<両軍スタメン>
- 広島ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
- マリノスは、エウベル・西村の2名が出場停止。(前者は累積警告、後者は退場による(2試合))
ともに、今季も幕を開けたACLを挟んで迎えた一戦。
そのACLは形態が変わり、ACLエリートとACL2に分かれての開催となり、リーグ3位のクラブは2への参加という形式へ。
そのためこの日相対した広島とマリノスは、マリノスはエリート、広島は2へ参加と袂を分かちました。
前シーズンで惜しくも準優勝に終わったマリノスは、その第1節で盛大にやらかしてしまい。
韓国・光州FCに7失点での大敗を喫した(3-7)事で、リベンジどころかクラブの危機、という思いを植え付けられたであろう関係者。
まるで決勝戦2戦目の大敗(アル・アイン戦、1-5)を未だ引き摺っているかのようでしたが、建て直しはなるかどうか。単に監督交代ブーストが切れただけともいう
そのマリノス、キックオフから保持を続けて広島のプレッシングを引き込み、
エドゥアルドの裏へのロングパスに井上健が走り込んで左からクロス。
ブロックされるもコーナーキックといきなり好機に辿り着くと、上げられたクロスから畠中がヘディングシュート、枠を捉えられずに終わるも幸先良くフィニッシュを放ちました。
ハイプレスの広島に対し、この疑似カウンター的な立ち回りで、チームを取り巻く負の空気を一掃したかったと思われるマリノス。
しかしそれは2つの要素で無に帰す事となり。
一つは広島の早々の先制点で前半3分、右スローインで一気に裏を取られてしまい、奥へ抜け出した加藤陸のマイナスのクロスから。
受けたアスルランがディフェンスに遭うもパシエンシアがこぼれ球をシュート、ブロックに当たってゴール左へ転がるボールをGKポープが何とかセーブするも、尚も左奥から東がグラウンダーでクロスと継続され。
そしてニアで合わせにいった川辺のフリック(意図的では無いと思われる)で流れたその奥で、綺麗にフリーとなっていた加藤陸が仕上げ。
何度もエリア内を右往左往させられた末に、早くもビハインドを押し付けられる事となりました。
これでリードした広島は、無理なハイプレスを掛けずとなったのが二つ目の要因。
仮にそうで無くとも、1トップはチームに合流して日の浅いパシエンシアという要素もあり。
未だトップコンディションで無いのは明白で、前線の守備はエドゥアルドの監視のみという姿勢で機動性はままならないようであり、彼を組み込んでのプレッシングというのは分が悪い。
そのためマリノスの保持に対しては、ミドルプレスないしはリトリートという全体の姿勢に落ち着きました。
これにより、マリノスは従来のような電撃的な「アタッキングフットボール」のスタイルを取る事が出来ず。
ボール保持で隙を探すという、ポゼッションは高まるものの「ボールを持たされている」状態を押し付けられる危惧が膨らむ状況に。
そして案の定、ボールを持たされた末に好機に繋がらず終了というシーンを頻発させ。
しかしより深刻なのは、ボールを失った後のゲーゲンプレスが機能しないという事であり。
広島の巧みなボールを守る姿勢により、奪えずに前に出た所を突かれるの繰り返しで、何度も危機を招いてしまいます。
こうした劣勢ぶりを受け、16分には自らのパスミスからの危機。
右サイドで拾った広島は加藤陸のサイドチェンジで密集を脱し、そのパスは遮断されるも川辺が繋いでアタッキングサードに持ち込み。
アスルランがミドルシュートを放つも、天野がブロックと何とか防ぎ。
流れを変えたいマリノスは19分、最終ラインからの繋ぎで右からの前進は遮断されるも、すかさず山根がカットしたのちサイドを左へ移して再度前進。
左奥を取った井上健がポケットへパスを送ると自らもパス&ゴーで進入、永戸のヒールでのポストプレイを受け直し、そのまま勢いに乗ってカットインシュート。
これがゴール右へと突き刺さり、エウベル不在の穴を綺麗に埋めるような同点ゴールが生まれました。
これにより意識も持ち直し。
21分パスワークで敵陣に進入も、広島の守備の堅さを受けてGKまで戻し。
そしてGKポープから地上で前進し直すという具合に、相手の出方を見たうえでポゼッションによる崩しを徹底せんという意思を見せ始め。
しかしエリア内へのスルーパスがカットされると、佐々木のパス出しを止められないというゲーゲンプレスの機能性の無さが再度露呈してしまいカウンターに。
左スペース(マリノスから見て右)へラフに送られたそのパスを、拾ったアスルランがそのまま持ち運びに入ると、カットインから強烈なミドルシュート。
