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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 大宮アルディージャvs東京ヴェルディ

2023-11-14 16:26:38 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の大宮の記事はこちら(38節・山口戦、2-1)
※前回のヴェルディの記事はこちら(40節・磐田戦、1-1)

<大宮スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節をもって21位が確定し、同時に降格確定。(※)
  • GK南が今季限りでの引退を表明。今節スタメンで出場。(22節・いわき戦(1-5)以来)
  • シュヴィルツォクの負傷が発表され、37節(大分戦、1-0)で発生するも全治は不明、そのまま母国(ポーランド)へ帰還となる。
  • 市原がU-18代表メンバーに選出。代表はこの日からスペイン遠征に入るとの事で、市原本人は後日合流の運びか。(11/15にメキシコ戦)

※正確には降格圏が確定であり、後はJ3昇格枠の行方次第。

<ヴェルディスタメン>

  • 自動昇格の条件は、この試合に勝利し、かつ清水と磐田が引き分け以下。勝ち点で並んでいる磐田とは得失点差で5の差があり、逆転は困難。
  • 前節退場(警告2度)となった深澤が出場停止。
  • 前節体調不良との事(放送席の談)で欠場した森田がスタメン復帰。

連勝を4まで伸ばし、「ひょっとしたらひょっとするかも……」と思わせた大宮。
しかしやはり奇跡はそうそう起きるものでは無く、連敗で降格圏が確定してしまう事となり。

ハイプレスで相手のペースを奪う事で連勝を続けていましたが、それは後が無い状況故の開き直りだった事も確か。
インテンシティ重視のスタイルへの変更は、以前(霜田正浩監督の頃)からも図られていましたが、そうした泥臭いサッカーを突き詰めるにはメンバー的に厳しいものがあったでしょうか。
ユース出身者が多い編成故に、「勝つためのサッカー」を落とし込むには並大抵の事では無く。
そして現在のJ2には、そのスタイルを突き詰めた町田・秋田・いわきが居るため、どうしても下位互換にしかならないのが致命的でした。

J2最後のホームゲーム、その相手はヴェルディで、最後まで自動昇格の可能性を残しており。
そしてユース重視のこれまでの編成に加え、大卒選手を多数登用し「勝つためのサッカー」の落とし込みに成功している、何から何まで正反対の状況のクラブという皮肉ぶりとなりました。

自動昇格に向けての戦いの総決算といったこの日のヴェルディ。
そのため硬くなりがちな立ち上がりは浮き球のパスを多用し、他方大宮はその長いパスをカイケが前に出てカットするなど、積極性を前面に押し出します。

ヴェルディのもう一つの懸念は故障という要素で、3分に中原が茂木との交錯で足を痛めてしまう事態が。
仮に自動昇格を逃しても、プレーオフが待っているという状況で、大きな武器である選手を失うわけにはいかない側面も抱えています。
何とか中原は起き上がるも、ピッチ外での治療に思いのほか時間がかかり、6分に復帰。
その後11分に今度は加藤が長らく倒れ込む事態となるも、治療は入らずにそのまま様子見を経て何とか起き上がり。

その序盤は、様々な位置に降りてパスを受ける齋藤の存在もあり、ボールを運べるようにはなっていたヴェルディ。
しかし大宮は前線の守備の調整に成功し、攻撃時にアンカーとなる森田を切りつつ、最終ラインへプレッシャーを掛ける中野・富山の2トップ。
その脇に降りて受ける選手(齋藤・稲見)に対してはドイスボランチが前に出て対応するという基本姿勢。
そしてGKマテウスを加えてボールを持つヴェルディの最終ラインに対し、サイドハーフも前に加われる体勢を取りながら、ヴェルディのサイドバックの脇で構え。

この大宮の前線にヴェルディもかなり手を焼く事となり、12分にはその姿勢を見てパスの出し所が無くなり、横パスがズレた末にGKマテウスがラインアウトで逃げる事を強いられるなど嵌りを見せ。
14分には黒川の反則気味のボール奪取から決定機を作り、右サイドを駆け上がった岡庭のクロスが流れるも、逆サイドから大澤が上げた再度のクロスを黒川が折り返し。
そして中央で中野が頭から飛び込みましたが、ジャストミート出来ず左へ逸れてしまい決められません。

その後はヴェルディサイドもインテンシティを高める事で応戦し、激しいデュエル勝負が多発するピッチ内。
そして奪った後の素早い運びを図るという、一昔前のポゼッションスタイルは脇に置いたようなサッカーを貫きます。
25分にはクリアボールを繋いだのち、裏へのロングパスを左サイドで受けた染野が奥へ切り込むと、市原に倒されて反則・警告。
これで得たフリーキック、キッカー中原のクロスから山越が中央でヘディングシュートを放つも、浮いてしまい決められず。

大宮は時折決定機を作られるも、敵陣でのボール奪取を頻発させるなど概ね良好な流れ。
ペースを握ったのちは自発的にも好機を作らんとし、中々嵌らないヴェルディのプレッシングを見るや、カイケが持ち運ぶという具合に中々の立ち回りを見せ。
しかし岡庭のアーリークロスに頼る局面が圧倒的に多く、もっと奥へ切り込む事を混ぜた方が……と言っても時は既に最終節であり。
そしてショートカウンターの精度が欲しい所でありましたが、終盤からのスタイル切り替えなため致し方無く。

ヴェルディは止むを得ずというべきか、GKマテウスのロングフィード中心に組み立てる手法に。
39分には齋藤の足下へ送る低いフィード、これは収まらずもすかさず染野が繋ぎ、受け直した齋藤が右へ展開。
そして中原のアーリークロスに、大外で加藤が脚で折り返さんとしますが惜しくも合わず。
41分に今度はハイボールを送るマテウス、齋藤がフリックで浮かせたボールを染野が落とし、齋藤→染野を経由と2人で前進していき。
そして染野のスルーパスをエリア内で受けた齋藤、1トラップでGK南を左にかわしましたが、角度が無くシュートは撃てず。(その後クロスに切り替え、染野が折り返すもGK南がキャッチ)

終盤は大宮が、カイケに対する加藤の反則(警告)からセットプレー攻勢に入り。
このFKをはじめ、コーナーキックも2本続けるなど押し込みましたがゴールは奪う事が出来ず。
善戦した大宮でしたが、結局はスコアレスで折り返しとなりました。

全試合同時開催の最終節。
ヴェルディにとっては清水・磐田の途中経過も気になる状況ですが、まずは勝たなければどうしようもなく。(この時点ではともに同点)

迎えた後半も、大宮の前線に対しビルドアップに難儀するヴェルディという展開に。
ヴェルディは前半に比べ、森田がアンカー・その前に齋藤と稲見という布陣の維持に努めるようになり。
しかし中々ボールに触れない森田が最終ラインに降りる事も目立つなど、状況を変えられず。

後半8分小島が前に出てボール奪取し、ショートカウンターに持ち込む大宮。
拾った中野がすかさずミドルシュートを放つと、ブロックを掠めたのもあり難しい軌道となり、手前でバウンドしたボールをGKマテウスが何とかセーブ。
ここからの右CKでも、こぼれ球を繋いで好機を作る大宮、右からの岡庭の低いクロスを黒川がダイビングヘッドで合わせ。
しかしゴール左へ外れと、窮鼠猫を噛むような先制点は奪えません。

流れを変えられないヴェルディ、14分にベンチが動き、林・加藤→平・綱島へと2枚替え。
CBを入れ替え、齋藤を左SHへシフトし綱島がトップ下と、思い切った手を打った城福浩監督。
そのポジションを移した齋藤から好機を作ったのが17分で、右スローインから中央→左へと展開ののち、カットインからクロスを上げた齋藤。
これをファーサイドで中原がボレーシュート(枠外)という具合に、徐々に流れを作り始め。

一方の大宮も17分に中野→室井へと交代。
お互いカードを切ったものの、執念のポジション変更という要素もありヴェルディが勝りを見せたのが分かれ目だったでしょうか。

18分、ヴェルディのスローインを遮断して大宮が攻め上がり、エリア内左角を取り。
しかし室井がバックパスを選択すると、受けた高柳が再度エリア内を突かんと縦パスを出すも、すかさず寄せた綱島がこれをブロックして奪いカウンターに持ち込みます。
それは前回の磐田戦の縦突破とは一味違ったパスワーク中心の速攻となり、染野→齋藤→綱島と繋いだのち、ボールキープで落ち着かせて右の中原へ。
そして細かいタッチでの突破を経てポケットへスルーパスを送り、森田が走り込んでマイナスのクロスを入れると、中央で綱島が合わせて完遂。
溜めも巧く取り込んでのカウンターで、苦しい試合展開ごと切り裂くような先制点を挙げました。

