杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

映画 ビリギャル

2016年01月31日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年5月1日公開 117分

名古屋の女子高に通う工藤さやか(有村架純)は、勉強は一切せず友達と朝まで遊びながら過ごす毎日。このままでは大学への内部進学すら危ういと心配した母・ああちゃん(吉田羊)は、さやかに塾へ通うことを提案する。金髪パーマ、厚化粧、耳にはピアス、極端に短いミニスカートにへそ出しルックというギャル全開の姿で入塾面接に現れたさやかに一瞬面食らう教師の坪田(伊藤淳史)。しかし、見た目は派手でも素直な性格だとすぐに気付いた坪田はさやかと打ち解け、慶應大学への受験合格を約束するのだった。ところが当のさやかの成績は偏差値30の学年ビリ。学力テストをしても聖徳太子を“せいとくたこ”と読み、高校2年生にして小学4年生の学力しかない。そんな彼女の教室大爆笑の珍解答の連続にも「君の発想は天才級だね」と坪田は褒めるのだった。どうやって生きてきたのか理解できないほど知識の欠如を抱えるさやかであったが、坪田だけはこの愛すべきアホぶりの中に凄い可能性が秘められていると踏んだのだ。当初はノリで慶應大学合格という目標を掲げたさやかは、当然、絶望的な高い壁に何度もぶち当たる。だがやがて自分のために必死になる坪田の姿を見てガッカリさせないために、そして愛情を注ぎ応援してくれる母のために、さやかファンの不良少年・森玲司(野村周平)の励まし、ギャル仲間の友情にも支えられ、さやかは本気で勉強に取り組むようになっていく……。(Movie Walkerより)

投稿サイトに掲載された実話を書籍化した「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」の映画化です。
ストーリーはもちろんですが、あまちゃんでブレイクした有村架純ちゃん主演に惹かれてチョイス。
(金髪でギャル言葉でも架純ちゃんは可愛いかった~

いくら大学までエスカレーター式とはいえ、ここまで野放しで教師の質が問われる学校だな
自分たちの指導力は棚に上げ、問題を起こす生徒はさっさと切り捨てようとする姿勢も気に食わんぞでもこれが自分の娘だったら私も同じように見捨てているかもと思うと、あくまでも娘の可能性を信じ応援する母や小学4年レベルの学力を前にしても褒めて伸ばそうとする坪田の姿に頭が下がります。

根は素直なさやかは、期待をかけられることで発奮し、能力的に「出来ない子」ではないため、高校一年レベルまでは追いついてきます。それだって並大抵の努力では到達しないだろうに、その先の偏差値70の壁に挑むのだから、素人がエベレストに登ろうってくらい無謀な試みです。それでも頑張ったのは、弟ばかりに目を向ける父(田中哲司)への反感もあったでしょうが、自分を信じてくれる母や坪田をがっかりさせたくないためかな。

親友たちとの付き合いもしながらの勉強は、寝る時間もなく、教室が睡眠時間に当てられます。それで学校から呼び出された母は、謝罪しながらも娘の努力を認めて欲しいと訴えます。この母親は子供(たち)の可能性を信じ応援を惜しまない点でまさに賢母だったのね。
(映画の中のさやかの担任は頭から彼女を落ちこぼれと決め付ける典型的な無能教師です。

途中まで飛躍的に伸びていたさやかの成績ですが、皆が追い込みをかけ始めた三年の後半になると伸び悩んでしまいます。一時は投げ出そうとした彼女が再びやる気を出したのも母や先生が心から気にかけてくれていることに気付いたから。
親友たちもさやかに協力するため敢えて遊びの誘いを止めます。この熱い友情シーンも感動的

さやかの父親は、自分がなれなかったプロ野球選手の夢を長男に背負わせて全力でサポートしていて、娘二人のことは母親に任せきりにしていました。ところが、長男が才能の限界を自覚し野球を諦めてしまいます。この時初めて彼は自分が未熟な親だったことに気付くのね。

遅ればせながら、さやかの頑張りに目を向けた父親が、受験の日に娘を車で送っていく場面では、困っている人を助ける父にこれまでの冷たく厳しい姿しか知らなかったさやかの心が解けます。
第一志望の学科は落ちてしまうのですが、ダメ元で受けていたより難易度の高い学科に合格したさやか彼女が受かったら裸になってやると口走った担任が約束を守っての記念写真が笑えます

もちろん実際には、小学4年程度の能力の子が一年足らずで偏差値70になったわけじゃなく、お嬢様高校の中での下位クラスとはいえ、入学時にはある程度の学力を持って合格した筈なので、素養はあったわけです。本当に凄いのは彼女の努力と集中力であり、やる気を引き出した坪田先生と娘を信じる母の愛なのよねやればできるを体現した希望の持てる後味の良い作品です。

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信長協奏曲 ネタばれあり

2016年01月29日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年1月23日公開 126分

安土城の完成と天下統一を目前にしたサブロー(小栗旬)は、ある日松永弾正(古田新太)から信長が間もなく死ぬ運命にあると知らされる。その運命に戸惑い苦悩するサブローだったが、帰蝶(柴咲コウ)や家臣(向井理他)の支えもあり、運命に抗い、この時代で生き抜くことを誓う。そして、サブローは本能寺で帰蝶との結婚式を計画するが、嫉妬心を抱く光秀や暗殺の機をうかがう秀吉(山田孝之)らによる不穏な企てが動き出そうとしていた。果たしてサブローは織田信長の歴史を変え、彼の望む平和な国を築くことができるのか?


