田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

短歌48

2017年02月22日 | 短歌



ひらひらと儚く飛んでいた君が隣にとまるそんな陽だまり
    

さよならと君に口づけした夜に月を横切る架空の夜汽車


待ちきれず走った日々はつんのめりそれでも自分らしかったので


ヘッドホン割れるぐらいの音量で膝を抱えていた部屋の中
 

ミュージック流れてそれでそれだけの君を待ってるバーガーショップ


あこがれや嫉妬が唄を口ずさみ滲んで消えたサヨナラの跡


あの頃は欲望なんか剥き出しでなんだかそれで良かった記憶


ため息をついてる僕を包みこむ雨音だけをただ聞いている


君が去り閉じた心に映るのはドアスコープで覗いた世界


夜遅く全然話し足りなくて雪の歩道を僕ら歩いた


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌47

2017年01月29日 | 短歌



水たまり揺れ映る雲見つめてた流れるような君との時間


無意識に書いてしまった物語みたいな君と僕のあらすじ


恋染めの何とも言えぬ林檎色っぽいジュースを君から貰う


座ってる君のかたちとカーテンと風にゆれてる髪を見ていた


ぎりぎりのところでちょっと止まってる時計のような二人の気持ち


音のない世界で耳を澄ますよう君の言葉を待っている時


君のこと気にして過ごす時間とかどうしたものか雨の土曜日


黄昏れる暇さえ僕に与えない君を夕暮れ泥棒と呼ぶ


星のない夜空だったとしてもまた流れる思い見つめる二人


真夜中にビールを買いに行ったんだ帰りに冬の星座見上げた


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌46

2016年12月25日 | 短歌



君の目にすい込まれそう瞬きが手塚治虫の漫画みたいで


それよりもきれいなものを知らなくて僕はいつでも君を見ていた


恋色の風吹く季節マフラーが君を守ってくれますように


雨の日は白色ノイズ聞きながら君を思って窓辺に座る


好き嫌いだとか何だか分らない感情とかで動いた僕ら


会えない日、思いが君を追いかけてとりあえずまた地球を走る


傾いた線でバランス取りながらいよいよ君に転がって行く


君がもし林檎だったらどうしよう、齧りたくない、齧ってみたい


君に会う理由を探してるうちに空が夕日になってしまった


君のこと思って書いた文字達が粉雪になり降り積もる夜


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌45

2016年10月04日 | 短歌



会えないと分かっていても何となく会える気がしてあの日の街へ


不思議だねどこかできっと繋がっていると思えるこの感覚が


平日にひとりで観てる映画とかあるいは僕の片思いとか


雨はもう降ったり止んだりするだけで僕らかまわずただここにいる


悲しみにどこか似ている感情で僕は僕とか君を扱う


ごくまれに静かになった真夜中のガードレールに腰掛けたくて


惑星が空で迷子になるようなそんな感じで君を探した


追いかけてみたいがそっとしていたい君が住んでる月の裏側


まだ焼けるような西日に目を閉じてまだ終わらない君との季節


ぼんやりと明け行く空に残ってる星座をちょっと追いかけてみた




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌44

2016年05月01日 | 短歌



恋してる自覚も持たず君のそば飛んでるだけのそんなミツバチ


午後は雨だから帰ると言ったけどもう遅いよね空が鳴いてる


ぼんやりとしている僕の輪郭ときっちりしてる君の危うさ


時間だけ流れる中で見つめてる君のつぶやき僕のつぶやき


愛情と君の微かな面影が散乱してる夢を見ていた


空白にゼリービーンズばらまいて君の隣でブランキー聞く


優しさに寝っころがって重なって夢よりもっと夢見るふたり


空っぽの空気の中で絡まった感情ほどくまで待っていて


大切な何かをいつも忘れてるような気がしてバイバイ言えず


花言葉なんて知らないけど君にフリージアとか捧げてみたい
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌43

2015年12月24日 | 短歌



地下鉄の出口を出れば灰色の僕らの町に雪が降った日


不意打ちでaikoの歌を聞いちゃってあなたの声を乞う虫になる


真夜中のトンネル堕ちて加速して分からなくなる恋の感覚


足りなくて余ったものが多すぎる心を掃除してくれた君


今日はあの雑貨屋で君宛てに出すポストカードを探してました


昼休みだけでもちょっと風に乗り君の町まで飛んで行きたい


雨が降るけど今日君に会えるから嬉しくて傘クルクルしてる


ここにある信号機だけ違う色しているような待ち合わせ場所


犬の絵が可愛いねって言う君にトナカイだよと言えない聖夜


寒くなれ寒くなったら窓際で君の温度を抱きしめさせて
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌42

2015年12月06日 | 短歌



この歌を風に流してみたくなる君に捧げるスタンド・バイ・ミー


透明になってしまった思い出を風に探しているこの季節


君とまた儚いほどにすれ違うたとえば僕は堕ちる惑星


オレンジとグレーが混ざる夕暮れを歩いて僕らブルーに染まる


シャツの袖つまんで欲しい誰からも見えないように愛して欲しい


立ち去った恋はなんだか猫みたい俺はなんだか野良犬みたい


こっそりと路上に引いた線を越え君の隣を歩きたかった


繋がった感覚がまだ残ってるうちにバイバイするこの気持ち


この夜の月を盗んでみせたってあなたを僕のものには出来ず


幸せを風船にして持ち歩きそして優しく風に手渡す
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌41

2015年08月25日 | 短歌

夏をゆく君を見つけたそのとたん蛍みたいに恋が散らばる


お喋りをしたり黙って歩いたり「ハローグッパイ」口ずさんだり


恋しさはどこかに行った猫みたい気まぐれにまたこの部屋に来る


真夜中のピアノみたいな狂騒を頭の中で君に捧げる


君のこと忘れた頃に夢に見るこの時間差に戸惑ってまた


君を待つ都会の夜の熱帯魚みたいな感じ、でも泳がない


なんでだか雨は途中で止んだけど傘をたためず君と歩いた


思い出の場所まで僕を連れて行くあの日の君と風の匂いが


銀色の空を見ながら君のこと思って帰り道に詩を書く


どこからが夜なんだろう夕暮れを二人で歩きながら思った



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌40

2015年07月04日 | 短歌



ぽっかりと空いた時間に自転車で訳もなく行くあの街角へ


今日これで悲しみとかにさよならを告げてみせるとコーラー飲んだ


寝る前に君の星座のお話を聞かせてビールでも飲みながら


タイマーが壊れたままのトースターみたいな熱で恋が焦げてる


キミがもういない世界で風が吹くその時ボクはキミかと思う


星空を見上げてみたが彗星が流れて君に何も言えない


雨は止みましたけれども空を見て今にも涙あふれそうです


ちょうどいい感じの風が吹いたのでそろそろ君とアイスコーヒー


うす色の夕焼けだった交差点あたりで君にメールしました


君と雲ただよう空を見ていたらぽつりと涙おちてきた夏




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

短歌39

2015年05月14日 | 短歌



ただ無邪気だった季節のフリージア思い出したよ君を探そう


ストーブの前に座っていた冬の部屋には君がいたんだけれど


ちゃんとしたシンプルという感じだな君の横顔に見とれながら


あとちょっと好きな気持ちがこぼれたら僕ら大人になれてたかもね


デパートの屋上とかに残してた記憶も今じゃ風に飛ばされ


息をのみ時間を止めたはずなのに流れ行くまま交わす口づけ


止まらない涙のせいでこれ以上ふたりは嘘がつけなくなった


二人して小船にゆれる夜だからクジラが来たら飲まれちまおう


いつ撮った夕日の写真なんだろう君といたことだけ覚えてる


夕暮れと仲良くしたい気分だがそれでも君へ道を急いだ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする