杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

旅立つマリニア

2008年08月30日 | 
グイン・サーガ120巻  栗本薫 著  早川書房

グインが古代機械によってその記憶を疾走以前のものに「修正」されたことで、ヴァレリウスはフロリー母子やブランの処遇について自分たちの都合のよいように扱えることにホッとしていた。フロリーからミロク教徒の聖地ヤガ行きの意思を伝えられ渡りに船と賛成し送り届ける手筈を整えるのだが、出発の朝、自らの去就を決めあぐねるマリウスやフロリーとの友情を結びたいリンダが訪れ・・

今回はグインは殆ど登場しないし、彼自身の感情も出てこないです。
専らフロリーと彼女を取り巻く人たちの思惑を描くことにページが費やされてます。

敬虔なミロク教徒であるフロリーは、大人しく慎ましく鬱陶しいほど謙虚な人柄です。しかしその芯は普通の女性より遥かに強く、彼女と関わった誰もが心中で驚き、その強さに触れて自らの考えをも変えてしまうほどの影響を及ぼしているようです。

新興宗教であるミロク教が、この先の中原の政治にも深く関わってきそうな気配はタイス編あたりから顕著になってきていますが、この巻でヴァレリウスにその存在の危険さを気付かせることで、ますます目が離せない要素となってきそう。

今回の収穫は、ウダウダと自分のことばかりを優先させ、何とかクリスタルパレスやパロから逃げようとしていたマリウスがフロリーとリンダの会話を盗み聞きすることで、やっと「前向き」に事に対処しようという自覚が芽生えたことかな。

相変わらず登場人物たちの繰言の多い独白が続くのだけれど、ちょっとだけ進展したかな~という感じ。

今回もヴァレちゃんが中心で展開していくので、けっこう気に入ってます。
わざわざ章を設けた「ヨナの秘密」は肩透かしだったけど、それを知った時のヴァレちゃんの反応が可愛いから、ま、いっか♪

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ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

2008年08月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年8月16日公開 アメリカ 

幸福だが退屈な日々を過ごしていたリック(ブレンダン・フレイザー)とエヴリン(マリア・ベロ)夫妻は、秘宝「シャングリラの眼」を届ける任務を受け、上海へ。エヴリンの兄ジョナサン(ジョン・ハナ)や息子アレックス(ルーク・フォード)と再会し、アレックスが発掘した皇帝(ジェット・リー)のミイラを見学しに向かった先で、皇帝の復活を目論むヤン将軍に襲われてしまう。「シャングリラの眼」を手にしたヤン将軍は、秘宝の力で皇帝のミイラを目覚めさせることに成功。リックたちは謎の女性リン(イザベラ・リョン)と共に逃亡した皇帝とヤンを追うが……。


午後の回を鑑賞。何故か中高(老?)年夫婦率が高かった劇場内でした。

今回は中国が舞台。ミイラから復活して世界征服を目指す皇帝とオコーネルファミリーとの戦いだ。「2」ではアレックスを助けるために力を合わせていた夫妻だが、どうやらその後は自分たちの研究に熱心なあまり、息子から目が離れていたらしい(^^;アレックスは大学を中退して、冒険(発掘)に夢中。その結果邪悪な将軍のミイラを掘り出してしまい、その後始末をファミリーでするうちに、疎遠だった家族の絆が復活ということですね。

中国が舞台ということで、万里の長城でのスペクタクルな合戦シーンや、ヒマラヤの雪男イエティ、将軍が変身するドラゴンや魔物と、これでもかの特撮シーンが目白押し。確かに迫力はあるんだけど、どうもエジプト編に比べると個人的にはイマイチなんです。最近の「ドラゴン・キングダム」など中国が舞台のハリウッド作品に食傷気味というのもあるのかも。

