前半は、上松Aコースから木曽駒ヶ岳縦走を1泊2日で歩いてきた。
だが実は、今回の山行は最終日の西横川沢登りがメインイベントであった。
私たちにとって、アルプスでの本格的な沢登りは初めて。
もちろん沢登り用のシューズを履いて歩くのも初めてであった。
それでも、今年の夏山は必ず沢登りをやるぞ!と、1年前から決めていたので今回の西横川は大変楽しみにしていたものだった。
今回、同行のK氏に沢の登り方を色々と教えて頂き次回は二人だけでも行けるようにするため気合いはいつもの倍以上で本番に臨んだ。
(前日は、翌日への期待と不安で胸がいっぱいで大好きなお酒もほとんど咽喉を通らなかったワタシ・・・)
しらび平から少し道を下り、橋を渡った所からが沢の入口。
草木を掻き分けて、2つ堰堤を越えれば二俣になった箇所に出てきた。
東横川と西横川の分岐点で、私たちは左の西横川を登っていく。
大岩がゴロゴロしているところを沢シューズの初めて履く感覚を確認しながら慎重に進んでいく。
最初のうちは、滝の流れも緩く傾斜もないので、難なくクリア。快適、沢登り~
沢登りをさらに楽しませてくれるナメ歩き。
これこれ、ワタシはナメが見たかったのです。
だんだんクライミングの技術も求められるような箇所も出てくる。
巻き過ぎて、本流からそれ過ぎないように登ることがポイントだと理解。
時には流れに突っ込み、滝に打たれるのも沢登りならではの楽しみ方を初めて実感!
30メートル大滝の前で、遡行図確認中のK氏。
その横で、ワタシは慣れない沢登りに少々疲れ気味・・・
でも、まだ先は長いぞ~、頑張るぞ。
登ってきた道を振り返ると随分と標高を稼いだことに気付く。
おぉ、よくここまで登ってこれたなぁ、と普段の登山とはまた異なる達成感があった。
いくつもの滝を越えて、沢登りのコツも少しずつ分かってきたような気がするワタシ・・・
自分でどこをどうやって登っていくのか考えるのが楽しく、夢中になってしまう。
小さな滝をいくつか越え、開けたガレ場を詰めると奥の二俣に突き当たる。
ここは左側の30mのルンゼ状の滝から取り付き、段状の岩を慎重に越えていく。
落石に注意しながら登っていくらいちょうリーダーと待機中のワタシ
この大滝を越えるとどんどん水量は減り、ついに涸れてしまった。
急傾斜をさらに登り詰めて行くと右上にリアルなレリーフがあり、トラロープや古い梯子を見つけた。
赤テープがぶら下がっていて、ここが長谷部新道出合いであった。
長谷部新道はもっと廃れているものと思い、分かりにくいのではないか心配していたが、
分かりすぎるくらい踏み跡がしっかりあった。
安全な場所で、沢用シューズから登山靴に履き替えて一路、千畳敷を目指す。
しばらく歩けば、行く先に千畳敷のロープウェイ駅舎が見えてきた。
ハイマツがしっかり生えていて樹液が手に付きベタベタになった。
長谷部新道を1時間弱歩いた頃、ようやく千畳敷に到着した。出発から約5時間の行程だった。
ポンッと出たところが一般観光客の散策路で、ガサガサとヘルメットを被った大人三人が
ぞろぞろ出てきたから、その場にいた方たちは、なんだこいつら・・・?と思われたはずだろう。
千畳敷からは、昨日と同じくロープウェイに乗ってしらび平に降りそこからはバスで駒ヶ根駅へ向かう。
交通の便が悪い為か、バスで駅まで向かった乗客は私たち三人だった。
観光客のほとんどはマイカーらしい。
初めての沢登り山行は、大成功でした。そして山を登るのにこんなに楽しい歩き方があったんだ!と実感。
まだまだ知らないことがたくさんあります。もっともっと、ずっとこれからも登り続けよう!
木曾駒ヶ岳上松道Aコースは、静かで、適当な位置に避難小屋もあって、たしかに穴場でした。
2晩目の夕食時には、翌日初体験する沢登りに少々動揺しているようでしたが、過ぎてしまえば、それもまた楽しい思い出。結果的に、らいちょうのあしのお二人の体力と技術力をもってすれば、西横川の遡行は呆気ないくらいのものだったのではないかと、心配しています。
「沢登りのコツも少しずつ分かってきたような気がして、自分でどこをどうやって登っていくのか考えるのが楽しく、夢中になってしまう。」という辺りは、遡行中に私も感じていました。
秋も深まった時季に、関西方面の沢登り……というのも考えられます。
今後とも、よろしくお願いいたします。