エドゥアルドのブロックでコースが変わった事もあり、ゴールに突き刺さりあっさりと勝ち越しを許す形となってしまいます。
これで再びリードを奪った広島、ホーム・エディオンピースウイング広島のその高揚ぶりも収まらず。
マリノスは気を取り直し反撃に掛かるも、悪い事は続くものであり。
それは負傷というアクシデントで、25分に縦パスを降りて受けたロペスのポストワークから好機、敵陣でのパスワークに持ち込み繋ぎ続けた末に右からマテウスのアーリークロスがニアサイドへ。
これを跳んで足でトラップした天野、その動作自体は華麗の一言でしたが、着地の際に足を痛めてしまう副作用に襲われてしまいます。(フィニッシュも撃てず)
エリア内で倒れ動けない天野を尻目に、尚も保持を続けたマリノスでしたが結局は自発的にプレーを止め。
そして足を引きずりながらピッチ外へと出た天野、無念の交代に。(植中を同ポジションで投入)
その後もめげずに攻め上がるマリノス、山根が2度中央からシュートを放つ(31分と34分)ものの決められず。
相手の槍を受けながらも冷静に凌ぐ広島は、攻撃でもその冷静ぶりを発揮。
ACLで露呈したマリノスの弱点であるサイドバック(メンバーは違うものの)の裏を突きに掛かり、レイオフ→ミドルパスという定番の裏の取り方も冴え渡り。
36分、またもマリノスのパスミスから矢印を反転させる広島、アスルランのポストプレイを潰した松原の反則でフリーキックに。
ここからFK→CK2本とセットプレー攻勢を続け、フィニッシュは放てずも、マリノスから気勢と冷静さを失わせるのに成功したでしょうか。
40分、広島は再び後方から塩谷のロングパスで右サイド裏を突く攻撃で、受けた加藤陸が右ポケットへ進入しグラウンダーでクロス。
マリノスディフェンスはオフサイドトラップのためラインを揃えたものの、パシエンシアしか見ておらずに2列目から跳び出した加藤陸に対し全くの無警戒と残念な対応に。
そして入れられたグラウンダーのクロスを、アスルランが合わせてキッチリネットを揺らします。
どう転んでも優勢ぶりは動かないという、追加点を挙げた広島。
その後も、加藤陸のミドルシュート(43分)やパシエンシアのヘディングシュート(45分、ここもパスミスからの好機……)が襲い、必死の凌ぎで上下動を強いられるマリノス。
このまま2点差を保てれば御の字……と言った流れで迎えたアディショナルタイム、GKへの戻しで引き込んだ広島のプレッシングを剥がしての前進に持ち込み。
畠中縦パス→ロペスポストワークで右へ展開と、その一矢を繋げて好機を迎えると、松原→渡辺皓と経由して受け直したロペスがパワフルにドリブル突破。
そのまま右ポケット奥へ切り込み、前に出たGK大迫を冷静に抜く、小さいループシュートで左サイドネットを揺らし。
前半のうちに1点差に詰め寄る、僥倖を齎します。
再び激しく追われる身となった広島ですが、残り時間は冷静にボール保持。
サイドチェンジ中心の大きな展開を繰り広げる事で、マリノスから体力を奪いに掛かるというクレバーさが、派手な試合故に目立たないながらも目につきました。
結局そのまま3-2で前半終了となり。
そしてハーフタイム、やはりパシエンシアは前半のみとなり新井と交代。
新井が右ウイングバックに入る事で、五月雨的に加藤陸がFWへ・松本泰がシャドーへ・塩谷がボランチへ・中野が右センターバックへとポジションチェンジが起こり後半に臨みました。
やや消極的とも見える交代策でしたが、決め事がハッキリしているのならばその効果は覿面であり。
そして後半3分、GKポープのロングフィードを跳ね返して右サイドでボール確保する広島、遅攻に入ると思われたその刹那投入された新井が強烈にカットイン。
そしてハーフレーンで切り返しからの直進でポケットを突くと、そのままシュートを放ってゴールネットを揺らし完遂。
前半同様、後半も開始3分で得点した広島により、再びリードは2点となりました。
再度猛烈な巻き返しが必須となったマリノス。
しかし広島はパシエンシアが退いた事で、機動性が担保された前線がハイプレスに出る場面を膨らませます。
何とかロペスへ縦パスを通さんとしますが、タイトに寄せる荒木の前に機能する事は稀となり。
11分、植中のポストプレイからの繋ぎで、中央で受けたロペスがドリブルに入るとその荒木を剥がし。
再びパワフルな推進を見せて好機に持ち込み、エリア内に入り込んでシュートを放ちましたが中野のブロックに阻まれ。
ここからCKを2本続けるも攻めきれずとなり、ベンチも動き14分に山根→榊原へと交代します。
しかしその直後でした。
