<両軍スタメン>
東京ダービー・第2ラウンド。(第1ラウンドの記事はこちら)
同一県がフランチャイズかつ、同一のホームスタジアムによるダービーマッチの熱狂ぶりは、今更言うに及ばず。
その舞台である調布市・味の素スタジアムは、最寄りの飛田給駅から真っすぐ歩いた場所に存在。
基点である駅構内にはFC東京・ヴェルディ双方のエンブレムが飾られており、終点のスタジアム近くのスポーツショップも、ヴェルディをスポンサードしているため掲げられている看板。
ただし、その両地点の間の進行路の大部分が、FC東京サイドのカラーに染められた空間と化しているのが特徴であり。
そのロードはこのカードの開催に限り殺伐感を生み出すには十分なもので、実際前年の天皇杯の際に事案が発生した(スポーツショップの看板が被害に遭う)訳ですが、果たしてこの日の試合内容はどうなったか。
そんな雰囲気とは裏腹に、FC東京の近況は何処と無く寂しいものとなっており。
3戦未勝利(1分け2敗)・2戦連続無得点もさる事ながら、25節・ガンバ戦(0-0)ではひたすら自陣に押し込まれ続ける展開を演じてしまい。
前線でボールを奪う事すらままならず、GK野澤大の好守に頼りきりとなった末に何とか引き分けと、現状を象徴するような内容。
真夏の炎天下による影響が最も響いているとも取れ、そんな中で最も熱くなるべき試合がやって来てしまったという感じですが、どう対処するか。
ハイプレスによる奪取→速攻が期待出来ない以上、自陣からの組み立てでどうにかするしかないというFC東京。
前半3分にその通りの攻めを見せ、最終ラインから右サイドでの前進を選択すると、白井の縦パスからディエゴがダイレクトで送ったスルーパスで仲川が裏を取り。
そしてそのまま右ポケットへ持ち運んだ仲川、GKマテウスの眼前まで迫って、引き付けた末にマイナスのクロスを送ったものの中央の荒木には僅かに合わず。
ボール保持による攻めも、ヴェルディのタイトな寄せを受けながらであり縦に素早い運びを選択せざるを得ませんが、まず一つゴール前を脅かしました。
しかし、徐々にそのヴェルディのプレッシャーが襲い掛かる展開に。
7分、縦パスを受けんとした荒木に対し宮原が前に出て、反則気味にボール奪取してのショートカウンター。
こぼれ球を拾った齋藤が果敢にミドルシュートを放つ(GK野澤大キャッチ)、多少強引ながらファーストシュートを奪いにいく立ち回り。
流れが変わりかかった所で、9分に自陣でボール保持の際、荒木がスタンドの観衆を煽るポーズを見せながらボールキープ。
雰囲気を味方に付け、少しでも有利さを保ちたかった所ですが、その後の荒木の縦パスも森田にカットされてまたもヴェルディのショートカウンターが齎され。(スルーパスを左サイドで受けた木村が奥に切り込むも土肥のデイフェンスに阻まれる)
小手先だけの手法では、本質を変えられるものでは無いという絵図に終わりました。
FC東京のボール保持に対し、ヴェルディはウイングバックを引き気味に保ちながら、FWが掛ける規制を軸にバックパスを誘い。
そしてボランチが最前線にまでプレッシャーに出るというプレッシング。
それは当然ながらリスクある立ち回りで、FC東京サイドもそれを呼び込むべく、ドイスボランチが低い位置を保ってのビルドアップに努めていた感があり。
しかし実際は齋藤・森田が前に出てくると繋ぎに焦りが生まれ、隙を突くどころでは無い状態を強いられました。
一方ヴェルディのビルドアップは、右センターバックが宮原である事を活かした、彼が右サイドバックと化する可変を軸とした最終ラインの形を採り。
時折森田が最終ラインに降り、保持力を高めに掛かり繋ぐ姿勢を取るものの、染野・木村の2人へ質の高いロングボールを送るというのがメインの攻撃。
しかしプレスの掛けられないFC東京の隙を突くのも怠らず、16分に地上でのショートパスで中央突破を図り、その際齋藤が小泉に倒されるも山田楓が拾ってアドバンテージ。
そして左へ展開ののち翁長のスルーパスでポケット奥を取った末に、森田のバックパスを齋藤がダイレクトでミドルシュート(エリア内でブロック)と、アウェイの雰囲気を物ともせずフィニッシュを重ねていき。
過去の例に漏れず、この日も劣勢ぶりが顔を出すFC東京ですが、20分過ぎから反撃開始。
縦パスを受けてのディエゴのポストワークを交えながら、徐々にヴェルディボランチが前に出る所のスペースを使って攻められるようになり。
