杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

シャザム! 神々の怒り

2023年08月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年3月17日公開 アメリカ 130分 G

古代の魔術師(ジャイモン・フンスー)より6人の神のパワー(S=ソロモンの知恵、H=ヘラクレスの剛力、A=アトラスのスタミナ、Z=ゼウスの万能、A=アキレスの勇気、M=マーキュリーの神速)を授かった少年ビリー(アッシャー・エンジェル)は、魔法の言葉「シャザム!(S.H.A.Z.A.M!)」と唱えると、超絶マッチョな最強ヒーローのシャザム(ザカリー・リーバイ)に変身する。しかし、見た目は大人でも中身は子ども、ヒーローとしても半人前のシャザムは、大人の事情が理解できずに神々を怒らせてしまい、その結果、最強の神の娘たち「恐怖の3姉妹」がペットのドラゴンを引き連れて地球に襲来。未曽有の危機を前に、シャザムは世界のためではなく、ダメな自分を受け入れてくれた仲間のために立ち上がるが……。(映画.comより)


見た目は大人だが中身は子どものヒーロー、シャザムの活躍を描いた「シャザム!」のシリーズ第2弾です。監督は前作に続きデビッド・F・サンドバーグ。

ビリーが魔術師シャザムから受け継いだ魔法で邪悪な科学者ドクター・シヴァナを倒してから3年後。(あれ?前編観たかな?)
里親のビクター(クーパー・アンドリュース)&ローザ(マルタ・ミランス)バスケス家に落ち着いた彼は、力を分け与えた5人の兄弟たちとフィラデルフィアの平和を守ろうと奮闘しますが、失敗も多く、街の人々から「フィラデルフィアの恥」と呼ばれたりもしています。“全か無か”と全員参加を強いて兄弟たちからも束縛がキツイと煙たがられ、ビリーはリーダーとして悩んでいました。

ある日、夢の中で魔術師から、アトラス神の娘たちが人間界を破滅させにやってくると警告を受けます。人間を虐げていた神々を魔術師が杖の中にその力と共に異世界に封じていたのですが、前作でビリーがドクター・シヴァを倒した際に杖を折ったため、封印が解かれたというのです。
ビリーは兄弟たちと永遠の岩<ロック・オブ・エタニティ>の図書室で魔法のペンのスティーヴの助けを借りてアトラスの娘たちのことを調べます。

その頃、フレディ(ジャック・ディラン・グレイザー)は転校生のアンの気を引こうとビリーの招集を無視して「僕は友達だから“キャプテン全能”(スーパーフレディ/アダム・ブロディ)に会わせてあげる」と言うと、こっそり変身してアンの前に現れます。ところがそこに元素の力を操る長女ヘスペラ(ヘレン・ミレン)と、カオスの力を操る次女カリプソ(ルーシー・リュー)が現れ、フレディは力を奪われ元の姿に。実はアンは軸の力を操る三女アンテア(レイチェル・ゼグラー)で、三姉妹の目的は魔術師が隠した生命の種を見つけて神々の世界を復興させることでした。
ビリーたちが駆け付けますが、ヘスペラは街をバリアで覆い、姉妹はフレディを攫って姿を消します。

ビリーたちは、フレディの解放とバリアを消すことを条件に力を譲ると手紙(と呼べる代物じゃないけど😁 )を書いて姉妹を誘い出し、ヘスペラを捕えて永遠の岩の牢屋へ入れます。しかし、これは彼女の罠で、ヘスペラは生命の種を盗んで姉妹のもとへ戻ります。復讐に燃え生命の種で人間を破滅させ神々の力を復興させようとするカリプソに、人間を破滅させたくないアンテアは困惑します。

一方、神の牢獄に囚われたフレディは、そこで魔術師シャザムと出会い、アンテアの助けで生命の種を奪い返して人間界へ脱出します。怒ったカリプソはラドンを従え地上に降り立ち、種を取り返すと野球スタジアムに生命の種を植えます。するとみるみる伸びた木の根が街中に張り巡らされ、そこからミノタウロスやマンティコアなどの魔物が生まれて人々を襲い始めました。

カリプソに魔法を奪われ子どもに戻った兄弟たちに両親を託したビリーは、独りカリプソとヘスペラに対峙します。ユニコーンを手名付けたダーラ(フェイス・ハーマン)と兄弟たちは公園へ魔物を追い込みます。
ヘスペラを倒したビリーは、ヘスペラにバリアを狭めさせてカリプソと対決し、シャザムのエネルギーをカリプソとラドンに向けて暴発させ、自らの命と引き換えに倒しました。

家族の見守る中、ビリーが埋葬されますが、ワンダーウーマン(ガル・ギャドット)が現れて、ビリーを復活させます。(おぃおぃ!完全に死んでたぞ😓
神の力を取り戻してこれまで通り人間界にいることを決めた兄弟たちの前に、身なりを整えた魔術師が現れます。
ヒーロー名を聞かれたビリーは「シャザム!」と答えるのでした。

ビリーの兄弟たちは以下の通り
姉:メアリー・ブロムフィールド/スーパーメアリー(グレイス・キャロライン・カリー)
兄:ペドロ(ジャバン・アルマンド)、スーパーペドロ(D・J・コトローナ)
妹:ダーラ/スーパーダーラ(ミーガン・グッド)
弟:ユージーン・チョイ(イアン・チェン)/スーパーユージーン(ロス・バトラー)


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るり姉

2023年08月29日 | 
椰月 美智子 (著)  双葉文庫

十代の三姉妹が「るり姉」と呼んで慕うるり子は、母親の妹つまり叔母さん。天真爛漫で感激屋で、愉快なことを考える天才だ。イチゴ狩りも花火も一泊旅行もクリスマスも、そして日々のなんでもない出来事も、るり子と一緒だとたちまち愛おしくなる―。「本の雑誌」2009年上半期エンターテインメント・ベスト1に輝いた傑作家族小説。ラストの静かな感動が胸いっぱいに広がる。(「BOOK」データベースより)


読書仲間や既読者の評価はイマイチだったりしますが、私的には引き込まれました。登場人物たちはどこにでもいそうな普通の家族ですが、それぞれに抱くるり姉への気持ちがストレートに伝わってきて心がほっこりしました。

季節を遡りながら三姉妹や母親、るり姉の夫の視点で語られる、るり姉との愛おしい日々からは、日常にある幸せの大切さを気付かせられます。
第三章までは「るり姉」の状態に悲観的な匂いが漂っていて辛くなったのですが・・・あららそうきましたか!な結末で、でも「良かったね」と素直に思えました。

第一章 さつき―夏 
さつきはるり姉の姉の長女です。
両親は離婚していて姉妹は母が引き取って一時祖母の家で暮らしていたことがあり、るり姉とは大の仲良し。飼い犬のアニ―をるり姉は悲し気で可哀相で見てられないと言うけど、お菓子に目がなく行儀の悪いアニ―はちっとも悲し気じゃないと思っています。母のズボンのチャックがいつも開いているとか、妹たちのことなど大まかな人物紹介が語られる序章と言う感じです。😁 
イチゴ狩りに出かけた際の楽し気な様子から一転、るり姉の入院と、やせ細った彼女と病院の屋上で見た花火の描写に哀しい結末を予想してしまいますが・・・

