢600年の桜の老木が、住職の命の際に見せた満開の花の描写にも心打たれました。

古屋の毒舌は的を得ているだけに敵を作ってしまいます。時には無謀な振る舞いで暴力を受けたりも。千佳はそんな古屋に対しても物おじせずに真っ直ぐ向き合い、直球で受け答えしています。そんな彼女を古屋も気に入っている様子が随所にうかがわれるのが何だか愉快です。

五話を通じて登場するのは樹齢を経た木々や雄大な山の姿です。五話で登場する桜の老木が道路拡張のために伐採の運命にあるというのはまさに現代の自然への敬意を忘れた日本を象徴しているように思えました。

これまで筆者の医療ものしか読んで来なかった身には、宗教観にも通じる民俗学をテーマにした本書はとても珍しく感じましたが、根柢にある思いは共通しているのかもしれません。

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薬屋のひとりごと2

2024年12月27日 | 
日向 夏 (著), しの とうこ (イラスト)  ヒーロー文庫

後宮女官を解雇させられた猫猫(マオマオ)は、花街に戻ってきた。しかし、戻るや否や、今度は超美形の宦官壬氏(ジンシ)のお付として、外廷に出仕することになる。壬氏への嫉妬から他の官女たちにからまれ、倉庫の小火、官僚の食中毒、腕利き職人が残した不変な遺言の調査など奇妙な事故や事件が多発する。いろいろな事件が重なりあう中、それらはある一つのことに収束することを猫猫は知る。そこにはある人物の思惑があった。そしてそんな中、壬氏に付きまとう武官羅漢が現れる。変人として有名なこの男は、何かにつけて壬氏に問題を持ってくるようになる。それは、羅漢が古い緑青館の馴染みで猫猫をよく知っていたためであった。猫猫に対してただならぬ執着を持つ羅漢に対して、猫猫の態度は普段と少し違っていた。いつもの飄々とした雰囲気と違う猫猫を気づかい、羅漢から守ろうとする壬氏であるが――。羅漢の本当の狙いとは一体?型破りな薬屋の娘と超美形だがどこか残念な宦官、それに巻き込まれる人々。薬と毒、宮廷と花街、官と妓女、そして過去と現在が交わる中で、物語は紡がれていく。(あらすじ紹介より)

アニメ放送を先に視聴しているので、内容はほぼ原作通りなのだと改めて感じました。羅漢と鳳仙の関係は一方的なものではなく、互いに想い合った末の掛け違いが悲劇となっていること、羅漢の猫猫への執着の強さが逆に娘に嫌われる原因となったことについてはアニメでは描かれなかった部分もあって、猫猫が羅漢を嫌う理由になるほどな~~と納得してしまったぞ。😊 

序話
壬氏が帝から何やら頼まれごと。この件はどう繋がったんだっけ?💦
猫猫は梅梅や養父に送られ再び出仕します。

一話 外廷勤務
後宮ではなく外廷で壬氏の侍女として働くことになった猫猫。官女試験に落ちたのは興味のあること以外は並以下の彼女らしい結果。

二話 煙管
李白と出会った猫猫が小火騒ぎの原因を推理

三話 後宮教室
上級妃への妃教育を依頼された猫猫は本気(マジ)出して臨みます。上級妃たちの4者4様の反応が面白い。あ‼序話の帝の頼み事ってこれだったか。

四話 膾
膾を食べて意識不明となった高官は事故かそれとも?猫猫の推理が冴えます。

五話 鉛
こちらは秘伝を息子に伝えず亡くなった職人の遺言の謎解きです。

六話 化粧
壬氏のお忍びの外出のための変装を受け持った猫猫。悪戯心で彼に紅を差した猫猫とそれを見ていた高順、水蓮の反応描写が楽しい。

七話 街歩き
里帰りのついでに壬氏に同行させられた猫猫はお嬢様の恰好をさせられています。
浮き浮きな壬氏の無邪気な様子と猫猫の不愛想さの対比が面白いです。

八話 梅毒
病人が猫猫を産んだ女であり、母娘の関係が過去に起因していることを匂わせます。

九話 羅漢
羅漢が壬氏に絡むようになった理由がわかってきます。

十話 翠苓
外廷で何度か出会っている二人ですが、翠苓に対して猫猫が感じた印象が書かれます。

十一話 偶然か必然か
これまで猫猫が関わった事件がいくつも重なった輪の中に一つの恐るべき可能性が浮かんできます。

十二話 中祀
重大な陰謀の可能性に思い至った猫猫が衝動的な行動に走ります。
武官を挑発して頭部を殴打されながらも必死に駆けつけ(タイミング良く助けてくれたのは羅漢)、危機一髪で救った相手は意外な人物でした。

