2021年7月30日公開 アメリカ 143分 G
NY、片隅の街から今の世界に響き渡る魂の歌!感動のミュージカル
ニューヨーク・“ワシントン・ハイツ”は、いつも音楽が流れる、実在する移民の街。その街で育ったウスナビ(アンソニー・ラモス)、ヴァネッサ(メリッサ・バレラ)、ニーナ(レスリー・グレイス)、ベニー(コーリー・ホーキンズ)はつまずきながらも自分の夢に踏み出そうとしていた。ある時、街の住人たちに住む場所を追われる危機が訪れる。これまでも様々な困難に見舞われてきた彼らは今回も立ち上がるが―。突如起こった大停電の夜、街の住人達そしてウスナビたちの運命が大きく動き出す。(公式HPより)
ブロードウェイミュージカル「イン・ザ・ハイツ」の映画化です。
故郷ドミニカに帰る夢と恋に悩むウスナビ。名前の由来がお父さんが目にしたアメリカの軍艦「U.S.NAVY」からです彼が従兄弟のソニー(グレゴリー・ディアス4世)と営むコンビニには、街の母アブエラ(オルガ・メレディス)や、馴染みの客が次々とやってきます。ダニエラ(ダフネ・ルービン=ベガ)の美容室で働くヴァネッサ(メリッサ・バレラ)に恋心を抱きながら勇気の出ないウスナビは、なかなか彼女を誘えません。ヴァネッサにはいつか街を出てデザイナーとして成功したいという夢があります。
ロザリオの会社で働くベニー(コーリー・ホーキンズ)は彼の娘のニーナ(レスリー・グレイス)に思いを寄せていました。子供の頃から優秀だったニーナは、街の皆の期待を一身に受けて地区で初めてスタンフォード大学に進学しましたが、疎外感を味わい、経済的なこともあって退学しようとしていました。
ある日、ウスナビの店で販売した宝くじの中に96000ドルの当選が出ます。移民の彼らには途方もない大金で、もし自分に当たったらと想像しながらも現実味のない話にため息をつきます。でも彼らはそれぞれの夢に向かって日々努力していました。
ソニーの機転もあり、ヴァネッサをデートに誘うことに成功したウスナビですが、自分に自信がないため、ダンスを誘いに来た男にヴァネッサを取られてしまいます。すれ違う二人の想い。そんな中突然停電が起き、離れ離れになってしまいます。
帰宅したウスナビですが、停電の最中、アブエラが意識を失い帰らぬ人となります。アブエラはキューバからの移民で、様々な苦労を強いられてきた人生を自問自答しながら息を引き取るの。街の人々はキャンドルを手に彼女の死を悼みます。
停電と暑さで賑やかだった街も嘘のように静まり返る独立記念日の日。街を出るダニエラが皆を鼓舞し、ハイツの皆がそれぞれの国旗を振り踊り始めます。停電が解消され街に再び活気が戻ってきました。
ウスナビは店を畳んでドミニカに帰ることをヴァネッサに伝えます。父親やベニーの想いを知ったニーナも悩んだ末、大学に戻ることを決めます。引っ越しの日、アブエラの残した小物入れを見つけたウスナビは中に入っていた一枚の紙きれを見つけます。それは96000ドルの当選くじ!彼は当選金を不法移民であるソニーに使うことにします。さらにヴァネッサからのメッセージを受けて彼はもう一つの決断をします。彼女に連れて行かれた元コンビニの店内は、ヴァネッサがデザインした服が飾られ、カウンターの壁にはドミニカの海のイラストが本物そっくりに描かれていたのね。
さて、冒頭では子供たちを集めてウスナビがハイツの話を始めるのですが、ドミニカに帰ったと思わせておいて、実は彼はワシントンハイツに残っていたという結末です。途中で一人の少女が彼のことを「お父さん」と呼ぶことからヴァネッサと一緒にドミニカへ?と思わせられましたが、そうではなかったという 故郷に憧れ帰ろうとしていたウスナビでしたが、実は愛する人たちの暮らすハイツこそが彼の本当の故郷だと気付いたのですね
多くの移民が暮らすアメリカの事情はなかなか伝わりづらいですが、どんな場所でもそこが故郷となり、そこから夢を叶えて行こうとする若者の群像劇でもありました。