第二章 けい子―その春 
るり姉の姉のけい子の目線で語られる日常は、「イチゴ狩り」の約束をしていた春の頃。女手一つで三人の娘を育てる苦労は並大抵ではなく、忙しさに追われ疲れ果ててしまう毎日の中で、車の中がゴミだらけでも、新しいズボンを買う時間的余裕もなくて常にチャックが開いてしまっても、反抗期の娘に困らされても、偶然別れた夫の姿を目撃して動揺しても、「寝れば忘れる」特技で乗り越えちゃうお母さんに拍手したくなります。看護師の彼女は、配置換えで病棟が代わって厄介な患者を相手に苦戦することもしばしばですが、それすら状況を楽しむことができるバイタリティの持ち主でもあり、苦手な先輩看護士や若い後輩とも徐々に距離を縮めていきます。何より彼女の愛読書が「花とゆめ」というのがとってもツボです😍 
個人的にはこの章が一番好き。

第三章 みやこ―去年の春 
けい子の次女のみやこは、るり姉曰く「腐った赤キャベツ色」に髪を染めた一見ヤンキーな女の子です。でも彼女がその頭に拘るのには、中学の入学式の後に会ったお父さんが関わっていました。他の二人が母親似の髪質なのに、みやこは父親似のストレートな黒髪だったのです。他の姉妹や母には内緒で自分だけに会いに来た父への嬉しさと、会ったことを家族に隠している罪悪感が入り混じり不器用な生き方になっているのね。同じく学校で浮いていたユキとキング先輩のアパートに上がり込むようになっていたある日、先輩の母親がやってきて二人きりで鍋を食べて妙に気が合うエピソードに、外見と中身は同じではないことを再確認させられたりします。るり姉は自分の中学時代と似ているみやこに特別思い入れがあるようで、何かとみやこを気遣っているのが伝わってきました。

第四章 開人―去年の秋 
るり姉の夫の語る二人の馴れ初めです。
るり姉に一目惚れして積極的にアプローチするカイカイ(開人)の様子がユーモラスに語られます。ほんと、犬も食わないのろけ話のオンパレード。でもこれだけ惚れられたら女冥利に尽きるというものですね😁 

第五章 みのり―四年後 春
みのりはけい子の三女です。
小中はバレー一筋だったのに、高校入ったら軽音楽部 って、方向転換半端ないんだけど😓仲の良い子とバンドを組む話になり、 何か楽器を担当しなければと祖母の家にピアノがあることを思い出したみのりは、るり姉に教えて貰おうと頼みますが、ピアノを弾けたのは母のけい子の方でした。

って・・え?第一章で今にも死にそうだったるり姉がすっかり元気になってるじゃん!過去に遡っていく章の中で、「あぁ、思い出は輝いているなぁ」と切なさを溜めていたこちらの気持ちをどうしてくれるのさ!と肩透かしを味わいながらも、元気になってたのか~!と良かった感もじわじわ湧いてきます。
そういえば、はっきりした病名は書かれていなかったし、手術すれば治ると大人たちは言ってたような気も。ミスリード上手いなぁ。というか、家族の信じる力が奇跡を起こしたってことかしらね。

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ブラフマーストラ

2023年08月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年5月12日公開 インド 167分 G

ムンバイに暮らす天涯孤独の青年シヴァ(ランビール・カプール )は、見知らぬ科学者が何者かに襲われる不思議な幻視を見る。その理由を探るうちに、古代ヴェーダの時代から秘密裏に受け継がれる神々から授かった武器“アストラ”と、その中でも最強とされる“ブラフマーストラ”の存在を知らされるシヴァ。ブラフマーストラが目覚めることで世界は地獄と化す…。しかも彼は、それらの武器を守護する役割を担っていた人物の息子であり、偉大なる火の力を宿す救世主だった!
果たしてシヴァは自らの運命を受け入れ、世界を救うことができるのか…。(公式HPより)


インドの古代史を元に、現代を舞台に新たな神々の物語を最先端のテクノロジーで描いたファンタジーアクション作品です。
インド映画らしい三時間近い長さとスケールの大きさ、突然入る歌と踊りにラブロマンスも加わりまさに王道娯楽映画で、実は三部作として企画されているそうです。

古代インド。ヒマラヤで「アストラ」(強力なエネルギー武器)を使いこなす賢者たちの中で、最強の能力を持つ「ブラフマーストラ」との対立が起こります。争いの終結後、彼らは世界の秩序と平和を守るための秘密結社「ブラフマーンシュ」となります。

現在。ヒンドゥー教の女神ドゥルガーの祭りに参加していたシヴァは、デリーの高層ビルで、モハン(シャー・ルク・カーン)が2人の襲撃者に襲われている幻視を見ます。片足に光を纏った彼は超人的な身のこなしで襲撃者を圧倒しますが、禍々しい力を持つジュヌーン(モウニー・ロイ )が現れ・・・我に返ったシヴァがこのことを考えていると、参列者の中の一人の女性に目が吸い寄せられます。一目惚れした彼は、数日後DJをしていた時に彼女イーシャ(アーリヤー・バット )を見かけると追いかけて彼女をパーティに連れ出します。それは孤児の子供たちの誕生日パーティで、彼自身も幼少期に火事で母を亡くし、父を知らずに育った孤児でした。身の上話の最中にまたしても幻視が現れます。ジュヌーンに尋問されたモハンは情報を守るため自ら身を投げて転落死しました。
現実に戻ったシヴァは自分の身に起きた現象に動揺し、ニュースでモハンの死亡報道を知って、幻視が現実だったことに驚きます。

シヴァに惹かれていたイーシャは彼の告白を聞いて驚きますが、シヴァが幻視で見たヴァーラーナシーの学者アニーシュ(アッキネーニ・ナーガールジュナ ) を探して警告するため一緒に行くと言います。
アニーシュ探しを前に2人だけの時間を楽しんでいたところ、突然シヴァの手に炎が向かってきました。この不思議な力のことをイーシャに話していたところ、例の襲撃者たちが現れます。彼らの視線の先にはアニーシュが!2人は彼からアストラとそれを受け継いできた存在を聞かされます。指導者グル(アミターブ・バッチャン )の元に向かう途中、再び現れた襲撃者を阻むためアニーシュが犠牲になります。ちなみにアニーシュの武器は「ナンディアストラ」(雄牛のパワー)で、モハンは「ヴァーナラーストラ」(巨猿のパワー)です。
そしてシヴァのは「アグニヤストラ」(炎のパワー)ですね。

ブラフマーンシュの館の前で追い詰められたシヴァが遂に炎の能力を解放して襲撃者の一人を消します。自分に秘められた能力を知ったシヴァは、イーシャと普通に生きることを望みますが、両親を知っているというグルの言葉に釣られ、グルの元で学び遂に力を会得するんですね。しかもその源が「愛」だと。😁 シヴァは赤ん坊の頃の火事の記憶で自分が炎で母を焼死させたのではないかと恐れていました。グルは彼に炎は愛を消せないと言いました。愛は全てに勝る武器というのが作品のテーマでもあるようです。
現実でもシヴァとイーシャを演じた二人は映画を通じて交際、結婚したんだそう💛

シヴァの母アムリタ(ディーピカー・パードゥコーン )はアストラの持ち主で、あらゆる力を欲するデーヴ(ブラフマーストラ)を止めようと戦い倒したのですが、その時に身籠っており、実はデーヴがシヴァの父だという事実が語られます。
そこに再びジュヌーン(彼女はデーヴを神と崇めています)らが現れ戦いになります。イーシャを守るために能力を尽くして戦ったシヴァは遂にジュヌーンを倒すのですが・・ラストシーンではデーヴ復活を予想させました。