十三話 曼荼羅華
足を負傷した猫猫ですが、事の次第を壬氏たちに解き明かします。事件の背景に翠苓の存在が浮かびますが、彼女は毒をあおって自殺していました。納得がいかない猫猫は彼女が蘇りの薬を使って死を偽装したと推理し棺桶を開けて確認します。

十四話 高順
壬氏と二人が服用しているのは男でなくなる薬(医局にお使いに行かされた猫猫が味見した薬)というわけで、この二人の正体についても仄めかされます。

十五話 後宮ふたたび
玉葉妃の月経が止まったことで、毒殺を防ぐために、猫猫が再び翡翠宮で毒見役を務めることになります。羅漢から遠ざける狙いもあるようです。

十六話 紙
後宮の医局に出入りするようになった猫猫が、ヤブ医者の実家の困りごとを解決します。

十七話 身請け作戦
白鈴の身請け話の噂に焦った李白が、猫猫に相談にやってきます。
二人のやりとりを目撃した壬氏は超不機嫌になり、猫猫を問い詰めるのですが、噛み合わない会話が笑えます。

十八話 青薔薇
壬氏が羅漢から持ち込まれた厄介事を猫猫が受けて立ちます。小蘭が手伝いで久々に登場します。周囲の興味を逸らそうと、猫猫は爪紅を用います。

十九話 爪紅
青だけでなくカラフルな季節外れの薔薇の登場で園遊会の注目を集めます。
猫猫は壬氏にそのからくりを説明します。色水か~~!!
羅漢に将棋の勝負を挑んだ猫猫は彼が下戸なのを利用して見事賭けに勝ちます。その代償は緑青館の妓女の身請けでした。

二十話 鳳仙花と片喰
人の顔を認識できない羅漢が出会った妓女が猫猫を産んだ女でした。彼女の顔だけは認識できたのです。やがて哀しいすれ違いで二人の運命は分かたれますが、真実を知った羅漢が駆けつけた時には遣り手婆の激しい怒りを買い、その後も融けることはなかったのです。
緑青館で意識が戻った羅漢は、約束通り妓女を選ぼうとしますが、梅梅から鳳仙が生きていることを示唆され(猫猫が贈った青薔薇のドライフラワーもヒントなのね)、鳳仙を身請けします。
猫猫が羅漢を嫌っているのは、幼い頃から追いかけ回されたトラウマが大きいのであって、彼を憎んでいるわけではないことが語られます。妊娠には鳳仙自身の思惑もあったと気付いている猫猫の観察眼は侮れませんね。
父親(羅漢)を嫌う娘(猫猫)の発言に何とも言えない表情の高順の理由は続編で明かされますね。

終話
梅梅からの手紙で鳳仙が身請けされたことを知った猫猫は、身請けの祭りの夜、一張羅の着物に同封されてきたひれを纏って外壁の上で祝いの舞を踊ります。そこに現れた壬氏に驚いて転落しそうになった彼女を抱きとめる壬氏。踊ったことで傷口が再び開いた猫猫を抱きかかえて外壁を降りる壬氏に猫猫が発したのは「牛黄下さい」
 良いムードになるとしっかりオチが付くのね😁 


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華ざかりの三重奏

2024年12月24日 | 
坂井 希久子 (著)

独身で子供のいない可南子は、もうすぐ還暦を迎える。これまでは仕事一筋に頑張ってきたが、定年退職したあと、どう生きればいいのか途方に暮れている。
そんな中、子育てと介護を終えたかつての友人・芳美から、一緒に暮らさないかと誘われて…。それぞれ人に言えない悩みを抱える迷える六十歳たちは「人生の問題」にどう向き合うのか?(あらすじ紹介より)