もう一つ、エヴリンがレイチェル・ワイズからマリア・ベロに代わっているのも違和感が・・・。中年になったオコーネル夫妻としては妥当なのかもだけど、やはり前作での気の強い生き生きとしたエヴリンと比べると物足りないのよね。その分を若いアレックスとリンでカバー・・しきれてないのが難点。リンの母役のミシェル・ヨーと将軍のジェット・リーのアクションは流石に群を抜いていますが。

おとぼけジョナサンは今作でも健在です。彼の上海のお店の名前が「イムホテップ」って・・・笑える~~!!!そして相変わらず光物には目がない彼は最後にちゃっかりお宝を手に・・・

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ベガスの恋に勝つルール

2008年08月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年8月16日公開 アメリカ 99分

フィアンセにフラれたキャリアウーマンのジョイ(キャメロン・ディアス)。父親が経営する工場を解雇されたジャック(アシュトン・カッチャー)。ウサ晴らしに親友とラスベガスにやってきた二人は、ホテルの部屋をWブッキングされたことから知り合い意気投合し、酔った勢いで結婚してしまう。翌朝、正気に戻った2人は結婚を解消しようとするが、ジャックがジョイのコインで遊んだスロットマシーンで300万ドルが当たったことから・・・。

原題は「What Happens in Vegas,stays in Vegas」(旅の恥はかき捨て)から来ているそう。確かにベガスなら出会って数時間で結婚だってありかもと思えるノリがあるものね。

その場しのぎでプレッシャーに弱いジャックと、計画魔で完璧主義のジョイ、性格も生活スタイルも正反対な二人が、300万ドルのために夫婦を続けることになり、何とか相手にマイナスポイントを与えて自分に有利にしようとする様が可笑しいの。

ちょっと子供には見せられないお下品な下ネタが多いのは気になるけれど、便器のエピソードやクイーン・ラティファ演じる結婚セラピストの前での仮面夫婦ぶりが笑えます。可愛い女心のエピの一つにベガスと会社の保養所で出てくる紫の下着があるよ。

それぞれの親友たちもけしかける中、反目しあう二人が徐々に互いの中の素顔に気付き、惹かれていく様子も自然。特にジャックの親戚の女の子との3ショットが好感度大。


互いの溝が埋まりそうな時に、思わぬ伏兵が現れ、気持ちが擦れ違ってしまう二人。というより、ジョイが自分の奥に隠してきた本当の気持ちに気付き行動を起こした、と言った方が正確かな。今まで恋人やボスのために完璧な自分を演じていたジョイが、ジャックと知り合ったことで、自分がしたいことが何かに気付いていくのです。またジャックの方も、逃げ腰な自分から一歩踏み出して責任を持つことを学んでいきます。ジョイが去ったことで、改めて彼女の存在の大切さに気付いたジャックが追いかけて・・・というのはラブコメの常道だね。

キャメロンって、お口の大きさと表情の豊かさが目立つけれど、やっぱり可愛い&綺麗な女優さんだわ~☆ドレス姿の彼女はとっても素敵です。

エンドロールの前後にもベガスでの結婚式のシーンやジャックの友人のその後が描かれますが、結婚式はともかく、最後のあれは必要ないかも(^^;この辺のジョークの感覚は日本人と少し差がありそうだな。

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アメリカン・スウィートハート

2008年08月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2001年製作 アメリカ

大物映画スターカップルのエディ(ジョン・キューザック)とグウェン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、1年半前にグウェンの浮気がきっかけで別居状態。そんな彼らに、映画宣伝マンのリー(ビリー・クリスタル)から二人が共演した新作のプレス・ジャンケットの出席依頼が入る。グレンに未練があるエディや、落ち目の人気を気にするグウェンは渋々承諾し、会場では仲の良さをアピールするのだが・・

と、ここまでの段階ではエディとグウェンが主役なのかと思ってしまうのだが、実はこの作品の真のヒロインはグウェンの付き人をしている妹のキキ(ジュリア・ロバーツ)なんだな(^^;