そりゃそうだ、まだ二作残ってるもんな~~😕 

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ドリーム・ホース

2023年08月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年1月6日公開 イギリス 113分 G

ウェールズの谷あいにある小さな村。無気力な夫ブライアン(オーウェン・ティール )と暮らすジャン(ジャネット)・ヴォークス(トニ・コレット)は、パートと親の介護だけの単調な毎日に飽き飽きしていた。そんなある日、クラブで共同馬主の話を聞いた彼女は強く興味をもち、競走馬の飼育を決意。勝ったことはないが血統の良い牝馬を貯金をはたいて購入し、飼育資金を集めるため村の人々に馬主組合の結成を呼びかける。産まれた子馬は「ドリームアライアンス(夢の同盟)」と名付けられ、奇跡的にレースを勝ち進んで村の人々の人生にも変化をもたらしていく。(映画.comより)


ウェールズの片田舎の小さなコミュニティで育てた競走馬が最高峰のレースに挑んだ実話を基に描いたヒューマンドラマです。
ウェルシュナショナルのオープニングでウェールズ国歌「Hen Wlad Fy Nhadau(英題:Land of My Fathers)」をウェールズ語で歌ったのは、南ウェールズ出身のメゾソプラノ歌手キャサリン・ジェンキンスです。

ジャンはバーテンダーとスーパーのレジ打ちを掛け持ちして家計を支えています。夫は無職で日がなソファに座りTV漬けでジャンの話を聞いてもいません。高齢の両親は介護が必要で、生活に追われるだけの何もない人生に物足りなさを感じていました。

そんなある日、パブの客ハワード(ダミアン・ルイス)が、かつて競走馬の馬主だった話で盛り上がっているのを聞いた彼女は、自分にも競走馬を育てられるかもと思いつき、鳩レースをやめて生き甲斐を失っていた夫を巻き込みます。資金もノウハウもないため、まずはハワードに声をかけて協力を得た彼女は、次に村人たちに共同馬主となることを呼びかけ、集まった約20人に週10ポンドずつ出し合ってもらい組合馬主を結成します。夫婦の貯金(組合に立替)で血統の良い牝馬ルーベルを安価で入手し、種付けして生まれた子馬はドリームアライアンスと名付けられ大切に育てられます。
やがて成長したドリームは、国内最高の調教師ホッブスに認められて訓練を受けレースに参加することになります。
バスに乗り駆け馬主席ではしゃぐ村人たちの様子がとても微笑ましい😉 
エイヴリー卿(ピーター・デイヴィソン)ら地位のあるお金持ちが殆どの中で悪目立ちしていますが彼らは全く気にしていないのも👍素人が育てた農場の馬と格下に見られたドリームでしたが見事4位で入賞し、皆大喜びします。
次のレースではエイヴリー卿の馬を抜いて優勝し、卿から譲って欲しいと打診されますが、ジャンは即座に断ります。組合員たちの中には彼女の独断を非難する者もいました。(お金が絡むと欲が出るのも人の常)その後も順当に勝ち続ける姿に、村全体が活気付きます。

しかし、あるレースでドリームは大怪我をして高額な治療費(幹細胞治療には2万ポンドかかり、成功しても再起できない可能性が高い) か安楽死の選択を迫られる事態になります。ジャンの必死の願いが組合員たちに通じて治療が選択された結果、ドリームは怪我を克服します。怪我が治ったドリームをレースに出走させることにジャンは反対しますが、ブライアンはドリームは出たいと思っているだろうと諭します。(ジャンのドリームに寄せる想いはまるで我が子を心配する母親のようでした。)
復帰レースのウェルシュナショナルでドリームは見事優勝を果たします。。レースの描写も見応えがありました。出走前の馬たちの高ぶりや障害を飛び越える音、ゴール前の直線のデッドヒートはまさに手に汗握る迫力でした。

ドリームの生涯獲得賞金は13万7000ポンドで、出資者はそれぞれ1430ポンドの配当を受けたそうです。
でも彼らが得たのは金額よりもっと大きな夢や胸の高鳴りでした。
村を出た人たちが出身を隠したくなるような小さな村が、ドリームによって有名になって誇れる場所になったのです。ウェルシュナショナルレースの模様を共同馬主たちだけでなく村全体で固唾を飲んで見守り応援する様子から熱気と興奮が伝わってくるようでした。

かつて馬主で大損して家を手放しかけたハワードは、妻のアンジェラ(ジョアンナ・ペイジ)に言い出せずにいましたが、ばれてしまいます。ハワードは税理士として勤めていた会社も辞めちゃってますから怒るのは当然ね。でもハワードの父親の夢(騎手になりたかった)の話を聞いていたジャンがアンジェラに何気なく話したことで猛反対していた気持ちに変化が生じ、ウェルシュナショナルには家族で出かけるのです。ジャン夫妻もですが、夫婦仲も改善されたという😁 元々どちらの夫婦も互いを愛する気持ちはずっと変わらないのも良いね♡

エンドロールでキャストが陽気に合唱する「Delilah」の歌詞がなかなか物騒(浮気した恋人を殺してしまう)で、この歌を選んだことにどういう意味があるのか気になりました😓 

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散歩時間 その日を待ちながら

2023年08月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年12月9日公開 95分 G

舞台は2020年11月17日。婚約をしたものの、コロナの影響で結婚式をすることができなかった20代の亮介(前原滉)とゆかり(大友花恋)。引っ越しの整理もままならない二人だが、都会から離れた町に住む真紀子(柳ゆり菜)の自宅で友人たちがお祝いパーティーを開いてくれることになり、稲田(中島歩)や圭吾(篠田諒)、そして真紀子の知り合いのインフルエンサーちひろ(めがね)らが集まる。しかし、自分の意見に合わせるばかりで、本音を話さない夫に不安を募らせていたゆかりは、彼の隠し事を知ってしまい、祝いの席に不穏な空気が漂ってしまう。
同じ空の下、様々な人物がやり切れない想いを抱えて毎日を過ごしている。急増するデリバリー案件に答えながら演劇ワークショップが中止になる日々を送る30代の若手俳優の片岡(アベラヒデノブ)、帰省できず里帰り出産のわが子を抱くこともできない40代のタクシードライバーの淡路(高橋努)、そして、学校イベントのほとんどが中止となり、長年の恋心さえも伝えられずにいる中学3年生の光輝(山時聡真)と鈴(佐々木悠華)。
この日は、しし座流星群がピークを迎える日── 恋人や親友、我が子との間でさえも曖昧になっていく他者との繋がりに、それぞれが葛藤を抱えながらも、たしかな一歩を踏み出そうとする彼らの空に、流れ星が降り注ぐ。(公式HPより)


新型コロナウイルス感染拡大により漠然とした不安が漂う2020年を舞台に、世代も職業も異なる人々が織りなす人間模様を描いた群像劇。(映画.comより)

新型コロナウィルスの感染拡大で行動制限がかかり、マスク、消毒、ソーシャルディスタンス、テレワーク等が日常となった3年前。気軽に友人と集まることも、やりたいことや行きたい場所さえ我慢せざるを得ない現実を受け入れることに慣れていく中で、誰にもどこにもぶつけられない怒りや苦しみを抱えながら、それでもゆっくり確実に時間は流れていきました。

本作では、10代から40代の世代も職業も異なる人々が過ごした「しし座流星群」が降った一夜が描かれます。

コロナ禍で結婚披露宴が出来なかった亮介夫婦のために、亮介の元アルバイト仲間の真紀子が披露宴を企画しました。場所は彼女の自宅(東京から少し離れた場所のよう)で、バイト時代の先輩の稲田や後輩の圭吾も参加します。でも祝ってくれるとはいえ、この時期に会ったこともない人たちと集まることにゆかりは気乗りしていません。真紀子はロールケーキだけは手作りしましたが、他の料理はウーバーのデリバリーを更に盛り付けます。でも稲田と圭吾、亮介たちの土産が高級ケーキだったため、自分のケーキを出せずにいます。

ラジオから「しし座流星群」が関東近郊で今日ピークを迎えるとのニュースが流れてきます。
里帰り出産の妻とスマホで会話するタクシードライバーの淡路、天体望遠鏡を持って流星群を見に行こうとしている光輝についていく鈴、役者を目指しウーバーで生計を立てるつむり・・・それぞれが閉塞した状況にため息をつきながら生きています。

後半、亮介が自分に黙って転職を決めたことを知ったゆかりが、彼と本音で会話します。「許せない」ではなく、「好きだからちゃんと話して」という方向に行って、最初のぎくしゃくした関係が好転するんですね。

真紀子の家にオードブルを届けたつむりは、閉鎖された学校に忍び込んでいる光輝と鈴にも配達します。ウーバー仲間の外国人たちに「お化けが出る」と脅されたつむりと光輝の会話が最初噛み合わない様子がちょっと笑えました。つむりは芸能活動自粛の煽りをくらって発表の場を失いますが、夜中、漫才の練習をしている芸人の卵たちを見かけて「独り」じゃないんだと心強くなります。

幼馴染の光輝を見かけ思わず一緒について行った鈴は彼に好意を抱いています。修学旅行も中止になり中学時代の思い出が作れなかったという鈴に、光輝は蚊取り線香と花火を取り出し一緒に楽しみます。思い切って告白しようとした瞬間、星が流れます。う~~ん、アオハルだね😁 

酔客を乗せた淡路は、彼の愚痴(コロナ自粛で店が潰れた)を聞きます。下車した彼に思わず「がんばって・・じゃないな。がんばらないで」と話しかけると、彼は「初めて言われた・・がんばらないことにするよ、ありがとう」と答えます。
(この客は自分は一度も罹患したことがないと車内でもノーマスクでしたが、下車したあと淡路からマスクを渡されると素直につけます。このエピソードが伝えたかったのは励まし?それともさり気ない同調圧力?)
その帰路、亮介たちを乗せ、彼らのリクエストで星が見える場所に寄り道した淡路は、妻に「今度(実家に)行ってもいいかな」と電話します。不特定多数の客と接する彼は生まれたばかりの我が子に会いにいくのも遠慮していたことがわかる件です。

家から少しだけ遠出をして自分の時間を過ごすことで見えてくる何かもある。この映画はそういうことを伝えているようにも思えました。

あれから3年が経ち、コロナは5類になり、自粛は過去のものとなりつつある現状ですが、ウィルスが消滅したわけでも、克服されたわけでもないということもまた事実です。この作品を「そんなこともあったね~」と笑えるのはまだ先なんだよな~。😞

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シンデレラ 3つの願い

2023年08月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年3月17日公開 ノルウェー 87分 G

美しく、弓や乗馬も得意で勇敢な女性シンデレラ(アストリッドS)と、王家の伝統に縛られたくない王子(センジス・アル )。ある日、森の中で2人は偶然出会い、すぐにひかれ合うが、互いの名も知らぬまま別れてしまう。シンデレラは再会を願うが、厳しい継母(エレン・ドリト・ピーターセン)は彼女に外出を禁じる。そして、王子の花嫁を見つけるために開かれる舞踏会の日が近づくなか、シンデレラは願いごとをかなえてくれる不思議な3つの木の実を手に入れる。(映画.comより)


「シンデレラ」の物語を新たな解釈で描いた、ノルウェー製作のファンタジーラブストーリー作品です。
願いを叶えてくれるのは妖精ではなく、梟の贈り物?の3つの木の実です。
かぼちゃの馬車の代わりに愛馬を自ら駆って城に行くシンデレラは、父親から狩り(弓)も習っていました。それでいて優雅なダンスも身につけています。受け身ではないまさに現代のヒロインです。😀 

継母に虐げられているのは同じですが、娘とは案外仲が良い様子。そもそもこの娘は母の言いなりになっていただけで王子との結婚を自ら望んでいたわけでもなさそうでした。

願いの木の実は王子が悪戯で射落としたもので、それをシンデレラの味方をしている使用人がお土産として渡したものです。他の使用人たちもシンデレラに同情を寄せているようでした。
一つ目の木の実を開けると、狩りの衣装と弓矢が出てきます。
二つ目は素敵なドレス(母のドレスという表現をしていました)と金色の靴と何故かアラビア風のベール(そういえば3つの願いは「アラジン」を連想させますね)が出てきます。そして三つ目からは何も出てこないんですね~😥 衣装ではなくありのままの自分で勝負しなさいという意味を含んでいるようです。

さて、王子の方は狩りと乗馬にしか興味がなく、結婚などまだ考えられず、ダンスの練習にもさっぱり身が入りません。花嫁選びの舞踏会も嫌がりますが父の「(花嫁は)私が選ぼうか」に嫌々ながら出席します。でも全くやる気無し感が全身から漂っています😖 

そんな時に現れたのが美しいドレスを纏ったシンデレラ。彼女と会うのは三度目なのに鈍い王子は気付きません。そんな王子にシンデレラは謎掛けをします。「顔は灰だらけだけど、煙突掃除人じゃない」「羽付き帽子をかぶって弓を持っているけど、狩人じゃない」「豪華なドレスを着ているけど、お姫様じゃない」
でも継母が訝し気に見ているのに気付いたシンデレラは突然逃げ出してしまいます。どうも彼女は継母から服従の呪文ならぬ精神的抑圧を受けているようにみえます。
王子が恋に落ちたことを感じ取った王と王妃は彼にシンデレラの後を追うように言います。彼女が落とした靴を持って、王子は村にやってくると若い娘を呼び出して(真夜中なんですけどね~😅 )靴がぴったりな人と結婚すると言います。

急いで村に戻った継母はシンデレラのドレスを奪って彼女を閉じ込めて自分の娘にドレスを着せて王子を騙そうとしますが、そう簡単にはいかず、とりあえず娘を連れて逃げ出します。シンデレラは仲良しのネズミの力を借りて縛めを解くと、愛馬に乗り継母たちを追いかける王子を追いかけます。

継母たちのソリが転落し、王子が助けますが、このとき娘の正体がばれてしまいます。そこへシンデレラがやってきて、娘を后にとの狙いが失敗したことを悟った継母が何と王子を突き落としちゃうんですね~。それをシンデレラが一本の矢で救うという・・・ハッピーエンドは変わりありませんが、従来の男女の立ち位置が逆ですね。ついでに王子の悪友の二人が実はゲイだったというオチも😁 

おとぎ話も時代により変化すると思えばこれもありかも。
美しいノルウェーの雪原にしばし猛暑を忘れさせてもらいました。

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天間荘の三姉妹

2023年08月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年10月28日公開 150分 G

天界と地上の間にある街、三ツ瀬。美しい海を見下ろす山の上に、老舗旅館「天間荘」がある。切り盛りするのは若女将の天間のぞみ(大島優子)だ。のぞみの妹・かなえ(門脇麦)はイルカのトレーナー。ふたりの母親にして大女将の恵子(寺島しのぶ)は逃げた父親(永瀬正敏)をいまだに恨んでいる。
 ある日、小川たまえ(のん)という少女が謎の女性・イズコ(柴咲コウ)に連れられて天間荘にやってきた。たまえはのぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故にあい、臨死状態に陥ったのだった。
 イズコはたまえに言う。「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」。しかし、たまえは天間荘に客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る。そもそも三ツ瀬とは何なのか? 天間荘の真の役割とは?(公式HPより)