本作に登場する漫画作品
ポーの一族、ガラスの仮面 乙嫁語り 風と木の詩、動物のお医者さん あさきゆめみし ベルサイユのばら、BANANA FISH 

第一章 冬 
第二章 春 
第三章 夏 
第四章 秋 
第五章 三人の冬

アパレルブランドのプレスとして働いてきた可南子は60歳定年間近の独身女性。中学時代の大親友だった芳美に誘われ、故郷・群馬で開かれた中学校の同窓会に参加したところから物語は始まります。45年以上経った同級生たちは、立場も悩みもそれぞれ。
中三の時「ちょっとだけ」好きだった桜井の暴言失言にかちんとた可南子でしたが、定年後の生き方について考えてしまいます。

遅れてやってきた芳美から「知ってた?斎藤ひかり先生が43年ぶりに『時の旅人』の続編を出すのよ!」と言われた可南子。突然脈絡もなく登場する漫画ネタですが、以後の展開の「主役」になっていくのね。(ちなみにこの漫画家と作品は実在しませんが、3人の二次創作を含めたストーリーが秀逸で、本当に漫画で読んでみたいと思ってしまいました。)

その夜、芳美の家に泊まった可南子は、彼女から一緒に暮らさないかと誘われます。芳美の夫は既に亡く、娘と息子は独立していて、広い庭付きの一軒家に一人で住んでいます。考えた末、可南子は定年と同時に都心のマンションを引き払って芳美の家で同居することを決めます。

和室2部屋をぶち抜いてヴィクトリアンスタイルに改装した芳美の部屋には壁一面の本棚に新旧の少女漫画がずらりと並んでいます。元漫画少女にとってはまさに夢のような空間です。
「よっさん」「タケコ」と呼び合った二人が中学時代に共に嵌っていたのは少女漫画です。猫脚のソファとビーズクッションに寝ころび、萩尾望都や竹宮惠子を読み返しながら、愛してやまなかった『時の旅人』の復活に胸を躍らせる二人は少女に戻ったよう。

娘が独身でいることを心配する母親と距離をとる可南子、夫を亡くしてから引き籠って漫画に没頭する母に呆れる娘の夏美と溝ができた芳美。それぞれに抱えているものがあります。可南子はいつしか夏美と芳美の緩衝材の役割を担うようになっていきます。

広い庭の雑草問題を解決するため、ふとしたきっかけで知り合った近所の中学生が飼っているヤギを除草に借りた二人。飼い主である中学生・瑛人は不登校で祖父と二人暮らしをしています。ヤギと一緒に芳美の家で過ごすようになります。
更に同居している息子家族の家に居づらい元花屋の香織(還暦仲間)も加わります。

カモとばかりに家を売りつけようと押しかけてくる不動産営業マンの桜井の軽口はまさに昭和感丸出しでデリカシーのない暴言です。後日、強引な物件の誘いに渋々出かけた可南子は、的外れな営業トークを続ける桜井に客の背景を考えるようアドバイスします。世代間ギャップについては可南子自身も思い当たることがあったのでちょっと親身になったのね😁 ついでに妻に対する態度も改めろとさり気なく忠告も。(実は桜井の妻の夫に対する愚痴を、彼女と知り合いだった香織が聞かされていたのでした。)

瑛人は不登校の理由を3人に打ち明けます。恋愛感情を持てない彼を級友たちがからかいの対象にしていました。桜井のような無神経な大人を見てこれからも状況は変わらないのかと落ち込む瑛人に芳美は「要は合わないだけ」と言い、恋愛モノが苦手という彼に、「少女漫画は魂で触れ合えるただ一人との関係性を描くものだから、魂の結びつきは恋愛に拘らなくて良い」との持論を展開します。
なるほど~~と思わず可南子たちのように目からうろこです。正直そこまで深く考えて読んだことなかったもんな~。
このことがきっかけで瑛人は徐々に登校するようになっていきます。可南子たちは瑛人を叱ったり励ましたりするのではなく、ただ見守るという姿勢です。それは「近所のおばさん」として正しい接し方なのね。

香織は、花屋を畳んで息子夫婦の家に同居したものの、狭い家の中で居場所を失くしていましたが、彼女に声をかけたのも芳美です。夫の急死という共通点から、香織の思い詰めた様子に気付いたのは、彼女自身も同じような気持ちを抱えたことがあったからのようです。(夾竹桃は花も葉も全てに毒を含んでいるというのは初耳でした。)

