ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第5節 福島ユナイテッドFCvsいわてグルージャ盛岡

2023-04-07 18:18:29 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

続々とJ2昇格するクラブが現れ、今やJ3の側が少数派となってしまった東北勢。
その中でも福島は、J3発足当初からのクラブであるにも拘わらず、昇格の縁が無いという立場になりました。

対戦相手の岩手は前年の1年のみですがJ2を経験。
昇格→降格という経緯を歩み酸いも甘いも知り、それを還元すべく監督の秋田豊氏が社長へ転身するという荒業を使ってきたオフ。
空いた監督業を受け継いだのは松原良香氏で、現役時代の南米でのプレーを指導者歴に生かさんとしている人物。
前年までは大学講師としてその研究に勤しむという変わり種の人材であり、ここに来てJリーグの監督へ移行(一応、2015年に相模原で3試合のみ指揮の経験あり)と、ここからどんな歩みを見せるか興味津々といった感じでしょうか。
しかしこの日は悪い意味で目立つ事となってしまいました。

キックオフから中々ボールが落ち着かない状況が続き。
福島はその中で何とか攻め込まんとするも、岩手の速いプレッシングの前にその攻撃は殆ど形にならず。
数多の選手が移籍でチームを去ったとはいえ、この日は前年J2を経験した選手がセンターラインならびに前線に揃って起用されていた岩手。
修羅場を体験した事が、強度の違いに明確に表れる格好となり。

そうしてペースを手繰り寄せ、好機を作り始める岩手。
そのビルドアップはボランチを1人降ろし、最終ラインを3枚にしたうえでサイドバックを高く上げるという定型の形。
しかしこのクラブには宮市・クリスティアーノ(ないしはこの日ベンチスタートのドウグラス・オリベイラ)狙いのロングボールという手段があり、入りからそれを散々見せた事で、繋ぐのも容易となります。

前半9分、藤村のミドルシュートがブロックされたのち、福島の攻撃を切って再度作り直しとなった岩手。
仕切り直し直後でボランチの降りが無いと踏んだ福島サイドは、すかさず2トップがセンターバックにプレスを掛けるも、GK丹野が前に出てビルドアップをカバーする事でそれをかわし。
そして甲斐のミドルパスを降りて受けにいったクリスティアーノ、ダイレクトでのスルーパスを選択して右サイドで石田が抜け出す局面を作ります。
石田の中央へと向かうドリブルはディフェンスに遭うも、エリア内へこぼれたボールを宮市がポストプレイで繋ぎ、すかさず石田が反応してシュート。
プレッシングを見事に逆手に取る形で、先制点に辿り着きました。

序盤の失点で色を失う、という形となった福島。
気を取り直し、こちらも最終ラインからの繋ぎをメインとして反撃体制を作ります。
こちらのビルドアップは殆ど可変を行わず、せいぜいアンカー上畑の脇でシャドーが降りてきてボールを受けるぐらい。

対する岩手、先制したのちはアンカーを常時クリスティアーノがチェックしてミドルプレス、というぐらいの前線の守備意識。
15分、大武がそのクリスティアーノに付かれている上畑にパスを送り、虚を突かれた格好となったクリスティアーノを上畑が剥がし。(その後ロングパスを送るも三木には繋がらず)
後方の選手が多少無理をしてでも運ぶ事で、プレッシングが控えめとなった岩手の隙を突かんとしていたでしょうか。

しかしその意に反して、立ち上がりの岩手の圧力を受けていた影響か、中々歩が進まないCB。
特にスペースがあるにも拘わらずドリブルを選択しない雪江に対し、監督の服部年宏氏から「運べよ」という檄が目立ち。
また全体的に勝負のパスが早く、浅めの位置で送るスルーパスが悉く岩手ディフェンスにカットされる事で、中々好機を生み出すに至りません。

そんな中で24分に事件の伏線となる一幕が生まれ、GKからのビルドアップでアタッキングサードを窺う福島。
しかし右ポケットを突くスルーパスは、走り込む古林に対し新保が蓋をして攻撃終了となり。
ボールがラインを割るかどうかというタイミングで主審(友政利貴氏)の笛が鳴り、(古林の)反則かと思われましたが、何故かGK丹野がボールを持った状態で試合再開となります。
ドロップボールだとしたら、何故……と首を傾げるシーンとなります。

自分としては以前(2年前の試合)にこうしたJ3の試合における審判のコントロール能力の無さを目にしたこともあり、試合画面を見ている側としたら「まあ仕方無いか」で済んだでしょうが、済まなかったのが岩手ベンチ。
当然ながらこれに異議を飛ばしていた監督の松原氏、フラストレーションを溜める事となっていたのでしょう。

その後30分に、再び福島の攻撃が切れたというタイミングで、画面外で何かを蹴ったような大きな音が響き。
それでも試合が継続され、福島がビルドアップを敢行する中、今度は松原氏らしき「何らかの暴挙を行い(審判に対して)弁明する」というようなニュアンスの声が上がります。
そして試合が止まると、主審の長い笛が鳴り響き、ピッチ脇の松原氏に対して警告を突き出し。
しかしそれでは終わらず、他の審判から何があったのかを無線で聞かされた主審は、処分を変えて赤い紙を突き出します。
つまりは退席処分であり、前半半ばで早くも指揮権を取り上げられてしまった松原氏。(その後の放送席の談から、ペットボトルを蹴ったとの事)
その後監督としての役割は金成勇(キムソンヨン)ヘッドコーチが務める事となりましたが、ピッチ上の岩手選手としては、突然の出来事に混乱を収めるのに趣を置く事を強いられます。

そんな相手の隙を突きたい福島ですが、その後も攻めの調子は変えられず。
ショートパス主体のビルドアップから、中盤辺りでスルーパスを狙うという攻撃は変えるは無く、それにより結果も不変。
フィニッシュに辿り着く事はままならないまま終盤を迎え。
41分に岩手が縦パスを降りて受けたクリスティアーノのスリップでボールロスト、こぼれ球を雪江がすかさず縦パスして攻守逆転。
受けた長野がドリブルでバイタルを突き、ペナルティアークからシュートを放ったもののGK丹野がキャッチ。
ここから潮目が変わり(転んだ際にクリスティアーノが足を痛める)、以降前半終了までに3本シュートを放つ福島。
45分に初のCKを得るという具合に、ようやく本格的に押し込みに入った、いや入れたと言った方が正しいでしょうか。

それでもスコアは動く事無く、0-1で迎えた後半戦。
ハーフタイムで1枚交代を敢行した福島、粟野→吉永へと代えて臨みます。

監督を失ってのプレーを強いられた岩手ですが、HTが挟まれた事で意思統一された感があり。
後半1分に新保のアバウトな蹴り出しから好機を作り、敵陣で溜めを作って石田が右サイドからクロス。
これをファーでクリスティアーノがヘディングシュート、ループでGKを越える軌道となるも、惜しくもゴール上へと外れ。

7分には福島の攻撃、後方から雪江がミドルシュートを放つもブロックされ、これを拾った岩手がカウンターに持ち込み。
左サイドで溜めを作ったクリスティアーノから、上がってきてパスを受けた藤村がエリア内を突いてシュート。(枠外)
しっかりと守備を固めてカウンターに徹し、自発的な攻撃はロングボール主体、といった感じとなったでしょうか。
また前半に足を痛めたクリスティアーノを、10分という速い段階で退かせてドウグラスを投入します。(同時に中村→松原へと交代、松原がボランチに入り2列目は右から宮市・和田・藤村に)

そんな岩手の状況から、ボールを握っての攻撃に活路を見出すしかなくなった福島。
前半は尻すぼみだった左右CBの攻撃参加も目立ち、人数を掛けて崩さんとします。
サイドでCB・ウイングバック・シャドーによるトライアングルを形成しながら、ショートパスを繋いで隙を伺う体制に活路を見出し。

しかしやはり(J3では)屈強な岩手の守備陣を崩すには至らず。
時折挟まれる、「岩手の選手が倒れるもノーファール」というシーンに、フラストレーションを与えるに留まり中々攻撃権を確保出来ません。
それでも16分にCKを得たというタイミングで、その影響か17分に異議?で田代が警告を受けるシーンもあり。
直後のCKではサインプレーを選択し、遠目から小林のボレーシュートで隙を突いたものの、これもブロックに阻まれ崩れず。

それでもこのブロックの際に石田が腹部を痛める等、アクシデントが常時付き纏うこの日の岩手。
担架で運ばれる事態となった石田、一旦はピッチに復帰しプレーを続けたものの、23分に再度倒れ込んで続行不可能となってしまい。
桐へと交代し、宮市がスクランブル的に右SBに回る事となりました。
その直後(25分)に福島も、三木→延へと交代。

相変わらず、スローインの判定などを巡って岩手サイドの異議が目立つ状況の中、強引に押し込みを果たす福島。
30分にCKを得ますが、クロスの跳ね返りを拾った上畑が左サイドへ展開するも、あろう事かコース上に居た主審に当たってしまい攻撃が途切れる事となり。(その後ドロップボールも一旦戻して作り直しを強いられる)
難儀なシーンを演出し続けてしまったこの日の主審。

それでもホームでこのまま終わる訳にはいかない福島。
32分に人数を掛けてパスワークで前進、延が右ポケット奥を突くシーンを作り上げ。
このマイナスのクロスはクリアされるも、ワイドで拾った古林がさらにカットインを仕掛けた所、新保に引っ掛けられて反則・フリーキックに。
角度の小さい所でのFKでしたが、キッカー宮崎はクロスと見せかけてゴール左を襲うボールを入れ、GK丹野がパンチングでセーブと脅かします。

しかしこれが限界だったのか、すぐに岩手がペースを握り返し。
やり返すように右サイドを前進し、桐のエリア内へのスルーパスに走り込んだ和田がシュート、ブロックに防がれてCKに。
ここからCKが連続し、37分の2本目のCKでは、先程の福島と同様にサインプレー。
エリア外に高く上がったクロスを、遠目から藤村がボレーシュートと変化を付けるも、ブロックに遭い福島がカウンターの体勢に。
しかしここから、フィニッシュした藤村が素早い戻りでカバー、浮き球を収めた長野に対しスライディングでボールを奪う事に成功します。
そして拾った田代が再び最前線へミドルパスを送るという、福島のポジトラを完全に突いた形になると、収めた和田がエリア内を突いてシュート。
ゴールネットを揺らし、目論見通りのカウンターで貴重な追加点を挙げた岩手。

キックオフの前に2枚替え、塩浜・宮崎→森・清田へと交代した福島。
そのキックオフからの攻め(39分)で、例によって右サイドでショートパスの連続による前進、古林のクロスへと繋げ。
クリアされたボールを後方から鈴がミドルシュートを放ち、ゴールを襲ったもののGK丹野が何とかセーブして右ゴールポストに当たり。
その跳ね返りを清田が詰めたものの、シュートはバウンドして枠外となり、ゴールに肉薄したものの結局決められず。

結局これが最も得点に近付いたシーンとなり、以降も地道にショートパス主体で攻め込むものの、好機が訪れない福島。
それを尻目に、40分に最後の交代を敢行する(藤村・新保→オタボー・李栄直、松原が左SBへ)など着実に逃げ切りを図る岩手。

アディショナルタイムに突入し、逆に岩手が敵陣深めでのボール奪取から好機。
左サイド奥での繋ぎから中央へ展開、宮市がミドルシュートを放つもブロックに当たり枠外に。
その後のCKで、クロスをキャッチしたGK山本のスローからカウンターに持ち込み(シュートまでは行けず)、リードされている側がカウンターという逆転現象が起こる珍妙な展開も生まれます。

結局最後までゴールに辿り着けなかったホームの福島。
0-2で勝利を挙げた岩手、判定面に悩まされながらも勝ち点3をしっかりと得た辺り、J2を経験して間も無いクラブの真価が見られたでしょうか。


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