漫画家・高橋ツトム「スカイハイ」のスピンオフ作品「天間荘の三姉妹」を実写映画化した「人が生きること」についてのヒューマンファンタジー 作品です。監督は『この世界の片隅』の真木太郎。

地上と天界の間にある三ツ瀬の天間荘には、臨死状態の魂がやってきます。
母親を早くに亡くし父親も行方不明で天涯孤独の小川たまえがイズコに連れられ天間荘にやってきます。(タクシーで来るのですがマスクにサングラス姿の運転手が超怪しい😁 )そこでのぞみとかなえが腹違いの姉であることを知らされます。二人の姉は歓迎しますが、恵子は客ではないときつく当たり、たまえは天間荘の従業員として働くことを申し出ます。

早速長逗留している財前玲子(三田佳子)の担当となったたまえは、気難しい財前に振り回されながらも持ち前の天真爛漫な明るさで少しずつ財前の心を開いていきます。「走馬灯」(生前の記憶)を見て戻るか逝くか決めるよう恵子に渡されたものの怖くて見られないという財前に、たまえは一緒に見ようと提案し、財前は(子供の時に別れた)娘が孫を連れて昏睡状態の自分を見舞っていることを知ります。

次の宿泊客・芹崎優那(山谷花純)は、高校の時に描いたイラストが盗作と言われ虐められて引き籠りになり家庭内暴力の末に自殺を図り臨死状態です。
たまえは恵子に言われて優那に走馬灯を見せますが、辛い過去に耐えられず走馬灯を投げつけて火事を起こします。問題児の優那に優しく接してくれるたまえに心を許し、再び絵を描く意欲を取り戻した優那は、たまえと一緒に現世に戻りたいと願いますが、家族と一緒に過ごす今の暮らしを続けたいたまえに拒否されます。裏切られたと感じた優那は、たまえと一緒にいたかなえをナイフで刺しますが、既に死んでいるかなえは無傷でした。
天間荘に戻った優那に、イズコは選択を迫りますが、彼女はどちらも拒否します。その様子を見かねた財前が優那と一緒に現世に戻ると言い、二人はタクシーに乗り三ツ瀬を去っていきました。

たまえはかなえにイルカトレーナーになりたいと教えを請います。その練習の様子を見守っている人影に気付いたたまえは「お父さん」と呼びかけました。それはタクシードライバーの小川清志で、三姉妹の父親だったのです。
彼はたまえを引き受けて貰おうと三ツ瀬を訪れた際、地震による津波に呑み込まれていました。自分の行いを詫び頭を下げる清志に、恵子とのぞみは冷ややかな目を向けますが、かなえは家族の写真を撮ることを条件に許します。

たまえのイルカトレーナーデビューの日がやってきましたが、上手く出来ない様子を三ツ瀬の住人たちが笑います。怒った恵子は彼らに向かってあの地震の日で時が止まったままの三ツ瀬を終わらせると告げます。
たまえは、三ツ瀬の人々の想いを受け止めて現世に戻ることになります。
父はたまえに「人は死んでも遺された者の心の中で生き続ける」 と言いました。

天間荘で住民達は最後の宴会をします。(料理人として中村雅俊が出演しています)昇天する彼らを見送りながら家族皆で食事を楽しんだたまえが疲れて眠ってしまった後、家族も来世で会おうと約束して昇天していきます。目が覚めたたまえはイズコの「お生きなさい」の言葉に背中を押され現世に向かいました。

たまえは、優那に会いに行き、一緒に三ツ瀬の水族館を訪れます。あの日、父が助けた早乙女海斗(萩原利久)にかなえと水族館の館長をしていた彼の父親のことを話したたまえは水族館で働くことになります。イルカトレーナーデビューしたたまえは、亡くなった人たちのメッセージを伝え、ショーを見事に成功させたのでした。

魚屋の息子の魚堂一馬(高良健吾)と父親の源一(柳葉敏郎)、早乙女海斗と父親の勝造(平山浩行)。それぞれ息子と父をあの地震で亡くしていて、時が経っても互いに思い合っている様子が切なくも温かく描かれていました。

イズコは、東日本大震災とその後の津波で命を奪われ突然の死を迎えて心の整理がつかない住民たちのために天国と現世の間に三ツ瀬の町を作り、恵子はその意図を汲んでこの世とあの世の間にいる者を天間荘に迎えることでイズコの手伝いをしていたのでした。たまえを天間荘に連れてきたのは、家族と会わせることで生きる希望を与えたかったのと、たまえにみんなの魂を救って欲しかったからです。

震災で変わり果てた町や津波の描写はまだ胸を抉る傷みを呼び起こしますが、人の温かさや想いも伝わってきて涙腺が緩くなる場面も多々ありました。
現世での財前玲子が娘や孫と楽しそうにしている姿や、死者からの伝言を受け取った源一たちの笑顔が眩しかったです。誰かの心(記憶)の中にある限り人は生き続けるのですね😌 

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犬がいた季節

2023年08月08日 | 
伊吹 有喜 (著) 双葉社(発行)

ある日、高校に迷い込んだ子犬。生徒と学校生活を送ってゆくなかで、その瞳に映ったものとは―。
最後の共通一次。自分の全力をぶつけようと決心する。18の本気。
鈴鹿でアイルトン・セナの激走に心通わせる二人。18の友情。
阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件を通し、進路の舵を切る。18の決意。
スピッツ「スカーレット」を胸に、新たな世界へ。18の出発。
ノストラダムスの大予言。世界が滅亡するなら、先生はどうする?18の恋
12年間、高校で暮らした犬、コーシローが触れた18歳の想い―。
昭和から平成、そして令和へ。いつの時代も変わらぬ青春のきらめきや切なさを描いた、著者最高傑作!(「BOOK」データベースより)


四日市市の進学校・八高(八稜高校)を舞台に、そこで飼われることになった「コーシロー」と名付けられた犬と高校生たちの交流 が描かれます。一つの時代だけでなく、3年毎にその時々の在校生と、少しずつ年を取っていくコーシローとの物語なのです。それぞれの物語の始まりと終わりはコーシローの視線での独白で、高校生とコーシローそれぞれが主人公でもあります。

第1話 めぐる潮の音:昭和63年度(1988~1989)
子犬のコーシローが八高で飼われることになった経緯が描かれます。彼は捨てられて学校に迷い込んだようです。

成績が伸び悩む塩見優花は、受験の現実から逃れるように実家のパン工房の手伝いをしています。美術部の部長をしていた優花は、同じく美術部の早瀬光司郎の席に座っていたことから「コーシロー」と名付けられた犬の飼い主を探すためポスターを制作しますが現れません。学校で面倒を見ることに難色を示していた校長先生を、光司郎が助け舟を出してくれたことで「コーシローの世話をする会」が発足します。
このことがきっかけで光司郎と話しをするようになり、美大という目標を持つ彼に触発された優花の成績は上がっていきます。
大晦日、優花と光司郎はコーシローを連れ高台に登り街を眺めながら潮の満ち引きと自分たちの人生を重ね色々な話をします。
優花は受験した大学全てに合格し、早稲田大学に進学します。光司郎は美大に不合格でしたが絵は諦めないと言いました。
校長先生が贈ってくれたコーシロー会の日誌(5年日記)には、光司郎が描いたコーシローの絵と共に『コーシローが八高に来たこと』と記されました。

