※前回の金沢の記事はこちら(39節・山形戦、0-1)
※前回の岡山の記事はこちら(40節・栃木戦、1-1)
<金沢スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 前節(大分戦、2-2)で最下位が確定し、同時にJ3降格が完全に確定。
- 基本布陣は4-4-2だが、マンツーマン守備故に加藤潤がアンカーを見る役となるので実質ダイヤモンド型4-4-2(4-3-1-2)という感じに。
- 柳下正明監督の今季限りでの退任が決定。後任は現在のところ不明。
- GK白井の負傷が発表され、39節に発生して全治2~4週間との事。
<岡山スタメン>
- ルカオが累積警告により出場停止。
- 今季限りで退団のヨルディ・バイス、永井がスタメン出場。
- 同じく今季限りで退団の濱田・福元がベンチ入り。(福元は正式発表は試合後だが、放送席で語られていた)
- 井川が今季初のベンチ入り。
来季から新スタジアム(金沢ゴーゴーカレースタジアム)開場となるため、ラストマッチとなる金沢のホーム・石川県西部緑地公園陸上競技場。
そして前節の翌日に7年間指揮を執った柳下監督の退任を発表と、色々なものが最後となるこの試合。
既にJ3降格が決定しているクラブ故に、これがJ2最後の試合とならない事を今後祈るばかりです。
一方の岡山も、前節で昇格の望みが完全消滅。(といっても、前日の甲府の結果で試合前に既に決まったものですが)
そのため肩の荷を下ろしたかのように、この試合は既に退団が決まっている選手を一斉に起用する選択を採り。
今季一桁の出場試合しかない永井・濱田・福元が揃ってメンバー入りする事となりました。
試合が始まると、金沢は左サイドハーフ・加藤潤がほぼ中央に張りっぱなしの布陣を取り。
マンツーマンディフェンスを貫くスタイルで、相手のアンカー・輪笠のチェックを請け負うが故の現象なのは言うに及ばず。
前半4分にはその加藤潤が右サイドで縦パスをカット、その後味方が同サイドでパスを繋ぐなか最前線までボールを受けにいきコーナーキックに持ち込み。
この右CKから、二度目の逆サイドからのクロスを孫が合わせヘディングシュートを放ちましたがゴール上へと外れ。
そんな金沢のシステムが齎す流動性に手を焼く岡山。
9分、金沢の敵陣深めでの右スローインをバイスが直にカットするも、ここからの運びを強いられるビルドアップ。
当然ゲーゲンプレスを受けるものの、鈴木ミドルパス→坂本ポストプレイ→輪笠ダイレクトで縦パスという定番の流れで脱出し、木村太のドリブルに繋げます。
そしてアタッキングサードで晒す体勢から縦突破し、ポケット奥からマイナスのクロスという好機を作る木村太。(クリアされ実らず)
中々激しい攻防となりましたが、12分にミスから試合は動き。
GK山田大からショートパスでのビルドアップを選択した岡山ですが、左へ展開ののち縦パスを受けた田部井、前を向けずにバックパスを選択。(ここで輪笠が前に出てパスコースを作ったもののそちらは見れず)
しかし山田大が左(田部井から見て右)に寄っていたため、杉浦を視野に入れたのが影響したのか、そのパスが反射的に彼を避けたかのようにズレてしまいます。
その結果中央で反応した林にダイレクトでシュートされ、ゴールに流し込まれるボール。
これが金沢にとって31節(順延)・群馬戦以来の先制点と、得点するのに難儀しているチームにまさに献上する形となってしまいました。
気を引き締めて反撃したい岡山。
その後も金沢の守備対応に苦しむ中で、先程良い突破を見せた木村太を活かす方針を採ったでしょうか。
17分、再びゴールキックから短く繋ぐ姿勢を経て、左への展開でボールを持った木村太がドリブル。
今度は奥を窺ってからマイナスのカットインを選んだ木村太、そのままミドルシュートを豪快に放つもGK三浦がキャッチ。