大スターである我儘な姉に辟易しながらもそこは姉妹愛、あれこれ面倒を見るキキだけれど、実はエディに恋しているという設定。30kg痩せたのも、多分エディのため、恋する乙女心というわけですね。健気なキキの存在の大切さに気付いたエディが告ってハッピーエンドというのは安直ではあるけれど、ロマコメだし。

グウェンの浮気相手のスペイン人俳優ヘクター(ハンク・アザリア)は狂言回しの猿状態。英語の発音で笑いものにされるのは、母国語じゃない者への嘲りが感じられてあまり笑えないけれど。

彼らの共演した新作『時を超えて』の監督ハル・ワイドマン(クリストファー・ウォーケン)がまたとぼけた味わいです。撮影現場を隠し撮りした実験的な作品ということで、要はドッキリカメラ的手法ってことね。

コメディの中に、ハリウッドの業界の裏側をチクリと風刺しているのがブラックな味わいを出していて面白いです。現在も人気女優・俳優である三人の共演も楽しい。

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ゆめつげ

2008年08月17日 | 
畠中恵 著   角川書店 発行

江戸は上野の小さな神社で神官を務める、のんびり屋の兄・弓月としっかり者の弟・信行。夢に入って過去や未来を見る「夢告」が得意な弓月だが、迷い猫を捜せば、とっくに死んで骨になった猫を見つけるという具合で、全く役に立たないしろもの。が、何を見込まれたか、大店の一人息子の行方を見てほしいという依頼が!礼金に目が眩み弟をお供に出かけたものの、事態は思わぬ方向に転がって・・・・・・。大江戸・不思議・騒動記!

「しゃばけ」シリーズがすっかり気に入って、一通り読み終えた後で、もっと何かないかと探したのがこの作品。

時代は江戸末期、文明開化の前夜の混沌の時代をまもなく迎えようとする頃。
商家の息子だった若だんなと違って、神官という特殊な家に生まれた弓月さんには妖の知り合いはいないけれど、夢告という不思議な能力を持っています。
いわば、予知能力・透視能力の類なのでしょうかね。

大火の際に行方不明となった大札差の息子の真贋を占うという仕事の裏には、倒幕の浪人たちの企みや、神社の行く末までが関わっていた、というお話。

平和な世が続くようにみえて、その実は変動の波をまともに受けようとしていた幕末のきな臭いにおいが、小説の中にもちゃんと加味されています。

一見ひ弱でとらえどころがないように見えて、芯はしっかりしている弓月兄さんは、若だんなと同じニオイがして、何だか一太郎の別バージョンのような親近感を覚えてしまいました。そしてしっかりものの手代の代わりを務めるのは弟の信行です。兄弟ならではの遠慮のない物言いにニヤっと笑いたくなる箇所も。

夢告をするたびに体が弱っていく弓月さんにも母性本能を掻き立てられます。
小説の冒頭の落語の笑い話のような家系話が山場では重要な意味持ってくることや、何だか続編が出来そうな終わり方に、早くも先を期待しちゃいます。

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キサラギ

2008年08月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年6月16日公開

アイドル如月ミキが自殺をして一年。一周忌追悼会に集まったファンサイト常連の5人の男たち、家元(小栗旬)、オダユージ(ユースケ・サンタマリア)、スネーク(小出恵介)、安男(塚地武雅 )、イチゴ娘(香川照之 )。初めて顔を合わせた彼らは彼女の思い出話に花を咲かせる。いつしか話は彼女の自殺の動機に移っていき、一人が「彼女は殺されたんだ」と言い出したことから男たちの侃々諤々の推理が始まった…。

この作品、レンタルが開始されてから今月まで、行き付けの店にある5本全てが常に貸し出し状態でした。ようやくレンタルして観て・・・その人気の理由に改めて納得しました。

ひとつの部屋の中で繰り広げられる、いわゆる密室劇で、舞台としても十分満足出来るストーリー展開です。

集まった5人はHNで呼び合うオンだけの付き合いでしたが、ある人物がミキの死の真相を巡って集めたメンバーだということがわかってきます。
それぞれがミキとの意外な接点を持つという背景や、一番無関係そうな「彼」の意外な関わりの深さなど、物語が進むに従って明らかになる様々な事実の断片が組み合わさって見えてくる「真相」はこの5人の誰か一人が欠けてもわからなかったかも。

推理サスペンスといっても、芸達者な役者が揃っているのですから、意外なほどあっけらかんと明るい笑いを醸し出したりもして、重すぎずに楽しめます。香川さんのカチューシャ姿が夢に出てきそう(^^;ミキちゃんの歌に合わせて5人が踊る図が最高!!ただ、ラストの更に一年後は余計な気もしますが・・。

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北極のナヌー

2008年08月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年10月6日公開

雪と氷に覆われた北極に春がやってきた。穴の中で6ヶ月も過ごしていたホッキョクグマの親子、母グマ、ナヌー、そして双子の弟の3匹が地表に姿を現した。何も口にせず冬を越した3頭は、エサを求めて海へ向かうが、捕食になかなか成功しない。一方、海ではセイウチの群れにも新しい生命が生まれていた。激しい雪嵐の中、衰弱したナヌーの弟は命尽きてしまう。やがてナヌーに母グマとの別れの時が来た。独り立ちの時が来たのだ。(goo映画より)

公開当時、吾郎ちゃんのナレーションということもあって鑑賞予定に入れていたのに上手く時間が合わず諦めた作品。あまり暑いので、映像で涼もうとレンタルしたけれど、やはりこういう自然ものは大きなスクリーンで観てこその迫力・・そしてお気楽に「楽しい」内容でもないですね。(^^;

撮影期間10年という気の遠くなるような時間を経て作られた作品ゆえに、昨今の地球温暖化の影響をはっきりと視覚に訴えています。このまま行けば2040年には北極の氷は解けてなくなってしまうという事実が重く圧し掛かり、「今」行動しなければ!という警鐘を鳴らしています。

氷が消えると白熊は狩りが出来なくなり飢えてしまいます。セイウチたちも大切な休息の場所である氷の陸がなければ生きていけません。極寒の地で暮らす生き物にとって、気温が上がるということは生命を維持できなくなるということだと、この映画は、はっきりと伝えています。

少し位氷が解けてもそれほど影響がないんじゃないの?という考えがいかに甘くて身勝手なものなのかに気付くことから始めてみる、という意味では、映画の意図は成功しているんじゃないかな。

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つくもがみ貸します

2008年08月08日 | 
畠中 恵 著  角川書店 出版

「やれ、しかたがない、今日も貸されてやるとしようかね。」
お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟二人で切り盛りする、小さなお店「出雲屋」。 鍋、釜、布団にふんどしまで、何でも貸し出す出雲屋ですが、よそにはないような、ちょっと妙な品も混じっているようで……。彼らは、生まれて百年を経て、つくもがみという妖怪に化した古道具。 気位も高く、いたずら好きでおせっかいな妖怪たちは、今日もせっせと、出雲屋を引っ掻き回すのでありました。(本紹介より)

この物語には若だんなは出てこないけれど、ふんわり温かいテイストは変わりません。お紅と清次は本当の姉弟ではないことがポイントの一つ。
蘇芳という名の香炉がもう一つのポイントです。

お紅が執着する蘇芳という香炉にまつわる姉弟の過去が見え隠れしながら進む物語の結末にほっと胸を撫で下ろしながら、意外にお節介で、妖ながら妙に人間臭い彼ら付喪神たちが愛しくなってきました。

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ビームービー

2008年08月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
ミツバチのバリーは大学を卒業したばかり。希望に満ちて社会に出たバリー(声ジェリー・サインフェルド)は、一つの仕事を一生涯続けるというハチの世界のルールを知り落胆する。外の世界を見たいバリーは生まれて初めて巣の外に。ニューヨークの街で人間に潰されそうになるが、花屋のヴァネッサ(レニー・ゼルウィガー)に助けられる。「人間と話してはならない」という掟を破り、バリーはヴァネッサと友達になるが…。