優花の祖父は女の子の大学進学に内心反対しています。女は学問より家事という考えなんですね。そんな祖父をみてきた兄も同じです。祖母もですが、戦時中に疎開させていた娘を空襲で亡くしているため、優花を地元(手元)に引き止めておきたいという気持ちもあるんですね。でも父は自分が出来なかったことを子供にはしてやりたいと思っていて、東京の大学に行きたいという優花を全力で応援してくれます。舅姑に辛くあたられている母も、自分に帰る家がなかったが優花には私が守っているこの家があると応援してくれました。
優花が東京の大学を望んだのは自分の力を試したい他に光司郎の事も大きかった気がしますが・・・。実は光司郎の方がずっと優花を好きだったのです。


第2話 セナと走った日:平成3年度(1991~1992)
コーシローは時々スリッパ(八高の上履きは生徒が用意するスリッパです)を咥えて逃げます。コーシローの世話をしている堀田五月は、相羽がスリッパの被害にあったことをきっかけに、彼と話すようになります。五月は学年一優秀な相羽が苦手でしたが、F1好きとわかって俄然親しみを覚えます。
兄から日本グランプリのチケットを貰った五月は、コーシローのスリッパ被害のお詫びに相羽を誘います。すると相羽は決戦の日にある全国統一模試を捨て、予選の金曜日から野宿する五月と一緒に観戦したいと言います。(本田宗一郎が二ヶ月前に亡くなり、ホンダのドライバー・セナの年間チャンピオンへの期待が高まる今回はまさにファンなら喉から手が出るプラチナチケットでした。)
日本グランプリが行われる鈴鹿サーキットは五月の家から自転車で行ける距離です。
性格も行動も異なる二人でしたが、観覧車からサーキットを眺め、フリー走行を間近で見、食事に向かった先でセナを見かけてテンションは最高潮。チキンラーメンに入れた卵に黄身が二つ入っていたのを見てホンダ勢のワンツーフィニッシュを予想したりと野宿しながら3日を過ごして絆が深まります。
結果は予想通りとなり、ゴール直前でセナが同じホンダ車を待ったかのようなワンツーフィニッシュは、まるで五月と相羽の関係性のようにも見えました。

第3話 明日の行方:平成6年度(1994~1995)
上田奈津子は東京の大学を目指していました。
大きな揺れを感じた1月17日の朝。神戸大震災が起きます。神戸で被災した祖母を父は家に連れて来て一緒に暮らすようになりましたが、互いに遠慮して行き詰る日々が続きます。ある日「明日のことはわからない」と泣き出した祖母から飼い犬のチロやお向かいの家の子も震災で亡くなったことを聞いた奈津子は、コーシローの話をして元気づけ、卒業式に祖母を呼び、コーシローと一緒に写真を撮ります。
東京の大学に合格し上京した数日後、祖母が亡くなります。棺には卒業式で撮った写真が入れられました。葬儀の後、戻った東京では地下鉄サリン事件が起きていました。立て続けに身近で起こった大きな事件が、彼女を変えます。奈津子は東京の大学を辞め、医師になる道を選びます。

当時の衝撃は年々薄れていき、東日本大震災も起こって更に記憶の外になってきましたが、改めて人生を変えるような大きな出来事だったことを思い出させてくれました。いきなり同居することになった家族と祖母の両方が抱える閉塞感や気詰まり、遠慮は想像できるし、結果として祖母の命を縮めてしまったのかもしれません。でもこの出来事が「明日の行方は、この手でつかむのだ」と 一人の少女を確かな未来へと繋いだのも事実ですよね。

第4話 スカーレットの夏:平成9年(1997~1998)
学校一の美人と噂される青山詩乃は、密かに援助交際を行っていました。ある日「パパ」と行ったライブハウスでパンクバンドのヴォーカルが同級生の鷲尾だと気付き、学校でのもっさりした冴えない彼の豹変に驚きます。後日、学校で詩乃は鷲尾にパパの存在を明かします。詩乃は母の店で客に性的サービスをさせられていました。家を出たくて資金稼ぎで援助交際をしていたのです。ある夜、憂鬱な気分で家を飛び出した詩乃を見かけた鷲尾は、彼女を自分たちの練習スタジオに連れて行きます。彼は「コーシロー会」にも所属していてそのメンバーでバンドもやっていました。(ちゃんとコーシローも来ているの)プロを目指しているメンバーたちの純粋さと、鷲尾の歌うブルーハーツの『TRAIN-TRAIN』が詩乃の心に響きます。
「帰りたくない」という詩乃をガレージに泊めた鷲尾を彼女は誘いますが、彼は拒否します。傷ついて泣いた詩乃をそっと抱きしめたけどそれ以上は何もしませんでした。港でフレアスタックを見ながら詩乃にリクエストされ、鷲尾はスピッツの『スカーレット』を歌います。それを聴きながら詩乃は「初めて恋をした」と感じます。

進学校の中で異色な二人ですが、何だかとっても青春だな~~

第5話 永遠にする方法:平成11年(1999~2000)
八陵高校の英語教師・優花に恋をしている中原大輔。彼は幼い時にパン屋の前で転んで優花に助けてもらって一目惚れしました。
1999年はノストラダムスの大予言の年で、勉強に身が入らない大輔は授業中に優花から「however」の意味を『永遠にする方法』と答え、優花に「中原君らしい」と言われます。

病院に祖父を見舞った大輔は、痰の吸引に苦しむ祖父から「牧場に帰りたい」と言われます。病室を出た大輔は母の見舞いに来ていた優花と遭遇し、お互いに何もできない無力を嘆きます。小さい頃の「出会い」を優花も覚えていました。
美大を目指す大輔でしたが、ある時コーシロー会の日誌のカバーの下に光司郎が描いた優花とコーシローの絵を発見して自信をなくします。

病院で再び出会った大輔と優花。祖父の病室で言い争う母と伯母を見て暗い気持ちになった大輔と同じように優花もまた悲しみを抱えていました。優花に送ってもらった車の中でノストラダムスの予言の話題から、優花が預かっていたコーシロー(老犬となりめっきり弱っています)も一緒に夜景を見に行きます。

大輔は祖父の牧場に行き、風景をスケッチして病室の祖父に見せます。「帰りたい」と願う祖父への大輔なりの「一瞬を永遠にする方法」でした。祖父は絵を撫でながら微笑みを浮かべました。

大輔は美大に合格します。日誌の裏表紙に教壇で微笑む優花と足元で寝そべるコーシローを描いた彼は、桜の下で優花にコーシロー会初代の日誌を渡してカバーの下を見るように言って去っていきました。コーシローはお別れの時が来たことを悟ります。

最終話 犬がいた季節:令和元年(2019)
創立100周年の記念式典に世界的に有名な画家となった早瀬光司郎が来賓に呼ばれています。同窓生からの記念品にとコーシロー会のOBたちが中心となり、欧州でオーガニックのエステサロングループを夫と率いる「マダム・シノ」(第4話の詩乃ですね)が窓口となって光司郎に絵を依頼したのです。
上田奈津子(第3話)は医師となり被災地支援のボランティアを行っています。
中原大輔はグラフィックデザイナーとして活躍していて、堀田五月と相羽も再会して話が弾んでいます。(歴代のメンバーのその後が描かれているのは嬉しいですね。)