25分仲川が右ハーフレーンのそのスペースでパスを受け、ボールキープを経て戻したのち、逆の左サイドで展開されるパスワークに加わる可変を見せ。
そして長友のパスを受けた仲川、齋藤に倒されながら失わず起き上がりドリブルに入り、中央へ繋いだ末に遠藤がミドルシュート。(ゴール左へ外れる)
ようやく組織的な崩しをフィニッシュに繋げ、ファイティングポーズを取り始めたでしょうか。
その後FC東京がポゼッション・攻撃機会ともに上回る、文字通り反撃体制に。
しかしヴェルディのロングパス攻勢に手を焼き、木村・染野をターゲットとするボールの裏を掻くように、裏抜け狙いも混ぜ合わせ多彩なボールを送り。
29分に右サイド裏へのロングパスを奥で受けた山田楓、戻しからの組み立てで右ハーフレーン・エリア手前でパスを受けた齋藤が仲川に倒されて反則。
これにより絶好の位置での直接フリーキックを得たものの、名手・山田楓の直接シュートは枠外に終わり。
42分には林が再び右サイド裏へロングパスを送り、バウンドを経て松村が拾いまたも右奥からの攻め。
松村がカットインで中央まで流れ左への展開を選択すると、翁長のリターンを受けて入れられたクロスが、ファーサイドの齋藤の足下へ。
巧く奥へ入り込んでフリーとなり、ボレーで合わせシュートを放った齋藤でしたが、右サイドネット外に終わり先制はなりません。
肝心のフィニッシュでは、ヴェルディに後れを取る事となるFC東京。
縦パスを受ける役目のディエゴも、激しい寄せを受けて次第にそれを果たせなくなっていくと、全体失速を余儀なくされ。
結局スコアレスのまま前半終了となり。
共にハーフタイムでの交代も無く、ダービーマッチの独特な雰囲気をどうモノにするかが試される残り45分。
始められた後半は、お互いアバウトなボールを蹴り合う入り。
その流れで後半2分、クリアボールを染野の落としから繋ぎに入るヴェルディ、山田楓が持ち運びから右へ展開して松村が奥を突いてクロス。
この中央へ落ちるボールに木村が脚から跳び込むも合わず、ファーで翁長の折り返しで尚もチャンスボールとなるも、クリアされてコーナーキックに。
ロングボールの蹴り合いとなると、ヴェルディに流れが傾くのは必然でもあり。
このCKでの二次攻撃で、木村が右ハーフレーンを持ち運びに入った所を高に倒されて反則、これにより前半と類似する位置からの直接FKに。
今度こそ決めたいキッカーの山田楓でしたが、放たれたシュートは壁を直撃と実りません。
入りでペースを掴む事に成功した、相手の前へのベクトルを逸らしたいFC東京。
8分ヴェルディの攻撃を切って森重がボールキープする所に掛けられるゲーゲンプレスと、その格好の場面が訪れると、左への展開ののちワンタッチパスの連続で前へ運んでそれをかわしていき。
そして長友ミドルパス→荒木落としを経て、拾った遠藤が中央へほぼ横パスという縦パスを送ると、荒木がワントラップでエリア内を突いた末のシュート。
ブロックを掠めて枠外となるもCKで継続、ここから2本続けた末に最後は長友がミドルシュート(枠外)とやりきるも、ゴールは奪えず。
何とか勢いが生まれつつあるFC東京。
10分にヴェルディが敵陣でポゼッションを繰り広げるも、戻して作り直しを選択した所にプレッシャーを掛けるディエゴ。
そして林の蹴り出しをブロックし、攻撃を遮断に成功したもののそのままタッチを割るとともに、自身もボールの当たり所が悪く足を痛めて(かかとの部分)倒れ込み。
ピッチ外での治療を経て復帰を果たしましたが、激しさが膨らむなか無傷では済まないという展開。
そんな中、16分にヴェルディが森田の敵陣でのボール奪取から仕掛け。
パスワークで右奥を突き、入れられた松村のクロスこそ跳ね返されるも、尚も繋ぎを果たすと山田楓が右ハーフレーンを前進にいく状況に。
すると魅入られるかのように小泉の反則を呼び込み、またもほぼ同位置での直接FKとなります。
しかし3度目とあり変化を付けるヴェルディ、山田楓では無く染野が直接シュート、それも壁の下を通すボールを選択。
これがニアサイドを襲ったものの、GK野澤大がキャッチとやはり実りません。
地上でのパスワークからは中々フィニッシュに持ち込めないFC東京も、次第にセットプレー偏重の流れへと突入し。
20分に得た右CKでは、キッカー荒木はグラウンダーでのクロスを選択。
走り込んだ森重はディフェンスに遭うも、こぼれ球をそのままボレーシュートに持っていき。(枠外)
流れの中で云々……という状況は有に通り越し、どんな形でも先制したい両チーム。
それを支えるベンチワークでは、ヴェルディの方が先に動き、21分に森田・山田楓→見木・山見へと2枚替え。
森田の故障明けという要素が大きな交代策も、投入された山見を軸に新たな流れを模索するヴェルディ。
直後の22分、ロングボールのターゲットとなった木村が長友に反則を受け、右サイドでのFKからの流れ。(ここからキッカーは山見がメイン)
右スローインで継続すると、長いパスワークを経てポケットに進入してもなお繋ぎ続けた末に、染野のクロスがファーサイドに。
そして山見のヘディングシュートがゴール左を襲うも、GK野澤大のセーブで弾き返され。
決定機を逃したヴェルディですが、同時にFC東京はガンバ戦同様、守護神のビッグセーブで凌ぐ展開への突入を防げず。
23分にカウンターを阻止した染野が(荒木に対し)反則・警告を受け、その直後にFC東京ベンチが2枚替えを敢行(仲川・遠藤→安斎・俵積田)しても、流れを変える事はままなりません。
それでもヴェルディの好機は主にセットプレーで、スローインからの繋ぎが主体となった流れの中での攻撃は、サイド奥を突いてそれを得るための布石のような感じに。
30分、右スローインからすかさず染野が入れたクロスはブロックされるも右CKで継続し、キッカー山見のクロスが中央の染野の上空へ。
そして完璧に放たれたヘディングシュートがバウンドを経てゴール左を襲うも、これもGK野澤大が瞬発力を発揮し寸での所でセーブ。
しかし今度は弾きが小さく、エリア内で谷口が拾って継続すると、左から齋藤クロス→染野折り返し→見木ボレーシュートでゴールを狙うも長友がブロックで防ぎ。
尚もこぼれ球を拾ったヴェルディ、松村が右ポケットへ切り込んでシュートを放つもゴール左へ外れと、浴びせた連続攻撃は結局モノに出来ず終わり。
なおセービングの際に野澤大はゴールポストに頭をぶつける事となるなど、守勢は変えられずも、凌ぎ続けて意地を見せるFC東京。(32分に高・荒木→原川・小柏へと2枚替え)
35分、GKマテウスが低い弾道でのロングフィードを右サイドへ届け、意表を突くとともに素早い前進に入るヴェルディ。
松村の前進を経て、染野から放たれたミドルシュートをブロックにいったのは森重。
後頭部で防ぐ形になり、シュートの衝撃をまともに受ける形となってしまい、そのまま脳震盪で倒れ込んでしまいます。
野澤大と同様に意地の塊を見せたかのようなデイフェンスで、担架で運ばれ退く格好となった森重に代わり、岡を投入したFC東京。
その大ベテランの姿勢に応えたい所でしたが、攻撃で出来るのはフレッシュな両ウイング(右=安斎・左=俵積田)を軸としてサイドを突き、クロスを入れる事ぐらい。
41分には最後の交代で、もう1人の大ベテラン・長友が退く(中村を投入)と、以降殆ど攻撃機会は訪れず。
そしてヴェルディの独壇場と化す試合展開。
41分に松村→松橋へ、44分に木村→山田剛綺へ交代し、前線の体力を補填して攻勢を掛け。
それでも42分、見木のスルーパスを受けた山見がミドルシュートを放つ(GK野澤大セーブ)という具合に、キーとなりゴールを脅かすのは山見。
それ故に、アディショナルタイム突入後は全員で押し込み、ひたすらアタッキングサードでの展開を続ける状態になると逆にフィニッシュが膨らまない状況となり。
翁長のロングスローも使いながら、FC東京の専守の体制をこじ開けに掛かりますが、その難易度は高く。
長らくパスを繋いだ末に、左から齋藤のクロスがファーに上がり、クリアが小さくエリア内にこぼれたボールが中村の腕に当たる場面も。
これが反則無しの判定となり、ヴェルディサイドが猛烈にハンド並びにPKをアピールするも(VARチェックを経て)結局覆らず。
結局最後までゴールを奪えなかったヴェルディにより、スコアレスドローで試合終了。
ホームのFC東京がひたすら押し込まれる状況だった故か、終了直後にブーイングが上がったものの、当然ながら結末は変わらず。
かくして久々の東京ダービーは2戦とも引き分けで、今回の不完全燃焼ぶりは以降に持ち越される事となりました。
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