杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

バビロン・ナイツ

2013年11月30日 | 
ダニエル・デップ, 岡野降也(著者/編集)、小学館(出版)

L.A.の探偵デイビッド・スパンドウの次の依頼人はハリウッド女優のアンナ・メイヒュー。近ごろ熱狂的ファンから不審な手紙が度々届いている。今度のカンヌ国際映画祭で審査員を務めるアンナは、スパンドウにカンヌでボディーガードをして欲しいという。不審な手紙の差出人であるペレックは大金を手にし、アンナを追ってカンヌに飛ぶ。さらに金を盗まれたことでマフィアに命を狙われる男スペシャルも後に続く。一同がカンヌ国際映画祭の夜に繰り広げる激しい応酬の行方は…。俳優ジョニー・デップの実兄が、ハリウッドの光と影をリアルに描くシリーズ第二弾。(「BOOK」データベースより)


『負け犬の街』に続いて探偵スパンドウが登場。とはいえ、本作では元妻への未練から彼女に暴力を振ってしまい完全に関係が壊れて自己嫌悪に陥った揚句、自暴自棄気味な精神状態でアンナのボディガードをする展開で颯爽とした感じは最後までありません
どちらかというと、ポン引きのスペシャルの方が魅力的に描かれています。
女ったらしだけど身内には優しく陽気で頭の切れるスペシャルは、スパンドウよりペレックの異常さを知っている分優位に立っていて、アンナを助けたのも彼です。そしてそのことが自らの窮地(マフィアの金をペレックに持ち逃げされた)をも救ったのですから大したタマです
というか、そういう落とし前のつけ方こそがハリウッド的なのか

後半の舞台であるカンヌの映画祭の描写は、かつてジョニーと製作した『ブレイブ』で同行した経験を元にしているということで赤裸々な映画界の内幕を垣間見るようなお楽しみ感がありました。とはいえ決して楽しい内容じゃないのですが
作者はフィクションであることを強調していますが、読み手としてはやはり作者の経験から得たキャラ設定なんだろうと思ってしまうよね

依頼人に余計な感情を抱かないのが探偵の鉄則でしょうに、今回スパンドウはアンナに特別な感情を抱いてしまいます。前作の依頼人であるボビー・ダイが本作の冒頭で自殺したことが書かれて驚いたのですが、続編でスパンドウとアンナの関係がどうなっているのかも興味のあるところです。あの業界のことですから奇麗に雲散霧消しているってのが予想なんだけど。

アンナを付け狙うペレックは『ダ・ヴィンチ・コード』のシラスのように、自らを傷つけることで行為を正当化できると考える一種の偏執狂です。父親の自殺を目撃した過去が類似していることからアンナに自分を重ね合わせ付け狙うのですが、その目的がまた何とも異常
こういう性格にしたのは多分に彼の母親の影響があると考えられ、宗教に対するアンチテーゼがそこにあるようにも思えました。

暴力シーンは読んでいて気持ちのよいものではないのですが、アンナと過ごすランチやディナーの美味しそうな描写で補うことにします

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すべては君に逢えたから

2013年11月27日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年11月22日公開 106分

1914年に開業した東京駅が2014年12月に100周年を迎えることを記念し、クリスマスの同駅で繰り広げられる男女の恋や家族のドラマを描いたオムニバスストーリーです。

<イヴの恋人>女優の夢を諦め、クリスマスイヴに養護施設で上演する劇を最後に田舎に帰る予定の佐々木玲子(高梨臨)は、東京での最後の思い出に少し贅沢をしようとレストランに入る。そこは、過去の苦い経験から人間不信に陥っているウェブデザイン会社社長・黒山和樹(玉木宏)の行きつけの店だった。玲子が、次のバーにも入ってきたのを見て、自分をつけてきたと思い込んだ和樹は「偶然ですね」と声をかける玲子に失礼な態度をとる。玲子は涙をこぼしながら、本当は彼と来るはずだったが死んでしまった……と言い残して店を出るが、翌日、二人はやはり和樹のお気に入りのカフェで偶然の再会を果たす。和樹は玲子に、お詫びをさせてほしいと申し出るが……。

失礼なことを言われ思わず「死んだ恋人と・・」と芝居をしてしまった玲子ですが、再会した和樹の本当は誠実な人柄を知って嘘をついたことを告白します。互いに好意を寄せるようになった二人の関係もここで終わり?と思ったら、実は思わぬ接点があった(いつも好みの映画作品を借りてくる秘書が実はレンタル店のバイトの子のアドバイスで借りていたことがわかり、それが玲子だった)という結末。荷物をまとめ田舎に帰るための夜行バスに乗ろうとした玲子の前に薔薇一輪を持って登場なんて一昔前の王子様設定だけど、王道だけにちょっぴり胸キュン


<遠距離恋愛>東京のドレスメーカーで働く山口雪奈(木村文乃)と建設会社の仙台支社に勤務する津村拓実(東出昌大)は遠距離恋愛中。雪奈はクリスマスイヴに開催されるブライダルショーの準備に忙しいが、拓実へのモーニングコールは欠かさない。ある日、突然拓実の東京出張が決まり、雪奈は久しぶりに会えるときめきを感じていた。だが拓実は明け方まで先輩と飲み明かし、そのまま仙台へ戻ろうとする。拓実にショーのチケットを渡そうと東京駅へと向かった雪奈は、その先輩が女性だと知り動揺する……。

二人の最大の危機は、拓実から「チャラチャラした仕事」と言われ傷ついた雪奈が飛びだした時。
でも健気で一生懸命な雪奈は仕事も成功させます。一方拓実もショーを見て彼女の仕事に対する真剣な想いを感じ、やはり自分にとって大切な人だと再確認するの。東京駅のツリーの前で会った二人は想いを素直に伝えあいます。
雪奈が鳩だと信じていた駅構内の装飾が実は鷹だったなんてオチもあるけれど、指輪を添えたプロポーズや最終の新幹線に雪奈を引っ張りこんだりは・・・若いってええなぁ


<二分の一成人式>
余命3ヶ月と宣告され、新幹線の運転士を辞める宮崎正行(時任三郎)。妻の沙織(大塚寧々)に支えられ、遺された時間を一人息子の幸治のために使おうとするが、何も言えないまま幸治の10歳になった記念の二分の一成人式の日がやってくる・・・。