木村太という鋭い槍で左サイドを脅かす姿勢を取りながら、金沢のマンマークにも徐々に対策を取り始め。
流れの中で輪笠と仙波の位置が入れ替わると、金沢サイドは加藤潤は輪笠のマークを受け渡して中央に張ったままに。
ある程度はこうしたゾーン守備も取り入れていたようですが、18分には本山がボールを持つなか、仙波が前に走って梶浦を引き付け。
そこに出来たスペースを本山が持ち上がったのちスルーパスを送る(右奥で受けた仙波がクロス)という具合に、その境界線は曖昧(というよりは、加藤潤システムと言うべきか)といった感じでした。
こうして無事に反撃体制を形成した岡山。
好機はCKからが多く、19分の右CK、キッカー河野のクロスをファーサイドで木村が合わせヘディングシュート。(GK三浦セーブ)
24分のCKでも、同じく河野のクロスを中央でヘ鈴木がディングシュート(前方の坂本に当たって跳ね返り)と、得点が生まれるならばセットプレーという印象を強くする流れに。
しかし28分、流れの中から好機をモノにします。
再三行っている左サイドアタックですが、今度はスルーパスに田部井が走り込んで深さを取ってからの攻撃。
そして例によって木村太のキープを経て、手前から輪笠の低いクロスが入ると、合わせにいった永井が巧みな動きで脚から跳び込んでシュート。
これがディフェンスに入った孫の前を取る姿勢から一転、瞬時に後ろに回って右足を出すという唸らすもので、ゴールネットを揺らして同点に。
今季初スタメンの選手が満点の働きをした岡山、契約満了の発表が例年早いクラブだけに「勿体無い」と思わせてくれるのは果たして嬉しい誤算か否か。
一方最後に勝利で締めたい金沢、35分に小島ミドルパス→杉浦足下でフリックを経てから、お馴染みの距離感の近い繋ぎで強引な中央突破。
エリア内に切り込んだ梶浦がシュート、河野のブロックでこぼれた所を杉浦が拾い、追撃せんとするもディフェンスに阻まれます。
ここからCKを2本続けるも、見所はこれぐらいとなり、以降再び岡山の攻勢に。
やはり金沢ディフェンスを攻略したという優位性が、試合の流れに色濃く表れる格好となり。
最大の好機は39分で、左から田部井のクロスが流れて金沢ボールとなるも、河野がボール奪取してショートカウンターの流れに。
坂本が右からのカットインを経て左へ送ると、今度は木村太が左ポケットでカットインという激しい展開を経て、ラストパスが鈴木に渡り。
そしてゴールに近い位置でシュートを放った(放送席ではクロス)鈴木ですが、ダイレクトで撃てなかったのが影響し寄せた庄司のブロックに防がれます。
その後も敵陣でボールカットするシーンを目立たせた岡山ですが、結局逆転は果たせず。
1-1で前半を終えます。
次第に劣勢を強いられた金沢は、ハーフタイムで動き2枚替え。
林・杉浦→木村勇・加藤大へ交代と、2トップをそっくり入れ替えて後半に臨みました。
始まった後半、岡山はやや微調整。
守備時には木村太が降りて来ず、オーソドックスな4-4-2という布陣で構える姿勢を取り始め。
この日絶好調の木村太をより活かすべく、システム面で調整を図った感じでしょうか。
しかし、結果的にミラーマッチのようになった事が拙かったか。
あるいは開き直りか、金沢サイドの動きが良くなった感があり、出足良くこぼれ球を繋ぐシーンが増加。
特に岡山選手のトラップ際を素早く奪い、好機に繋げる事でペースを掴んでいきます。
岡山サイドのミスも目立ち始め、10分には金沢の左スローイン、直接裏へと投げ入れたボールを奥で加藤潤が受け。
ここからのボールキープで囲まれてこぼれるも、岡山のクリアが味方に当たった所を拾い直した加藤潤。
戻しを経て藤村がミドルシュート(GK山田大キャッチ)と、相手の乱れを突く流れを作り。
その前の6分にも、木村勇のドリブルでカウンターになりかけた所をバイスが反則で止めて警告という具合に、劣勢ぶりが色濃くなる岡山。
その岡山が交代カードに手を付けたのは14分。
仙波→田中へ代えるも大きくは変わらず、微調整の通りに木村太を活かすべくの攻撃で応戦しますが、圧され気味な印象は拭えず。
一方の金沢も、良い時間帯に突入したものの、その中で得点出来ないのはこれまでと変わらず。
ともに好機は作るものの、11分の永井のヘディングシュート(GK三浦キャッチ)を最後にフィニッシュが生まれず試合は進んでいきます。
22分に岡山が交代、木村太を諦めて末吉を投入。
同時に今季初のメンバー入りとなった井川(退団はまだ決まっていない)を起用(輪笠と交代)する2枚替え。
末吉も木村太同様に推進力を発揮し、自らのドリブル・スルーパスへの走り込みで脅威を与えていき。
初出場の井川も、中盤の底でパスを散らすその姿は、臆する事無くという意識を保てているようでした。
(金沢は25分に奥田→石原へと交代)
両陣営の采配を経て、岡山が盛り返すという展開になり、ノーフィニッシュの均衡を先に破るに至ります。
28分には最終ラインからの前進を経て坂本がミドルシュート、庄司にブロックされてCKに。
その右CKから、クロスの跳ね返りをダイレクトで田部井がシュートにいくもミート出来ず。
こちらも金沢同様決定打を欠いているようであり。
それでも、最終戦故に退団決定選手を起用せざるを得なく。
濱田・福元を投入したのが35分で、それぞれバイス・坂本と交代し同ポジションに入り。
その後はお互いパスミスから危機を招くシーンを作るなど乱戦模様に。
岡山の最後といってもいい好機は39分で、ロングパスを永井が受けて敵陣左サイドで深さを取ってからのパスワーク、ドイスボランチ(井川・田部井)双方も加わった末に左ポケットに末吉を走らせるミドルパス。
そして奥でのキープを経てグラウンダーでクロスを送りましたが、合わせにいった福元が(梶浦への)反則を取られて撃てずに終わります。
直後の40分、金沢も加藤潤・梶浦→毛利・小野原へ2枚替えと、カードを使いきり。
この後、毛利がトップ下の位置取りで加藤大が右・石原が左となる、所謂4-2-3-1のような布陣を採ります。
これが効いたようで、岡山にとって普段サイドアタッカーの毛利が掴まえ辛くなるミスマッチを生み出し。
44分、岡山の縦パスのズレを庄司がダイレクトで縦パスで返してからの好機、受けた木村勇のポストワークを経て右から攻め。
そして加藤大がカットインでエリア内へ切り込み果敢にシュートを放ちますが、ゴール左へ際どく外れ。
続く45分、GKのフィードを毛利がカットしてからの攻撃。
木村勇へのスルーパスは遮断されるも、こぼれ球を毛利がダイレクトで遠目からシュート。
これがループでゴールを襲うも、上へと逸れて惜しくも決められません。
総じて中断が少なく、2分と短めとなったアディショナルタイム。
尚も押し込み、勝利に向けて諦めない姿勢を貫き続ける金沢。
しかし無情にもゴールは生まれず、試合終了の時は訪れます。
1-1で引き分けとなり、金沢は結局29節(甲府戦、2-0)以降未勝利で今シーズンを終える事となりました。
柳下監督の試合後インタビューに引き続き、感涙一色という雰囲気となるセレモニー。
同じ降格クラブである大宮のそれが怒号に包まれる時間が多かったのに対し、スピーチ中のブーイングの類はほぼ無く。(流石にフロント批判の断幕は掲げられたが)
最後は降格で締める事となったものの、柳下氏の下での7年間の冒険に終わりを告げるという意味合いが大きかったでしょうか。
再びの出直しを経て、J2に戻って来る時を待ちたいものです。
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