田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

缶コーヒーみたいな

2022年09月30日 | 日記
コーヒーをよく飲む。
と言っても一日一杯か二杯ぐらいだけど。飲むタイミングは朝が多い。もっぱらインスタントコーヒーを飲んでいるけど特別な拘りはない。特別な拘りがないからと言って好きでもないものを無理に飲んでいる訳でもなくて、やはりそれなりにインスタントコーヒーが好きなのだ。コーヒーミルで豆を挽いたりすることにも憧れていたりはするけれど。

家庭用のインスタント以外だとどんなコーヒーがあるだろうか。
例えば喫茶店で飲むコーヒー。今でも町中に昔ながらの純喫茶を見かけることがたまにあるけどなかなか入るきっかけがない。昼休みに職場近くの定食屋で昼食をとった後に行きつけの喫茶店に寄ってちょっと一服なんて風情も日常からなくなって随分と久しい気がするし、暇を持て余している時にたまたま前を通りかかった喫茶店に立ち寄るなんてこともない。外資系のカフェともなるともっと利用頻度が減る。というかまず入らない。別に毛嫌いしている訳ではないのだけれどちょっと苦手なのだ。これはあくまで個人的なノリの話であってお店の問題ではない。あと喫茶店と言えば二十年ほど前に大阪市内のビジネス街にある某老舗コーヒーショップで働いていたことがあるのだけれどコーヒー一杯五百円もして驚いた。そんなに驚くことでもないのかも知れないが正直心の中で「五百円のコーヒーなんか誰が飲むねん!」と叫んだことを覚えている。が、毎日大繁盛で大忙しだった。あくまで私の金銭感覚とずれがあっただけで何事も適正価格というものは場所や人によって決まるということだ。もっと高級な店になると一杯千円以上、更に超高級店ともなるとバカラのカップなんかに注がれたマニアックなコーヒーが一杯一万円から数万円(最高で十万円とか)するお店もある。コーヒーの幅は広い。

もうひとつ忘れてはならないコーヒーがある。それは缶コーヒーだ。
コンビニ、スーパー、自動販売機、いつでもどこでも安価で購入出来て常に一定のクオリティを保っている缶コーヒー。どのメーカーの商品もひと目で缶コーヒーだと分るサイズとデザインで大量に陳列されている。そして何より凄いのは大体どれも同じような味であるということ。馬鹿にしているのではない。暑い日も寒い日もいつでもどこでも手軽に購入出来て常に当たり外れがなく極自然に生活の中に寄り添っている缶コーヒーを心底凄いと思っているのだ。ブラック、微糖、ミルク、消費者の好みに合わせて各種用意されている。特に微糖が凄いと思う。ブラック派と甘党派のどちらの許容範囲にも入れる微糖は尊い。迷った時の微糖だ。プロ野球で例えるならユーティリティープレイヤーもしくはワンポイントで出場回数がやたらと多い中継ぎエースみたいなものだろうか。どの商品も大きく偏ったりに変に尖ったりしている印象はないかも知れないが裏側では激しくしのぎの削り合いが行われているであろうことは誰にでも簡単に察しがつく。各メーカーの企業努力あってのことだ。

とても長い前振りになってしまった。

出来れば私はそんな缶コーヒーみたいな歌を作れるようになりたいと思っている。
ちなみに缶コーヒー、あまり飲まないけれど。
全てのコーヒーに幸あれ。






ビードロ

うっかり忘れた約束を思い出して
今さら笑えないと笑った
すっかり暮れてた夕暮れはもう夜になり
なおさら会えないと思った

時は戻る気配もない空
この思いだけが飛んで
行っちまえばいい

とってもきれいなビードロみたいな世界
迷った路地裏で出会った

君の好きな猫と星と甘いもの
願わくばそばにいても
いいですか?