子供のためにと思っても、子供の方は「お父さんはどうして仕事辞めて家にいるんだろ?」と訝しく思うよねぇゲームに夢中の息子に「時間がないんだ!」と感情をぶつけてしまう場面が切なかったけれど、でも親の背中を見てちゃんと育ってたね~~息子は「僕もお父さんのような新幹線の運転士になりたい」という作文は何より嬉しい贈り物だね
時任さんと大塚さんはTVドラマでもカップル役を演じたことがあったから違和感なかったな沙織の弟が和樹だとわかり、思わず「じゃぁ夫が亡くなってもリッチな弟が面倒みてくれそうね」と思ってしまった私はかなり下世話です

<クリスマスの勇気>ケーキ屋でアルバイト中の大友菜摘(本田翼)は、クリスマスイヴにアルバイトの予定しか入っていない。友人から、憧れの三上先輩が来るというカラオケ大会へ誘われるが、自分に自信のない菜摘は断ってしまう。ケーキ屋のオーナー兼パティシエ・大島琴子(倍賞千恵子)に「告白しなければ何も始まらないでしょ」と励まされる菜摘。さらに琴子は、若き日の大恋愛を菜摘に打ち明け始めるのだった……。
<遅れてきたプレゼント>琴子は49年前、親の決めた婚約者がいる男と恋に落ち、駆け落ちを決意、クリスマスイヴに東京駅で待ち合わせるが男は現れなかった。その後、何度か恋はしても結婚することはなかった。菜摘にその相手が今どうしているか考えることはあるのかと聞かれ、「もう思い出すことも無いわ」と笑う琴子。そんなある日、琴子のもとにある男が現れる……。

片思いの先輩に告白する勇気のなかった菜摘ですが、琴子の叶わなかった恋とその結末を知り、前に進む決意をします。彼女の恋はこれから始まるのね

琴子をイブに訪ねてきた男性は駆け落ちする筈だった人の兄でした。彼を引き止めたのは兄だったのです。結局言われるまま結婚し家庭を持った彼ですが、あの時乗る筈だった列車の切符をずっと持ち続けていたことを彼が亡くなってから知った兄がそれを携えてきたのです。
本当は琴子も忘れるなんて出来なかった、その証拠に彼女もまたその切符をずっと持っていたの。
切ない昔の、大人の恋です。


<クリスマスプレゼント>いつも明るく元気な女の子、寺井茜(甲斐恵美利)は両親と離れて、養護施設で暮らしている。施設で教員を務める岸本千春(市川実和子)は、そんな茜をいつも優しく見守っていた。茜は大好きなサンタクロースの絵本を読みながら、クリスマスイヴが来るのを心待ちにしている。お母さんはきっとイヴに会いに来てくれる、と茜は密かに信じていたのだ……。

茜の暮らす施設でイブに劇を演じたのが玲子で、エピソードが繋がっています。
本当は自分の置かれている境遇を理解しているけれど、いつか母親が迎えにきてくれると思うことが茜にとって何よりも大切な希望なのねサンタの贈り物に添えられたカードが日本語だったから、きっとこれは母親が置いて行ったのだと千春に話すその気持ちがいじらしいです。

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カルテット!人生のオペラハウス

2013年11月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年4月19日公開 イギリス 99分

イギリス。引退した音楽家たちが暮らすホーム「ビーチャム・ハウス」で穏やかに余生を送るレジー(トム・コートネイ)、シシー(ポーリーン・コリンズ)、ウィルフ(ビリー・コノリー)のもとに、昔のカルテットメンバーで野心とエゴで皆を傷つけ去っていったプリマドンナのジーン(マギー・スミス)がやってくる。近く開かれるコンサートが成功しなければハウス閉鎖という危機を迎え、シィドリック・リビングストン (マイケル・ガンボン)初め誰もが伝説のカルテット復活に期待を寄せるが・・・。


ダスティン・ホフマンの初監督作は脚本家ロナルド・ハーウッドの戯曲です。

ジーンに傷つけられ結婚が破綻した後、愛には見向きもせず音楽の普及に心血を注ぐレジー、生来のキュートさはそのままに痴呆症が進むシシー、ホームでも女性を追いかけているウィルフの三人はホームでの生活を穏やかに楽しんでいました。ところがかつて彼らを傷つけ去っていったジーンの入居で波風が

奔放な恋愛遍歴を持つジーンと演じるマギーのイメージの落差にちょっと戸惑いも覚えますが、自らの歌の限界を悟り人前で歌えなくなった彼女のプライドを表情で伝える演技力はさすがです。

ジーンとレジーはかつて結婚していましたが、その期間はわずか9時間だけ
ジーンが浮気を告白したことが原因で破局したようですが、堅物のレジーには耐えられないことだったのねでもジーンはその過ちを後悔していて、わざわざこのホームに入居したのも彼に謝りたかったから。入居前に再会した時の謝罪の言葉を練習する姿がちょっと健気に見えてきます。

過去をさっぱりと水に流せないレジーとの間はぎくしゃくしていましたが、無邪気に間に入るシシーやウィルフの助けもあって徐々に穏やかな空気が生まれていきます。そしてコンサートの成功のために、歌の封印を解いたジーンは練習を開始します。
ライバル?のアン(グウィネス・ジョーンズ)への対抗心とか、シシーの痴呆状態に振り回されたりなどクスッと笑えるシーンも織り交ぜながら、クライマックスのコンサートの出番直前にジーンの本心を知ったレジーからの再びのプロポーズでめでたしめでたしの結末に

もちろん歌の部分は本職さんがあてているようです。
老人たちの物語だけれど誰も死ななくてハッピーな結末ってのはいいね

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ルパン三世 princess of the breeze~隠された空中都市~

2013年11月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年11月15日 金曜ロードショー

オランダ・アムステルダム。宝物を乗せた巨大飛行船で「シャハルタ共和国開国記念レセプションパーティー」が開催される中、小型飛行船に乗った空賊たちが現れる。会場に潜り込んでいたルパン(栗田貫一)は、女性空賊・ユティカ(石川由依)からお宝の入ったバッグを奪うが、中には何と赤ん坊が。ルパン1世の記録では、クーデターにより共和国となったシャハルタには、王国時代の宝物が隠されているはず。真のお宝を手に入れるため、正体不明の赤ん坊ラーム(金田朋子)を連れて世界各地の博物館をこれ見よがしに襲い始めたルパンは、イタリアで共和国大臣・シオン(神谷浩史)と、コーシャル(楠大典)からラーム救出を依頼された銭形警部(山寺宏一)に追われる隙にユティカにラームを奪われてしまう。
ユティカを追って空賊のアジトに潜り込んだルパンと次元(小林清志)は空賊の頭領ジーヴァ(菅生隆之)と意気投合するが、仲間の裏切りでコーシャルの部隊に襲われユティカとラームを託される。ラームの正体とは?ルパンとコーシャルが狙う“シャハルタの宝物庫”に眠る宝とは?
五ェ門(浪川大輔)や不二子(沢城みゆき)、銭形も巻き込んだ戦いの幕が開く。


シャハルタはヨーロッパの山間にあり、険しい山中で暮らすために飛行船や気球など空を飛ぶ技術が発達した国という設定です。この国唯一の資源ヘリウムの利権に目を付けた多国籍企業「ワールド・リソース・サービス」の重役であるコーシャルの企みでクーデターが起き、王は殺され残った王族の一人シオンを大臣の地位につけ傀儡として共和国が誕生したという伏線があります。

このシオンが無気力無表情で「ハウル」を連想させる美形。彼の目的は「お宝」が登場してから判明しますが、彼の無念さ悔しさはわかるけど共感は出来ないなぁという理由です。当然やってきたことの報いは受けるという結果です。

「ハウル」もそうですが、空中に浮かぶお宝は「ラピュタ」を、王族を守って活躍するのは「カリオストロの城」をなぞっているようで、新鮮さが足りないのが残念かも。
コーシャルの暗殺団の首領?が「お前のカルマは何色・・」とかほざいてルパンを窮地に陥れるのも笑止。要は催眠術なんだもの
何より、予告で煽っていた「謎の赤ん坊」の正体もイマイチで、その出自は問題じゃなく「無垢なるもの」として悪者を倒すのに一役買っただけのような気がしました。何より危険な戦いの場に赤ん坊を連れていくってのが許せんぞしかも絵柄が微妙に可愛くないんだもん。

「お宝」の正体が高度な飛行技術というのも、俗物的な金銀財宝もその場に存在しているので、説得力に欠けてしまう気がしました。いっそそういう財宝が無かった方がわかりやすいんじゃないかしら?

赤ん坊と絡むルパンは何だかおじさんくさいのが一番の減点ポイントだったかも。
もっと颯爽として色気のあるルパンが観たいなぁ

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ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

2013年11月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年4月27日公開 デンマーク 137分

絶対王政末期の18世紀後半、野心家のドイツ人ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)は、精神を病んだデンマーク国王クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスガード)の侍医に就く。王の唯一の理解者であり親友となる一方、ストルーエンセは孤独な王妃カロリーネ・マティルデ(アリシア・ヴィカンダー)の心も虜にし、禁断の恋に落ちていくのだった……。やがて啓蒙思想を信奉するストルーエンセは、国王の言動を操り、事実上の摂政として数々の改革に乗り出していくが、不満を募らせた保守派貴族たちは密かに政変を起こそうと画策する。欲望渦巻く宮廷の権力争いの行方、そして侍医と王妃の許されざる愛の結末とは……。(Movie Walkerより)

実在したデンマーク王室のスキャンダルをもとに作られた物語ですって

クリスチャン7世は精神的疾患があったようで、映画の中では大人になれない我儘な青年という描き方でしたが、王として周囲から期待されずただ書類にサインをするだけの飾り物の自分に苦悩しているようにも見えました。(性的には自堕落ないっぱしの放蕩者でしたが

英国から嫁いできたキャロライン(デンマーク読みではカロリーネ)は聞かされていた想像の王と現実の王のあまりのギャップに戸惑いを通り越し絶望を感じます。
王妃の務めとして第一子である王子を出産すると、以後は王と距離を置くの。

一方ストルーエンセは宮廷から疎外された貴族の後押しで、野心を持って王の侍医に応募します。名作の引用で王に気に入られた彼は、孤独な王の気持ちを上手に解きほぐしていきます。初めは王妃に嫌われますが(夫を売春宿に入り浸りにさせる男なんて妻だったら好きになれるわけないでしょ)、やがてその啓蒙思想に王妃が共感したことから二人の仲が深まっていきます。
そのきっかけとして、王妃がストルーエンセの自室でルソーの本を見つけるというエピソードがあります。彼女もまた自分を閉じ込める王室という籠から自由にはばたきたいという思いがあったのでしょう。

孤独なのは王だけじゃなく、夫に顧みられない王妃もまた同じだったというわけです。
マッツ演じるストルーエンセは初めは冴えない田舎医師然としていますが、王妃の愛と権力を手にしてどんどん自信に充ち溢れた容貌に変化していくのが見事でした。

まさに歴史の陰に女あり、です。もし二人が男女の関係にならず、ストルーエンセの改革がもっと緩やかなものだったら、悲劇は起こらなかったかも。王を操って大臣にまで上り詰めた彼は、あまりにも性急に改革を行ったため、貴族ばかりか国民の間にも混乱を生じさせてしまったのです。
彼の行った政策には、捨て子のための病院の設立や種痘の実施、拷問の廃止などがあり、どれも先進的で優れたものでした。

どんなに奇麗に描こうとしてもやっぱり不倫には違いなく、身分的にも許される筈もない愛です。
最後までストルーエンセを庇う王妃ですが、彼は拷問による苦痛に負けて自白してしまいます。特赦で放免されると聞かされていたものの、敵対する枢密院の企みで処刑は実行されます。刑場に引き出されて全てを悟った彼の表情がその絶望と憤怒、諦めの気持ちを語っていました。

その身分故、王妃は処刑を免れ国を追放されます。映画は彼女が病床で子供たちに書き送った手紙の内容という形になっていました。二人の子供たち、フレデリクとルイーセ・アウグスタ、特にストルーエンセとの子であるルイーセが、このスキャンダルの後も地位を失うことなく成長したことが唯一の救いだなぁ

人が、己の欲望に呑みこまれてしまった時、悲劇は起こるのね

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風に立つライオン

2013年11月18日 | 
さだまさし(著) 幻冬舎(発行)