「シュレック」や「マダガスカル」を手がけたドリームワークス製作。
バリーの親友アダムの声はマシュー・ブロデリック。

社会人一年生のバリーが最初に知ったのは、一度決めた仕事は一生変わることが出来ないという事実。親友のアダムは、ちっとも気にしてないし、親だってそう。でもバリーは疑問に思っちゃうんです。そんなの変だよ!って。

外の世界を見たくて飛び出したバリーの窮地を救ってくれたヴァネッサにお礼が言うために、バリーは蜂のルールを破り彼女に話しかけ二人は友情を結びますが、ヴァネッサのBFであるケンは面白くなくて、バリーを邪魔者扱いにします。このへんのエピは人間同士でも見られる三角関係だね。

スーパーに並んだ蜂蜜の瓶を見て、人間に搾取されていると憤慨したバリーは訴訟を起こすことに。このへんは何でも訴訟に持ち込むアメリカ人の風潮を揶揄しているの?それともマジ?(^^;

色々あったものの、訴訟に勝ったバリー。でも働かなくなった蜂たちは目的を失い、花たちもまた枯れていきます。ここで、バリーは誰にも自分にしか出来ない大切な役割があることを知るのです。

このお話、人間の言葉を話す蜂とか、訴訟とか、あり得ない設定に目くじらを立てるより、製作側の意図を汲み取りその主題に気付くことのほうが重要なのね。

冒頭の会社説明をする様子はディズニーランドのアトラクションのように楽しく、蜂蜜のとろりとした質感がまたリアルで良いです。カラフルで鮮やかで愉快、でも働く意義や目的などにもきちんと目を向けるように考えられたお話でした。

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みぃつけた

2008年08月05日 | 
畠中恵/文 柴田ゆう/絵  新潮社 出版

ひとりぼっちで寂しく寝込む幼い一太郎が見つけた「お友だち」は、古いお家に住み着いている小さな小さな小鬼たち。ちゃんと仲良くなれるかな。しゃばけシリーズ番外編。

病弱で寝てばかりの一太郎。友達もなく、両親もばあやも忙しく、独りで布団で寝ているのに飽き飽きの一太郎にある日、小さなお友達が出来た・・・

小説そのままのほっこりと柔らかであったかい絵本です。
可愛い5歳の一太郎にこれまた可愛い鳴家たち。
見るだけでも和みますわ~~♪

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ちんぷんかん

2008年08月04日 | 
畠中恵 著   新潮社 出版

江戸有数の大店の若だんな・一太郎は、摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいたが、日本橋を焼き尽くす大火に巻かれ、とうとう三途の川縁を彷徨う羽目に…。

「しゃばけ」シリーズ第6弾。

・鬼と子鬼
江戸の大火の煙に巻かれ三途の川にやってきた若だんな。
一緒に鳴家も袖の中。でも前に来た時に歩いた道筋をすっとばして急に立ってた三途の川べり。何かおかしい・・。

年端のいかない子供たちが賽の河原で積む石の供養塔の意味や、鬼たちの本当の目的など、仏教的教えを踏まえた展開が嫌味なく心に沁みます。
死んでも?ふんわり優しい若だんなを救ったのは苦い苦いお薬でしたとさ(笑)

・ちんぷんかん
秋英は貧乏武家の末っ子。9歳で広徳寺に預けられてすぐに何故か妖退治の高僧・寛朝に気に入られ弟子となったのだが、師匠は一向に妖退治の修行などしてくれない。13年が経ち、師の片腕として雑用を一手に引き受けるある日、妖絡みの客の相談相手をすることになり・・・。

若だんなが広徳寺にやってきたある日の出来事を秋英の目から書いています。
何故寛朝に気に入られたか、これまでのシリーズを読んできた者なら冒頭の狛犬の件ではは~~ん!と察しが付くでしょうが、本人が自覚してないところに面白さがあるのです。