苦い涙とハチミツみたいな雨
降ったり止んだり風が吹いたり

下手な嘘と上手く歌えもしない歌
他には何も 何もない
何にもない

ぽっかりと空いたこの胸を埋めてくれ
小さな小さな

包んでよ







【スケジュール】
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 川内聡一朗 ナカオアキコ ハルキゲニア
総持寺チェンノガット
【日時】10/23(日) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】田中 悟 他
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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パールスモーキーの幽霊

2022年09月29日 | 日記
彼はアクセサリーのデザインをしているそうだ。
画用紙に色鉛筆で思いつく限りのアクセサリーの絵を描き続け、気づけばもう70年近くその作業に没頭していると言う。70年?ちょっと待て。彼はどう見ても70歳以上の老人には見えない。確かに多少老けてはいるが私と同年代の中年だと思われる。一体彼は今何歳なのだろうか。本人に確かめてみると30歳を過ぎたばかりかも知れないし、そろそろ40代後半に差し掛かる頃かも知れないという曖昧な答えが返って来た。自分の年齢が分らないのか?それにしても曖昧さの幅が広すぎる。もう一度問いただそうと思ったがそれより先に彼が呟いた。
「どれだけの時間を費やしても何も出来ない」
ため息をつきながら遠くを見つめる。いや遠くを見つめるというより自分のすぐ目の前を見つめているようだった。彼の目の前には何か透明の壁のような物が存在していて彼の目はその壁に焦点が合っている印象だ。悲しんでいるというより寧ろ深い納得を得て落ち着いているようにも見える。
この段階で私は何かがおかしいと気づき始めていたが、そんな彼の横顔を見ているとあれこれ詮索する気が失せてきた。
「そろそろ行かないと」
彼はそう言いながらコンビニを出ようとした。私はレジを済ます必要があったので少し待てと目配せをした。彼はそのことに気づいたようでドアの手前で振り返り立ち止まった。案外姿勢の良い奴だと気づいた。