1987年、熱い志と明るいエネルギーを持つ日本人医師・航一郎は、恋人を長崎に残し、ケニアの病院に向かった。劣悪な環境で奮闘する航一郎の前に、激しい銃創を負った少年兵・ンドゥングが現れる。心を開かないンドゥングだったが、航一郎の熱さ優しさエネルギーを受け、少しずつ変わっていく。そして、遂に医師を志すことを決意するまでにいたる。しかし、その後、航一郎に哀しい運命が訪れ――。2011年3月、医師となったンドゥングは、津波に襲われた石巻を訪れる。そこで出会った避難所明友館のリーダー・木場に航一郎の面影を見る。木場と共に被災者に寄り添うンドゥングは、ある日、かつての自分と同じような目をした少年に出逢い……。ケニアの日本人医師から、かつての少年兵、そして被災地の子供へ。「心」のバトンが繋がった。(アマゾン商品説明より)


さだファンの間でも名曲と名高い「風に立つライオン」。
これまで「解夏」「眉山」に出演し交流の深い大沢たかおさんからの熱烈ラブコールを受けて映画のために書かれたのが本書です

80年代の長崎とケニア、そして2011年の石巻を繋ぐ物語は、楽曲とは設定が異なりますが、根底に流れているテーマは同じです。

医師・島田航一郎に関わりのあった人たちの述懐、回顧あるいは手紙という形をとってで物語は進みます。主人公の視点で語られないことに初め戸惑いもありましたが、登場人物たちの関係が頭に入っていくにつれて、物語を俯瞰として捉えられるようになりました。そもそもこの物語の主人公は読み手である私たちなのかも

航一郎は、子供の頃シュバイツアーの伝記を読んで医者を志しました。そんな彼にとってアフリカへ行くことはまさに夢の実現です。現地で「ミスター・ダイジョブ」と呼ばれ慕われた彼は、決して安請け合いの男ではなく、物事を大きな心で受け止めて努力で乗り越えるタイプの人でした。彼が叫ぶ「ガンバレ!!」は自分に向かってのエールです。

政情不安で治安も悪く、風土病やゲリラ戦の負傷者が運ばれてくるケニアの病院で、明るく大らかな彼のキャラは次第に周囲の雰囲気を変えていきます。彼が特に心を砕いたのはンドゥグという心を閉ざした少年兵でした。やがて二人の間には確かな絆が生まれていきます。
しかし航一郎は国境近くの村へ行く途中で襲撃を受け行方不明になってしまうの。戦時下という状況で彼の取った行動が正しいとは思えないけれど、医師として気になる患者を放っておけなかった気持ちはわかるような気がします。彼の死を描かないのは、その存在自体が希望を現しているからかもしれないね。

そして数十年の時を経て、ンドゥグが医師として大震災の後の石巻にやってきます。
震災直後の被災地は土地もですが人の心も決して穏やかではありませんでした。そんな中、ンドゥグは避難所のリーダー木場の中に、航一郎(の志し)を見出します。
そして被災し彷徨っていた少年「あつお」との出会いにより、再び命と希望のバトンが繋がっていくのです。

戦場と避難所、全く違うようで実は根っこの部分では同じなのかもしれません。
心を蝕むのも人なら、希望を灯し修復するのも人ってことなのよね。
「バトン」を次の世代に渡すことの意味を考えさせられました。

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ミトン

2013年11月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2003年12月20日公開 ソ連 

ひとりぼっちの女の子アーニャは、子犬が欲しくてたまらない。雪の中、飼い犬と遊ぶ子供たちをアーニャはいつもうらやましそうに見つめている。ある晴れた冬の日、アーニャは友だちの家で生まれたばかりのライカ犬の子犬と出会う。しかし、きれい好きの母親は犬を飼うのはダメと言い、結局その子犬を手放すことに。落ち込むアーニャは、赤い手袋を子犬に見立てて遊び始める。すると突然、その手袋が本当の子犬に生まれ変わる……。( Movie Walkerより)


1967年~1972年製作の短編集です。一作品が10分程度のパペットアニメーションですが、セリフのない短い時間の中でも、物語としてちゃんと伝わってくるのがすごい

表題の「ミトン」では友達のいない女の子が、ある時子犬をもらえることになったのですがママに許してもらえず、赤い手袋を子犬に見立てて遊んでいると、手袋が子犬になって動き出します。
手袋に戻ってしまったミトンにミルクをあげ撫でる娘の姿を見て胸を突かれたママは本物の子犬をもらいに・・。
毛糸の子犬の動きや表情の愛らしさにまいった

「レター」では、航海に出ているパパの手紙を心待ちにするママと男の子のお話。
ある日手紙が途絶えてママは心配のあまり家に閉じこもってしまいます。
男の子はベランダの舟でパパを探しに行くのですが、港で待つママの姿を見つけ連れ帰ります。そこへ郵便配達のおじさんがパパの手紙を届けてくれて・・。
男の子がパパやママを心配する気持ち、郵便配達のおじさんがママと男の子を心配する気持ちが伝わってきました。

「ママ」は幼い息子が寝ている間に買い物に出たお母さんのお話
ちょっとの時間の外出の筈が、町は品物一つ買うにも行列ができていて時間がどんどん過ぎていきます。(そういう時代背景なの)行列に並びながら何とか買い物を続けるお母さんですが、頭の中では家で待つ子供の身に起こりそうな様々な悪い事を想像して心配でたまらなくなるの。やっと買い物を終えて家に戻った彼女は、安らかに眠る息子を見て安心します。
ただそれだけのお話なんですが、母親の心配が手に取るようにわかってしまうんだな
きっと幼い子を持つ母だったことがある人には、記憶のアルバムを紐解いたような感覚になるんじゃないかと思います

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愛さえあれば

2013年11月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年5月17日公開 デンマーク 116分

結婚式の前の週
娘の結婚式が間近に迫った日、イーダ(トリーネ・ディアホルム)の乳がん治療は一区切りついた。乳房再建を薦める女医に「夫はありのままの私が好きなんです」と笑顔で答える。だが、帰宅すると、夫のライフ(キム・ボドニア)は居間のカウチで若い女性とセックスの真っ最中。2年半も前からの仲だとライフは悪びれもせず、「君が病気になって悲しかったんだ」と言って、出て行った。

結婚式4日前
娘のアストリッド(モリー・ブリキスト・エゲリンド)は交際3か月のパトリック(セバスチャン・イェセン)と、彼の父親が所有するイタリア南部ソレントの別荘で、結婚式の準備に大わらわ。一方、ひとり旅に不慣れなイーダは、コペンハーゲン空港の駐車場でほかの車に衝突してしまう。車を傷つけられた男性は激怒。パトリックの父親フィリップ(ピアース・ブロスナン)だった。

