杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

幸せなひとりぼっち

2017年10月29日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年12月17日公開 スウェーデン 116分

愛する妻を亡くした孤独な中年男オーヴェ(ロルフ・ラスゴード)。かつて町内の自治会長を務めたこともあり、近所には規律に厳しい人間として知られていた。年齢を重ねてからは気難しさに拍車がかかり、いつしか鼻つまみ者でしかない厄介なおじさんと化していた。地域の治安を守るため、共同住宅地の監視役を自ら買って出ていたのだが、数年前、自治会選挙で落選。今や、誰からも望まれていない見回り日課とする日々を送っているのであった。オーヴェは43年間、鉄道局職員としての仕事を全うしてきたが、突如クビを宣告されてしまう。家に帰れば、今は亡き妻の面影が脳裏をよぎる。孤独に耐え切れなくなった彼は、自宅の天井にロープをかけ、首つり自殺を図る。ところがその時、向かいのテラスハウスへ引っ越してきたパルヴァネ(バハー・パール)一家の騒がしい声がオーヴェの耳に飛び込んでくる。一家の車がオーヴェの家の郵便受けにぶつかってしまい、自殺どころではなくなってしまう。オーヴェは外へ飛び出すと烈火のごとく怒り、挨拶もしないまま代わりに車を駐車場にきれいに車を停め、ぶつぶつ文句を言いながら家に帰る。翌日、迷惑をかけたと思ったパルヴァネが、お詫びのペルシャ料理を届けに来る。オーヴェとパルヴァネ。生き方も考え方も違う二人だったが、この美味しい手料理をきっかけに、思いがけない友情が芽生えていく。頑固な態度は相変わらずだが、近所同士のあたたかい交流に心を溶きほぐされていくオーヴェ。やがて、オーヴェは妻・ソーニャ(イーダ・エングヴォル)との出会い、そして、妻と自分の人生を一変させたある出来事について語り始めたのだった…。(公式HPより)


フレドリック・バックマンの同名小説の映画化で、孤独な老人が隣人一家との触れあいを通して再生していく姿を描いたヒューマンドラマです。オーヴェは頑固爺さんという設定ですが、なんと60歳以下なんですね~~老け過ぎ!!70歳超えてるかと思ったわ。 (そういえば会社側の人間が早期退職って言ってたっけ

昔はこういうオジサン(お爺さん?)が町内に一人はいたなぁ・・というような道徳観溢れる生真面目で融通の利かないキャラです。最愛の妻に先立たれたことでますます頑固さに磨きがかかった感じに見えます。ある日、四十数年務めた会社をクビになって何もかもに嫌気がさしたオーヴェは、自殺してソーニャの待つあの世に行こうとします。ところが、そのたびに邪魔が入るのこの展開だけみれば立派にコメディです。

首吊りをしようとすれば、パルヴァネ一家の騒音に邪魔され、排ガス自殺を図れば、パルヴァネに病院への送迎を頼まれ、駅のホームで飛び込もうとすれば、意識を失って倒れこんだ人を救うはめになり、猟銃を喉元に当てればゲイをカミングアウトした少年に一夜の宿を貸すことになり・・・もう少しというところでことごとく彼の計画は頓挫するのです。おまけに追い出そうとしていた捨て猫の面倒まで引き受けることに 「老人と猫」は「子供と猫」以上に相性の良い組み合わせだね。それにしてもこの猫ちゃん、野良には見えない立派な毛並みだこと

オーヴェの過去の記憶の回想を挟みつつお話は進みます。7歳で母を亡くし、厳格な父に勤勉さと道徳観を学んで育った彼の人生は決して平坦なものではありませんでした。ソーニャと出会い、結婚して幸せな生活も束の間、悲劇が彼らを襲います。それでも挫けずソーニャと共に過ごした歳月は何よりかけがえのない幸せな日々だったのですね。 ソーニャの墓前で語りかける姿は彼の愛情の深さを端的に表していました。

パルヴァネは邪険にされながらも、オーヴェのことを気にかけ、娘たちの子守を頼んだり、運転を教えて貰ったりします。(路上教習中に後続車にクラクションを鳴らされパニくる彼女にオーヴェは「イランから戦争を超えてやってきてダメ男と結婚して三人目を産もうとしてる君が運転ごとき何を怖がることがある」とハッパをかけるシーンはちょっと感動!オーヴェを見直した瞬間でした やがてオーヴェも彼女に心を開いていきます。 

頑固な偏屈爺の印象はやがて、愛すべき老人に変わっていきます。パルヴァネ一家や、自治会長の座を争った元親友のルネやその妻、隣人、ソーニャの元教え子といった周囲の人々が常にオーヴェと関わっています。彼は決して孤独な老人ではないのです。

オーヴェとルネは親友でしたが、車の趣味と子供のことがきっかけで疎遠になっていました。(サーブという車種が一番だと思っているオーヴェにはボルボやアウディ派のルネが我慢ならなかったらしい。)でも口では悪態をつきながらも心中ではルネのことを気にかけています。ルネは難病で施設に入れるよう福祉課?の「白シャツ」に強要されています。介護の負担を思えば良いことに見えますが、実際は施設に入れることで国から補助金を搾取しようとしている悪徳職員であることが後に暴露されます。オーヴェにとって、役人=白シャツは困っている者を救うどころか突き放し、さらには利用しようとする憎むべき相手なのです。福祉国家スウェーデンの現実の問題点が垣間見られる話です。 ソーニャがバスの転落事故で障害を負い、教師の道が閉ざされそうになった時にも役所は動いてくれなかったことも回想シーンで明かされていました。

自殺はことごとく失敗したオーヴェですが、心臓に持病があり、それが原因である朝目覚めぬ人になります。彼の遺言に従って行われた葬儀には大勢の人が参列しています。遺言の中身?「私を認めてくれた人達だけで葬儀を」です。その中には愛犬のことでいつもオーヴェに怒鳴られていた女性の姿もありました。なんのかんのと煩かったけど、それだけ地域を愛した人だということを皆感じていたということでしょう。その意味でも彼はひとりぼっちなんかじゃなかったんだね。