それにしても深夜のコンビニで見知らぬ男とこんなに話し込むとは思ってもいなかった。話し込んだと言っても時間にしてどれくらいだったろうか。そもそも会話が始まったきっかけも覚えていないが、そう言えば最初に声を掛けたのはこちらの方からだったかも知れない。
「この店に色鉛筆は置いてないよ」
私の声に気づいた彼はゆっくり振り返ると(そうなの?)という表情で無言の返事を返してきた。なぜか分らないが彼を見かけた瞬間に色鉛筆を探しているように思えたのだった。彼も特に否定しないから私の勘は当っているのだと思うが、もしかすると彼は別の何かを探していたのかも知れない。だとすれば見当違いなこと言ってしまったことになる。そんなこと考えながら夜の街を歩いていると柔らかい風とともに嫌な匂いが鼻をついた。何かが腐った匂いとカビ臭さが混じったような、それでいて無機質な化学薬品のような匂いだ。何か嫌な予感がしたがどうすることも出来ない。そのタイミングで彼は饒舌に語り始めた。
「俺はアクセサリーが好きな訳じゃないんだ。そもそもデザインなんて出来ないし興味すらない。何かを思い出さなきゃならないんだけど何を思い出せば良いのかも分らない。思い出そうとしているうちに長い時間が過ぎてしまって今じゃ何の為にそれを思い出そうとしていたのかさえも分らなくなった。何か銀色の、曇った感じの銀色の何かが見えるんだけど、それが何なのか分らない」
言葉とは裏腹に彼から焦燥感が見受けられないのはなぜだろうか。あらためて観察するように彼を見た。細い。極限までに痩せている。ほぼ肉のない体には皮膚らしき物が残っているので骸骨が服を着て歩いているという訳ではないがほぼそれに等しい風貌だ。さほど興味のないアクセサリーに固執する理由は何なのだろうか。彼が思い出そうとしている物が彼にとって大切な物なのであろうと推測するのは容易いが、彼には物に対して執着している様子がない。何かもっと強いインパクトを受けた出来事があってそこに彼の気持ちが縛られてるのかも知れない。
「バスに乗りたいんだけど」
また唐突にそんなことを言う。こんな時間帯にバスが走っている訳もなく、この辺りに夜行バスの乗り場などもない。またあの嫌な匂いが立ち込めてきた。彼は立ち止まる。その目線の先には路上に停められたバイクがあった。そのバイクを見つめる彼の意識の中にもう私の存在がないことが分った。彼は極自然にバイクに跨る。バスに乗りたいと言っておきながらバイクに跨る彼の挙動を私は暫く黙って見つめることにした。しかしそこで彼の動きが止まる。ピクリとも動かない。蝋人形のようだと言いたいところだが人形のような物質としての臨場感は一切ない。まるで一時停止した映像を見ているかのようだ。この場所には何か目に見えない境界線があってその境界線が私と彼を分断している。不意に激しい眩暈がした。地面が斜めに傾く。転がりそうになったところを何とか踏み止まった。群集の激しい叫び声、喧騒、ガラスを引っかくようなノイズが耳の周りで渦巻く。脳裏に一台のバスが浮かび上がる。後部座席の窓から車内を窺うと何人かの人影が見えるが誰もが背中を向けている。その中に一人だけこちらを見ている女性がいた。黒い服を着ている。胸元にパールのアクセサリーが見えた。更に激しく地面が波打つと私は立っていることが出来なくなりその場に片膝を着いた。眩暈は激しさを増し吐き気を催した。何故だか衝動的に彼女を呼び止めなければならないと思ったが声が出ない。その時だった。バイクの爆音が私の左耳から体内を通り右耳から体の外へと走り抜けて行く感覚に襲われた。そのまま後ろに突き飛ばされるような衝撃が走ったかと思うと強い風が前方から後方に突き抜ける。体の中が燃えるように熱かったがすぐにその熱は冷めてゆき次第にあの嫌な匂いも消えていくのが分った。眩暈と吐き気はまだ多少残っているが何とか立っていられそうだった。辺りは徐々に静けさを取り戻してゆく。
どうやら彼はあっちに行ったようだ。

振り返るといつの間にか真っ昼間の喧騒の中に私は立っていた。目の前を市バスが横切った。





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9/23 総持寺チェンノガット

2022年09月26日 | 日記
ここ最近のブログで、
「少年時代の念願が叶ってやっと歌えるようになったけど喜びが少ない」
「それは歌うことは手段であって目的ではないから」
「手段を得るための年月が長すぎたのか目的を見失ってしまっている」
といったようなことを書いている。
そしてそんなことを書きながら心のどこかに罪悪感に似た感情を抱えている。せっかく歌わせて貰っているのにそんなこと言ったら各お店に失礼な気がするからだ。だけど正直に自分の心と向き合うべきだとも思っている。
自己弁護のようになってしまうけど決して歌うことが嫌な訳ではない。今の状況に対して不平不満がある訳でもない。何かが足りないのだ。そしてその足りない何かがはっきりと分らなくて苦しんでいる。そしてその苦しみから逃げたくない。
別の言い方をするなら、やっとその足りない何かについて意識を向けられる状態になってきたのかも知れない。そう思えば少しは前向きになれるだろか。

前向きでありたい。





【セットリスト】
夜走曲
あるいは彼女の退屈な夜
エレジー
夜明けを待たないで
春先雪
ためらいの午前二時
灰色のデジャヴ



先週金曜(9/23)は総持寺チェンノガットにてブッキングライブでした。
圧巻の総勢9組はもはやイベントのようでもあり、夕方から夜遅くまで熱気のこもった時間が途切れることなく続きました。個性のぶつかり合いなのに不思議な統一感と人の心の温かさがあってチェンノガットならではの空気だなと思いながら刺激を受けたり笑ったりしみじみ歌に耳を傾けたりしておりました。

個人的には新曲の「あるいは彼女の退屈な夜」「エレジー」もなんとか歌えてほっと胸を撫で下ろしております。でも最近作った曲や今まで歌ってきた曲がそれぞれ頭の中でゲシュタルト崩壊を起こしてしまい歌詞やコードが迷走しがちなこの頃です。毎回冷や汗ものです。だけどそれもこれも全てが尊い経験ですね。
今後も1本1本丁寧に取り組みたいです。

出演者様、お客様、マスターのテルマエさん、純さん、有難うございました!