芳美が描いたテオの絵を見た香織は、『時の旅人』の二次創作を作ってコミケに出したいと言い出します。芳美は高校時代に趣味で漫画を描いていました。花屋だった香織が背景(花)を受け持ち、可南子はプロットとスケジューリングを含めた雑用と役割分担し、「時の華組」サークルが結成されます。

素人ながらも奮闘した3人は、何とか印刷も間に合い、イベントで売れたのは10冊でも大きな経験に胸をときめかせます。
更に尊敬する「のすたるじあ」さんからの熱烈なメッセージをもらって感激した彼女たちは活動を続けることを決意します。

定年後の生活は、もうすぐそこまで迫っています。
仕事や子育てを終えた後、自分に何が残るのか、何をしたいのか・・・ちゃんと考えなくちゃね😔


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聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団

2024年12月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年12月20日公開 93分 G

広い宇宙の数あるひとつ、燦然と輝く命の星、地球。
世紀末を無事乗り越えた神の子イエス(松山ケンイチ)と仏の悟りを開いたブッダ(染谷将太)は、日本の四季折々を感じながら下界で密やかにバカンスを楽しんでいた。東京・立川にある風呂なし6畳一間のアパートをシェアし、ふたり暮らし。アイスを分け合ったり、近所の商店街で福引きを楽しんだり、お笑いコンビ「パンチとロン毛」を結成したり。ゆるーい日常を過ごす2人の元にある日、天界からの使者が現れ、禁断のオファーが伝えられる。やがてそれは、神も仏も天使も悪魔も入り乱れる、まさかの地球滅亡の危機へと繋がっていく!?(公式HPより)


イエスとブッダが東京・立川にある6畳一間のアパートでふたり暮らしをしながら下界を満喫する日常を描いたギャグ漫画「聖☆おにいさん」の実写映画化です。原作者・中村光が映画化のために描いた「スクリーンへの長い途」をもとに、ドラマ版に続き福田雄一がメガホンをとっています。
なので福田組常連さんはもれなく出演。どこに誰が出ているのかを見つけるのもファンの楽しみの一つですが、そうでない人にとっては好き嫌いが別れる作品かも。(二郎さんのアドリブは正直、長過ぎてつまらなかったし😔
感想を一言でいうと、窪田君の出番が思いのほか多くて準主役級だったのが嬉しい!💛です。

ある日、2人を訪れたのは仏法の守護神・梵天(賀来賢人)、雷神・帝釈天(勝地涼)、天使ミカエル(岩田剛典)の3人。人間が臨終間際に見る走馬灯的な映像をヒーロー戦隊ものに作り変えたいと二人に出演のオファーをします。弁財天(白石麻衣)や戦いの仙人(佐藤二郎)のスパルタ特訓を受け、マーラ(窪田正孝)も娘たち(山本美月、桜井日奈子、中田青渚)の応援に張り切って敵役を受けます。

脚本は十一面観音(仲野太賀)とヨハネ(神木隆之介)が担当し、撮影が始まると川口春奈、吉柳咲良、田中美久、森日菜美、安斉星来の女子ーズも登場して盛り上げます。

イエスのお父さん(佐藤二郎)のくだりは冗長でしたが、色んな番組をパロって進む話は気楽に笑えました。(逆にコンプラ大丈夫かと心配になるけど)
戦隊ものではお馴染みの爆破シーンや、倒された後に巨大ロボットが登場する展開はもはや突っ込む気にもなれない😝 
堕天使ルシファー(藤原竜也)の一喝で終わりますが、デスノートネタに至っては、新旧揃い踏みじゃん!と密かに狂喜した次第でございます😍 

ちなみに福田組常連の山田孝之、ムロツヨシは「え?これだけ??」な役でしたが😥 

この手の作品にストーリー性や芸術性とか期待しないので、小ネタを拾ってゆるっと笑ってなんぼですね😁 

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はたらく細胞

2024年12月13日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年12月13日公開 109分 G

人間の体内には37兆個もの細胞が存在し、酸素を運ぶ赤血球AE3803 (永野芽郁)や細菌と戦う白血球U-1146(佐藤健)など無数の細胞たちが、人間の健康を守るため日夜はたらいている。高校生の漆崎日胡(芦田愛菜)は、父の茂(阿部サダヲ)と2人暮らし。健康的な生活習慣を送る日胡の体内の細胞たちはいつも楽しくはたらいているが、不規則・不摂生な茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちが不満を訴えている。そんな中、彼らの体内への侵入を狙う病原体が動き始め、細胞たちの戦いが幕を開ける。(映画.comより)


人間の体内の細胞たちを擬人化した同名漫画の実写映画化です。原作漫画「はたらく細胞」とスピンオフ漫画「はたらく細胞 BLACK」から、ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマが並行して描かれます。
「翔んで埼玉」「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹監督で面白くならないわけがない✌

細胞たちのキャラと俳優さんたちがナイスマッチです。
白血球(好中球)U-1146を演じた佐藤健が全身白塗り姿で「ぶっ殺す!」と叫びながら細菌をなぎ倒す様なんて原作から抜け出したようにはまってました。なんたってアクション演出は「るろうに剣心」シリーズの大内貴仁ですからね😁 
「キラーT細胞」役の山本耕史や「NK細胞」役の仲里依紗のキレッキレなアクションも魅せてくれました。

前半はコメディタッチで進みます。
大人になっても方向音痴?な赤血球を何かと守ってくれる白血球を軸に、特徴ある細胞たちが続々登場。優しいマクロファージ先生(松本若菜)や、可愛すぎる血小板(マイカピュ)たちに癒され、ヘルパーT細胞(染谷将太)の司令塔や美しい肝細胞もキャラに合っていました。

黄色ブドウ球菌(小沢真珠)、肺炎球菌(片岡愛之助)、化膿連鎖球菌(新路慎也)の悪玉菌トリオは黄・青・赤の信号トリオじゃないか😓 とは後で気付いた次第💦
それぞれ思いっきり楽しんで演じたんだろうな~というオーラ全開でした。

身体の持ち主であるニコちゃんとお父さんのやりとりに仲良しぶりが感じられ、ニコが想いを寄せる先輩・武田新(加藤清史郎)にときめいた時に神経細胞(DJ KOO)が絶妙なアゲアゲDJを披露するシーンでは細胞たちも踊り出します。

不摂生なお父さんの体内にいた先輩赤血球(加藤諒)と新米赤血球(板垣李光人)の視点で描かれるゴミ(LDL)だらけの血管内や肛門での悲壮な攻防に笑いながら、ふと我が身を顧みて反省も💦
この二人に訪れた悲しい別れから、新米君がニコの細胞の仲間入りをするいきさつにはやや難がありますが、原作二つを巧妙に融合させた結果なのね。

ちなみに健康的な生活を送っていたニコの体内はファンタジックで綺麗な街として描かれ、不健康なお父さんの方は戦後の日本のような荒廃感が漂う街になっていました。

ニコの食事指導のおかげで健康を取り戻したお父さんでしたが、今度は娘の方に病魔が忍び寄りました。
先輩白血球の「お兄ちゃん」に憧れ立派な白血球になろうとしていた子(SEKAI NO OWARIのFukase)が異常細胞と判断され白血病細胞に変貌(がん化)しちゃうんですねぇ😔 
Fukaseは「キャラクター」でも殺人鬼(悪役)を演じていましたが、今回の悪役も合っていました。

ここからはシリアス全開で細胞たちの戦いが描かれます。
体内で抗がん剤は爆弾投下のごとく炸裂し、放射線治療はオーロラのように全身をなめ尽くし、細胞たちを全滅させていきます。輸血によりニコの体内に移植された新米赤血球君と出会い、共に行動し励ます姿はすっかり先輩赤血球なAE3803でした。
無数の白血病細胞と戦い力尽きるNK細胞やキラーT細胞。白血球U-1146も白血病細胞を倒して死亡し、最後まで酸素を届け続けた赤血球AE3803も放射線で死亡するという何とも哀しい最期です。まぁ、細胞にも寿命があるわけで仕方ないのだけど、やりきれなさを残します😭 

ニコのために必死に看病を続けたお父さんとBFの新君の微笑ましいやりとりや、笑うことで免疫力があがると一生懸命に励ます姿には涙腺が緩みました。そういえば愛菜ちゃんと阿部さんは「マルモ~」以来の親子役共演ですね💛