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PとJK

2017年10月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年3月25日公開 124分

女子高生で恋愛初心者のカコ(土屋太鳳)は、ある日、警察官の功太(亀梨和也)と出会う。カコは男らしい功太に惹かれ、ふたりの恋がスタートするかに思えたが、功太はカコが実は女子高生だと知り、戸惑う…。功太は職務上、女子高生とは軽々しく付き合うことはできない。
そこで功太はいきなり「結婚しよう」とプロポーズ! ! ! 突然のことにカコはビックリしたが、うれしくて功太との結婚を決める。そしてふたりの内緒の結婚生活が始まった。楽しくてラブラブな新婚生活を夢見るカコは、大人な功太にドキドキさせられっぱなし。しかし、そんなハッピーなふたりを巻き込んだ大事件が発生! 果たしてふたりは、困難を乗り越え、本当の幸せをつかむことができるのか? (アマゾンより)


警察官(P=POLICE)と女子高生(JK)の秘密の年の差結婚を描いた、三次マキのコミックが原作のラブストーリーです。

いや・・そもそも出会ってまもない未成年の相手にプロポーズってありえないし カコの両親(母親役はともさかりえ)が案外あっさりと結婚を認めるのもありえないし・・と言ってたらお話が進まないのですが、あまりにも強引な展開に初っ端から引いてしまい、最後まで違和感が残りました。運命の相手ってことですかね

恋愛初心者にしても無防備過ぎなヒロインですが、だからこそ警察官の正義感を刺激したってことでしょうか 原作読んでいないのでわからないけれど、たぶんコミックの方が面白いんじゃないかと・・・

クラスメイトの大神君は不良というより家庭内DVの被害者。高校生くらいになると母の交際相手の粗暴な男とはいえ、体力的には太刀打ちできそうなものですが、拍子抜けするくらい弱っちい。カコや彼女の親友たちに少し親切にされただけで感涙しちゃうし根は良いやつを絵に描いたようなキャラになってました。功太と恋のライバルになるのかと思えば、そうでもなくて、要は主役の引き立て役みたいな感じ まぁ、事務所の先輩後輩でもあるし仕方ないのか

カコたちの高校の文化祭がけっこう自由な感じで、その風景は楽しかったかな


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バリー・シール アメリカをはめた男

2017年10月25日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年10月21日公開 アメリカ 115分

天才的な操縦技術を誇り、民間航空会社のパイロットとして何不自由ない暮しを送っていたバリー・シール(トム・クルーズ)の元に、ある日CIAのエージェント・シェイファー(ドーナル・グリーソン)がスカウトに現れる。CIAの極秘作戦に偵察機のパイロットとして加わる事となったバリーは、その過程で伝説的な麻薬王パブロ・エスコバルらと接触し、麻薬の運び屋としてもその才能を見せ始める。ホワイトハウスやCIAの命令に従いながら、同時に違法な麻薬密輸ビジネスで数十億円の荒稼ぎをするバリー。しかしそんな彼の背後には、とんでもない危険が迫っていた…。(公式HPより)

 

1970年代、大手航空会社の天才パイロットとして活躍し、その後CIAから極秘密輸作戦のパイロットにスカウトされ、さらに麻薬の密輸で莫大な財産を築いた実在の人物=バリー・シールの生涯の映画化ですが・・・これ、邦画タイトル間違えてない?アメリカをはめたんじゃなくてアメリカにはめられたような気がするんですが一文字違いでえらい違いですけどたしかに彼は麻薬密輸ビジネスに手を染め巨額の富を築いたけれど、そのきっかけは国のスパイとしてスカウトしたことにあるんですから CIAだけじゃなく、DEA(麻薬取締局)やホワイトハウスまでが目的達成のために彼を利用し、用済みとなるとあっさり放り出します。何だか国の操り人形みたいで可哀想な気も

ただし、バリーもただ言われるままに操られていたわけじゃないのね

CIAとパナマの独裁者・ノリエガの仲介をするようになったバリーはCIAの目を盗んでメデジン・カルテルの指示でコカインの密輸を請け負うようになります。DEAに目を付けられますが、今度はホワイトハウスのお墨付きでニカラグアの親米反政府組織コントラに武器を密輸し、兵士の訓練のための場所を提供させられます。ここでもバリーはコントラが本気で政府を倒す気がないと察し、武器の横流しを始めるんですね

もうこうなったら金は入る一方。銀行・信託銀行と預けてもまだまだ溢れ、家中に札束の入ったカバンがゴロゴロして庭に埋めてもまだ溢れ・・・

普通、これだけ大金が入ると人は欲望の限りを尽くすものですが、意外なことにバリーはいたってまともな市民でした。桁外れの贅沢をするでもなく、奥さんのルーシー(サラ・ライト)一筋で浮気もせず、子供もきちんと躾ける良き父親です。転がり込んできた義弟のJBときたらろくでなしを絵に描いたような男でしたが、仕事を与えて面倒を見てやります。でも、大金の入ったカバンを見つけたJBはこれを盗んで逃げようとして保安官に捕まってしまうんですね~~。これってけっこうヤバイ状況ですが、それでもバリーはJBを逃がそうとします。(結局麻薬密輸がばれるのを恐れたカルテルに口封じに殺されちゃうんですが

DEAやFBI、AFTや州警察までもがバリーの逮捕に動きます。四方八方から囲まれての逮捕劇はまさに劇画調。絶体絶命のピンチですが、ホワイトハウスと取引をして逃れちゃうんですね~~。でもこの取引でメデシン・カルテルを裏切った彼は、報復を恐れて逃げ回ることになります。そもそも、裏切り行為がばれたのは、功を先走ったお偉方がいたから。所詮バリーも捨て駒の一つに過ぎなかったというわけです。

最後は全ての財産を失い、報復を恐れてモーテルを転々としながら、死を覚悟したバリーはこれまでの人生を振り返ってビデオに残します。車のエンジンをかけるとき、義弟の死に様(車に爆弾が仕掛けられていた)が頭に浮かび、毎回祈る思いでキーを回す姿が印象的でした。その際も彼は周囲にいる人々が巻き添えにならないよう気を使っていました。 彼の最期は爆死ではなく銃で撃たれるというものでしたが

密輸や武器の横流しは大罪で、彼は悪人には違いないのですが、バリーにはどこか人を魅了するところがありました。退屈な毎日からほんの少し飛び出して人生を楽しむ筈が、CIAと関わったがために思いがけない波乱が待っていたけれど、それでも彼は大いに楽しんだのだと思います


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ミックス。

2017年10月24日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年10月21日公開 119分

母・華子(真木よう子)のスパルタ教育により、かつて“天才卓球少女”として将来を期待された28歳独身の富田多満子(新垣結衣)。母の死後、普通に青春を過ごし、普通に就職する平凡な日々を過ごしていたが、会社の卓球部のイケメンエース・江島(瀬戸康史)に告白され交際を始める。ついにバラ色の人生が……と思った矢先、新入社員の美人卓球選手・愛莉(永野芽郁)に江島を寝取られてしまう。人生のどん底に落ち、逃げるように田舎に戻った多満子だったが、亡き母が経営していた卓球クラブは赤字に陥り、自分の青春を捧げた活気のある練習風景はそこにはなかった。クラブの部員も、暇を持て余した元ヤンキーのセレブ妻(広末涼子)、ダイエット目的の中年夫婦(遠藤憲一・田中美佐子)、オタクの引きこもり高校生・優馬(佐野勇斗)、さらにケガで引退した元プロボクサーながら、妻の上司を不倫相手と勘違いして暴力事件を起こし妻と娘に見捨てられた新入部員の萩原(瑛太)など全く期待が持てない面々ばかり。だが江島と愛莉の幸せそうな姿を見た多満子は、クラブ再建と打倒江島・愛莉ペアを目標に、全日本卓球選手権の男女混合ダブルス〈ミックス〉部門への出場を決意。部員たちは戸惑いながらも、大会へ向け猛練習を開始するのだった。多満子は萩原とミックスを組むものの、全く反りが合わずケンカの毎日。しかし、そんな二人の関係にもやがて変化が訪れ……。(MovieWalkerより)

 

「リーガルハイ」の脚本家・古沢良太のオリジナル脚本で「エイプリルフールズ」の石川淳一監督作品です。水谷隼、石川佳純、伊藤美誠ら本物の卓球選手も登場しています。

基本コメディなので気軽に楽しめますが、卓球のルールとかラケットの種類(シェイクとかペン)やラバーの裏表といった基礎知識があるとより面白いかも

一方は裏切った恋人を見返すため、もう一方は別れた妻と(義理の)娘への未練でダブルスを組んだ二人が、練習を共にする中で次第に惹かれあっていく展開はベタですが自然。チームの仲間たちにもそれぞれの動機があることにきちんと触れられていたのも好感が持てました。特に中年夫婦が卓球を始めた理由にはほろりとさせられました。

行きつけの中華屋の夫婦は元中国強化選手の落ちこぼれという経歴で、死ぬほど辛い麻婆豆腐が定番です。あのお団子頭の変な日本語を操る奥さんが蒼井優だとは後で知って仰天化けるな~~

強化対策で登場する相手選手たちを演じているのは、鈴木福・谷花音、吉田鋼太郎、生瀬勝久などなど・・・ちょい役なのに強烈キャラばかりでした。

萩原が働く建設現場で彼を虐める上司がトレエンの斎藤さんというのも面白かったです。彼らの関係がラストで立場が逆(萩原が上司に昇進している)になってるのも笑えました。 

結局二人は江島・愛莉ペアに負けてしまいますが、逆に勝っていたら嘘臭くなってしまうので、「あり」だと思いました。そもそも何年も卓球から離れていた多満子と全くの素人だった萩原がたった一年でここまで来れたのも奇跡ですからね


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われらが背きし者

2017年10月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年10月21日公開 イギリス 109分

イギリス人大学教授ペリー(ユアン・マクレガー)と妻のゲイル(ナオミ・ハリス)は、モロッコで休暇中にロシアンマフィアのディマ(ステラン・スカルスガルド)と偶然知り合う。ディマから組織のマネーロンダリングの情報を聞いたペリー夫妻は、1つのUSBメモリをMI6に渡してほしいとディマに懇願され、突然の依頼に困惑するが、ディマと彼の家族の命が狙われていると知り、その依頼を仕方なく引き受けてしまう。それをきっかけに、ペリー夫妻は世界を股にかけた危険な亡命劇に巻き込まれていく。(映画.comより)

 

元MI6という経歴を持つ作家ジョン・ル・カレの同名スパイ小説の映画化です。ロシア・モロッコ・イギリス・フランス・スイスを舞台に友情や裏切り、復讐、そして愛が複雑に絡み合う展開はスリリングで一気に魅せてくれます。

冒頭で描かれるのは、ロシアンマフィアの抗争を思わせる殺しのシーン。17歳の姉の電話相手は年の離れた妹のようです。舞台はモロッコに飛び、夫婦関係が上手くいってない様子のペリー夫妻が登場。一見何の関係もなさそうですが、夫妻が入った高級レストランでディマと出会ったことから物語は動き出します。初めから強引なディマの誘いを断り切れず一緒に飲みに行くことになったペリーは、ディマから頼まれごとを引き受ける羽目に ここで、冒頭の「妹」が双子の姉妹であることや何故その両親や姉が殺されたのかが明かされるのです。

ただメモリーを渡すだけのはずだったペリーですが、下院議員ロングリング(ジェレミー・ノーサム)の悪事を暴いて失脚させたいMI6のヘクター(ダミアン・ルイス)の思惑が絡んで、思わぬ方向に。 民間人を巻き込んで良いのかと疑問を持った部下のルークとオーリーも、上層部の了承済と聞かされ手伝わされます。 (彼らが名誉の死を迎えることになるのは残念でした。