追い掛ける展開となった大宮。
何とかホームの声援を背に戦いたい所でしたが、その声量もアウェイのヴェルディサポーターの方が勝っている感があり。

21分に速攻気味にパスを繋ぎ、黒川が右ハーフレーン手前から低いクロス。
これを室井が裏に抜け出して合わせたものの、オフサイドで無効となり。
以降の大宮はプレッシングも嵌められなくなり、一転して勝機が見出せない展開へと突入します。

GKマテウスのフィードを自在に使いながら、大宮の前線をいなしていくヴェルディ。
ここに来て脇に置いておいたポゼッションサッカーを見せ始め、相手が隙を見せれば一気に好機に持ち込み、無ければ戻して作り直しと本領を発揮していき。
23分にはGKマテウス右へフィード→稲見受けてドリブル→染野右ポケットへ切り込みシュート(枠外)と、隙を突いての素早い運びで脅威を植え付けます。

何とかその合間に、好機を作らんとする大宮。
セットプレーも交えながら、多少強引ながらも好機を作らんとします。
しかしカイケと染野の頭部同士の激突という絵図も生み出す(25分、両者とも無事)など、その精神は悪い方に作用した感があり。
このシーンの最中に再度ベンチが動き、小島・富山→大山・泉澤へと2枚替え。(大澤がFWへシフト)

決して元から攻めの精度が高くない大宮、その意識への傾けにより、一層パスのズレが目立つようになり。
そして33分それを突かれ、縦パスがズレた所を谷口がダイレクトで縦パスを送り返し、一転してヴェルディの攻撃に。
左サイドでパスワークでボール保持ののち、戻して作り直し右からの攻めに切り替えると、宮原→森田→中原と縦に繋いでいき。
ボールキープでカットインに切り替えた中原を捕まえられなかったのも、中央に居るはずの森田が加わったが故だったでしょうか。
出来たスペースを斜めに前進していく中原、そのまま放たれたミドルシュートがゴール左に突き刺さります。
勝利をほぼ確定付ける2点目を挙げたヴェルディ、キックオフの前にすかさず齋藤→奈良輪へ交代と守備固めを図り。

この交代により、奈良輪が激しく上下動する事で通常の4バックと、5バックとを使い分けるシステムに移ったヴェルディ。
大宮は前半の姿は既に何処にも無く、ひたすら振り回される時間帯に突入する事となり。
36分に最後の交代、大澤・黒川→矢島・石川へ2枚替えを敢行する(高柳が右SHへシフト)も、流れは殆ど変えられません。
切り札的存在の泉澤も、前を向いてボールを受けられずにその能力を活かせず。

パスワークを続け、「相手に攻撃させない」事へと意識を移すヴェルディ。
41分に最終ラインの繋ぎで大宮のプレッシャーをいなし、山越ミドルパス→染野胸で落としから一転して前線での展開に。
奈良輪が反則気味のチャージでこぼされるもそれすら繋ぎ、中原右ポケットへスルーパス→宮原クロス→染野ヘディングシュートという完璧な流れでフィニッシュ。
枠を捉えられずに終わるも、これだけ相手を振り回した末にシュートで終われれば逃げ切りの状況では十二分。

最終盤を迎え、ようやく泉澤が前に向けられるシーンが生まれる大宮。
アディショナルタイムに突入し、その泉澤がエリア内で大山の横パスをシュートするもGKマテウスがキャッチ。
その後も室井がエリア内からシュート、CKからの流れを経て市原がエリア内からシュートと好機を量産する大宮でしたが、いずれもブロックで防ぐヴェルディの最後の粘りを崩すのは残り少ない時間では難しく。

そして0-2のまま試合が終了。
勝利したヴェルディですが、歓喜という訳にはいかず、他会場の結果を待つ事を強いられます。

そして弾き出された結果は、清水は水戸と引き分けた(1-1)ものの、磐田は栃木に勝利。(2-1)
これにより清水を追い抜いたものの、勝ち点75で並んだ磐田が得失点差で上をいく事となり。
2位に入った磐田を尻目に、3位に甘んじる事となった最終順位。
最後までやりきり、最良の結果は得られずとなりましたが、未だ終わらず。
2週間後のプレーオフで、3位に入った意味合いを存分に活かして貰いたいものです。

一方、最後の試合も敗戦となった大宮。
試合後のセレモニーもとても穏便な雰囲気とはならず、GK南の引退セレモニーに助けられたという格好に。
アイデンティティを失ったクラブ(J1の時代もただ残留を目指すだけという感はありましたが)はただ堕ちるだけ、という事を示す結果となりましたが、再起を図る術はあるでしょうか。

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