彼の絵の中には希望の象徴の白いダッフルコートを着た少女(優花)がいます。そしてバックネット裏にいる光司郎は「希望」をまっすぐに見上げています。もちろんコーシローも五十嵐先生もいます。優花は婚約解消や結婚・離婚を経て今は独身です。五十嵐先生に彼女の近況を聞き出した光司郎(彼も離婚を経て独身)は「抜けよう」と優花を誘います。高校生の時には互いに伝えられなかった想いが今こそ・・・なラストでした。五十嵐先生、ナイスアシスト!😁 

子犬のコーシローが老犬となって安らかに旅立つまでの12年という時間の中で、18歳という輝きの季節を生きる登場人物たちが悩みながら成長していく姿とその祖父や母の「生と死」の対比も心に響いてきました。

昭和から平成の当時の出来事や流行った歌
「FLOWERS for ALGERNON」(氷室京介) 
「TRUTH」(THE SQUARE)
「Tomorrow never knows」(Mr.Children)
「スカーレット」 (スピッツ)
「HOWEVER」(GLAY)
なども話の中にさりげなく盛り込まれていて懐かしい気持ちになりました。

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TAR ター

2023年08月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年5月12日 アメリカ 158分 G

ドイツの有名オーケストラで、女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ター(ケイト・ブランシェット)。天才的能力とたぐいまれなプロデュース力で、その地位を築いた彼女だったが、いまはマーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャーと、新曲の創作に苦しんでいた。そんなある時、かつて彼女が指導した若手指揮者の訃報が入り、ある疑惑をかけられたターは追い詰められていく。(映画.comより)


音楽界の頂点に上りつめて絶対的な権力を振りかざすターですが、名声を守り続けるための重圧が彼女を少しずつ蝕んでいきます。芸術と狂気のせめぎ合いをケイト・ブランシェットが圧巻の演技で表現していました。ケイトは本作出演にあたりドイツ語とアメリカ英語をマスターし、ピアノと指揮をプロから本格的に学んですべての演奏シーンを自身で演じきったそうです。

ドイツのベルリン・フィルは世界最高峰のオーケストラであり、そこで女性初の首席指揮者となったリディア・ターは、並外れた才能と努力、類稀なるプロデュース力のある女性。作曲家としても圧倒的な地位を手にしたターでしたが、マーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャーと新曲の創作に苦しんでいました。

インタビューに応えるターは威風堂々としています。その後には財団の支援者のエリオット(マーク・ストロング)との会食が控えていました。ターは財団で若手女性指揮者を育成するプロジェクトを行っていますが、参加者のクリスタが情緒不安定のため、次のキャリアへの推薦を拒否していました。

ジュリアード音楽院でも教えることになったターは、アフリカ系青年マックスの意見に対し芸術と人格は分けて評価されるべきと答えますが、彼の反感を買います。

アシスタントのフランチェスカ(ノエミ・メルラン)から、クリスタからのメールへの対応を尋ねられたターは無視するよう答え、クリスタから本が送られてきたことに気付くとそれを破って捨ててしまいます。

オーケストラのコンサートマスターでターの恋人でもあるシャロン(ニーナ・ホス)から二人の養女ペトラが学校でいじめられているらしいと聞いたターは、ペトラをいじめている子に「ペトラのパパだ」と名乗って今後娘をいじめたら許さないと脅します。

彼女の自伝を読んだ師であるアンドリス(ジュリアン・グローバー)と食事したターは、彼から感想の手紙を渡され、本の帯に使ってもいいと言われます。

仕事場として借りているアパートでピアノに向かうターでしたが、隣家の音が気になって集中できません。気分転換にジョギングに行っても様々なノイズが彼女を苛つかせます。

高齢の副指揮官セバスチャン(アラン・コーデュナー)の見当違いの意見を聞いて、ターは以前から考えていたとおり、彼を辞めさせフランチェスカを副指揮官にしようと行動を起こそうとしますが、そんな折、動揺したフランチェスカからクリスタが自殺したと聞かされます。彼女を宥め、クリスタとのメールを全て削除するよう指示しますが、後日、フランチェスカがメールを削除していないことに気付きます。副指揮者を目指すフランチェスカはターと師弟関係にありますが、互いに深い信頼関係は築けていないことが示されるエピソードでした。

シャロンからはオーディションで合格させたロシア人チェロ奏者オルガ(ソフィー・カウアー)への不満を聞かされますが、ターは取り合いませんでした。(ソフィーは実際にチェロ奏者として活動しているそうで本作が俳優デヴューだそうです。)

深夜のメトロノームの件はちょっと意味不明

セバスチャンに引導を渡し、フランチェスカにその座を匂わせたターに彼はフランチェスカとの関係を邪推します。

オルガの若さや大胆さ、自由奔放さに惹かれていくターは、コンサートで演奏するもう一曲をエルガーのチェロ協奏曲にします。この曲はチェロのソロがあるのね。
ソロ奏者は(形式上は)オーディションで決めると言いながらも、明らかにオルガを抜擢するための出来レースだとメンバーは不信感を募らせます。更にフランチェスカを副指揮者にしなかったことで、裏切られた彼女はオーケストラを去ります。

ある日、財団にクリスタの両親から娘の自殺にターが関係しているとの告発状が届きます。フランチェスカに去られ、財団や弁護士との対応に時間を取られてますます「雑音」が気になっていくターの楽しみは、オルガとのレッスンの時間です。
レッスン後彼女を車で送ったターは、ぬいぐるみの忘れ物に気付いて後を追いますが、廃墟のような様子に怯えて逃げ出し階段で転んでケガをしてしまいます。
顔の傷に驚く楽団員に平静を装い明るく振舞うターですが、世間では、ジュリアード音楽院でのマックスとのやりとりが編集されてSNSに拡散され、クリスタを支援するサイトと結びついて、ターへの逆風が起きていました。そんな中、支援者との会合よりNYでの自伝の出版会見を優先するターに対して財団側も不満を持ちます。

NYでターは、エリオットに支援関係の解消を告げられます。会見会場の前では抗議デモが行われ、オルガを伴う映像をニュースで見たシャロンからの電話を無視したターは、帰宅後、彼女から自分たちは愛情ではなく利害関係で結びついていたのだと言われます。NYでのオルガはターに関心がなく、まさに気の向くままに振舞っていました。

シャロンに見捨てられたターはペトラにも会わせてもらえず、楽団員からも財団からも見放され指揮者を解任されてしまいます。アパートでも音を注意され自暴自棄になったターは、マーラー5番のライブ録音コンサート当日に騒動を起こしてしまいます。(自分の代わりにエリオットが指揮をすることに耐えられなかった?)
生まれた家に戻ってきた彼女に兄が「リンダ」と声をかけます。それが本名なのね。自分の部屋に残されていた音楽ビデオを見ながら彼女は忘れていた音楽への初心を思い出します。

指揮者として再出発しようと小さなマネージメント会社と契約しアジアの国(フィリピン?)にやってきたターは、ゲーム音楽の指揮を任され真摯に譜面に向かいます。疲れを癒そうとホテルで聞いたマッサージ店を訪れたターですが、ガラスの向こうにオーケストラの配列 のように並んだ女性たちの中から選ぶように言われ〝5番〟と目が合います。そこは風俗店でした。自分がこの奴隷のようなシステムと同様のことをしてきたのだと気付かされたターは店を出て嘔吐してしまいます。

