※前回の千葉の記事はこちら(5節・清水戦、3-1)
※前回の栃木の記事はこちら(3節・甲府戦、2-1)
<千葉スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 品田がJ1・FC東京からレンタルで加入し、前節(熊本戦、0-1)から登録されて即スタメン出場。
- 谷田の負傷離脱が発表され、3/13に発生して全治6~8ヶ月との事。
<栃木スタメン>
- 2節(山形戦、1-3)で負傷により交代(HTで)した佐藤の詳細が発表され、全治12週間との事。
前回観た際は勝利したとはいえ、その独特かつ歪な守備隊形が目を惹いた栃木。
内容を大まかに述べると、前線の守備は主に5人のみで行い、足りない部分は右センターバックのラファエルが前に出て補うというもの。
そのシステムは放送席の談(解説=渡邉一平氏)から、前節(長崎戦、1-1)も引き続き使っていた(放送席では、長崎のマテウス・ジェズスへのマンマークをしていたとの事)らしいのですが、それにより成績も上向き気味とあっては当然であり。
しかしこの日は、無残にもその欠陥が前面に出る試合絵図となってしまいました。
お互い主導権の奪い合いという入りを経て、先制攻撃を果たしたのは栃木。
前半3分左サイドで神戸がボールカットしてからの繋ぎを、中央で宮崎がミドルシュートを放って締め。(GK藤田キャッチ)
しかしその直後の千葉の攻撃でした。
最終ラインで繋ぐ千葉に対し、例によってラファエルが一列前に出た所をすかさずロングパスが送られると、見事にその可変した位置を突くように椿が抜け出して受け。
そして左ポケットを取ってグラウンダーでクロスが入ると、足から跳び込んだ小森が合わせてゴールゲット。
電光石火の如く、相手の動きを見破った末の先制点を手にしました。
いきなり出鼻を挫かれた栃木、追い掛ける立場になると非常に脆く。
主体的な攻撃方法に乏しく、個人での得点力もあるとはいえないチーム状態。
前節も、終了間際に追い付いて辛うじて引き分けという内容であり、シュート数では倍以上の差(7対15)を長崎に付けられており。
そんな相手にお構いなくと言わんばかりに、尚も苛烈に攻める千葉。
7分にはCBのメンデスが持ち上がり、椿とのワンツーを経て自らミドルシュートを放ち。(枠外)
9分には先程と同様ラファエルが前に出た所を左サイド裏へロングパスが送られると、走り込んだ日高のポストプレイからパスワークに入り。
そして横山のポケットへのスルーパスから、またも椿がグラウンダーでクロスを送り、ファーに流れた所を高橋が走り込んでシュート。(ブロック)
最終ラインの選手も、果敢にフィニッシュを狙うなど前への意識は旺盛という感じでした。
この日はドゥドゥがベンチスタートとはいえ、普段の千葉の左サイドで日高とサイドハーフの二枚看板を押し出す攻撃姿勢に対し、栃木のシステムが相性最悪といった噛み合いであり。
前述のようにラファエル不在の最終ラインを突かれまくり、素直に5バックで構えていた方がマシ、という場面を幾度も作られてしまう事となりました。
そして右を意識すると、逆の左サイド(千葉から見て右サイド)で高橋の跳梁を許すという悪循環に。
16分にメンデスが今度は右サイド裏へロングパス、落とした高橋が田中のリターンを受けたのちワイドからカットイン、そして上がったクロスを日高が足で折り返す(クリア)という具合に左右を振られ。
12分から26分まで、全く攻撃機会を得れずに押し込まれ続ける栃木。
ラファエルが前に出ると言っても、誰に付くかどうかは全く定まっていない様相だったので、千葉は降りてきた選手に縦パスを通し放題と地上でも容易に前進出来る環境となり。
この時点でワンサイドゲームになる予感は十分でしたが、それがものの見事にスコアに表れる事となるのまでは予想はしておらず。
27分にようやく千葉のパスミスを大島が拾って栃木が好機を掴むも、その大島が遠目からミドルシュートを放つ(ゴール右へ外れる)のみに終わり。
32分にも千葉のミスからの好機、奥田の宮崎へのエリア内へのパスがクリアされてコーナーキックに。
クロスの跳ね返りを神戸がミドルシュートにいきましたが、ミート出来ずに終了となります。
折角の好機も、中々近めでフィニッシュを生み出すに至りません。
そして逆に千葉が右CKを得たのが35分。(とはいってもこれがこの試合4本目)
キッカー品田の中央へのクロスを、鈴木大がドンピシャで合わせてのヘディングシュート、GK丹野を弾いてゴールに吸い込まれます。
千葉の主要ターゲットに対しマンマークで付いていた栃木でしたが、鈴木大に付いた選手(平松?)がスリップして外してしまった格好での失点。
何とか反撃したい栃木ですが、以降も主体的な攻撃はままならず。
千葉の反則で、遠目からのフリーキックで放り込む事2度(2度目はショートパスからの放り込み)のみに終わります。
そして42分、千葉は最終ラインからの縦パスを小森が降りて受け、彼のポストワークを経てまたも左サイド裏へロングパスが送られ。
そして例によって受けた椿が左ポケット奥へ切り込んでクロス、これは合わずに流れるも逆サイドで継続し、品田の縦パスを受けた横山が今度は右ポケットからクロス。
グラウンダーで入れられたこのボールを、前残りしていた椿が合わせるという、再三好機を齎してきたご褒美のようなゴールとなります。
前半のうちに3得点と、早くも大勢を決めた千葉。
尚もこのペースを保ち、44分にはまたも椿を軸に左サイドから攻め、高橋の左ポケットへのパスを椿がスルー。
これを日高がダイレクトで前に送り、スルーの勢いのまま走り込んだ椿でしたが、GK丹野が前に出て抑え撃てず。
45分には椿が右サイドへミドルパスを送る役となり、受けた田中和樹が右ポケットを突いて低いクロス。
これをファーサイドで横山がボレーで合わせますが、左ゴールポスト外側に当たってラインアウトと惜しくもモノに出来ず。
その流れのままアディショナルタイムに突入し、さらに田中のクロスに椿が合わせシュート(GK丹野キャッチ)と、攻め続けた千葉。
正直良く3点で済んだといえるかもしれません。
そして前半が終わり、立て直しを強いられる栃木。
ハーフタイムで2枚替え、神戸・青島→土肥・南野へと交代します。
守備面では修正が施され、ラファエルは横山にマンツーマンで付く方策へと切り替わり。
様々な方面に降りるセカンドトップの横山なので、理に適ったような作戦と思われました。
しかしその成果が表れないうちにスコアが動き。
後半5分に栃木の自陣からのスローインをカットしてから攻める千葉、日高から小森→品田→田中と経由して左→中央→右へとサイドを移し。
そして右スペースへ出されたボールを、後方から走り込んだ高橋が豪快なミドルシュート。
ボールは左ゴールポストに当たるも、今度は内側を叩いたためそのままゴール内へ吸い込まれ。
栃木の対応を全て吹き飛ばすかのような、強烈なフィニッシュで4点目を齎しました。
こうなると栃木サイドの気落ちは隠せず。
8分には椿・日高の2人で仕掛ける左サイドアタックに横山も加わる形となり、これではラファエルのマークも細かなパスワークでいなされ生かせません。
そして日高のスルーパスを経て椿が奥からクロスを上げ、ファーで収めた田中和がシュート。(藤谷ブロック)
栃木は9分に自陣での大島のボール奪取から、千葉のゲーゲンプレスを際どくいなしながらパスワークで前進。
そして石田が右奥からクロスと、この日ようやくサイド奥を突くまでに至り、クリアされるも尚も繋いで中央の南野の下へ。
期待の若手・南野は遠目から果敢にミドルシュートを放ち、これがゴール上へ僅かに外れる惜しいフィニッシュとなります。
新星の存在で流れを変えたかった栃木ですが、その目論見すら無残にも崩される事となり。
10分に千葉のパスミスから敵陣で攻撃開始した栃木ですが、宮崎が日高に奪われると逆に千葉のカウンター。
小森のエリア内へのパスは何とか遮断するも、左CKで継続となり、キッカー品田はファーサイドへクロス。
これを、またもマークを外した末に外へ回り込んだ鈴木大がフリーで合わせ、ネットに突き刺す事に成功します。
今度は栃木サイドは蹴られる前から見失ってしまったという形で、流れからもセットプレーからも崩される一日となってしまいました。
この得点直後に両チーム選手交代となり、千葉は田中和・椿・小森→岡庭・ドゥドゥ・呉屋へと3枚替え。
栃木は平松・宮崎→大谷・イスマイラへと2枚替え。
千葉が3人とも同ポジションなのに対し、栃木は大谷が右CBに入り、ラファエルが中央へ回り。
平松に責任を取らせるとともに、新たな布陣で堰き止めを図りにいったものの、その目論見も全く通用しなかったこの日の栃木。
14分の千葉、右スローインからの繋ぎを経て小林が素早くサイドチェンジ、これにより栃木の薄いサイドを突く形となり日高がクロス。
ファーサイドに上がったボールを呉屋がゴール方向へ折り返し、猛然と走り込んだドゥドゥがヘッドで押し込む形でネットを揺らします。
これで6点目と、留まる所を知らない千葉。
興奮のあまり、ドゥドゥはゴールパフォーマンス(風船を取り出して膨らませる)により警告を受けるなど、前向きな姿勢は全方面といった感じでした。
これで7度目のキックオフとなった栃木。
ロングパス→イスマイラフリックと、最善(と思われる)手でゴール前まで運び、左CKをゲット。
このキッカー石田のクロスに大島がヘッドで合わせましたが、体勢が悪く逆方向へ逸れてしまう等、フィニッシュの運にも恵まれないという絵図に終わります。
一方の千葉は尚も前掛かりで追加点を狙うも、前に出た高橋の裏を突かれる事が何度かあり。
そのため、以降最終ラインでのビルドアップは高橋を残した3枚でのものに変える事でリスク回避の策を採ります。(21分には日高→佐々木へと交代)
何とか1点返したい栃木、23分に左からの土肥のクロスにイスマイラが合わせにいくも、GK藤田の飛び出しでこぼれ。
右奥で拾った石田のマイナスのクロスも合う事無くクリアされ。
ここで奥田→小堀へと交代し、その直後も石田のロングスローなど、諦めない姿勢は見せるものの依然としてゴール期待値は低く。
28分千葉は例によって敵陣左サイドで押し込むも、メンデスにバックパスした所を詰められ、奪った栃木がカウンターに持ち込み。
願っても無いシチュエーションでの好機で、イスマイラが右ポケットへ進入してシュートを放ったものの、ブロックに阻まれ結局モノに出来ません。
細々ながら、続けていた攻勢でゴール出来ずとあれば、当然逆襲を受ける事となり。
30分、自陣でのパスミスという形で千葉に攻撃チャンスを与えてしまうと、拾ったドゥドゥがそのまま左ポケットへと切り込んで中央へとラストパス。
呉屋のワントラップからのシュートこそ藤谷がブロックするも、左へこぼれた所をドゥドゥがダイレクトで押し込み、ゴールに突き刺します。
これで7点目と、2試合連続ノーゴールという過去の成績が嘘のような試合となった千葉。
そんなケチャドバ状態はまだ止まらず。
続く31分、中盤で拾って呉屋のポストプレイを挟んでのスルーパスでまたも最終ラインの裏を突く千葉、左ポケットへ走り込んだ横山が先程のドゥドゥのリプレイのように中央へラストパス。
そして上がっていた岡庭がダイレクトでシュートし、ゴールネットを揺らします。
必死に戻る相手を嘲笑うかのように得点を重ね、とうとう8点目。
その後も横山のカットインからのミドルシュート(36分、ゴール左へ外れ)、高橋が右ポケットへ切り込んでのシュート(42分、ゴール左へ外れ)と、全く変わらぬ圧力で攻め続ける千葉。(39分に小林→矢口へと交代)
これ以上の追加点こそ挙げられませんでしたが、ワンサイドゲームの気配をしっかり現実に繋げたのは言う事無しという評価でしょう。
一方の栃木は43分にイスマイラの胸での落としから、土肥のパスに入れ替わった南野が再びミドルシュートを放ち。
GK藤田にセーブされ、結局ゴールは挙げられず仕舞いとなりましたが、この若武者の姿勢が唯一の拠り所となったでしょうか。
結局試合はそのまま8-0で終了。
栃木は早急な修正が必須な状況となりましたが、連戦の真っ只中故に難しくもあり。
まあ千葉との相性が最悪という要素もあったので、一概に駄目と結論付けるのは早いでしょうが……。
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