ライブスタート前の店内。ずらりと並ぶ各出演者のギター。
この日はこれでも全てが収まりきらないほどの数でした。









【スケジュール】
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 川内聡一朗 ナカオアキコ ハルキゲニア
総持寺チェンノガット
【日時】10/23(日) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】田中 悟 他
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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夢見ワルツ

2022年09月25日 | 日記
今日は久しぶりにぐっすりと眠れた。
本当にぐっすりと眠れていたのかどうかは定かではないけど本人は一応寝たつもりでいる。
「とくに何も予定のない日曜日だし」
なんて思って昼間から酒を飲んだ。
ビール350ml缶とチューハイ(プレーン)の500ml缶それぞれ1本ずつとスーパーで買って来た秋刀魚とその他。
それから長い昼寝をして19時頃に目が覚める。
なんて贅沢な日曜日だろうか。だけど寝起きがすっきりしない。
夢見が悪かったのだ。
皆さんはよく夢は見るだろうか、あるいはあまり夢を見ないだろうか。
自分はよく夢を見る。かなりはっきりとした夢でいつも目覚めかけの時は現実なのか夢なのか判別がつくまでに時間が掛かる。時間が掛かると言ってもそれはほんの数秒間の事なのかも知れないけれど。だけどそのほんの数秒間がやたらと長く感じられる。よく時間のスピードは一定ではないという話を聞くけれど一定でないのはきっと脳の処理速度なんだろうなと思う。
それはともかく夢見が悪いと気分も悪い。
この気分をどうしようかと思うけれど、これといった処方箋はとくにない。
ただただぼーっと過ごすことぐらいしか能がない。
気晴らしにどこかに出掛ける訳でもなく、誰かに連絡して落ち合う訳でもなく、今では煙草を燻らすこともなく、ただ自分を持て余すだけの日曜の夜だ。サザエさんを長らく見てないけれど(今も放送してるの?)サザエさんを見なくても日曜の夜のあの特有な感覚に包まれる。
せめて良い夢を見たいものだ。
そう言えばつい先日だったか素敵な夢を見た。どんな夢だったかはまた別の機会があれば書こうと思う。

問題は今夜もう一度酒を飲むかどうかということ。

そんな日曜の夜。













【スケジュール】
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 川内聡一朗 ナカオアキコ ハルキゲニア
総持寺チェンノガット
【日時】10/23(日) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】田中 悟 他
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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夕暮れっぽい夕暮れ

2022年09月24日 | 日記
昨日はライブ当日の朝だというのにやけに理屈っぽいブログ(9/23心の片隅で)を書いてしまった。
「歌うことは手段であって目的ではないから歌えるようになったところで何ら目的を達成した訳ではない。だからさほど喜べない」
と言いたいわけだ。この考え方に辿り着くまでに相当長い年月を費やしてしまった。だけどこれが結論ではない。ならば「目的ってなんだ?」ってことになるし、実際に昨日のブログもそこで終っている。

目的とは?…ここから更に思考が矛盾してく。

目的が定まっていないと書いたものの果たして本当にそうだろうかという疑念が湧いてくる。実は最初から自分の中に目的があったのではないだろうか。そうだ、あったはずだ。しかし手段を得るために費やした時間が長すぎて肝心の目的を忘れてしまっていたのだ。そして今この瞬間もその目的は自分の中でぼやけてしまっている。目的をすっかり見失っている。そしてある程度の手段を得たからといってすぐに目的を達成出来るほど簡単なことではないという問題もある。そのことで今まで何度も途方に暮れてきたし、こうしている今も途方に暮れてしまいそうになる。