石井あゆみ原作の同名コミックを小栗旬主演で実写化したテレビドラマの劇場版です。
歴史が大嫌いな高校生のサブローが、ひょんなことから戦国時代にタイムスリップしてしまい、そこで自分にそっくりな織田信長と出会います。病弱な信長に頼まれて身代わりを引き受けたサブローは、裏切りや陰謀が渦巻く戦国時代を生き抜いていくうちに人々の支持を得て天下統一を目指し始めた、というのがテレビ版の展開でした。映画はその続編というか完結編にあたるようです。キャストはテレビ版と同じ。

TVドラマの方は途中から見始めたのと、特にキャストに思い入れがなかったため、劇場鑑賞の予定はなかったのですが、「良かった、感動した」という一足先に観た複数の友人が薦めていたので急遽予定に入れてしまったのだけど個人的には今一つ盛り上がれなかったのが残念決して悪くはない出来です。史実(とされている)をほぼ変えずにきちんと収束させているし、ある意味ハッピーエンドだしでも、泣くほどの感動は正直貰えなかったかな、と天邪鬼な性格故、他人が良いというと素直に追随できない私こういうのはやはり、キャストや原作、TVドラマ版に思い入れがある人の方が作品を満喫できるのだと思います。

光秀(本物の信長)は人望厚いサブローへの嫉妬心を秀吉に利用されましたが、彼自身もサブローの人柄に魅入られていきます。サブローの暗殺を一度は遂行しようとしますが、逆に助けられたことも大きいでしょう。本能寺ではサブローを逃がして自ら秀吉に討たれます。そもそも、秀吉の信長への憎しみは、信長の初陣の際、無意味な殺生を命じ、そのため秀吉の両親を含む村人たちが惨殺されたことにありました。そのため、秀吉は信長本人だけでなく、帰蝶やお市をも殺そうと企んでいたのです。帰蝶を人質に取られて秀吉に従ったように見えた光秀でしたが、本能寺でサブローを逃がし自ら秀吉に討たれます。この展開は予想通り。本当は光秀だって帰蝶を愛していたのよね~。逃げた二人は落ちのびてめでたしなのかと思っていたのですが、ここでもうひと波乱あったのね

信長が光秀に討たれたと偽り、光秀討伐に動く秀吉。(ショートカットなサブローと髪を結った信長、顔は同じでも格好振る舞いで別人だってわかりそうなもんだけどなぁ。)サブローの正体を知っている帰蝶と池田恒興は最後まで彼の味方ですが、歴史が変わらないなら自らその礎になろうと決意したサブローは最後の戦いに赴きます。秀吉に向かって憎しみからは何も生まれないと説き、自分の代わりに戦いのない平和な世を作って欲しいと言い残して討たれるサブローですが、次の瞬間、現代に戻っています。
彼がタイムスリップしてからかなりの年月が経っていて、本能寺の変の時には立派な中年だった筈なのですが、年相応には見えないのがちょっと気になりました。消えたサブローの現代でのその後については一切描かれてないのですが、時間的な矛盾は生じていなかったのかしらん?それとも失踪した彼が戻ってきた的な騒動があったのかしらん?と余計なことが気になる自分。

大人になった彼のおそらくは独り暮らしの部屋には背広がかかり、出勤?前のあわただしさの中、一通の手紙が届きます。中から出てきたのは帰蝶の手紙と動画の入ったメモリー。これも一種のハッピーエンドってことですかね。届けてくれたのは同じくタイムスリップして捉えられていたウィリアム・アダムスでした。帰蝶に助けられ家康に仕えて生涯を終えた彼もまた現代に戻ってきたらしいそういえば秀吉に斬られた弾正さんも現代に戻ってヤクザ続けてましたなあらら~~死なないと戻れないんだ

TV版同様、家康(濱田岳)の軽くて女好きで天ぷら好きなキャラが脱力系で面白かったです。一人二役の小栗さんも、勝気だけど可愛い帰蝶を演じた柴咲さんも、裏表のある秀吉役の山田さんも皆でした。


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さだまさし アコースティックコンサート

2016年01月28日 | ライブ・コンサート他
2016年1月28日(木)18:06開演  終了20:58 
ウェスタ川越 大ホール(埼玉県)

(第一部)
・案山子

川越でのコンサートは40年前の川越女子高以来

・雪の朝
・縁切寺

グレープ時代の地方回りの話他

・無縁坂
・精霊流し

核家族化の行く末は独居老人話他

・関白宣言からの関白失脚

(第二部)
・Birthday
 
東日本大震災~常総水害 泉谷しげるさんの話

・風の宮
・ラストレター
・夢見る人

バック紹介、湘南乃風の若旦那、ナオト・インティライミさんなど若いアーティストとの交流

・北の国から
・人生の贈り物
・主人公

・まほろば
・修二会

アンコール:風に立つライオン

途中休憩19:10-25を挟む二部構成のステージは緞帳がありません。
バックは倉田さん、キムチさんとギターの方の三人。
席は三階の後方でしたが、ステージ全体が見渡せ、ビジュアルは関係ないので気にならなかったです何より出来てまだ半年?という新しい会場の綺麗さと木の香りが心地よかったです。

曲目もグレープからソロ初期のものが多く、懐かしさが溢れてきました。
とはいえ、さださん自身の声質も変わっているし、マリンバでもないので、当時の音が耳に染み着いている身には時の流れを突きつけられているような苦さもありました。(精霊流しとか修二会とかは特に・・)

代表曲と言われるものが多かったのは40年ぶりの川越ということで昔を振り返ったのか、初めてさだコンに参加する人が多いと思ったのか、それともアコの構成のためかしらん?

久しぶりに聴いた「人生の贈り物」は歌詞の内容が胸に響いてきました。
自分だったら・・・一緒に同じ夕日を眺める相手は誰だろう?

会場のウェスタ川越は駅からも近いし、隣は複合ショッピング施設だしで便利。
またここであったらぜひ参加したいです


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シェフ 三ツ星フードトラック始めました

2016年01月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年2月28日 アメリカ 115分

ロサンゼルスの有名レストランで総料理長を務めるカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、メニューに口を出すオーナー(ダスティン・ホフマン)や自分の料理を酷評する評論家とケンカして店を辞めてしまう。心配する元妻イネス(ソフィア・ベルガラ)の提案で、息子パーシー(エムジェイ・アンソニー)を連れて故郷のマイアミを訪れたカールは、絶品のキューバサンドイッチと出会い、フードトラックでサンドイッチの移動販売をすることを思いつく。カールはイネスやパーシー、友人で助手のトニー(ジョン・レグイザモ)の協力を得て、マイアミからニューオリンズ、ロサンゼルスへと旅を続け、行く先々でサンドウィッチを作りながら、原点に戻って料理や生きる情熱を取り戻そうとする。


フードトラックの移動販売をはじめた一流レストランの元総料理長のアメリカ横断の旅を描いたハートフルコメディです。
ロバート・ダウニー・Jr.(イネスの最初の夫マーヴィン)、スカーレット・ヨハンソン(ソムリエで元恋人のモリー)も出ていて豪華な顔ぶれ。

それにしても、あんな美女がどうして冴えない容姿のおでぶちゃんのカールの妻だったのか?と不思議でしたが、料理に対する熱い思いと人好きする笑顔、彼の手で作り出されて行く美味しそうな料理を見ていると何となく納得です

カールは、評論家の来店に自らの創作料理で挑もうとするのですが、オーナーが許さず従来通りのメニューを提供した結果、マンネリで進歩がないと酷評されて怒りを爆発させたところをSNSで拡散されて店をクビになります。メニューに口を出さない約束なのに従来のやり方を押し付けるオーナーとは元から反りが合わなかったみたいね

他のレストランからも採用を断られて失意のカールは、イネズの提案に乗りマイアミを訪れます。夫婦関係は切れても子供との関係は続くのですから、息子のためと言われたら断れないよねフードトラックで移動販売するというカールに賛成し、息子の同行も快く許す(というかそうなるよう仕向けている節もある)イネズはとっても賢い女性ですね。

カールの作るキューバサンドイッチはたちまち評判になり、噂はSNSで広まっていきます。彼を失業させたのも、人気を得たのもSNSというのがいかにも現代的です。そしてツィートしてたのが若干10歳のパーシーだったというのもね。
旅を通してカールはパーシーとの信頼関係と料理への情熱を取り戻します。
酷評した評論家も密かにサンドイッチを食べてその味に魅了され、果てはレストラン開店の出資を申し出るのです。実はこの評論家は純粋にカールの料理のファンだったというわけ。
結果良ければ全て良し!元妻との縁りも戻ってハッピーな結末でした

凝った料理も、フードトラックのB級グルメもどちらも美味しそうで、真夜中に観ると危ない作品です

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アントマン

2016年01月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年9月19日公開 アメリカ 117分

やる気も能力もあるのに、なぜか空回りばかりのスコット・ラング(ポール・ラッド)は、仕事も家庭も失って絶体絶命。別れた妻と暮らす最愛の娘の養育費すら払えなくなった彼に、最後にして唯一の仕事のオファーが舞い込む。それは、身長わずか1.5cmに変身できる特殊なスーツを着用し、驚異的な能力を持つ“アントマン”になることだった。アントマン・スーツを着れば、誰でもアントマンになることが可能。とはいえ、それとヒーローになることは別の話だった。スーツを着用したスコットは、アントマンのパワーを使いこなすため、満身創痍でトレーニングに奮闘する。だが、思い描いていたカッコいいヒーローになるには、あまりにも長く険しい道のりが待っていた。最愛の娘のために猛特訓を開始した彼は、本当のヒーローとなり、人生のセカンド・チャンスをつかむことができるのか?そして、アントマンに託された決死のミッションとは……?(Movie Walkerより)


体長1.5センチのヒーロー「アントマン」の活躍を描いたアクション作品です。

スコットは刑務所帰りがばれて仕事をクビになります。そもそも彼が罪を犯したのは正義感故なのですが、最愛の娘との面会も拒否され自棄になった彼は、昔の窃盗団仲間のルイス、デイヴ、カートの誘いに乗って再びある屋敷に忍び込むの。ところがお宝がある筈の金庫には変なスーツがあるだけ。とりあえず盗み出してそれを着た途端、体長1.5cmに縮んで驚愕した彼は、スーツを返しに忍び込んだところを逮捕されます。彼を脱獄させたハンク・ピム(マイケル・ダグラス)博士は、特殊スーツを着用し「アントマン」になるというオファーをします。選択の余地のないスコットは渋々承諾。博士の目的はこの技術を悪の組織に渡さないよう防ぐことでした。博士の娘のホープ( エヴァンジェリン・リリー)は自分がその役をしたくてスコットに邪険に接しますが、次第に打ち解けていきます。

実は博士は、かつてS.H.I.E.L.D.で「アントマン」として極秘任務中に、妻のジャネットと悲劇的な別れを迎えていたのですが、そのことを娘には教えていなかったため、父娘は険悪な関係になっていました。物体縮小技術の悪用を恐れて、長年その理論を秘匿してきた博士ですが、彼の弟子だったダレン・クロスが縮小技術を解き明かしてスーツを軍事に転用しヒドラに売ろうとしていたことを知り、阻止するためにアントマンになれる人物を探していたのです。(どうもこのスーツは長く着用すると弊害が出るらしい)スコットの正義感と潜入能力に目を付けた博士がわざと誘き寄せたというわけね。

警戒厳重なダレンの本拠に潜入して試作スーツとデータを破壊するための特訓を経て、いよいよ乗り込んだスコットの前に、アントマンスーツを模倣して作ったイエロージャケット・スーツを着たダレンが立ち塞がります。壮絶なアクション・・なのですが、互いに1.5cmの身長故、どこかコミカルで緊迫感に欠けるのが子供向けな感ありです。特に娘の部屋での闘いシーンでは機関車トーマスが登場して何とも長閑。