結婚式3日前
パトリックの亡き母親の妹ベネディクテ(パプリカ・スティーン)たち親族が別荘に来る。ライフは、あの浮気相手のティルデ(クリスティアーネ・シャウムブルグ=ミューラー)を伴ってきた。アストリッドは憤然とするが、イーダは娘の前では決してライフを非難しないのだった。傷心のイーダは、かつらも服も脱ぎ、海で泳ぐ。そこにフィリップが駆けつけ、「沖に流されるぞ!」と心配して裸体に優しく上着を掛けてくれる。帰り道、フィリップのレモン果樹園でイーダは「一番好きなのはレモン。レモンのない世界は想像つかない」と語る。いつしか2人の間には穏やかで優しい空気が生まれていた。

結婚式2日前
街のカフェで、フィリップは亡き妻エリザベットとの馴れ初めや彼女の突然の死について、イーダに静かに語る。

結婚式前日
ゲストたちが続々とやって来る。戦地に赴いていたアストリッドの弟ケネト(ミッキー・スキール・ハンセン)も、右腕を骨折し、やって来た。夜のパーティで、嫌がるイーダと無理やり踊るライフにケネトが殴りかかる。息子を追いかけて庭に出たイーダのもとにフィリップがやって来て、「君は自分の美しさに気づいていない。君はとびきり綺麗だ」と優しく言う。そのとき、ベネディクテが邪魔に入る。ベネディクテに言い寄られたフィリップは、募らせてきた彼女への嫌悪感をはっきり告げるのだった。

結婚式の準備を手伝ってくれている地元の青年アレッサンドロとアストリッドが親密にダンスするのを見て、パトリックは激高。だが、アストリッドから「彼はゲイよ」と言われ、パトリックの中で何かが弾ける。アレッサンドロのもとに行き、激しく唇を重ねる。

結婚式当日
夜明けまでケネトと海岸で語らったイーダが自室に戻ると、意気消沈したアストリッドがベッドに横たわっていた。パトリックが結婚をためらっているという。「彼は私を求めていない。求めているのはパーティや自分の父親。アレッサンドロや友だち。ワインや料理」

庭にゲストが揃い、新郎新婦の登場を待ち構える。やっと姿を現した2人だが、アストリッドは父親から手渡されたブーケを投げ捨てて言う。「私たち、結婚しません。嘘はもうたくさん。あなたが年老いて太ったうえに不幸でいる姿なんて見たくもない」

そして、その後
ある日、イーダが外出から戻ると、家の中がバラの花だらけに。「よりを戻してくれ」と言うライフに、イーダは無言でうなずく。数日後、イーダが働く美容院にフィリップがやって来る。ビジネスを縮小してイタリアに戻ることにした彼は、イーダに思いを告げる。動揺したイーダは、「もう悩みたくない。帰ってくれる?」と答えてしまう。イーダが自分の本心に気づくまで、あとほんの少しの時間が必要だった……。
(公式HPより)


そうか、この作品の主人公は娘と息子ではなくその母と父だったのね

それにしてもライフの何て身勝手な夫ぶりでしょう
妻が抗ガン治療で苦しんでいる時に、娘ほどの年齢の若い子と浮気だなんて・・現場を目撃した時点で私なら三行半で叩き出すけどなぁ
そんな仕打ちを受けながらも子供たちの前では「お父さんには良いところもあるのよ」と庇ういじらしさに泣けてきちゃう。子供たちは二人とも母親の味方。特に息子のケネトはマザコンの気があるんじゃないかと思うほど母べったりです。息子なんてそういうもんだけど

イーダの動揺は空港の駐車場での事故に現れています。最悪の出会いをした二人ですが、浮気相手を同伴してやってきたライフを見て彼女の苦しみを察したフィリップは逆にイーダに惹かれていったようです。

義妹のベネディクテはフィリップを狙って言い寄りますが、彼にはハナからそんな気はありません。彼女の娘は過食症だったようですが、こんな身勝手な母親を持ったら普通じゃいられないよねぇと同情したくなりました。

アストリッドは母親に似て美人で総明で優しい性格です。それなのにパトリックときたら・・ 式の準備を手伝う地元の友人?アレッサンドロと何やら怪しい雰囲気だと思ったら、
結局彼もそっちなの?
そして二人は結婚式をドタキャン。こういうことが出来るのも若さの強みだよね。
周囲への遠慮や後始末より自分たちの気持ちに正直になれるって、凄い

その点、イーダはまだまだ自分の気持ちを押しこめてしまっています。夢から醒めたと詫びを入れヨリを戻そうとする夫を許し、フィリップの求愛を撥ねつけ・・でもでも・・
イタリア滞在中に感じた首のしこりを再発ではないかと怯え再検査をしたその結果を知らせる封書を前にして一緒に受け止めてくれるパートナーを思った時、イーダは気付いたの。それはライフじゃないのだと

決心すると女は強いです!
呑気に旅行でもしようかなんてのたまうライフに「私はもう無理!」ときっぱり言い放ち、家を出てフィリップのいるイタリアに向かうイーダの潔いことったら
まぁ、ピアース・ブロスナン相手じゃどんな夫も叶わないですが

映画に出てくるイタリアの別荘から眺める海や果樹園の美しさも見所の一つです

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清須会議

2013年11月11日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年11月9日公開 138分

天正10年(1582年)。本能寺の変で、一代の英雄・織田信長(篠井英介)が明智光秀(浅野和之)に討たれた。跡を継ぐのは誰か……。後見に名乗りをあげたのは、筆頭家老・柴田勝家(役所広司)と後の豊臣秀吉・羽柴秀吉(大泉洋)であった。勝家は、武勇に秀で聡明で勇敢な信長の三男・信孝(坂東巳之助)を、秀吉は、信長の次男で大うつけ者と噂される信雄(妻夫木聡)を、それぞれ信長の後継者として推す。勝家、秀吉がともに思いを寄せる信長の妹・お市様(鈴木京香)は、最愛の息子を死なせた秀吉への恨みから勝家に肩入れ。一方、秀吉は、軍師・黒田官兵衛(寺島進)の策で、信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方に付け、秀吉の妻・寧(中谷美紀)の内助の功もあり、家臣たちの心を掴んでいくのだった。そんな中、織田家の跡継ぎ問題と領地配分を議題に“清須会議”が開かれる。会議に出席したのは、勝家、秀吉に加え、勝家の盟友で参謀的存在の丹波長秀(小日向文世)、立場を曖昧にして強い方に付こうと画策する池田恒興(佐藤浩市)の4人。様々な駆け引きの中で繰り広げられる一進一退の頭脳戦。騙し騙され、取り巻く全ての人々の思惑が猛烈に絡み合っていく……。(Movie Walkerより)