イベント当日、ステージでヘッドホンを付け タクトを振るターの後ろの客席にはコスプレをした沢山のゲームのファンたちが座っていました。「モンスターハンター」のゲーム音楽のコンサートらしい。

ターはインタヴューの中でペルー東部のウカヤリ渓谷を訪れて先住民シピボ・コニボ族の間で5年間を過ごしたと語っていますが、その旅に同行していたのがフランチェスカとクリスタなんですね。ターの嗜好を思えば、3人の間に複雑な感情・関係が生まれていたとしても不思議はありません。冒頭のチャットの会話がクリスタとフランチェスカだとすれば、フランチェスカの態度も納得できるかも。

音楽を志す人や、音楽家と言われる人が観たらより深い感想になったと思いますが、全くの門外漢にはケイトの演技は素晴らしかったけれど、ターという女性には共感を覚えることができなかったのが残念です。でも彼女の音楽に対するストイックなまでの実直さは伝わってきました。

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デイ・アフター・トゥモロー2023

2023年08月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年製作 アメリカ 86分
原題ICE STORM

北米大陸を襲った異常寒波。マイナス60度の《アイス・ストーム》が吹き荒れ、ボウリング球のような巨大な雹が降り注ぎ、アメリカは大パニックに見舞われる。対策に奔走する、モリー・マーティン博士(マッケンジー・ウエストモア )たち《REACT》緊急即応チーム。だがアイス・ストームは果てしなく勢力を強め、世界を覆ってゆく。人類を救うため、モリーたちが立案した計画。それは、宇宙船《マーク8》を打ち上げ、大気圏外からマイクロ波を照射。そのエネルギーで、アイス・ストームを消滅させるというものだった……。(あらすじ紹介より)


地球を覆い尽くそうとする異常寒波に人類が立ち向かうSFパニック。
猛暑の中“凍結滅亡”シリーズ最新作のフレーズに惹かれて観ましたが、予想通りというか期待外れのB級作品でした。
そもそもシリーズだったとは気付かず、登場人物たちの人間関係や背景をなんとな~~く理解するまで時間がかかったし😩 

モリー博士はチームのリーダーで、夫とは離婚話が出ていること、二人の子供もメンバーでそれぞれ専門知識を持っているらしいこと(息子はハッカーとして罪に問われていそう?)、大金持ちのメンバーが機材や場所を提供していることがだんだんわかってきたぞ。

ゴルフボール大から始まる雹が野球ボール大になる事態に、このままだとボーリング玉大になって深刻な被害が及ぶということで、それを防ぐためにロケットでヨウ化銀を降らせる話が前半。渋滞にはまったり、設置場所への許可が降りなかったりの障害を乗り越えて無事成功するのだけど、今度は《絶対零度》がもたらすより世界規模の危機が訪れそうになります。で、衛星を利用して宇宙から地球にマイクロ波を送って気象を変える計画が実行されます。
たった6名のチームで臨むのがそもそも無理がある設定でしかも時間も限られている筈なのに、なんでできちゃう?
極めつけはモリー夫妻が乗り込んだ宇宙船の帰還シーン。あの状況で無事はありえね~~😵 しかも夫婦関係まで修復しちゃってるし。
ラストはモリー一家がチームを解任されるのですが、その直後に何かが起きて続くっと😔 うん、でももう観ないな、続編もこのシリーズも。

キャストはウィリアム・ボールドウィン 、 マッケンジー・ウエストモア 、 グラント・バウラー 、 トリー・グリフィス他

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ロスト・イン・パリ

2023年08月01日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2016年製作 フランス=ベルギー 83分

雪深いカナダの小さな村で味気ない毎日を送っている図書館司書のフィオナ(フィオナ・ゴードン)のもとに、パリに住むおばのマーサ(エマニュエル・リヴァ)から手紙が届いた。フィオナに助けを求めるマーサのために、臆病者のフィオナは勇気をふり絞ってパリへと旅に出る。しかし、アパートにマーサの姿はなく、セーヌ川に落ちたフィオナは所持品を全部なくしてしまうという大ピンチに。さらに謎の男ドム(ドミニク・アベル)にもしつこくつきまとわれる始末。フィオナの前途多難なマーサ探しの冒険の旅がスタートする。(映画.comより)


パリに住むおばからのSOSに駆けつけたカナダ人女性が、異国の地で繰り広げる珍道中をユーモラスに綴った作品で、パントマイム的動きのギャグが特徴の道化師カップル、アベル&ゴードンが、夏のパリを舞台に小さな冒険を繰り広げる遊び心たっぷりのコメディ作品です。

カナダの雪深い山あいの風景はミニチュアのような可愛らしさですが、次の瞬間コントのような猛吹雪の中、ドアを開けてフィオナに手紙が届きます。パリで暮らす叔母マーサからで「助けて!老人ホームへ入れられてしまう!」と書かれていました。パリに行けると喜んで駆け付けたフィオナですが、何故かアパートに叔母の姿はなく行方不明。パリの街を探し回るフィオナですが、セーヌ川をバックに写メしてもらう拍子に川に転落してしまい(背中の荷物が重すぎてひっくり返るというオチ)お金やパスポートが入ったバックごとバックパックを失くしてしまいます。

ドムはセーヌ川河畔で暮らすホームレスで、偶然フィオナのバックパックを拾います。中に入っていたお金でを見つけ、早速船上レストランで食事(貧しいみなりなのでトイレとスピーカーの脇の席です)していると、警察にバッグと叔母の捜索を届け出た際に同情され?て貰った無料の食事券で食事していたフィオナと出会います。強引にダンスに誘われたフィオナはドムが自分のバッグを持っているのに気付いて取り返そうとしてまたまた川に落ちてしまいます。(いわゆる「てんどん」ギャグ)その後も何かと二人は出会いを繰り返します。

一方マーサは老人ホームに入るのが嫌で逃げ回っています。(自由大好きなパリっ子ですもんね。)ゴミ箱の食糧を漁ったり路上で寝たり、88歳なのに元気というかパワーあり過ぎ!
新聞の死亡欄?で知ったマーサ(同名の友人?)の葬儀にやってきてフィオナとドムとまたまたすれ違い。そこで昔の恋人ノーマンと出会って思い出話から足元だけのダンスシーンになりますが、これがとっても素敵でした😍 
フィオナとドムは、亡くなったのはマーサ叔母さんじゃないと気付きますがこのエピソードも笑えてちょっぴり焦らされて、でもやっぱりコミカル😁 

ドムとマーサが先に出会い、意気投合してしまったりもします。なんやかんやで二人がマーサを見つけ出したのはエッフェル塔の上です。鉄骨の上に並んで座って朝日を見ながらマーサは「ずっとここに来たかったの」と言いました。

カナダのフィオナの同僚たちにかかってきた一本の電話はフィオナからで、叔母さんと会えたことと彼女が亡くなったことを告げる内容のようです。言葉ではなく受け手の表情で伝えていました。

セーヌ川に散骨するシーンでは、急に大雨になって「水に溶ける骨壺」がふにゃふにゃになり急いで川に投げ込むなど、厳かな場面なのに笑ってしまいます。ドムに別れを告げたフィオナでしたが、すぐに「もう少しパリにいようかな」と言い直します。
フィオナはパリに来てすぐに騎馬警官と出会って彼に何度か助けられていましたが、恋心を抱いたのはドムの方だったのね😁 

少し、いやいや、かなり変わったカップルの可笑しなお話ですが、何だかほのぼのした気持ちにさせられました。😊 

 

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