娘を守るため敢えて危険な領域に飛び込んだスコットは、博士が用意していた武器を使って生還することができました。それは博士の妻を救う道があったことをも意味します。希望の持てる終わり方ですが、マーベルコミックス得意の他作品に繋げる予告が挿入されていました。

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パディントン

2016年01月22日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年1月15日公開 イギリス 95分

真っ赤な帽子をかぶった小さな熊が、ペルーのジャングルの奥地からはるばるイギリスのロンドンへやってきた。家を探し求める彼は、親切なブラウンさん一家に出会い、「パディントン」と名付けられる。ブラウンさんの家の屋根裏に泊めてもらうことになったパディントンは、早速家を探し始めるが、初めての都会暮らしは毎日がドタバタの連続で・・。


イギリスの児童文学「パディントン」シリーズ初の実写映画です。
元が児童文学ですから、何ともほんわかあったかい作風に仕上がっています。古き良き時代の善良な社会を懐かしく感じました。パディントンの毛並みとか質感はクマそのものでかなりリアルなんですが、動いている姿はキュートで愛らしいのです駅のエスカレーターをチワワを抱えて降りる図なんかは『キューティ・ブロンド』を思い出しちゃいました。

パディントンのおじさん&おばさんは数十年前にロンドンから来た探検家と仲良くなりました。それから数十年経ち、大地震でおじさんが亡くなると、おばさんはパディントンをロンドンに独り立ちさせます。(何故ロンドン?何故人間社会?という疑問は置いておきましょう

パディントンは好奇心旺盛でやんちゃな男の子。
初めての都会で英国紳士らしく礼儀正しく話しかけても誰も相手にしてくれません。それは彼がクマだから。親切なブラウン夫人と出会い、一夜の宿を得たものの、初めての都会(しかも人間社会)暮らしは驚きと興奮の連続です。歯ブラシで耳掃除したり、生まれて初めてのお風呂にビックリして洪水を引き起こしたりのパディントンにブラウン氏はカンカンですが、夫人のとりなしで何とか探検家を見つけるまで置いてもらえることになりました。この描写が実に生き生きとしていて面白いの。

(偶然)スリを捕まえて一躍人気者になったパディントンは、その礼儀正しさもあって、ブラウン一家(子供たち、弟のジョナサンは母親似の素直な子です。姉のジュディは思春期の入口のちょっと難しいお年頃ですが、根は優しい女の子です。親戚で家政婦代わりをしてくれているバードさんがまたちょっと変わっているけどパディントンや子供たちの心強い味方でした。)や街の人たちと仲良くなっていきます。ところが、彼を剥製にしようと付け狙うミリセントの策略でボヤ騒ぎの濡れ衣を着せられたパディントンはブラウン家を追い出されてしまいます。

ミリセント(ニコール・キッドマン)は探検家の娘で、かつて人間の言葉を話すクマを発見しながら彼らを捕まえなかったことでその地位と名誉をはく奪された父親の名誉回復のためにパディントンを捕まえて剥製にしようとしていたというわけ。(剥製にしちゃったら証拠にならないと思うけど、ま、それも置いとこう

彼女に捕まったパディントンを助けようと(隣人のカリーさんはパディントンを毛嫌いしてましたが、彼が剥製にされると知るとブラウン氏に教えてあげます。偏屈だけど悪人じゃないところがイイネ。)ブラウン一家総出で大救出劇が始まります。子供じゃなくてもワクワクドキドキの展開です。
バードさんが守衛相手にバーボンの飲み比べで時間稼ぎをしたり、最後にミリセントに一発食らわしたりと老人パワー炸裂なのも楽しかったです。

警察に捕まったミリセントに動物奉仕の罰が与えられるなども洒落が効いててでも改心するタマじゃないよねぇ。

上映時間の関係で吹替版の鑑賞でしたが、ミリセント役の木村佳乃、ブラウン家の父・ヘンリー役の古田新太、母・メリー役の斉藤由貴、中学生の娘・ジュディ役の三戸なつめ、そしてパディントンの声は松坂桃李君。役者の顔が前面に出て来ない良い配役だと思います。
ちなみにヘンリー役の俳優さんは「ダウントン・アビー」の英国伯爵グランサムを演じたヒュー・ボネヴィルでした。

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ターナー、光に愛を求めて

2016年01月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年6月20日公開 イギリス・フランス・ドイツ合作 150分

19世紀、英国。オランダ旅行から帰って来たターナー(ティモシー・スポール)は、無事を喜ぶ父(ポール・ジェッソン)に温かく迎えられる。父は絵の具やカンヴァスを調達し、アトリエ兼住居に設けたギャラリーで買い手をもてなすなど、助手としてターナーを支えていた。最愛の父と働き者の家政婦のハンナ(ドロシー・アトキンソン)と仲睦まじく暮らすターナーだったが、世間に隠している娘が二人いた。未亡人のダンビー夫人との間にできた子供だが、二人の関係が終わってからは金銭的な援助もせず会いに行くこともない。大切なパトロンの一人であるエグルモント卿の屋敷ペットワース・ハウスで贅沢な時を過ごしたターナーは閃きを求めてまた旅に出る。船で辿り着いたのは港町マーゲイト。ふらりと入った宿の窓から見える光きらめく海にたちまち創作意欲をかきたてられるターナー。女将のブース夫人(マリオン・ベイリー)は親切だったが、ターナーは旅先では偽名を使うという習慣を押し通す。旅から戻り、創作に没頭していたターナーの元に自然科学者のサマヴィル夫人(レスリー・マンヴィル)が訪ねてくる。知識と教養に溢れた夫人と互角の会話を交わす父。学校教育を受けなかったターナーに、独学で学んだ読み書きを教えたのはそんな父だった。父に似て50代になっても好奇心旺盛なターナーは、夫人が見せてくれたプリズムの実験に夢中になる。ロイヤル・アカデミーの会員にして教授を務めるターナーは、さっそくサマヴィル夫人の実験にインスパイアされた色彩と光についての持論を講義。だが科学と美術を結び付けることなど思いもつかない芸術家たちは、壇上のターナーをただ呆然と見つめるのだった。そんな中、父の持病の気管支炎が悪化、やがて遂に力尽きた父は妻を精神病院で死なせたことを悔やんでいると告白して息を引き取る。優しい父の面影が心を離れず、ターナーは娼館で娼婦をスケッチしながら慟哭する……。年に1度の大イベントであるロイヤル・アカデミーの展覧会が近付く。作品がびっしりと展示された会場を回り、最後の仕上げをする画家たちにアドバイスを送っていたターナーは、自分の作品の隣に並ぶ最大のライバルのコンスタブルの絵を見て、突如完成していたはずの自分の絵に赤い絵の具を塗りつける。笑い出す者、傑作が台無しだと非難する者で騒然となるが、ターナーは思わぬ決着をつけるのだった。ブース夫人の元を度々訪れていたターナーは、夫人と徐々に心を通わせ、人生で初めて穏やかな愛を知る。その一方、彼の絵画は増々大胆かつ挑戦的になっていく。だが批評家が「実に感動的だ」と絶賛すれば、女王陛下は「薄汚い絵だわ」と吐き捨て、ターナーへの評価は真っ二つに分かれていくのであった……。(Movie Walkerより)


イギリスを代表するロマン主義の画家で、後のモネなど印象派の画家たちにも影響を与えたターナーの人生を描いたドラマ。(ターナーを演じたティモシー・スポールはどうしても「ハリ・ポタ」シリーズのピーター・ペティグリューを連想してしまって困りました
映画に登場する景色はターナーの絵そのものです。どちらが絵でどちらが現実かわからなくなるくらいの不思議な感覚。でも、ターナーの絵は素晴らしくても、彼の性格や生き方は理解も共感もできませんでした。凡人の感覚では天才は語れないってことなのかしらん。

精神を病んだ実母に代わり、父親に溺愛されてきたらしいこと。愛人と娘には酷薄だったこと。家政婦についても同様です。反面、ブース夫人に対する愛情深さは誠実な夫そのものといった感じ。このギャップはどこからくるのかしら?最期まで絵に対する執着は持ち続けていて、創作へのモチベーションも高かったこと(冬の嵐を帆船のマストに自分を縛り付けて体感したなどは狂気と紙一重です)。画家仲間の評価も高かったこと。気持ちをストレートに出すことが苦手らしかったこと。そのため誤解を受けることも多かったことなども描かれていました。

物語としての魅力は感じなかったけれど、彼の描く絵の世界観はたっぷりと味わうことができました。

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ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービー

2016年01月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年11月14日公開 アメリカ 92分

コワいもの知らずの隊長、分析が得意なブレーン的存在のコワルスキー、武器と破壊が専門のやんちゃ者・リコ、そして修行中の新人からなる“ペンギンズ”は、潜入捜査と空中アクロバットのスペシャリスト。だが潜入捜査を行っていたある時、彼らは突然誘拐されてしまう。犯人は、かつて動物園でペンギンズに人気を横取りされ、深い恨みを抱えていたタコのデーブであった。デーブが人間の姿のオクト博士に変身して、世界中のペンギンたちに復讐を企てていることを知った隊長たちは、スパイ軍団ノース・ウィンドと協力しながら、特別任務を決行しようとするのだが……。(Movie Walkerより)


「マダガスカル」シリーズに登場するペンギンズを主役にしたスピンオフ作品です。
本家に登場する彼らはゆる~い場面でピリっと刺激をくれて、シニカルな笑いを提供するスパイス的存在ですが、主役としてはどうなんだろ?

ペンギンに人気を持っていかれてお払い箱になったタコが逆恨みして、ペンギンに復讐しようとするのを「ペンギンズ」が阻止しようと頑張るお話そのものは子供向けの他愛ない筋書きです。彼らの中の「新人」君が可愛さだけじゃなく仲間として認められたくて頑張るお話でもあります。

大人が観ても面白いと感じるかはちょっと微妙なところかも。

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まったなし

2016年01月11日 | 
畠中恵(著) 文芸春秋(発行)

江戸町名主の跡取り息子・麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・清十郎と、堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、大好評連作短篇シリーズの第5弾!
今回の密かなキーワードは実は「女難」。独身で嫁取りの話がひきもきらない清十郎ですが、いったいその理由は? 未だ妻を亡くした悲しみが癒えない麻之介、養子に入った家で年齢の離れた許婚のいる吉五郎、そして彼らの親友で大金持ちの金貸し丸三とその妾のお虎。いずれも清十郎の運命の人が現れることを願っているが、様々な障害や思わぬ事件に巻きこまれ……。(内容紹介より)

今回は清十郎の縁談話が中心となっています

・まったなし
祭りのための寄進が今年に限って集まらないのは?
跡目を継いで間もない若い町名主の哲五郎の町内だけ寄進が少なかったのは、出来過ぎる手代の辰平への複雑な感情が起因していました。まぁ、人間だもの、若いんだもの、気持ちはわかるよな~~
そこに長屋の夫婦の喧嘩と縁談が絡んだ噂の流布が重なりてんやわんやの大騒ぎが勃発しますが、例によって麻之助が3つのトラブルを一気に解決です。
教訓:噂の火消しは見極めが肝心
この噂を消すためのだしに使われた清十郎が麻之助をぽかりと殴ったのはご愛嬌

・子犬と嫁と小火
消えた子犬が発見された場所と火事の因果関係は?
して良いことと悪いことの見分けがつかないのは困りもの。本来年端のいかない子供だろうと罪は罪だとは思う・・・が、やはりまともに罪に問えば死罪にも値するとなれば、大人は落としどころを考えなくてはならないわけで・・・ばらして遠方預かりというのは名案なんでしょね
ここで清十郎のお相手としてお香とお安、二人の女性が登場してくるわけです読んだ第一印象から、どちらが清十郎のハートを射止めるかは何となく想像ついちゃいますね。

・運命の出会い
大江戸とは思えぬ見知らぬ景色から帰る方法は?
これは流行り病に罹った麻之助が見た夢の話。
疫神が次々姿を変えて麻之助をあの世へ誘う中で、お由有が清十郎の父親に嫁いだ本当の理由を麻之助は改めて知ります。16の頃、尋ねることの出来なかった返事を聞いて苦笑する麻之助です。あの時も今も、彼にはお由有を受け止め守ることができないとわかっているから切ないね
それはともかく、夢の中でもしっかり疫神を出し抜く麻之助って本当はものすご~~く頼もしいんじゃないかしらん

・親には向かぬ
幼い子供を悪名高い高利貸しに預けたのは一体なぜ?
明松屋の身代を巡り剣呑なことになります。幼い跡取り息子を守るため麻之助が親友の丸三を巻き込み一計を案じますが・・・。
これまで麻之助たちの良き相談相手として登場していた丸三ですが、いざという時には麻之助より知恵も力もある「大人の男」の本領を発揮します。それでいてお妾さんのお虎さんとのやりとりは、世間に通る強面の顔と全く違う「男の可愛さ」が滲み出て破顔してしまう。丸三の人柄を大いに楽しむという見方もできるようです。

・縁、三つ
婚礼用の白無垢に染みを付けてしまったのは誰?
恋の三角関係といっても、この時代のそれは当人同士の感情だけで動くわけではないところが面倒なところ。
染みをつけた犯人は意外でしたが、結局縁談も流れてしまうのね。事件解決に一役買ったお安と清十郎の関係も動き出します。
今まで縁談相手に好きだと言われたことがないと悩むお安に麻之助は「自分から好きと言うのもいいもんだよ」と助言しますが、この視点を変えてみるというのはかなり重要なポイントよね

・昔から来た文
親友・清十郎の縁談が一向に進まなくなった理由は?
互いに意識し始めた清十郎とお安、の筈だったのに、何故かお安の返事がありません。清十郎の過去につきあった女性たちが書いたと思われる中傷の文がお安に届き、彼女は自分が釣り合わないのではないかと悩んでいたのです。丸三のお妾のお虎も乗り出し犯人探しが始まりますが、どうやらその女性たちではない様子。(振られたことでいつまでもうじうじしていると思うのは男の勝手な己惚れで、女性はそんなに弱くない。それぞれが己の幸せをしっかり掴んでいたのには思わずにんまり)犯人は全く別の角度から登場します。それは「運命の出会い」でのお由有のことと大いに関係がありました。まさに次に続く・・という感じで、またまた騒ぎが持ち上がりそうな気配です。
それはともかく、お虎の手引きにより美しく変身したお安を改めて意識した清十郎でしたが、何よりも彼女の心映えの美しさに「長く支え合える一生の相棒」だと気付きます。お安が待ち望んでいたあの言葉も清十郎なら自然に掛けられるのね~

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ミニオンズ

2016年01月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年7月31日公開 アメリカ 91分

謎の黄色い生物ミニオンが誕生したのは、人類が誕生するよりもずっと前のことだった。ティラノサウルスやドラキュラ、ナポレオンといったその時代その時代の最強のものに仕えてきたミニオンたちだが、毎度失敗して長続きしない。仕えるべきボスがいなくなるとともに生きる目的を見失うミニオンたち。そんな仲間たちのために、ケビンやスチュアート、ボブは南極やニューヨーク、ロンドンを周り、最強最悪のボスを探す。(Movie Walkerより)

「怪盗グルー」シリーズに登場するミニオンたちを主役に描いた作品です。

彼らの行動はいつも主人を破滅に追いこんでいきますが、無邪気な彼らはそのことに気付きません。だから余計たちが悪いのだけど、観ている分には笑えます。(ティラノサウルスに始まり、原始人、エジプトのファラオ、吸血鬼、ナポレオンなど様々な悪党に仕えるものの、彼らが起こしたアクシデントに巻き込まれて主はことごとく死んでしまうのです。)
仕える主人がいなくなって生きる目的を失った仲間のために、兄貴肌のケビンは新たな最強のボスを探しに旅に出ることを宣言し、一緒に行く仲間を募りますが、手を挙げたのはバナナのことで頭がいっぱいのスチュアートと弱虫のボブだけでした

やがてフロリダの世界中から悪党の集まる大悪党祭りの会場で世界初の女悪党スカーレット・オーバーキルに出会った三人は彼女こそ仕えるべき主人と大喜び。スカーレットは君主になりたくて、ロンドンのエリザベス女王の王冠を盗み出すよう命令しますが、ボブが偶然伝説の剣エクスカリバーを引き抜いてしまったことで、い、彼が新しい君主として即位してしまうの。ケビンたちが裏切ったと思い込んだスカーレットは逆上して乗り込んできますが、ミニオンたちに敵う筈ないですよね

三人の中で一番年下のボブはケビンやスチュアートから新米扱いされていることに傷ついています。何とか自分が役に立つことを見せようと頑張る姿が健気です最後にボブの活躍で無事解決となり、仲間として認めて貰えるのはでした。若かりしグルーと彼らが出会うところで物語は終わります。続きは「怪盗グルー」で見てねってことね

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寄生獣 完結編

2016年01月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年4月25日公開 117分

人間の脳に寄生し肉体を操り人間を捕食する謎の新生物パラサイトが現れ、大勢が餌食になっていった。東福山市では市長・広川(北村一輝)を筆頭に組織化されたパラサイトたちのネットワークが広がっていた。これに対し人間側はパラサイト殲滅のための特殊部隊を結成。両者の戦いは激化する。パラサイトのミギー(声:阿部サダヲ)を右手に宿した泉新一(染谷将太)は、パラサイト側からも人間側からも危険視されていた。人間とともに歩む道を探すパラサイトの田宮良子(深津絵里)は新一とミギーにその可能性を見出すものの、母親を殺された新一のパラサイトへの憎しみは増す一方だった。ついにパラサイトと人間の生き残りを賭けた最終決戦がはじまる――。(Movie Walkerより)