辛い治療に耐え抜き、骨髄移植により病気に打ち勝ったニコの体内では新たな細胞たちが生き生きと働いています。
赤血球AE3803や白血球U-1146に似た二人も再び巡り会って、細胞の物語は続いていくようです。

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モアナと伝説の海2 吹替版

2024年12月06日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年12月6日公開 アメリカ 100分 G

前作での壮大な冒険から3年、妹のシメア(増留優梨愛 )が生まれ少し大人へと成長したモアナ(屋比久知奈 )は、愛する家族と島の仲間たちとともに暮らしていた。ある日、「かつて人々は海でつながっていたが、人間を憎む神によって引き裂かれた。海の果てにある島に辿り着けば呪いは解け、世界は再びひとつになる」という伝説を知る。モアナは人々の引き裂かれた絆を取り戻すため航海に出ようとするが、それは、その島に近づこうとこうとすれば、 “生きては帰れないかもしれない”というほどの危険に満ちた冒険だった。幼い妹シメアや家族たちと二度と会えないかもしれない…しかし、愛する人たちを守るため、「私が、やらなきゃ」と決意し、迷いや葛藤を乗り越えて果てしない旅へ踏み出すモアナ。前作で相棒となった半神半人のマウイ(尾上松也 )が「モアナ、お前は一人じゃない」と背中を押し、さらには良き理解者で心の支えとなっているタラおばあちゃんから勇気をもらい、島の新しい仲間たちと一緒に新たな冒険へ旅立つ。(公式HPより)


「モアナと伝説の海」の続編です。
モアナが“タウタイ”(海を渡り人々をつなぐ者)になるための儀式の最中、雷に打たれます。意識の中で、タウタイ・ヴァサから他の島の人々と繋がることができなければ村が終焉を迎えると告げられます。人々が分断されたのはナロ(神)が人々を繋ぐ中継点となるモトゥフェトゥに呪いをかけ沈めたからでした。

この呪いを解くために再び冒険の旅に出るモアナですが、今回は旅の仲間がいます。絵が得意なマウイファンのモニ(小関裕太 )、頼れる船大工のロト(鈴木梨央 )、植物を愛する老人ケレ(山路和弘 )、前作でも活躍?したヘイヘイや豚のプア です。

新たに登場するのはマタンギ(ソニン)です。ナロに仕える彼女はマウイを捕らえていますが、同時に彼女自身も閉じ込められているようです。マタンギはモアナに「迷う」ことがモトゥフェトゥへの道に繋がると言いました。

マウイも加わり進む一行ですが、モニが危険に曝されたことで落ち込んだモアナは前に進めなくなります。そんな彼女を今度はマウイが勇気付けます。

海に沈んだモトゥフェトゥをマウイが釣り上げようとしますが、ナロが作り出す嵐に阻まれます。ナロがマウイではなく、呪いを解こうとする人間を止めようとしていると気付いたモアナは自分たちがナロを引き付ける間にマウイが島を引き上げるという作戦を立てます。魔法の釣り針で島を釣り上げるというのは神話に基づくようですね。

ところが、ナロの雷に打たれたマウイはタトゥーを消され半神の力を奪われてしまいます。モアは「別の道がある」と、自ら泳いで海中のモトゥフェトゥの島に辿り着きますが、ナロの雷に打たれてしまいます。意識を失ったモアナの元にマウイが辿り着き、歌うことでタウタイ・ヴァサ、祖母や祖先たちが現れて蘇生させます。

力を取り戻したマウイによってモトゥフェトゥは釣り上げられます。
モアナの左腕に現れたタトゥーは、神の力が与えられたということですね。

モトゥフェトゥが復活したことで、多くの島々から海を渡って人々がやってきます。
マウイや仲間たちと共にモトゥヌイに戻ったモアナは家族と再会してめでたしめでたし😁 

と思ったら、続きがありました。
モアナを助けたマタンギを責めるナロを横目にタマトア(前作でも登場したキャラ)がひとくさり。・・・まだ続くのね💦

前作では敵キャラだったココナッツの海賊たちが、ナロの呪いを解くためにモアナたちと協力して戦います。愛嬌のあるキャラなので戦いもユーモラスで楽しめました。

今回もヘイヘイがナイスタイミングで活躍してくれるのも😄 

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