※前回の金沢の記事はこちら(5節・山口戦、5-2)
※前回の磐田の記事はこちら(9節・町田戦、1-1)
<金沢スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 梶浦がプロA契約を締結。
- 9節(いわき戦、3-0)で完全ターンオーバーを敢行。そこから連続してスタメンに食い込んだのは小島・庄司。
<磐田スタメン>
前節(熊本戦、1-1)はドイスボランチを双方入れ替えた磐田。
3連戦の最終日(ルヴァン杯は含めず)故に、ルヴァン杯のレギュラーである山本康・藤原を試すという意図もあったのでしょうが、勝ちきれずに終わり。
この日は本来の遠藤・上原(針谷の故障以降レギュラーに格上げ)のコンビへと戻して臨みましたが、前節のコンビが2人ともベンチ外となっている所を見ると、序列はまだ上げられていないようで。
その中間に位置するような鹿沼は、遠藤のスタミナ面をカバーする存在として定着していますが、ともかくこのボランチのやり繰りがホットラインとなりつつある近況。
磐田ボールのキックオフでスタートすると、そこから早速上原縦パス→山田ポストプレイ→遠藤裏へロングパスという、ボランチ2人がパスの出し手を担った攻撃を繰り出し。
ボランチ、特に超ベテランの遠藤のパスを軸とすべく振る舞います。
前半2分に得たコーナーキックでは、キッカー遠藤の中央へのクロスを鈴木雄が合わせ、ファーサイド奥へ浮いたボールを松原がヘディングしますがGK白井がキャッチ。
しかしそのメッセージは相手の金沢にも伝わったのか、あるいは試合前の対策か。
5分に立て続けに、プレッシングを掛けて遠藤からボール奪取という場面を2度作ります。
その1本目(こちらは嵌ったというよりは、遠藤のコントロールミスっぽい)では、奪った奥田がドリブルからシュートまで持っていき。(GK梶川キャッチ)
これで勢い付いた金沢、9分には再び敵陣深め左サイドでのボール奪取から好機、パスワークからバイーアがワンツーでの前進を経てミドルシュート。
ブロックされたボールをさらに加藤がエリア内へ送り、奥田のシュートに繋げましたがこれはオフサイドで無効に。
最近の好調ぶりがそのまま勢いに表れたという金沢ですが、直後の10分に急転直下。
スローインから右サイドでパスを繋いだのち上原が裏へ浮き球を送ると、走り込んだ山田には繋がらずもこぼれ球がエリア内へ。
そこに山田がさらに反応してシュートを放った所、藤村のチャージを受けて倒れる事態が発生。
シュートは決まらずも主審の笛が鳴り反則と、ラッキーというような流れでPKをゲットします。
反則を受けた山田が自らキッカーを務め、軸足と見せかけた左足でのシュートでGK白井の逆を突く技ありのゴール。
冷や汗の立ち上がりの中、これまでの実績(このカードは磐田の6戦全勝との事)通りまずは順当に先制します。
これでゲーム支配の流れを得た磐田。
その後も攻撃機会を作り続けますが、どうやら立ち上がりの反省から、遠藤を経由せずの前進へと切り替えたようであり。
前回観た町田戦然り、遠藤がボールの獲り所として狙われた際はどうしても不安定になる試合展開。
それを避けるような振る舞いが功を奏したでしょうか。
その遠藤はというと、ビルドアップの際は最終ラインに降りるか、ないしはサイドに開いてパスを受ける場面が目立ち。
最終ラインを3枚にする事でプレッシングをいなす役目か、奪われても被害が薄いワイドの位置で拘る、といった感じ。
そうした制約を設けても、磐田本来のパスワークで敵陣に切り込む流れを作るのは、山田をはじめとした百戦錬磨の選手揃い故にお手の物。
一気にプレスが嵌らなくなり守勢を強いられる金沢。
その間に追加点を取りたい磐田は、敵陣でのパスワークの中にも溜めを作るボールキープを織り交ぜる、アドバンテージを活かしての立ち回りも欠かしません。
29分にはその金子のキープに対し焦りを見せたか、庄司が後ろからチャージしてしまい反則、良い位置でのフリーキック。
右ハーフレーンの位置からドゥドゥが直接シュートを狙い、ゴール左を襲ったボールはGK白井が辛うじてセーブののちゴールバーに当たって跳ね返り。
何とか左CKに逃れるも尚も好機は続く磐田、今度は遠藤のショートコーナーから、ドゥドゥが再びハーフレーンからのシュート。
しかしこれもGK白井がセーブと際どく防ぎます。
ここからCKがさらに2本続くも何とか凌ぎ、守護神の好プレーに応えたい金沢。
37分、敵陣でのサイドを振ってのパスワークから最終ラインに戻し、井上が中央方面へ斜めの縦パス。
これを2トップの奥田・林が連続フリックで意表を突き、受けた加藤が抜け出す決定機が生まれかかった所、エリア内へ進入する直前で松原に後ろから倒されて反則。(これに警告無しなのは不可解)
エリアから本当にすぐ手前という位置で、直接FKを得ます。
しかしバイーアの直接シュートは壁を直撃と、PKで無かったのが悔やまれる絵図に終わり。
磐田にはPKが与えられ、金沢にはPKとならずと、紙一重の差がスコアに反映されたかのような前半。
しかしその前半のうちにさらにスコアが動く事となり。
44分、GK梶川ロングフィード→ドゥドゥ落としの2手で好機を作る磐田、拾った大津が左サイド奥を突いてカットイン。
そして左ポケットから強烈なシュートを放ちますが、ゴールバーを直撃してしまいモノに出来ず。
しかし尚も攻撃継続して右CKを得た磐田、キッカー遠藤のクロスをニアサイドで合わせにいった鈴木海。
これはミートせず逆サイドへ流れるも、拾った上原からのクロスをファーサイドで山田が足で折り返し、そして鈴木海が足でシュート。
今度こそゴールネットを揺らし、追加点を挙げた磐田。
尚、このCKの前にシュートを放った大津がその際に足を痛めてしまったらしく、前半の残り時間を痛みに堪えながらプレー。
そして前半終了を迎え、無事に交代機会を消費しないハーフタイムでの交代に持っていきました。(後藤を投入)
一方の金沢はHTでの交代は無く、何処で巻き返しのカードを切るかという思案を抱えての後半となり。
しかし動かざる事山の如し……というべきか。
流れを変えられない金沢を尻目に、縦横無尽にパスワークでボールキープを続ける後半立ち上がりの磐田。
後半4分には遠藤のスルーパスに後藤が走り込んでシュート(枠外)と、倍以上ある年齢差のコンビで更なる追加点も狙いにいき。
守勢に耐えながら、じっくり変節を待つ姿勢を作ったでしょうか。
直後の5分にそれは訪れ、降りてポストワークを果たした奥田から左へ展開し、バイーアのドリブルからのクロスがクリアされて左CKに。
キッカーは藤村でニアにクロスを送ると、合わせたのは庄司で巧く擦らせたヘディングシュートが右サイドネットに突き刺さります。
後半最初の好機を見事ゴールに繋げた金沢。
1点差としたものの、依然として磐田が攻撃権を支配する流れ。
しかし悪い意味で試合を動かしたのが、投入された後藤だったでしょうか。
10分に降りてポストプレイをしたは良いものの、味方のいない所に蹴ってしまいピンチを招きます。
拾った石原が右へ横パス、受けた加藤がエリア内右からシュート(中川がブロック)と際どい場面となり。
ここから展開は混迷気味に。
12分には磐田のゴールキック、GK梶川のフィードが直接最終ライン裏を突き、一気に右ポケットへ山田が走り込む事態となり。
そして中央へ送られた横パスを後藤が合わせシュートするも、GK白井のビッグセーブに阻まれます。
その後の磐田の攻撃を凌いだ金沢、15分に中央からパスワークで前進する所、奥田が松原の反則チャージを受けるも加藤が拾ってアドバンテージ。
しかし直後に金子のスライディングで奪われてしまい、反則無しに終わる(この判断自体は妥当)と、アドバンテージを反則とし直す事もしなかったたため金沢サイドにとって不満の残るジャッジとなってしまいます。
しこりを残しつつも16分に好機、ロングパスのセカンドボールを拾った加藤が前進から左ポケットを突くスルーパス、走り込んだ石原のクロスをファーサイドで林がヘディングシュート。
GK梶川がキャッチし、すかさずスローから攻め込む磐田、山田のミドルパスを右ポケットで鈴木雄が収めて横パス。
先程と酷似した流れを経て今度はドゥドゥがシュートするも、これもGK白井の左手一本でのセーブに阻まれ。
急速にオープンな展開にもなって来ました。
21分に遠藤→鹿沼へと交代した磐田。
力関係ではやはり有利な状況は変わらず、一旦攻撃が途切れてもサイド深めに追い込んだ末に苦し紛れの縦パスをカットするなど、金沢の逆襲を阻むシーンを目立たせます。
流れを変えるべく、金沢ベンチが動いたのが26分。
林・奥田→バイアーノ・杉浦と、2トップを揃って交代させてきた柳下正明監督。
バイアーノのフィジカルを押し出す攻めへと移行し、28分には浮き球を収めたバイアーノがアタックを受けて倒れると、そこにさらに鈴木雄の追撃?を受けて反則に。
この左サイドからのFK、キッカー・バイーアのクロスをバイアーノが折り返しと、こう書くととどちらがどちらか解らなくなるコンビの流れを経ての二次攻撃。
再び左サイドのバイーアのクロスから、ニアサイドで杉浦がヘディングシュートを放ちますが、枠を捉えられず。
それでも攻勢に移行する事は出来ず、30分にはプレッシングを受けてのパスミスで磐田にCKを献上してしまい。
流れを得れず尚も磐田に攻撃を受け、34分には長いパスワークの果てに左ポケットを突いての山田のマイナスのクロスがドゥドゥに合いかける(ミートせず)という危機も。
さらに交代カードを使い、35分に加藤・石原→嶋田・小野原へと2枚替えを敢行してもそれは同じであり。
一方高いボールポゼッションで金沢の攻撃機会を減らしている磐田も、未だ若年の後藤の存在が足枷となっている印象。
長身だがポストワークに難があるという、リードを維持したいこの日のような局面では使い辛い駒なのでしょうが、それでも使わざるを得ない程薄いFW陣。
相手の徹底チェックに遭う事は必至な現状の中、いかに「自分がゴールを決める」という意識を良い意味で薄められるかが今後のカギとなりそうです。そうでないと森本のような流れになりそう
試合の方は、40分に磐田がカードを切り、山田→松本へと交代して金子がトップ下へ。
まだカードを残しながらも、これが最後の交代となった磐田。
パスワークでゲームを支配しながらも、追加点を奪えずに迎えた試合終盤。
44分に松原のフリーで放たれたシュートがGK白井にキャッチされた所で、以降逃げ切りへとシフトしたでしょうか。
アディショナルタイムに突入し、右サイド奥へ持ち込んでのボールキープ、スローインも交えて時間を進めていく磐田。
ここでは流石に後藤もその輪に加わり、勝利に徹する姿勢を見せ。
何とかそれを切った金沢、GK白井のロングフィードを合わせにいったバイアーノが反則を受け、最後のチャンスというべきFKに。
キッカー・バイーアの左からのクロスが流れ、エリア内右で井上が拾って再度クロスを入れ、ニアで小島が合わせましたがシュートとはならず。
結局1-2のままスコアは動かず、磐田が4勝目に辿り着きました。
これで7戦全敗と、このカードでハッキリ優劣を付けられている金沢。
柳下監督の古巣である磐田だけに、在籍しているうちに切りたいという思いもあるでしょうが、それは叶わずとなりました。