母を殺された新一は復讐に燃えてパラサイトを狩っています。
反対に子供を産んだ田宮は人間との共存を模索し続けています。
何だか人間とパラサイトの関係が逆転したような印象を受けました。
それは武器を手にした人間たちがパラサイトを追い詰めて虐殺するシーンにも繋がっていました。
前作では圧倒的な恐さがあったパラサイトたちは完結編では受難者のようで哀れにも見えたりして

新一と里美が結ばれるシーンは妙にリアルでどぎまぎしてしまったぞそんな場所でそんなことしてる場合じゃないでしょと突っ込みたくなりましたが、これも人間の生存本能というか種の保存本能の成せる業ってことかしらん

新一と後藤がごみ焼却所で最後の闘いをするのは、『ターミネーター2』を連想させます。後藤を蝕んだ「毒」は「放射性がれき」ですが、これは原作とは異なっているようで、より現代的にしたってことかな?でも大量の放射性物質が付着したそんな危険なものが普通にあることの方が異常ですが

田宮の遺したこどもに会いに行った新一の心の中には、パラサイトへの憎しみだけではない、相手を思いやる気持ちもあったと思いたいです。それは愛する人、守るべき人を得たことによる成長なのかもね。

永遠の眠り?についたミギーとの別れは切なかったけれど、そこには希望もありました。

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絶叫城殺人事件 

2016年01月04日 | 
有栖川有栖(著) 新潮社(発行)

「NIGHT PROWLER(夜、うろつく者)」と記された小さな紙片を、口の中に押し込まれ、次々と殺害される若い女。残酷な無差別殺人事件の陰には、カルトなホラー・ゲームに登場するヴァーチャルな怪物が―。暗鬱の「絶叫城」に展開する表題作ほか、「黒鳥亭」「壷中庵」「月宮殿」「雪華楼」「紅雨荘」と、底知れぬ恐怖を孕んで闇に聳える六つの迷宮の謎に、火村とアリスのコンビが挑む。 (「BOOK」データベースより)

来期ドラマの第一話がこちらをベースにしているらしいと聞いて読んでみました。

黒鳥亭
二年前に起きた殺人事件の自殺した筈の犯人の死の謎が描かれます。
つい一昨日に死亡したばかりと思われるその男の死に意外な人物が関わっていた結末は、殺意など微塵もないだけに悲劇です。火村の子供に向ける目線の優しさが救いかな。

壷中庵
江戸川乱歩の世界にまた似た状況の殺害現場での謎解きですが、火村はあっさり解いちゃってます。
後漢書の「壺中天」の話って・・・知らんかった~アリスって意外と博学なのね。
タネ明かしをされたらなるほど~な、そしてその状況では犯人はその人でしかありえないのね。

月宮殿
ホームレスが建てた廃材利用の「屋敷」が放火され持ち主が死体で発見されます。
目撃したホームレス仲間の証言と犯人の高校生たちの言い分が食い違い、その真相を火村が推理するというわけです。そもそも、アリスが通りすがりにこの「屋敷」を見て興味を持ったのが事件に関わる発端で、彼の話から火村が真相に気付くのでした。

雪華楼
倒産により建築途中で放置された建物に入り込んだカップルの男性が墜落死体となって発見されます。屋上には男性の靴跡のみ残されていました。一緒にいた女性はショックで記憶が途切れ、供述に要領を得ません。その場にもう一人いた筈の男性が後に出頭してきますが、自分は殺していないといいます。さて真相は?・・・って、これは意図せぬ殺人であり、事故と言えるのかもそんな偶然ってありですか?という頭部の外傷の説明でした。

紅雨荘
映画のロケに使われた屋敷が舞台ですが、館は二つあったのがミソ。
犯人の動機は自分の中で大切にしていた想いを被害者に揶揄されたことによる発作的な犯行でした。犯行現場のトリックは犯人の意図ではなかったのね

絶叫城
表題となっているこれがやはり一番長編でした。(ドラマの一作目になるのかな?予告CMではアリスがゲームをするシーンも登場していますね。)
ゲームソフトになぞらえた連続殺人事件が起こりますが(アリスはこの事件に関わることで火村が傷つくのではないかと案じています。)、4人目の犠牲者はこれまでとは状況が違っていました。その理由を調べるうちに残酷な事実が判明しますが、そのきっかけはアリスが指摘した「鳥の糞の臭い」からでした。グッジョブ伊達にカナリア預かってないね
「何故?」という問いに答えた犯人の心は闇どころかまさに空虚だったわけで、アリスでなくともやりきれない思いを抱きます。

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超巨大ハリケーン カテゴリー5

2016年01月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年製作 アメリカ 87分
2015年1月2日新春ロードショー放送

2005年8月29日-アメリカ東南部に壊滅的被害をもたらしたハリケーン・カトリーナ。TVでは頻繁にその様子を伝え、住人たちは近づきつつある脅威に日々備えていた。しかし、そのハリケーンは住人たちの予想をはるかに超える威力をともなってアメリカ大陸に近づいてきていたのだ。その威力レベルは、カテゴリー5! ! 5段階のうちの最大最強レベルのモンスター・ハリケーンへと変貌を遂げていたのだ! ! フロリダは暴風・豪雨に襲われ、停電になり、建物は次々と破壊されてく。
壊滅的な被害を目の当たりにし、自然の脅威には太刀打ちできないことを悟ったチャーリー一家はこの最大規模のハリケーンから身を守るためにシェルターに避難するが・・・。


史上最強のハリケーンに翻弄される人々を描いたディザスターパニック。
子供の頃に両親をハリケーン被害で亡くした娘ヴィクトリア(チェルシー・ケイン)が、大学で気象の研究をするようになり、この巨大ハリケーンの進路に祖父(バート・レイノルズ)の住むフロリダがあると気付いて助けに行くというお話。ついでにネットで実況中継して危険を知らせる=実績になると男子学生まで巻き込み機材一式を乗せた車で向かったはいいけれど、あっさり暴風に車はなぎ倒されて自分たちが絶体絶命のピンチって・・・おいおい!な展開です

姪から危険を指摘され、一足先に頑固な父親を家から避難させに来ていたチャーリー(C・トーマス・ハウエル)と親父の車を拝借しようとしていたところをそのまま乗ってきてしまった難しい年頃の息子、彼らを追いかけてきた妻と一家勢揃い(何やってんだか)家が一番安全と避難しようとしない頑固爺も孫の言うことには渋々従い、避難を始めるのですが、途中で立ち往生して通りすがりの家に逃げ込んだところを不審者と思われ祖父が撃たれてしまうのはさすが銃社会アメリカだわと変なところで感心してしまいました。

とりあえず誤解は解けたものの、強風で家は半壊、シェルターで動きがとれなくなってしまいます。そこへ、姪の窮状を伝えるニュースが台風の目に入った無風状態の数十分の間に助けに行ったのはチャーリーと反抗期の息子。ピンチが家族の絆を高めるというセオリー通りの展開です。
何とか二人を連れ帰り、ハリケーンをやり過ごし・・・あれ?これでおしまい??

先のハリケーンで次男(ビクトリアの父)を喪い、その恐さは身に染みている筈なのに、まだ自分(の家)を過信する頑固爺とか、救いに行くと言いながら余計な場所で実況中継してる姪とか、無謀な彼女らの中継を褒めたたえるマスコミとか、色々突込み処はあるし、ハリケーンの迫力もさほど伝わってこないのはまさにB級ですが、お正月のんびり画面を眺めている分には暇つぶしになりました

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ケータイ捜査官セブン 43話~45話

2016年01月03日 | ドラマ
あらすじはドラマHPより

第43話 「真の敵」
「みんなつながる」をキャッチコピーに掲げ、発売直後から爆発的な普及を遂げた量産型フォンブレイバー“ジーン”。裏で糸を引く間明(高野八誠)の企みに不穏な空気を感じながらも、ケイタらアンカー陣営は慎重に事態を伺っていた。そんな中、セブンとサードが同時に大量のメールを受信してシステムダウンする事件が起こる。そのメールの発信元はすべてジーン。しかもユーザーからのものではなく、ジーン自体の“自我”によるものだった。一方、フラネット社の社長室では、本部から抜け出した桐原(松田悟志)に間明がある取り引きを持ちかける。

いよいよ大詰めに差し掛かってきました。
真の敵は誰か、ケイタは直接宗田に確かめにいきます。
相手の顔を見て直に話せばわかる!これ、相互理解の基本ではありますが、危うい気も・・。
間明に会いに行ったゼロワンがケイタを傷つけないよう土下座して頼む姿に感動です。


第44話「ゼロワンの解」
アンカーが犯罪捜査に個人情報を流用!とケイタの少年A的写真と共に新聞に掲載され、窮地に立たされるアンダーアンカー。宗田は伊達に大きな意志に取り込まれないようにと忠告をする。セブンとサードの機能は封印されてしまう。間明に呼び出されたケイタは罠にはまり絶体絶命に陥るが、窮地を救ったのはバディ宣言をしたゼロワンだった。

ブーストフォンたちを引き連れケイタ救出に現れたゼロワン、かっこ良過ぎです(いわば、戦隊ヒーローもののキャラ総出演といった趣ですね。)機能の限界まで戦い、遂に倒れたゼロワンの「解」とは、命をかけるに値するバディを持ってその人を守り抜くというものでした。ケイタを守って死んでいったゼロワンに悔いはなかったはず。それなのに彼の魂ともいえるラムダチップを抜き取り体は投げ捨てて去っていく間明の何と憎たらしいこと


第45話 「明日未来」
間明(高野八誠)の企みによって、すべてのジーンに同時多発的に自我が芽生える。一方、アンダーアンカー本部には、捜査機器の押収を命じられた志村(勝野洋)と海斗(勝野洋輔)が派遣されていた。咄嗟の機転でセブンを取り戻したケイタは、ふたりでジーンを止めるべく奔走する。自我が膨れ上がり、端末から生命体への成長を望むジーンは並列分散リンクを繰り返し、あらゆるコンピューターとネットワークを介して増殖。ついには確たる知的生命体となり、人間に語りかけてくる。「私たちが望むのは、完全に管理された平和な世界。そのためには――」意思を持った巨大コンピューターネットワークが、人類を“最適化”するプログラムを起動させた。

自我を持ったジーンの成長速度は人間の比ではない。ウィルスを抱いたまま凍結されていたフォースを覚醒させ、サードがジーンの暴走を止めようとしますが、ジーンの進化速度の方が早く無駄死にとなります。結局セブンが自らを犠牲にしてジーンを取りこみ、自分が消滅することで人類を救おうとします。ケイタには辛すぎる選択ですが、もうそれしか道は残されていなかったのです。 全てが終わり、間明に詰め寄るケイタですが、拳は振り下ろされることがありませんでした。暴力や憎しみでは何も解決しないことをこの少年は既に学んでいたのね。未だ憎しみから解放されていない桐原との対比にもなっていて、良いシーンでした。皆がケイタのように純粋であれば良いのにね~

AIと人間の共存はまさに明日未来ですが、ケイタの考え方は、まさにその解を示していたのだと思います。人間でもAIでも、ちゃんと相手を認め信じあえる関係を築くことが大切なのよね。


どっちでもいい、が口癖だったケイタの成長も著しく、それは演じた窪田君その人の成長でもあったのかもねいいドラマに出会えたんだね

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