今年のお正月に原作本を読んでから心待ちにしてた映画です。
配役も絶妙で、まさに本で読んだ登場人物たちがスクリーンで生き生きと動いている、という感覚でした。ただねぇ・・・原作・脚本・監督とも三谷氏なわけですから、本以上でも以下でもなかったんだよね

時代劇らしい作り込み方ではあるけれど、お市の方や松姫はお歯黒してるし麿眉だしで、なんか美人に見えないというか・・お市様の年齢相応の肌の衰えまでリアルにする必要あったんかいかと思えば、セリフ自体は現代語・・いや、タメ口に若者言葉まで出てくるんだもんな

お楽しみ特典としては、先週地上波で「素敵な金縛り」を見た人には記憶に新しい更科六兵衛がちょこっとだけ登場します。
ただ、天海祐希さんをあの役で出す必要性については???でしたが

とはいえ、物語としての完成度は高いし、面白かったのは事実
歴史の陰に女あり!だし、色んな人の思惑を軽く飛びこして天下人の野望に突き進む秀吉の器の大きさを感じました。

器繋がりで、うつけを演じた妻夫木君も大した役者や~~

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奇人たちの晩餐会

2013年11月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1999年12月25日公開 フランス 80分

パリで出版業を営むピエール・ブロシャン(ティエリー・レルミット)には密かな楽しみがあった。それはバカな人間を招待しては友人たちと笑い物にするという晩餐会だ。電車内でマッチ棒の模型作りが趣味の変人・税務局勤めのピニョン(ジャック・ヴィルレ )という逸材と出会ったブロシャンは、彼を晩餐会に招待するが、当日ギックリ腰になり、妻のクリスティーヌ(アレクサンドラ・ヴァンダヌート)とも喧嘩して去られてしまう。仕方なく晩餐会をキャンセルしたところにピニョンが現れ・・・。


「奇人たちの晩餐会」と称したそれは、各メンバーがこれはと思うゲスト(=おバカ)を連れてきて、その奇人変人ぶりを観ながら影で笑うという悪趣味なものです。自分たちはゲストより優秀であると自惚れた鼻もちならない会なの。ぎっくり腰で動けないのに晩餐会の出席に未練たらたらな夫に嫌気が差して妻は家を出てしまいます。

さすがに意気消沈な彼の前に現れたのが件のおバカ・ピニョン氏
会の本当の意味に気付きもしない彼は、自分の模型を出版社で取り上げてくれることを期待してやってきたわけです。邪気のないお節介ほど厄介なものはないということにこの後ブロシャンは嫌というほど思い知らされます

妻の家出先が、自分が彼女を奪ったことで疎遠になった友人ジュスト・ルブラン(フランシス・ユステール)のところではないかと邪推して、ピニョンに電話で探りを入れるよう頼むのですが、おバカにそんなことさせるなんて、それこそ信じられない暴挙なわけで・・

ブロシャンの愛人マルレーヌ(カトリーヌ・フロ)とクリスティーヌを間違えて妻の方を追い返してしまうのは序の口で、ピニョンが動くほどに事態はどんどん悪化していくの
最後には女たらしのムノー(ダニエル・ルッソ)の隠れ家を突き止めるため、ピニョンの査察官の同僚まで呼ぶハメに

資産家であるブロシャンは当然脱税(資産隠し)もしているという図式のようです。おバカの友達もおバカというのはありですが、仕事に関してはとても嗅覚の鋭い猟犬のような男で、一件落着の後には厳しい査察が待っていそうな気配。しかし災難はブロシャンだけに訪れたのではなく、女たらしに妻を寝とられたと嘲笑っていたこの査察官の妻こそが、ムノーの浮気相手だったという強烈なオチもありました。フランス人って、資産家や役人といった富や権力を持つ者への皮肉がキツイ傾向があるけれど、まさにこの映画がそう

マルレーヌが、ピニョンに晩餐会の本当の目的をばらしてしまうのですが、交通事故で病院に運ばれた妻から面会を断られ意気消沈しているブロシャンをみかねたピニョンが彼女に電話して、誠を尽くして説得する姿にちょっと感動
これでブロシャンも改心するのかな?と思わせておいての、ラストのピニョンのおまぬけぶりに、あぁやっぱりバカは死ぬまで治らないんだよなぁと思った次第です
(確かに人を蔑むのは悪趣味だけど、ピニョンのようなタイプはやっぱりイライラするというかあまりのKYさに開いた口が塞がらないんだもの

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ハングオーバー!!! 最後の反省会

2013年11月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年6月28日公開 アメリカ 100分

何かとトラブルを引き起こしてばかりのアラン(ザック・ガリフィナーキス)。そんな彼の父親が心労を募らせて急死したのを機に、フィル(ブラッドリー・クーパー)、ステュ(エド・ヘルムズ)、ダグ(ジャスティン・バーサ)はアランの施設収容を決行することに。だが、施設へと向かう途中でギャングに4人が誘拐されてしまう。困惑するフィルたちに、ギャングのボスはアランがメル友として親交のあるアジア系ギャングのチャウ(ケン・チョン)が盗んだ金塊を取り戻すよう命じる。(シネマトゥデイより)


『ハングオーバー!』シリーズの第3作で最終作とのことですが、観終わって「本当に???」と思ってしまったぞ

前作から2年。バンコクの刑務所に収監されていたミスター・チャウ(ケン・チョン)が脱獄する場面から始まります。一方LAではアランが購入したキリンを高速道路で運搬中、高架橋でキリンの首が吹っ飛んで後ろの車に激突し大惨事を起こすという事件の尻拭いをした父親(ジェフリー・タンバー)が激怒のあまり天国へ
この高速道路のシーンは初めはのどかな雰囲気なのに、キリンの首(もちろんCG)がブチ切れて空を飛び後続の車のフロントガラスに突き刺さり、パニック状態になるのがシュールでした子供には見せられないよね。

葬式でも子供じみた振舞いをするアランを心配した義兄のダグは、フィルやステュと相談して彼を施設に入れて治療を受けるよう説得し”狼軍団”の4人は車で施設目指します。
しかし道中、謎の集団に襲撃され、ダグを拉致されてしまいます。大物ギャングのマーシャル(ジョン・グッドマン)の金塊の半分を盗んで所在不明(脱獄したからね)のチャウとアランがメル友だったからです。どこまでも能天気なアランにため息が出ます。

途方にくれる3人でしたが、チャウからアランにメールが届いてメキシコで再会することに。薬を盛って拉致する計画が見破られた3人は事情を話し、没収されたチャウの屋敷に隠してある金塊を持ちだす計画を手伝うことに。ばかに気前よくマーシャルに返すことに同意したなぁと思ってたら金塊を一人占めして消えるチャウしかもその屋敷はマーシャルのもので、残りの金塊も持ち逃げされたという何と言うずる賢さでしょう
警報装置の解除のやり方など笑いを散りばめながら、やってることはマジ犯罪じゃん

マーシャルからもう一度チャンスを与えられた3人は、チャウを捕まえるため悪夢のラスベガスへ。リムジン貸したりチャンスあげたり、マーシャルって実は優しい?