・男ぶり
若だんなのおっかさん・おたえの若き日の恋物語です。
好きになった辰二郎のために、その叔父の水口屋で起こった奇妙な「卵事件」を解こうとするおたえとその恋路の末を書いています。さすが、若だんなの母だけあって、彼女に協力する鳴家や守狐が出てきます。
失恋したおたえの目に映る手代の藤吉(後の藤兵衛)のほっとする優しさ、温かさは褒め言葉よりも心を掴んだのでしょう。

・今昔
兄・松之助に来た縁談はちょっとばかり混線模様。玉乃屋の妹娘と恋仲なのに縁談の相手は姉娘。しかも若だんなを狙う陰陽師の式神まで出てきて・・・。

貧乏神の金次再登場(笑)
この物語に登場する陰陽師は己の力を誇示したがためだけに式神を操り人に害をなす悪人なので、結末にはクスリとさせられます。

・はるがいくよ
松之助の縁談がまとまって、分家することになり、若だんなは寂しさを隠しきれない。そんな時に庭に植え替えて命拾いした桜の古木から花びらの子の贈り物が・・・。

桜の花びらが人となり、赤子から妙齢の乙女にとどんどん成長するなかで、若だんなはやがてくる別れ=死を阻止しようと躍起になります。避けて通れない人の定めを物語に重ねて、若だんなの成長がまたここでも見られます。

シリーズ6作ともなれば、いつまでも病弱なだけの若だんなというわけではなく、彼は彼なりに悩み苦しみながらも少しずつ大人になっていくのでありました。
それでも、若だんなを取り巻く人(妖)たちは砂糖衣のように甘く甘く・・・若だんなは相変わらずとびきりの病弱です(^^;

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マッチポイント

2008年08月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2006年8月19日公開 イギリス 124分

英国の上流階級に憧れる野心家のアイルランド人・クリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は高級テニス・クラブのコーチになり、金持ちの息子トム(マシュー・グッド)と親しくなる。彼の妹クロエにも気に入られ、彼女の口添えで父親の会社の社員→結婚と着々と成功のステップを登り始めたクリス。しかし彼はトムの元婚約者ノラ(スカーレット・ヨハンソン)とも浮気を続けていた。ノラを愛しているが、妻とのリッチな生活も手放せないクリスは、ノラの妊娠をきっかけにある計画を思いつく・・・。

ウディ・アレン監督がお気に入りのミューズであるスカーレットを起用したことで話題になっていたっけ。

一言で言えば、身勝手な男の都合の良い人生を見せられているようで甚だ気分を害する作品。ドフトエフスキーの「罪と罰」を持ち出すのもおこがましい。

野心のために金持ちに近づき、その家族に取り入り首尾よく結婚にこぎつける一方、一目惚れした女にも強引に近づき関係を持ち、うまくやろうとする。薄汚い男にしか見えないクリスに何ら同情すべき点が見当たらないんだな。

不妊に悩み、子供をせがむ妻が鬱陶しい気持ち、愛人から妊娠を告げられ産むと言われ、妻との離婚をせがまれ追い詰められていく気持ち、どちらも男の本音だろう。

金と愛、彼にとって重要なのはどちらかは決まりきったことで、狂った人生の軌道を変えるためには冷酷な計画も平気で考えるのだが、現実に手を染めたことで、その罪の重さにおののき震えることになる。

刑事ドラマを見慣れた目には穴だらけの計画で、証拠もボロボロと落っことしている気がするんだけど、それでも彼にとって都合のよい展開が続き・・the end はぁぁ??

テニスコートのネットに弾かれるボールと川べりの柵に弾かれる盗んだアクセサリーを対比させて観客を惑わせる作りは面白いけれど、オチがあれでは何だか納得いかないなぁ。

もちろん、クリスの心の内側では終生消えない罪の意識はあるのだろうけれど、やっぱり水戸黄門や銭形平次に親しんだ者としては勧善懲悪であって欲しいのでありました。

やっぱりこの監督の感性とは相性が良くないようで(^^;

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