広島は右スローインからの組み立てでクロスに持ち込むも、跳ね返りから今度は逆の左で東がグラウンダーでクロス。
ニアで跳び込んだ加藤陸には合わずも、ファーに流れたボールを新井が折り返すと、再度シュートに持ち込んだ加藤陸がゴールネットを揺らします。
これで3点差……と思われましたが、待ったを掛けるかのようにVARチェックが入り、長期に渡った末にOFRに持ち込まれ。
そして判定が覆り、最初の加藤陸の跳び出しによるオフサイドという事で、得点取り消しとなり2点差のままで再開されました。
命拾いしたマリノスですが、2点差を追い掛けなければならない展開は変わらず。
分かっていてもロペスが降りてポストワークで展開→自らフィニッシャーという、彼の働きに賭ける攻めを貫き。
そして左の永戸のみならず、右の松原も「偽SB」の色を強めるなど、総員突撃というスタイルでこじ開けに掛かります。
21分には降りて受けたロペスが右へスルーパス、走り込んだマテウスのクロスに合わせにいくロペスという、その通りの攻め。
ディフェンスに遭いこぼれた所を井上健がシュート(川辺がブロック)と、エリア内で乱戦に持ち込めればまだ一山ある、という展開に。
受けに回る時間が長くなった広島、28分にアスルラン→満田へと交代。
随時運動量を確保するためカードを切る、という流れですが、直後にマリノスがあろう事か最終ラインでパスミス。
拾った東のスルーパスが左ポケットに送られると、松本泰のクロスがブロックされこぼれた所を加藤陸がエリア内中央からシュート。
この決定的なフィニッシュを、エドゥアルドが何とかブロックし防いだものの、これを境に広島に押され始め。
やはり拙い試合運びは、それによる体力・精神力の消耗が半端無いといったその後の展開でした。
象徴的なのが32分、マリノスの自陣からのFKになった所、畠中の蹴り出しが直接真横の加藤陸にカットされるという目を覆う状況に。
そのままエリア内へ送られたスルーパスから、走り込んだ満田のシュートをGKポープがセーブし何とか失点は防ぐも、こうした絵図が膨らめば反撃の気運は高まる筈もありません。
それでも36分、再びロペスのポストワークから好機となり、左へ展開ののち井上健がカットインでエリア内へ切り込み。
そして中央へ出された横パスをマテウスが合わせましたが、ふかしてしまい決められず。
直後にベンチが動き、残されたカードを全て使い。
永戸・松原・井上健→渡邊泰基・加藤蓮・水沼と3枚替えを敢行します。
しかしその直後、GK大迫のロングフィードのセカンドボールを確保すると、お決まりの右サイド裏を突く攻めを見せる広島。
新井スルーパス→満田奥からクロスという、その単純明快な攻撃すら相変わらず止められないマリノスを尻目に、ファーに上がったボールを東がボレーシュートで仕留め。
GKポープのセーブを掠めてゴールに突き刺さり、試合を決定付ける5点目を叩き出しました。
その後も松本泰にエリア内でシュートを浴びる(40分、ブロック)など、攻め続けられるマリノス。
勝ち点を得るのが困難に陥ると、完全に羽を伸ばす広島のハイプレスにより戦いの姿勢を見せる事すらままならなくなります。
即ちプレス回避が出来なくなり、敵陣でカットを頻発させて尚もゴールに迫る広島という展開に。
(広島は42分に加藤陸→ピエロス・ソティリウに交代)
43分の広島の右サイドからのFK、キッカー新井はエリア手前へのクロスと変化を付けると、逆サイドで受けた佐々木が本命のクロスを入れ。
そして荒木がヘディングシュートでゴールに突き刺しましたが、これはオフサイド判定に引っ掛かり。
確認のためのVARがこれまた長時間取られますが、結局オフサイドで変わらず。
ここは幻に終わったものの、突入したAT。
またも敵陣深めでの川辺のパスカットと、最早目も当てられないマリノスのビルドアップ。
ソティリウのエリア内中央からのシュートはブロックに阻まれるも、尚も右CKで継続すると、キッカー新井のクロスからソティリウがヘディングで再びシュートを放ち。
今度はGKポープも動けずにネットに突き刺さる完璧なフィニッシュとなり、ついに6点目。
止めを刺す事に成功した広島は、その後残っていた交代カードを使用。(東・松本泰→イヨハ理ヘンリー・柏)
マリノスに最後の意地も見せられる事無く、無事にそのまま逃げ切って試合を終了させました。
これで町田をかわし、首位浮上(2度目)に成功とホームのなか申し分無い一日となり。
一方、泥沼に入り込みかねないマリノス。
ACL含めたこの2戦で膿を出しきった、と後から言える日は訪れるでしょうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます