<両軍スタメン>
- 福島のホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
4-3-3による攻撃サッカーを貫いている今季の福島。
その成績は芳しくなく、得点力も目を見張るものは無いという現状で、成果が表れているとは言い難く。
自分が観たのは開幕節(岐阜戦、1-4)で、その際も中盤で針谷を軸とした地上でのパスワーク主体の攻めには見るべきものはありましたが、結果は大敗。
守備時も4-3-3のままという、客観的なバランスの悪さはこの日も健在で、「とにかくスタイルを強固なものにする」信念の方が上回っていると言って良いでしょう。
対する大宮は、「1年でのJ2復帰」を半ば至上命令としているような今季。
放送席の談でも、「どう勝つかを第一に考える」というニュアンスの長澤徹監督の発言が聞けるという具合に、とにかく結果が求められる状況であり。
その姿勢に偽り無く、開幕から9戦無敗(6勝3分)で首位を走っています。
勝利、そしてJ2昇格への執念は、その数字を見るだけでも伝わって来るものであり。
そんな両者の、信念と執念がぶつかり合う好試合、とは言い過ぎか。
キックオフから、大宮は左サイドで泉の推進力を活かした攻撃を繰り広げ。
それを凌ぎながら、得意の中盤でのパスワークによる攻めに入りたい福島でしたが、大宮の圧をまともに受けてしまい果たせません。
前半3分にゲーゲンプレスの末に、浦上が前に出て左サイドでボール奪取、ここから泉・藤井の持ち上がりにより好機。
以降も、5分にパスミスを拾われワンタッチで繋がれた末に右サイドを突かれ。(下口が奥からマイナスのクロス)
6分にはフィードで逃げようとした所を泉にブロックされ、またも攻撃を浴び。(中央からシルバがミドルシュート、枠外)
続く7分には、GK吉丸のロングフィードを跳ね返されて再度大宮の攻撃(敵陣でパスワークも、エリア内への浮き球パスをクリア)と、ボールロストのフルコースといった流れを描いてしまい。
得意手を塞がれる形となった福島は、8分に森に対する反則で村上が警告を受けたのを境に、大宮に倣うように森の突破力を活かす手法に活路を見出し。
10分には秋山の相手ロングパスのカットから、左サイドで受けた森が奥に切り込んでクロス、ニアで矢島がヘッドで合わせ。(枠外)
それに伴い周囲も好循環を得たか、15分にはGK吉丸がプレッシャーに来た杉本をフェイントでいなした(右を切りに来た杉本を見て左へ切り返す)のちの繋ぎ。
低いフィードを矢島が収めたのち、左への展開でまたも森の前進に持ち込むと、奥を取った森はカットインの姿勢から小さい浮き球をエリア内へ送るという変化。
これを左ポケットを取っていた大関が受けるも、収められずに終わる惜しい攻め。
こうした攻撃により、徐々に信念ともいうべき中盤でのパスワークの姿勢も見られるようになる福島。
しかし22分に再びパスミスで(浮き球パスを直接藤井にぶち当ててしまう)大宮の攻撃となり、右からの杉本のクロスが上がると、ファーサイドに走り込んだ泉がフリーでボレーシュート。(枠外)
依然として大宮の強度が壁として立ちはだかり。
そして26分シルバの持ち上がりにより攻める大宮、彼の小島へのパスがズレた所で、拾いにいった石川が山田と交錯し両者倒れてしまい。
山田の反則・警告となるも、ダメージが大きいのは山田というギャップが生まれる事となりましたが、これにより齎されたのはエリアから直ぐ近くという大宮にとっては絶好の直接フリーキック。
場所も中央からと、狙わない理由は無いという程の位置でしたが、キッカー泉の直接シュートはゴール上へと外れ惜しくも決められません。
ホッとした福島ですが、その後大宮のプレッシャーの前に前進すら難しくなる時間帯に。
最終ラインにまで執拗に掛けられるプレッシングに、先程警告を貰った山田は特にナイーブになってしまった感があり。
33分に詰められて慌てて出したバックパスが強くなり、GK吉丸が受けきれず大宮のコーナーキックと、絵的にもそのビルドアップの硬さが伺えました。
この辺りは、各クラブを転々として現在福島に居る(その流れで相手の大宮にも在籍)という経歴にも示されているでしょうか。
そして一気に大宮ペースへと移り変わる展開。
34分に左サイドでのパスワークを経てクロスが上がり、下口の折り返しが杉本に当たってズレるも、藤井のポストプレイで繋いだ末に小島がミドルシュート。(堂鼻が前に出てブロック)
尚もこぼれ球を繋いで右からクロスの連続と攻め立て。
35分には村上が前に出てのパスカットから、ショートカウンターでエリア内を突いて左CKに持ち込み。
ここからニアにクロス→浦上フリックという定番の流れで、ディフェンスに遭った所をシルバがミドルシュート(前方の藤井に当たり枠外)と、立て続けにゴールに迫ります。
そんな劣勢の福島を尻目に、自身も最終ラインから繋ぐ姿勢を見せ始める大宮。
特に40分には、最終ラインが持った際に、相手ボランチを切る姿勢の矢島に対して小島が中央から動かずにピン止め。
そしてその脇をパスワークで抜くという具合に、相手の前線をいなす立ち回りでも上回らんとします。(その後ロングパスを左奥で受けた泉がクロス)
得意手でも相手より劣るという状態に陥らせる事で、心を折りに掛かるというのはまさに勝利への執念が感じられる一幕であり。
結局その流れのまま、ゴールは生まれずとなった前半戦。
福島は40分にパスワークで前進するも、その際も中央を避け、左サイドで秋山・大関・森の3人によるものであり持ち味は発揮できず。
この時に杉本が(大関への)アフターチャージで(アドバンテージの末に)警告を受けたのがまだしもの事であり。
劣勢感がありありの福島でしたが、ハーフタイムでの交代は無し(大宮も無し)と、あくまで信念を曲げない姿勢を貫き。
しかし展開的には変わらず、一重に大宮が押し込み続ける立ち上がり。
やはり4-3-3のまま守備を行う福島、前から行った際にウイングが中央寄りとなってしまうので、それを突かれてサイドに運ばれる不安を常時抱える苦しさがあり。
それを防ぐにはサイドバックが前に出て前進を阻むしかない状態ですが、この日のような圧され気味の中では難しく。
そして後半5分、GK笠原のロングフィードからの攻めで、セカンドボールを拾ったのち左から前進。
杉本がドリブルで奥を突き泉に託すという具合に、サイドで人数を過多にする攻めで福島に数的不利を押し付けた末に、上がった泉のクロスをファーサイドで石川がヘディングシュート。
GK吉丸が辛うじて腕に当て、左ポストを叩いて跳ね返るボールを何とかクリアし、寸での所で防ぎます。
この流れで攻撃に転じたい福島。
8分にはようやく中盤でパスワークによる前進に持ち込みましたが、前に出てパスを受けた針谷がトラップミスで終了。
ならばと10分、最終ラインから堂鼻縦パス→大関縦パスという流れで受けた針谷、今度はミドルパスを森に送り彼の前進に託す攻め。
その森がポケットを取った事で左CKに繋がるという具合に、苦しい前半の際の攻め手も組み合わせて好機を生み出し。
このCKから、ニアに入ったクロスのこぼれ球を堂鼻がシュート、ブロックされるも尚も繋いで左ワイドから森がカットインシュート。
GK笠原にセーブされるも、理想とは多少異なる立ち回りによるフィニッシュの連続でムードが上がる福島サイド。
やはり信念を貫いて無残な結果に終わるよりも、執念で最後まで抗う方がずっと良い、といった所でしょうか。
そうした信念・執念のせめぎ合いによる展開。
その影響か前半で既に3度警告が出ていましたが、後半も16分。
下口のミドルパスを受けた藤井、その落下点で堂鼻にすぐさま奪われたものの、追走して奪い返し。
その際に後ろからチャージする格好となった堂鼻が反則・警告となり、前半の流れは継続していたという事を如実に示す結果となりました。
ここは正直流れの中で生まれてしまったような絵図なので、これにカードを出すのはどうかと思いましたが……
水を差された格好の福島でしたが、それによるマイナスの影響はほぼ無く。
以降はようやく中盤3人が係わるショートパス攻勢と、本来の得意手を見せ始め。
18分に左ワイドで長らく繋ぐ上畑・針谷・森の3人、そして中央の大関を中継としてエリア内へと出されるスルーパス。
これは遮断されるも針谷がダイレクトでミドルパス、右奥で松長根が受けて尚も継続と、大分パスワークで押し込めるようになってきました。(その後右奥で針谷がトラップミスで途切れ)
それでも、24分中盤での右スローインから、受けた矢島のポストプレイで中央から素早く運び。
そして森のミドルシュートが炸裂(ゴール上へ外れる)という具合に、フィニッシュが生まれるのはパスワーク以外での攻め手からでしたが。