チャウの行方を捜す中で、アランは金塊買い取り店員キャシー(メリッサ・マッカーシー)と意気投合。そんな場合じゃないでしょ!な変態度シンクロの二人のエピソードは伏線になってました。昔馴染みのストリッパーのジェイド (ヘザー・グラハム)を訪ね、チャウがシーザーズ・パレスのペントハンスで酒池肉林のドラッグパーティーに興じているのを突き止めて、アランとフィルがホテルの屋上からペントハウスのベランダに下りるシーンはスパイ映画のようなスリルがありました。チャウとフィルの格闘シーンやスカイダイビングで逃げたチャウをリムジンで待機していたステュが追って捕まえるシーンはまるでアクション映画
でもジェイドの子供にアランが吹きこんだことは笑えないぞ

金塊とリムジンのトランクに閉じ込めたチャウをマーシャルに渡した3人はようやくダグを取り返しますが、アランにこっそり逃がしてもらったチャウが反撃しマーシャルを殺してしまうの。切れたら恐いチャウの本性発揮!でした
平然とこれからも友人としてやっていこうというチャウに、アランは立ち直るためにもう友人付き合いはしないと宣言します。そしてキャシーに会いに行くの

そして半年後・・アランとキャシーの結婚式当日。あれ?独身最後のパーティーは?という不安はエンドロールの途中に現実化ステュのおっぱいがぁぁぁぁ

だよね~~あんな性格、一生治らんよね
しかもチャウしっかりいるしぃぃぃ

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さだまさしコンサートツアー2013 天晴-あっぱれー

2013年11月04日 | ライブ・コンサート他
国際フォーラムA 第4016回目

開演17:07 

・パンプキン・パイとシナモン・ティー
・Birthday

・道化師のソネット
・主人公

・さよならさくら
・長崎小夜曲’90
・向かい風

・あと1マイル
・ジャカランダの丘
・October

・片恋
・たいせつなひと
・セロ弾きのゴーシュ

・ソフィアの鐘
・遥かなるクリスマス

Ac 風に立つライオン

終了 20:09

前回ツアーとはバックの構成が変わりました。
大好きな宅間さんも、巨匠石川さんもいないのね
なので倉田さんと青弦さん(今回はさださんから壊れたジョニー・デップと表現されてましたが、それってジョニーファンに怒られるぞ)ばかり見てしまったキムチさん平石さんとコーラスの3人は継続メンバー、新たに加わったのはバイオリンとギターの人です。

構成はアルバム「天晴」からが殆どですので昔からのファンには美味しかったけれど、初心者には知らない曲が多かったとの感想も終演後聞こえてきました

トークは、楽天優勝マー君話、長崎での「生さだ」後のマネージャー石井氏のホテル全裸事件、伊勢神宮式年遷宮ご奉仕参加体験のこと、サダノミクス(経済効果優先への危惧)、週刊朝日で始まる新連載小説のこと、新作映画「サクラサク」宣伝などなどでした。まだツアー中なので詳しい話は割愛しますが、相変わらずの達者なトークに笑いつつ、平和の大切さとそれを守るためにどうすればいいのかを考えさせられもしました。

今回の構成では、アルバム「あの頃について」から「あと1マイル」が歌われてますが、この曲はいつ聴いても胸が苦しくなります。
戦場に散った一兵士である青年への母親や恋人の沢山の想いがまざまざと浮かび、こんな思いに泣く人がいなくなる世の中であって欲しいと強く思うからです。

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つくもがみ、遊ぼうよ

2013年11月04日 | 
畠中 恵(著) 角川書店(刊)
2024.11.1再読

深川の古道具屋「出雲屋」には、百年以上の時を経て妖となったつくもがみたちがたくさん! 清次とお紅の息子・十夜は、様々な怪事件に関わりつつ、幼なじみやつくもがみに囲まれて、健やかに成長していく。


つくもがみたちの名前に何だか聞き覚えがあるなぁと思ってたら「つくもがみ、貸します」の続編でした。2008年に読んだきり忘れてました

前作で妖たちと関わった清次とお紅の子供とその幼馴染とつくもがみたちとのお話ということで、世代交代されても、人と妖との関係はちっともかわらないのが何とも微笑ましいです
人の子は幼くても感情や知恵は大人が思うよりずっとしっかりしているのに比べ、齢100年を超えても妖たちはどこか幼いというか、自分(たち)の立場でしか物事を捉えられないのよね。

・つくもがみ、遊ぼうよ
双六の付喪神である双ろくが子供たちに勝負を挑むのですが、逆に双六の世界に子供たちともども閉じ込められてしまい・・・

出雲屋にいる付喪神たちと3人の子供たちの初顔合わせの巻といったところ。もう他にやられたくなかった双ろくが企んだ事件は、伊勢屋のお家騒動をも解決し、子供たちと付喪神たちの仲を近づけました。

・つくもがみ、探します
雛道具の付喪神たちが大挙押し掛けた謎を解くうちに、裕福な札差の大久屋を騙していた押しこみ強盗の捕り物に巻き込まれる子供たちと付喪神の騒動が描かれます。

子供たちの危機を救おうと付喪神たちが活躍します。
事件解決のあと子供たちと一緒に清次にお小言をくらう姿を想像すると何とも微笑ましいです。

・つくもがみ、叶えます
願い事を叶えてくれる巷で噂のお稲荷様。実はその裏に無邪気な付喪神たちの存在が・・。

前回登場した大久屋と仲良くなった子供たちが、最近姿をみせない大久屋(というか彼のくれるおやつ)を心配したことから始まる物語は、大久屋の想い人の忘れ形見(おそらくは彼の子供)の行方捜しが、子供たちと続いている双六勝負に負けたくない付喪神たちの単純な動機と結びついて、最後に捕り物に貢献するのが何とも愉快。

・つくもがみ、家出します
子供たちとの勝負に負けて悔しい付喪神たちが家出を図るのですが・・

いつもおやつを沢山持ってきてくれる大久屋のところに家出するつもりで手代の行李に忍び込んだ付喪神たちですが、大久屋の親類の家に運ばれ、そこで悪事を聞いてしまいます。子供たちの危機に奮闘する付喪神たちはもうすっかり十夜たちと友達、仲間なのね

・つくもがみ、がんばるぞ
大久屋の行方不明の娘が現れますが、十夜が清次たちの本当の子供ではないことを口走ってしまい・・。

大久屋の身代を狙う親類の企みがまたしても。お兼という娘は大久屋の実の娘でないだけでなく、彼女の命までも狙われていると気付いた十夜たちが何とか助けようと付喪神たちを巻き込んで奔走します。付喪神たちは十夜に意地悪をしたお兼の救出には無関心ですが、双六勝負の最後のお題としては喜んで食い付いてくるのこういう感覚こそが人との違いなのよね。

「序」と「終」では捨て児に関するエピソードが描かれています。
「序」の方はどうやら十夜のことですね。
彼の本当の親については大久屋では?という謎を持たせたまま、結局わからないままです。
「終」では新しい付喪神の仲間が増えました。
さてさて、シリーズまだまだ続きそうですね

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インターセクション

2013年11月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年製作 フランス 101分

ハネムーン先のモロッコで、愛人と共謀し夫を殺害しようとする妻の計画が、車の多重衝突事故によって頓挫する。命は取り留めたものの立ち往生する男女5人と突然現れた謎の修理工は、灼熱の太陽が照りつける砂漠からの脱出を図るが、やがて裏切りやダイヤモンドの存在が明らかになると、互いに駆け引きをし、他人を出し抜こうとする・・。


砂漠でのアクシデントで居合わせた6人の誰もが何やら秘密を抱えています

夫を事故に見せかけて殺そうとする妻は確かに悪妻だが、彼女を殺意に走らせたのは彼の扱い方にも問題があったからなんだよねまぁ男の側からすれば「こんなに愛してるのに何で俺を裏切ったの?」というわけで、妻の心変わりはとっくにお見通しだった彼は、逆に妻の愛人を利用して彼女を切ろうとしてるの。それでも最後のチャンスとばかりに「引き返してホテルでしよう」と水を向けるんですが、彼女は全くその気がない。はい、女は決めたら引き返すことをしない生き物でございます

しかし、愛人の車に追われて砂漠を疾走するうち、停車していた2台の車に激突するというアクシデントが起きます。ダイヤ密輸犯の護送をしていた車と暴力恋人の命令で彼の赤ん坊を取り返してきた女性の乗った車です。

密輸犯はこの事故を利用して手錠を外し、動けなくなっていた警官を殺し、それを目撃していた男も殺し、拳銃を手に入れて自由の身になると何食わぬ顔で他の者と合流します。

そこにバイクが故障して歩いてきたという自称修理工の男と車で襲ってきた愛人が加わり、砂漠から脱出するために壊れた車を修理しようとします。

互いに疑い、ダイヤを奪って自分だけは逃げようとする男女の駆け引きが描かれますが、最終的には欲深いやつらは悲惨な死を遂げてしまうという
物語は男性の視点からの裁きという印象が残りました。
彼女たちだって、全くの悪女というわけでもないんだけどな~~
ただ、夫の方もビデオのデータから悪事が露見するのは時間の問題という提示があって、結局正義?のために行動した謎の男(素性は後でわかります)の一人勝ちのようです






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ハナミズキ

2013年11月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年8月21日公開 128分
2013年4月7日(日)TBS21:00~放送分

海外で働くことを夢見て勉強に励む高3の平沢紗枝(新垣結衣)は、幼い時に父を亡くし北海道で母・良子(薬師丸ひろ子)と2人暮らし。庭には、自分の病状から娘の成長を見届けることができないと悟った父(ARATA)が、幼い娘への思いを込めて植えたハナミズキが植えられている。
早稲田大学への進学を目指す紗枝は、ある時漁師を目指す木内康平(生田斗真)と出会う。紗枝は康平に励まされながら大学に合格、上京し、康平は北海道に残り、遠距離恋愛が始まる。夢に一歩近づき都会暮らしで次第に美しくなっていく紗枝に康平の心は波立ち、互いを想う気持ちは変わらないはずなのにすれ違っていく二人。そんなとき、紗枝の前に同じ夢を持った大学の先輩・北見(向井理)が現れ・・・。


一青窈の「ハナミズキ」をモチーフに、10年をかけた本気の愛を描いた純愛映画です。
ヒロイン役の新垣さんの幼さの残る女子高生から憂いを含んだ大人の女性への変化も楽しめます。

学力と家の経済事情を考えて早稲田の推薦狙いで頑張ってきた紗枝は、試験当日に列車の遅延(鹿がぶつかったというのがいかにもローカル)で挫折します。しかしこの時に一生懸命助けようとしてくれた康平と知り合い、彼に一般入試で頑張れと励まされ交際するようになります。う~~ん、何とも初々しいね

猛勉強の甲斐あって無事合格した紗枝は単身上京。遠距離恋愛となった二人の間にやがて小さな波紋が立ち、次第に大きくなっていきます。着々と夢を叶えていく紗枝と対照的に、家の借金や父親の突然の死で夢を諦めざるを得なくなった康平は、彼女に別れを切り出します。
紗枝の方も父親と同じカメラマンの夢を持つ北見先輩に憧れの気持ちを抱いていき、彼を追ってなのかNYで暮らし始めるという・・・まぁ、母も幼馴染と再婚が決まったしいいのか

二人の間に流れる時は、やがて一方の結婚・離婚を経て再び動き出します。
モチーフとなるのは康平が紗枝に贈った「夢の船」の模型に挿した「紗枝頑張れ」の旗。
彼女の亡き父が撮った写真の場所がカナダというのもロマンを増幅させるね

いってみれば他愛もない純愛ドラマなんですが、演じる二人のピュアな表情がなので、たまにはこういう作品も良いか

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