スマホの中に夕景の写真を見つけた。
確か数日前に撮影したものだ。
こんな色の空を久しぶりにみたような気がする。
夕暮れっぽい夕暮れだ。







【スケジュール】
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 川内聡一朗 ナカオアキコ ハルキゲニア
総持寺チェンノガット
【日時】10/23(日) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】田中 悟 他
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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心の片隅で

2022年09月23日 | 日記
9.23.AM5:39 雨、眠れない。
今日は先日書いた『今夜もバーの片隅で』の続きのようなブログを書こうと思う。




十代後半のある日に「いつか大阪ミナミのライブバーで歌いたい」と思ったのは事実。想像を遥かに超える長い年月を経てその願望が叶ったのも事実。だけど今この瞬間自分の中に喜びがないというのも事実である。
「漸く念願叶ったのにさほど喜びがないのはなぜだろう。年齢のせいかも知れないがちょっとやそっとのことでは心が大きく揺れ動かない。(中略)本当は心の片隅で喜んでいるはずだ」
今夜もバーの片隅で』を読み返してみるとそう書いてあった。だけど果たして本当に心の片隅で喜んでいるのだろか?年齢のせいで感性が鈍ってきたから大きく心が揺れないだけで本当はしみじみ喜びを噛み締めていると言いたい訳だ。それって何だろうか、一種の体裁のようなものなのかも知れない。一応はちゃんと喜んでますよと言っておきたいだけなのだ。もしそれが体裁だったとしたらなぜそんな体裁を構うのか?体裁を構うことが自分の望みなのか?いやそんなことは望んでいない。ついうっかり体裁を構ってしまっているだけだ。ならば正直に書こう。


念願叶ったけど、ちっとも嬉しくない。


身も蓋もない。申し訳ないぐらい身も蓋もない。誰に対して何に対して申し訳ないのかも分らないけど、なぜか申し訳ない気持ちになってしまう。
なぜ嬉しくないんだろうか。嬉しくない=嫌という訳ではない。歌えるようになったこと自体はとても良いことなのだが、それだけではさほど喜べないのだ。「本当は嬉しいけど、これぐらいで喜んでは駄目だ」とストイックを気取って感情にブレーキを掛けている訳でもない。本当に純粋に素直に「さほど喜びがない」という心境なのである。それが正直な答えなのである。だけど「それじゃ有難みが分かてないってことになりゃしないか?歌える場所を与えてくれている各お店に失礼じゃないか?」という心の声(正論)が聞こえて来る。それで「本当は心の片隅で喜んでいる」なんて書いているのである。それこそがまさに体裁である。完全なる嘘でもないけど。

もう少し冷静に考えてみよう。なぜ嬉しくないのか?喜べないのか?

このブログを書きながら、ぼんやりとだけど自分の心が見えてきた。
歌うということは自分にとっての手段なのだ。「歌いたい」という初期衝動的な願望は叶えたけど、それはやっとこさっとこ手段を得ただけに過ぎない。肝心なのは目的だ。

目的ってなんだ?





今夜もライブです。
もう少しだけ眠って喉を整えよう。

総持寺チェンノガット

【日時】9/23(金) 16時20分オープン16時50分スタート
【料金】ノーチャージ 投げ銭あり (別途2オーダー要)
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】Junshouw&Totsu 真悟 田中 悟 フジウラヤスオ 浦上奎人 どんどこ西井 テラー ずぶ濡れBOYZ テルマエ立川







【スケジュール】
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 川内聡一朗 ナカオアキコ ハルキゲニア
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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9/16 ロージー心斎橋NEO

2022年09月22日 | 日記
いつも当ブログをご覧頂きまして有難うございます。
ここ最近更新頻度が上がったこともあってか日々の閲覧数が増えておりまして嬉しい限りです。
私個人のSNS事情を申しますとこのブログに一番人が集まってくださいます。ツイッターでもなくYouTubeでもなくブログの閲覧数が多いことに我ながら面白さを感じているこの頃でもあります。
フォローや登録というシステムがないブログですので読者様の顔が直接見えず、どのような層の方にご覧頂いているのかも分らぬままひたすら更新していますが「見て頂ける」ということは表現者のはしくれとしてこの上ない喜びであります。とかくショートが重宝される今のネットの傾向の中にあって特に執筆力がある訳でなく何かお得な情報を発信している訳でもなく、ましてや中途半端な長文ブログに毎回お付き合い頂きまして恐縮です。至極個人的なブログではありますが今後も感謝の気持ちを忘れずになるべく更新頻度を保てるように努力したいと思います。



さて今日は先週行われたロージー心斎橋NEOでのブッキングライブを振り返ります。




【セットリスト】
あるいは彼女の退屈な夜
エレジー
春先雪
ためらいの午前二時
灰色のデジャヴ



この日は疲労感をたっぷり引きずってのライブとなりました。
というのも前の週末に金土日と連続でライブを行っており、その疲れや余韻がなかなか抜けなかったのでした。体力低下はある程度は加齢によるところがあるので仕方のないことなのですが、それでも心の片隅には「まだまだもっと追い込んで自分を鍛えたい」という気持ちが多少ありまして今月はやや強引なスケジューリングになりました。

疲労感があったからといって歌えない訳でもないしステージ上で元気がなかったのかと言えば寧ろいつにも増して無駄によく喋ってましたけどね。無駄に喋ってないでそのエネルギーを歌唱に回しなさいってことなんですけど、よく喋ったのには訳があります。この夜は「ドンビキナイト」と題されたライブで出演者がライブ中のMCで何かドンビキにまつわるエピソードトークをするというのが趣旨となっていました。こういう時良いのか悪いのか分りませんが僕は張り切ってしまう性分です。体力的には加齢により低下していても精神的にはある意味まだまだ若くていちびりです。微かに残る若気の至りが日々のあちらこちらで零れ落ちるのでありました。

そんなこんなで僕のトークはすべりがちでありましたが、いつものように面白くて温かくて刺激的な夜でした。
共演の皆様、マスターのヒロワさん、有難うございました。



この日のダイジェスト動画です。
是非ご覧くださいませ。







【スケジュール】
総持寺チェンノガット
【日時】9/23(金) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】Junshouw&Totsu 真悟 田中 悟 フジウラヤスオ 浦上奎人 どんどこ西井 テラー ずぶ濡れBOYZ テルマエ立川
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 川内聡一朗 ナカオアキコ ハルキゲニア
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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家族

2022年09月21日 | 日記


恋は自分のため。
愛も自分のため。
残念だけれども僕は君のために生きることは出来ない。
君だって君自身のために恋をしているし愛を探している。
君も僕のために生きている訳じゃない。
あなたもそうだし、誰だってそうだ。

誰が決めたのか分らないルールに縛られている。
誰が決めたかだって?
そのルールを作ったのは自分さ。
知らないうちにそれぞれ自分で作ったルールなんだ。
そのルールに縛られている様な気分になっているけれど、それは錯覚で本当は自分で作ったルールに自ら従っているだけなんだ。
そして僕と君は互いのルールに僕と君をはめ込もうとしながらもがいてはルールの外で生きようと抗っている。
だけど知っているだろうか、最初から僕らは互いのルールの外に存在しているってことを。
同じひとつの人生を生きるなんて最初から幻想だったってことを。
自由を求める以前に僕らは最初から自由なんだ。
愛を求める以前に僕らは愛の中で生かされているんだ。
分りにくいけど。

パンドラの箱を閉じた時、
最後に箱の中に残った物は何だったのか。
最後に残るたったひとつの答えが、
出会って最初に芽生えた優しさであることを願って。






君が笑う

あの日見てたあの景色の中
僕は何を覚えて何を忘れたの
なんとかしなきゃいけないと思ってた
だけど何も出来なかった夕暮れ

君に何もしてあげられないから
僕は駄目な奴だと思って生きてきた
言葉じゃ何も伝えられない気がして
だから何も言わずに黙っていた

けれどもまた同じことばかり
繰り返してしまうから
何か言わなくちゃ
大切なものを壊したくないから
何か伝えなくちゃ
時には戦っても

同じ形 同じ色 同じ音
違う形 愛情のあり方
肌と肌を合わせたあの真夜中
僕はそこが天国だと思ってた

願い事なんかしちゃ駄目と言われた
けれど求めずには
いられなかったあの時
同じ道を行く 違う道を行く
遠い場所で生きる
そばで笑って暮らす

あの空の色や
あの風の匂いや
記憶の世界には
今も君が笑う

今も君が笑う
今も君が笑う
僕は駄目な奴さ
君が笑う








【スケジュール】
総持寺チェンノガット
【日時】9/23(金) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 他
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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今夜もバーの片隅で

2022年09月17日 | 日記
また昔の話をちょっと。

あれは十代後半の頃。それまで勤めていた飲食店から会社と名のつく職場に転職して最初の冬だったと思う。生まれて初めてボーナスというものを貰った。こんな言い方をすると何だけれどもそんなに大きな額のお金ではない。だけど飛び上がるほど嬉しかった。
喜び勇んで仕事帰りに心斎橋の三木楽器に寄って楽器を物色したのだけど何故かその時点で気持ちがすーっと冷めてしまった。

「楽器を買ったところで何が出来るというのか」
当時の自分はオリジナル曲を作れるようになりたくて日々悶々としていたのだが一向に先が見えてこない。漸く無理すれば何とか手が届くぐらいの値段になりつつあったオールイオンワンのシンセでも購入すれば何か自分に変化が起きるかも知れない考えていた。実際に楽器の購入というのはそう言った意味で個人のスキルを成長させるのに持って来いの行為だとも思う。だけど当時は根本的に音楽が出来ない自分へのコンプレックスが大きすぎてなかなかモチベーションが上がらなかったのが事実。常にしょぼくれていた。

結局何も購入せず楽器屋を出て冬の心斎橋筋商店街をぶらりと歩く。大阪ミナミ。当時の自分には夜のミナミで遊ぶ習慣なんてなかった。さほど世間知の無いまだ十代後半の子供。それでも夜のミナミの想像はつく。自分が知らないだけでたぶん沢山のライブバーやライブハウスがこの街に点在していて、こうしている今もどこかの薄暗いバーの片隅で誰かがギターを抱えて歌っているんだろうなと思った。いつかきっと歌えるようになってみせる。その「いつか」に辿り着くまでに想像以上の遥か長い年月が掛かったけれども。

四十の手習いで始めた弾き語りも十年ほどの時間が過ぎて今は五十の手習いだ。漸く念願叶ったのにさほど喜びがないのはなぜだろう。年齢のせいかも知れないがちょっとやそっとのことでは心が大きく揺れ動かない。感性に躍動感がなく感情の起伏が乏しすぎる。勿論、嫌な訳ではないけれど。緊張と不安に向き合うことで精一杯なだけで本当は心の片隅で喜んでいるはずだ。

心の片隅に転がっている言葉とメロディーを拾い集めて、今夜もどこかのバーで歌っている。








先週金曜(9/9)にロージーNEOで行われた「ピースミュージック」で発表した新曲「エレジー」です。
マスターのヒロワさんがYouTubeにアップしてくだいさいました。
どうぞご覧くださいませ。





エレジー

悲しい歌が好きなわけじゃ
ないけれどもこんな
夜はひとり口ずさむの
誰も知らないエレジー

優しい人の温もりとか
知ってはいるけれども
ひとり寂しい心つれて
夜を歩くのエレジー

泣いて夢がさめてしまう
いつも知らないうちに
いつも夢がこぼれている
川をずっと見ている

今はどこを流れてる
私の知らないエレジー

遠い街に辿り着いた
カモメは何を想う
あなた恋の物語を
誰と演じるエレジー

泣いた次の朝のまぶた
いつも隠しているの
いつも夢は紙芝居の
続きばかり見ている

ひとり歌う涙色の
誰も知らないエレジー

あなた知らないエレジー











【スケジュール】
総持寺チェンノガット
【日時】9/23(金) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 他
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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9/11 ロージー祭り 寝屋川ACORDE

2022年09月16日 | 日記
先週日曜(9/11)はいつもお世話になっているロージーの周年記念イベントに参加致しました。
三ッ寺会館で営業がスタートしてから14周年、ロージーABENOが5周年、三ッ寺会館から移転してロージーNEOになって3周年とのことです。
僕はぎりぎり三ッ寺会館時代を知っているのでロージーさんにお世話になって3~4年ぐらいだろうか。歴史の中に身を置けて光栄であります。
ヒロワさん、ちあきさん、いつも有難うございます。そしておめでとうぞざいます!


※総勢15組が参加。このそうそうたるメンバーの中で歌えたこともとても光栄なことでした。


この日ロージー祭りが開催されたのは寝屋川にあるライブバーACORDEさん。
なんと2階席もあってキャパ100名を超える広々とした空間でした。
実は寝屋川と言えば個人的に思い入れや思い出があります。
僕が生まれ育ったのが大阪府の門真市というところ。京阪沿線にある町です。寝屋川市までは近からず遠からずな距離なのですが、昔まだ僕が十代だった頃に寝屋川市駅前のライブハウスに友達の何人かがバンドで出演しておりました。当時の僕はバンドもせず弾き語りもせず(せずと言うかまだ何も出来なかった)客席で友達を眺めているだけの状態でした。正直、悔しかったというか、羨望の眼差しで見ていました。なんともしょっぱい少年時代の思い出です。
その寝屋川にライブをしに行く。たったそれだけのことなんですけど自分にとってはとても大きなことなのでした。あれから何年経ったのだろうか。十代半ばだった少年は五十代前半のおっさんになってしまったのでした。






【セットリスト】
灰色のデジャヴ
夜走曲
ためらいの午前二時



いつもお世話になっている皆さんが一堂に会し代わる代わるステージに現われる。
そんな光景を目の前にして大袈裟なようですが夢を見ているような気分になりました。
いつもと違うシチュエーションで俯瞰でステージを捉えていたからそんな気分になったのかも知れません。
でも夢のようだと言っても過言ではないですね。素晴らしい時間でした。

実は正直なところ少し緊張していたのですが、ステージに上がるとヒロワさんが面白くいじってくださったのでそれで随分リラックス出来ました。
下の動画は寝屋川ACORDEさんが撮影、編集してYouTubeにアップしてくださったものです(なんと全員分!)。
僕のパートは歌だけでなく歌う前の小ネタも収録してくださってます。
相変わらずアホです。
前半を飛ばさずにご覧頂ければ幸いです。





ご来場の皆様、参加者の皆様、寝屋川ACORDEの皆様、有難うございました。
そしてヒロワさん、ちあきさん、有難うござました!
今後もよろしくお願い致します。





【スケジュール】
ロージー心斎橋NEO
【日時】9/16(金)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】ヒロワ ナカオアキコ 田中悟 ハルキゲニア
総持寺チェンノガット
【日時】9/23(金) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
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