均衡した展開のなか最初にベンチが動いたのは福島で、上記の森のシュートの直後に、その森を退ける交代策。(清水と交代、同時に矢島→塩浜へと交代・樋口がセンターフォワードに回る)
これを見た大宮サイドも、間もない26分に動き。
シルバ・泉・藤井→中野克哉・泉澤・シュヴィルツォクへ3枚替え、投入した選手はいずれも一騎当千の猛者らしきネームバリューと、昇格を目指すクラブ故の層の厚さを見せ付けます。
尚この交代により、市原を右SBとした4-4-2へとシフトした大宮。(左SBに下口、ボランチは小島・石川)
結果的に、この交代の駒が試合を動かす事となり。
27分、小島のスルーパスを右ポケットで受けた中野克が、前進ののちシュート(GK吉丸セーブ)と早々にゴールを脅かし。
29分にも、左ワイドで縦パスを受けたシュヴィルツォクが、カットインに杉本とのワンツーも交えエリア内を急襲した末にシュート。
大関のブロックによる跳ね返りを更に自身で追撃するも、これも堂鼻がブロック。
投入された選手の矢玉により、再度劣勢の色が強まってきた福島。
そして30分、ここもシュヴィルツォクが小島とのワンツーの末にエリア手前からシュート(ブロック)と、短期間で3本目となるシュヴィルツォクのフィニッシュでCKに持ち込んだ大宮。
この左CK、ショートコーナーから泉澤の切り込みで奥からクロスと目線を変える攻めで、ファーに上がったボールを浦上がヘディングシュート。
GK吉丸がセーブするも、跳ね返りをすかさず市原が詰め、堂鼻のブロックで防がれた所を再度自ら押し込んだ市原。
ひっきり無しに放たれるフィニッシュによりとうとう決壊と、まさに執念が齎した大宮の先制点となりました。
追い掛ける立場となった福島。
尚も続く大宮の攻勢を何とか凌ぐと、34分に押し込んだのち、大宮の縦パスを松長根が前に出てカット。
ここから細かく繋ぎ、塩浜の右ポケットへのスルーパスに走り込んだ松長根のグラウンダーのクロスが入ると、ニアサイドで樋口がヒールで合わせてのシュート。
これがゴールへ向かったものの、ライン寸前で中野克がブロックと紙一重で防がれてしまい。
尚も秋山・上畑がシュートに持ち込むもそれぞれブロックに阻まれ、非常に惜しい逃し方となってしまいました。
するとチャンスの後にピンチが待っており。
直後のCKからの攻めを防ぎカウンターに持ち込む大宮、右ワイドで拾ったシュヴィルツォクの裏へのミドルパスを受けた泉澤がドリブルに入り。
細かいタッチでプレッシャーを与えながら、エリア手前から放たれたシュートが、松長根のブロックに当たった末にループの軌道でゴールへ吸い込まれます。
展開的にも、相手を奈落の淵へと突き落とすような追加点に。
それでも諦めは許されない福島、キックオフの前に大関・樋口→城定・澤上へと2枚替え。
38分、素早い繋ぎから左サイドで前進し、清水がカットインからシュート気味にクロスを送るもブロックされてCKに。
しかしこの左CKから、キッカー針谷のクロスに対し中央で山田が跳び、越えたその奥で堂鼻が合わせてのヘディングシュート。
潰れによる綺麗な二段攻撃を決め、1点を返す事に成功します。
これで水を得た魚のように攻め上がる福島。(40分に上畑→加藤匠人へと交代)
大宮も依然として前からいく姿勢は崩さずも、シュヴィルツォクが入った前線の規制が今一つで、悠々ビルドアップを果たしていきます。
そして43分、右ワイドで受けた松長根がカットインからのクロス、これをファーサイドで清水が合わせヘディングシュート。
しかし枠を捉えられず、結局これが福島最後のフィニッシュとなりました。
その後は45分に大宮も最後の交代。(市原・石川→貫・高柳)
逃げきり体制と思われましたが、それでも隙あらばプレッシングからボール奪取にいく姿勢は変わらず。
しかもそれが機能し始め、中々運べない状況に陥った福島、というアディショナルタイムの攻防となります。
そして最後までゴールを狙う姿勢を崩さなかったシュヴィルツォクのシュート(ブロック)がこの試合最後のフィニッシュに。
1-2のまま試合終了となり、無敗継続を果たした大宮。
敗れた福島も道中、信念の中に執念も感じる戦いを演じましたが、力及ばずという結果に終わり。
両面が巧くミックスされ、実を結ぶ時は来るでしょうか。
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