フリーウェイをひたすら走り、砂漠地帯の小さな街に到着。
どこまでも真っ直ぐに延びた道と、その道沿いに間隔を置いて並ぶ低い建物、その周りは植物の殆ど生えていない荒涼とした大地が果てしなく続いている。
私が不安げにしていると、同行者は「もうすぐポイントだよ。」と言った。
こんな所に川があるとは到底思えないような景色だったが、街のはずれの交差点を曲がり、暫く走っていると、だんだん緑色の帯が見え始め、間もなくポイントに到着した。
そこは完全な湧き水だけを源としたスプリングクリークで、透明で穏やかな流れの中には、20尾程のネイティブレインボーが悠然と群れていた。サイズはどれも16~20インチ(40~50センチ)の良型ばかり、かなりスポーキーな感じだ。
私は、はやる気持ちを押さえながら、注意深く観察を続けた。すると、時々ゆっくりとした動きでディンプルライズを繰り返しては、白い口をパクパクと動かしているのが見えた。私は迷わず6Xのティペットにミッジピューパを結び、デッドドリフトで鼻先へ送り込んでみる。ちょうど魚の目の前をフライが通過しようとした時、その魚は身体をひねり、やはり白い口を開けてパクパクっとフライをくわえた。
最初の獲物は18インチ(45センチ)程の赤い側線が見事な雄のレインボーだった。
その後、20インチ(50センチ)を筆頭に、5尾のレインボーをランディングして、その日の釣りは終了。夜はハンバーガーを頬張りながら、缶ビールで乾杯し、翌日に備え早々にベッドへ潜り込む。
前日の抜けるような青空から一転、今朝はどんよりとした低い雲が上空を覆っている。
ポイントに到着すると、すぐさま昨日と同じ方法を試すが、魚の活性が悪いのか、フライに全く反応が無い。良く見ると、魚達は水面からかなり深い場所に定位しているようだった。
流れのある場所から沼地の止水へとポイントを移動してみる。
ここには車椅子の人でも釣りが出来るようにと、バリアフリーのデッキが設置されていたが、この時期の浅瀬は一面藻に覆われていて、例えここで魚を掛けたとしても、ランディングは不可能に近い。唯一藻が切れているのは、流れ出しのブッシュから10メートルまでの、非常に狭いエリアに限られていた。
デッキから対岸までの距離は25~6ヤード。岸沿いはやはりびっしりと藻が生え、いかにも魚が付いてそうだが、水面は相変わらず静かなままだった。
あれこれ悩んだ末、結局ルースニングを試す事にした。
6Xのティペットはそのままで、インジケーターを付け、ティペットの先にMSCスペシャルを結ぶ。
丁度良い位置でフライが沈むよう、計算しながら流れ出しの奥へ落とし込み、そろそろフライが下に到達した頃かなと思った瞬間、インジケーターがピクピクっと反応した。ロッドを軽くあおるようにして合わせると、グングンとやけに重たい感触が伝わって来る。これはかなり大きいと思った。
すぐに余分なラインを巻き取り、リールファイトに移るが、魚は相変わらず鈍重なローリングを繰り返している。
そうこうしているうちに、黒っぽい大きな魚体が見えた。サイズは25インチ(62センチ)、いやそれ以上かも知れない。私はリールを巻きながら、もしかしたらこのままランディング出来るかも知れないと思ったが、そこは正真正銘のネイティブレインボー、そう簡単に降参する筈が無い。次の瞬間、とてつもない力で走り出したかと思うと、物凄い速さでスプールが回転した。私は必死にロッドのグリップを握りしめ、リムを押さえてスプールの回転を止めようと試みた。間もなく、魚は止まったが、スプールにはあとひと巻き程のラインしか残っていない。しかも、対岸の藻の生えている場所まであと僅かだった。
とりあえずドラグを締め直し、これ以上走らせまいとするが、さすがに相手も必死である。もはや最初のスピードは失っていたが、力強い走りは衰える事無く、少しずつラインが引き出されると、やがて魚は藻の中に到達した。
結局、魚は取れなかったが、何故かその時はさっぱりとした気持ちだった。
「あの状況では、例え4Xのティペットを使っていたとしても、ランディングは難しかったに違いない。いや、それ以前に、6Xだからフライをくわえたのだ。」帰国後、私は何度かそんな事を考えた。そして今では、悔しかった思い出に変わっている。
どこまでも真っ直ぐに延びた道と、その道沿いに間隔を置いて並ぶ低い建物、その周りは植物の殆ど生えていない荒涼とした大地が果てしなく続いている。
私が不安げにしていると、同行者は「もうすぐポイントだよ。」と言った。
こんな所に川があるとは到底思えないような景色だったが、街のはずれの交差点を曲がり、暫く走っていると、だんだん緑色の帯が見え始め、間もなくポイントに到着した。