ペリーの妻のゲイルは有能な弁護士。初めは面倒なことに巻き込まれたくないと拒否していた彼女も、人道的な見地から協力を了承します。ディマがペリーを見込んだのはペリーの正義感を垣間見たことが大きいようですが、ゲイルもまた同様に困っている人を見捨てられない性格のようです。

ディルと彼の家族を救うために、ヘクターの指示のもと、夫妻は偶然を装いディルに接触。ロシアンマフィアのプリンス(グリゴリー・ドブリギン)やその一味の目を掠めて彼らの逃亡に手を貸します。いざという時はゲイルの方が肝が据わって見えました危険を共にすることで夫妻の仲が修復されていくのは「吊り橋効果」かしらんヘクターが独断で動いていることを知っても最後まで協力するのね。家族の脱出劇の舞台はスイスのアインシュタイン・ミュージアムですが、その内部が見られたのが興味深かったです。

ヘクターがロングリングの家を訪ねたり、ディルの娘のナターシャが恋人のアンドレイ(ロシアンマフィアの一員)に電話したりしなければ隠れ家は突き止められなかったのにな~とか思ってしまうけど、マフィア相手に素人のペリーは大奮闘して見事撃退しちゃうんですから

ヘリ搭乗の際、ペリーを残した時点で何かある?と思ったら・・そうきましたか

これで事件は闇に葬られるのかと思ったら、ディルは情報を遺していました。ディマとペリーの出会いの時にその伏線はちゃんと仕込んであったんですねそして、今回もその情報を運んだのはペリーでした。

ディマ自身も善人というわけではないので(ロシアンマフィアの資金洗浄係)、彼の結末については妥当と思えますが、家族は守られたわけです。

ディマがプリンスの「銃」にまつわる話を遮り、その子供時代のエピソードを辛辣に皮肉るシーンが秀逸でした。静かな場面ですが内面で火花が飛び散っている感じが怖かった~


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アウトレイジ ビヨンド

2017年10月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2012年10月6日公開 112分

2017年10月15日 21:00~ テレビ東京放送

関東一円を取り仕切る巨大暴力団“山王会”の配下で勃発した熾烈な抗争。……兄貴分や親分までも出し抜く大下剋上劇を制して山王会会長の座を手にしたのは加藤(三浦友和)だった。それから5年、山王会は国政に裏から手を出すまでに勢力を伸ばしていた。若頭には大友組の金庫番だった石原(加瀬亮)が抜擢され、富田(中尾彬)ら古参の幹部は脇に追いやられ、うっぷんを募らせていた。そこに目をつけた“マル暴”の刑事片岡(小日向文世)は、富田らに関西を代表する暴力団“花菱会”に相談するよう持ち掛ける。これには関東と関西の巨大暴力団同士の抗争に発展させ、それに乗じて組織壊滅させるという警察の意図を含んでいた。しかし花菱会若頭の西野(西田敏行)らに裏切られ、計画はとん挫してしまう。立場が悪くなった片岡だったが、別の手も同時に進めていた。片岡は刑務所に服役中の元大友組組長の大友(ビートたけし)に面会しに行く。大友は対立する村瀬組の若頭だった木村(中野英雄)に刺されたが、一命を取り留めていた。まもなく片岡の手回しで大友は仮出所、この知らせに、かつて大友を裏切った石原は身の危険を感じ逆上、部下に大友殺害の指示を出す。ヤクザに戻る気すらない大友に、木村と組ませ山王会に復讐させようとする片岡。そして関東進出の機を狙う花菱会の面々。それぞれの思惑の渦に大友も巻き込まれてゆく……。(テレビドガッチより)

 

2010年公開の『アウトレイジ』の続編です。

片岡は全てを自らが操っていると錯覚していましたが、大友にはお見通しだったようで、木村の葬儀に現れて片岡に渡された銃で彼なりの落とし前をつけるのでした。

ま~前作に負けず劣らず登場人物皆一癖も二癖もある面々。そんな中で木村や大友のような存在は逆に実直とも言えそう。昔のヤクザの仁義を体現しているように見えました。

花菱会は今作では目立った行動はしていませんが、若頭の西野(西田敏行)はいかにもこ狡そうなキャラでした片岡の同僚刑事・繁田(松重豊)が片岡を危ぶむような態度をとっていましたが、彼の方がよほどまともな刑事ですよね

それにしても「バカヤロー」言い過ぎ


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相棒-劇場版Ⅳ- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断

2017年10月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年2月11日公開 120分

イギリスの日本領事館関係者が集団で毒殺され、唯一生き残った少女が国際犯罪組織「バーズ」に誘拐されるという事件から7年後の現在。特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、バーズを追って来日した国連犯罪情報事務局の元理事マーク・リュウ(鹿賀丈史)に同行することになる。そんな中、日本政府に対し行方不明となっていた少女の身代金が要求される。日本政府はバーズをテロ組織と断定し要求を拒否するが、それによってバーズは、50万人の観客が集まる国際スポーツ競技大会の凱旋パレードを狙ったテロ計画を実行に移す。晴れやかなパレードが行われる最中、特命係は真犯人を追いつめるが、その先には70年前のある出来事につながる真実が待ち受けていた。

 

「相棒」シリーズの劇場版第4作です。

冒頭、特命係の二人は、警視庁広報課長・社美彌子(仲間由紀恵)の依頼を受けてマークと同行し、レイブンの正体を掴んだモリスから話を聞こうとしますが、直前にモリスは「アマガイカツノリ」と言い残して殺されてしまいます。そのあと、会食先のレストラン街で食中毒様事件が起こり、さらに7年前の事件で誘拐された瑛里佳(山口まゆ)の身代金要求が!!

今回の黒幕が誰かは早々に予測できちゃいました。なので、彼の目的の方に興味を持って観ていきましたが、戦時中の70年前の出来事と現代のテロを結びつけるのはやや強引な気が

それよりも毒殺事件の真相の方が驚いちゃいました

2代目相棒の神戸さん(及川光博)や甲斐(石坂浩二)さん、大河内(神保悟志)さんもちょっとだけですが登場します。

レストラン街の事件は食中毒ではなくて、エレベーターの階数ボタンに有機リン系の毒物が仕込まれ、ボタンを押した指先の皮膚から体内に毒物が入ったことがわかります。また、伊丹刑事(川原和久)が不用意に拾ったUSBメモリをPCに挿したことで、捜査本部のサーバーがウィルスに感染し、現場が混乱するきっかけを作ったというのも、PCに不慣れそうな伊丹ならやりかねないと思わせて失笑でした。米沢さん(六角精児)も登場。もう特命係とは関わりたくないオーラ全開だけど、大好きな鉄道ネタでは抗える筈もなく、しっかり協力しちゃってますね

バーズのリーダーのレイブン(北村一樹)は、在英日本大使館で岩井のボディーガードでしたが、誘拐事件の折に自らの保身しか考えない岩井に愛想を尽かして辞職した後でバーズに入っています。実は本当のレイヴンは別にいて、その人に感化されたのです。

レイブンの本名は天谷克則。彼には幼少時(戦時中)トラック諸島の空襲で日本軍に見捨てられ母と生き別れ、戦後ようやくの思いで日本に帰国すると「特別措置法」で戦死扱いされ戸籍を削除された過去があります。国際犯罪組織に手を染めた彼は、平和ボケした日本人に危機意識を持たせるために今回のテロを計画し、敢えて未遂に終えて自分は撃たれて死ぬつもりでした。スナイパーから彼を庇って撃たれた右京さん(予告ではこの展開を煽ってましたが、死ぬわけないじゃん!と冷静に見てる自分がいました。だってシリーズ終わっちゃうじゃないですか~~)は、逮捕された彼に面会に行き「例え犯人となっても最後の瞬間まで命を大切に生きて下さい」と伝えます。

話の本筋より、国は個人のためにあるのではなく、権力者にとって個人は抹殺しても何ら痛痒を感じないのだと改めて思ってしまったぞ

で・・結局瑛里佳ちゃんはどうなっちゃうのかな~?


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ある天文学者の恋文

2017年10月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年9月22日公開 イタリア 122分

著名な天文学者エド(ジェレミー・アイアンズ)と彼の教え子エイミー(オルガ・キュリレンコ)は、皆には秘密の恋を謳歌していた。しかし、そんなエイミーの元に突然届いたエドの訃報。現実を受け入れられないエイミーだが、彼女の元にはその後もエドからの優しさとユーモアにあふれた手紙やメールや贈り物が届き続ける。エドの遺した謎を解き明かそうと、エイミーは彼が暮らしていたエディンバラや、かつて二人で時間を過ごしたイタリア湖水地方のサン・ジュリオ島などを辿りはじめ、そこで彼女が誰にも言えずに封印していた過去を、エドが密かに調べていたことを知るが―。(公式HPより)


「ニュー・シネマ・パラダイス」「鑑定士と顔のない依頼人」のジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。

う~~ん・・これも個人的には好きじゃない。エドの友人でもあった主治医の「私は彼のやり方に賛成できなかった。彼は家族もエイミーも不幸にしている」という趣旨の発言が一番自分の気持ちに近かったです。

娘のヴィクトリア(ショーナ・マクドナルド)と同い年のエイミーと恋愛関係になっている時点で、どんなに彼が真剣な気持ちであっても理解できないし、深く愛している分、家族を苦しめている気がします。真実を隠し、自分の死後もエミリーの気持ちを繋ぎとめて置きたいというエゴが勝ってのある意味狂気に囚われた行動に感じられたのです。現代では、前もって日時を指定すれば手紙もメールも贈り物も当人が死んでいようとちゃんと届く。これって当たり前のようで当たり前じゃない。一昔前ならまさに魔法です。混乱するエイミーの姿はちょっと可哀想ですが、彼女の幸せを想い、エドなりに考えた結果でもあるのだということが徐々に明らかになります。

エドのやり方には賛成できませんが、エミリーが過去のトラウマ(少女の頃に自らの未熟な運転で事故り、同乗していた父親を死なせた事)を克服し、疎遠になっていた母親(イリーナ・カラ)と和解できたことはエドの彼女に対する最大の贈り物だということは認めます。(エミリーが危険なスタントの仕事をしていたのも自分の過失を許せなかったことからきていたのですね。)

たまに間違えて送られるメール(18歳になった息子へのメッセージとか、日にちの順番が前後したものとか)が全てが理想通りに進まない現実をちょっと皮肉っているかのよう。でもエドは自分の死後も続くエミリーの人生のこともちゃんと考えてはいたようで、彼の手紙の中にある未来への予想もあながち間違ってはいなかったと受け取れるラストでした。

こういう話は、当事者の主観で語られますから全体的に甘いトーンに包まれています。

エディンバラやサン・ジュリオ島の美しいロケーションや、島の別荘を預かるアンジェラ(アンナ・サヴァ)や舟乗りのオッタヴィオ(パオロ・カラブレージ)の優しい眼差し、ヴィクトリアがエイミーを受け入れる展開・・主治医以外は皆二人の関係を受け入れているんですね。

二人が天文学を学ぶ教授と教え子である点が異色ではあります。エドは自分の頭の中の腫瘍と同じ形のかに星雲を研究していて、エミリーは超新星をテーマにした卒論で博士号を取ります。既に消滅した光を追うという彼らの学問自体に人生が重なって見える・・かも。


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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)

2017年10月13日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年10月13日公開 アメリカ 140分

高度な知能を得た猿と人類が全面戦争に突入してから2年。猿たちを率いるシーザー(アンディ・サーキス)は森の奥深くに砦を築き、滝の裏側に身を潜めていたが、ある晩、人間たちの奇襲を受けて妻と長男ブルーアイズの命を奪われてしまう。敵の冷酷非道なリーダー、大佐(ウディ・ハレルソン)への復讐を誓ったシーザーは仲間たちを新しい隠れ場所へ向かわせ、自らは復讐の旅に出る。大佐を追うその旅には、穏やかなオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)、シーザーの片腕のロケット(テリー・ノタリー)、ルカ(マイケル・アダムスウェイト)が同行した。道中で出会った口のきけない人間の少女ノバ(アミア・ミラー)や動物園出身のチンパンジー、バッド・エイプ(スティーブ・ザーン)も加わり、一行は遂に大佐のアジトである巨大な要塞に辿り着くが、復讐心に支配され冷静な判断力を失ったシーザーは大佐に捕まってしまう。新天地に向かった筈の仲間たちも皆この監獄のような要塞に囚われ強制労働をさせられていた。


「猿の惑星」をリブートした「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」「猿の惑星:新世紀(ライジング)」に続くシリーズ第3弾です。シーザー役は前二作に続いて「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのゴラム役でもお馴染みのアンディー・サーキスがパフォーマンスキャプチャーで演じています。

妻子を殺された悲しみと怒りで、コバ(トビー・ケベル)のように復讐の念に憑りつかれてしまったシーザーは、それまでの温和さや忍耐強さが消え、表情も険しくなっています。何度か挿入されるコバとの対話(幻想)が、シーザーにとりついた怨念を表現しているようでした。大佐を追う旅の途中で出会った人間を彼は殺してしまいますが、その男は脱走兵で口のきけない幼い少女が独り遺されてしまいます。心優しいモーリスは、置いていけば生き残れないと主張し少女を一行に加えます。

雪の荒野で寒さに震える少女に自分が着ていた外套を差し出すバッド・エイプや、花をそっと髪に挿してあげたルカ・・・弱き者へそれぞれが手を差し伸べる姿は猿も人も関係なく、その者自身の心のありかたを示しているかのようです。それだけにルカの死に涙する少女の姿がよりいっそう心に訴えてきました。

一方、これまでのリーダーらしさを失い、ひたすら大佐への復讐心を募らせるシーザーでしたが、要塞に囚われて過酷な労働をさせられている仲間たちを目にして少し頭が冷えた様子。さらに大佐から予期せぬ人類の退化の兆候を聞かされます。人間の驕りが進化した猿を創生し、その結果蔓延したエイブウィルスにより人類の半数が死滅し、さらに言葉と知能を失い退化が始まっているという事実を認識しながらも、大佐は運命に抗おうと狂気的行動をしています。かつて一人息子に退化の兆候を見た大佐は最愛の息子を自らの手で殺してしまったのですが、その時から大佐自身の心も壊れてしまったのでしょう。

シーザーや仲間を助けようとモーリスたちも大奮闘。ちょっとユーモラスな脱走劇が束の間、和ませてくれました。仲間を逃した後に大佐への復讐心を抑えられずに向かった先で、シーザーは退化しつつある大佐の姿を目にします。彼が銃の引鉄を引かなかったのは、大佐への一番効果的な罰だと考えたから?そして敢えて銃を残したのは大佐自身に運命を選ばせたのかしら?息子を含めて発病(退化)した人間を情け容赦なく殺してきた大佐ですが、自分だけはそうならないと思っていたのなら、皮肉な運命ですよね

それまで散々シーザーの邪魔をして苦しめたコバの仲間のレッド・ドンキー(タイ・オルソン)が最後にシーザーを助けてくれます。シーザーに命を助けられた人間の兵士プリーチャー(ガブリエル・チャバリア)が、シーザーを射た後、銃を向けて殺そうとしたのとは対照的です。まぁ、シーザーが手りゅう弾を投げたら要塞が吹っ飛ぶんですから兵士を責めるのも酷ではありますが 

自然も人類の味方ではありませんでした。大規模な雪崩が人間たちを一瞬で呑み込んでしまうクライマックスは何とも壮大です。

新天地に着いたところでシーザーの命も尽きます。無邪気に遊ぶ少女(ノバ)とシーザーのまだ幼い息子コーネリア(ジュディ・グリア)。二人の名前がオリジナルの作品を連想させますが、それはまだまだずっと後の話・・ですよね

今作でノバが無垢な少女として描かれているだけに、その後の人類の哀れさをオリジナルで知っている身には何とも複雑に感じられました。


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真田十勇士

2017年10月12日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年9月22日公開 135分

関ヶ原の戦いから10年後。真田幸村(加藤雅也)は天下の名将としてその名を世に轟かせていたが、実際の幸村は奇跡的に運に恵まれ続けただけの腰抜け男で、自分の虚像と実像の差に悩んでいた。そんなある日、幸村は抜け忍の猿飛佐助(中村勘九郎)と出会う。自分の嘘とハッタリで幸村を本物の天下一の武将に仕立てあげることを決意した佐助は、同じく抜け忍の霧隠才蔵(松坂桃李)ら9人の仲間を集め、「真田十勇士」を結成。亡き秀吉の遺志を継いで豊臣家復権を狙う淀殿(大竹しのぶ)に呼び寄せられた幸村と十勇士は、瞬く間に徳川との戦いの最前線に立つことになってしまう。(映画.comより)


堤幸彦監督と中村勘九郎がタッグを組んだ2014年の舞台「真田十勇士」の映画化だそうですが・・・なんだ?このふざけ具合は これ、ダメな人はとことんダメですね。少なくとも私は通常速度で観るのが苦痛で早送りしました 舞台は面白かったのかな?

史実がどうだったかはわからないけれど、へたれ具合も中途半端だし、淀君との秘めた想いとか、才蔵を追いかけまわす火垂(大島優子)の恋愛感情とか、現代的過ぎてついていけないぞ。

家康を演じているのは松平健ですが、この人「吉宗=暴れん坊将軍」にしか見えないんだよなぁ 淀君も幸村も相応な年で綺麗さは望めないし、逆に佐助は煩過ぎ コントを演じているようで空回り感が否めませんでした。

冒頭とラストで登場するアニメーションも安直なパラパラ動画のようで、「この後実写本編です」の挿入もわざとらしい。これ見た時点で「あ・・苦手かも」と直観。もちろんこういう手法が好きな人にはたまらない面白さがあるのかもですが 少なくとも正統派時代劇ではありませんね。勇士なんてものは後世の人が作り上げる虚像という意味では案外こんな感じだったかも


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22年目の告白 私が殺人犯です 

2017年10月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年6月10日公開 117分

1995年、同一犯による5件の連続殺人事件が日本中を震撼させた。犯人はいずれも被害者と親しい者に殺人の瞬間を見せつけており、殺害方法は背後からの絞殺、そして目撃者は殺さずに犯行の様子をメディアに証言させるという独自のルールに則って犯行を重ねていく。捜査を担当する刑事・牧村(伊藤英明)は犯人を逮捕寸前にまで追い詰めるが、犯人の罠にはまって上司を殺され、事件は未解決のまま時効を迎えてしまう。そして事件から22年後、犯人を名乗る男・曾根崎(藤原竜也)が執筆した殺人手記「私が殺人犯です」が出版される。曾根崎は出版記念会見にも姿を現し、マスコミ報道やSNSを通して一躍時の人となるが……。


2012年の韓国映画「殺人の告白」が原作のクライムサスペンスです。

キャストに惹かれても内容が重いと劇場には二の足を踏んでしまうので、レンタル予約していたら動画視聴で一足早く観ることができました

あれだけ華々しく登場するんだから犯人じゃないだろうと予想はつくのだけれど、「彼」だったのね~とか、刑事と「彼」の間にあった関係性とかはわかってみればなるほどな伏線もしっかり用意されていました。

曽根崎の登場シーンは派手な演出で劇画チックです 時効を迎えた殺人犯で罪に問えない設定ですが、そんな人物の書いた本を我先に買い求め、見た目の良さにまるでアイドルであるかのように群がる世間を俯瞰でみると反吐が出そう。 こういうのってスルーが一番効果的なんだよね~とか思ってみたり・・・。

後半、曽根崎の真意が明らかになると、逆に、世間を騒がせて本当の「犯人」をあぶりだすために必要なことだったのだと納得できるのですけどね

さて、彼らの思惑通り、「真犯人」が登場!と思いきや、そいつもまたネットで釣られたバカな若者という展開です。顔を隠している間は強気のふてぶてしい態度ですが、晒された途端怯えて逃げ出す姿はなんともみっともない。自分の行動の善悪も判別できないような奴には同情の余地もありませんね。

「真犯人」の正体ですが、自己顕示欲が強くて過去のPTSDにより犯行を重ねたというヒントで浮かび上がる人物はただ一人。いかにも正義の人っぽいのに、お前かよ!!でした。

殺人犯に殺された遺族が今回の事件の裏で協力したり、個別に復讐を企てたりします。せめて関係者には前もって真意を知らせたら良かったのにね~

真犯人の残していたビデオで時効の成立が崩れ、罪に問えたのに、今度は心神喪失で減刑となった殺人犯ですが、エンディングで遺族の青年が取った行動は、個人的には責められません。というか、そもそもどんな心理状態であっても犯した罪には向き合わないといけないし相当の罰が必要だと思うのでね

主役以外の登場人物は以下の通り

小野寺拓巳(野村周平):理香の婚約者

牧村里香(石橋杏奈):牧村の妹

岸美晴(夏帆):遺族A

戸田丈(早乙女太一):遺族B

橘大祐(岩城滉一):遺族B

滝幸宏(平田満):遺族C

仙堂俊雄(仲村トオル):キャスター


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ピクセル

2017年10月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年9月12日公開 アメリカ 105分

2017年9月15日 金曜ロードSHOW!放送

1982年―NASAが宇宙に向けて「友好」のメッセージを発信した。 2015年―しかし、そのメッセージは大きな誤解を招き、我々人類に襲い掛かる。 ヤツらはゲームキャラに姿を変え、地球を侵略開始したのだ。 グアムの空軍基地を襲う「ギャラガ」インドのタージ・マハルを崩す「アルカノイド」ロンドンの空を覆いつくす「センチピード」NYの街を食べ尽くす「パックマン」そして、ワシントンDCに現れた巨大母船からは、「スペースインベーダー」をはじめとする大量のゲームキャラが…「ドンキーコング」まで!?!? 全てをピクセル化させ、ブロック状にボロボロと破壊してしまう攻撃に、ピコピコと崩壊する世界。 米国大統領は決断する―この最大の危機を乗り越える為の秘策を。 それは、1982年当時のビデオゲームのチャンピオン達を集め、ヤツらに対抗することだった。見た目は残念なオヤジ達を“アーケーダーズ”として組織し、米国陸軍中佐の指揮の下、対ゲームキャラ用の兵器を開発し、戦いに挑むのだが―。 ゲームオタク vs 80年代ゲームキャラ、今「決戦」がスタートする!(公式HPより)

 

クリス・コロンバス監督なのでちょっと期待したのですが・・・思いっきりB級作品ですね

宇宙人が宣戦布告と誤解して侵略してきたのは昔懐かしいゲームキャラたち。この緊急事態にオタクが立ち上がり地球の危機を救うという、実にアホらしい展開でした。パックマン、ドンキーコング、スペースインベーダーといったアーケードゲームは懐かしいけれど、触れたもの全てがピクセル化する実写で攻めて来られてもなんかリアル感がないのよね でもこれってゲームオタクにとってはすっごく楽しい作品なのかも。ただ、下ネタもあるので子供と観るのはどうかな?

アーケーダーズのリーダーはサム(アダム・サンドラー)。大統領になっていた幼馴染のウィル(ケビン・ジェームズ)に頼まれて引き受けるのですが、昔ゲーム対決で負けたことがトラウマとなり自信喪失していました。でもその時の相手エディ(ピーター・ディンクレイジ)が実はインチキしていたことがわかり、俄然自信を取り戻します。親友ラドロー(ジョシュ・ギャッド)と共に華麗なゲームテクニックで宇宙人の挑戦を撃破していくのです。もちろんズルはするけどエディの腕も侮れません

めでたく宇宙人を撃退した後はヒーローとして迎えられ、ヴァイオレット中佐(ミシェル・モナハン)ともになって、まぁハッピーなこと


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怒り ネタバレあり

2017年10月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年9月17日公開 142分

犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄という3つの場所に、それぞれ前歴不詳の男が現れたことから巻き起こるドラマを描いた。東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。それから1年後、千葉の漁港で暮らす洋平(渡辺謙)と娘の愛子(宮崎あおい)の前に田代(松山ケンイチ)という青年が現れ、東京で大手企業に勤める優馬(妻夫木聡)は街で直人(綾野剛)という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉(広瀬すず)は、無人島で田中(森山未來)という男と遭遇するが……。


田修一の原作を映画化した「悪人」で国内外で高い評価を得た李相日監督が、再び吉田原作の小説を映画化した群像ミステリードラマです。

前後して語られる3つの場所でのドラマ・・・どの男も怪しそうではありますが、やはり犯人は第一印象で「あいつだ!」だって怪しすぎ!不気味感のあとで意外な優しさや社交性を示し、でもやっぱりどこか異様さがありました。 今回、すずちゃんは難役にチャレンジしてますね~ 

愛子と影のある田代の共通点は周囲から浮いていることでしょうか。洋平は家出して風俗店で働いていた愛子を連れ戻しますが、狭い田舎でその噂はあっという間に広まります。身元の不確かな田代もまた、ここでは余所者です。その孤独感を埋めるように二人は親しくなるのですが、殺人事件の犯人の似顔絵が公開されたことで、洋平と愛子は彼を疑ってしまうのです。

優馬は同性愛者で、あるパーティで知り合った直人を気に入り同棲を始めます。直人も素性がよくわからない青年ですが、末期がんの優馬の母親の世話をする優しい一面がありました。でも母親が亡くなった時、優馬はお葬式に直人を呼びませんでした。古くからの友人に直人のことをどう話せばよいかわからなかったから。そして相次いで強盗に入られた友人の話を聞いて直人を疑ってしまいます。更に指名手配の犯人の似顔絵にあった直人と同じ3つのホクロ・・疑惑を口にした優馬の前から直人は姿を消してしまいます。

田代は犯人ではありませんでした。愛子と洋平は今度こそ彼を信じやり直そうとします。

直人も犯人ではありませんでした。彼は施設で育ち、心臓の病を抱えていて公園で倒れて亡くなっていました。彼を信じ切れなかった優馬は深く後悔するのです。

母親の都合で沖縄へきた泉(広瀬すず)は、地元の男の子・辰哉(佐久本宝)に無人島へ連れて行ってもらい、田中と知り合います。でもそれが元で彼女に災難が降りかかるの。そう、殺人事件の犯人は田中でした。彼の中の怒り(他者にとっては理不尽この上ないのですが)が限界点を超えると常軌を逸した行動に駆り立てる、まさに狂人です。泉の事件の際も、彼は笑いながら見ていたというのです。それを聞かされた辰哉は思わず田中を刺し殺してしまいます。それは事件の時、泉を助けられなかった辰哉の後悔からくる責任の取り方でした。

疑念が信頼関係を破綻させていく言いようのない恐ろしさ、信じて裏切られた時に生じる怒りの激しさに身震いします。救いは愛子たちのエピソードです。田代は遂に帰る場所と愛する家族を得たのですから 


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ロング・トレイル!

2017年10月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年7月30日公開 アメリカ 104分

60歳を超えた英国の紀行作家ビル・ブライソン(ロバート・レッドフォード)は、家族と共に故郷アメリカに戻り、いまでは穏やかな生活を送っている。だがそんな毎日に物足りなさを感じていたビルは、ある時ふと目にした一枚の写真がきっかけで全長3500キロという北米有数の自然歩道“アパラチアン・トレイル”踏破を思いつく。旅の同行者として名乗り出たのは40年ぶりの再会となる旧友カッツ(ニック・ノルティ)だった。“酒浸りのバツイチ”で絵に描いたような彼の破天荒っぷりに心配を隠せないビルの妻(エマ・トンプソン)をよそに、二人は意気揚々と出発。しかしシニア世代のビルとカッツの前に、大自然の驚異と体力の衰えという現実が立ちはだかる。やがて彼らの冒険は、思いがけない心の旅へと進路を変えていく……。


北アメリカ有数の自然歩道「アパラチアン・トレイル」踏破を目指すシニア男性2人組の旅を描いたロードムービーで、旅行エッセイで知られる作家ル・ブライソンが実話をもとに書いた「A Walk in the Woods」が原作です。ロバート・レッドフォードが主演・製作を務めています。

同世代の知人の死をきっかけに、人生やるなら今しかないと思い立ち、突如として長旅(しかも歩き)に挑むと決意したビル。当然妻は一人で出すのは心配なので、同行者がいるならと条件を出しました。そりゃ、家でゴロゴロしてる夫も嫌だけど、一人どこかで野垂れ死にされるのはもっと嫌だもんね。片っ端から声をかけたものの同行者は見つかりません。そんなある日、若い時に一緒に旅した親友カッツから連絡が。その破天荒さが原因でいつしか疎遠になっていた彼にはビルは声をかけなかったのに、友人の友人から聞いたとこれまたよくある話です。

旅に出られるならこの際誰でもと思ったビルですが、長年の不養生で体力も衰えたカッツは初日から休もうと言い出す始末。足元もおぼつかず先が思いやられる感じでしたが、歩いてみれば昔取ったなんとやらで、けっこう歩けるじゃん!

途中で強引にくっついてきたお喋り女を撒いたり、アバンチュールを楽しもうとしてトラブルに遭ったりしながらも、次第に二人は昔の関係に戻っていきます。 ビルが妻と出会ったのも若い頃の旅の中でだったのね。(日本的にはユースホステルを利用して旅した70年代くらいの若者たちみたいな感じでしょうか。

無事ロングトレイルを成功・・とはいかず、転落して体力・気力が底をついて途中でリタイヤしてしまうのも、リアル感があって、それはそれででした。

無事に帰宅したビルを迎える妻の安心した嬉しそうな顔夫婦仲もより一層深まったに違いありません 人間、何歳になっても成長できるんだな~~


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