そこは完全な湧き水だけを源としたスプリングクリークで、透明で穏やかな流れの中には、20尾程のネイティブレインボーが悠然と群れていた。サイズはどれも16~20インチ(40~50センチ)の良型ばかり、かなりスポーキーな感じだ。
私は、はやる気持ちを押さえながら、注意深く観察を続けた。すると、時々ゆっくりとした動きでディンプルライズを繰り返しては、白い口をパクパクと動かしているのが見えた。私は迷わず6Xのティペットにミッジピューパを結び、デッドドリフトで鼻先へ送り込んでみる。ちょうど魚の目の前をフライが通過しようとした時、その魚は身体をひねり、やはり白い口を開けてパクパクっとフライをくわえた。
最初の獲物は18インチ(45センチ)程の赤い側線が見事な雄のレインボーだった。
その後、20インチ(50センチ)を筆頭に、5尾のレインボーをランディングして、その日の釣りは終了。夜はハンバーガーを頬張りながら、缶ビールで乾杯し、翌日に備え早々にベッドへ潜り込む。
前日の抜けるような青空から一転、今朝はどんよりとした低い雲が上空を覆っている。
ポイントに到着すると、すぐさま昨日と同じ方法を試すが、魚の活性が悪いのか、フライに全く反応が無い。良く見ると、魚達は水面からかなり深い場所に定位しているようだった。
流れのある場所から沼地の止水へとポイントを移動してみる。
ここには車椅子の人でも釣りが出来るようにと、バリアフリーのデッキが設置されていたが、この時期の浅瀬は一面藻に覆われていて、例えここで魚を掛けたとしても、ランディングは不可能に近い。唯一藻が切れているのは、流れ出しのブッシュから10メートルまでの、非常に狭いエリアに限られていた。
デッキから対岸までの距離は25~6ヤード。岸沿いはやはりびっしりと藻が生え、いかにも魚が付いてそうだが、水面は相変わらず静かなままだった。
あれこれ悩んだ末、結局ルースニングを試す事にした。
6Xのティペットはそのままで、インジケーターを付け、ティペットの先にMSCスペシャルを結ぶ。
丁度良い位置でフライが沈むよう、計算しながら流れ出しの奥へ落とし込み、そろそろフライが下に到達した頃かなと思った瞬間、インジケーターがピクピクっと反応した。ロッドを軽くあおるようにして合わせると、グングンとやけに重たい感触が伝わって来る。これはかなり大きいと思った。
すぐに余分なラインを巻き取り、リールファイトに移るが、魚は相変わらず鈍重なローリングを繰り返している。
そうこうしているうちに、黒っぽい大きな魚体が見えた。サイズは25インチ(62センチ)、いやそれ以上かも知れない。私はリールを巻きながら、もしかしたらこのままランディング出来るかも知れないと思ったが、そこは正真正銘のネイティブレインボー、そう簡単に降参する筈が無い。次の瞬間、とてつもない力で走り出したかと思うと、物凄い速さでスプールが回転した。私は必死にロッドのグリップを握りしめ、リムを押さえてスプールの回転を止めようと試みた。間もなく、魚は止まったが、スプールにはあとひと巻き程のラインしか残っていない。しかも、対岸の藻の生えている場所まであと僅かだった。
とりあえずドラグを締め直し、これ以上走らせまいとするが、さすがに相手も必死である。もはや最初のスピードは失っていたが、力強い走りは衰える事無く、少しずつラインが引き出されると、やがて魚は藻の中に到達した。
結局、魚は取れなかったが、何故かその時はさっぱりとした気持ちだった。
「あの状況では、例え4Xのティペットを使っていたとしても、ランディングは難しかったに違いない。いや、それ以前に、6Xだからフライをくわえたのだ。」帰国後、私は何度かそんな事を考えた。そして今では、悔しかった思い出に変わっている。
読んでいると、ニンフィングの独特の感じが蘇りますね。
アメリカではフライフィッシングとしては二ンフィングの方が圧倒的に有利ですし、釣り方も多いです。
ニンフィングをマスターすると釣果は3倍になりますし、魚のサイズも圧倒的にアップします。
しかしフライフィッシャーとしてドライにこだわりたい理由も理解できますよね!
ここは、アメリカ西部ワシントン州の砂漠地帯にあるスプリングクリークで、この時は全くの人任せだったため、川の名前は忘れてしまいましたが、確かシアトルからフリーウェイを3~4時間走ったところにありました。場所は結構狭かったです。
私の場合、どちらかと言うとニンフィングの方が得意で、ドライの釣りに拘ることはありません。水面より水面直下の釣りが好きですね。(笑)